パンクラス 12.12 USEN STUDIO COAST(レポ):久米鷹介、ピンチ乗り越えライト級王座3度目の防衛。北方大地はストロー級王座初防衛。中島太一、完勝でバンタム級暫定王者に
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PANCRASE 325
2021年12月12日(日)東京・USEN STUDIO COAST
レポート&写真:井原芳徳
久米鷹介、ピンチ乗り越えライト級王座3度目の防衛
第9試合 メインイベント パンクラス・ライト級王座統一戦 5分5R
○久米鷹介(ALIVE/王者)
×雑賀[さいか]ヤン坊 達也(DOBUITA/暫定王者)
2R 2’28” 腕ひしぎ十字固め
※久米が3度目の防衛、王座統一
ミュージシャンのライブ会場としても有名な東京湾岸・新木場のSTUDIO COASTは来年1月での閉鎖が決まっており、18年2月からホーム会場として使用してきたパンクラスにとってこの大会が最後のCOAST大会となる。フライ級の仙三×若松佑弥の王座戦の死闘を皮切りに、ライト級のISAOやバンタム級のハファエル・シウバが絶対王者ぶりを示してきたCOASTでのパンクラス王座戦。ラストCOASTでは、3階級の王座戦が組まれた。
久米は16年9月に徳留一樹を1R KOしライト級王座を奪取。17年12月のベルトを懸けてのリターンマッチも1R KO勝ちし、19年4月にトム・サントスに3R三角絞めで勝利し、2度防衛している。それ以降パンクラスには出場せず、ONE Championshipで19年10月、当時の修斗同級世界王者・松本光史に判定勝ち。20年9月のRIZINでは元DEEP同級王者の北岡悟に判定勝ちしたが、今年3月のRIZINでは現DEEP同級王者の武田光司に判定負けした。現在36歳。
対する雑賀はFighting NEXUSで4勝1敗の好戦績を残した後、19年7月からパンクラスに上がり、小林裕とサントスを1R KO。昨年9月の暫定王座決定戦でも林源平を1R KOし、3連続1R KO勝ちで暫定王者となった。現在プロ7戦7勝(7KO)の31歳。
1R、久米が距離を取り、雑賀の右ローの後、タックルを仕掛けて倒し、立たれてもすぐ押し込む。雑賀は長時間耐えて離れると、中盤、久米の左フックのタイミングで雑賀が右アッパーをクリーンヒットし、久米はダウンする。雑賀はパウンドラッシュで仕留めにかかるが、久米は耐え、下から腕十字、アームロックで反撃して終える。記者採点もジャッジも雑賀。
2R、久米は序盤からタックルで倒し、金網際で押さえる。するとバックを奪い、裸絞めを極める。雑賀は耐えて外したが、久米は腕十字に切り替えて腕を伸ばすと、これもしばらく雑賀は耐えたが、最後はタップした。
ピンチを乗り越え、最後は寝技で盤石の強さを見せつけ、3度目の防衛と王座統一を果たした久米は「雑賀選手強かったです。かろうじて勝てたので、雑賀選手あっての試合でした」「応援してくれる多くの方のおかげで勝ちました」と話して涙を流した。
北方大地、ストロー級王座初防衛「覚悟を決めたらなんだってやれる」
第8試合 コーメインイベント パンクラス・ストロー級チャンピオンシップ 5分5R
○北方大地(パンクラス大阪稲垣組/王者)
×宮澤雄大(K-PLACE/1位)
3R 2’18” TKO (レフェリーストップ:左フック)
※北方が初防衛
現在30歳の北方は2010年にパンクラスでプロデビュー。16年12月に砂辺光久のストロー級王座に挑戦し一本負けしたが、その後4連勝し、19年7月に砂辺に再び辿り着き、5R TKO勝ちで悲願のリベンジと王座奪取に成功した。以降は他団体での戦いが続き、19年10月のONE Championship両国国技館大会では修斗世界王者の猿田洋祐にKO負け。昨年11月のRIZINでは竿本樹生に判定負けし、今年6月のRIZINの中村優作戦では計量後に病気の影響で体調を崩しドクターストップがかかり試合に穴を開けており、2年半ぶりのパンクラスで名誉挽回したいところ。
対する宮澤は27歳。17年にZSTでデビュー後連勝し、18年からパンクラスに上がり最初は2連敗したが、以降は前山哲兵、リトル、井島裕彰らを破り好成績を残し、今年5月の王座挑戦者決定戦では八田亮に判定勝ちし、初めて王座に挑戦する。
1R、北方がプレッシャーをかけ、右からの左フックで早くも宮澤をダウンさせる。宮澤のタックルを切り、スタンドに戻すと、今度は右ストレートでひるませる。宮澤は押し込んで耐える。その後はパンチの攻防と押し込む展開の繰り返しとなる。記者採点もジャッジも北方。
2R、持ち直した宮澤は、飛び膝のフェイントから右フックを当て、北方のパンチに合わせてタックルを仕掛けて一瞬倒す。そこから金網に押し込み、終盤は北方が脱出し、オンブになる。だがその先に持ち込めず、北方が押し込んで終える。記者採点もジャッジも宮澤。これでイーブンに。
3R、北方が右のジャンピングハイを放つが、宮澤は合わせてタックルを仕掛けて倒し、金網際でハーフで押さえる。だが北方はすぐ立つと、宮澤の再度のタックルを今度は簡単に切り、金網際でバックを狙う。これで流れが変わったか?宮澤は突き放したものの、離れ際で北方が左フックをヒット。宮澤は少しひるむ。パンチの打ち合いで北方が再び左フックを相打ちながらも当ててダウンを奪うと、宮澤は大の字で倒れ、追い打ちのパウンドを当てたところでレフェリーがストップした。
北方は「今回が初防衛でしたけど、これから3回、5回、10回行って、パンクラスの歴史に残る王者になりたいです」と宣言。「病気で体も弱り、気持ちも折れかけたけど、頑張れる理由がありました。息子たち、応援してくれる人たち、稲垣組の仲間、周りの人たちのおかげでここに立てました」と感謝の言葉を述べ、息子たちに対し「投げ出したいことがあっても、覚悟を決めたらなんだってやれる」とメッセージを伝えた。
中島太一、圧勝でバンタム級暫定王座獲得「パンクラスとは違う奴とやって倒して行きたい」
第7試合 パンクラス・バンタム級暫定王者決定戦 5分5R
×井村 塁(Nexusense/1位、ネオブラッドトーナメント2020同級優勝&MVP)
○中島太一(ロータス世田谷/2位、ネオブラッドトーナメント2012同級優勝)
2R 0’08” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
※中島が暫定王者に
バンタム級は5度防衛した石渡伸太郎が19年4月に王座を返上し、その前年に暫定王者となったハファエル・シウバが正規王者に。暫定王者時代の19年3月には瀧澤謙太を1R裸絞め、正規王者時代の同年7月には金太郎を2R肩固めで仕留め、王座防衛に成功している。石渡、瀧澤、金太郎はRIZINに主戦場を移すが、彼らの穴を埋める新勢力の育つシステムが長年機能しているのがパンクラスの強味だ。今回、ハファエルが新型コロナウイルスの影響で来日不可能なことから、暫定王者決定戦が行われた。
井村は師匠の植松直哉譲りの高い柔術スキルを最大の武器に、アマチュアパンクラス等で経験を積み、20年2月にパンクラスでプロデビューすると、新人王トーナメントにあたるネオブラッドトーナメントで4試合とも一本勝ちし優勝。ネオブラ全優勝者のMVPにも選ばれる。その結果ランク入りを果たすと、5月に6位の平岡将英を1Rで仕留め、10月大会ではジェイク・ムラタから開始早々に右ストレートでダウンを奪うと、三角絞めでタップを奪い6戦6勝とし、王座戦をアピールしていた。
中島は32歳。12年のネオブラ、14年のパンクラス・ワールドスラムトーナメントで優勝。同年大晦日のDEEPさいたまスーパーアリーナ大会ではDEEP勢との対抗戦の一員に抜擢され、当時のバンタム級において今の井村のようなポジションだった。以降はビクター・ヘンリー戦や、ロシアのACFの5戦等で、海外勢相手に苦戦するも、18年から戻ったパンクラスでは、フェザー級の上位戦線の主力となり、昨年9月の王座挑戦者決定戦では堀江圭功に勝利。今年5月大会のISAOとの王座戦では、離れ際の肘打ち等のテクニカルな攻防の末に判定負けした。敗戦後、バンタム級への復帰を決意。これまでの実績が評価され2位にランクインし、早くも王座戦が用意された。
試合はベテラン・中島のワンサイドゲームに。1R、中島が左ジャブ、膝裏狙いの右ローキックを効かせ、ワンツーからの右ストレートを当ててダウンを奪う。その後も同じパターンで追い詰めて右ストレートでダウンを奪う。井村はタックルを繰り返し、グラウンドになる場面もあるが、中島はスタンドに戻す。最後は上からパウンドラッシュでレフェリーストップ寸前まで追い詰める。ジャッジ3者とも10-8で中島を支持する。
2R、井村は余力はなく、開始すぐに中島が左右のパンチを連打すると、すぐ井村はダウン。追い打ちのパウンドを狙ったところで芹沢レフェリーがストップした。
完勝で初のベルトを巻いた中島は「作戦通り行きました。頑張って良かったなって。それに尽きますよ。10年かかっちゃいました。パパッと取るつもりでしたが僕の考えが甘くてこんなに時間かかっちゃいましたね。このチャンスをくれたパンクラスさんが取らせてくれたと思っています。やっと日本のトップとやれるスタートラインに立てたと思うので、パンクラスとは違う奴とやって倒して行きたいです」と話した。
ライト級戦線では金田一孝介と松本光史が勝利
第6試合 ライト級 5分3R
○金田一孝介(K-PLACE/1位)
×林 源平(和術慧舟會Iggy Hands Gym/4位)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)
金田一は昨年12月に2年ぶりに復帰すると、当時1位の冨樫健一郎に判定勝ちし、試合はそれ以来となる。林は昨年9月の暫定王者決定戦で林に1R KO負けし、今年9月の葛西和希との再起戦でも判定負けし2連敗中だ。
1R、金田一がローを当てると、林もローをお返しするが、金田一は蹴りに合わせてタックルを仕掛けて上になる。スタンドに戻り、林がサウスポーの金田一に右ミドルを立て続けに当てるが、金田一はこれもつかんで倒す。終盤、金田一がマウント、バックを奪い、パウンドを当て優位を印象付ける。
2R、金田一がパンチに合わせてタックルで倒し、中央付近でサイドで押さえる。パウンドで追い詰めるが、林はスタンドに戻す。金田一が左フックを効かせる場面もあるが、林は金田一のタックルを切り続け、左ミドルをお返し。だが終盤、金田一がまたもタックルで倒し、パウンドや膝を当て優位を維持する。
3Rも金田一が序盤からタックルで倒す。林はいったん立ちパンチと蹴りを当てるが、すぐ金田一は倒しまたも上に。バックを維持し、最後は腕十字を狙い、パウンドもまとめ終了。金田一が3Rともポイントを取り判定勝ちした。
金田一は「来年、RIZINの大会が増えて、正規王者が忙しい1年を過ごされると思うので、暫定のベルトを作ってください」とアピールした。
この試合後、元パンクラス・ウェルター級王者・三浦広光の引退セレモニーが行われた。三浦は「デビューから引退までパンクラスで戦わせていただきありがとうございました。格闘技の出会いは全て財産でした。これからも大事にしたいです」と話し、最後は10カウントゴングが鳴らされた。
第5試合 ライト級 5分3R
×松岡嵩志(パンクラスイズム横浜/6位)
○松本光史(M PLATIC/7位、元修斗世界王者)
1R 1’16” TKO (レフェリーストップ:右フック)
松岡はUFC出場経験もある粕谷優介を6月大会でわずか22秒でKOし3連勝中。松本は修斗で頂点を取り、昨年10月からパンクラスに9年ぶりに上がると、上迫博仁に判定勝ちしたが、今年5月大会ではアキラに3R TKO負けを喫している。
1R、松本は右のカーフを当て、お互いのパンチが交錯すると、松本の左フックで松岡はダウン。しばらくグラウンドとなり、松岡はスタンドに戻すが、打ち合いで松本が右フックで再びダウンさせると、ダメージが大きく、レフェリーがストップした。
松本は「強い選手とやるためにパンクラスに来たので、実力が高い選手とやりたいです」とアピールした。
ネオブラ優勝・風間敏臣が上位ランカー撃破
第4試合 バンタム級 5分3R
×花レメ紋次郎TK(リバーサルジム新宿Me,We/6位)
○風間敏臣(和術慧舟會HEARTS/10位、ネオブラッドトーナメント2021同級優勝)
1R 1’46” アームロック
花レメは現在37歳のベテラン。19年5月の4年ぶりの復帰戦は敗れたものの、昨年は平岡将英と土肥潤に2連勝中だ。24歳の新鋭・風間は柔術をベースとし、昨年7月のMMAデビュー戦は敗れたが、以降は2月のRoad To ONEの試合を含め6連勝。9月大会でのネオブラッド・トーナメント・バンタム級では準決勝・決勝と勝利し優勝を果たし、パンクラス恒例の上位ランカーとのご褒美マッチが組まれた。
1R、風間は開始すぐからタックルで倒すと、金網際でハーフで押さえつつ、花レメの左腕を背中のほうに巻き込む、「ハンマーロック」と呼ばれる形でアームロックを仕掛ける。時折極まったような状態になり、その状態がしばらく続くと、レフェリーがストップした。マイクを持った風間は「この後行われるバンタム級のタイトル、勝った方、自分とどうでしょう?」とアピールした。
第3試合 ミドル級 5分3R
○内藤由良(リバーサルジム横浜グランドスラム/1位)
×フェルナンド・マツキ(ブラジル/DAMM FIGHT JAPAN)
判定3-0 (30-27/30-27/30-26)
内藤は昨年9月にMMAデビューし、9月の渡部拓馬戦まで3連勝中。昨年12月の勝利後には、キッズレスリング時代の先生だったロッキー川村2に対戦を要求し、9月大会では川村もMMA復帰戦でKO勝ちし、両者の対戦機運が高まった。マツキは5年前に来日し、柔術黒帯で、伝統派空手の一つで世界的に普及している松濤館流の経験もある。4月のFighting NEXUSでMMAデビューし、大和からパンチでダウンを奪い58秒でTKO勝ちしている。
1R、マツキが左フックを当てるが、すぐ内藤はタックルで倒し、マツキの下からのアームロックにも対処し、金網際で押さえ続ける。マツキが立てば膝を当て、寝かしてパウンドを当てる場面も。
2Rも内藤が序盤からタックルで倒し上に。金網に押さえつけ、右肘を度々当てる。3Rもトップキープして随所でパウンドを当てるが、仕留めきれず、判定勝ちで終わった。
第2試合 ライト級 5分3R
○丸山数馬(Tri.H studio/8位)
×伊良波心[いらは しん](ノヴァウニオン・ジャパン/ネオブラッドトーナメント2021同級優勝)
2R 2’41” フロントチョーク
1R、丸山が序盤からタックルで倒し、ハーフで押さえる。攻めあぐねるが、終盤にパウンドをまとめる。伊良波は左まぶたを腫らす。2Rも序盤から倒してトップキープすると、金網に伊良波を押し付けつつ、片膝立ちでギロチンを極めてタップを奪った。丸山は「これで3連勝なので上位勢でもいいし、できるならタイトルマッチもやらせてほしい」と話した。
第1試合 ウェルター級 5分3R
×近藤有己(パンクラスイズム横浜/元パンクラス・ミドル級・ライトヘビー級・無差別級王者)
○DARANI(PRAVAJRA)※DARANI DATE 改め。Team DATEから所属変更
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
近藤は5月大会では鈴木淑徳に判定勝ちした。現在46歳の近藤に対し、DARANIは近藤がプロデビューした1996年生まれの25歳。6月大会のポストリミナリーで、近藤の後輩・木村裕斗に判定勝ちし、本戦に登場する。
1R、前に詰める近藤に対し、DARANIは右に回って距離を取り続けながら、ハイキック、サイドキック等を度々当て続け主導権を握る。2R以降も同じ戦法を貫き判定勝ちした。
ポストリミナリー結果
第7試合 ストロー級 5分3R
○植松洋貴(NEVER QUIT)
×佐藤良太(GRABAKA)
1R 4’03” 裸絞め
第6試合 フライ級 5分3R
○田代悠生(パラエストラ千葉)
×渦巻[ナルト]DATE(Team DATE)
判定/3-0
判定:出口(29-28)荒牧拓(29-28)山崎(29-28)
第5試合 バンタム級 5分3R
×小川隼也(CAVE)
○矢澤 諒(パンクラスイズム横浜)
1R 3’51” TKO (レフェリーストップ:スタンドパンチ)
第4試合 バンタム級 5分3R
○田嶋 椋(OOTA DOJO)
×サイバー遼(トライフォース東中野)
1R 4’50” TKO (レフェリーストップ:スタンドパンチ)
第3試合 バンタム級 5分3R
○高城光弘(リバーサルジム横浜グランドスラム)
×水永将太(MMA RANGERS GYM)
判定2-1 (出口30-27/荒牧29-28/山崎28-29)
第2試合 フェザー級 5分3R
×齋藤拓矢(ALLIANCE)
○高木 凌(パラエストラ八王子)
1R 0’44” KO (スタンドパンチ)
第1試合 第27回ネオブラッドトーナメント・ストロー級決勝 5分3R
○大塚智貴(CAVE)
×孫悟空[ごくう]DATE(Team DATE)
2R 3’54” 三角絞め