修斗 11.24 後楽園ホール:倉本一真、ジャーマン8発で根津優太にTKO勝ち。44歳の宇野薫、3年7か月ぶり勝利し「まだまだ走り続けます」
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サステイン主催「プロフェッショナル修斗公式戦 SHOOTO 30th ANNIVERSARY TOUR 第8戦 Supported by ONE Championship」
2019年11月24日(日)後楽園ホール
レポート:井原芳徳
第11試合 メインイベント フェザー級 5分3R
×マーカス・ヘルド(ドイツ/ゲルマン・トップ・チーム/修斗ドイツ・フェザー級王者)
○宇野 薫(UNO DOJO/元修斗世界ライト級王者)
2R 1’56” 裸絞め
プロ修斗30周年の今年、後楽園ホール大会は全て「SHOOTO 30th ANNIVERSARY TOUR」と銘打たれ、今回が最後の大会で、メインは44歳のベテラン・宇野が務めた。かつては佐藤ルミナとの2試合で修斗ブームを巻き起こし、UFC、HERO’S、DREAMで活躍後、12年、修斗に復帰。今年5月のプロ修斗30周年記念大会のヘルフォート戦で判定負けして以来の試合となる。対するヘルドは今年1月の後楽園で初来日し、フェザー級世界王者・斎藤裕に2R TKO負けして以来の試合だ。
1R、宇野はサウスポーに構え、圧力をかけて組み付き、30秒ほどでテイクダウンに成功する。宇野は中央付近でハーフガードで押さえ、1分半過ぎにマウントに移行する。宇野はバックを狙うが、バランスを崩すと、ヘルドは落とし、バックを奪い返し、裸絞めを狙う。宇野はもがくが、ヘルドは四の字で捕まえながらバックをキープする。
2R、宇野は1Rよりも早い時間にテイクダウンに成功し、金網際でハーフで押さえる。1分過ぎにパスガードに成功し、アームロックを狙いながら逆サイドに移る。宇野がパウンドを連打すると、ヘルドは動いて片足タックルを仕掛けて来るが、宇野は背後に回るとチョークを極めてタップを奪った。
3年7か月ぶりに勝利した宇野は、3人に子供たちをケージの中に呼び寄せて一緒に記念撮影。マイクを持ち「やっと子供たちをマットに上げることができました。新しいチームになって3年かかったんですけど、やっと一つ結果を出すことができました。青木(真也)君ありがとう。やっと言えるな」と話すと、青木もケージに入って握手しながら、宇野は「俺たちはファミリーだ」と、青木の決めゼリフを引用してアピールした。続けて「今回に向けてKRAZY BEEで凄い練習させてもらいました。ありがとうございました。KIDがたぶん、KRAZY BEE来るように呼んでくれたんだと思います」とも話し、最後は「もう少しだけ僕は総合格闘技やらせてもらいます。修斗30周年、宇野薫もまだまだ走り続けますんで、これからも応援よろしくお願いします」と締めくくった。
第10試合 セミファイナル バンタム級 5分3R
×根津優太(&MOSH/世界2位、環太平洋1位、元環太平洋王者)
○倉本一真(修斗GYM東京/世界6位、環太平洋4位)
3R 0’01” TKO (コーナーストップ)
倉本は12~14年のレスリング全日本選手権で優勝。MMA転向後、2年前のプロ修斗デビューから6戦全勝。昨年11月の岩鬼戦でのジャーマンスープレックス4連発でインパクトを残し、3月・7月と3連続1RKO勝ち中だ。対する根津はプロ修斗デビューから約13年のベテラン。韓国のROAD FCでの5戦を経て、昨年5月から修斗に戻り、魚井フルスイング、平川智也、祖根寿麻を相手に3連勝中だ。
1R、スタンドの展開が続き、1分半過ぎ、根津が左ジャブ、左ミドル、右ローを立て続けに当てる。中盤には右ロー、カーフキックを当て、倉本のタックルを切り続ける。だが倉本は右のバックハンドブローを2連続で当てると、組み付いて首投げでテイクダウンに成功する。根津は逃げようとするが、倉本はしがみつき、サイドで押さえパウンドを連打する。根津が背中を向けると、倉本は高速のジャーマンで根津を頭からマットに叩きつける。その後も倉本はパウンドも絡めつつ、さらになんとプラス5度もジャーマンで根津を叩きつけ、根津にダメージを与える。1R 6度ものジャーマンは世界のMMA史上でもおそらく無いはずで、場内はどよめく。
2R、倉本は1分ほどでタックルでテイクダウンに成功し、もがく根津をトップ、バックでコントロールし続ける。根津は立つが、すぐグラウンドに引きずり戻す。倉本も1Rのジャーマン6発で体力を消耗し、動きは落ちているが、3分半頃からジャーマンを2発決める。倉本は終盤、パウンドを連打し、立った根津を金網に詰めパンチを連打し追い詰める。
根津は2Rいっぱいまで耐え、コーナーに戻ったが、目は虚ろで、インターバル終了後に立とうとしたところでふらつく。3R開始のブザーが鳴るが、すぐさま根津陣営が棄権を意思表示するバトンをケージに投げ入れ、倉本の勝利となった。
これでデビュー以来7連勝となって倉本は「僕ももらう場面も多かったですし、根津さんはベテランで上手いですし、勝ったことは僕にとっては大きなことなんで、まずは修斗のチャンピオン、そこから上目指して、今以上に頑張るので、これからもっと注目してください」とアピールした。
第9試合 フライ級 5分3R
○清水清隆(TRIBE TOKYO M.M.A/世界4位、元パンクラス王者)
×ショージン・ミキ[Shojin Miki](米国/HMC)
1R 4’19” TKO (レフェリーストップ:スタンドパンチ連打)
清水は5月の後楽園世界フライ級王者・扇久保博正に挑戦し、4Rの偶発的なバッティングによるテクニカル判定で敗れた。9月、Road to ONE CENTURY新木場大会では、パンクラス同級4位の秋葉大樹を1R左フック一撃でKOしている。今回は意外にも約40戦のプロキャリアで初の国際戦。ミキはベラトールにも参戦経験があり、7月には判定負けしたもののハワイのX-1のメインのタイトルマッチも経験している。
1R、長身のミキが圧力をかけ、清水は距離を取り、時折飛び込んで左右のフックを当てる。両者慎重なファイトが続いたが、3分過ぎから清水の左右のパンチが度々当たるようになり、ミキは鼻血を出す。終盤、清水が払い腰で倒すが、すぐスタンドに戻る。清水が左フックでミキをダウンさせ、その後も金網に詰めてパンチを連続で当てる。ミキが背中を向けながら脱出して走ったところで、やや早めにも見えたが豊永レフェリーがストップした。
第8試合 修斗女子初代スーパーアトム級(50kg)王座決定トーナメント一回戦 5分2R(延長1R)
○黒部三奈(マスタージャパン/元DEEP JEWELSアトム級(47.6kg)王者)
×ターニャ・アンゲラー(ドイツ/ゲルマン・トップ・チーム/Respect FCストロー級王者、AFSOドイツMMA王者)※ターニャ・ホフマンから表記変更
2R 4’52” KO (グラウンドパンチ)
プロ修斗初の女子王座が設立され、今大会から7選手参加のトーナメントがスタートする(インフィニティリーグ優勝者の杉本恵は3月29日の後楽園大会の準決勝から出場)。
元DEEP JEWELS王者の黒部は7月にプロ修斗に初参戦し、韓国のイ・イェジに2R裸絞めで一本勝ちしている。アンゲラーは空手をベースとし、柔術茶帯を持つ。
1R、黒部がタックルで倒すが、アンゲラーはすぐ動き、下から執拗に腕十字を狙う。黒部は防御し、金網に押し付けると、腰を上げてスペースを作りながら左右のパウンドを的確にヒットする。終盤はサイドで押さえ、肘、鉄槌を当て続ける。
2R、アンゲラーが右ストレートを当てると、黒部は腰が落ちピンチに。黒部は組み付いて防御しながら倒して上になる。アンゲラーも抵抗せず下に引き込むような動きで、1R同様に腕十字を狙うが、黒部がパウンドを落とし続け、着実にアンゲラーを消耗させる。中盤、黒部がサイドを奪い、しばらく押さえ、残り1分にはマウントへ。もがくアンゲラーにパウンドを当て続け、福田レフェリーがストップした。
42歳の黒部は「若くないんで、ここで負けたら後が無いので、あと2戦、絶対落とさないように気合入れて練習します」とアピールした。
第7試合 修斗女子初代スーパーアトム級(50kg)王座決定トーナメント一回戦 5分2R(延長1R)
×梅原拓未(GRABAKA)
○イ・イェジ(韓国/TEAM J)
2R 3’21” KO (グラウンドパンチ)
梅原は昨年末のAbemaTV「格闘代理戦争」で菊田早苗の推薦で出場した選手だが、黒部、しなしさとこ、渡辺久江らトップ選手と戦って来たイェジに圧倒される。
1R、イェジは開始すぐから右ローを当てると、右ストレートを当ててから梅原を下がらせ、パンチラッシュで倒しにかかる。梅原が倒して上になるが、イェジは数十秒でスタンドに戻し、右ハイをヒットする。中盤、イェジが度々上になり、組み付いてパウンドを落とすなどして主導権を維持する。終盤、イェジは右ローも効かせ、最後はマウントパンチと肘で追い詰める。
2R、梅原は背負い投げを仕掛けるが、イェジは耐えそのままバックマウントを奪う。イェジはじっくりチャンスをうかがい、次第にパウンドと肘のヒットを増やし、最後は福田レフェリーがストップした。
トーナメント一回戦の残り1試合、大島沙緒里(AACC)vs. ゼファーニャ・ンガヤ(フィリピン/チーム・ラカイ)は、来年1月26日の後楽園大会で行われる。大島は「一回戦でムエタイのナショナルチャンピオンに当たるのですが、私も21年やってきた柔道をバックボーンに試合をしたいと思います」とアピールした。
第6試合 ライト級 5分3R
×AB(和術慧舟會駿河道場/世界6位、環太平洋5位)
○キャプテン☆アフリカ(総合格闘技道場コブラ会/世界10位、環太平洋8位)
2R 1’10” TKO (レフェリーストップ:左フックによる右目の負傷)
寝技勝負との予想が多かった一戦だが、1Rはスタンド勝負が続く。ABは右目の下をカットする。中盤にABの右アッパー、終盤に左フックが炸裂。最後はABがパンチをまとめると、キャプテンは組んで投げを狙うが、ABは潰して上になって終える。
2Rもスタンドの打撃戦が続き、キャプテンが打ち合いの最後に左フックを続けて当てると、ABの右まぶたの出血が激しくなり、ドクターチェックが入り、最後はレフェリーがストップした。
第5試合 ライト級 5分3R
○田中 有(リライアブル/世界8位、環太平洋6位)
×岡野裕城(マッハ道場/世界9位、環太平洋7位)
判定3-0 (福田29-28/横山29-28/長瀬29-28)
1R、田中が序盤からタックルでテイクダウンを奪い、立たれても金網際でしがみつき続ける。終盤、離れると、田中が距離を取りながら右ストレート、左ジャブを当て主導権を維持する
2R、田中がパンチを連打し押し込むが、逆に岡野が押し返し、抱えてテイクダウンに成功する。だが中盤過ぎ、田中は脱出すると、テイクダウンを奪い返してバックを奪い、裸絞めを狙って岡野を追い詰め、このラウンドのポイントも取って点差を広げる。
3Rはスタンドの展開が続き、岡野が右のカーフキック、左ジャブ、右アッパーをを有効に当てる。終盤、岡野のパンチの指先が目に入ったか?田中が目を気にするが、豊永レフェリーは続行し、岡野が最後は上になってパウンドを連打するが、詰め切れず終了。1ポイントを奪い返すに留まり、田中が判定勝ちした。
第4試合 バンタム級 5分3R
×小野島恒太(Combat Workout Diamonds)
○手塚基伸(総合格闘技道場コブラ会)
判定0-3 (福田28-29/横山28-29/長瀬28-29)
1R、手塚がグラウンドに引き込み、リバースに成功するとバックマウントを奪う。小野島がもがけば、手塚はハーフで押さえ、終盤にもマウント、バックを奪い、コントロールを続ける。
2R、小野島が手塚のテイクダウンを防御し続け、離れれば右フックを当て、やや好印象。だが3R、手塚が1分過ぎにテイクダウンに成功し、金網際で小野島に立とうとしてもしがみつき、中盤にはバックを奪う。終盤はトップキープして終了。手塚が3Rのポイントを取り判定勝ちした。
第3試合 THINKS INTERNATIONAL presents Women’s SHOOTO -50kg インフィニティリーグ 2019 5分2R
○杉本 恵(AACC/勝ち点6→10)
×廣瀬里美(パラエストラ松戸/勝ち点0)
1R 2’20” 裸絞め
※杉本がインフィニティリーグ2019優勝
3月から始まったインフィニティリーグは今日が最終戦。第2試合の北野と原田のどちらかが1Rで勝てば4点獲得で逆転優勝の可能性もあったが、2Rに突入したことで、杉本は試合前に優勝が確定した。
杉本は試合開始のホーンが鳴ると同時に右の飛び蹴りで近づき、片足タックルを仕掛けてテイクダウンに成功する。そのままサイドポジションを奪うと、肩固めを狙いつつマウントを奪い、鉄槌を落としてからバックを奪う。裸絞めを極めると、廣瀬がタップし、杉本は無傷で最終戦をクリアした。
第2試合 THINKS INTERNATIONAL presents Women’s SHOOTO -50kg インフィニティリーグ 2019 5分2R
△北野きゅう(高田馬場道場・とらの子レスリングクラブ/勝ち点2→3)
△原田よき(赤崎道場A-spirit/勝ち点0→1)
判定1-0 (豊永19-19/片岡20-18/長瀬19-19)
第1試合 フェザー級 5分2R
×山本健斗デリカット(総合格闘技道場コブラ会/世界6位、環太平洋4位)
○SASUKE(マスタージャパン)
判定0-2 (豊永18-20/横山19-19/長瀬18-20)
オープニングファイト 2019年度新人王決定トーナメント・フェザー級準決勝 5分2R
×田村 渓(パラエストラ柏)
○藤野康宏(パラエストラTB)
判定0-3 (豊永18-20/横山18-20/長瀬18-20)
ジュニア修斗 53kg契約 3分1R (※休憩時間に実施)
○赤羽幾也(CROW FOREST/中学1年)
×佐々木瞬真(パラエストラ千葉/中学2年)
判定2-1