修斗 3.21 後楽園ホール(レポ):安藤達也、岡田遼との再戦で2R KO勝ちし世界バンタム級王者に。西川大和、階級上の山田崇太郎下しRIZINも目標に
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プロフェッショナル修斗公式戦 PROFESSIONAL SHOOTO 2022 Vol.2
2022年3月21日(月/祝)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
第9試合 メインイベント 修斗世界バンタム級チャンピオンシップ 5分5R
×岡田 遼(パラエストラ千葉/世界王者)※2度目の防衛戦
○安藤達也(フリー/世界1位、環太平洋2位、元環太平洋王者)
2R 0’53” KO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
※安藤が第12代王者に
岡田と安藤は19年9月、岡田の環太平洋王座初防衛戦で戦い、判定1-1のドローに終わっており、2年半を経ての決着戦が、世界王座を懸けて行われた。
岡田は20年5月、倉本一真をKOし世界暫定王者に(その後、佐藤将光の正規世界王座返上で正規王者に繰り上げとなる)。安藤は昨年8月に田丸匠をKOし、環太平洋王者になるが、11月に大塚隆史のカーフキックで足を痛めKO負け。岡田は昨年3月、その大塚に判定勝ちし、世界王座の初防衛に成功した。
岡田は昨年6月の東京ドームでのRIZINバンタム級日本GP一回戦で元谷友貴に判定負けして以来9カ月ぶりの試合。今回に備え、ラスベガスの名門・エクストリーム・クートゥアで1カ月練習した。安藤も昨年夏にカリフォルニアの名門・アルファメールで1か月練習し、昨年9月の石井逸人との環太平洋王座初防衛戦では一本勝ちしており、両者とも経験を重ね、2年半前から進化しての再戦となる。
1R、安藤がサウスポーで構え、オーソドックス主体で時折スイッチする岡田に圧力をかけ続ける。安藤は左ストレート、岡田はカーフキック主体。中盤、安藤がタックルを仕掛けると、岡田は切って押し込むが、テイクダウンにはつながらない。終盤も岡田が押し込むが、離れて終える。記者採点はイーブン。ジャッジは割れ、2者が岡田、1者が安藤につける。
1Rは比較的静かな展開だったが、2R、序盤の打撃戦から一気に試合が動く。岡田が1Rも当てていた右のカーフキックをインローの形で当てると、安藤が少しバランスを崩す。すると岡田が圧力を強めて安藤を金網際に詰めるが、岡田の左フックのタイミングで、安藤が右フックをカウンターでクリーンヒット。ダウンして意識の飛んだ岡田に、安藤がパウンドを連打したところでレフェリーがストップした。
念願の世界のベルトを巻いた安藤は「まず俺の尊敬する人の言葉を借ります。俺が負けると思った奴、ファックユー、これ言いたかったっす」と、かつての所属先・TRIBE TOKYO MMAの長南亮代表のセリフを借りて勝ち誇った後、ファンや関係者に感謝の言葉を述べた。(※なお、長南氏のセリフの元ネタはエンセン井上氏の「俺が負ける言った人、くたばれ」)
バックステージで安藤は「今までになく減量中から体調が良かったです。自然な状態で上がれました」「前回は岡田選手をナメてて、怪我して走りだけで体重を落として、ああいう内容だったんですけど、今回は全部詰めてできて、超見えていましたね」「アルファメールでの練習を日本から帰っても続けました」「環太平洋を取ってから(練習への)意識が変わりました」「(カウンターの右フックは)反応です。その時のヒラメキです。狙いに行かなかったのが良かったと思います」「岡田選手に試合を受けてもらったことに感謝しています」「海外行って日の丸掲げたいですね」「32でダラダラやってられる年齢じゃないので、35まではUFCもチャンスあると聞いたんでトライしたいですね」「ONEでもUFCでも行きたいです」等と話した。
第8試合 セミファイナル ウェルター級 5分3R
○西川大和(西川道場/ライト級世界王者)
×山田崇太郎(The Pandemonium/ウェルター級世界3位、環太平洋4位、ZST同級王者)
3R 4’10” 腕ひしぎ十字固め
西川は修斗 7連勝・6連続フィニッシュの快進撃を続ける19歳。昨年9月に川名TENCHO雄生を下し18歳の修斗史上最年少で王者となり、11月のVTJでは菅原和政に勝利すると、マイクで青木真也に「青木さん、来年、MMA、教えてくださいよ、試合で」とアピールし、話題を呼んだ。今回はウェルター級に体重を上げての試合だ。
1R、西川が開始すぐから距離を詰めるが、山田が片足タックルから抱えて倒して上に。西川は下から足を効かせて返そうとするが、山田は耐え、サイドで押さえる。西川はスタンドに戻すが、すぐ山田が押し込み、ギロチンで引き込み、足を登らせつつリバースに成功し、再び上に。山田は上からパウンドを時折当てる。西川もこの体勢から得意とする肘を返すが、威力は不十分。全体的には山田が主導権を握り続けたラウンドに。記者採点は山田。
2Rも山田がタックルで倒して上になり、パウンドを当て、先手を取るが、西川も下からパンチを返していると、山田の顔は少しずつ腫れる。山田が足関節技を狙ったところで、西川は返して上に。西川はパウンドを的確に落とし続ける。山田も再び足関を狙って抵抗するが、消耗が激しく力が入りきらず。終盤には西川が猪木アリ状態で立って上から見下ろしながら「おい、極めてみろよ」と叫んで挑発し、場内がどよめく一幕も。記者採点は西川。
3Rも西川攻勢の流れが続く。途中、パンチをもらったせいか?鼻血を出すが、グラウンドで山田をコントロールし続け、アームロック、裸絞めなどを狙いながら、パウンドを当てて山田を削る。そして終盤、西川が腕十字をガッチリと極めフィニッシュした。
1R目の劣勢を跳ね返し見事逆転で完勝の西川は「5月か6月にウェルター級で外国人とタイトルマッチをやらせてください。それがダメだったらRIZIN行かせてもらえればと思います。日本人狩り、以上」とアピール。青木には言及せず、新たな目標を掲げた。
バックステージでのインタビューで西川は「青木選手とONEのライト級でやるなら1階級分体重が上がるので、それに合わせようと思って今回はウェルター級でやりました」と話しつつ、青木に興味はまだあるのか?という質問には、少し考えた後「特にないですかね」と回答。「行けるのならONEに行きたいですけど(ONEの開催地のシンガポールに)僕は行けないので。(新型コロナウイルスの)ワクチン打ちたくないんで」「ワクチンで死んでいる人もいて、ドンピシャで自分が当たったらどうするのかなってのがあるんで。体に変なものを入れたくなくて、インフルエンザの注射も打っていないんですよ」と説明し、ONE参戦自体が難しい事情があり、青木への興味が自ずと薄れたことを示唆した。
ONEに代わって今後の選択肢として浮上したのが、以前から興味のあったRIZIN。RIZINでやりたい選手は?という質問には「特にいないですね。1試合1試合こなすのが選手の仕事なので。僕は誰とやりたいというコメントも好きじゃないんですよ。次来た選手を倒して自分を磨いていくだけです」と答えた。
マイクで「日本人狩り」をアピールした一方、インタビューでは「ONEのライト級でやっていた選手とキャッチウェイトで試合してみたいですよね、こっちに呼べるのであれば」「UFCならライト級でやりたい」とも話しており、海外強豪との試合や海外進出への熱意は消えていない。コロナの状況次第で西川の方針が変わることもありそうだ。
セミファイナル前には、土屋大喜(roots/第4代修斗環太平洋フェザー級王者)の引退式が行われた。師匠の佐藤ルミナ氏らが登壇。最後に土屋は「修斗やってきて本当に良かったです。ありがとう、修斗」との言葉を残し、10カウントゴングを聞いた。
第7試合 バンタム級 5分3R
○石井逸人(TRIBE TOKYO MMA/世界5位、環太平洋3位)
×石橋佳大(ZEEKジム/世界6位、環太平洋5位、元環太平洋王者)
2R 2’04” 裸絞め
石井は昨年5月まで行われたインフィティリーグで優勝し、9月に環太平洋王者・安藤達也に挑んだが一本負けして以来の試合。石橋は16年に安藤と岡田遼に連勝し環太平洋王者になった過去があり、最近は論田愛空隆、後藤丈治相手に2連勝中だ。
1R、石井がタックルでテイクダウンを先取するが、すぐに石橋は脱出し、テイクダウンを奪い返し、バックマウントを奪い、下に落ちながら腕十字を狙う。だが石井は極めさせず防御すると、終盤はトップキープし、細かくパウンドと肘を当て好印象で終える。記者採点は僅差だが終盤攻勢だった石井。
2R、しばらくスタンドの攻防が続いた後、石井が左ストレートを当ててから、タックルでテイクダウンに成功する。石井は金網際で素早くバックを奪うと、休む間もなく裸絞めを極めるとタップを奪った。マイクを持った石井は「次、ベルトよろしくお願いします」とアピールした。
第6試合 バンタム級 5分3R
○後藤丈治(TRIBE TOKYO MMA/世界7位、環太平洋6位)
×ダイキ・ライトイヤー(修斗GYM神戸)
判定3-0 (片岡30-27/豊永29-27/柴田30-26)
ダイキはキャリア約9年ながら後楽園ホールには初登場。地元神戸での11月のRIZINでは釜谷真をKOしインパクトを残していた。
1R、後藤はサウスポーから圧力をかけ続け、ダイキの前足に右のローを着実に当て続ける。時折左の顔面とボディ狙いのフックも織り交ぜる。ダイキも随所で右ストレート、フック、ミドルをヒットする。記者採点はローの着実さで後藤だが、僅差のためダイキについても不思議ではない。
2Rも基本的に同じ構図。お互いテイクダウンを狙うが倒れない。中盤、後藤が右ローを連打すると、ダイキは顔をしかめる。すると終盤、後藤の左のオーバーハンドフックがクリーンヒットし、ダイキはダウン。後藤がパウンドラッシュで追い詰め、最後はギロチンを狙って終える。記者採点は10-8で後藤。
3R、ダイキも右ミドルを当てるが、後藤の左ミドル、フックのヒット数が上回る。後藤はタックルでのテイクダウンも繰り返し、トータルで差を印象付ける。記者採点は後藤。合計30-26で後藤。ジャッジ3者も後藤を支持し、後藤の判定勝ちとなった。
第5試合 フライ級 5分3R
○関口祐冬(修斗GYM東京/世界4位)
×宮城友一(キックボクシングDROP/世界5位、元GLADIATORライトフライ級王者)
判定3-0 (豊永30-27/福田29-28/柴田29-28)
宮城もダイキ同様、昨年11月のRIZIN沖縄大会で勝利し、勢いづいての修斗後楽園登場。1Rは終始スタンドの展開。関口は低めに構え、時折スイッチもし、パンチ主体の攻め。キックボクシングの試合経験も豊富な宮城は高く構え、ミドル、ローなどの蹴り主体。宮城のローで関口が少しバランスを崩す場面も。記者採点は僅差だが宮城。
2R、関口は作戦変更か?開始すぐにタックルを仕掛けテイクダウンに成功し、トップをキープする。立った状態からパウンドを一発当て好印象を残す。スタンドに戻り、宮城のミドルがやや目立つが、最後も関口がタックルで倒し、立ち際にパンチを当てて印象を残す。記者採点は関口。
3Rも関口がタックルで度々テイクダウンを奪い、サウスポーからの左ストレートも効かせ好印象を残す。記者採点は関口。合計29-28で関口。ジャッジ3者も関口を支持し、関口が判定勝ちし、連勝を4に伸ばした。
第4試合 フェザー級 5分3R
―岩本健汰(ロータス世田谷/世界7位)
―飯田健夫(フリー)
中止 (飯田が体重調整中に体調不良で病院に搬送されたため)
第3試合 バンタム級 5分2R
×Lyo’o[りょう](reversaL Gym OKINAWA CROSS×LINE)
○齋藤奨司(FIGHT FARM)
判定0-3 (福田18-20/片岡18-20/柴田18-20)
第2試合 フライ級 5分2R
×大竹 陽(HAGANE GYM)
○山内 渉(FIGHT FARM)
判定0-3 (福田18-20/片岡18-20/豊永18-20)
第1試合 フライ級 5分2R
○内田タケル(パラエストラ松戸)
×佐々木駿友[はやと](T-GRIP TOKYO)
1R 1’36” 裸絞め
1R、内田が開始すぐにタックルを仕掛けて倒すと、金網際で肩固めを狙う。一旦マウントに戻ると、最後はバックマウントから裸絞めを極めタップを奪い完勝した。試合後の内田はマイクを要求したが、内田に耳打ちされセコンドの扇久保博正が代わりに話すという異例のスタイルで、「5月、もっと強い奴とやらせろ」とアピールした。