修斗 9.20 後楽園ホール(レポ):18歳の西川大和、川名TENCHO雄生を下し世界ライト級王者に。安藤達也、環太平洋バンタム級王座防衛。岩本健汰&宇佐美正パトリックがMMAデビュー戦で1R勝利
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プロフェッショナル修斗公式戦 PROFESSIONAL SHOOTO 2021 Vol.6 Supported by ONE Championship
2021年9月20日(月/祝)後楽園ホール
レポート&写真:久保与志 試合見所紹介:井原芳徳
西川大和、川名TENCHO雄生を下し修斗史上最年少18歳で世界ライト級王者に
第8試合 メインイベント 修斗世界ライト級チャンピオンシップ 5分5R
×川名TENCHO雄生(Y&K MMA ACADEMY/王者)※初防衛戦
○西川大和(西川道場/世界1位、環太平洋1位)
5R 0’43” TKO(レフェリーストップ:グラウンドでの肘打ちによる顔面のカット)
※西川が第14代王者に
川名は昨年7月の大阪大会でキャプテン☆アフリカを1R KOし、修斗出場8年目で悲願の世界タイトル獲得を果たす。だがRIZINでは昨年9月にDEEP同級王者の武田光司、今年6月に矢地祐介に敗れ2連敗。ベルトを守るためにはもちろん、今後の国内ライト級上位戦線に戻る上でも、負けられない一戦となる。
対する西川は18歳の新鋭。子供の時から格闘技で世界一になるための英才教育を父から受け、「探偵ナイトスクープ」で紹介されたこともある。昨年5月からの修斗参戦後も、猪木アリ状態で寝たポジションからのカーフキックや、捕まえたら離さないパワフルな三角絞めなど野性味あふれるファイトを見せ続け破竹の5連勝・4連続フィニッシュ中だ。前回5月の試合では元環太平洋ライト級王者で世界1位の大尊伸光に三角絞めで一本勝ちし、王座初挑戦につなげた。
1R、右の前蹴り、ローを飛ばしながらワンツーで詰めていく西川に対して、川名はしっかりと構えてブロッキング。西川がパンチで詰めて組みヒザを狙ったところで、川名が足を払いながら投げを決めてテイクダウンを奪う。セコンドの指示からも徹底して三角絞めを警戒していることがうかがえる川名は、体を起こしてパウンドを狙い、西川は蹴り上げも狙うなど足を効かせる。西川が立ち上がろうとするも、川名は片足タックルで金網際に詰め、西川は押し込まれながらもヴァレリーキック(=カカトで蹴るローキック)を蹴るなどして細かい攻撃を出し続ける。記者採点は10-9で川名。
2R、西川はスイッチも織り交ぜながら右ローを蹴っていき、パンチは左右共にコンパクトなワンツーあるいは逆ワンツーで手数を増やしていく。インファイトになると首相撲からのヒザを狙う西川だが、組みの展開になると川名は足払いで崩し右ストレートで脅かす。徐々に西川のパンチが顔面を捉え始め、さらに顔面へのヒザ蹴りもヒットさせると川名がバランスを崩す。ここでは追撃にタックルを選択した西川だが、川名はガブって潰し上になる。記者採点は9-10で西川。
3R、西川はサウスポーから最短距離で川名の左足に右ローを集める。さらにバックスピンエルボーも狙うが、これは川名がダッキングでかわし、脇を差してからまたも足払いを駆使してテイクダウンを奪う。依然として三角絞めへの警戒は怠らない川名だが、上体を起こしての強いパウンドは西川が首を振ってかわし、スペースがあることもあってか、下からのパンチ、ヒジを次々とヒットさせていき、川名の口からの出血が激しくなる。記者採点は9-10で西川。
4Rもスタートは西川が川名の前足にローを集中させる。しかし川名は西川の首相撲に対しては隙が見えているようで、今度は脇を差す形から崩してテイクダウンを奪う。ところがトップをキープしても休む暇もないのがこの試合を通しての展開。西川は3R終盤同様、下から三角絞めの脅威をちらつかせながら、パンチとヒジを的確に当てていく。口に加えて鼻からの出血もひどくなりドクターチェック。再開後も西川の下からの攻めは止まらず川名は被弾し続ける。記者採点は9-10、ここまでのトータルスコアは37-39で西川。
5R、開始前にまた川名にドクターチェックが入る。前に出てくる川名に西川がカウンターで顔面に左ヒザを突き刺しマウスピースを飛ばす。川名はタックルに切り替えてリフトアップしてテイクダウンを奪うが、西川が下からパンチとヒジをヒット。これで川名の唇が大きく裂けて3度目のドクターチェックが入ると、即座にストップ。西川が下からの攻撃で相手を削り続けるという18歳らしからぬゲームコントロールでベテラン・川名を翻弄し、修斗史上最年少で世界のベルトを腰に巻いた。
マイクを持った西川はONE Championshipへの出場をアピールしながら、対戦したい相手として川名が敗れている武田、矢地といったRIZIN勢の名前を挙げるなど、日本ライト級完全制圧にも意欲を見せ、来年は北海道から海外に拠点を移し本格的に世界を目指すといったプランも口にした。
安藤達也、環太平洋バンタム級王座初防衛
第7試合 セミファイナル 修斗環太平洋バンタム級チャンピオンシップ 5分3R
○安藤達也(フリー/環太平洋王者、世界4位)
×石井逸人(TRIBE TOKYO MMA/環太平洋6位、世界7位)
2R 4’39” 肩固め
※安藤が初防衛
安藤は昨年8月に田丸匠を1R KOし環太平洋バンタム級王者となり、今回が初防衛戦。前回11月の試合では元DEEP王者の大塚隆史のカーフキックで1R TKO負けした。その試合での足の怪我の療養を経て、この夏、米国の名門・アルファメールで1か月修行してきた。
対する石井は5月大会まで行われたインフィニティリーグ2020バンタム級で優勝し、今回の王座初挑戦の権利を獲得した。安藤は石井加入前のTRIBE出身で、近年は石井が出稽古先で安藤と練習することもあった間柄で、石井は安藤を「天才」と崇める間柄だ。
1R、いきなり左のカーフキックを狙った石井だが、安藤が詰めて右フックをヒットしフラッシュ気味にダウンを奪う。すぐにタックルで追撃を切ろうとした石井を、安藤は袈裟固めでロックする。石井はそこから体勢を入れ替えてバックにつくとチョークに捉えて締め上げる。かなり苦しそうな表情を見せる安藤だが、クラッチを外して立ち上がる。スタンドでもバックに飛び乗って首を狙う石井に対し、安藤は身体を振って石井をケージに叩きつけるなどして対処。正対した状態になり石井がしつこくテイクダウンを狙うと、タックルを潰しながら鋭角にヒジを顔面に落としていく。記者採点は10-9で安藤。
2R、肩を入れた強い右ジャブを盛んに出していく安藤に、石井は右ロー、ミドルを蹴って応戦する。すると安藤が飛び込んでの右ジャブから左ストレートでダウンを奪う。亀の状態になった石井に追撃のパウンドを落としていくが、安藤のパンチが後頭部に入ってしまいレフェリーが中断する。
スタンドからの再開になると、少し疲れの見える安藤は、不用意に石井に距離を詰めさせてしまい右ストレートを被弾。さらにケージ際まで後退してしまい右フックをもらいバランスを崩す。だがタックルで切り返してテイクダウン。袈裟固めからバックにつくと今度は正対してトップから肩固めの体勢に。これががっちり極まり石井の動きが完全に止まったところでレフェリーが試合をストップした。
豪放なイメージもある安藤だが、試合終了直後は落ちた石井を気遣い応急処置を施す一面も見せていた。
石橋佳大、今回も激闘。新鋭・後藤丈治をスプリットで退ける
第6試合 バンタム級 5分3R
×後藤丈治(TRIBE TOKYO MMA/世界8位、環太平洋8位)
○石橋佳大(ZEEKジム/元環太平洋王者)
判定1-2 (岡田28-29/長瀬29-28/小生28-29)
1R、後藤は距離を取って右ミドルを当て、石橋がパンチで飛び込んで来るとサークリングしながら右フックを合わせる。後藤はアウトボクシングを展開するかに見えたが、組みの展開になると石橋の仕掛けに応じて目まぐるしいスクランブルの攻防に。上下は何度も入れ替わるもののトップキープの時間は石橋の方が多く、時折パウンド、鉄槌もヒットさせる。
2Rもスタンドではやや後藤優勢に進むが、石橋がタックルから組み付くと再び激しいスクランブルの展開に。両者休むことなく動き続け、石橋がバックについて鉄槌を落とせば、ラウンド終了間際には後藤が向き直って正対し、身体を起こして強いヒジとパンチを入れて反撃する。記者採点は1、2R共に石橋につけたが評価の難しいラウンドが続く。
3R、後藤はボディ打ちも交えて左ストレートを振るって前に出る。石橋は疲れもあるのかまともにプレッシャーを受けて下がってしまう。頭を下げたところに左ストレートをもらってしまい、いよいよ苦しくなってきた石橋だが、執念で組み付きテイクダウン。ここもスクランブルの攻防が続くが、最後は石橋がトップをキープしてパウンドを落とし続ける展開でタイムアップ。記者採点は10-9で後藤もトータルスコアは28-29で石橋。判定は1-2、スプリットデシジョンながら激闘を制した石橋は勝者がコールされた瞬間雄たけびを上げた。
グラップリング・岩本健汰、ボクシング・宇佐美 正 パトリック、MMAデビュー戦は1R完勝
第5試合 AOKI PROJECT提供マッチ ライト級 5分2R
×椿 飛鳥(トライデントジム)
○岩本健汰(ロータス世田谷)
1R 2’34” 裸絞め
青木真也が推薦し朝倉未来の練習パートナーでもある日本最高峰グラップラー・岩本のMMAプロデビュー戦。
立ち上がりのスタンドの攻防こそぎこちなさも見える岩本だったが、金網際でシングルレッグで捕まえると引きずり込むようにしてテイクダウン。ハーフガードからパスしてサイド、さらにはマウントからバックとポジションを変えつつ、最後はバックチョークが完璧に極まり椿が失神。鮮やかな一本勝ちでMMAデビュー戦を飾った。
第4試合 ライト級 5分2R
×ヨシ・イノウエ(パラエストラTB/2019年ライト級新人王)
○宇佐美 正 パトリック(EXFIGHT/LDH martial arts)
1R 4’14” KO(左ボディアッパー)
宇佐美はボクシング高校6冠。ABEMA「格闘DREAMERS」で放送され、EXILEの所属事務所・LDHが主催したオーディションを勝ち抜き、LDHとの専属プロ契約を勝ち取った選手で、今回がプロデビュー戦。同じくLDHと契約した中村倫也が7月の後楽園でのプロデビュー戦でKO勝ちしている。LDHが送り込むファイター第2弾も、中村に続き大きなインパクトを残す。
宇佐美はカーフキックも使いながら、組みの展開に持ち込みたいイノウエに左ジャブも刺していく。イノウエがケージ際でタックルに来たところにヒザを合わせてグラつかせ、さらにパンチの連打で追撃。イノウエはタックルでテイクダウンを奪い流れを切る。トップからパンチを落とすイノウエだったが、宇佐美は立ち上がるとすぐに右のカーフキックをヒット。これが効いたかケージ際に後退したイノウエに、宇佐美は左ボディアッパーをクリーンヒット。うずくまるように前のめりに倒れたイノウエに数発追撃のパンチを入れたところでレフェリーが試合をストップ。宇佐美が宣言通りの1R KOでプロデビュー戦で勝利した。
第3試合 75kg契約 5分3R
○江藤公洋(和術慧舟會HEARTS)
×グンター・カルンダ(コンゴ民主共和国/TriH.studio)
判定3-0 (岡田30-27/田澤30-27/福田30-26)
江藤は元々DEEPを主戦場にしていた選手で修斗初参戦。昨年9月のRoad to ONEで青木真也に判定負けして以来1年ぶりの試合となる。
1Rから江藤がダブルレッグで再三テイクダウンを奪い、グラウンドで試合をコントロールする。ブリッジで立とうとするカルンダの動きを潰しながらフロントチョークや腕十字を狙っていくが、極めきる形までは持って行けず。
3Rはカルンダのスタンドでの打撃に押される場面もあったものの、しっかりとタックルで流れを切ってテイクダウン。最後まで主導権を握り続け大差の判定勝ちを収めた。
第2試合 ミドル級 5分2R
○岩﨑大河(大道塾/パラエストラ東京)
×今市凌太(style plus gym)
1R 4’13” KO (レフェリーストップ:グラウンドでのパンチと肘打ち)
岩崎は着衣総合武道「空道」日本王者で、昨年MMAデビューし3連勝し今回が修斗初戦。
岩﨑はサウスポーから重量感のある蹴りを放っていき、左ミドルから左フックで金網際に追い込むと脇を差してテイクダウン。4の字ロックでしっかりと固めつつパンチとヒジの連打を浴びせレフェリーストップ。修斗初参戦をTKO勝利で飾った。
第1試合 フライ級 5分2R
○内田タケル(パラエストラ松戸)
×大竹 陽(HAGANE GYM)
1R 2’16” 裸絞め
内田がタックルでテイクダウンを奪うとフロントチョークを狙いながらバックへ。すかさずチョークに捉えて極めきり一本勝ちで連勝を3に伸ばした。