RIZIN 4.17 武蔵野の森総合スポーツプラザ(レポ):ホベルト・サトシ・ソウザ、ケースに1Rリベンジし防衛。牛久絢太郎が斎藤裕を、伊澤星花が浜崎朱加を返り討ちに。髙阪剛、引退戦で逆転KO勝ち
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湘南美容 presents RIZIN.35
2022年4月17日(日) 東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ
レポート&写真:井原芳徳
前日のRIZIN TRIGGER 3rdに続き、東京・調布にある味の素スタジアムに隣接する武蔵野の森総合スポーツプラザでRIZIN.35が開催された。今大会では3階級のタイトルマッチがメインイベント格で並ぶ。試合場は前日のケージからリングに変わる。コロナ対策の座席数制限は無く、観衆は主催者発表で10,035人で、場内を見ると満員と言える状態だった。
ホベルト・サトシ・ソウザ、ジョニー・ケースに1Rリベンジしライト級王座防衛
第10試合 MMA RIZINライト級(71kg)タイトルマッチ 5分3R
○ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル/ボンサイ柔術/王者、元REALスーパーライト級(74.2kg)王者/70.95kg)
×ジョニー・ケース(米国/挑戦者/70.90kg)
1R 3’32” 腕ひしぎ三角固め ※公式記録は「アームバー」
※サトシが2度目の防衛
サトシは昨年6月の東京ドーム大会でのライト級初代王者決定戦でトフィック・ムサエフに1R三角絞めで勝利。大晦日大会ではジョニー・ケースとの初防衛戦が計画されていたが、新型コロナウイルスのオミクロン株の水際対策の影響で、矢地祐介との防衛戦に変わり、2R腕ひしぎ三角固めで一本勝ちしている。
ケースは32歳。14~17年にUFCに上がり、ローカル大会を経て18年大晦日からRIZINに上がり、矢地祐介、北岡悟にTKO勝ち。19年10月のRIZINライト級トーナメント一回戦ではサトシをわずか75秒、右アッパーで粉砕したが、同年大晦日の準決勝では優勝者のムサエフに1R TKO負けしている。MMAの試合はそれ以来約2年半ぶり。昨年2試合ボクシングの試合をし、いずれも1~2RでKO勝ちしている。この春からの日本政府の水際対策の緩和により、満を持しての王座挑戦となる。
サトシは前日計量から変わって、髪を金色に染めて登場。大会後「昨日の夜、奥さんとマネージャーに『2年前(にケースに敗れた時)と全然違うから変えよう』と言われた。本当はやりたくないけどうるさいから」染めたことを明かす。
1R、サトシは両膝をサポーターで固めており、足を痛めているのか?右フックを振るう際、やや前のめりになり気味で、力が入りきらない様子。さらに片足タックルを仕掛けると押さえきれず、ケースがそこから勢いよく回転させて上になる。だが下になっても攻められるのが柔術家のサトシの強味で、足を登らせ腕十字を極める。ケースは脱出し、オンブの形となるが、サトシは振りほどいて落とし、猪木アリ状態に。膠着ブレイク後、パンチと蹴りが交錯する。ケースはパンチが単発で大振りになりがちだ。久々の試合の影響でやや動きが硬いか?
するとパンチの相打ちの後、サトシは両足タックルを仕掛ける。胴タックルに切り替えてから、背後に回り込んでしがみついてオンブになり、下に落ちながらグラウンドに引き込むことに成功する。そこから横三角の状態で捕獲し、腕を伸ばすと、ケースがタップ。サトシが流麗な柔術で見事一本を奪った。入り方は違うが、前回の矢地戦と同じ技でのフィニッシュだった。
見事防衛とリベンジを果たしたサトシはポルトガル語で「試合前に相手は僕のことを『ハートが無い』と言っていましたが、その言葉が僕の怒りに火をつけました。その言葉は間違いです。MMAの強さ、RIZINの強さを見せつけたいです」と話し、日本語でも「絶対ベラトールのベルトも取りたいから」と改めてアピールした。RIZINの榊原信行CEOは大会後の総括で「サトシならピットブルに楽勝で勝てるんじゃないの。今日だけ見たら」と笑顔で話し、サトシのベラトール王座挑戦の後押しに、これまで以上の意欲を示した。
牛久絢太郎が斎藤裕を、伊澤星花が浜崎朱加を返り討ちに
第9試合 MMA RIZINフェザー級(66kg)タイトルマッチ 5分3R
○牛久絢太郎(K-Clann/王者、DEEP王者/65.90kg)
×斎藤 裕(パラエストラ小岩/挑戦者、元RIZIN王者、元修斗世界王者/65.90kg)
判定3-0 (片岡=牛久/豊島=牛久/柴田=牛久)
※牛久が初防衛
斎藤は昨年10月の横浜大会でのRIZINフェザー級王座初防衛戦で牛久と対戦し、2Rに牛久の左膝蹴りで右まぶたを切られドクターストップ負けし、王座から陥落した。カットまではほとんど差の無い試合だったため、今回ベルトを懸けての再戦が組まれた。
RIZIN初参戦でベルトを獲得した牛久は12月12日のDEEPでDEEPに凱旋し、神田コウヤに判定勝ちしDEEP王座の防衛に成功。斎藤はRIZINの大晦日大会では朝倉未来との約1年ぶりの試合が組まれ判定負けし2連敗中だ。
1R、牛久はスイッチを繰り返し、斎藤はオーソドックスで固定し、慎重に出方をうかがう展開。両者右ストレートや右のカーフキックを当てるが、ヒットは少ない。終盤に差し掛かり、牛久が右のバックスピンキックを放つと、斎藤は蹴り足をつかんで、そのままコーナーに押し込む。膠着し、最後に牛久が足を掛けて倒すが、すぐに時間切れに。ここまで甲乙つけがたい。
2R、スタンドの攻防が続き、斎藤がサウスポーの牛久に右ハイを放ち、ブロックした牛久がすぐさま左ハイを返すとクリーンヒットし、斎藤はダウン。牛久はすぐに上になり、パウンドではなくギロチンを仕掛ける。長時間ホールドするが、斎藤は防御して上をキープする。牛久は下から密着し、そこから先の攻めは許さない。ここまでダウンを奪った牛久優勢だ。
3R、牛久はカウンターの左フックで再び斎藤をダウンさせるが、斎藤はすぐ立つ。斉藤も右フックを返し、右のテンカオを放つが、牛久につかまれて押し込まれる。斉藤が押し返してから膠着しブレイク。再び打撃戦となり、またも牛久が押し込む。終盤、ブレイクがかかり、斎藤は必死で右のパンチとテンカオを放つが、当たりの浅い状態が続き、最後は押し込んで終わる。
記者採点は打撃で2度ダウンを奪った牛久。ジャッジ3者も同様で、牛久が決着戦を文句無しの内容で制し王座防衛を果たした。牛久は「前回はたまたま(牛久が勝った)という声が多く、半年間、死ぬ気で追い込みました。結果につながって本当にうれしく思います。半年の間にSNS頑張ったりYouTube始めたり、RIZINが大好きで、RIZINを盛り上げたくてやりました。RIZINフェザー級チャンピオンの僕を信じてついてきてくれないですか。みなさんと一緒なら不可能は無いと思っているので、試合を通して体現したいです。皆さんを裏切ったりしないんで」とアピールした。
なお、この日の休憩明けには、5月5日のRIZIN LANDMARKで同じフェザー級のクレベル・コイケと萩原京平が対戦することが発表された(両選手の談話等は別記事)。RIZINの榊原CEOは発表時に「クレベルは次、8月か9月あたりにタイトルマッチだと思うので、その前に1試合やりたいということで試合します」と説明した。牛久は大会後のインタビューで次の防衛戦について「1試合1試合に集中しているので、先のことは考えていないです」とだけ話している。
第8試合 MMA RIZIN女子スーパーアトム級(49kg)タイトルマッチ 5分3R
×浜崎朱加(AACC/王者、元INVICTA世界アトム級(47.6kg)王者、元JEWELSライト級(52kg)王者/48.85kg)※2度目の防衛戦
○伊澤星花(フリー/挑戦者、DEEP JEWELSストロー級(52.2kg)王者/48.95kg)
判定0-3 (片岡=伊澤/豊島=伊澤/柴田=伊澤)
※伊澤が王者に
浜崎は昨年3月の名古屋大会で浅倉カンナに判定勝ちし王座初防衛。9月の埼玉大会では藤野恵実に判定勝ち。大晦日大会では伊澤に寝技で圧倒され、2R TKO負けを喫し、今回はベルトを懸けての再戦に臨む。
伊澤は中学時代にレスリング全国中学生選手権で優勝し、高校時代に柔道でインターハイ3位に入賞。20年6月からMMAを始めたばかりだが、昨年6月のDEEP JEWELSで本野美樹に1R 腕十字で一本勝ちし、プロ3戦目でDEEP JEWELSストロー級王座を獲得。10月のDEEPではRIZIN女子スーパーアトム級と同じ49kgに体重を落とし、パク・シウに判定勝ち。大晦日にはRIZIN初参戦で浜崎を撃破し、一気に知名度を上げた。
1R、伊澤の右の前蹴りを浜崎はつかんで倒そうとするが、伊澤は飛びついて素早くギロチンを狙う。浜崎は振りほどくが、伊澤はタックルを仕掛けテイクダウンを奪う。浜崎は下から腕十字を狙うが、伊澤は対処し逆に腕十字を狙い返す。終盤、猪木アリ状態からスタンドに戻ると、伊澤が右ストレートを立て続けに当て、浜崎を追い詰める。今回も各局面で伊澤が上回る展開に。
2Rも伊澤が序盤からタックルで押し込んでからテイクダウンに成功し上をキープする。サイドを取って腕十字を狙い、一度立たれてもすぐに倒し、ハーフからギロチンを狙う。対処され下になっても、すぐに腕十字の体勢に。浜崎は脱出し立って、猪木アリ状態で終える。ここまで伊澤が圧倒している。
3R、伊澤のパンチに合わせ、今度は浜崎が組み付き、テイクダウンに成功。伊澤の下からの腕十字を防御すると、浜崎は上四方に回り、サイドから腕十字を仕掛ける。1分以上粘っていると腕のクラッチが切れ、フィニッシュかと思われたが、伊澤はすぐに体をひねって脱出する。伊澤は腕十字、腕ひしぎ三角固めを狙い返し挽回する。最後は浜崎が上になって終了する。記者採点は伊澤。フィニッシュに近づいたのは浜崎だが、伊澤も近い状態まで度々持ち込み、トータルの攻勢時間が大幅に長かったことを評価した。ジャッジ3者も同様で、伊澤が判定勝ちで浜崎を返り討ちにすると共に、DEEP JEWELSとの二冠を達成した。
伊澤は終始涙声のマイクに。「RIZIN関係者の皆さん、DEEP関係者の皆さん、練習してくれたみんな、ありがとう。家族のみんな大好きです。みんな応援してくれるのに、途中で気持ち折れてしまって、まだまだ甘いところだらけですけど、強くなって、世界一になる夢を果たします。榊原さん、RIZINで一番強いと証明するため、女子スーパーアトム級トーナメントやってください。そこで強さ証明します」とアピールした。大会後のインタビューでは泣いた理由について「3Rに下になった時に心が折れかけたんのが悔しかった」と明かした。RIZINの榊原CEOは「今年トーナメントを実現させていいと思わせる内容でした。最終調整して、前向きに考えたいです」と話した。
髙阪剛、引退戦でデビュー戦の上田幹雄をKO「世界中の化け物たち、ありがとう」
第7試合 MMA ヘビー級(120kg) 5分3R
○髙阪 剛(ALLIANCE/元パンクラス・スーパーヘビー級(+100kg)王者/97.40kg)
×上田幹雄(BRAVE/極真会館全世界空手道選手権2019優勝/107.90kg)
1R 2’05” TKO (レフェリーストップ:右フック→グラウンドパンチ)
髙阪は52歳。17年大晦日にミルコ・クロコップに敗れて以来のRIZIN登場で、20年1月のHEATのサシャ・ミリンコヴィッチ戦でTKO負けして以来の試合。今回が引退試合となる。
上田は髙阪のちょうど半分の年齢の26歳。極真会館(松井章奎館長)のトップ戦線で活躍し、18年の全日本大会を制すると、19年の世界大会でも優勝し、日本人として16年ぶりに世界王者になる快挙を成し遂げた。今大会の会場はその2度の優勝を果たした場でもある。昨年夏に極真会館を退会しMMA転向を表明し、10月にBRAVE所属が発表され、今回がMMAデビュー戦となる。
1R、上田がサウスポーで構え、開始すぐから左ハイを当て、左前蹴りで吹き飛ばし、右の飛び膝も当てる。だが髙阪はそこからタックルを仕掛けて倒して上になる。上田は脱出すると、コーナーに押し込んで膝やパンチを当て反撃する。髙阪は背負い投げを狙うが、上田は対処。上田は右ローもヒット。髙阪は次第に手詰まりに。離れると上田は左前蹴りを放つが、続けて左ストレートを出すと、クロスカウンターで髙阪が右フックをクリーンヒット。顔面殴打禁止のフルコンタクト空手を長年続けた上田は顔面パンチへの対応がまだ甘かったか?上田がダウンすると、髙阪がパウンドをまとめたところでレフェリーがストップした。劣勢から逆転のKO勝ちに、場内は大きく沸き上がった。
家族から花束を受け取り記念撮影した高阪は「最後の試合をRIZINのリングで希望し、実現してくれた榊原社長、RIZINスタッフの皆さん、実現のために動いてくださった全ての皆様ありがとうございます」「今まで試合したマーク・ハント、ミルコ、ノゲイラ、ランディ・クートゥア、ペドロ・ヒーゾ、リコ・ロドリゲス、バス・ルッテン、挙げるとキリがないですけど、世界中の化け物たちにボコボコにされ、強くならないと勝てないと思って強くなれました。世界中の化け物たち、ありがとう」「最後に頑丈な体に生んでくれた両親と、二人の兄貴には心から感謝です。ファンの皆さん、長い間応援ありがとうございました」と話し、最後は引退の10カウントゴングを聞きリングを降りた。
浅倉カンナ、SARAMIに判定勝ちし連敗ストップ
第6試合 MMA 女子スーパーアトム級(49kg) 5分3R
○浅倉カンナ(パラエストラ松戸/RIZIN女子スーパーアトム級トーナメント2017優勝)
×SARAMI(パンクラスイズム横浜/修斗女子世界スーパーアトム級(50kg)王者)
判定3-0 (片岡=浅倉/豊島=浅倉/柴田=浅倉)
浅倉は昨年、3月に王者・浜崎朱加に挑戦し判定負け。10月のDEEP 2階級王者・大島沙緒里戦でも判定負けし2連敗中だ。
SARAMIはRIZIN初参戦の31歳。柔道をベースとし12年7月にMMAデビュー。DEEP JEWELSでは富松恵美、前澤智、黒部三奈らとタイトル戦線でしのぎを削った。ONEを目指しONEのトライアウトに出場していたが、コロナ禍の影響でとん挫し、20年からは修斗を主戦場とし3連勝。黒部にはDEEP JEWELSで2度敗れていたが、昨年11月の修斗女子世界スーパーアトム級王座戦では王者の黒部に判定勝ちした。
1R、浅倉がサウスポー、SARAMIがオーソドックスで構え、お見合いが続いた後、浅倉がタックルを仕掛ける。浅倉はタックルを繰り返すが、SARAMIは耐え、浅倉が押し込む展開が繰り返される。SARAMIは背中はつけないものの、時折倒され、防戦一方のため印象が悪い。
2R、浅倉が左フック、SARAMIが右ミドルと右ボディを当てる打撃戦の後、浅倉が左フックを当ててから片足タックルを仕掛け、今度は一発でテイクダウンに成功し、トップをキープする。SARAMIは足関を狙い、その後スタンドに戻すが、すぐ浅倉はコーナーに押し込み、片足タックルで倒して主導権を維持する。浅倉は随所でパウンドをヒット。SARAMIも腕十字を取りかけるが、すぐに浅倉は外し、鉄槌を当て続け終える。ここまで浅倉優勢だ。
3R、SARAMIが右ストレートを当てると、浅倉は少しバランスを崩し、そこからSARAMIが押し込み反撃を狙うが、膠着しブレイクがかかる。SARAMIの右ストレートに浅倉はタックルを合わせ、テイクダウンを奪い、またもトップをキープする。SARAMIもギロチンを狙いつつリバースしようとするが、浅倉はトップをキープし主導権を譲らない。SARAMIは下から腕十字を狙い、蹴り上げも当てるが、立った浅倉も踏みつけをお返し。最後はスタンドに戻り、パンチの打ち合いで浅倉がSARAMIを少し連打で下がらせる場面も作り終了する。記者採点は浅倉。ジャッジ3者も同様で、浅倉の判定勝ちとなった。
浅倉は「やっと勝てました。2連敗からしんどいこともいっぱいあったんですけど、ジムの仲間と家族が応援してくれて、何よりファンの声が力になりました。派手な試合とか面白い試合とかできない自分ですけど、これからもっと格闘技に向き合って強くなります。昨日先輩の征矢(貴)君が勝って、一緒に勝てて良かったです」と、時折涙声になりながらも笑顔で喜びを語った。
初来日カーライル、武田から一本
第5試合 MMA ライト級(71kg) 5分3R
×武田光司(BRAVE/元DEEPライト級王者)
○スパイク・カーライル[Spike Carlyle](米国/キングスMMAアナハイム/トレーニングラボ)
2R 1’35” フロントチョーク
武田は4連勝後、昨年9月の埼玉大会では矢地祐介に判定負けしたが、大晦日のベイノア戦では2R腕十字で一本勝ちした。
カーライルはRIZIN初参戦の28歳。12歳からレスリングを始め、18歳からMMAを始め、24歳の17年にプロデビュー。8勝1敗の好成績を残し、20年にUFCに上がり初戦は勝利したが、以降は2連敗。21年はLFA等のローカル大会で3連勝後、12月にベラトールに初参戦し、同じくUFC経験者のダン・モレット相手に苦戦するも、3R裸絞めで逆転一本勝ちしている。元々PRIDEが好きで、榊原信行RIZIN CEOが昨年堀口恭司と会うために米国を訪れた際、「日本で戦いたい」とアピールしたという。
1R、カーライルがパンチを振りながら組み付くが、武田が押し返して背後からしがみついてコントロールする。ややバランスを崩すが、ジャーマンスープレックスで背後に投げる場面も。残り1分、離れての打撃戦で、両者サウスポーで構え、武田が左のカーフキックを当て続けると、カーライルはオーソドックスに切り替える場面も。ここまで武田優勢だ。
2R、パンチが大振りのカーライルに、序盤から武田が組み付くが、カーライルの膝がローブローとなり一時中断する。再開後、またも武田が組んできたが、カーライルはギロチンで迎撃して引き込む。するとこれがガッチリと極まり、武田が落ちた後にレフェリーがストップした。
マイクを持ったカーライルは「ありがとうございます。日本」と冒頭は日本語で話し「武田は強かったです。カーフキックに驚きました」と武田を称えた。
第4試合 MMA ヘビー級(120kg) 5分3R
○シビサイ頌真[しょうま](パラエストラ東京/巌流島/111.60kg)
×リバーズ・ビギス[Rihards Bigis](ラトビア/チーム・ビギス/102.80kg)
1R 1’36” TKO (コーナーストップ:グラウンドパンチ)
シビサイは大晦日に関根“シュレック”秀樹に2R TKO負けして以来の試合。ビギスはRIZIN初参戦の29歳。ボクシング、キックボクシング、パンクラチオンのラトビア大会で度々優勝した後、15年にMMAプロデビューし9戦全勝している。
1R、開始すぐからシビサイが組み付いてロープに押し込んでから倒すと、簡単にマウントを奪取しパウンドを当て続け、ビギス陣営がタオルを投入した。ビギスは経験不足な様子で何もできなかった。
ヤマニハ、“四天王”元谷友貴の牙城崩せず
第3試合 MMA バンタム級(61kg) 5分3R
○元谷友貴(フリー/元DEEPバンタム級&フライ級王者)
×アラン“ヒロ”ヤマニハ(ブラジル/ボンサイ柔術)
判定3-0 (田澤=元谷/片岡=元谷/豊島=元谷)
元谷は昨年9月のバンタム級日本GP 2回戦で瀧澤謙太に1R TKO負けし、大晦日のGP準決勝・決勝と共に行われたリザーブファイトでは金太郎に判定勝ちしている。ヤマニハは昨年のGP一回戦で倉本一真に判定勝ちし、2回戦で朝倉海に判定負けしたが、3月20日の大阪大会では14年のHEATで一本負けした相手である手塚基伸を立っても寝ても圧倒し、2R裸絞めで一本勝ちした。“バンタム級四天王”と呼ばれた元谷の牙城を、勢いのあるヤマニハが崩せるか注目が集まった。
1R、元谷は序盤から組み付くと、ロープに押し込んでからテイクダウンを奪う。ヤマニハは下になるが、左肘を当てると、元谷は左まぶたから出血する。元谷が立ったところでドクターチェックが入り、止血後に再開する。元谷は再び組み、足を掛けて倒し、ハーフをキープして終える。元谷が上になる時間が長かったが、カットがあるため、ここまでヤマニハが優勢な形に。
2R、お互い組む状態が繰り返された後、元谷が足を掛けつつテイクダウンに成功し、またも上になる。元谷はハーフで押さえ続けるが、その先には行けずスタンドに戻る。ヤマニハは下がりながらも右のカーフキックを当て続けるが、元谷は右ボディと左フックの連打を2度決める。しかしヤマニハはすぐ組み、一瞬オンブになり、その後も押し込んで終える。元谷が巻き返すが、まだイーブンに近い。
3R、元谷は序盤から組んでテイクダウンに成功する。ヤマニハは足を登らせようとするが、元谷はコーナーに押し込んで随所でパウンドを当て、優位を印象付けようとする。派手さはなく手堅い形ながらヤマニハの反撃を封じることに成功する。記者採点は元谷。ジャッジ3者も同様で、元谷の判定勝ちとなった。敗れたがヤマニハはリベンジに燃えた手塚戦から1カ月間隔の試合で、減量等コンディション作りは大変だったと思われ、少し休んでからの次戦ではより強さを発揮することだろう。
第2試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン/オリオン・ファイトクラブ)
×中島太一(ロータス世田谷/パンクラス・バンタム級暫定王者)
1R 2’00” 三角絞め
ケラモフは昨年6月の東京ドーム大会でのノンタイトル戦で当時フェザー級王者の斎藤裕と対戦したが、ロープつかみ、ショーツつかみ、サミング等の反則を連発し判定負けして以来の試合。
中島は33歳でRIZIN初参戦。14年のパンクラス・ワールドスラムトーナメントで優勝し、同年大晦日のDEEPさいたまスーパーアリーナ大会ではDEEP勢との対抗戦の一員に抜擢された。ロシアのACFの5戦等を経て18年からパンクラスに戻ると、20年9月の王座挑戦者決定戦で堀江圭功に勝利。昨年5月大会のISAOとの王座戦ではノンストップの5Rの死闘の末に判定負けした。12月のパンクラス・バンタム級暫定王者戦では新鋭の井村塁に2R TKO勝ちし初のベルトを巻いた。RIZINではバンタム級とフェザー級の両方で戦うつもりだ。
1R、中島が右の膝裏狙いのローを当てるが、ケラモフは詰めて右ストレートや左フックを当て好印象。ケラモフの左インローがローブローとなり一時中断する。再開後、ケラモフは中島の蹴り足をキャッチするようになり、中島の投げも防御。中島は右フックを当て、ケラモフをふらつかせ場内がどよめくが、ケラモフは片足タックルを仕掛け、切られるとすぐに上体へ組み付きつつ、足をかけテイクダウンに成功する。するとケラモフはすぐにマウントを取り、そのまま三角絞めを極める。中島が落ちたところで松宮レフェリーがストップした。
完勝のケラモフは「日本は第二の故郷です。同僚のトフィック・ムサエフにも感謝しています。アゼルバイジャン!」とアピールした。
第1試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
×芦田崇宏(BRAVE/元DEEPフェザー級王者)
○カイル・アグオン(グアム/SPIKE22)
判定0-3 (豊島=アグオン/片岡=アグオン/田澤=アグオン)
芦田は20年9月のRIZIN初戦で萩原京平に1Rアームロックで一本勝ち。昨年10月の横浜大会での1年2カ月ぶりの試合では、ベテラン・金原正徳にTKO負けした。
アグオンは19年4月にパンクラスで中島太一に勝利し、同年10月のフェザー級王座戦で王者のISAOに判定負け。その後はRIZINに上がり、ケラモフに判定負けし、クレベル・コイケに一本負けしている。
1R、両者サウスポーで構え、お見合いの後、アグオンが一発目のタックルで倒して上になる。アグオンはトップキープし、パスガードの機会をうかがいながらパウンドと肘をコツコツと当て印象を作る。残り10秒でスタンドに戻る。ここまでアグオン優位だ。
2R、アグオンが序盤の片足タックルで倒し、コーナー際で上をキープする。アグオンはハーフガードから足を抜けないが、マウントまたはサイドに近い状態で上になり続、パウンドと肘を落とす。芦田は被ったダメージは小さいとはいえ防戦一方だ。
3Rも序盤からアグオンがタックルで倒して上に。芦田はギロチンで迎撃したが極まらない。アグオンは鉄槌を落としながらハーフ、サイド、上四方と移り、アームロックを狙う。終盤にはマウントから三角絞めを仕掛け、ほどいた後もパウンドを落とし続け終了。芦田は最後まで何もさせてもらえず。記者採点もジャッジもアグオン。アグオンの完勝だった。