RIZIN 7.2 沖縄アリーナ(レポ):平本蓮、鈴木博昭との打撃戦の末MMA初勝利し悪口解禁。大島沙緒里、山本美憂に判定勝ち。山本空良、アグオン下しRIZIN 3連勝
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湘南美容クリニック presents RIZIN.36
2022年7月2日(日) 沖縄アリーナ
レポート:井原芳徳 写真:(C)RIZIN FF
平本蓮、鈴木博昭との僅差の打撃戦制しMMA初勝利し悪口解禁
第13試合 メインイベント MMA フェザー級(66kg) 5分3R
×鈴木博昭(BELLWOOD FIGHT TEAM/ボンサイ柔術/元シュートボクシング世界スーパーライト級(65kg)王者)
○平本 蓮(ルーファススポーツ/K-1甲子園2014 -65kg優勝)
判定1-2 (松宮=平本/豊島=鈴木/片岡=平本)
RIZINの沖縄大会は昨年11月以来2度目。今回は元RIZINバンタム級王者の朝倉海の試合がメインイベントに置かれていたが、去年の大晦日の試合で痛めた右拳を練習中に再び痛め、ドクターストップがかかり欠場し、セミの鈴木 vs. 平本がメインに格上げとなった。また、人気選手の海の欠場に伴い、大会のPPV生中継の料金が無料にする措置が取られた。なお、オンライン独占生配信のRIZIN STREAM PASSは、RIZINが6月から立ち上げた自社製のサービスで、大会中継を今回無料にすることで、月額会費を払う会員の獲得を増やす狙いもあるとみられる。大会後の総括でRIZINの榊原信行CEOは、2割強のチケットの払い戻し希望があったことを明かしている。
シュートボクシングのエースとして活躍した鈴木博昭は、昨年10月のRIZIN LANDMARKでのMMAデビュー戦で奥田啓介に1R TKO勝ちしたものの、大晦日のRIZIN.33では萩原京平にグラウンドで押さえ込まれ続け判定負け。今年3月のRIZIN LANDMARKではストライカータイプの昇侍を72秒左フックで沈めた。
新生K-1育ちの平本は、20年の大晦日のRIZINでのMMAデビュー戦で萩原に寝技で攻め込まれ完敗。米国のルーファスポーツでの約3カ月の練習を経て、昨年末から日本に戻り、石渡伸太郎氏がMMAコーチを務めるCAVEを練習拠点にし、今年3月のRIZIN LANDMARKではKNOCK OUT王者の鈴木千裕と対戦したが、開始早々に鈴木の右ストレートをもらい主導権を握られ判定負けし、MMA転向後2連敗を喫している。2週間前の6月19日には那須川天心 vs. 武尊がメインイベントのTHE MATCH東京ドーム大会が行われたばかりだが、鈴木も平本も立ち技を継続していればドームで拳を交えていた可能性もある、立ち技の元トップ選手同士によるMMA戦となる。
1R、鈴木がサウスポー、平本がオーソドックスで構え、平本が中央で構える。両者高めの構えで蹴りを打合い、キックの試合に近い構図に。中盤、平本が右ストレート、左ボディをヒット。すると鈴木がタックルを仕掛ける。平本は一旦離れるが、再び鈴木はタックルを仕掛けてロープ、コーナーに押し込む。平本は耐え、膠着ブレイクがかかる。終盤、平本は右ミドル、鈴木は左のインローと右ローをカーフに当てる。パンチも時折交錯するが均衡は崩れない。まだ差は乏しいラウンドに。
2R、鈴木はロー、平本は右ミドル、左ボディを当てる。THE MATCHを思い出させるような、緊張感あふれる打撃戦が続く。すると中盤、鈴木の左のオーバーハンドフックがヒット。平本も連打を許さず、距離を取って左のミドルを返す。終盤、鈴木は圧を強め、左ボディストレートのヒットを増やしやや優位に。最後、左フックが交錯し、鈴木が平本をコーナーに詰めて終える。
3Rも打撃戦が続く。平本が左ボディから右膝につなげるが、右ローがローブローとなり一時中断する。中盤、平本の左ボディがまたも炸裂し、首相撲からの右膝を連打する。鈴木はそのままコーナーに押し込むが、平本は突き放す。またも鈴木が左フックを当てると、2R終盤同様、平本は下がり気味に。終盤、鈴木は首相撲から膝を当ててから平本を押し込む。鈴木は首投げを狙うが、平本は耐えて押し返し、その先の展開はないまま終わる。
記者採点は鈴木。2Rと3R終盤のアグレッシブネス、ジェネラルシップを評価した。僅差のためやはりジャッジは割れたが、トータルのヒット数で上回った平本の判定勝ちとなった。
マイクを持った平本は「MMA、甘くないからね。鈴木君、アマチュア修斗からやり直したほうがいいよ。次は武尊天心終わって、朝倉兄弟が終わって、平本蓮の時代です」とアピール。カード発表会見では「もう人の悪口は言いません」と言っていたが、MMA初勝利をもぎ取ったことであっさりと覆し、観客を笑わせた。
大会後のインタビューで平本は「次も3か月ぐらい(の間隔)でやりたい」「チンピラの萩原をぶっ飛ばしたい」等とコメントした。榊原CEOは大会後の総括で平本について「総合格闘家としての真価が顕在化していなかった。打撃が強いのはわかっていますけど、グラウンドの展開が未知数なので、萩原選手との差が縮まったの見えなかった。萩原選手と組むかは別として、早いタイミングで試合をマッチアップしたい」と話した。
◆平本
(鈴木の印象)滅茶苦茶タフでした。蹴りが一発目から強くて、右肘も腫れて。キックからやってきて一番蹴りが強かったです。ぐらついてもすぐ立て直したんで。3Rきっちり自分のゲームができました。距離が思ったより近くて、練習したことを意識し、上手く出た感じです。
(作戦は?)1R目、想像通りの組み立てができて。テイク(ダウン)が切れて、全く来なくなったんで。色気を出さず、完全制圧。壁レスのキツい24本とか(の成果が)試合中に出たっすね。
(もっとテイクダウンの強い相手でも問題ない?)もっとテイクダウンに来る相手ならもっと削れますね。次はレスラーとやるのも面白いと思います。
(今日はMMAファイター平本蓮の勝ちパターンができた?)1つの型として出来上がったかなって。コナー・マクレガーとエディ・アルバレスの試合の間の取り合いが好きで参考になりました。これから引き出しを増やして、打撃だけで行きます。
(スプリット判定について)ジャッジはもっと勉強した方がいいかなって。…どこかで僕も聞いたことのある話なんですけど。これから(梅野源治のように)20分ぐらい喋っていいですか(笑)
(今後について)チンピラの萩原をぶっ飛ばしたいです。次も3か月ぐらいでやりたいです。
(マイクで言っていたように、朝倉兄弟は終わった?)終わりっすね。俺も練習中に右手にひび入ったと思うんですけど、関係なくやったんで。怪我なんて(誰でも)あるんですよ。これがプロです。
(MMAで勝てない焦りはあった?)僕は絶対UFCでチャンピオンになるし、RIZINでもチャンピオンになれると思うんで、変わらないです。まだ24なんで。格闘技40まで続けたいと思っているんで。あと16年あるんで、これからです。
◆鈴木
どっちが勝ったのかわからない内容で、どっちも決め手の無い試合でした。でもどんな形でも星は落としてはいけなかったと思います。
(平本の印象)テイクダウンディフェンスが思ったより強かったです。MMAファイターとして試したかったのがそこだったんですけど、思ったより倒れなかったです。結局キックボクシングみたいな内容になりました。
(判定について)三日月蹴りとかをもらっても効いていなかったですけど、それ(=もらったこと)がいけなかったのかなと思いました。プレスをかけて、たまに有効打を当てていたけど、ダメージは与えられなかったから、まあ、ね。審判にどっちが勝っただろうとファイターが言うのも野暮なんで。審判が決めることは絶対だから。ちゃんとしたダメージを与えられなかった僕が悪いです。
大島沙緒里、山本美憂を寝技・打撃で攻略し判定勝ち
第12試合 セミファイナル MMA 女子スーパーアトム級(49kg) 5分3R
×山本美憂(KRAZY BEE/SPIKE 22)
○大島沙緒里(AACC/DEEP JEWELSアトム級(47.6kg)王者、DEEP女子ミクロ級(44kg)王者)
判定1-2 (片岡=山本/豊島=大島/松宮=大島)
RIZINでは7月31日のさいたま大会から、女子スーパーアトム級でのトーナメント(GP)をスタートする予定で、美憂×大島ははその前哨戦となる。
美憂はMMA転向後、糸満市のKRAZY BEE沖縄ジムで長らく練習し、昨年11月の沖縄大会ではメインイベンターに選ばれ、RENAと対戦したが2R TKO負けしている。試合はそれ以来で2試合連続での沖縄での試合となる。
大島はRENAの練習仲間。昨年3月から6月にかけて開催されたDEEP JEWELSアトム級GP(王座決定トーナメント)で優勝し、10月にRIZINに初参戦し、浅倉カンナに判定勝ちし一気に知名度を上げた。3月のDEEP JEWELSでの49kg契約(RIZIN女子スーパーアトム級と同体重)での試合では、ストロー級(52.2kg)から階級を下げたHIMEに判定負けしたが、5月大会では須田萌里に1Rアームロックで一本勝ちしDEEP JEWELSアトム級王座の初防衛を果たしている。
大島は前日計量で49kgのリミットを1.1kgも下回る47.9kgでクリア。リング上で向き合っても、筋肉質な美憂が一回り大きく見える。1R、大島は組んで足を掛けて倒そうとするが、美憂は潰して、ロープ際で上から押さえる。だがパウンドを落とそうとすると、大島はその隙に返してサイドで押さえる。大島は得意のアームロックを狙い、美憂が動けばギロチンも狙う。マウントを奪えば登って三角の機会もうかがい一気に攻勢に。美憂が返して上になっても、すぐに大島は三角、アームロックを狙う。終盤、美憂はトップで押さえるが、大島が下からしがみついて、美憂にパウンドを打つスペースを作らせない。ここまで大島ペースだ。
2R、美憂はプレッシャーをかけ、左ストレートをヒット。大島が右ミドルを当てると、美憂は蹴り足をつかんで倒すが、すぐに大島が下から仕掛けようとするため、美憂は立ってスタンドに戻す。中盤、大島は右ストレート、右ハイ、左ストレートを立て続けに当て、打撃でも好印象を作る。大島は細かく動き続け、左ローもヒットする。終盤、大島は右フックを当ててから組み付くが、美憂は潰して上に。だがここでも美憂はその先の攻めには持ち込めない。ここまで大島優勢だ。
3R、大島は変わらず細かく動き、右ミドルを当て、組みも積極的に狙う。中盤、またも山本が潰して上になるが、ここでも攻めあぐね、スタンドに戻すことに。終盤、大島は左フック、右のバック肘をヒット。そのまま美憂は組んで倒すが、大島は首を抱え、外した後も足を登らせ、美憂にパウンドをほとんど打たせず終える。
記者採点は攻撃の的確さ、アグレッシブネス、ジェネラルシップで3Rとも差をつけた大島。美憂が押さえる時間が長かったせいか、ジャッジは割れたが、2者は大島を支持し、大島の判定勝ちとなった。試合後は夫で柔道の強化選手の大島優磨、双子の娘と勝利を喜んだ。
マイクを持った大島は「正直、負けたかなと思っちゃって、あんまり笑えないんですけど、ここで話したいことがあります。私、3年前に格闘技を始めたきっかけが、同じAACCの本野美樹選手です。私がRIZINに出たことで悔しいはずなのに応援してくれました。強いのにRIZINに出ていないのには思うところががあります。またAACCの選手か、と思うかもしれませんが、本野美樹を注目して欲しいです。本野とRIZINに出て活躍するのが目標です」と、自分のこと以上に元DEEP JEWELSストロー級暫定王者・本野のアピールを繰り広げた。
中務修良、地元沖縄のベテラン・砂辺光久を2分足らずで粉砕
第11試合 MMA 54kg契約 5分3R
×砂辺光久(reversaL Gym OKINAWA CROSS×LINE/元パンクラス・ストロー級・スーパーフライ級・フライ級王者)
○中務修良[なかつかさ のぶよし](NO MAD/WARDOG CAGE FIGHTストロー級王者)
1R 1’40” TKO (レフェリーストップ:パンチ連打)
沖縄のMMAのパイオニア・砂辺は42歳。01年にパンクラスでプロデビューしキャリア20年で、パンクラスでは3階級でベルトを巻き、19年にはパンクラスの初代殿堂入りを果たした。18年9月にRIZINに初参戦し、当時DEEP王者だった越智晴雄にTKO負け。続く19年7月の試合では北方大地に破れパンクラス・ストロー級王座から陥落した。昨年11月のRIZIN沖縄大会では2年半ぶりの試合だったが、デビュー当時にライバルだった前田吉朗とノンストップの攻防を3R繰り広げ、判定負けに終わったものの健在ぶりを示していた。
中務は大阪のWARDOGの王者で、今年1月の大阪のGLADIATORの試合と合わせ2連勝中だったが、4月のRIZIN TRIGGRでのRIZIN初戦では征矢貴に2R TKO負けしている。前回は砂辺も中務も1階級以上上の体重での戦いで、今回は適性体重および同体格の相手との試合となる。
試合は敵地に乗り込んだ中務の先手が功を奏する形に。1R、中務は序盤からパンチを振りながらタックルを仕掛けて押し込む。一旦砂辺は離れるが、中務は右ミドルを当て、再びタックルを仕掛けて倒し、コーナー際で押さえ込む。砂辺は立とうとするが、中務は立ち際に左の膝蹴りを砂辺の顔面にヒット。そのまま中務は砂辺をコーナーに詰めたままパンチを連打し、右フックで砂辺が前のめりでダウンしたところで、すぐさま福田レフェリーがストップした。
中務は「砂辺さん、滅茶苦茶強いじゃないですか。めっちゃ怖かったです。これからも頑張るので応援お願いします」とアピールした。
山本空良、アグオン苦しめ判定勝ちしRIZIN 3連勝
第10試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
×カイル・アグオン(グアム/SPIKE22)
○山本空良[そら](パワーオブドリーム/Fighting NEXUS&PFCフェザー級王者)
判定0-3 (松宮=山本/豊島=山本/片岡=山本)
アグオンはRIZINでウガール・ケラモフに判定負けし、クレベル・コイケに一本負けしたが、4月のRIZIN.35では芦田崇宏をグラウンドで攻め込み判定勝ちした。山本は昨年11月のRIZIN TRIGGERで鈴木千裕に判定負けしたが、2月のTRIGGERでは新居すぐるを35秒でKO。3月の大阪大会では中村大介に判定勝ちすると、5月8日には寿希也に一本勝ちしFighting NEXUS王座を防衛と、ハイペースで試合をこなし結果を残している。
1R、アグオンがサウスポーで構え、序盤から胴タックルで倒し、立たれても組み付いてロープに押し込み、コーナーまで抱えて倒して上になる。だが山本は足を登らせ、腕十字を狙い、防御されれば三角絞めに切り替え、ボディシザースでのコントロールしようとする場面も。だがアグオンは防御し、終盤は上から押さえ続け、時折肘を落として好印象を作る。上から固める展開ならアグオンが昔から得意とするところだ。
2R、山本は多様なフェイントを駆使しながらパンチと蹴りを出す。山本がバックハンドブローを空振りすると、アグオンはタックで倒しにかかる。だが山本は切ると、アグオンを潰して、パウンドのラッシュで追い詰める。アグオンは耐え、鼻血を出しながらもコーナーに押し込みながら休もうとするが、終盤、山本は脱出しスタンドに戻す。アグオンはそれでもしつこく組んで来るが、山本は潰して背後から押さえて終える。流れは山本だ。
3R、アグオンはすぐに押し込み、テイクダウンを奪い、上から押さえるが、その先にはなかなか持ち込めない。元気な山本は隙間を作って時折肘を当て、足も登らせ抵抗する。終盤、山本が立ち、アグオンは再び倒して押さえるが、変わらず山本が仕掛け続け、反撃を封じて終了する。記者採点は2Rにアグオンを追い詰めダメージを与えた山本。ジャッジ3者も同様で、山本が初の国際戦で判定勝ちした。
朝倉海の代役で緊急出場の昇侍は3R一本負け
第9試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
×昇侍(KIBAマーシャルアーツクラブ/元パンクラス・ライト級王者)
○ヤン・ジヨン[Yang Ji Yong](韓国/チェジュ・チーム・ザ・キング)
3R 1’46” 裸絞め
昇侍は20年9月のRIZIN初戦で海に敗れて以降、海との親交が深まり、共に練習しYouTubeでも共演するようになり、今回は海の欠場で急遽出場した。昇侍は昨年9月のRIZINで鈴木千裕を開始わずか20秒でKOし、大きなインパクトを残したが、11月のTRIGGER 1stでは萩原京平に2R TKO負け、3月のLANDMARKでは鈴木博昭にわずか72秒でKO負けしている。今回のセコンドには海もつく。
ジヨンは96年1月14日生まれの26歳でRIZIN初参戦。キック11勝1敗でWAKO韓国王座を獲得。MMAに転向、Road FCのアマ部門で5戦5勝を挙げ、2年前にプロデビュー後もRoad FC(育成大会の2試合含む)で4戦4勝(1KO/1一本)している。構えはサウスポー。普段は済州島で農業を営むという。今回バンタム級で出場予定だったが、相手変更で1階級上のフェザー級での試合となる。
1R、ジヨンはサウスポーで構え、左ミドルをヒット。昇侍が右ミドルを放つと、ジヨンは蹴り足をすくって倒して、ハーフで押さえるが、昇侍はすぐスタンドに戻す。ジヨンは細かく左右のパンチを連打する。ジヨンが右フックを放つと、昇侍は片足タックルを合わせるが、ジヨンは耐えて、昇侍をロープに押し込み、膠着ブレイクがかかる。終盤、昇侍が右ハイを当てるが、ジヨンもこれをきっかけに前に出て左ストレートを返す。ここまでほぼ五分だが、昇侍は右眉を少しカットしている。
2R、昇侍はドクターストップも警戒してか、圧を強めるが、ジヨンは左に回って距離を取りつつ、左ストレート、ミドルを随所で的確に当て、やや優位に。終盤、ジヨンは右インローを当てていると、少しジヨンはバランスを崩すように。昇侍は右前蹴りも当てるが、ジヨンは蹴り足をすくって押し込んでラウンドを終える。終盤は昇侍に流れが傾くことに。
3R、開始前に昇侍はドクターチェックが入ってからスタート。このチェック時間にも体力回復できた昇侍は、前に出てパンチを狙う。だがジヨンは距離を取り、右ジャブを当てたのをきっかけに、左ミドル、左飛び膝、左ストレートのラッシュで昇侍をダウンさせ、がぶって押さえて頭に膝を当て追い詰める。ジヨンはマウント、バックマウントと移行し、裸絞めを極め、昇侍が落ちたところでレフェリーがストップした。
勝ったジヨンはマイクを持つと日本語で「覚えてください。ヤン・ジヨン」と話し、「マイ・ネクスト・ファイト・アサクラ・カイ」と英語でもアピールした。沖縄のファンも拍手を送った。
朝倉海「沖縄にも絶対戻ってきます」、皇治「12月ぐらい芦澤とやりたい」
なお、休憩明けには、今回欠場した朝倉海がリングイン。右手を包帯で巻いた姿で登場し欠場を謝罪し「復帰する時には誰よりも面白い熱い試合をするので、その時はまた応援お願いします。沖縄にも絶対戻ってきます」と話した。
休憩時間前には、地元沖縄出身の祖根寿麻(ZOOMER/元修斗環太平洋・TENKAICHI・DXFCバンタム級王者)の引退式が行われた。祖根は昨年11月の沖縄大会で皇治とキックルールで対戦。大晦日の太田忍戦がラストファイトとなった。祖根は「皆さんも夢があればあきらめないでください。これから新しい夢があるので頑張ります」と話した。
なお、祖根に花束を贈呈した皇治は「THE MATCH終わったんで、12月ぐらい芦澤(竜誠)ぐらいとやりたいです。芦澤でもYA-MANでも、これから本気出すんで」とアピールした。なお、大会後の総括でRIZINの榊原CEOは「皇治選手が勝手に言っているだけの話で戸惑っています。K-1さんと内々で決まっていることはありません。勝手に12月とか都合が良すぎる」と話している。
第8試合 MMA ライト級(71kg) 5分3R
×渡慶次[とけし]幸平(クロスポイント吉祥寺)
○岸本篤史(BRAVE)
1R 2’05” TKO (レフェリーストップ:右フック)
渡慶次は昨年11月の故郷沖縄大会でのRIZIN初戦では大原樹理に1R KO負けしたが、今年2月の静岡大会ではハリー・スタローンに2R KO勝ちした。岸本はRIZIN初参戦。大学時代にボクシングで国体準優勝の実績を残し、高校時代の同僚だった芦田崇宏を追いかけ26歳からMMAに転向。17年のデビュー後はGRAHCANやDEEPに出場し、15戦を経験している。
試合は岸本が打撃テクニックの差を見せつける内容に。1R、両者サウスポーで構え、岸本が圧をかけ、右ジャブ一発でダウンさせると、右のサッカーボールキックも当て渡慶次を苦しめる。渡慶次は立つが、岸本が圧をかけ続け、右ジャブを的確に当て続けると、最後は右フックでひるんだところでレフェリーがストップした。マイクを持った岸本は「RIZINグローブで殴り合ってくれる選手がいたら、次お願いします」とアピールした。
第7試合 キックルール(肘無し・つかんでからの攻撃は1回) 61kg契約(ライト級相当) 3分3R
○大雅(チームドラゴン/元K-1スーパー・フェザー級王者、元Krushスーパー・バンタム級王者)
×新田[あらた]宗一朗(クロスポイント吉祥寺/INNOVATIONスーパーフェザー級王者)
判定3-0 (豊島30-24/柴田30-24/片岡30-24)
大雅は昨年、RISE大阪大会で中村寛に敗れ、梅野源治に勝利。今年3月のRIZIN大阪大会では髙橋亮に1Rにダウン奪われるも3Rにダウンを奪い返しドローに持ち込んだ。新田は沖縄出身の26歳。沖縄在住時代からボクシング、キックを習い、高校卒業後に上京し19年にプロデビュー。今年4月に櫻井健に判定勝ちしINNOVATIONのタイトルを獲得し故郷に凱旋する。
試合は1階級上でキャリアで勝る大雅が格の違いを見せつける内容に。1R、サウスポーの大雅に対し、長身の新田は右ミドル、テンカオを当てる。大雅はパンチを主体にしつつ、左のインローも当てる。すると終盤、大雅が左のスーパーマンパンチを当ててダウンを奪う。
2R、大雅は右フック、左ボディを当て、中盤には再び左のスーパーマンパンチを当てる。終了間際、大雅がボディ、顔面にパンチを当て続け、新田がフラつき、大雅が左フックでダウンを奪う。
3R、新田は随所で右のテンカオをヒット。大雅も体力を消耗しパンチが荒くなってしまう。それでも終了間際には残りの体力をふり絞るようにパンチの手数を上げ、連打をまとめて右フックでダウンを奪う。再開後まもなくして終了。大雅が大差をつけ判定勝ちした。
フライ級戦線は藤田大和、村元友太郎、伊藤裕樹が完勝
第6試合 MMA フライ級(57kg) 5分3R
○藤田大和(リバーサルジム新宿Me,We/元DEEPフライ級暫定王者)
×曹 竜也(氷ヲ刻メ/池田道場)
判定3-0 (豊島=藤田/松宮=藤田/片岡=藤田)
藤田は父の道場で習った空手をベースとし、アマチュアボクシングでは日本5冠。17年10月のRIZINの那須川天心とのMMAプロデビュー戦以来のRIZIN出場だ。それ以降はDEEPを主戦場とし、勝ち負けを繰り返していたが、19年12月以降6連勝。昨年2月にDEEPで暫定王者となり、9月に伊藤裕樹に判定勝ちし初防衛に成功する。5月8日のDEEPでの正規王者・神龍誠との統一戦では3Rギロチンチョークで一本負けしたものの、実力の高さを見せつけている。
曹は沖縄出身の37歳。長年パンクラスを主戦場とし、14年12月のパンクラス沖縄大会で砂辺に判定負け。19年4月に北方大地に判定負け。19年11月に八田亮にTKO勝ちして以来2年ぶりの試合を昨年11月の沖縄でのRIZINで行ったが、越智晴雄に2R以降攻め込まれ判定負けした。
試合は藤田が現状のレベル差をまざまざと見せつける内容に。1R、開始すぐからサウスポーの曹に対し、藤田が開始すぐから右のインローを当てる。その後もロー、右ボディを当て、右ストレートでダウンさせる。その後も藤田が圧をかけ、顔面とボディへのパンチ、ローや三日月といった蹴りをコツコツ当て主導権を維持する。曹は鼻血を出し苦しそうだ。
2R、序盤こそ曹が左ストレートを当てるが、すぐに藤田は右ミドルを強打しお返しする。その後も藤田が圧をかけ続けて随所で攻撃を当て主導権を維持する。曹は左に回り続けて防戦が続き、時折前に出てもすぐに距離を取られてしまう。
3Rも藤田が打撃を随所で的確に当てるが、回る曹をなかなか追い詰めきれない。最後、曹が組み付いて倒すが、藤田が脱出して終了する。ジャッジも順当に藤田を支持し、藤田の完勝に終わった。
第5試合 MMA フライ級(57kg) 5分3R
○村元友太郎(ALIVE)
×BJ(BJ MMA SCHOOL/元修斗世界フライ級(56kg)王者)
2R 2’23” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
村元は20年3月のRIZIN名古屋大会で山本聖悟に1R KO勝ちし、昨年11月の沖縄大会での砂辺光久戦は怪我で欠場した。今年3月の大阪大会では北方大地に判定負けし一歩後退した。
BJは現在43歳。24歳だった03年に修斗でプロデビューし、06年10月にマモルに勝利し元修斗世界フライ級王座を獲得。漆谷康宏、マモル、正城ユウキを相手に09年まで3度防衛し、怪我のため10年に返上。13~14年にONEに参戦し1勝1敗。試合は15年10月のVTJ沖縄大会で曹竜也に判定勝ちして以来約7年ぶりとなる。神奈川出身だが当時から沖縄に住んでいる。近く自身のジムを豊見城市にオープンするため、アピールの絶好の機会だ。
1R、村元が開始すぐからパンチで襲い掛かるが、BJはすぐ組み付き、コーナーに押し込むが、膠着しブレイクがかかる。再開後、今度は村元がコーナーに押し込むが、こちらも膠着ブレイクとなる。終盤、村元のパンチをかわしてBJの背後から組み付くが、これも膠着したまま終わる。
2R、村元は序盤から両足タックルでテイクダウンに成功し、コーナー際で上になるが、BJはしばらくして立つ。村元は左ストレートをヒット。BJは年齢もあってか反応できていない。サウスポーのBJも左フックを当て返すと、村元は一瞬ひるむが、BJが前に出てきたところで、村元は下がりながら右のショートフックをBJのアゴにヒット。BJがダウンし、村元がパウンドを当て続けたところでレフェリーがストップ。やや攻めあぐねながらも、村元が順当に勝利した。
第4試合 MMA フライ級(57kg) 5分3R
○伊藤裕樹(ネックスイチムエ/元THE OUTSIDER 50-55kg級王者)
×宮城友一(DROP/修斗フライ級世界4位、元GLADIATORライトフライ級王者)
2R 4’57” TKO (レフェリーストップ:グラウンド膝蹴り)
伊藤は21年にRIZINに2度上がり、杉山廣平と中村優作に1R KO勝ちしている。その前後、DEEPでは藤田大和、福田龍彌に敗れたが、5月8日のDEEPでは関原翔をKO寸前まで追い詰め判定勝ちしている。
宮城は沖縄在住の39歳。07年にパンクラス・ネオブラッドトーナメントで優勝。一時は引退したが、キックで復帰し20戦近く出場。近年はMMA主体で、昨年11月の沖縄でのRIZIN初戦では安谷屋智弘をわずか47秒でKOしインパクトを残した。
1R、両者サウスポーで構え、スタンドでお互い慎重にチャンスを伺う状況が続く。中盤、パンチの打ち合いで、伊藤が右ボディを当ててからの左フックをクリーンヒットし宮城をダウンさせる。終盤、宮城の左のカーフキックで、伊藤がスリップするが、終了間際、伊藤が左ストレートを立て続けに当てて再び好印象を残す。
2Rも序盤から伊藤が右のパンチを振りつつ左ストレートを当て、宮城をダウンさせ先手を取る。中盤には上になり、パウンドを強打してからバックを取り、腕十字を極める。だが宮城は脱出すると、スタンドでオーソドックスに切り替え、右ストレートを当てて挽回する。しかし終了間際、またも伊藤が左ストレートを当てて宮城をダウンさせると、パウンドと膝とサッカーボールキックのラッシュを続け、レフェリーがストップした。
マイクを持った伊藤は「これからDEEPでフライ級のトーナメントがあると聞いたので、トーナメントで優勝し、RIZINに戻ってきます。沖縄でまたRIZINがある時はまた呼んでください。めんそーれ」とアピールした。
高校3年生の須田萌里、RIZIN初戦は1R一本勝ち
第3試合 MMA 女子スーパーアトム級(49kg) 5分3R
×にっせー(チームにっせー/アローズエンタテインメント)
○須田萌里[もえり](SCORPION GYM)
1R 2’12” 腕ひしぎ十字固め
にっせーは沖縄在住で、昨年11月のRIZIN沖縄大会では古賀愛蘭に判定2-1で辛勝。3月のDEEP JEWELSでは元DEEP JEWELSストロー級王者の本野美樹に1R腕十字で一本負けしている。須田は大阪出身の高校3年生。父親の影響で始めた柔術を得意とする。高1でのデビュー後2連敗したが、高2になってからの5連勝(3一本)。昨年12月には竹林愛留に、今年3月には青野ひかるに、いずれも1R腕十字で一本勝ちした。5月には大島沙緒里のDEEP JEWELSアトム級王座に挑戦したが1Rアームロックで敗れている。ちなみに沖縄は試合で行けなかった修学旅行先とのことだ。
1R、須田が引き込んで下になり、にっせーは一旦立つが、再び中に入ると、須田が下から腕十字を狙い、三角絞めに切り替える。最後は腕十字に戻し、そこからにっせーを寝かして腕を伸ばしきったところでにっせーがギブアップ。須田がにっせーにほとんど何もさせず完勝した。
第2試合 キックルール(肘無し・つかんでからの攻撃は1回) 72.5kg契約(ミドル級相当) 3分3R
○宮城寛克(赤雲会/RISEミドル級(70kg)9位、元TENKAICHIウェルター級&ミドル級王者)
×吉野友規(STURGIS新宿)
判定3-0 (豊島30-27/柴田30-27/片岡30-27)
宮城は地元沖縄のTENKAICHIのキックルールでウェルター級とミドル級で王者に。近年はRISEを主戦場とし、階級が下の中村寛には判定勝ちしているが、ベイノア、緑川創には敗れている。昨年11月のRIZIN沖縄大会では50歳のベテラン・ロペス薩摩を1R KOした。吉野は36歳でRIZIN初参戦。剣道で高校3年生時に国体で優勝、大学4年生時に団体戦で全日本選手権3位という実績を残す。就職後にキックを始め、32歳でプロデビューし8戦7勝1敗。1月には新日本キック・ミドル級王者の斗吾をKOしている。
試合は宮城がキックの経験差を発揮する内容に。1R、序盤こそ吉野が積極的に攻めていたが、宮城はブロックを続けつつ、右ローを効かせると、吉野の動きが落ち、宮城が右フックを当てて続けに当ててダウンを奪う。
2R、吉野は左ジャブ、宮城は右ロー、ストレートをヒットするが、なかなか均衡は崩れない。3R、宮城が左ミドル、左奥ロー、左右のストレートを効かせ、終盤には右フックでふらつかせ好印象を残し、点差を広げ判定勝ちした。
第1試合 MMA ライト級(71kg) 5分3R
○タナー・ロレンツォ [Tanner Lourenco](米国/琉球ファイトクラブ)
×Orihey[おりへい](糸満MMA)
2R 1’05” TKO (レフェリーストップ:グラウンド肘打ち)
ロレンツォは沖縄の米軍基地に駐屯し、昨年11月のRIZIN沖縄大会でプロデビューすると、道着着用の熊澤伸哉を送り襟絞めで仕留めた。Oriheyはボクシング、柔道、キックボクシングの経験があり、MMA 2戦2勝の22歳。
両者MMA初心者のため、試合は長所と短所が如実に出る内容に。1R、両者サウスポーで構え、Oriheyが右ジャブを頻繁に当てる。ロレンツォは打撃の防御ができない。だがロレンツォがタックルで倒すとコントロールを続け、アームロックや肩固めのプレッシャーをかけ、終了間際に裸絞めを仕掛ける。
2R、ロレンツォは序盤から倒して上になる。Oriheyはブリッジで上になるが、ロレンツォは腕十字を狙いながらまたも上になり、マウントから左肘を当てると、Oriheyは右まぶたを切られ大出血し苦しそうな表情に。引き続きロレンツォが左肘を当てたところでレフェリーがストップした。