修斗 5.16 後楽園ホール:18歳の西川大和、大尊伸光に一本勝ちし「川名選手、タイトルマッチやってください」。ルミナの弟子・内藤太尊、宇野薫をKO
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格闘技医学会
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プロフェッショナル修斗公式戦 PROFESSIONAL SHOOTO 2021 Vol.3 Supported by ONE Championship
2021年5月16日(日)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
18歳の西川大和、大尊伸光に一本勝ちし「川名選手、タイトルマッチやってください」
第11試合 メインイベント ライト級 5分3R
×大尊伸光(野田ボディビル同好会/世界1位、環太平洋1位、元環太平洋ライト級王者)
○西川大和(西川道場)
2R 4’53” 三角絞め
西川は昨年5月から修斗に上がり、木下タケアキ、椿飛鳥、林 RICE 陽太、マックス・ザ・ボディ相手に4連勝し、3連続フィニッシュ勝利の快進撃を続ける18歳の新鋭だ。今回、ランキング圏外から一気に王座挑戦の射程圏を狙い、世界1位・元環太平洋王者にして、かつてRoad to UFC Japanに参加した経験もある大尊と対戦した。
1R、大尊が右のカーフキックを当てると、西川はパンチの連打で詰める。大尊がテイクダウンを奪いトップキープして、随所でパウンドを的確にヒットする。西川は足を登らせたいが、大尊は背筋を伸ばし続けて、登らせない。
2R、パンチが交錯した場面で西川はスリップするが、組んで来た大尊を捕まえると、素早くバックに回り、裸絞めを狙う。下に落とされるが、今度は大尊に背筋を伸ばさせず、西川は足を登らせ三角絞めを仕掛ける。何度か極まりかかるも、大尊は防御を続けていたが、終了間際にガッチリ極まり、大尊はタップ。西川が見事一本勝ちを果たした。
金網によじ登り大喜びした西川は「三角で足がパンパンです。修斗に参戦して1年経つのかな。これで5連勝ということで、環太平洋ベルトいらないです。今の世界チャンピオン、川名(雄生)選手、タイトルマッチやってください」とアピールした。
大会後のインタビューで、西川は「大尊選手はRIZINでトフィック・ムサエフ選手ともやっていて、強いのはわかっていました。三角で足も腕もパンパンになっていて、あのままスタンドに戻れば、ぐちゃぐちゃで面白くない試合になると思って、あそこで極めきりました」「ずっとUFCを目指しているので、川名選手とやってもいいと正直思っています」とコメント。
だが「勝てる自信は?」と尋ねると「そういうことは言いたくなくて、試合は相手がいてのことなので。大尊選手もペーペーの僕を相手にしてくれたので」と謙虚に語ったり、「盛り上げる試合をするなら、打撃戦をしたほうがいいんでしょうけど、この歳でバカにはなりたくないので。基本的に頭を使って試合をしたいです」と話す等、18歳にしては成熟した面を随所で見せた。
上写真のつま先の破れたスニーカーは、小学校高学年か中学1年生の頃から履き続けているとのこと。西川の父・武彦氏は、西川が産まれてすぐ、世界チャンピオンに育てると決め、西川は3歳の頃から札幌の三角山を裸足で走り、10kgのおもりをつけて小学校に通っていた。小学5年生の時には「探偵ナイトスクープ」で特殊なトレーニング方法が紹介されたこともあり、そういった長年の足腰強化も、今回のパワフルな三角絞めのフィニッシュにつながったといえよう。
ルミナの弟子・内藤太尊、宇野薫の寝技しのぎ右フックでKO
第10試合 セミファイナル フェザー級 5分3R
○内藤太尊(roots/世界8位、環太平洋7位)
×宇野 薫(UNO DOJO/元ライト級王者)
2R 4’59” KO (右フック)
5月8日で46歳になり、今年で選手生活25周年を迎える宇野薫が、19年11月のマーカス・ヘルド戦での勝利以来、1年半ぶりにMMAの試合に臨む。
今回の相手は、約20年前に宇野と2度戦い修斗を盛り上げた佐藤ルミナの弟子・内藤太尊。内藤は極真空手をベースとし、近年は師匠譲りの寝技にも磨きをかける。内藤は今年1月、SASUKEの環太平洋フェザー級王座に挑戦したが裸絞めで一本負けし、世界8位・環太平洋7位まで後退しており、現状ノーランカーの宇野相手に負けられない立場だ。
1R、宇野が序盤からタックルを仕掛けると、後方に投げて倒しつつ、すぐにバックマウントを奪い、裸絞めを狙い続ける。立たれてもオンブで食らいつき、離れても再びテイクダウンを奪い、主導権を維持する。宇野のセコンドには今回も青木真也がつき、細かく指示をし続ける。
2R、宇野は果敢にタックルを繰り返し、何度かテイクダウンに成功するが、内藤は脱出を繰り返す。内藤は倒されそうになると金網をつかむ場面があり、印象は悪いが、スタンドに戻せば右フック、右肘をヒットし、打撃では差をつける。それでも宇野は必死に組み付くが、さすがに46歳になり体力は衰えたか?次第に疲れが見え始める。すると終了間際のパンチの交錯する場面で、内藤が右フックを当て、さらに打ち合って来た宇野の右のカウンターで右フックをクリーンヒット。宇野が大の字でダウンすると、内藤が鉄槌で追い打ちをかける前に、レフェリーがすぐさまストップした。
勝った内藤は師匠のルミナ氏や試合を組んだ関係者に感謝の言葉を述べた後、「最後に一言だけ言わせてください。This is Shooto.」と、師匠の決めセリフで締めくくった。
大会後のインタビューで内藤は、妊娠中の妻の出産予定日の21日が5日後まで近付いていると話し、「宇野さんのところの子も双子で、僕のところも双子で、オファーをもらった時に運命を感じました。病院にいる嫁に『頑張って来な』と言われましたし、宇野さんとルミナさんのストーリーもあるので、負けられない気持ちがより強かったです」と語った。
宇田悠斗、ベテラン清水清隆に判定勝ち。フライ級王座挑戦熱望
第9試合 フライ級 5分3R
×清水清隆(TRIBE TOKYO M.M.A/世界2位、元パンクラス王者)
○宇田悠斗(総合格闘技道場HOPE/世界8位、2019年同級新人王)
判定0-3 (片岡27-29/橋本27-29/柴田27-30)
2019年フライ級新人王で、5戦4勝1分の24歳・宇田悠斗が後楽園大会に初登場し、強さを見せつける。1R、スタンドの攻防が続き、終盤に清水が左ジャブのフェイントからの左フックでダウンを奪い先手を取る。
だが2R、宇田が右フックを当てると、清水はバランスを崩す。終盤にも宇田がパンチを効かせて倒すと、パウンドラッシュでストップ寸前まで追い詰める。ジャッジ2名が10-8をつける。
3R、清水がパンチを効かせ、ギロチンを狙うが、宇田は外してトップキープする。スタンドに戻ると、お互いパンチを振るい、清水が終了間際に左フックを当てて宇田をダウンさせ、宇田がすぐ立って終了。結局、2Rの攻勢が決め手となり、宇田の判定勝ちとなった。
宇田は「KOしたかったんですけど、力不足です。僕の試合、面白かったですか。6月にフライ級タイトルマッチ(世界王者・福田龍彌×挑戦者・平良達郎)がありますけど、どっちが勝ってもいいんで、負けた方に興味ないんで、勝った方とやらせてください」とアピールした。
第8試合 バンタム級 5分3R
○加藤ケンジ(K.O.SHOOTO GYM)
×坂巻魁斗(パラエストラ柏/元ZSTフライ級暫定王者)
3R 4’43” KO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
第7試合 インフィニティリーグ2020 バンタム級 5分2R
△石井逸人(TRIBE TOKYO M.M.A/勝ち点7→8/世界9位、環太平洋8位)
△野尻定由(赤崎道場A-SPIRIT/勝ち点4→5)
判定0-0 (19-19/19-19/19-19)
※石井がリーグ戦優勝
第6試合 インフィニティリーグ2020 バンタム級 5分2R
○小野島恒太(Combat Workout Diamonds/勝ち点4→6/環太平洋10位)
×一條貴洋(ブレイブハート/勝ち点1)
判定3-0 (20-18/20-18/20-18)
第5試合 トライアウト フェザー級 3分2R
×村山大介(マスタージャパン東京/全日本アマ修斗選手権2019フェザー級準優勝)
○平沼ヤマト(佐山道場)
判定0-3 (18-20/18-20/18-20)
※両選手ともトライアウトの結果と過去の実績等が考慮され、プロ昇格が認定された。
第4試合 女子スーパーアトム級(50kg) 5分2R
○杉本 恵(AACC/世界4位)
×檜山美樹子(ナゴヤファイトクラブ)
1R 1’31” 裸絞め
第3試合 女子スーパーアトム級(50kg) 5分2R
○中村未来(マルスジム/世界6位)
×北野きゅう(高田馬場道場)
2R 3’07” TKO (コーナーストップ:パンチ連打)
第2試合 女子スーパーアトム級(50kg) 5分2R
△小生由紀(グランドスラム沖縄APP)
△澤田千優(AACC)
判定0-0 (19-19/19-19/19-19)
第1試合 女子ストロー級 5分2R
×宝珠山桃花(赤崎道場A-SPIRIT)
○柳 仙香(ALLIANCE)
2R 1’47” KO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)