RIZIN TRIGGER 2.23 静岡 エコパアリーナ(レポ):クレベル・コイケ、ピンチ乗り越え佐々木憂流迦を裸絞めで“ボペガー(極める)”。倉本一真、アキラ、山本空良、吉野光、渡慶次幸平が完勝
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SPASHAN HPS presents RIZIN TRIGGER 2nd
2022年2月23日(水/祝) 静岡・エコパアリーナ
レポート:井原芳徳 写真提供:(C)RIZIN FF
RIZIN TRIGGERは昨年11月に神戸ワールド記念ホールで初開催されたRIZINの新シリーズ。選手発掘・育成・再生、および地方活性をテーマに掲げる。かつてのPRIDEでいえば武士道、今のUFCでいえばファイトナイトのように、ナンバーシリーズのサブシリーズのような位置付けだ。試合場はリングではなくケージを使用。前回はDEEPのケージを借りていたが、今回はRIZINがオーダーメイドした六角形のケージが初めて使われた。支柱はグローブと同じモスグリーンで塗られている。
クレベル・コイケ、ピンチ乗り越え佐々木憂流迦を裸絞めで“ボペガー(極める)”
第13試合 メインイベント MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○クレベル・コイケ(ブラジル/ボンサイ柔術/元KSW&REBEL FCフェザー級王者)
×佐々木憂流迦[うるか](セラ・ロンゴ・ファイト・チーム/元修斗環太平洋バンタム級(60kg)王者)
2R 3’22” 裸絞め
静岡大会のメインイベントには磐田在住のコイケと沼津出身の佐々木による静岡勢対決が置かれた。
コイケは昨年6月の東京ドーム大会で朝倉未来に勝利し、当時のフェザー級王者・斎藤裕への挑戦が内定したが、コイケが減量と左足首の怪我を理由に回避していた。欠場を巡るやりとりで、RIZINの榊原信行CEOとの関係が悪化していたが、年末に和解し、コイケはRIZINとの契約を更新した。
なお、10月のRIZIN.31で牛久絢太郎が斎藤を下し新王者となり、大晦日には未来が斎藤へのリベンジを果たし、未来は牛久かコイケとの対戦を希望している。
佐々木は19年10月の朝倉海戦で54秒でKO負けし、あごを骨折。20年大晦日の復帰戦で瀧澤謙太に判定勝ちした。昨年はバンタム級日本トーナメント参戦の有力候補だったが、フェザー級に階級をアップ。だが9月のフェザー級初戦では堀江圭功に判定負けした。ちなみにコイケとは11年のDEEP主催大会でグラップリングルールで戦い、佐々木がポイントにつながらないアドバンテージの差で勝利している。
1R、佐々木がサウスポーで構えて、オーソドックスのコイケにプレッシャーをかける。コイケが右ハイを放つと、佐々木にブロックされるが、すぐコイケが右ストレートで前に出ると、佐々木は突き放す。再びコイケが右ハイ、右ストレートをつなげると、佐々木は蹴りをブロックしてからカウンターで右フックをヒット。コイケは一瞬意識が飛びダウンする。佐々木は踏みつけに行くが、寝技を警戒し、一瞬動きが止まって踏み込みが浅くなってしまい空振りに。コイケはすぐにある程度回復し、すぐ立つが、金網を背に佐々木に詰められる状態が続く。
中盤過ぎ、コイケは前に出返すと押し込み、佐々木が押し返す展開に。終盤、パンチの打ち合いの後、佐々木が再びコイケを金網に詰め、プレッシャーをかけ続けて終える。ここまで佐々木優勢だが、インターバルを挟んでコイケが流れを変えることに。
2R、佐々木がコイケを金網に詰めると、コイケは金網を背にしつつ飛びつき、引き込みを狙う。佐々木は防御し突き放す。すると今度はコイケがタックルに行き、佐々木に切られるが、柔術家らしく引き込み気味に下に。コイケは金網際で脱出し、すぐ佐々木の背後に回って抱え上げて、倒してからバックマウントを奪うことに成功する。コイケはケージ中央付近で両足でガッチリと佐々木を捕獲すると、裸絞めを狙う。佐々木は間一髪で極めさせないが、それでもコイケはバックをキープすると、体勢を変えながら隙を伺い、今度は裸絞めをガッチリと極めてタップを奪った。
コイケは「憂流迦、強くなってる。でも私、フェザー級ナンバーワンだと忘れないでください。榊原さんチャンスありがとうございます。すぐタイトルマッチでお願いします。タイトルマッチができないでも最初の名前に入っていてください」とアピールし、最後は「1、2、3、ボペガー」と叫んだ。ボペガー(vou pegar)はポルトガル語で「極めるぞ」という意味で、過去の試合中に口にしたことで話題になって、最近ではコイケのキャッチコピーのようになっている。
◆コイケ
頭がフラフラでも魂は集中していました。倒れても問題ないです。必ず立ち上がります。相手が1回でもミスすれば、試合を終わらせる自信があります。
(タイトル挑戦に向けて)牛久がチャンピオンだから、タイトルマッチやりたいね。絶対RIZINのチャンピオンなるよ。
(未来との再戦)未来怖くない。全然大丈夫です。もう1回一本勝ちできるよ。でも朝倉待ってね。牛久、斎藤、萩原(京平)やりたいです。萩原が(練習仲間の)鈴木博昭に勝ったのでリベンジやりたいかな。
◆佐々木
強かったです。完全に地力で負けました。(1Rに打撃で深追いしなかったのは?)距離を作ってさばいていくのが大まかな作戦だったんですけど(右フックを)あんまり効かせたことが無かったのてビックリしちゃって(苦笑)。セコンドから行っていいよと言われたんですけど、まだ(目が)生きている感じがしたので行かなかったです。1R上手くいったんですけど、クレベル選手、かなり四つ(組み)が上手くて、あそこでバックを見せてしまったのは自分に足りないところでした。力が凄いとかじゃなくて、柔術の巧さでした。2個・3個、自分の対処が遅かったです。
(踏みつけはリスキーだと思った?)思いました(苦笑)。踏みつけ行って足絡まれて三角とか得意なんで、行った時に気付きました。
(今後は?)伸ばせるところはあるんですけど、ここに懸けてたので、どうしようかなってのがありますね。フェザー級でやってくのか、バンタムに戻すのか。(フェザー級GPがあっても出ない?)フェザーで2回負けているので、何とも言えないです。
バンタム級・倉本一真、パワフルファイトで1R TKO勝ち
第12試合 MMA バンタム級(61kg) 5分3R
×加藤ケンジ(3POUND/K.O.SHOOTO GYM)
○倉本一真(リバーサルジム新宿Me,We)※修斗GYM東京から所属変更
1R 4’16” TKO (レフェリーストップ:グラウンド膝蹴り)
地元静岡の加藤は11月のRIZIN TRIGGER 1stで藤原克也に2R TKO勝ち。倉本は6月の大阪大会でのRIZINバンタム級日本GP一回戦でアラン“ヒロ”ヤマニハに判定負けしている。
1R、倉本がじわじわ詰めると、加藤が右フックを当てるが、倉本はそのまま詰め、タックルで倒す。倉本は立ち上がり、猪木アリ状態から右のパウンドを強打。加藤の立ち上がり際にもパウンドを当て、上から押さえて掌底も当てる。スタンドに戻り、右インローを当ててから、またもタックルで倒すと、抱え上げて叩きつける場面も。倉本はまたも立った状態から右のパウンドを強打し、がぶりで押さえ膝も連打し圧倒。最後はパウンドを当て続け、上から左膝を倉本の顔面に連打したところでレフェリーがストップした。
ライト級・アキラ、サトシと同門・鈴木琢仁をグラウンドで圧倒
第11試合 MMA ライト級(71kg) 5分3R
○アキラ(武蔵村山さいとうクリニック/&MOSH/パンクラス・ライト級4位)
×鈴木琢仁[たくみ](ボンサイ柔術)
判定3-0 (豊永=アキラ/橋本=アキラ/岡田=アキラ)
アキラは昨年5月のパンクラスで元修斗世界ライト級王者の松本光史に3R TKO勝ち。10月の横浜大会でRIZINに初参戦すると、DEEPウェルター級暫定王者、元パンクラス同級王者の阿部大治にノースサウスチョークで一本勝ち。試合後のマイクでは古巣のラスカルジムの代表・五味隆典との対戦を熱望していた。
地元静岡の鈴木はRIZIN初登場で柔術茶帯。17年2月のパンクラスでは牛久絢太郎にも判定勝ちしている。19年からDEEPを主戦場とし、昨年10月の前戦では北岡悟と対戦し、北岡に押さえ込まれ続けるも、3Rにタックルのカウンターの右膝蹴りを当て逆転TKO勝ちしている。
1R、アキラがサウスポー、鈴木がオーソドックスに構え、お見合いが続く。中盤、鈴木はタックルを仕掛けるが、柔術家ということもあり、下になっても問題ないと判断したか?アキラに上を取らせるも、すぐに右足でアキラを浮かせてリバースして上になる。だがその先の攻めは乏しく、終盤、アキラは脱出し、金網に鈴木を押し込む。残り30秒には両脇を差してテイクダウンに成功。アキラがサイドで押さえてから、上四方に回って頭に膝を当て好印象で終える。
2R、開始すぐからアキラがパンチを振りながら詰めて、両脇を差してテイクダウンを奪う。アキラはハーフで押さえるが、鈴木も下からリバースのプレッシャーをかけ続け、アキラは先に持ち込めない。3分過ぎ、一瞬パスガードに成功するが、すぐハーフに戻る。最後はトップにまで戻ってしまうが、押さえ続けたアキラが好印象を残すラウンドに。
3R、鈴木が右の飛び膝を連打するが、アキラは足を抱えて倒して、またも上から押さえる。ハーフ、トップ、サイド、トップと動きつつ、変わらず押さえ続け主導権を維持。中盤、アキラは一旦立って、再び上から押さえてギロチンを狙う。鈴木は隙を突いてリバースし、アキラは首を抱え続けるが極まるには至らない。終盤、鈴木はギロチンを引き抜いて上になるが、その先に持ち込めず終了する。記者採点はアキラ。ジャッジ3者も順当にアキラを支持し、アキラの判定勝ちとなった。
フェザー級・山本空良、わずか35秒でKO勝ち
第10試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
×新居[にい]すぐる(Potential)
○山本空良[そら](パワーオブドリーム/Fighting NEXUS&PFCフェザー級王者)
1R 0’35” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
新居は10月のRIZIN.31で中村大介に1R 腕十字で一本負けし、山本喧一の次男・空良は11月のRIZIN TRIGGER 1stで鈴木千裕に判定負けしている。両者とも北海道出身で、RIZIN 2戦目で初勝利を目指す状況も一致する。
1R、圧を掛ける新居に対し、山本が回って距離を取る。山本が左ミドルを当てた後、新居は右のパンチを振るって前に出るが、山本は下がりながら、右のフックを新居のアゴに的確にヒット。新居は前にめりにダウンする。山本はこのチャンスを逃さず、パウンドラッシュでわずか35秒で試合を終わらせた。
山本は「いつか今日メインやる佐々木選手、クレベル選手を絶対超えるんで、チャンスをください。RIZINに出ている誰よりも努力します。一番強くなります」とアピールした。
渡慶次幸平、激戦制し後輩の鈴木千裕とミャンマー愛アピール
第9試合 MMA 73g契約 5分3R
○渡慶次幸平(クロスポイント吉祥寺/ラウェイAIR KBZ 75kg級 2018王者)
×ハリー・スタローン(ブラジル/関谷柔術アカデミー)
2R 3’31” KO (右フック)
渡慶次[とけし]は昨年11月の沖縄大会でRIZINに初参戦したが、大原樹理に開始早々からダウンを奪われ、わずか76秒でTKO負けしている。スタローンは地元静岡在住で、プロMMAではDEEPに上がり続け2勝4敗。
1R、渡慶次はサウスポーで構えて圧をかけ、左ミドル、インローを当てる。スタローンも左右のローを返す。中盤、渡慶次の左ハイをつかみ、スタローンが倒して上になる。渡慶次は下からアームロックを狙い、スタローンが離れると、渡慶次は立ち上がるが、スタローンは追い掛けてオンブになり、そのまま倒してバックマウントを取る。渡慶次は防御するが、スタローンはパウンドを当て、立ってからも金網に詰めてパンチを連打し、フィニッシュに近づく。だが渡慶次も打ち合いで左フックと左膝を返すと、スタローンは失速。最後は渡慶次が倒して上になり、パウンドを連打して終える。
2R、渡慶次は左の三日月蹴りを当てた後、左ハイをクリーンヒット。ひるんだスタローンをパンチで追い詰めるが、スタローンはタックルで倒し、難を逃れる。だが渡慶次はまたも立ち、左の三日月を効かせると、今度は組んできたスタローンを潰して上に。渡慶次は踏みつけ、鉄槌で追い詰める。スタンドに戻ってからも、パンチ、膝を何発も当てるが、なかなかレフェリーは止めない。スタローンもパンチの連打で巻き返したかに見えたが、渡慶次は受けきってから、最後は右フック一発でマットに沈め、自らの手でしっかりフィニッシュした。
渡慶次は「3月6日のRIZIN LANDMARKで、一番かわいがっている後輩の鈴木千裕が、平本蓮選手と戦います。PPVを買って見てください。僕の試合は、まだまだ(戦える)と見せつけたので、まだまだ頑張ります。ミャンマーのために頑張ります」とアピールした。
第8試合 キック 100kg契約 3分3R
×笹田勝俊(笹田ジム)
○マウンテンRYUGO(TenCloverGym)
1R 2’38” TKO (レフェリーストップ:左フックで2ダウン後)
バンタム級に新鋭登場。吉野光がRIZIN初戦で完勝
第7試合 MMA 62kg契約 5分3R
×遠藤大翼(IGGY HAND’S GYM)
○吉野 光(ALMA FIGHT GYM LIFE)※フリーから所属変更
判定0-3 (豊島=吉野/田澤=吉野/豊永=吉野)
遠藤は07年にMMAデビューした39歳のベテラン。過去に若手時代の佐藤将光、金太郎、加藤ケンジ、手塚基伸に勝っているが、水垣偉弥、大塚隆史らにに敗れている。試合は19年9月以来2年半ぶりだ。
吉野は26歳。HEAT、GLADIATOR、PFCなどの地方大会を長年転戦した後、19年からONE Championshipのトライアウトに参戦し2勝1敗。最近はコロナ禍の影響で国内の試合が中心となり、昨年7月、DEEPで原虎徹に判定勝ちしている。出場発表会見で「(昨年の)バンタム級GPに出ているメンバーと見劣りしないぐらいの力がある」と話した通りの強さを示すことに。
1R、吉野は開始すぐ、左ミドルを連続で放ちつつ距離を詰め、20秒ほどでテイクダウンに成功。すぐにサイドで押さえ、アームロックを仕掛ける。遠藤の左手を両足で挟むマット・ヒューズ・ポジションで押さえながら、パウンドと肘を当て続けて追い詰め、再びアームロックも仕掛ける。一旦立たせてからも、テイクダウンを繰り返し、終盤も上から押さえ続け、主導権を維持する。
2Rも吉野が序盤からタックルで倒して上に。スタンドに戻ってからも、サウスポーからの回転系の蹴りも当てる。中盤、吉野は遠藤を肩でかついでから倒し、中央付近で上になり、サイドで押さえる。終盤、遠藤は立ち、金網に押し込み続けて終える。
3R、吉野は開始すぐからパンチを当てつつ突き倒し、サッカーボールキックを当ててから、上になりパウンドを落とし仕留めにかかる。やや攻め疲れた感もあるが、その後も上から押さえ、鉄槌を当てるなど主導権を維持する。残り1分を切り、腕十字を仕掛けるが、やや荒くなり、遠藤が防御し、上で押さえて終了する。記者採点もジャッジ3者も吉野で、吉野がRIZIN初戦を難なくクリアした。
第6試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
×小島勝志(STYLE PLUS GYM)
○中川皓貴[こうき](reliable)
判定0-3 (片岡=中川/豊永=中川/田澤=中川)
第5試合 MMA バンタム級(61kg) 5分3R
○内山拓真(ボンサイ柔術)
×原 虎徹[こてつ](CAVE)
判定2-1 (田澤=原/豊島=内山/片岡=内山)
第4試合 キック 65kg契約 3分3R
×北川裕紀(ZERO ONE GYM/シュートボクシング日本スーパーフェザー級(60kg)3位)
○竹内皇貴(チームドラゴン)
判定0-3 (片岡28-29/柴田28-29/豊島29-30)
1R、中盤まで北川が圧をかけ続け、やや手数が多かったが、竹内が左ジャブ、三日月蹴りをじわじわ返すと、終盤は圧をかけ返し、左右のテンカオを当て続け攻勢に。記者採点は竹内。
2Rも竹内がパンチ、膝等を当て続けていると、北川の鼻血が増え、ドクターチェックを受ける。だが再開後、北川も前に出て少しずつパンチ、右ミドルを返し、竹内を苦しめ挽回する。記者採点は竹内も攻撃を返していたためイーブン。
3R、インターバルで回復した竹内は、左右の膝、ミドルを当て続け反撃。北川は2Rのように流れを変えることができず、金網を背負い続けて終える。記者採点は竹内。合計28-30で竹内。ジャッジ3者も竹内を支持し、竹内の判定勝ちとなった。
第3試合 キック 58kg契約 3分3R
×MASANARI(キック塾)
○松井大樹(MEIBUKAI/Stand up King of Rookie 2021 -57.5kg級優勝)
判定0-3 (柴田28-30/片岡27-30/豊島27-30)
第2試合 キック 59kg契約 3分3R
○大樹(HAWK GYM/DEEP☆KICK -60kg王者)
×仲川広汰(TenCloverGym)
判定3-0 (豊島30-28/柴田30-28/片岡30-27)
第1試合 キック 60kg契約 3分3R
×伊藤勇大(OISHI GYM)
○桃翔[ももと](T-KIX GYM)
2R 0’13” TKO (レフェリーストップ:パンチによる鼻の負傷)
ホベルト・サトシ・ソウザ、4月に海外選手との防衛戦へ。榊原信行CEO、RIZIN TRIGGER 2ndでの倉本一真と山本空良を高評価