RIZIN 9.24 さいたま(レポ):金原正徳、クレベル・コイケを公約通り寝技で追い詰め判定勝ち。牛久絢太郎、ATT移籍初戦は萩原京平に判定勝ち。安保瑠輝也、宇佐美正パトリックからダウン奪い判定勝ち。福田龍彌、アーセンとの打撃戦制す
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RIZIN.44
2023年9月24日(日) さいたまスーパーアリーナ
レポート&写真:井原芳徳
中継 ABEMA、U-NEXT、RIZIN 100 Club、RIZIN LIVE、スカパー(いずれもPPV形式。料金は各配信社サイト参照)
金原正徳、前フェザー級王者クレベル・コイケを公約通り寝技で追い詰め判定勝ち
第10試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
×クレベル・コイケ(ブラジル/ボンサイ柔術/元RIZIN・KSW・REBEL FCフェザー級王者)
○金原正徳(リバーサルジム立川ALPHA/元SRCフェザー級王者)
判定0-3 (石川=金原/豊島=金原/松宮=金原)
コイケは33歳。ポーランドのKSWで王者となり活躍後、20年大晦日からRIZINに参戦し、カイル・アグオン、摩嶋一整、朝倉未来、佐々木憂流迦、萩原京平に勝利し、昨年10月の福岡大会で牛久絢太郎に2R裸絞めで一本勝ちしRIZINフェザー級王者となる。大晦日大会ではベラトール同級王者・パトリシオ・“ピットブル”・フレイレに判定負け。6月の札幌大会で初防衛戦が組まれたが、前日計量で0.4kgオーバーし王座をはく奪され、試合では鈴木千裕を1R腕ひしぎ三角固めでタップを奪ったが、規定により無効試合となっていた。王座が空位となったため、7月30日の埼玉大会で組まれていた朝倉未来とヴガール・ケラモフの一戦が第4代王者決定戦となり、ケラモフが1R裸絞めで勝利し王者となっている。ケラモフは11月のアゼルバイジャン大会で千裕相手に初防衛戦を行う。
金原は40歳のベテラン。03年にMMAデビューし、09年に初代戦極(SRC)フェザー級王者となり、その年の大晦日に山本“KID”徳郁に判定勝ち。14~16年にはUFCで1勝2敗の成績を残し、15年7月にはコイケ同様に柔術出身の強豪・ハニ・ヤヒーラと対戦し判定2-1で惜敗している。20年2月にRIZINに初参戦し、ビクター・ヘンリーにKO負けすると引退を表明したが、21年10月のRIZINで復帰し芦田崇宏にTKO勝ち。昨年4月では摩嶋一整にTKO勝ちすると、今年4月のRIZIN LANDMARKでは山本空良をスタンド・グラウンドともに圧倒して判定勝ちし3連勝とした。空良戦の後には「僕がフェザー級で一番強いと思うケラモフ、やらせてください」とマイクアピールしていた。8月に前王者・コイケとの試合が発表されると、「最後に燃え尽きるならこの相手で問題無いです」と話し、「クレベルが相手だとほとんどの選手がグラップリングを避けると思いますが、フェザー級でグラップリングで対抗できる選手は僕しかいないと思っていました」と対応に自信を示していた。試合はその金原の言葉通りの内容となる。
1R、序盤は打撃戦で、金原が最初から右ボディからの左フックを当て、ワンツーでの右ストレートやフックも時折ヒットする。パンチの打ち終わりにコイケが組みに来ても、金原は突き放す。中盤、コイケは金原のパンチをもらいながら執拗に前に出ると、金原を首相撲で捕まえ、膝蹴りを連打した後、首投げで倒し、すぐさまマウントを奪い、肘を当てる。だが金原はすぐに足を効かせてコイケを突き放し、猪木アリ状態にすると、立ってタックルを仕掛けロープに押し込む。だがコイケは飛びついて引き込みながらギロチンチョークを仕掛ける。終盤に入っても、しばらく金原は捕まるが、腰を上げて対処を続け完全には絞めさせない。しばらくしてコイケがあきらめて解除すると、場内は大歓声に包まれる。その後は金原が上から押さえ続け、密着して下からの攻めを封じつつ、時折パウンドを当てて終える。ここまでコイケが金原を追い詰める場面を2度作ったが、打撃では金原が上で、最後はコイケの攻撃を封じて好印象で終える。
2R、コイケがパンチを振ってから金原をコーナーに押し込んでテイクダウンを狙うが、金原は耐えて離れる。中盤、またもコイケがパンチを振いながら前に出て来ると、金原は胴タックルを合わせてテイクダウンを奪い、コーナー際で上になる。終盤、金原は肩固めのプレッシャーをかけつつハーフガードを維持する。コイケは防戦一方に。コイケが体をひねって腰を浮かした状態になると、金原はハーフのままながらマウントに近い状態まで登ることに成功し、最後は上からパウンドと肘を連打し、攻勢をしっかり印象付けて終える。立った金原が両手を上げると、場内は大きな拍手に包まれる。
3R、序盤から金原が右フックをヒット。負けじとパンチを振り回すコイケに対し、金原はタックルを仕掛けて倒し、すぐさまバックを狙う。コイケは金原を前方に振り落として回転して上になりかけると、足を取りに行くが、これが裏目となり、金原はすぐ体を起こして上を取り返す。コイケはすぐ下から両足で金原を持ち上げてリバースに成功するが、金原は押さえられる前に跳ね返し、下からのコイケの抵抗を封じ、トップポジションをキープすることに成功する。約1分間の両者目まぐるしく上下が入れ替わるスクランブル状態に場内が沸く。
中盤、金原は執拗にパスガードを狙う。金原に足を抜かれたが、両足で挟まれる前にコイケは体をひねって立とうとする。しかし金原はすかさずコイケと股と脇に左右の腕を差して倒して押さえ、主導権を譲らない。それでもなんとかコイケは立ち上がったが、金原はしつこく組み付き、疲れた様子のコイケに足を掛けて倒し、あっさりグラウンドに引きずり戻す。
終盤、金原はトップからハーフに移り、上体を密着して押さえ続ける。コイケは背中をつけたまま防戦一方だ。時折隙間からパウンドを当てから、肩固めを狙い、コイケが耐えて終了する。終了のゴングと同時に場内は大歓声に包まれる。記者採点は金原(ダメージ0-0、アグレッシブネス0-30、ジェネラルシップ0-20=合計0-50)。ジャッジ3者も金原を支持し、金原が判定勝ちした。
マイクを持った金原は「みんなやったよ。長いことやればいいこともあります。今年で20年です。勝ったら泣こうと思ったけど泣けなくて。クレベル、オブリガード(=ポルトガル語で「ありがとう」)。試合が決まってから辛くて眠れない日もありましたが、周りのサポートのおかげで勝てました。応援ありがとうございます」と感謝の言葉を述べた。
続けて中継席の鈴木千裕に向けて「千裕、勝って来いよ。待ってるよ」と呼びかけ、11月4日のアゼルバイジャンでのケラモフの王座挑戦での千裕の勝利を願った。最後は「所さんも来週やってくれます」と話し、セコンドについた所英男を呼び寄せ、所は「金原さんに続きます」と、10.1 名古屋でのアラン“ヒロ”ヤマニハ戦での勝利を誓った。
RIZINの榊原信行CEOは大会後の総括で「ケラモフと鈴木千裕のタイトルマッチの後は、挑戦者として金原選手でいいと思います」「11月4日の両選手の消耗にもよりますけど、早ければ大晦日にタイトルマッチと思っています」と話した。(※金原の試合後のインタビューは別記事に掲載しました。クレベル・コイケ撃破の金原正徳「勝因は寝技だけじゃない」「格闘技の奥深さを伝えることだったり、僕は僕の役目がある」)
牛久絢太郎、ATT移籍初戦は萩原京平に判定勝ち。バンタム級転向を示唆
第9試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○牛久絢太郎(アメリカントップチーム/元RIZIN&DEEPフェザー級王者)※K-Clannから所属変更
×萩原京平(SMOKER GYM)
判定3-0 (石川=牛久/松宮=牛久/豊島=牛久)
牛久は21年10月の横浜大会でRIZINに初参戦し、斎藤裕に勝利しRIZINフェザー級王者となる。昨年4月の調布大会では斎藤とベルトを懸け再戦し判定勝ち。10月の福岡大会でクレベル・コイケと2度目の防衛戦を行ったが一本負けし王座から陥落した。4月の代々木大会での再起戦では朝倉未来に判定負けし現在2連敗中。未来戦の前に米国フロリダ州のアメリカントップチーム(ATT)で練習していたが、未来に敗れた後の6月末にATTへの移籍を発表する共に、その時からATTで練習をしてきた。
萩原は2連勝後、昨年3月から9月まで、弥益ドミネーター聡志、クレベル・コイケ、鈴木千裕に3試合連続で一本負け。最近は近畿大学レスリング部にも出稽古し、減量方法も専門家から学ぶようになり、4月の大阪大会ではカイル・アグオンに判定勝ちし、成長した姿を見せた。
牛久のセコンドにはK-Clannの横田一則代表、パワーオブドリームの古川誠一会長というこれまで通りの顔ぶれに加え、ATTの堀口恭司がつく。1R、スタンドの打撃戦の中で、サウスポーの牛久に対し、萩原の右フックが当たり、牛久が左まぶたから出血する。コーナー際で押し込む展開が繰り返されるが、テイクダウンにはつながらずブレイクがかかる。終盤、牛久が右フックを当てて萩原を少しふらつかせたが、その先は続かない。牛久は出血したものの、正味の差はまだ差は乏しい。
2R、牛久は開始すぐからタックルを仕掛けると今度はテイクダウンに成功する。立たれても牛久が押し込み、主導権を維持する。萩原は突き放すが、またも中盤過ぎ、牛久はタックルで倒し、コーナー際で押さえて、終盤にはパスしてマウントを奪う。パウンドを落とし、最後はバックから裸絞めを狙い、優位で終える。牛久が組みの展開で差をはっきり示すラウンドに。
3R、牛久はまたも序盤からあっさりとタックルでテイクダウンを奪い、コーナー付近でハーフガードで押さえる。中盤には牛久がバックを奪い、裸絞めを狙う。終盤、萩原が立ってもオンブの状態を維持し、パウンドを当てつつ、執拗に裸絞めを狙い続け終了する。記者採点は牛久(ダメージ0-0、アグレッシブネス30-0、ジェネラルシップ20-0=合計50-0)。ジャッジ3者も牛久を支持し、牛久がATT移籍初戦で判定勝ちした。
マイクを持った牛久は「環境変えて一発目の試合、緊張もあったんですけど勝ててホッとしています。皆さんこれからどんなカードやったら盛り上がりますかね?階級を変えると盛り上がりますかね?みなさんコメント待ってます。ATT、まだまだこんなもんじゃないんで、応援お願いします」とアピールし、バンタム級への階級変更を示唆した。試合後のインタビューでは「アメリカで練習していて、トップを目指すなら、それだけ(体重に)シビアにならないといけないのかなと思いました」と説明した。
堀江圭功、スパイク・カーライルとの接戦制す
第8試合 MMA ライト級(71kg) 5分3R
×スパイク・カーライル(米国/キングスMMAアナハイム/トレーニングラボ)
○堀江圭功[よしのり](ALLIANCE)
判定0-3 (石川=堀江/豊島=堀江/松宮=堀江)
カーライルは20年にUFCで1勝2敗、21年にベラトールで1勝。昨年4月にRIZINに初参戦すると、武田光司に2Rフロントチョークで一本勝ちした。今年5月にライト級王者のホベルト・サトシ・ソウザと対戦したが判定負けした。
堀江はパンクラスのフェザー級上位戦線で活躍した後、21年からRIZINに参戦し、関鉄矢、佐々木憂流迦、中田大貴に3連勝。21年11月の中田戦で右拳を骨折し、今年4月の大阪大会で約1年半ぶりに復帰したが、7月にフェザー級王者となるウガール・ケラモフに2R裸絞めで一本負けした。今回から1階級上のライト級で戦う。
1R、堀江がスピードを活かし右ストレート、左ジャブを当てる。カーライルはタックルを仕掛けるが、堀江は切り続ける。だが堀江は押し込まれる時間が長く、やや印象が悪い。
2R、堀江がワンツーでの右ストレート、右ローを当てるが、カーライルも左フックをお返し。堀江は押し込んで追撃を逃れ、膠着しブレイクがかかる。その後も打撃戦とどちらかが押し込む展開が繰り返される。打撃は堀江が若干優位だが、ここまでほとんど差が無い。
3R、カーライルが執拗にタックルを仕掛けていると、堀江も疲れてきた様子で、中盤にはカーライルがタックルからバックに回り込み、オンブになって堀江を攻める。堀江はコーナー際で立った状態が続くと、カーライルが背後から鉄槌を連打するが、後頭部に何発か当たる反則となり、福田レフェリーはイエローカード(減点)を宣告する。堀江の回復時間の後、再開すると、カーライルはタックルを仕掛けるが、力が入らなくなり、堀江ががぶって頭に膝を当てる場面を作り少し挽回する。記者採点は僅差だがカーライルの反則も考慮し、マスト判定のため堀江。ジャッジも3者堀江を支持し、堀江が判定勝ちした。
安保瑠輝也、宇佐美正パトリックからダウン奪い判定勝ち
第7試合 キック(肘無し・つかんでからの攻撃は1回) 70kg契約(スーパーウェルター級相当) 3分3R
○安保瑠輝也(MFL team CLUB es/元K-1スーパー・ライト級(65kg)王者)
×宇佐美正パトリック(Battle Box)
判定3-0 (豊島29-27/豊永29-26/松宮29-26)
安保は21年9月のK-1ウェルター級王座決定トーナメント決勝で野杁正明に敗れたが、昨年6月のTHE MATCHでRISEの山田洸誓に判定勝ち。今年1月、野杁との再戦が組まれないことや活動の幅を広げること等を理由にK-1を離脱。2月のBreakingDownでのシリル・アビディ戦を経て、5月の有明大会でRIZINに初出場し、ブアカーオ・バンチャメークと引き分けている。
宇佐美兄弟の兄・パトリックは23歳。幼少期から極真空手を習い、アマボクシングでは高校6冠を達成。18年の世界ユース選手権で銅メダルを獲得も、東京五輪の選考試合では敗退する。ABEMA「格闘DREAMERS」のオーディションを通過し21年修斗でMMAプロデビュー。昨年6月のRoad to UFCはライト級への減量中に脱水症状を起こし欠場。10月からRIZINに参戦すると、佐々木信治とベイノアをパンチでKOしたが、今年4月の大阪大会ではキム・ギョンピョに弱点の寝技で攻め込まれ1R裸絞めで一本負け。7月30日の超RIZIN.2直後にはMMAに興味を持ち始めた安保に対戦要求していた。キックボクシングの試合はアマ時代に経験があるが、プロでは初となる。
安保は同じK-1出身で現在パトリックと同門の木村“フィリップ”ミノルに対戦を要求していた。だが木村は6月の札幌大会でのドーピング検査結果が陽性だったことが判明した。9月2日にその件が発表された直後、安保とパトリックの試合が発表され、会見で安保は「あいつは実力はありますけど、心の弱さで(禁止薬物に)手を出したと思うので、心も体もクリーンになれば俺と決着つけようぜと思います」「宇佐美君は木村の兄弟分だと思うので、倒して木村の足元に叩きつけてやります」と話していた。
1R、安保はガードを高くし、左ミドル等の蹴りを主体にしつつ、接近戦ではパンチを出す。パトリックは低めに構えつつ、安保の蹴りの打ち終わりや飛び込んでの形で右フックを放ち、時折左右のミドルも絡める。だがクリンチも多く、お互いまだクリーンヒットにはつながらない。記者採点はイーブン。
2R、安保は左右のミドル、右ロー、二段蹴りと攻撃を増やし優勢に。パトリックは攻撃が減ってしまう。中盤には安保が左の三日月蹴りを連打しパトリックをコーナーに詰めるが、蹴りがローブローとなり一時中断する。再開後、パトリックは持ち直すが、反撃にはつなげられず終わる。記者採点は安保。
3R、安保が左三日月蹴り、ローを効かせると、ついにパトリックはダウンする。その後の安保の猛攻で、膝蹴りがローブローとなり、またも一時中断する。パトリックは足のダメージも溜まっており、ニュートラルコーナーで椅子に座ったままグッタリとしていたが、4分ほど経ってようやく立ち上がる。安保には度重なるローブローとセコンドによる暴言によりイエローカード(減点1)が出される。再開するもパトリックは踏ん張りが効かずスリップが多い状態に。残り30秒、安保が左ミドルを当てるとパトリックはまたもダウンする。立ち上がるが残り時間わずかでそのまま終了する。記者採点は減点合わせ9-7で安保。合計29-26で安保。ジャッジ3者も安保を支持し、安保が判定勝ちした。
試合後、リングサイドの柵の外の席にいた木村がTシャツを脱いで立ち上がってリング上の安保を挑発すると、安保は「お前、体、仕上がり過ぎやろ」と禁止薬物使用を示唆するかのように揶揄して観客を笑わせた。続けて「ミノル、リング上げていいですか?」と榊原CEOに尋ねるが、出場停止期間中のため、木村はスタッフに制止された。安保は「社長に『BreakingDownでやれ』と言われたんで、BreakingDownでやります」「今日の内容やと俺も大口叩けないんでこれぐらいにします」と話しリングを降りた。この後の告知タイムに登場した榊原氏は「木村は上げれないです。クリーンな体作って上がって欲しいです」と説明し、改めて木村に釘を刺した。
中原由貴、2年ぶり復帰の白川陸斗に判定勝ち
第6試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○中原由貴(マッハ道場)
×白川陸斗(トライフォース赤坂)
判定3-0 (豊島=中原/松宮=中原/石川=中原)
中原はGLADIATOR、パンクラス、ONEを経て昨年7月にRIZINに初参戦し関鉄矢に判定勝ち。10月には原口央に1R TKO勝ちした。大晦日大会では鈴木千裕に1R KO負けしている。
白川は21年に青井人、山本琢也に勝利し連勝を4に伸ばす。めまい症の手術後、療養を続け、昨年7月にケラモフ戦が組まれたが、左上腕二頭筋腱断裂により欠場していた。そのため今回は約2年ぶりの試合となる。
1R、中原がサウスポーからの左ストレート、ハイを当て、中盤にタックルを仕掛け、倒してコーナー際で押さえる。白川が立とうとしても倒してコントロールを続ける。終盤、福田レフェリーがアクションコールを繰り返すと、中原は右のパウンドを当てる。残り30秒近くでブレイクがかるが、白川は反撃に持ち込めず終わる。ここまで中原優位だ。白川にはロープつかみの反則で警告が出される。
2R、中盤まで静かな展開だったが、白川が右ハイ、ストレートを立て続けに当て、中原を苦しめる。中原はタックルで倒してピンチを逃れる。中原は押さえ続け、肩パンチを落とすが、その先には持ち込めず白川が耐えて終える。白川が若干だが優位になるラウンドに。だが白川は再びロープつかみの反則でイエローカード(減点)をもらってしまう。
3R、中原がサウスポーからの左ストレート随所で当てて挽回する。終盤にはタックルで倒し、バックを狙う。立たれてもタックルで押し込み、膝立ちの白川の顔面とボディに膝を当て、はっきり差を印象付けて終える。記者採点は中原(ダメージ0-0、アグレッシブネス0-0、ジェネラルシップ20-0=合計20-0)。ジャッジ3者とも順当に中原を支持し、中原が判定勝ちした。
摩嶋一整、横山武司の寝技封じパウンドで好印象残し判定勝ち
第5試合 MMA 66.2kg契約 5分3R
○摩嶋一整[かずまさ](毛利道場/元Rebel FCフェザー級王者)
×横山武司(teamセラヴィー/スウェルズ柔術ジム/Fighting NEXUSフェザー級王者)
判定3-0 (石川=摩嶋/松宮=摩嶋/豊島=摩嶋)
摩嶋は修斗・パンクラス・海外の試合で6連続一本勝ちの後、20年8月にRIZINに初登場したが、斎藤裕に2R TKO負け。21年3月にはクレベル・コイケに2R三角絞めで一本負け。昨年4月には金原正徳に3R TKO負けし3連敗を喫したが、今年5月に芦田崇宏に1R終盤ヴォンフルーチョークを極めてRIZIN初勝利をあげた。
横山はブラジリアン柔術の強豪で、19年のJBJJF全日本選手権黒帯アダルト・フェザー級優勝。同年の別の大会ではクレベル・コイケとも対戦し三角絞めで敗れている。昨年2月にMMAプロデビューし、11月に山本空良に判定勝ちしNEXUSフェザー級王者に。今年5月大会でRIZINに初参戦すると、山本琢也に1R序盤に腕十字を極め一本勝ちしている。摩嶋との寝技の攻防が見ものだ。
なお、前日計量では摩嶋がフェザー級リミットの66kgを0.2kgオーバーし、横山陣営の承諾の元、66.2kg契約に変更となった。横山は2試合連続で相手が計量オーバーしている。
1R、開始すぐから横山が倒れて猪木アリ状態となり、摩嶋は付き合って上になる。摩嶋は密着して横山に攻めさせず膠着する。残り1分で豊永レフェリーがブレイクをかけ、横山が最後に飛びついて引き込もうとするが、摩嶋は抱えたままコーナーに運んで押し込んで終える。ここまでイーブンか。
2R、横山が飛び膝で詰めてそのまま組み付き、引き込んで下になる。またも摩嶋が上から密着し膠着状態になる。アクションコールが2度かかり、摩嶋がスペースを作って右肘を時折当てて印象を作る。終盤、ブレイクがかかるが、またも横山は引き込んで下になり、福田は密着して横山の仕掛けを封じる。最後、猪木アリ状態となり、摩嶋が上から一発右のパウンドを当てて終える。ここまで摩嶋優勢だ。
3R、摩嶋はタックルでテイクダウンを奪い、自ら上に。摩嶋は上体を上げて右のパウンド、肘をまとめてから密着する。まずMMA的に印象の良い攻めをしっかり作る。横山は下の状態が続くが、摩嶋は終始仕掛けを封じ、終盤にも右のパウンド、肘を随所で当て、攻勢を維持する。最後、横山は出血し終了する。記者採点は摩嶋(ダメージ0-0、アグレッシブネス30-0、ジェネラルシップ20-0=50-0)。ジャッジ3者も摩嶋を支持し、摩嶋が判定勝ちした。
福田龍彌、山本アーセンとの打撃戦制しドクターストップ勝ち
第4試合 MMA フライ級(57kg) 5分3R
○福田龍彌[りゅうや](MIBURO/DEEPフライ級暫定王者、元修斗同級世界王者)
×山本アーセン(KRAZY BEE/SPIKE22)
3R 1’37” TKO (ドクターストップ:パンチによる左まぶたの負傷)
福田は21年7月、平良達郎に敗れ修斗世界フライ級王座から陥落し、DEEP初戦でも神龍誠に敗れたが以降7連勝。22年に入ってからはRIZINとDEEPで伊藤裕樹、NavE、ビョン・ジェウン相手に3連勝し、9月のDEEPフライ級GP一回戦では杉山廣平に判定勝ち。12月の準々決勝では、19年4月のDEEPで判定負けした相手・安谷屋智弘に判定勝ちしリベンジ。2月の準決勝では2連続1R KOで勝ち上がってきた宇田悠斗を打撃戦で攻略し判定勝ち。5月の決勝では伊藤にも勝っている本田良介に判定勝ちし優勝すると共に、DEEPフライ級暫定王者となった(正規王者は神龍)。
山本美憂の長男・アーセンは20年8月大会で加藤ケンジに1R KO負けし、以降や怪我やメンタルの不調により約3年試合から遠ざかったが、今年5月のRIZINでは伊藤を組技主体で圧倒して判定勝ちし評価を一気に高めた。
1R、両者サウスポーで構えての打撃戦が続く。中盤にアーセンがタックルに行き、福田が切るが、それ以外は打撃の攻防となり、福田が左フック、ストレート、アーセンが左ロー主体で攻める。五分の状態が続き、福田の攻撃がやや多いが、最後、アーセンの左ローで福田が少しバランスを崩すように。
2Rもスタンドの打撃戦が続く。中盤、福田が右ジャブを増やすが、アーセンがカウンターで右ストレートを当て、福田を後退させ少し好印象に。終盤もパンチの攻防が続くと、打ち合いの場面もあり、福田のヒットがやや上で終わる。アーセンは左まぶたが腫れ、3R開始前にドクターチェックを受ける。福田やや優位か。
3R、福田が左フックを的確に当て、アーセンを苦しめる。アーセンはまたもドクターチェックを受ける。結局これでストップがかかり、福田のTKO勝ちとなった。アーセンは不満を示し、福田はすぐアーセンに歩み寄って抱き合い、お互い手を上げ握手し健闘を称えた。
マイクを持った福田は「アーセン君、めっちゃ気持ち強かったです。僕も楽しかったです。みんなで楽しむ感じが好きなんでまた試合ください。オブリガード」と話した。
パンクラス・バンタム級王者・中島太一、元修斗王者・岡田遼を圧倒しRIZIN初勝利
第3試合 MMA バンタム級(61kg) 5分3R
○中島太一(ロータス世田谷/パンクラス・バンタム級王者)
×岡田 遼(パラエストラ千葉/元修斗バンタム級世界王者)
判定3-0 (石川=中島/松宮=中島/豊島=中島)
中島は20年9月、パンクラス・フェザー級王座挑戦者決定戦で堀江圭功に勝利し、21年5月の王座戦ではISAOに判定負け。12月のバンタム級暫定王者決定戦で井村塁に2R TKO勝ちした。昨年4月にRIZINに初参戦し、フェザー級でヴガール・ケラモフと対戦したが1R一本負け。その後はバンタム級に専念することを決め、今年4月のパンクラスでの暫定王者・田嶋椋との王座統一戦で判定勝ちし、RIZINに再登場する。
岡田は20年5月に倉本一真に2R KO勝ちし修斗バンタム級暫定世界王者となり、その後、佐藤将光の王座返上で正規王者に。21年3月に大塚隆史に勝利し初防衛する。21年のRIZINバンタム級日本GPでは6月の一回戦で元谷友貴に判定負け。昨年3月に安藤達也に2R KO負けし、修斗王座から陥落。それ以来1年半ぶりの試合、2年ぶりのRIZIN登場となる。
1R、中島が右カーフキック、ワンツーからの右ストレートをヒット。中盤、岡田がタックルでテイクダウンを奪い、サイドで押さえる。だがその先の攻めは無く、中島が終盤、スタンドに戻すと、岡田をコーナーに押し込み、離れ際に右肘を当てる。岡田は飛びつきの腕十字を仕掛けるが失敗する。最後、岡田は飛びついての右ストレートを当てて終える。ここまで若干中島優位だが大差はない。
2R、中島が左ジャブ、右ストレート、フック、カーフキックを的確に当て続け主導権。岡田が再三組み付くが、突き放し続ける。中島が明確に差を印象付けるラウンドに。
3R、中島がノーガードで岡田のパンチをかわしつつ、自分のパンチを自在に当て続け主導権を維持する。中盤過ぎ、中島が倒すと、岡田がギロチンで迎撃するが、極まりは浅く中島は外す。終盤、中島は肩固めを狙い、肘を当て、岡田はカットし血だるまに。中島はパウンド、踏みつけ、サッカーボールキックで岡田を追い詰めて終了する。記者採点は中島。ジャッジ3者も中島を支持し、中島が判定勝ちした。
マイクを持った中島は「RIZINのバンタム級のベルトを取りに行きました。前回フェザー級でケラモフに負けましたけど、バンタムだと負ける気がしません。次もっと強い選手とやらせてください」とアピールした。
シビサイ頌真、ヤノス・チューカスのパンチでダウンもヒールで逆転一本勝ち
第2試合 MMA ヘビー級(120kg) 5分3R
○シビサイ頌真[しょうま](パラエストラ東京/巌流島)
×ヤノス・チューカス(ハンガリー/GK1ストライキング/グレードブリテントップチーム)
1R 2’27” ヒールフック
シビサイは21年大晦日に関根“シュレック”秀樹にTKO負けし連勝が3でストップしたが、昨年は4月にリハーズ・ビギスにTKO勝ちし、9月にはカルリ・ギブレインに1R裸絞めで一本勝ちしRIZIN 2連勝中。12月にはジョシュ・バーネットと巌流島ルールで対戦し、通常のMMAの攻防の中で1Rに膝蹴りをもらって倒れると、パウンドを浴びTKO負けしている。
チューカスはMMA 7戦全勝後、昨年10月にRIZINに初参戦し、スダリオ剛に2R TKO負けして以来となるRIZIN出場。試合はそれ以来となる。
1R、チューカスが序盤から右フックを的確に当て、右フックでダウンを奪う。シビサイはロープ際で下になるが、チューカスの足をつかみ、セコンドのイゴール・タナベのアドバイスを聞きながらヒールフックを極めてタップを奪い、逆転一本勝ちした。
テミロフ、征矢貴も粉砕しRIZIN 2連続1R KO勝ち
第1試合 MMA フライ級(57kg) 5分3R
×征矢 貴[そや たかき](パラエストラ松戸)
○ラマザン・テミロフ(ウズベキスタン/ムラドフ・レギオンチーム)
1R 3’15” KO (左フック)
征矢はクローン病の療養を経て昨年4月のRIZIN TRIGGERで2年半ぶりに復帰し中務修良に2R TKO勝ち。11月の名古屋大会では中村優作に判定1-2で敗れた。今年5月大会でテミロフと戦う予定だったが、練習中に右膝の右内側側副靭帯を部分断裂し全治10週間と診断され欠場した。
テミロフは18戦16勝2敗の26歳。5月大会でRIZINに初出場し、浜本“キャット”雄大に1R 左フックからのパウンドでTKO勝ちしている。
1R、開始すぐの打ち合いで征矢が左フックを当て、テミロフをふらつかせ、右ストレートからのラッシュで追い詰める。だがテミロフがカウンターで右フックを当てて征矢をダウンさせ、パウンドラッシュでストップ寸前まで追い詰める。それでも征矢は立ち上がり、スタンドの展開に戻すが、テミロフがパンチを効かせ、バックスピンキックも絡め追い詰め、右フックでダウンを奪う。それでも征矢は立ったものの、最後はテミロフが左フックで征矢をマットに沈めた。