RIZIN TRIGGER 4.16 武蔵野の森総合スポーツプラザ(レポ):ルイス・グスタボ、矢地祐介との再戦も2Rで返り討ち。シュレック、金原正徳、征矢貴、須藤拓真、江藤公洋、ボグダノフ、大谷翔司が勝利
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
中野駅徒歩3分。平日7~23時、年中無休営業。入会金&月謝2ヶ月分無料!
SPASHAN presents RIZIN TRIGGER 3rd
2022年4月16日(土) 東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ
レポート&スタンドから撮影写真:井原芳徳 ケージサイド写真:(C)RIZIN FF
武蔵野の森総合スポーツプラザは17年11月にオープンしたスポーツ施設。東京都調布市の味の素スタジアムの隣に位置し、メインアリーナは最大約1万人を収容する。東京オリンピック前の東京体育館の改修工事期間、極真会館や新極真会といった空手団体が世界大会や全日本大会で使用していたが、プロ格闘技では初めて使用される。RIZIN TRIGGER 3rdの試合場はケージ。翌日の同会場でのRIZIN.35ではリングが試合場となる。
第8試合 MMA ライト級(71kg) 5分3R
○ルイス・グスタボ(ブラジル/エヴォルサオ・タイ)
×矢地祐介(フリー/元修斗環太平洋&PXCフェザー級王者)
2R 3’14” TKO (レフェリーストップ:右フック→グラウンドパンチ)
グスタボは18年8月のRIZIN.12で初来日し、矢地祐介に2R KO勝ち。翌19年4月に朝倉未来に判定負けし、その年のライト級トーナメント1回戦では上迫博仁にTKO勝ちしたが、大晦日の準決勝のパトリッキー・フレイレ戦では1R TKO負けしている。試合はそれ以来約2年半ぶり。この春からの日本政府の新型コロナウイルスの水際対策の緩和により、満を持してのRIZIN復帰となる。
矢地はグスタボに敗れて以降、5戦1勝4敗と負けが込んだが、昨年、練習拠点をKRAZY BEEからロータス世田谷に移すと成長を遂げ、6月に川名TENCHO雄生、9月に武田光司を相手に2連勝。大晦日大会で過去に一度敗れているホベルト・サトシ・ソウザの持つライト級王座に挑戦したが、2R一本負けした。今回は約4年ぶりのグスタボへのリベンジマッチ。矢地は3月のカード発表会見で「(4年前と比べ)試合の組み立て方、試合に対する考え方とかが一新されて、全部スキルアップしています」と自信たっぷりに話していたが、グスタボの壁はまだ高かった。
1R、サウスポーの矢地に対し、グスタボはプレッシャーをかけ続け、右フック、右ミドルを度々降って脅かす。だがまだ距離は遠めで、矢地も多くをかわし、ヒットは少ない。矢地は手数は少ないながらも、左ボディフック、ミドル、カウンターの右フックを当てるが、ヒットは少なく単発止まりで、その先につながらない。両者まだ目立つ攻めは乏しいが、グスタボの積極性がやや目立つ
2R、インターバル明けのグスタボは序盤から圧を強めると、パンチを振り回し、左フックをヒット。矢地はひるむ。金網際で矢地が倒されると、グスタボは右のサッカーボールキックと踏みつけで仕留めにかかる。グスタボはそのまま金網際で上をキープし、ハーフからパウンドをコツコツと当て続ける。矢地は耐え、立ちがると、場内は拍手で包まれる。しかしグスタボの攻勢は変わらず、右ミドルの後に右ハイをヒット。ひるんだ矢地にさらに右フックを当ててダウンさせると、パウンドで追い打ちをかけたところでレフェリーがストップした。マイクを持ったグスタボは「2年間、日本に行きたいと待っていました。また来たいです。RIZINのチャンピオンになりたいです」とアピールした。
◆矢地「しっかり負けたんで悔しいです。もっとやれると思ったんで、虚無感というか、マジか、という。プレッシャーをかけてきた相手に頭下げてパンチ振っちゃう癖が出てしまって。修正しかけていたんですけど、やっぱり最後もああいう形で詰められて、上体上がってパンチもらうっていう。グスタボに全て上回られた感じです。いい所を残しつつ、強くなっているなって思いました。ああ、世界ってこんなかって。負けたのに言うのもアレですけど、グスタボは世界のトップの選手じゃ無いんで。これから駆け上がるかもしれないですけど、現状この立ち位置の選手にこんな負け方をしたので、壁を感じました。」
第7試合 MMA 無差別級 5分3R
○関根“シュレック”秀樹(ボンサイブルテリア/115.05kg)
×貴賢神[たかけんしん](フリー/133.45kg)
2R 3’49” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
貴賢神は大相撲の元幕内力士・貴源治で24歳。先に相撲からMMAに転向したスダリオ剛の双子の弟。昨年7月に大麻の陽性反応が出て、本人も使用を認め、日本相撲協会から懲戒解雇された。12月にMMA転向を表明し、大晦日にRIZIN参戦を表明していた。関根は元静岡県警の刑事で、大晦日にシビサイ頌真に2R TKO勝ちして以来の試合となる48歳。15kg軽い関根は、グラウンド状態での頭部への蹴りの有無を選べるが、有りを選んだ。
1R、体格で勝る貴賢神が中央で構え、関根が回る構図が続き、お互い慎重にパンチ、右ローの機会をうかがう。時折両者攻撃を出すが、クリーンヒットにはつながらず、攻撃自体も少ない。
2R、関根は勝負に出る。序盤からパンチを振るって前に出て、金網に押し込み、片足タックルで倒す。貴賢神は立つが、関根は再び倒し、中盤以降はサイドかトップで押さえ続ける。するとデビュー戦の貴賢神は次第に疲れの色が濃くなり、返す力が無くなる。すると関根はがぶりの状態からの膝や、サッカーボールキックで貴賢神を追い詰め、最後はパウンドをまとめたところでレフェリーがストップした。
MMAの経験差を見せつけ勝利した関根は「プロレス最強、ボンサイ柔術最強、BELLWOOD FIGHT TEAM最強、昭和最強」とマイクで叫んだ。
第6試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○金原正徳(リバーサルジム立川ALPHA/元SRCフェザー級王者)
×摩嶋一整(毛利道場/元Rebel FCフェザー級王者)
3R 3’37” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
金原は03年にプロMMAデビューし、09年大晦日に山本“KID”徳郁に判定勝ちしたこともある39歳のベテラン。20年2月のRIZIN浜松大会でRIZINに初参戦し、ビクター・ヘンリーに2R TKO負けした後、引退を表明していたが、昨年10月の横浜大会で2年8カ月ぶりに復帰すると、元DEEPフェザー級王者の芦田崇宏にTKO勝ちした。
摩嶋は6連続一本勝ちの後、20年8月にRIZINに初登場したが、斎藤裕に2R TKO負け。昨年3月にはクレベル・コイケに2R三角絞めで一本負けし、それ以来約1年ぶりの試合となる。
1R、摩嶋が序盤から組み付いて押し込み、脇を差して倒し、金網際で上になる。だが金原はその先の攻めを封じ、中盤にはリバースし、中央付近で押さえて反撃に転じる。金原はハーフから肩固めのプレッシャーをかけ、終盤にはマウントを奪う。パウンドを落とすと摩嶋は背中を向け、金原はバックマウントになり、裸絞めを狙う。最後、摩嶋が脱出するが、押し込むだけで終わる。ここまで金原優勢だ。
2R、摩嶋はまたも序盤から上に。金網際で上から押さえ続ける。何度か金原が脱出しかけるが、摩嶋は押さえ続ける。終盤、摩嶋はバックを取りかけ、金原が防御を続ける。摩嶋が巻き返す展開に。
3R、前に出る金原のパンチのタイミングで、摩嶋はタックルを仕掛け、執拗にテイクダウンを狙う。だが金原は耐えきると、疲労が見え始めた摩嶋を潰して上になることに成功。パウンドを当て、肩固めを狙って追い詰め、最後はパウンドをまとめたところでレフェリーがストップした。
金原は「摩嶋選手、強い。正直ナメてました。みんなさ、40とか引退しろとかうるさいよ。元気です」とアピールした。
第5試合 MMA フライ級(57kg) 5分3R
○征矢 貴[そや たかき](パラエストラ松戸)
×中務修良(NO MAD/WARDOG CAGE FIGHTストロー級王者)※N.O.V 改め
2R 3’29” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
征矢は修斗で活躍した後、クローン病の療養を経て19年6月、2年ぶりの復帰戦でRIZINに上がり川原波輝をKO。続く8月大会でも村元友太郎をKOした。昨年再びクローン病で入院し、今回は村元戦以来の試合となる。中務はRIZIN初参戦の25歳。大阪のWARDOGの王者で、今年1月の大阪のGLADIATORの試合と合わせ2連勝中だ。
1R、征矢が低く構えて圧をかけ、中務がサウスポーで高く構え回る構図が続く。中盤、征矢が打ち合いの展開で、右ストレートをクリーンヒットし中務をダウンさせる。中務はすぐ立ち、グラウンド勝負に持ち込もうとタックルを仕掛けるが、征矢は難なく切って上をキープする。スタンドに戻っても、征矢が右フック、膝などで中務を攻め続ける。
2Rも征矢が圧をかけ、中務のタックルを切り、上になる展開が繰り返される。すると中盤、征矢が左フックで中務をダウンさせると、金網際でパウンドラッシュ。左のサッカーボールキックを当てて動きを止めた後、パウンドをまとめたところでレフェリーがストップした。
約3年ぶりの試合で勝利した征矢は涙を流して喜び「クローン病になろうとヘルニアになろうと、応援してくれる人がいる限り僕は不滅です」とマイクで話すと、場内は拍手で包まれた。
第4試合 MMA バンタム級(61kg) 5分3R
×渡部修斗(ストライプル新百合ヶ丘/元Fighting NEXUSバンタム級王者)
○須藤拓真(X-TREME EBINA)
判定1-2 (田沢=渡部/松宮=須藤/豊島=須藤)
渡部は昨年からRIZINに上がり2勝1敗。6月のバンタム級日本GP一回戦では朝倉海に1R TKO負けしたが、10月のLANDMARKでは急きょ出場の内藤頌貴に一本勝ちしている。
須藤は20年にMMAデビュー以来、5戦とも足関節技で一本勝ちしている寝業師。2月にFighting NEXUSで渡部の後のバンタム級王者の河村泰博に挑戦する予定だったが、河村の新型コロナウイルス感染により試合が中止となっていた。
1R、右のカーフキックやインローの蹴り合いの後、須藤がタックルを仕掛けるが、渡部は潰して上に。渡部は上から首を抱えギロチンを狙うが須藤は極めには至らせず防御する。終盤、渡部はギロチンを外し、少しパウンドを落とす。
2Rも序盤から渡部が上になって押さえ密着する。須藤は得意の足関に持ち込む隙間を作れない。だが渡部も攻めあぐねていると、終盤、須藤が足関を狙い続ける。だがこれも渡部が防御を続け極めには至らせない。ここまでどちらも決め手の欠ける内容に。
3R、須藤は今成ロール的に滑り込んで足関を狙うが、動きが遅く、簡単にかわされてしまう。すると渡部が上になり、またも上から須藤の首元に腕を絡めて極めを狙う形に。だが須藤は脱出すると、今度は足関を狙い返し、ヒールフックが極まりそうになるが、少しポイントがズレてしまう。しかしその後も執拗に足関を狙い、渡部は防戦のまま終える。
記者採点は悩んだが、サブミッションで主導権を握る時間が長いと感じた須藤。ジャッジは案の定割れ、2者が須藤を支持し、須藤の判定勝ちとなった。だがデビュー以来6戦目で初の苦戦。上位戦線で戦うには足関だけでなく、それ以外の総合力の底上げが必要と感じた。
第3試合 MMA ライト級(71kg) 5分3R
×雑賀[さいか]“ヤン坊”達也(DOBUITA/パンクラス・ライト級2位、元暫定王者)
○江藤公洋(和術慧舟會HEARTS)
2R 4’12” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
雑賀はRIZIN初参戦の21歳。NEXUSで4勝1敗の好戦績を残した後、19年からパンクラスに上がり、小林裕、トム・サントス、林源平相手に3連続1R KO勝ちでライト級暫定王者に。昨年12月の王座統一戦では、RIZINにも上がっている正規王者の久米鷹介を右アッパーでダウンさせ先手を取ったが、2R腕十字で一本負けした。
江藤は33歳でRIZIN初参戦。13年にMMAデビューし、長年DEEPを主戦場にしてきた。18年からONEのトライアウトに上がり3連勝後、本戦に上がった。20年9月のRoad TO ONEでは青木真也に判定負けした。最近は昨年9月に修斗に初参戦し、グンター・カルンダに判定勝ちしている。
1R、江藤が序盤からタックルでテイクダウンを重ね、肩固めを狙う場面もあるが、やや粗くなってしまう。立ち際には雑賀はサッカーボールキックを当て、スタンドに戻ってのパンチラッシュでは右ストレートで江藤をぐらつかせる。最後は江藤がグラウンドに戻し、バックをキープし終える。雑賀はグラウンドになると防戦一方になり、欠点が如実に現れる。
2Rも江藤が序盤からタックルで倒し、グラウンドコントロールで主導権。マウントをキープし、肩固めを狙う。金網際で位置が悪く、ハーフに戻ると、マウント、バックと移り、セコンドの大沢ケンジ氏の指示通り、パウンドを当て続け、雑賀が鼻血を出して動きが止まったところでレフェリーがストップした。
江藤は「最近子供が生まれ、変な姿が見せられないと思い、死ぬ気で戦いました。これからRIZINライト級をかき乱してトップまで行きます」とアピールした。
第2試合 MMA 72kg契約 5分3R
○グラント・ボグダノフ(米国/ALMA FIGHT GYM LIFE)
×泉 武志(FIGHTER’S FLOW)
3R 3’16” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
ボグダノフは柔術黒帯。昨年6月のDEEPでMMAデビューし田中一矢に1R裸絞めで一本勝ち。11月のRIZIN TRIGGER 1stでは、レスリング世界大学選手権9位の実績のあるプロレスラー・奥田啓介を1R裸絞めで仕留め、今回が3戦目だ。同じRIZINライト級の王者・ホベルト・サトシ・ソウザ同様、柔術仕込みの寝技が強みだ。
泉は89年4月6日生まれの33歳。レスリング全日本選手権のグレコローマンで14年と16年に優勝。17年にはアジア選手権で優勝し、同年の世界選手権にも出場した。20年からMMAに転向し、今回がMMAデビュー戦だ。所属先のFIGHTER’S FLOWには渡辺華奈やDEEPを主戦場とする渋谷カズキが在籍する。
1R、泉が左フックを序盤から当てるが、ボグダノフが最初の片足タックルで倒し、金網際で上になって押さえる。いったん立たれても、再び片足タックルからテイクダウンし上に。グレコ出身の泉は足元へのタックルへの対応が苦手な様子だ。だがここでもその先の攻めを許さずスタンドに戻す。泉は左右のストレートや右のカーフを当て、スタンドではボグダノフよりも上の印象だ。
2Rもボグダノフは序盤から片足タックルで倒すと、今度はグラウンドをキープし、マウントとバックを行き来し、パウンドと裸絞めで追い詰める。泉は防戦一方に。とはいえボグダノフもパウンドの使いこなしはまだまだの様子で、フィニッシュできない。ここまでの内容で採点するならボグダノフ優位だ。
3Rもボグダノフが一発目の足元へのタックルで上に。マウントとバックでコントロールし、パウンドを当てる。泉はダメージが蓄積しており、最後はマウントでパウンドをまとめたところでレフェリーがストップした。
試合後のマイクでボグダノフは「サトシ、ニゲルナ」と今回もホベルト・サトシ・ソウザとの対戦を熱望した。
なお、この試合後、金太郎戦が中止となった倉本一真がケージに入り挨拶した。倉本は「完璧に仕上げていたので凄く残念です。金太郎選手、ゆっくり直してください。万全の状態で戦いましょう。試合がなくなったので、早く試合がしたいです。(バンタム級の)ベルトが欲しいので上の選手と戦いたいです。RIZINでケージのベルトも面白いなと思います」と話した。
第1試合 キック(肘無し・つかんでからの攻撃は1回) 63.5kg契約(スーパーライト級相当) 3分3R
○大谷翔司(スクランブル渋谷/INNOVATIONライト級(61.23kg)王者)
×力也(士魂村上塾/MA日本ウェルター級(66.67kg)王者)
1R 2’52” TKO (3ダウン:右ストレート)
両者RIZIN初参戦。大谷は31歳。元陸上自衛隊で、23歳でプロ格闘家になるため自衛隊を退職。16年にキックデビューし27戦14勝7敗3分。REBELS~KNOCK OUTの王座戦線で長年活躍するも、あと一歩で届かない状況が続いたが、20年8月にINNOVATIONの王座を獲得し昨年9月に防衛した。KNOCK OUT-BLACKライト級王者のバズーカ巧樹とは1勝1敗。最近では3月13日の新日本キックで重森陽太に判定負けしている。
力也は27歳。17歳の11年にキックデビューし36戦18勝11勝7敗。13年には今をときめくモハン・ドラゴンを35秒でKOしている。昨年1月、降籏健嗣に勝利しMA王座を獲得。最近では3月20日のBigibangでの63kg契約の試合の計量を1.2kgオーバーしており、今回の3週間後の63.5kg契約への減量が気になるところだ。
1R、力也が右のカーフをコツコツ当てると、少し効き目を発揮する。すると大谷は距離を詰め、パンチ主体の攻めに。度々当てるが、防御が甘くなり、自分も被弾してしまい、力也のカウンターの右フックでダウンしてしまう。だが力也もダメージが溜まっており、大谷は右ストレートでダウンを奪い返す。すると大谷が右ストレートで2ダウンを重ね、3ダウン目を奪いTKO勝ちした。