DEEP 2.26 後楽園ホール(レポ):小見川道大、中村大介の腕十字で敗れ引退「柔道最高、格闘技最高でした」。フライ級の福田龍彌、フェザー級の青井人が快勝。石塚雄馬、初参戦の川名TENCHO雄生を粉砕
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2022年2月26日(土)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
小見川道大、中村大介の腕十字で敗れ引退「柔道最高、格闘技最高でした」。中村は打倒・牛久&クレベルに意欲
第6試合 メインイベント 小見川道大引退試合 フェザー級 5分3R
○中村大介(夕月堂本舗/元DEEPライト級王者)
×小見川道大(NEO JUDO ACADEMY)
3R 0’51” 腕ひしぎ十字固め
引退試合を行う小見川は現在46歳。アジア柔道選手権銀メダル等の実績を残した後、29歳だった05年にPRIDEで吉田道場の一員としてMMAデビュー。07~08年にはUFCに上がるも2戦2敗。戦極時代はナム・ファン、マルロン・サンドロ、日沖発、高谷裕之に勝利。DREAMを経て、再び11~12年にUFCに上がり1勝4敗の成績を残した。以降はDEEP、巌流島、グラップリングチーム戦のQUINTET等に参戦。15年には自身のジムをオープン。19年10月のDEEPで毛利昭彦を下すと、「ダラダラやる気は無いので、死に場所を探したい」と話し、近い時期での引退を示唆した。今年7月のQUINTETでは小見川の率いるチームが優勝したが、MMAの試合は毛利戦以来2年4カ月ぶりとなる。
中村は02年にデビューした41歳のベテラン。小見川同様にPRIDE、DREAM、DEEPに上がっていたが、当時は階級が違うため交わることはなかった。18年4月のQUINTETで対戦した際には、終盤に中村が腕十字で追い詰めるが時間切れドローに終わっていた。中村はDEEPで12年にライト級王者に。一時はプロレスが主体となっていたが、20年9月のDEEPで約4年ぶりのMMAに臨み長倉立尚をKO。続く昨年2月の試合では牛久絢太郎にTKO勝ちしたが、7月の再戦では判定負けした。10月のRIZIN初参戦では新居すぐるに1R腕十字で一本勝ちし、健在ぶりを多くの格闘技ファンに示した。同じ大会で牛久がRIZINフェザー級王者となったため、中村も同級国内上位集団の一人と言っても良い。小見川も「今、日本のフェザー級の中で私が1番強いと思う相手は中村選手」と評し、引退試合の相手に中村を指名した。
小見川は般若さんの生のラップをBGMに、金網の周りを1周して入場。既に感極まって涙を流している。1R、中村はガードを下げ、小見川はガードを固める、対照的なスタイルでの打撃戦が続く。中村は開始すぐに顔面への左膝蹴りを当て、その後も左ジャブなどを的確に当て、小見川は右ローをヒット。均衡状態が続く。
中盤過ぎ、小見川は首投げで倒すが、反転して中村が上に。中村はアームロックを狙い、そこから腕十字に移行するが、小見川は耐える。記者採点は中村。両者の持ち味が生きるラウンドに。
2R、小見川がパンチの連打で先手を取り、詰めてテイクダウンを奪う。だが中村はアームロックを狙いながら下になり、小見川にトップキープされてもその先の攻めを許さず、膠着ブレイクがかかる。中村がノーガード、小見川がガードを固め、両者足を止める場面も。小見川が前に出続けパンチを振るうが、小見川の組み際に、金網を背にした中村が腕をつかんでアームロックを狙いながら倒して終える。記者採点はパンチで攻め込んだ小見川。だが、中村はクリーンヒットは免れ、いつでも斬れそうな鋭いサブミッションも見せ、攻防を楽しむ余裕もあるようにも見える。
すると3R、中央でのパンチの攻防の中で、中村が小見川の腕を素早くつかみ、そのまま倒しアームロックを仕掛ける。小見川は防御したが、中村はまたも腕十字に移行し、小見川の腕のクラッチを切り、ガッチリと極めると小見川はタップした。試合後は両者ともたたえ合い、場内は大きな拍手で包まれた。
その後、引退セレモニーが行われ、多くの関係者、練習仲間、道場の生徒、家族と共に記念撮影。小見川は「最初は負けが続きましたが、いろんな舞台に上がらせてもらい 最高の経験をさせていただきました。格闘技最高。こうして死なずに格闘技ができたのも長年やった柔道のおかげです。これからは色んな人を柔道で幸せにしたいです。柔道最高、格闘技最高でした。本当に今までありがとうございました」と話し、10カウントゴングを聞いた。
勝った中村はバックステージでのインタビューで「小見川選手、最後まで気を抜けなかったです。強かったです」と話し「3Rの戦い方が20年やってようやくわかってきました」と、3Rでのフィニッシュを振り返った。今後については「フェザー級の面白い選手がたくさんいるのでその辺と絡みたい。変な色物枠じゃなく」「1回勝っている牛久選手がRIZINのトップに立っているので自信になります。(再戦も)負けてないと思うので」と話し、同じグラップラータイプのクレベル・コイケに関しても「やってみたいですね。同門のサトシ選手と(QUINTETで)やった時はそこ(=フィニッシュ)まで行けなかったですけど、MMAは違うんで」と対応に自信を示した。
元修斗フライ級世界王者・福田龍彌、DEEP 2戦目はTKO勝ち
第5試合 セミファイナル フライ級 5分3R
×伊藤裕樹(ネックスイチムエ)
○福田龍彌[りゅうや](MIBURO/元修斗世界フライ級王者)
2R 0’35” TKO (コーナーストップ:グラウンドパンチ)
今大会ではフライ級王者・神龍誠と同級暫定王者・藤田大和による王座統一戦が行われる予定だったが、神龍の新型コロナウイルス感染により延期となった。今回組まれたフライ級2試合は今後の王座戦線を占う上でも重要なカードとなる。
伊藤は9月のDEEPで藤田の暫定王座に挑戦し判定3-2で惜しくも敗れたが、1か月後のRIZIN横浜大会では中村優作に1R TKO勝ちした。対する福田は7月の修斗で平良達郎に1R一本負けし修斗の王座初防衛に失敗。10月のDEEPでの神龍とのノンタイトル戦では、3Rに左フックでダウンし逆転判定負けを喫するも、パンチで神龍を苦しめ健闘した。
1R、両者サウスポーに構え、伊藤がプレッシャーをかけるが、福田がタックルで倒し、立たれてもすぐ押し込む。だが膠着しブレイク。その後も伊藤が圧をかけ、最後は金網際で二人とも押し合うが均衡は崩れず。記者採点は僅差だが福田。まだ両者印象的な攻めはない。
2R、伊藤が序盤から左右のフックを当てて福田の腰が落ち、伊藤が先手を取る。だが直後、福田が右フックで伊藤をひるませると、左右のパンチの連打でダウンさせ、上からの鉄槌のラッシュで見事逆転フィニッシュした。
福田は「純粋にヒリヒリした感じをみんなと分け合いたい。それが格闘技をやっている一番の理由です。こういうのをこのご時世、みんなに感じてほしいんで、佐伯さん、もっと試合を組んでください」とアピールした。
石塚雄馬、DEEP初参戦の元修斗世界ライト級王者・川名TENCHO雄生を粉砕
第4試合 ライト級 5分3R
×川名TENCHO雄生(Y&K MMA ACADEMY/北海しゃぶしゃぶ湘南藤沢店/修斗ライト級世界3位・元王者)
○石塚雄馬(AACC)
2R 2’19” KO (右ストレート)
川名は20年7月にキャプテン☆アフリカを1R KOし修斗世界ライト級王者に。RIZINに上がるがDEEP同級王者の武田光司、矢地祐介に連敗。9月の修斗では新鋭・西川大和に5R TKO負けし修斗のベルトを失い3連敗中だ。DEEP初参戦で今後目指すのは武田のベルトとリベンジだろう。
石塚は10年にSRCで徳留一樹に敗れ、11年のオーストラリアの試合で後にUFCで活躍するダン・フッカーに敗れる等、多様な大会に上がり続け、7年のブランクを経て、昨年10月のDEEPで突如復帰し、ここ1年で4試合とコンスタントに試合を重ね3勝1敗。佐々木大、ケンヤスキー、大木良太に勝利し、鈴木琢仁には敗れている。
1R、川名が終始中央から圧をかける展開。中盤まで川名も右ストレートを当てていたが、以降は石塚に左右のストレートのヒットが目立つように。石塚は右のカーフキックも織り交ぜる。記者採点は石塚。
2Rも川名が圧をかけ続ける展開。なかなかお互い決定打が出なかったが、中盤、川名の右アッパーがさく裂。試合は動いたがに見えたが、石塚が詰めてきた川名に右ストレートをクリーンヒット。川名は大の字で倒れ、すぐさまレフェリーがストップした。石塚はマイクアピールで北岡悟との対戦を希望した。
RIZINから凱旋の関原翔、越智晴雄との接戦制す
第3試合 フライ級 5分3R
×越智晴雄(パラエストラ愛媛/元DEEPストロー級王者)
○関原 翔(K-PLACE)
判定0-3 (柴田28-29/福田28-29/松宮28-29)
越智は20年8月にで川原波輝に一本負けしDEEPストロー級王座から陥落すると、今年9月のDEEPでフライ級に階級を上げ、渋谷カズキに判定勝ち。11月のRIZIN沖縄大会では曹竜也に判定勝ちしている。関原はパンクラスの元ランカーで、今年2月からDEEPに主戦場を移し、力也、ヒロヤ、鮎田直人相手に3連勝。11月のRIZIN沖縄大会ではTARKERに判定勝ちし現在5連勝中だ。
1R、関原が右のカーフを当てるが、越智も左右のフックをお返し。だが越智が詰めてパンチを振るった際にバッティングになり、越智は左まぶたをカットして出血し、ドクターチェックが入る。再開後は出血がおさまるが、関原が押し込んで、細かく右のパンチを放つ場面が目立つ。記者採点は僅差で関原。
2R、越智のパンチに合わせ、関原が組み付いてテイクダウンに成功し、トップをキープする。だが中盤、越智は立ち上がり、再び関原がタックルに来たところでギロチンで迎撃するが、極まりは浅い。最後はスタンドに戻り、お互いパンチを振るって終える。記者採点は僅差だが、上になる時間の長かった関原。
3R、越智が前に出続け、関原も右のカーフを当て、そこからテイクダウンにつなげようとするが、越智は耐え、その際に組み付いてテイクダウンを奪う。越智が金網際で押さえ続け、時折パウンドを当てる。最後は関原が立ちかけるが、潰して上をキープして終える。記者採点は越智。合計28-29で関原。ジャッジ3者も関原を支持し、関原が接戦を制した。
フェザー級・青井人、初のDEEPで快勝「いつかベルトを巻きます」
第2試合 フェザー級 5分3R
○青井 人(BLOWS/修斗フェザー級世界10位)
×木下尚祐[しょうすけ](和術慧舟會GODS)
2R 1’36” TKO (レフェリーストップ:右フック→グラウンドパンチ)
青井は長らく修斗を主戦場とし、DEEPに初参戦。昨年8月のRIZINで朴光哲に判定勝ちしたが、今年6月のRIZINでは白川陸斗に判定負けしている。木下は浜松ヤマトら相手にZSTで3連勝後、10月にDEEPに初参戦し、高橋辰也に判定勝ちしている。
1R、青井が圧をかけ続け、右のカーフキックを効かせ、終盤には左ミドル、右ボディも絡めると、終了間際に左ハイでダウンを奪い追い詰める。記者採点は青井。10-8でも不思議ではない。
2Rも青井が圧をかけ続けると、右フックでまたもダウンさせてからのパウンドラッシュでフィニッシュ。完勝の青井はファンや関係者に感謝の言葉を述べ「いつかベルトを巻きます」と宣言した。
伊澤星花の弟・風我、「朝倉未来1年チャレンジ」出身・ヒロヤに判定勝ち
第1試合 フライ級 5分2R
×ヒロヤ(トライフォース赤坂)
○風我(フリー)
判定0-3 (豊永19-19○/松宮19-19○/福田18-19)
ヒロヤは「朝倉未来1年チャレンジ」出身で、最近では12月大会で日比野“エビ中”純也に判定勝ちしている。風我は大晦日のRIZINで浜崎朱加を破った伊澤星花の弟。昨年のDEEPフューチャーキングトーナメントで優勝したが、プロデビュー後は1勝3敗と苦戦している。セコンドには星花もつく。
1R、風我が中盤にテイクダウンを奪うと、マウント、バックでコントロールを続け、裸絞めも狙う。終盤、ヒロヤは立ち上がるが、風我に押し込まれて終わる。記者採点は風我。
2R、風我は開始すぐに倒し、パスガードを狙うが、ヒロヤはリバースして上になる。風我は抱えて防御しその先の攻めを許さないが、なかなかリバースできず印象が悪い。終盤、風我はギロチンを狙うが極まらず。最後、スタンドに戻すが、ヒロヤが左ストレートを当てて、ダウンまでいかないが倒して好印象を作る。記者採点はヒロヤ。合計19-19でイーブンだが、DEEPルールではその場合、試合全体でマスト判定を下すことになっており、記者採点は風我。ジャッジ3者も風我を支持した。
オープニングファイト バンタム級 5分2R
×岩見 凌(KIBAマーシャルクラブ)
○山本有人(リバーサルジム東京スタンドアウト)
判定0-3 (松宮16-20/豊永17-20/福田17-20)