Road to ONE 9.10 渋谷O-EAST:青木真也、約1年ぶりMMAで判定勝ち「5年ぶりに、さいたまスーパーアリーナで試合がしたいんだよ」。猿田洋祐、内藤のび太との激戦制す
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Road to ONE:3rd TOKYO FIGHT NIGHT
2020年9月10日(木)東京・渋谷TSUTAYA O-EAST
レポート:井原芳徳 写真提供:ONE Championship( (C)SUSUMU NAGAO)
ONE Championshipのルールを採用し、ABEMA、TRIBE TOKYO M.M.A、サステインの協力で4月に開催された「Road to ONE:2nd」の続編。前回は新型コロナウイルス感染対策で無観客で開催されたが、今回は約200人の観客を入れて開催された。ONEの本戦はタイで7月末から再開したが、外国への渡航制限が続くこともあり、今回のRoad to ONEではONE歴代王者の青木真也、猿田洋祐、内藤のび太の3人の揃い踏みが実現した。大会名に「Road to」と付くが、ONEの公式アプリ等を通じて世界中に配信され、本戦に引けの取らない大会となる。
第6試合 メインイベント MMA ライト級(77.1kg) 5分3R
○青木真也(EVOLVE MMA/元ONEライト級王者)
×江藤公洋(和術慧舟會HEARTS)
判定3-0
4月大会に続き青木がメインイベントに登場するが、今回はグラップリングルールではなくMMAルール。青木に挑む江藤公洋はONEのABEMA中継解説者・大沢ケンジ氏の弟子。レスリングでは高校時代にインターハイで優勝し、専修大時代も全国トップ戦線で活躍。MMA転向後はDEEPを主戦場とし、ONEのトライアウト「Warrior Series」で3連勝。今年2月のONEでアミール・カーンを裸絞めで仕留め、本戦2戦目で初白星を飾った。青木のMMAは昨年10月13日のONE両国のホノリオ・バナリオ戦でダースチョークで一本勝ちして以来約1年ぶり。対日本人で格の違いを示す上でも、コロナ禍における持論の説得力を高める上でも、健在ぶりを示したい試合となる。
1R、青木は最初から組みに行き、江藤は突き放すが、すぐさま青木は足元へタックルを仕掛けて倒す。青木は金網に押し込んでから背後に回り込み、じわじわと手足と体を動かしバックマウントに近づく。青木がパウンドを当ててから、裸絞めを仕掛けようとするが、江藤は間一髪で防ぐ。中盤以降、青木はバックをキープし、パンチ、肘を当て続け、裸絞めのチャンスをうかがう。
2R、江藤は飛び膝の奇襲を仕掛け、かわした青木の背後に乗り、裸絞めを狙い、千載一遇のチャンスを迎えるが、極まりは浅く体が乗り過ぎてしまう。青木は振り落として脱出するとすぐ組み付き、1R同様、金網際でバックマウントをキープする。中盤以降、この体勢が続き、青木は時折パウンドを当てるが、江藤はアゴを引き、防御を徹底する。
3R、40秒過ぎに青木がタックルを仕掛けて倒し、またも金網際でバックマウントに。だが今度は青木がマットに寝た状態で四の字フックで捕獲しており、2Rまでよりも裸絞めを仕掛けやすい体勢になる。しかし江藤も防御を続け、青木は極めの形に持ち込めず終了する。
記者採点は裸絞めを再三狙い続けた青木。ジャッジ3者も同様で、青木が寝技で圧倒する内容で判定勝ちした。青木は勝利者賞を渡すONE日本支社の秦アンディ英之代表に対し、苛立った様子で何かを問いかけた後、マイクを持つと一気に吠える。
「蓋開けてみればな、ここまでの貧乏くじ引かされるとは思わなかったよ。この混乱はどうやら自分自身の人生の反映ということだよ。これから混乱はどんどん起きていくだろう。でも今なら言える。人生は祭りだ。共に生きよう。あとな、日本の格闘技、盛り上げるって言うんだったら、俺がここで試合をしているのはおかしいのがわかるだろう?わかんねえのか、お前ら、そこまで馬鹿か?俺が試合したいのは、5年ぶりに、さいたまスーパーアリーナで試合がしたいんだよ。この意味わかるか?青木真也が人生懸けて、存在懸けて、この思い伝えるんだよ。関係者、偉そうな立場で格闘技盛り上げるって言うんだったら、このカード実現してみろよ、わかってんだろ?」
そうまくし立てた青木は、マイクを投げ捨てて退場した。今大会の会場、渋谷TSUTAYA O-EASTのキャパシティは最大でも500程度。ONEは昨年、両国国技館で春と秋に大会を開催したが、コロナ禍の現状、たまアリ大会を開催する可能性は低い。青木のアピール後に画面に映った秋山成勲戦なら話題性は高いが、ONEがたまアリに進出するなら、同等の話題性のカードを他にも並べる必要はあり、険しい道のりとなる。「日本の格闘技を盛り上げる」という目的も合わせて考えると、青木のアピールは15年末の桜庭和志戦以来となるRIZIN参戦という選択肢も浮上するが、その後、ONEとRIZINの交流は途絶えており、交流再開の兆しも無い。なお、ONE本体は10月のシンガポール大会開催を模索中で、青木はそこへの参戦も希望している。今回のアピールは、RIZIN参戦希望という意味合いは乏しく、より多くの人の注目を浴びる舞台・マッチメイクを希望するというニュアンスだったようだ。
第5試合 セミメインイベント MMA ストロー級(56.7kg) 5分3R
○猿田洋祐 (和術慧舟會HEARTS/ONEストロー級1位、元ONE&修斗世界ストロー級王者)
×内藤のび太[内藤禎貴] (パラエストラ松戸/ONEストロー級2位、元ONE&修斗世界ストロー級王者)
判定3-0
猿田×内藤は修斗とONEでストロー級王座を獲得経験のある選手同士の顔合わせ。猿田は「のび太選手に勝って、日本ストロー級ナンバーワンとして王者のジョシュア・パシオ選手に挑戦したい」「うまく戦おうとは思いません。のび太選手と同じようにキツい戦いをして、疲弊させて、パウンドアウトしたい」と話したが、試合の位置付けも攻防のキモもまさにその言葉通りの試合に。
1R、スタンドでお互いパンチを狙う攻防が続く。中盤、のび太が片足タックルで倒し、両足を抱えてしがみつくが、猿田は金網を背にして座った状態を続ける。猿田は守勢ではあるが、鉄槌を細かくのび太の胴体に当て続ける。終了間際、猿田はギロチンチョークを仕掛けながら引っ繰り返し、上から膝を当て、パウンドを連打し、好印象で終える。
2R、スタンドの展開が続き、中盤、猿田が胴タックルで倒し、ケージ中央で上になる。だが数十秒でのび太はスタンドに戻す。パンチの打ち合いで被弾したのび太は右眉から少し出血する。3分半過ぎ、今度はのび太がタックルを仕掛けて倒し、1R後半と同じ金網際での攻防に。終了間際、猿田は脱出して終える。
3R、1分過ぎにのび太がタックルを仕掛けるが、今度は猿田がすぐ切って脱出する。中盤、今度は猿田がタックルで倒してののび太が金網を背に座る構図となるが、30秒ほどでスタンドに戻る。お互い必死にパンチを振るい、消耗戦となるが、なかなか有効打の出ない展開が続く。最後は内藤が押し込むが、倒せず、離れてパンチを打ち合ったところで終了する。
僅差の展開で、お互い決め手が乏しい内容だったが、記者採点は1R終了間際に攻め込み、フィニッシュに近づいた猿田。ジャッジも3者とも猿田を支持し、猿田が激戦を制した。
猿田は「自分のやりたい試合を組んでいただいてありがとうございます。修斗時代から内藤選手とやりたいと思ってストロー級に落としました。内藤選手ありがとうございます。でもフィニッシュできなかったので、自分はまだまだです。内藤選手と(自分の)2人の応援をこれからもお願いします。青木選手のように頭のいいことを言えないですけど ONEのストロー級のチャンピオンにまたなりたいです。もっと日本の格闘技盛り上げたいです。もっと稼ぎたいですし、もっと有名になりたいのが素直な気持ちですので、これからも応援お願いします」とアピールした。
第4試合 MMA ウェルター級(83.9kg) 5分3R
○手塚裕之(ハイブリッドレスリング山田道場/パンクラス・ウェルター級王者)
×グンター・カルンダ[Gunther Kalunda](コンゴ民主共和国/タップアウト・アカデミー/元南アEFCウェルター級王者)
1R 1’15” KO (左フック)
カルンダはONEウォリアーシリーズに昨年から上がり1勝1敗。現在は日本に移り住み練習している。1R、カルンダはサウスポーに構え、手塚はオーソドックスに構え、手塚は左ストレート、左ローを当てる。まだどちらも攻撃の少ない状態だったが、カルンダが大振りの左フックで飛び込んだところで、手塚がかわしながら左のショートフックを叩き込む。ダウンしたカルンダにパウンドで追い打ちをかけたところでレフェリーがストップした。見事な秒殺勝利の手塚は「日本のビースト強いでしょ?これから勝ち上がるんで応援お願いします」とアピールした。
第3試合 MMA バンタム級(65.8kg) 5分3R
×今成正和(今成柔術/元DEEPバンタム級&フェザー級王者、元Cage Rageフェザー級王者)
○根津優太(&MOSH/修斗バンタム級世界2位)
判定0-3
1R、今成はマット上を前転したり、ノーガードで挑発しながら組みの展開につなげようとする。根津は防御を続け、時折右ローを返す。3分半、ようやく今成が根津の左足をつかむが、根津は動いて10秒ほどで逃げる。終盤、今成はサウスポーにスイッチし、根津に右ローを打たせない。
2Rも今成はサウスポーを続ける。根津は圧を強めて距離が近くなり、今成は1Rのように前転から足関を狙うことができない。根津も攻撃が減るが、今成よりも当てており、良い印象を残す。
3R、今成は序盤から圧を強め、挽回を狙うが、根津はかわし続け、随所で右ロー、左ジャブを当てる。最後まで根津が集中力を切らさずプランを貫き、今成の仕掛けを封じ続け判定勝ちした。
第2試合 ムエタイ ストロー級(56.7kg) 3分3R
○朝陽・PKセンチャイムエタイジム(エイワスポーツジム/WBCムエタイ世界スーパーバンタム級王者)
×KING強介(team fightbull/元REBELS-MUAYTHAIスーパーバンタム級王者)
判定3-0
1R、朝陽は高く構え細かい左の前蹴りでフェイントをかけ続ける。強介は細かく出入りを繰り返し、パンチの機会を伺い、右ローも狙う。お互い有効打は乏しい。
2R、朝陽が強介の右の蹴りをつかんで倒す展開を繰り返すと、中盤、強介が左フックを放ったタイミングで、朝陽がかわしながら飛び込んで左フックを当ててダウンを奪う。強介は鼻血を出すように。
3R、強介は挽回を狙い圧力をかけ続けるが、朝陽はリーチ差を活かしつつ回って距離を取り、なかなか入らせず終了。2Rのダウン分の差で朝陽が判定勝ちした。なお、この試合は朝陽のONEとの契約査定試合で、今回の勝利で契約はおそらく確定だろう。
第1試合 キックボクシング ストロー級(56.7kg) 3分3R
○有井渚海(及川道場)
×黒田直也(ハーデスワークアウトジム)
2R 2’20” KO (左膝蹴り)
ONEウォリアーシリーズでも既に勝利している有井が第1試合に登場。1R、有井はパンチを打ちつつ左右のハイにつなげようとするが、ブロックされ続ける。黒田は右ロー、左ミドルを随所で当てるが、有井は崩れない。両者互角の展開が続く。
すると2R中盤、有井が距離を詰めると、パンチの連打から左ボディを効かせる。苦しむ黒田にパンチを当て続け、左膝蹴りでダウンを奪う。最後は左ハイと左膝を連打し、黒田をマットに沈めた。