RIZIN 3.20 丸善インテックアリーナ大阪(レポ):弥益ドミネーター聡志、萩原京平に1R一本勝ち。皇治、梅野源治との決着戦を僅差で制し6月60kgトーナメント提案。アラン“ヒロ”ヤマニハ、手塚基伸を圧倒リベンジ
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
神楽坂 江戸川橋 クラミツムエタイジム
立ち技最強、ムエタイを究める!16周年、選手コース開設。ジュニア、女子クラスも。今ならスタート月会費0円!
湘南美容クリニック presents RIZIN.34
2022年3月20日(日) 丸善インテックアリーナ大阪
レポート:井原芳徳 写真:(C) RIZIN FF
第16試合 メインイベント MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○弥益ドミネーター聡志(team SOS/元DEEPフェザー級(65.8kg)王者)
×萩原京平(SMOKER GYM)
1R 3’22” 腕ひしぎ三角固め
弥益は20年の大晦日にRIZINに初参戦し朝倉未来にKO負け。昨年6月の東京ドーム大会では対戦相手のベイノアのロープつかみの反則による減点もあり、判定2-1で勝利。試合はそれ以来9カ月ぶりだ。その試合以降、パラエストラ柏でベイノアとも練習している。
今大会の地元大阪出身の萩原は、昨年10月のRIZIN LANDMARKで未来に寝技で持ち味を封じられ判定負け。11月のRIZIN TRIGGER神戸大会では昇侍の組み技を防御すると2R TKO勝ちした。その試合後に弥益との大晦日の対戦を希望したが、大晦日にはMMA 2戦目のシュートボクサー・鈴木博昭と対戦。グラウンドで押さえ続けてから攻めあぐねたが判定勝ちした。今回の試合が決まり、会見では「(弥益を)ぶっ飛ばしてサラリーマン業に専念させてあげる」と豪語していた。
フェザー級戦線では4月17日のRIZIN.35で、元王者の斎藤裕が牛久絢太郎とのリターンマッチに臨む。この2人の勝者への次の挑戦者は大晦日に斎藤に勝った未来、未来に6月の東京ドームで勝ったクレベル・コイケが有力な状況だ。
リングサイド席で平本も試合を見守る中ゴング。1R、開始すぐに萩原が右のバックスピンキックを当てると、胸元にもらった弥益は吹き飛んで倒れる。弥益にダメージは無い様子で、踏みつけに来た萩原をかわして押し込み、テイクダウンを狙う。
離れると、弥益が右のカーフ、ミドルを当て続けた後、萩原が詰めて来たタイミングで、タックルを仕掛けて押し込む。弥益はロープを背にしてグラウンドに引き込み、下から足を登らせると、三角絞めを極めつつ、腕を極めてタップアウト。プロでの経験が大幅に上回る弥益が試合巧者ぶりを発揮し、萩原の苦手なグラウンドで見事一本を取った。
マイクを持った弥益は「正直、キャラ的に嫌味っぽいことを言わないといけないんですけど、無茶苦茶アウェーで、自分のファンは誰もいない感じで」と話し、少し涙声になったが「これで勘違いして格闘技に専念しないよう頑張ります」と、しっかり萩原の試合前の挑発への嫌味で締めくくり、笑いにうるさい大阪のお客さんを笑わせた。大会後に榊原信行RIZIN CEOも「パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトはドミネーター選手です」と今日の弥益を絶賛した。
第15試合 キック(肘無し・つかんでからの攻撃は1回) 61kg契約 3分3R
○皇治(TEAM ONE/元ISKA K-1ルール世界ライト級王者)
×梅野源治(PHOENIX/BOMライト級王者、元ラジャダムナン同級王者、元WPMF世界&WBCムエタイ世界スーパーフェザー級王者)
判定2-0 (豊島30-29/長瀬29-29/吉田30-29)
皇治と梅野は昨年6月の大阪大会での「RIZIN Kick One Night Tournament」一回戦で対戦したが、皇治の開始すぐのバッティングで梅野が続行不能になり、無効試合となっていた。その後、皇治は決勝で白鳥大珠に判定負けし、11月の沖縄大会では祖根寿麻に判定勝ちしたが、大晦日大会ではYA-MANに判定負けした。梅野は9月のBOMでロンペットとムエタイルール5Rで戦い引き分け、11月のRISE大阪大会では大雅に判定負けしている。
1R、梅野は左ジャブを突いて距離を取りつつ、左ミドル、インローを的確に当てる。皇治は相変わらず頭から突っ込んでバッティングになる場面もあるが、次第に左インロー、ミドル、ボディを返すように。終盤、梅野が左ミドル、ローを増やすが、皇治は右ストレートを返し一歩も譲らない。記者採点はイーブン。
2R、梅野が着実に左ミドル、左ジャブを当て続けるが、皇治も左ミドル、右アッパー、右ボディを返す。終盤、皇治が右のカーフキックを立て続けに当て、右ボディもヒット。梅野も右テンカオ、ストレートを返し、一進一退の展開が続く。記者採点はイーブン。
3R、前に出る皇治に、梅野が距離を取って左ミドル、ローを当て続ける。皇治が左フックで倒すが、梅野はすぐ立ってダウンではないとアピールし、豊永レフェリーはスリップと判断する。記者はダウンではと思った。梅野は組み付きが多いとして、レフェリーが警告を出す。梅野は左ミドル、ジャブ、アッパーを随所で当て、手数では上の状態で終える。記者採点はイーブン。ダウンの裁定とはならなかったが、皇治が梅野を倒した左フックは有効打と評価し、梅野の手数の評価とのプラスマイナス0と判断した。合計30-30でイーブン。ジャッジは2者が皇治を支持し、皇治の判定勝ちとなった。梅野は判定に不満げな表情を浮かべ、大会後のインタビューでも「ジャッジはもうちょっと勉強したほうがいい」等と不満を述べている。
接戦を制した皇治は「(冬眠からの)寝起きなんで許してください。1年間、梅野選手、梅野選手のファンを自分の頭で苦しめてすみませんでした。またアンチ湧くなあ。不甲斐ない自分でもリングに上がれているのは皇治軍団のおかげです。K-1でレオナパスタかレタス(=レオナ・ペタス)か、あと電気ナマズ(=芦澤竜誠)か あとRISEの和尚さん、(中村)寛かな、うじゃうじゃ俺に喧嘩売ってますね。6月の(那須川)天心と武尊の大会に乗っかる選手はダサくて、天心や武尊には申し訳ないですけど、どうしてもファンが見たいと言うなら、そこで60kgの1DAYトーナメントをやって、最強を決めましょう。あとピーマン(=YA-MAN)もいるのかな。放っておいて欲しいのに、モテてしゃあない」等とアピールした。
皇治のトーナメント案について榊原CEOは「無理だろうとは思っていますけど、(6月の天心×武尊の大会は)RIZIN主催でやるものではないので、僕の一存では決められません。関係者の意向を聞いたうえで回答するとしか今日の時点では(回答)できないです」と大会後の総括でコメントした。
第14試合 MMA 68kg契約 5分3R
×中村大介(夕月堂本舗/元DEEPライト級王者)
○山本空良[そら](パワーオブドリーム/Fighting NEXUS&PFCフェザー級王者)
判定1-2 (豊島=中村/松宮=山本/片岡=山本)
中村は昨年2月、DEEPで牛久絢太郎にTKO勝ちしたが、牛久のDEEP王座を懸けての7月の再戦では僅差の判定負け。10月のRIZIN初戦では新居すぐるに1R腕十字で一本勝ちした。同じ大会で牛久がRIZINフェザー級王者となっている。2月26日のDEEPでは小見川道大の引退試合の相手を務め3R腕十字で一本勝ちしたばかりだが、1カ月弱の間隔で次戦に臨む。
元UFC-J王者・山本喧一氏の次男・空良は11月のRIZIN TRIGGERで鈴木千裕に判定負けしたが、2月のRIZIN TRIGGER静岡大会では新居をわずか35秒で粉砕したばかり。中村の師匠の田村潔司氏は喧一氏のUWFインターナショナル時代からの先輩にあたり、喧一氏が度々田村氏に対戦要求するなど挑発していた過去がある。中村は41歳、空良は21歳と、20歳の年齢差がある。
1R、山本が回って距離を取り、お互い右のカーフキック、ローを当てる。若い山本は積極的に攻め、パンチ、前蹴りを織り交ぜるが、中村は大半をもらわずノーガードでかわす。残り1分、中村が押し込み、テイクダウンに成功するが、山本は足を登らせ、中村が得意とする腕十字を狙って終える。
2R、膝が交錯し、中村がスリップすると、山本が押さえにかかるが、中村は山本の左腕をつかみ、アームロックを狙う。だが山本は防御し、バックを取りかけるが、中村はふるい落とすと、すぐさま腕十字を狙い、山本は極められる前に離し、立ってブレイクを誘う。UWFで言うところの「回転体」と呼ばれる目まぐるしい寝技の攻防に、場内からは拍手が起こる。お見合いが続き、山本は前に出て右のバックハンドブローを軽く当てるが、ノーガードで回る中村をなかなか攻略できず、最後は山本が雄たけびを上げる。
3R、スタンドの打撃戦で、お互いあまり攻撃が出ない状態が続く。中盤、山本は逆転を狙い、潜り込んでの足関節技を狙うが、中村は防御し、上から押さえ鉄槌を当てる。山本は下から執拗に足を掴み、鉄槌で反撃を狙うが、チャンスに持ち込めず終える。
記者採点は2Rに腕十字で追い詰め、主導権を握る時間の長かった中村。接戦だったせいもあってか、ジャッジは割れ、2者が山本を支持し、山本の勝利となった。中村はスタンドで回り続けたことが、消極的と見られた恐れがある。
勝った山本は「今回勝った気がしていないです。判定で勝つのでは世界最強の夢はかなわないからです。でもまたやりたいです。次は絶対KOか一本で勝ちます。もっと強くなります。RIZINに出てる誰よりも強くなります」とアピールした。
第13試合 MMA ウェルター級(77kg) 5分3R
×ストラッサー起一(コブラ会/元HEAT MMAウェルター級王者)
○阿部大治(フリー/DEEPウェルター級暫定王者、元パンクラス同級王者、元J-NETWORKライトヘビー級王者
判定0-3 (松宮=阿部/豊島=阿部/豊永=阿部)
地元大阪の起一は昨年11月のRIZIN TRIGGERでの2年ぶりの試合で川中孝浩に1R肩固めで一本勝ち。阿部は10月の横浜大会でRIZINに初参戦したが、アキラにノースサウスチョークで一本負け。前回はライト級での減量に苦しみ動きに精彩を欠いたが、今回は本来のウェルター級で出場する。
1R、序盤から阿部が右フックで起一をダウンさせ、すぐさま上になるが、起一は下からしがみついて防御する。スタンドに戻ると、起一が右ストレートを返し、中盤にはタックルを仕掛けて押し込む。阿部は柔道のベースを活かし、腕を巻いた状態から倒すが、すぐスタンドに戻る。終盤、起一がタックルでテイクダウンに成功するが、パスガードを狙ったところで阿部が返して上になり、そのまま終了する。ここまで阿部優勢だ。
2Rも阿部が右フックを当て、起一のタックルを防御し、優勢を維持する。だが中盤、起一が右ストレートを当て返してから、タックルで倒して上になる。ハーフからじわじわ動いてマウントを奪い、コツコツとパウンドを当て攻勢を印象付けるが、威力は弱い。最後は阿部が返して上になって終わる。起一が逆転に成功したラウンドに。
3R、阿部がパンチを振るいつつ距離を詰め、大外刈りで倒して上に。起一がもがいて四つん這いになれば、阿部は横から押さえて膝を連打し印象を作る。阿部はトップに戻ってキープし、パウンドを当て肩固めも狙う。終盤、阿部は立ちブレイク。阿部は再び倒すと、サッカーボールキックを当て、好印象で終える。記者採点は阿部。ジャッジ3者も1Rと3Rに打撃で起一を追い詰めた阿部を支持し、阿部の判定勝ちとなった。
第12試合 MMA フライ級(57kg) 5分3R
○北方大地(パンクラス大阪稲垣組/パンクラス・ストロー級王者)
×村元友太郎(ALIVE)
判定3-0 (松宮=北方/橋本=北方/片岡=北方)
地元大阪出身の北方は20年11月のRIZIN初戦で竿本樹生に敗れ、昨年6月の大阪大会では中村優作と戦う予定だったが、病気により欠場していた。12月のパンクラスでは宮澤雄大相手にベルトを防衛し、RIZINに再登場する。村本は昨年3月のRIZIN名古屋大会で山本聖悟に1R KO勝ちしているが、11月の沖縄大会での砂辺光久戦は怪我で欠場していた。
1R、スタンドのお見合いの後、村元が右のストレートを振ってから組み付き、コーナーに押し込むが、膠着しブレイクがかかる。再びお見合いが続き、終盤、蹴りの相打ちで北方がスリップするが、すぐにタックルを仕掛けて倒し、ハーフガードで押さえ続ける。北方優位で終わるが、お互い印象的な攻撃はまだない。
2R、見合う時間は相変わらず長いが、少しずつパンチ、膝を出す頻度が上がると、中盤に北方が組み付いてテイクダウンを奪う。北方は村元の両足にマウントで乗る状態を続け、時折肘や鉄槌を当てる。北方は少しずつ登って胴に馬乗りになると、もがく村元に合わせてバックマウントを取る。そのままポジションキープして終える。北方がここまで優勢だ。
3R、お見合いの中でお互いパンチを振るうが空振りが続き、組にもつなげられない。中盤、村元がタックルでのテイクダウンを繰り返すが、北方は立ち続ける。北方もタックルを返すが、村元は防御し、しがみついて時折バックを狙い反撃を狙う。終盤、スタンドに戻り、北方が飛びついてのギロチンや頭への膝で攻める。どちらも攻撃の精度は浅いが印象を残す。
記者採点は全体で主導権を握る時間の長かった北方。ジャッジ3者も北方を支持し、北方の判定勝ちとなった。
第11試合 MMA ライト級(71kg) 5分3R
○大原樹理(KIBAマーシャルアーツクラブ/DEEPライト級王者)
×アキラ(武蔵村山さいとうクリニック/&MOSH/パンクラス・ライト級4位)
判定2-1 (柴田=大原/片岡=アキラ/松宮=大原)
大原は過去にRIZINで矢地祐介に勝利し、11月の沖縄大会では渡慶次幸平に1R KO勝ちし6連勝中だ。武田光司がDEEPライト級王座を返上し、暫定王者の大原は正規王者となったばかりだ。
アキラは10月の横浜大会でRIZINに初参戦し、DEEPウェルター級暫定王者、元パンクラス同級王者の阿部大治にノースサウスチョークで一本勝ち。2月のRIZIN TRIGGER静岡大会では鈴木琢仁をグラウンドで押さえ続け判定勝ちしたばかりだが、約1カ月間隔で次戦に臨む。
1R、13センチ背の高い180センチの大原に対し、サウスポーのアキラが距離を詰め右フックを当てる。アキラが大原をコーナーに押し込み、度々テイクダウンを奪い、大原に立たれてもすぐ押し込む。終盤にはコーナー際でアキラが大原を押さえる。最後は上からパウンドをまとめ好印象で終える。大原が苦手とする組みの展開でアキラが主導権を維持するラウンドに。
2Rもアキラがパンチを振って押し込む。大原は耐えて離れるが、アキラが右フックを当て、また押し込む。その後も離れてはアキラが押し込む展開を繰り返し、主導権を維持する。
3R、アキラに組まれる前に、大原が左ハイ、右膝、右ストレート等を当て、時折ひるませ挽回する。右の飛び膝も当てると、アキラはタックルを仕掛けて倒し、押さえ続ける。立たれてもアキラはしがみつくが、膠着し豊永レフェリーがブレイク。終盤もアキラがタックルからしがみつくが、その先には持ち込めず終了する。
記者採点は3R序盤にアキラを追い詰めた大原。ラウンドごとの採点なら18-19でアキラになるが、RIZINはトータルマストのため、全体を見てフィニッシュに近づいたのは大原と判断した。ジャッジは割れたが、2者が順当に大原を支持し、大原の判定勝ちとなった。
第10試合 キック(肘無し・つかんでからの攻撃は1回) 61kg契約 3分3R
△大雅(チームドラゴン/元K-1 WORLD GPスーパー・フェザー級王者、元Krushスーパー・バンタム級王者)
△髙橋 亮(真門ジム/NKBフェザー級王者)
判定1-0 (長瀬28-27/豊島28-28/豊永28-28)
大雅は昨年3月の名古屋大会で基山幹太に判定勝ちして以来のRIZIN出場。その後の2試合はRISE大阪大会で、7月には中村寛に敗れたが、11月には梅野源治に勝利している。地元大阪の髙橋三兄弟の次男・亮は昨年6月のRIZIN大阪大会の61kgトーナメント一回戦で白鳥大珠に1R KO負けして以来の試合だ。
1R、髙橋がサウスポーで構え、圧力をかけるが、大雅は飛び込んで右フックを当て先手を取る。だが中盤、大雅の左フックのタイミングで、髙橋が右ミドルを放ち、膝を大雅のアゴにヒット。大雅が倒れると、レフェリーはダウンを宣告する。スリップに近いため、大雅のダメージは小さいが終盤、髙橋は左ミドルを着実に当て、大雅に反撃を許さない。記者採点は8-10で髙橋。
2R、大雅の大振りのフックを髙橋はかわし、左の膝、ミドル、ロー、ボディフックを着実に当て、主導権を維持する。大雅は最後、圧を強めカーフ、フックを当てるが、フラつかせるほどにはならない。記者採点は9-10で髙橋だが、ジャッジは3者とも髙橋につけない。
3Rも前に出る大雅に、髙橋が左ミドル、ロー、ジャブを的確に当て続ける。中盤、ようやく大雅の左フックが炸裂し、少し髙橋がひるむ。髙橋は途中で左膝を痛め、踏ん張りが効かなくなっている。すると終盤、大雅が前に出てパンチを振るい続け、左フックでダウンを奪う。最後は大雅のパンチラッシュを髙橋が耐えて終了する。記者採点は10-8で大雅。合計27-28で髙橋。ジャッジは1者が大雅を支持し、2者がイーブンでドローという結果になった。
第9試合 MMA バンタム級(61kg) 5分3R
○アラン“ヒロ”ヤマニハ(ブラジル/ボンサイ柔術)
×手塚基伸(シークレットベースドミネート/コブラ会/GRACHANバンタム級王者、元HEAT王者、パンクラス5位)
2R 3’25” 裸絞め
ヤマニハは昨年のバンタム級日本GPの一回戦で倉本一真に勝利し、9月の二回戦では朝倉海に判定負けして以来の試合。
地元大阪在住の手塚はMMA 53戦のキャリアのある34歳でRIZIN初参戦。12~13年にはUFCで2戦しいずれも敗れている。ヤマニハとは14年のHEATでのバンタム級王者決定トーナメント一回戦で対戦し手塚が肩固めで一本勝ちしている。17年8月からの10試合はGRACHAN・修斗・パンクラスで計9勝1敗、6連勝と好成績を残し、修斗では魚井フルスイング、小野島恒太に勝利、12月のGRACHANではRIZINバンタム級日本GPにも出場した伊藤空也に52秒腕十字で一本勝ちし、GRACHANのベルトを奪還したばかりだ。
1R、ヤマニハはタックルから組み付くと、倒してすぐにバックを取り、脇を抱えてハーフで押さえてコントロールする。中盤過ぎには上から右肘をヒットする。終盤にはバックマウントを取り、またも左肘をヒット。ヤマニハが寝技の成長を見せつける。
2R、サウスポーのヤマニハが右のインローをカーフキックの形で当ててから、左右のパンチを当ててひるませると、押し倒して上からパウンドと肘を連打し手塚を追い詰める。手塚は鼻血を出し苦しそう。ヤマニハはハーフで押さえ、マウントに移り、横から押さえて手塚の頭に膝を当ててから、最後はバックマウントで裸絞めを極めてタップを奪った。ヤマニハの完勝だった。
マイクを持ったヤマニハは「8年前負けたんだけど、今日リベンジできた。先生ありがとうございます。私、普通の選手じゃない。これからベルト取ります。日本のレジェンドになります」と日本語でアピールした。
第8試合 MMA フライ級(57kg) 5分3R
○竿本樹生(BRAVE/ZSTフライ級王者)
×宇田悠斗(HOPE/修斗フライ級世界1位)
判定2-1 (橋本=宇田/豊島=竿本/松宮=竿本)
竿本は11月のRIZIN TRIGGERで松場貴志に判定2-1で辛勝も連勝を13に伸ばした。RIZIN初参戦の宇田は19年に修斗でプロデビューし6戦5勝1分の新鋭。昨年5月に元パンクラス王者の清水清隆に判定勝ちして以来の試合。修斗フライ級世界ランキングでは、UFCと契約した王者・平良達郎に続く1位にいる。現在はCAVEの石渡伸太郎の元で練習している。
1R、開始すぐから宇田がテイクダウンを奪い、コーナー際でトップをキープする。竿本は下から腕を抱えて防御し、足を登らせ腕十字を狙う。宇田が立って脱出しかけると、竿本は背後からしがみつき、コーナーに押し込む。宇田は押し返すと、終盤にまたもテイクダウンに成功するが、またも竿本がオモプラッタと腕十字を狙う。一進一退のラウンドに。
2R、序盤にパンチが交錯したところで、竿本の右の指が宇田の左目に入り、一時中断する。再開後、竿本が左フックを振りながら飛んで詰めるが、宇田はタックルで倒して、またも上になる。だが今度も竿本がオモプラッタを狙い、肘も当て、宇田はその先に持ち込めない。お互い明確な差を見せることができないまま3Rへ。
3R、宇田がしがみつき、テイクダウンを狙い続けるが、最終的に耐えた竿本が上に。竿本がハーフで押さえる。宇田はその先の攻めを許さず立つが、竿本がコーナーに押し込み、再び倒し、ハーフで押さえる。終盤、宇田がコーナーを背にして立とうとするが、消耗が激しく力が入りきらず。竿本は立ってから座ったままの宇田の顔面に右の膝を一発当て、最後の最後に好印象を残して終える。記者採点は主導権を握る時間の長く最後の膝も印象的だった竿本。ジャッジは意外にも割れたが、2者が順当に竿本を支持。竿本が今回もスプリット判定で接戦を制し、連勝を14に伸ばした。
第7試合 MMA 60kg契約 5分3R
○福田龍彌[りゅうや](MIBURO/元修斗世界フライ級王者)
×NavE(N★TRUST/GLADIATORフライ級王者)
1R 0’54” KO (右フック)
両者ともRIZIN初参戦で京都出身。福田は7月の修斗で平良達郎に1R一本負けし修斗の王座初防衛に失敗。10月のDEEPでの神龍誠とのノンタイトル戦では、3Rに左フックでダウンし判定負けを喫するも、パンチで神龍を苦しめ健闘した。2月26日のDEEPでは伊藤裕樹に2R TKO勝ちしたばかりだ。NavEはパンクラスを主戦場にした後、16年からは大阪でのGLADIATORを主戦場とし王座に君臨しているが、今回は国内フライ級強豪と戦って来た福田がレベル差を見せつける。
1R、両者サウスポーで構え、福田が圧を掛けると、左フックを空振りさせてから右フックをアゴにクリーンヒット。NavEが真後ろにダウンし、パウンドで追い打ちをかけたところでレフェリーがストップした
見事な秒殺KOの福田は「やるかやられるか、ヒリヒリ、楽しかったですか?これが生きがいです。今日はノーダメージやから、おかわりお願いします。(フライ級)GPあるなら、代打出場でも戦いたい」とアピールした。
第6試合 キック(肘無し・つかんでからの攻撃は1回) 70kg契約 3分3R
○憂也(魁塾/RISEミドル級2位、元DEEP☆KICK -65kg王者)
×洋輔YAMATO(大和ジム/NJKFウェルター級王者)
2R 2’51 TKO (3ダウン:パンチ連打)
大阪在住の憂也はこれまでRIZINに2度上がり、19年6月に田中STRIKE雄基、20年2月に康輝に、いずれもKO勝ち。RISEが主戦場で、ベイノアには敗れたが、緑川創とねぎ魔神には勝っている。洋輔は大和哲也と同じ大和ジム所属で、20年10月にNJKFウェルター級王者となった。
1R、憂也が左右のボディ、ストレートを的確に当て、近年向上しているボクシングテクニックを発揮。洋輔が前に出れば、右のテンカオ、ロー、ミドル、ハイを返し、トータルスキルの差を見せつける。最後は右のカーフキックで洋輔をフラつかせる。
2R、洋輔もパンチの打ち合いを仕掛けるが、憂也が的確にパンチを当て続け、中盤に右フックでダウンを奪取する。さらに左ミドルを効かせてからの右ストレートで2ダウン目を奪取。最後はパンチの連打で洋輔を棒立ちにしたところで、長瀬レフェリーがストップした。
第5試合 キック(肘無し・つかんでからの攻撃は1回) 61kg契約 3分3R
○笠原友希[ゆうき](シーザージム/シュートボクシング日本スーパーフェザー級王者)
×元氣[もとき](楠誠会館/MA日本ライト級2位)
1R 2’25” KO (左飛び膝蹴り)
笠原は22戦20勝(9KO)2敗の20歳。これまで敗れた相手は植山征紀と那須川天心の2選手のみだ。20年7月のRISE on ABEMAでの天心戦の後は5連勝中。地元大阪の元氣は35歳、50戦近いキャリアのあるベテラン。両者ともRIZINには初登場だ。
試合は笠原が格の違いをまざまざを見せつけることに。1R、両者サウスポーで構え、離れた距離から蹴りの攻防が続いた後、終盤のパンチの打ち合いで笠原が左ストレートを当ててダウンを奪う。さらに左右のストレートを効かせて、押して元氣のバランスを崩させてから、左の飛び膝をアゴにクリーンヒット。元氣は意識が飛んで倒れ、長瀬レフェリーがすぐさまストップした。コーナー際の攻防で、笠原はロープの外に出そうな飛び方だったため、なおさらインパクトのあるフィニッシュだった。
この日KO続きだったキックの中でも、RIZINの榊原CEOも「笠原選手のはじけぶりが印象に残りました。ビッグインパクトを残してくれました」と名前を挙げて絶賛した。今大会のキックの試合は、キックの試合主体となる6月の天心×武尊のビッグイベントの査定も兼ねており、笠原が起用される可能性はこれで一気に高まった。
第4試合 キック(肘無し・つかんでからの攻撃は1回) 53kg契約 3分3R
―政所 仁(魁塾/RISEスーパーフライ級(53kg)2位、WBKF世界スーパーフライ級王者、元J-NETWORK同級王者)
―佐藤執斗(グラップリングシュートボクサーズ/SB日本バンタム級(52.5kg)王者)
1R 1’30” 無効試合
政所は20年11月のRIZIN大阪大会でも佐藤と対戦し、バックブローでダウンを奪い判定勝ちしている。最近では昨年11月のRIZIN TRIGGER神戸大会で平松侑にTKO勝ちしている。佐藤は2月13日のシュートボクシングに1階級上で急きょ出場し、1階級上のSB王者の植山征紀に判定負けしている。
1R、佐藤が圧力をかけ、政所が距離を取り、お互い軽く蹴りを当て合う展開。すると中盤、佐藤が右ローを空振りした後にスリップする。佐藤は左足首にテーピングをしており、そこをひねった可能性がある。倒れた直後に政所のローキックが佐藤の顔面に当たったが、当たりは浅く、そのダメージは小さく見える。長瀬レフェリーはダウンは宣告せず、ドクターチェックの後、しばらく待ってから、レフェリーが試合をストップした。
その時点では「アクシデントによる負傷」での終了とだけ発表されたが、試合後に主催者は「第1ラウンドに佐藤選手が体勢を崩して倒れたところに政所選手のキックが頭部にあたりました。ドクターが診断をしたところ、佐藤選手が脳震盪を起こしており、試合続行不可能と判断しました。よって、RIZINキックボクシングルール第22条『試合中の偶発的な反則の結果の負傷やその他アクシデント等に起因して試合成立が困難で1ラウンドが終了していない場合はノーコンテストとする』この規定に則り、本試合をノーコンテストといたします」と発表した。
第3試合 MMA 63kg契約 5分3R
○Ryuki(フリー)
×山本歩夢[あゆむ](パラエストラ柏)
1R 2’07” TKO (レフェリーストップ:左ストレート→左サッカーボールキック)
Ryukiは大阪出身。子供時代からキックを始め、18年8月のRIZINにはキックルールで出場し直也に判定勝ち。その後も中村寛にも勝利した。20年にMMAに転向し1勝2敗。最近では12月のDEEPでCOROに2R 腕十字で一本負けしている。山本は柔道インターハイ5位入賞の実績があり、20年12月にDEEPでMMAデビューし3戦全1R勝利の快進撃を続けたが、12月のDEEPでは序盤から猛攻を仕掛けるも次第に失速し、ZSTフェザー級王者の関鉄矢の腕十字で1R一本負けしている。
1R、両者サウスポーで構え、山本が右ストレートを立て続けに当てるが、Ryukiは左ストレートを当て返してひるませ、コーナーに押し込む。だがその先に持ち込む技術が乏しく膠着ブレイク。山本は再びパンチを当て、低空タックルを仕掛けるが、Ryukiは軽々と切る。そしてパンチが交錯すると、Ryukiが左ストレートを立て続けに当てて山本をダウンさせ、最後は左のサッカーボールキックをダメ押しで当てたところでレフェリーがストップ。素質が高く評価されている山本は、強気にパンチで勝負したが、経験豊富なストライカーとの技術差が出てしまった。
第2試合 キック(肘無し・つかんでからの攻撃は1回) 63kg契約 3分3R
×山畑雄摩(心将塾/RISEライト級5位、NJKFライト級4位、元DEEP☆KICK -63kg王者)
○小川 翔(OISHI GYM/RISEライト級4位、HOOST CUP日本スーパーライト級王者、元蹴拳ムエタイ同級王者、元WBCムエタイ日本統一&REBELS-REDライト級王者)
1R 2’50” TKO (3ダウン:右ローキック)
山畑はは大阪出身。過去にRIZINで大雅に敗れ髙橋聖人と引き分けている。小川は18年8月のRIZIN名古屋大会で海人に判定負けしている。2月13日のシュートボクシングに出場予定だったが、対戦相手の笠原弘希が新型コロナウイルスの抗原検査で陽性と判定されたため、大会直前に試合が中止となっていた。
1R、サウスポーの山畑に、小川がオーソドックスの構えで圧力をかけ続け、右のミドル、インロー、カーフキックを的確に当て続けると、中盤過ぎから山畑がスリップを繰り返し、右インローでの3度目のスリップでレフェリーはダウンを宣告する。さらに小川は山畑の左ミドルに合わせての右フックでダウンを奪取。最後は小川が右のインローで3ダウン目を奪いKO勝ち。レベルの違いを見せつけた。
第1試合 キック(肘無し・つかんでからの攻撃は1回) 70kg契約 3分3R
○蛇鬼[じゃき]将矢(テツジム/NKBウェルター級王者)
×こうた(武心會/NJKFスーパーウェルター級2位、DEEP☆KICK -70kg 2位)
1R 1’53” TKO (レフェリーストップ:パンチ連打で2ダウン後)
1R、長身のこうたがじわじわ圧を強め、右ストレートを効かせてから、コーナーに詰めてのパンチの連打でダウンを奪う。だが打ち合いになると、蛇鬼がパンチを当て返し右フックでダウンを奪い返す。こうたの方がダメージが大きく、蛇鬼がパンチの連打で再びダウ運を奪ったところでレフェリーがストップした。
オープニングファイト キック(肘無し・つかんでからの攻撃は1回) 60kg契約 3分3R
×佐藤 亮(健心塾/NJKFスーパーフェザー級3位、DEEP☆KICK -60kg 5位)
○駿(Reborn Kickboxing Gym/DEEP☆KICK -60kg 3位)
1R 2’15” TKO (レフェリーストップ:右ストレートでダウン後)