RIZIN 11.20 沖縄アリーナ(全試合レポ):RENA、山本美憂をタックルへの膝で返り討ち。皇治、RIZIN初勝利。前田吉朗、砂辺光久との激戦制す。ベイノア、逆転KO勝ち
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
中野駅徒歩3分。平日7~23時、年中無休営業。入会金&月謝2ヶ月分無料!
Yogibo presents RIZIN.32
2021年11月20日(土) 沖縄アリーナ
レポート:井原芳徳 写真:(C)RIZIN FF
RENA、山本美憂をタックルへの膝で返り討ち
第13試合 メインイベント MMA 女子50kg契約 5分3R
○RENA(シーザージム/シュートボクシング女子世界フライ級(51kg)王者)
×山本美憂(KRAZY BEE/SPIKE 22)
2R 3’35” TKO (レフェリーストップ:右膝蹴り→グラウンドパンチ)
RIZIN初の沖縄大会の行われる沖縄アリーナは沖縄市のコザ運動公園に今年春オープンした1万人規模の新会場。バスケットボールBリーグ・琉球ゴールデンキングスのホーム会場で、アリーナ建設以前は闘牛場だった。RIZINの榊原信行CEOはPRIDEをUFCに売却した07年の翌年から5年間、サッカーのFC琉球の代表を務めており、沖縄とは縁がある。榊原氏は大会の開始前リングに上がり「全国の色んなアリーナを使っていますが、ここが日本一です。RIZINの東の聖地がさいたまスーパーアリーナなら、西の聖地を沖縄アリーナにしたいです」と話す。
RENAは昨年9月の埼玉大会で富松恵美に判定勝ちして以来1年2カ月ぶりとなる。6月には30歳になった。富松戦後は「あと2・3試合で、このリングから降りようと思っています」と話していたが、10月の沖縄での会見では「頑張り切れる理由を作りたくてその言葉を使いました。最終章に向けて気を引き締めて頑張りたいです」と説明し、残り試合数にはこだわらない方針を明かしている。
美憂は47歳。16年9月、レスリングからMMAに転向しての初戦でRENAと戦い、ニンジャチョークで一本負けしているが、その時はMMAの練習を始めて3か月しか経っていなかった。試合は昨年大晦日大会で女子スーパーアトム級王者・浜崎朱加に挑戦し、1Rネックシザースで一本負けして以来。糸満市のKRAZY BEE沖縄ジムで長らく練習しており、沖縄大会の計画段階から出場とメインイベントを希望し、メインに相応しい相手として榊原氏はRENAを選んだ。
1R、美憂がサウスポーに構え、右ジャブを突きながら右に回り距離を取る。中盤、美憂が胴タックルからコーナーに押し込む。RENAは耐え、右肘と膝を当ててから突き放す。RENAは左ローを当てるが、美憂も左フックを返す。終盤、美憂が両足へのタックルでテイクダウンに成功。リング中央付近で上から押さえ、パウンドを狙うが、RENAは足を登らせ、三角絞めを狙い、腕十字に移行する。美憂は防御に失敗して腕を伸ばされるが、耐えて動いてピンチを逃れる。RENAが寝技で先手を取るラウンドに。
2R、美憂は序盤からテイクダウンに成功し、中央付近で上になる。RENAは下から腕をつかんだり、足を登らせて抵抗する。美憂はもがきながら時折強引にパウンドを当てると、RENAは右まぶたをカットし出血する。
中盤過ぎ、RENAはスタンドに戻すことに成功。すると美憂は両腕を上下に広げるニータップの形でタックルを仕掛けて押し込むが、RENAはすぐ脱出。美憂はそれでもRENAの右足にタックルを仕掛けるが、RENAはカウンターの右膝蹴りをヒット。アゴにもらった美憂はうつぶせで倒れ、RENAが押さえながら左のパウンドを連打し、美憂が防戦一方となったところでレフェリーがストップ。RENAがより進化した姿を見せつつ、返り討ちに成功した。
RENAは「山本美憂さんがいたからここまで女子格闘技を作って来られて、5年ぶりの戦いで、お互いボロボロになるぐらい、いい試合ができたと思います。ありがとうございます。沖縄はよく来るので、また沖縄のリングで試合したいです。大晦日も試合したいので応援してください」とアピール。最後は久々の「1、2、3、シュート」のコールで締めくくった。
美憂は涙を流しながらも「ただいま」と話し始め「沖縄に帰って来て強くなったところを見せたかったんですけど、負けてごめんなさい。ここまで戦えたのはみんなの応援のおかげだと思っています。ありがとう」と話すと、場内は拍手に包まれた。
皇治、ダウン奪いRIIZN初白星。大晦日のシバター戦に意欲
第12試合 キックルール(つかんでからの攻撃は1回。肘無し) 62kg契約 3分3R
○皇治(TEAM ONE/ISKA K-1ルール世界ライト級王者)
×祖根寿麻(ZOOMER/修斗バンタム級世界4位・元環太平洋王者、元DXFC&TENKAICHI MMA同級王者)
判定3-0 (大藪30-28/豊島30-28/片岡30-27)
皇治は6月の大阪大会のキックトーナメント以来の試合。昨年からRIZINに参戦して4試合、まだ白星が無いことから、10月の会見では「負けたら引退」と明言している。
祖根は沖縄出身・愛知在住の33歳で、沖縄の大会・TENKAICHIのMMA王座獲得実績もある。3年前からRIZINに上がり、元谷友貴、ジャスティン・スコッギンスに敗れ、今年3月の名古屋大会では獅庵に1RでKO負けしている。立ち技では17年のKrush名古屋大会で秀亮にKO勝ちしたことがある。皇治の沖縄大会出場発表後、対戦相手募集を聞きつけアピールしていた。今回の試合に備え、名古屋のキックの名門・OISHI GYMで練習を積んだ。
1R、お互い距離を取り、皇治は右ロー、祖根は右カーフキックを当てる。中盤、皇治は右テンカオをヒット。終盤、皇治は圧力を強め、右フック等を増やすが、まだヒットは少ない。コロナ対策で声援は禁止だが、次第に皇治コールが巻き上がるように。記者採点は若干皇治優位だがイーブン。
2R、皇治は圧を掛け、右ミドル、左ボディを当て、祖根も右ロー、テンカオを返す。中盤、皇治が右ローを連打すると、祖根は少し足が流れるように。終盤、皇治は圧力を強めるが、祖根は右アッパーをクリーンヒットし好印象を残す。祖根の巻き返しも光ったが記者採点はイーブン。
すると3R、祖根が前に出て右ボディを当てるが、続けて左フックを放つと、カウンターで皇治が左フックを当ててダウンを奪う。祖根は右アッパーをヒットするが、負けられない皇治はひるまず前に出て、終盤の打ち合いでも左フックをヒット。だが左ボディを放つとローブローとなる。再開後、後の無い祖根は前に出て左フックをヒット。だが皇治も左ハイ、右テンカオを当て、皇治の反撃を封じて終える。記者採点は10-8で皇治。合計30-28で皇治。ジャッジ3者も皇治を支持し、皇治がRIZIN初白星をもぎ取った。
皇治は「人生、上手いこと行かなくても、K-1で武尊や卜部に喧嘩を売り、RIZINでも喧嘩を売り、自分はたいしたことないですけど、信じた道を貫いて来ました。でも人の嘘話で金稼いで、階級下の奴ばっかり喧嘩売ってる男と、どっちがカッコいいんですかね?おい、嘘こきシバター、男らしいやろうや。シバターでも、大雅でも、誰でしたっけ、こないだ試合したピーマン(=YA-MAN)でも誰でもいいですよ。俺は不器用でも逃げ隠れしません。こんな時代やからこそ、大晦日、懸命に盛り上げます」とアピールした。
RIZIN 11.20 沖縄アリーナ:榊原信行CEO総括「人間ドラマの凝縮された大会だった」。大晦日は「試合数が結構多い」「月が明けてからドーンと発表」、天心戦は「引き続きノーコメントで(苦笑)」
前田吉朗、18年ぶり砂辺光久との激戦制す
第11試合 MMA 58.5kg契約 5分3R
×砂辺光久(reversaL Gym OKINAWA CROSS×LINE/元パンクラス・ストロー級・スーパーフライ級・フライ級王者)
○前田吉朗(パンクラス大阪稲垣組/ENCOUNTER/修斗世界フライ級3位、元DEEPバンタム級王者、元パンクラス・フェザー級王者)
判定0-3 (豊島=前田/片岡=前田/大藪=前田)
沖縄のMMAのパイオニア・砂辺は現在42歳。01年にパンクラスでプロデビューしキャリア20年で、パンクラスでは3階級でベルトを巻き、19年にはパンクラスの初代殿堂入りを果たした。18年9月にRIZINに初参戦し、当時DEEP王者だった越智晴雄にTKO負け。続く19年7月の試合では北方大地に破れパンクラス・ストロー級王座から陥落し、試合はそれ以来2年4か月ぶり。階級を上げての戦いとなる。
前田も40歳のベテラン。砂辺とは03年5月にパンクラスで対戦し、当時デビュー2戦目の前田が、デビュー3連勝の砂辺に判定勝ちした。06年にはパンクラスでフェザー級王者になり、PRIDE武士道、UFC軽量級の原型であるWEC、DREAMにも出場。12年にはDEEPで大塚隆史を破りバンタム級王者となり、和田竜光を破り防衛。近年は修斗を主戦場とし、3団体制覇を目指していたが、今年3月、フライ級の新鋭・平良達郎に1R一本負けし、それ以来の試合。砂辺の提案により、なんと18年半ぶりに砂辺と再び肌を交えることになった。今回は村元友太郎の代役での緊急出場の前田に合わせ、フライ級とバンタム級の中間の58.5kg契約で争われる。
1R、前田は開始すぐから距離を詰め、左フックを放ってからタックルを仕掛けて倒し、砂辺が立ってもしがみつき、コーナーに押し込み、テイクダウンを奪う。リング中央で前田が押さえるが、砂辺は足を登らせ三角絞めを仕掛ける。前田はもがいて外すが、砂辺はオモプラッタを仕掛けながらリバースに成功する。しかし前田もすぐに動いてオンブに。砂辺は後方に勢いよく倒れて脱出を狙う。マットに背中を打ち付けた前田は少し効いたか?砂辺を捕まえる力が弱まり、砂辺は脱出に成功してスタンドに戻す。最後は砂辺が押し込んでパンチを連打して終える。
2R、前田はサウスポーからの左ハイ、砂辺は右フック、左ローを当てる。中盤、前田が押し込むが膠着ブレイク。前田は飛び膝を仕掛けつつ、タックルで倒し、立たれても背後からしがみつくが、終盤、砂辺も背後からしがみつき返す。だが前田もタックルを仕掛け返し、お互い譲らない展開に。残り30秒、ブレイクがかかるが、下になっても逃げ切れる時間帯のため、前田は胴廻し回転蹴りから足関に移行し、最後までチャンスを作ろうとする。ここまでは一進一退の接戦だ。
3R開始前、お互い抱き合ってから試合開始。両者とも技の応酬を楽しんでいる様子で、その応酬が3R目はさらに拍車がかかることに。序盤、お互い右フックを当て、早速気迫がぶつかり合うが、直後にバッティングとなり、一時中断。砂辺は鼻血を出すが、1分程の休憩で再開する。前田はタックルでテイクダウンに成功。前田は一旦立ってから、踏みつけを放ちつつ足関を狙い、そこからパスガードに成功する。鼻血の影響もあってか疲れが見えて来た砂辺に対し、前田は動きを切らさずバックを取り、足を伸ばして顔を蹴ろうとする。砂辺は立ちあがり、オンブされた状態のまま、1R同様に背後に叩きつけるが、前田は今回はバックマウントをキープする。
終盤、少し体勢が崩れると、砂辺は膝十字を狙うが、前田は防御し、スタンドに戻して押し込む。膠着し、福田レフェリーがブレイク。すると前田は左ハイを当てるが、砂辺は耐え、パンチの打ち合いに。最後は真後ろにスリップした前田の顔面を、砂辺が踏みつけたところで終了する。記者採点は3Rにバックキープし主導権を長時間維持した前田。ジャッジ3者も前田を支持し、前田の判定勝ちとなった。
40代同士とは思えないノンストップかつ豊富な引出しを開き合う好勝負を制した前田は「ミッチー、呼んでくれてありがと 楽しいバカンスになったわ。これ何の査定マッチでしたっけ?フライ級?ミッチーが査定とか一人で言ってたんですけど、俺が強すぎたたけで、ミッチー合格でしょ?ミッチーなんか言え」と皮肉を効かせて砂辺を立てつつ、砂辺にマイクを渡す。砂辺は「まず4週間前にラブコールを受けてくれた前田吉朗、ありがとうございました。最後、完全決着したかったから、立ち上がって殴り合いを求めました。負けたけどどうでもいいや また吉朗とやりたい。沖縄のみんな、RIZINどうですか?RIIZN関係者の皆さん、沖縄どうですか?前田吉朗どうですか?終わらせないよ、この最高の男とまだストーリー作るから」とアピール。最後は前田も「みんなありがとう」と話した。
第10試合 MMA ヘビー級(120kg) 3分3R
○ボビー・オロゴン(ナイジェリア/ぼびバラチーム/95.45kg)
×北村克哉(チーム北村/武蔵村山さいとうクリニック/110.80kg)
2R 2’34” 裸絞め
※15kg以上軽いオロゴンがグラウンドでの足による頭部打撃を認めたため、体重差特例を適用せず
オロゴンのMMAは07年大晦日のDynamite!!以来14年ぶり、試合自体は11年10月のGRABAKA主催興行でのミノワマンとのグラップリングマッチ以来10年ぶり。昨年5月、妻への暴行容疑で逮捕され、今年5月にさいたま地裁から暴行罪で罰金10万円の判決が下され、9月に芸能活動復帰を表明していた。現在55歳。
北村は35歳。専修大学出身で、大学卒業後は当時K-1を運営していたFEGに入社したが、アマチュアレスリングに専念し、08~10年の全日本選手権グレコローマン96kg級を3連覇した。11年にドーピング違反が発覚しレスリングを引退。16年、新日本プロレスでプロレスデビューしたが、19年に手首の怪我で引退した。最近はボディビルダー、ユーチューバーとして活動しつつ、昨年12月にはABEMA「安保瑠輝也、誰とでも戦います。」の企画で安保と戦っていた。15年に巌流島で勝利しているが、標準的なMMAルールの試合は今回が初だ。
北村はシューズを着用している。足関の攻防が無いと判断し、レスリング技術が活かせると考えたのだろう。1R、開始すぐから体格で勝る北村が片足タックルで倒して上に。ハーフで押さえ続けるがその先の攻め手に欠ける。最後はオロゴンが上になって終わる。
2Rもオロゴンの右ローをつかんで北村が倒して上に。だがロープの外に出てしまいブレイクがかかる。オロゴンが左フックを連打するが、北村はひるみつつも片足タックルを仕掛けて倒す。だがオロゴンはすぐに起き上がると、中腰で背後から押さえつつパウンドを当てる。北村は鼻血を出している。するとオロゴンは裸絞めを極め、北村は対処できずタップした。
ベイノア、逆転KO勝ちでMMA初勝利
第9試合 MMA 72kg契約 5分3R
×ロクク・ダリ(コンゴ民主共和国/TRI.H Studio/元GRANDウェルター級(77.11kg)王者)
○“ブラックパンサー”ベイノア(極真会館/RISEウェルター級(67.5kg)王者、元J-NETWORK同級王者、極真会館全日本ウェイト制2018軽量級優勝)
3R 1’09” KO (右フック)
ダリは柔道をベースとし、10年前からパンクラス、DEEPに出場し、14年からはGRACHANに10試合以上出場。昨年8月のRIZIN横浜大会ではキックルールで海人と対戦し敗れている。今年6月に窃盗未遂容疑で逮捕されたが、その後不起訴となっていた。
ベイノアはRISE王者。6月の東京ドーム大会でのMMAデビュー戦で弥益ドミネーター聡志に判定負けして以来2度目のMMA挑戦。9月のRISEで、ねぎ魔神に判定勝ちすると、大晦日出場に向けての査定試合を希望していた。
1R、階級が元々上のダリが圧力をかけ、右フックを振るいながら、タックルで倒し上になると、腰を上げて右のパウンドを落とす。ベイノアはすぐスタンドに戻すと、ダリのパンチをかわしたりブロックし、右のカーフキック、左インローを時折当てて、じわじわ削ろうとする。ダリは足を引きずり、サウスポーに切り替えるように。ベイノアはステップで距離を取りながら左ローを当てる。ベイノアは空手では無差別級で戦うことも多いため、圧力が上の選手への対処には慣れている様子だ。
2R、ダリはサウスポーから右フック、右ハイを振るうが、ベイノアはよく見えていて防御している。ベイノアは右ミドル、右インローを的確にヒット。だが中盤、ベイノアの右ミドルの直後、ダリが蹴り足をすくいつつ、左ストレートを当てベイノアをダウンさせる。ベイノアはその先の追撃は逃れ、スタンドに戻ると、右ミドル、左ロー、ハイをヒット。ベイノアはダウンの尾を引いていない様子だが、ダリもなかなか大崩れはしない。
3R、逆転を狙うベイノアはパンチの連打で詰めるが、ダリはタックルで倒し、ベイノアが立ってもすぐ倒す。ダリは立ちあがってサッカーボールキックを放つが、ベイノアはその隙に立ち上がる。するとダリがベイノアをロープ際まで下がらせ、パンチを連打し左膝蹴りにつなげるが、ベイノアは全てブロックしてから右フックをクリーンヒット。カウンターでもらったダリはダウンし、ベイノアが上からパウンドをまとめようとしたところでレフェリーがストップした。
空手仕込みの鋭い蹴り、突きを活かし、見事逆転KO勝ちに成功したベイノアは「大晦日、出たいので、帰ってすぐ練習します。対戦相手もルールも階級もなんでもいいので出させてください」とアピールした。
大原樹理、越智晴雄、宮城友一、今後につなぐ勝利
第8試合 MMA 72kg契約 5分3R
○大原樹理(KIBAマーシャルアーツクラブ/DEEPライト級暫定王者)※大原樹里 改め
×渡慶次[とけし]幸平(クロスポイント吉祥寺/ラウェイAIR KBZ 75kg級 2018王者)
1R 1’16” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
大原は9月23日のDEEPでZST王者の小金翔に判定勝ちすると「(9月19日のRIZINで)現チャンピオン(=武田光司)、俺が勝った奴(=矢地祐介)に負けてますね。現チャンピオンに興味なくなって。去年9月、俺(RIZINに)出たの忘れてない?俺のこと忘れんじゃねーぞ」と、武田と矢地にアピールしていた。その矢地戦とDEEPの4試合を合わせ現在5連勝中だ。
渡慶次は沖縄出身の33歳。パンクラスに12~17年出場し、17年には10月のRIZIN横浜大会にも出場した新居すぐるにフットチョークで一本勝ちした過去もある。同年から頭突きあり・グローブ非着用の立ち技格闘技・ラウェイの試合が主体となり、本場ミャンマーの選手たちもKOし、ミャンマーでタイトルを獲得。ファイトマネーをミャンマーの児童教育支援のため寄付する活動も行っている。
1R、サウスポーで左ミドルを放つ渡慶次に、大原がじわじわプレッシャーをかけ、右ミドルをヒット。さらに伸びのある右ストレートを当ててのけぞらせてから、渡慶次の左フックに左フックを合わせダウンを奪う。大原は途中ロープをつかんで踏みつけを連続で当ててしまい、レフェリーから注意されると、パウンドに切り替え、渡慶次が防戦一方となったところでレフェリーがストップした。
マイクを持った大原は「ダメージも無いので、大晦日、アイアンスパイダー、見たくないですか?お願いします」とアピールした。
第7試合 MMA フライ級(57kg) 5分3R
○越智晴雄(パラエストラ愛媛/元DEEPストロー級王者)
×曹 竜也(氷ヲ刻メ/池田道場)
判定3-0 (和田=越智/大藪=越智/片岡=越智)
越智は18年9月、RIZINで砂辺光久にサッカーボールキックでKO勝ち。DEEPとパンクラスのストロー級王者対決を制す。19年12月のベラトール埼玉大会ではジャレッド・ブルックスに判定負け。昨年8月にで川原波輝に一本負けしDEEP王座から陥落すると、今年9月のDEEPでフライ級に階級を上げ、渋谷カズキに判定勝ちしている。
曹は沖縄出身の36歳。長年パンクラスを主戦場とし、11年に佐藤将光と、13年に北方大地と引き分けている。14年12月のパンクラス沖縄大会で砂辺に判定負け。その当時は負けが続くも、17年から18年は3連勝。19年4月に砂辺の持つパンクラス・ストロー級王座挑戦を懸け、北方と再戦したが判定負けに終わった。試合は19年11月に八田亮にTKO勝ちして以来2年ぶりで、今回はフライ級に階級を上げての戦いとなる。
1R、越智がオーソドックス、曹がサウスポーに構え、両者回って打撃を狙う展開。中盤、越智が右フックを振るってから組み付いてコーナーに押し込むが、曹は押し返しボディに右アッパーを当てる。越智も負けじと右膝をお返し。終盤、離れると、終了間際に両者打撃を放つが、有効打とはならない。
2R、スタンドのお見合いの後、曹の左テンカオのタイミングで越智が右フックを放ち、そのまま倒し、バックを取るが、曹は脱出する。中盤も曹の左テンカオに合わせ、越智が組んで押し込むが、曹が押し返しブレイク。終盤、越智が背後から曹を押し込んで倒すと、抱え上げて倒し、がぶりの状態で頭に膝蹴りを当てて好印象で終える。
3R、越智の右フックで曹がバランスを崩すと、曹はそのまま上になり、立ち上がってサッカーボールキックを放つ。中盤、スタンドに戻り、曹は接近戦で肘を振るうが、越智は押し込み、抱えて倒し、またもがぶってから膝を頭に連打する。越智がバックを奪うが、曹は脱出する。終盤も越智がタックル、パンチで積極的に動いて終了。記者採点は2R以降の主導権を維持した越智。ジャッジ3者も順当に越智を支持し、越智が判定勝ちした。
第6試合 MMA フライ級(57kg) 5分3R
×安谷屋[あだにや]智弘(フリー)
○宮城友一(DROP/修斗フライ級世界5位、元GLADIATORライトフライ級王者)
1R 0’47” KO (左膝蹴り→グラウンドパンチ)
RIZIN初参戦の沖縄勢同士の対戦。安谷屋は34歳。THE OUTSIDERや地元沖縄のTENKAICHIで経験を積み、14年からDEEPに参戦。17年には現在RIZINバンタム級で活躍中の井上直樹と接戦の末に判定負けし、19年には後に修斗フライ級世界王者となる福田龍彌に判定勝ちしている。今年6月のDEEPではRIZIN出場経験もある伊藤裕樹に一本負けしている。
宮城は38歳。07年にパンクラス・ネオブラッドトーナメントで優勝。一時は引退したが、キックボクシングで復帰し20戦近く出場。近年はMMA主体となり、関西のGLADIATORではタイトルを獲得している。
1R、サウスポーの宮城が、開始すぐに突っ込んできた安谷屋に右のショートフックを合わせダウンさせる。立った安谷屋は宮城をコーナーに押し込むが、宮城が押し返すと、ボディに右膝をヒット。さらに右脇を抱えつつバランスを崩させると、左の膝を顔面にクリーンヒット。ダウンした安谷屋に鉄槌をまとめたところでレフェリーがストップした。
マイクを持った宮城は「キックボクシングの生徒たちに自分なりのキックボクシング、MMAを見せられてうれしいです。娘のしずく、勝ったよ」と話して涙を流すと「38歳ですけど、娘と妻にも強い姿をもうちょっと見せたいです。先生で大切にしている砂辺光久に繋げられたと思います。応援お願いします」とアピールした。
第5試合 MMA 女子スーパーアトム級(49kg) 5分3R
○にっせー(フリー)
×古賀愛蘭[あいら](TEAM FAUST)
判定2-1 (和田=にっせー/片岡=古賀/大藪=にっせー)
にっせーは沖縄出身。DEEP JEWELSを主戦場とし、19年12月、しなしさとこにTKO勝ち。その後は大島沙緒里、パク・シウ、青野ひかるに3連敗したが、今年9月の試合では古瀬美月にTKO勝ちし、RIZIN参戦を熱望していた。
古賀は福岡出身の20歳。高校在学中の19年、日本拳法の全国高校選手権で優勝。今年7月にDEEP大阪大会でプロデビューし1R左フックでKO勝ちすると、10月の東京での2戦目ではRIZINにも出場した竹林愛留に判定勝ちしている新鋭だ。セコンドには日拳の先輩・中村優作がつく。
1R、古賀が細かく出入りし、にっせーの前進をかわしつつ、序盤から的確に左右のフックをヒット。右ボディから左フックのコンビが上手い。中盤、にっせーが押し込み続ける展開。終盤、にっせーは腰投げに失敗し下になるが、すぐスタンドに戻すと、タックルで倒して上に。にっせーは腰を上げてパウンドを当て、最後は足関を狙って終える。
2R、序盤はコーナー際の差し合いが続くが、どちらも倒せず離れる。中盤、一旦離れるが、にっせーは圧力をかけ続けた後、コーナーに押し込んでタックルでテイクダウンを奪う。すぐスタンドに戻り、終盤にもにっせーが投げで倒すが、すぐ古賀が返して上に。少し肘を落として終える。ここまでテイクダウンではにっせーが上だが、打撃では古賀の印象が良い。
3R、古賀が距離を取りつつ、自分の右ロー、フックをヒット。中盤、にっせーがバックハンドブローを放ってから詰めて押し込み、タックルで倒す。だがその先は持ち込めず、終盤はスタンドに戻る。古賀は左フックをヒット。にっせーは疲れが目立ち、タックルを仕掛けるが潰され、古賀が上になりパウンドを当てる。だが最後、にっせーがパンチを当てると、古賀はダメージは小さいが少しバランスを崩し、にっせーが倒して上で押さえて終える。記者採点は打撃の的確さで勝った古賀。接戦のためジャッジは割れたが、2者がテイクダウンで上回ったにっせーを支持した。
勝ったにっせーは「沖縄からチャンピオンを目指します。年末私、空いてるので、榊原さん、よろしくお願いします」とアピールした。
第4試合 MMA 74kg契約 5分3R
×熊澤伸哉(闘心道/元THE OUTSIDER 65-70kg級王者)
○タナー・ロレンツォ [Tanner Lourenco](米国/琉球ファイトクラブ)
2R 1’34” 送り襟絞め
熊澤はパンクラスに主戦場にした後、13年にTHE OUTSIDERで王者に。RIZINのリリースによると「現在は武術家・武道家として活動しながら発達支援のデイサービス事業を立ち上げ地域に貢献している」とのことで、MMAは6年ぶり。現在40歳。
ロレンツォは25歳。カリフォルニアでレナート・ババルのジムでトレーナーを務めていたが、コロナ禍の影響でジムが閉鎖し、仕事が無くなり軍に入隊。今は沖縄の米軍基地に駐屯し、アマチュア3戦3勝や基地内の非公式戦を経験し、今回プロデビューする。
熊澤は半袖の道着、帯をつけての試合。1R、両者サウスポーで、熊澤はタックルを繰り返す。中盤、ロレンツォが左ハイを当てると、熊澤は蹴り足をつかんでテイクダウンに成功する。だがロレンツォはリーチを活かしつつ、下から熊澤の道着の襟をつかんで左肘を当てる。熊澤はアキレス腱固めを狙うが、ロレンツォは難なく対処し、労せずして上になることにに。そこからバックに回ると、パウンドを連打する。それでも熊澤は足関を狙うが、ロレンツォは防御して終える。熊澤の道着着用、足関狙いがいずれも裏目に出る展開に。
2R、熊澤は足元へタックルを仕掛けるが、ロレンツォは難なく切り、サッカーボールキック、踏みつけで苦しめ、グラウンドで押さえると、道着をつかみながら膝を入れると、最後は横三角を狙いつつ、送り襟絞めでタップを奪った。
第3試合 キックルール(つかんでからの攻撃は1回。肘無し) 73kg契約 3分3R
○宮城寛克(赤雲会/RISEミドル級(70kg)7位、元TENKAICHIウェルター級&ミドル級王者)
×ロペス薩摩(薩摩ジム/元NKBミドル級1位)
1R 2’39” KO (右ストレート)
宮城は地元沖縄のTENKAICHIのキックルールでウェルター級とミドル級で王者に。近年はRISEを主戦場とし、階級が下の中村寛には判定勝ちしているが、ベイノア、緑川創には敗れている。現在30歳。
薩摩は名前の通り鹿児島出身で11月4日で50歳になるベテラン。ゼロ年代にNKBを主戦場に活躍し、長年のブランクを経て、近年は九州の各大会に上がっている。
1R、サウスポーでベタ足で動く薩摩に、宮城が右ミドルを的確に当て、序盤から主導権。薩摩はパンチのスピードが遅く、宮城の攻撃にも反応できない。終盤、宮城が右ストレートを効かせ、パンチの連打でスタンディングダウンを奪う。薩摩は鼻が曲がっている。最後は宮城が右ストレートでダウンを奪って、和田レフェリーがストップ。宮城の完勝に終わった。マイクを持った宮城は「12月31日、大晦日、予定空いてます」とアピールした。
第2試合 MMA 58kg契約 5分3R
×TARKER(ALIVE沖縄支部シマジリアンズ)
○関原 翔(K-PLACE)
判定0-3 (豊島=関原/大藪=関原/田澤=関原)
TARKERは27歳で沖縄出身。修斗沖縄大会を主戦場としプロ戦績6勝2敗。関原は埼玉出身の28歳。19年5月にプロMMAデビューし、パンクラスを主戦場としランカーにもなった。昨年、RIZINやDEEP JEWELSに上がっている古瀬美月と結婚。今年2月からDEEPに主戦場を移し、力也、ヒロヤ、鮎田直人相手に3連勝している。
1R、TARKERがサウスポー、関原がオーソドックスに構え、お互いパンチ、膝を放つ。中盤、TARKERから組むが、関原が内股でテイクダウンに成功し、ハーフガードで押さえる。終盤、関原が肩固めを狙いながらパスガードに成功し、上四方からノースサウスチョークを狙うが、最後はTARKERがスタンドに戻す。
2R、TARKERの左の蹴りのタイミングで、関原が右ストレートを当てると、TARKERはスリップする。中盤、TARKERの疲れが見え始めると、またも関原が内股でテイクダウンに成功し、ハーフで押さえる。関原は時折左肘をヒットするが、TARKERも下からしがみつき、その先の攻めを許さない。
3R、両者パンチを振るうが、なかなかクリーンヒットにつながらず。関原も疲れが見え始め、中盤から雄たけびを度々上げて己を鼓舞する。終盤、お互いパンチを当てるが、ダウンには至らず、攻めきれないまま終了。記者採点は2Rまで寝技主体で優位に試合を運んだ関原。ジャッジ3者も関原を支持した。
天心の後輩・寺山遼冴がRIZIN初戦で完勝
第1試合 キック(肘無し・つかんでの攻撃は1回) 55kg契約(スーパーバンタム級相当) 3分3R
○寺山遼冴[りょうが](TEAM TEPPEN/DEEP☆KICK -53kg王者、RISEバンタム級(55kg)8位、新空手認定CKC 2021 -54kgトーナメント優勝)
×弘樹(Y’ZD南堀江GYM)
判定3-0 (豊島30-23/片岡30-23/長瀬30-23)
寺山はRISE QUEENミニフライ級王者・寺山日葵の弟で17歳・高校3年生。5歳から空手、6歳からキックボクシングを習い、アマチュアで100戦以上を経験。19年11月にRISEでプロデビューし、昨年9月にDEEP☆KICK -53kg王者に。今年7月の若手8選手参加による新空手認定CKC 2021-54kgトーナメントで優勝した。最近では9月のDEEP☆KICKで王座防衛に成功すると、体が成長したことから、55kgへの階級アップを表明していた。
弘樹は沖縄出身の29歳。プロ8年で、3月のRIZIN名古屋大会でRIZINに初出場したが、内藤凌太に判定負けしている。
寺山のセコンドには日葵と那須川天心がつく。1R、寺山がサウスポーに構え、弘樹の圧力をかわしつつ、左のミドル、テンカオ、奥足狙いのローを的確に当て、左ストレートも絡めて主導権を握る。終盤には左ボディと右前蹴りの連打でダウンを奪い、最後は左テンカオでもダウンを奪う。
2R、弘樹は打ち合いで活路を見出そうとするが、寺山がパンチ連打でダウンを奪う。しかし以降、寺山はパンチに偏ってしまい、ダウンを奪えない。弘樹も右のパンチを時折返す。
3Rも寺山が序盤に打ち合いの展開から、左ストレートの連打でダウンを奪う。だがその後の打ち合いでも、パンチが手打ちで雑になってしまう。弘樹も右ストレート、右ボディを返し、最後まで前に出て終了。寺山が大差の判定勝ちを果たしたが、試合運びで課題の見える内容となってしまった。
試合後のマイクで寺山は「機会があればまたこの舞台に立ちたいです」とアピールした。
RIZIN 11.20 沖縄アリーナ:榊原信行CEO総括「人間ドラマの凝縮された大会だった」。大晦日は「試合数が結構多い」「月が明けてからドーンと発表」、天心戦は「引き続きノーコメントで(苦笑)」