RIZIN 10.23 マリンメッセ福岡(レポ):クレベル・コイケ、予告通りの三角絞めで牛久絢太郎を2Rで仕留めフェザー級王者に。矢地祐介・武田光司・梅野源治が海外勢に完勝
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湘南美容クリニック presents RIZIN.39
2022年10月23日(日) マリンメッセ福岡 A館
レポート:井原芳徳 試合写真:(C)RIZIN FF ※大会の模様はABEMA PPV ONLINE LIVEほかで全試合完全生中継
クレベル・コイケ、予告通りの三角絞めで牛久絢太郎を2Rで仕留めフェザー級王者に
第12試合 MMA RIZINフェザー級(66kg)タイトルマッチ 5分3R
×牛久絢太郎(K-Clann/王者、DEEP同級王者)※2度目の防衛戦
○クレベル・コイケ(ブラジル/ボンサイ柔術/元KSW&REBEL FC同級王者)
2R 1’29” 三角絞め
※コイケが王者に
牛久は昨年10月の横浜大会でRIZINに初参戦し、RIZINフェザー級王者の斎藤裕に挑戦し、2Rに左膝蹴りで斎藤の右まぶたを切りドクターストップ勝ちし王者に。12月のDEEPで神田コウヤに判定勝ちしDEEP王座の2度目の防衛に成功。今年4月のRIZIN.35では斎藤とベルトを懸け再び戦い、2Rに左ハイでダウンを奪う等優位に進め判定勝ちしている。今回2度目の防衛戦だ。今回の試合に備え、青木真也とも練習しコイケの寝技対策を練った。
コイケは昨年6月の東京ドーム大会で朝倉未来に2R三角絞めで勝利し、当時のフェザー級王者・斎藤への挑戦が内定したが、減量と左足首の怪我を理由に対戦を回避した。欠場を巡るやりとりで、RIZINの榊原信行CEOとの関係が悪化していたが、年末に和解。今年2月の静岡大会では佐々木憂流迦に2R裸絞めで一本勝ち。5月のRIZIN LANDMARKでも萩原京平を1R裸絞めで仕留め、RIZIN参戦からの連続一本勝ち数を5に伸ばした。その後、フロリダのアメリカントップチームでRIZINバンタム王者の堀口恭司らと1か月練習し、8月からはタイのプーケットのタイガームエタイ等でONEの強豪・ファブリシオ・アンドラージらと約2か月練習し、王座挑戦に向け準備を続けてきた。
試合は大方予想された通り、コイケが寝技で牛久を圧倒する内容に。1R、牛久はサウスポーで構えて右の前足で関節蹴りを当てるが、コイケは右ミドルを振って詰めてから、タックルを仕掛けて抱え上げ、早速倒して上になる。コイケはハーフで押さえ、右手を枕にして肩固めのプレッシャーをかけ、その形を解いてからも押さえ続ける。
中盤、コイケはパスガードを狙うと、牛久が動いたタイミングでバックを取ろうとするが、牛久は体をひねって上になる。コイケは未来を仕留めた三角絞めでのフィニッシュを予告しており、牛久は三角絞めを防御するため上から密着する。コイケはそれでも足を登らせ、牛久の脱出際には足関節技を狙い、スタンドに戻す。しかしコイケはすぐ押し込むと、自ら引き込んで下になる。牛久は上から密着し、引き続き防御を続けて終える。ここまでコイケが優勢だ。牛久はまだ危ない場面はないものの、しのぐので手一杯といった様子だ。
2R、牛久の左ミドルの蹴り足をコイケがすくって倒す。すぐに牛久が下から足関を狙うが、コイケは対処して立ち、牛久は押し込む。だがコイケは首を抱えて倒すと、すぐに腕十字を狙いつつ、三角絞めに素早く移行する。コイケの三角についに捕まった牛久は、しばらく耐えるが、最後はコイケが牛久の頭を押さえて極めを深くしたところで、ついに牛久はタップ。コイケが予告通りの三角絞めで一本勝ちした。
"VOU PEGAR!" 🇧🇷
KLEBER KOIKE IS INEVITABLE‼️
[Watch #RIZIN39 https://t.co/40DpcCYUQV] pic.twitter.com/qihhdRiUnG
— RIZIN FF English (@rizin_English) October 23, 2022
ベルトを肩に掛けマイクを持ったコイケは「ポペガー(vou pegar/ポルトガル語で「極める」)。僕を凄い支えた友達が死んじゃって難しい試合だった。これは日本のベルト、ブラジルのベルト。日本ありがとう。チームのみんなありがとう。10月16日私の誕生日、ベルトは自分のプレゼントでした」と日本語中心に話した。
最後は1日に死去し、ブラジルで少年時代を過ごしたプロレスラーのアントニオ猪木氏の決めセリフを引用し、「1、2、3、ポペガー」と叫び、同僚のライト級王者・ホベルト・サトシ・ソウザと共にRIZINのベルトをアピールした。
コイケのRIZIN参戦からの連続一本勝ち数はこれで6に。RIIZNの榊原信行CEOはコイケにベルトを巻く際、コイケに「ベラトールとの戦いも頼むよ」と声をかけていた。大晦日はベラトールの戦いとなるか?それとも未来との再戦となるか? 榊原氏は大会後の総括でも明言を避けているが、近く大晦日の概要を発表する模様で、いずれにせよコイケが気の休まる時間は短かそうだ。
ヘビー級のスダリオ剛、成長見せ2R TKO勝ち
第11試合 MMA ヘビー級(120kg) 5分3R
○スダリオ剛(HI ROLLERS ENTERTAINMENT/PUREBRED/118.80kg)
×ヤノス・チューカス[Janos Csukas](ルーマニア/GK1ストライキング/グレートブリテントップチーム/117.95kg)
2R 0’31” TKO (レフェリーストップ:グラウンドでの膝蹴り)
スダリオは7月のRIZINさいたま大会で関根“シュレック”秀樹に1R TKO勝ちしMMA 6戦5勝1敗に。チューカスはRIZIN初参戦の36歳。ロンドン在住で、19年にMMAデビューして以降7試合とも1R2分以内にTKO勝ちしている。構えはオーソドックスで、伸びのある左右のフックが持ち味で、組んでの展開でも腰が強く、スダリオにとっては手強い相手となりそうだ。
1R、スダリオが右ローを当てると、チューカスが右フックを振りながら組み付いて押し込む。スダリオは押し返すと、右肘を振うが、その隙にチューカスは押し返す。中盤、スダリオが押し返し倒そうとするが、チューカスは腰投げで倒して上に。サイドから鉄槌を連打するが、スダリオは脱出してスタンドに戻す。終盤、スダリオは右のカーフキックを連続で当て、右フックもヒットする。チューカスはパンチを振り回すが、2分以上の試合経験が無かったこともあってか、疲れが目立ち始め、カーフをもらったダメージもあり、力が入りきらない。スダリオも左ストレートを当てるが、こちらも疲れが見え攻めきれない。
2R、スダリオは右のカーフを連打してひるませ、さらに右アッパーも当てると、チューカスはマウスピースを吐き出しながら真後ろに倒れダウンする。スダリオは上から押さえて、パウンドを連打し、顔面に膝も連打したところでレフェリーがストップした。
スダリオはスタミナ面の難は見せつつも、技術の成長は印象付けての勝利。マイクを持つと「とりあえず勝ったんで大晦日お願いします」とアピールした。
ライト級戦線は矢地祐介&武田光司が初参戦の海外勢に完勝
第10試合 MMA ライト級(71kg) 5分3R
○矢地祐介(フリー/元修斗環太平洋&PXCフェザー級王者)
×ボイド・アレン[Boyd Allen](南アフリカ/元EFCフェザー級王者)
判定3-0 (田澤=矢地/橋本=矢地/豊島=矢地)
矢地は18年8月にルイス・グスタボに敗れて以降、5戦1勝4敗と負けが込んだが、昨年、練習拠点をKRAZY BEEからロータス世田谷に移すと成長を遂げ、6月に川名TENCHO雄生、9月に武田光司を相手に2連勝。しかし大晦日大会でホベルト・サトシ・ソウザの持つライト級王座に挑戦すると2R一本負けしし、今年4月のTRIGGERではグスタボに打撃で終始押され、2R右フックからのパウンドでTKO負けし、海外出身の実力者相手に2連敗中だ。9月のさいたま大会出場も計画されたが、対戦相手の都合により試合は流れた。
アレンはRIZIN初参戦。1989年7月19日生まれの33歳。MMA 21戦16勝4敗1分。プロボクシング8戦6勝1敗1分。南アフリカのMMA大会・EFCで14年に王座を取り2度防衛し、15年に王座陥落。3年間ボクシングに転向した時期もあったが、昨年5月にEFCでMMAに復帰し判定勝ち。今年3月のボクシングの試合でも判定勝ちしている。一本勝ちは多いが、ロシア等での試合を見る限り、押さえ込まれると弱い印象だ。
1R、矢地がサウスポーで構えて詰めると、アレンがコーナーに押し込む。だが矢地は足を掛け続けて中盤には倒して上になる。アレンは足関節技を狙うが、矢地は対処する。矢地は上から密着して押さえ続け、パウンドを打てる体勢にはならない。アレンが下から時折肘を当てるため、矢地は肘を警戒しているようにも見える。
2R、矢地は序盤から組み付いてコーナーに押し込み、抱え上げてまたも倒して上になり、今度はサイドポジションをすんなりと奪う。中盤以降も矢地はサイドで押さえ続け、時折鉄槌を当てる。アレンはずっと片足を上げてマウントを取らせないが、ガードの中に戻すこともできず防戦一方だ。
3R、矢地は右ストレートを当ててから、またも組み付いて倒してサイドを奪いガッチリ押さえる。中盤には矢地がマウントを奪うが、アレンがもがくとハーフに戻る。アレンが足関を狙うと、矢地は脱出する。それでもアレンは足関を狙い膝十字の形になりかけるが、矢地はこれも対処して、トップポジションに戻る。終盤、矢地はハーフで押さえ続け、サイドを取って終了する。記者採点は矢地。ジャッジ3者も同様で、矢地が手堅い内容ながらも判定勝ちで連敗を2でストップした。
第9試合 MMA ライト級(71kg) 5分3R
○武田光司(BRAVE/元DEEPライト級王者)
×ザック・ゼイン[Zach Zane](米国/マウイ柔術)
1R 3’35” 腕ひしぎ十字固め
武田は4月のRIZIN.35でスパイク・カーライルに2R一本負けしたが、7月のさいたま大会ではジョニー・ケースに判定勝ちした。
ゼインは8月末のハワイでのRIZINトライアウトで選抜された選手。Tapologyのデータによると15年にプロデビューし28戦15勝13敗。17年6月から19年3月まで8連勝し、19年12月のベラトール・ハワイ大会のメインカードで判定勝ちした。今年に入ってイーグルFC、LFAといったローカル大会で4試合もしているが、いずれもフィニッシュ負けで、元UFCのルイス・ペーニャに1R三角絞めで、ベラトール参戦中のイスラム・マメドフに1R裸絞めで敗れている。
1R、お互いサウスポーで構え、パンチが交錯する中で、武田が組み付きコーナーに押し込み、テイクダウンを狙う。武田はじわじわ背後に回ると、反り投げを繰り返し、レスリング技術で翻弄する。中盤には武田が倒してトップキープする。するとサイドに回ってアームロックを狙いつつ、腕十字に移行し、ゼインのクラッチを切って極めてタップを奪った。
RIZINトライアウトの選手を圧倒した武田は「ザック選手の日本人に無い圧力で飲まれたんですけど、しっかり一本取れて良かったです。大晦日も出る気満々ですが、どうですかね?今年4戦目でキツいと思うんですけど、応援してくれる人のために頑張ります」とアピールした。
ライト級新鋭・宇佐美正パトリック、フリー初戦は佐々木信治を粉砕
第8試合 MMA 75kg契約 5分3R
×佐々木信治(BURST/GLADIATORライト級暫定王者、元修斗環太平洋同級王者)
○宇佐美正[しょう]パトリック(フリー/修斗ライト級世界10位)※EXFIGHT/LDH martial artsから所属変更
3R 2’33” TKO (レフェリーストップ:右ストレート)
佐々木は18年の韓国のROAD FCで右拳、眼窩底、上顎、頬、鼻の10箇所以上を骨折する大怪我を負うが、4度の手術を経て昨年2月にGLADIATORでの植田豊戦で復帰し、TKO勝ちでGLADIATORライト級暫定王者に。昨年12月の修斗広島大会ではジョナタン・バイエスに判定勝ちしている。現在42歳。RIZINには16年4月のダロン・クルックシャンク戦でTKO負けして以来6年半ぶりの登場となる。
RIZIN初参戦の宇佐美は2000年5月8日生まれの22歳。父親は日本人、母親はカナダ人で、幼少期から父親の影響で極真空手を始め、ボクシングでは高校6冠を達成。18年の世界ユース選手権では銅メダルを獲得するが、東京五輪の選考試合では敗退する。EXILEなどが所属する芸能事務所LDHによる未来のスター格闘家を発掘するオーディション(ABEMAでは「格闘DREAMERS」の番組名で放送)で勝ち残り、昨年4月LDHと契約。9月の修斗でのプロデビュー戦ではヨシ・イノウエを左ボディでKOし、11月のVTJの野村駿太戦では2Rに左フックでダウンを奪い判定勝ちした。今年4月のLDH主催POUND STORM両国国技館大会では大尊伸光に判定負け。6月のRoad to UFCにエントリーしていたが、ライト級への減量中に脱水症状を起こし欠場していた。LDHを離れたことを10月1日に発表し、今回RIZINに初登場する。現在は故郷の大阪でストラッサー起一らと練習している。
1R、佐々木が開始すぐから飛び込んで左フックを当て、宇佐美は突き放すも、すぐに佐々木は立つ。佐々木は宇佐美をタックルからコーナーに押し込んで、足を掛けてテイクダウンに成功する。まだ寝技に課題の多いストライカーの宇佐美を、佐々木はサイドポジションでガッチリ押さえ、中盤にはマウントに移行する。佐々木は自軍コーナー付近でセコンドの藤井惠夫人のアドバイスを聞きつつ、終盤には足を登らせ三角絞めと腕十字のプレッシャーもかけ、パウンドを時折当て主導権を維持する。
2R、スタンドで見合う状態が続き、お互い左ジャブを時折当てる。ベタ足であまり動かない佐々木に対し、宇佐美は細かく左右にステップし、随所で左フック、左インローを当て。佐々木のタックルも切り続け、やや優位に。終盤、佐々木が左フックを放ちつつタックルを仕掛け押し込み、宇佐美は耐える。最後、宇佐美は突き放すと、左フック、アッパーを当てる。バランスを崩しかがんだ佐々木の顔面に右の蹴りも当て、追い詰めて終了する。流れも有効打での印象も宇佐美に。
3R、スタンドの攻防が続き、お互い慎重だったが、中盤一気に試合が動く。右フックが交錯した後、宇佐美が続けて左フックを当てると、佐々木は動きが止まる。宇佐美は一気に距離を詰め、左ボディ、右ストレートを立て続けに当て、佐々木が真後ろに倒れダウンしたところでレフェリーがストップした。
宇佐美は「今まで色々あり過ぎて、濃い半年間で、家族とサポートしてくれる人たちのおかげでこの舞台に立てました。ありがとうございました。佐々木選手、短い期間のオファー受けていただきありがとうございました。記者会見とかで色々言っていますが、これから有言実行しますので、大晦日も強い相手とやりたいんで、榊原さんお願いします。これから大きくなるんでついて来てください」とアピールした。
阿部大治、安全運転で3連勝
第7試合 MMA ウェルター級(77kg) 5分3R
○阿部大治(フリー/DEEPウェルター級王者、元パンクラス同級王者、元J-NETWORKライトヘビー級(79.38kg)王者)
×田村ヒビキ(カルペディエム福岡/修斗環太平洋ウェルター級王者)
判定3-0 (豊島=阿部/田澤=阿部/片岡=阿部)
阿部は3月の大阪大会でストラッサー起一とウェルター級で対戦し判定勝ちし、7月のさいたま大会ではマルコス・ヨシオ・ソウザに2R KO勝ちした。
田村は大阪出身・福岡在住の41歳のベテランでRIZIN初参戦。5月の修斗福岡大会ではソーキをKOし、修斗環太平洋ウェルター級王座を獲得した。戦績38戦16勝13敗9分。
1R、サウスポーの田村に対し、阿部がオーソドックスで構えて圧力をかけ続け、時折右ストレート、ミドルを当てる。中盤、阿部のパンチのタイミングで田村が組み付いてロープに押し込むが、膠着しブレイクがかかる。すると阿部が左右のストレートを当て、田村をひるませるが、やや慎重で深追いはしない。
2R、阿部は変わらず圧をかけ、右ストレート、右ボディフックを時折ヒットし、じわじわダメージを与える。中盤、阿部が右ミドルを放った際、迎撃した田村の右膝がローブローとなり一時中断する。再開後、田村が右ストレート、左ミドルをヒットし少し巻き返すが、終盤は阿部が右フック、テンカオを随所で当て、すぐ主導権を引き戻す。とはいえまだ慎重な感はぬぐえない。
3Rも阿部が圧力をかけ、時折パンチを当てて主導権を維持する。中盤には左のショートフックを当ててダウンを奪うが、追撃は無く、すぐスタンドに戻る。結局、阿部は最後まで安全運転を貫き終了し、判定勝ちで連勝を3に伸ばした。
梅野源治、肘を出す前に左ローで21秒KO勝ち「RIZINのムエタイのベルト、早く作ってください」
第6試合 キックルール(肘有り・つかんでからの攻撃は1回) 61kg契約(ライト級相当) 3分3R
○梅野源治(PHOENIX/BOMライト級王者、元ラジャダムナン同級王者、元WPMF世界・WBCムエタイ世界・同インターナショナル・スーパーフェザー級王者、元M-1フェザー級王者、元WPMF日本&WBCムエタイ日本スーパーバンタム級王者)
×トレント・ガーダム[Trent Girdham](オーストラリア/タイガームエタイ&MMA)
1R 0’21” TKO (レフェリーストップ:左ローキック)
梅野は3月のRIZIN大阪大会での皇治戦で判定負けして以来のRIZIN登場。皇治戦の採点発表の際に「やばいだろ」と不満を露わにし、多くのRIZINファンから揶揄されたが、その話題性を逆手に取り、ツイート等でも「やばいだろ」のフレーズを多用し、人気を高めた。得意の肘有りルールでのRIZIN出場を望むツイートも繰り返し、7月のKNOCK OUTでは、4月のRIZINで力也をKOした大谷翔司の額を右肘打ちで切り裂きTKO勝ちすると、「おい、RIZIN、見てるだろ。お前らが見たい試合、ムエタイルールの俺なら見せられるから、見せてやるから、早くオファーして来いよ。ヤバいだろ?」とマイクアピールし、今回希望が通った流れだ。
対するガータムはタイ在住のオーストラリア人MMA選手で25歳。RIZINには2度MMAの試合で上がり、18年8月にビクター・ヘンリーに三角絞めで敗れ、20年2月には井上直樹に判定負けしている。MMA11勝2敗、ムエタイ16勝3敗1分。18年のシュートボクシングのS-cup -65kgトーナメントに参戦し、一回戦で健太に判定負け。8月に三浦孝太とブアカーオがエキシビションマッチを行ったラジャダムナンスタジアムの大会にもムエタイの試合で出場していた。
1R、ガーダムはサウスポーで構え前に出て左インローを当てる。オーソドックスの梅野も左ローをお返しする。ガーダムは右ローを当て、梅野が左ローを返すと、ガーダムは右膝の裏の靭帯を痛めた様子で、苦痛の表情を浮かべながらダウンし、すぐさまレフェリーがストップ。梅野のKO勝ちとなった。ガーダムは担架で運ばれた。肘有りルールを希望したが、結局梅野は肘を使う場面も無くあっさりと勝ってしまった。
梅野は「試合前から試合後まで、勝とうか負けようが、みんなを盛り上げられる梅野源治です。どうでしたか?ムエタイの梅野源治、結構ヤバかったでしょ?榊原さん、そろそろRIZINのムエタイのベルト、早く作ってください。みんなも見たいでしょ?俺がムエタイでどこまでヤバいのか。これ以上長くなっちゃうと、次の試合が控えていると思うんで、この続きはRIZIN YouTube、インタビュー楽しみにしてください」と、改めて皇治戦で揶揄された件をネタにして観客を笑わせつつ、主催者にムエタイ王座制定を要求した。大会後の総括で榊原氏は「ファンの熱が醸成されればノーということでは無い」とコメントしている。
芦田崇宏、新鋭・中田大貴との接戦制し連敗脱出。猪木氏を追悼
第5試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○芦田崇宏(BRAVE/元DEEPフェザー級王者)
×中田大貴(和術慧舟會HEARTS/パンクラス・フェザー級1位)
判定3-0 (豊島=芦田/柴田=芦田/片岡=芦田)
佐賀県生まれの芦田はDEEPで活躍後、20年9月にRIZINに初参戦し、萩原京平に1R一本勝ちしたが、昨年10月の金原正徳戦、今年4月のカイル・アグオン戦と2連敗している。8月のDEEPでは今成正和の寝技を封じ判定勝ちしている。
中田は昨年11月のTRIGGERでRIZINに初参戦し、通常のRIZINフェザー級の66kgよりも2kg重い68kg契約で堀江圭功と対戦し判定負けして以来となるRIZIN登場。3月のパンクラスでのフェザー級王座挑戦者決定トーナメント一回戦で亀井晨佑と激しい打ち合いを繰り広げ判定負けし、7月のパンクラスでは内村洋次郎に1R TKO勝ちしている。
1R、サウスポーの芦田に対し、中田はオーソドックスで構えて圧力をかけ、パンチを狙いつつ右ミドルを当てる。中盤、芦田が組もうとしたところで中田がコーナーに押し込むが、芦田は突き放す。その後も執拗に中田はパンチを振って前に出て、今度はロープに押し込む。その後も離れてはこのパターンが繰り返される。芦田は強打こそもらわず、テイクダウンも許さないものの、中田の積極性に押されて、自分の攻撃を出せないまま1Rを終える。
2Rも中田は前に出て押し込み、中盤にはようやく崩して倒すことに成功し、バックマウントを奪う。中田は足4の字ロックでガッチリ捕獲し、裸絞めを狙い続ける。終盤も中田はバックマウントを維持し終了する。芦田は背後の中田に時折パウンドを当てるが、威力は不十分で流れを変えられない。ここまで中田優勢だ。
3R、スタンドの打撃戦が続き、お互いパンチを当てるが、芦田の的確さがやや上回る。中田は右目の下を腫らす。だが中田はパンチを振いながら、またも詰めて芦田をコーナーに押し込む。時折離れてパンチの打合いとなるが、すぐ中田が押し込む展開に戻る。終盤、芦田が中田を押し倒し、そのまま上から押さえ、時折パウンドを落とす。芦田がサイドで押さえながら膝を連打するが、最後は中田が脱出し、パンチを打合い終了する。
記者採点は長時間主導権を握った中田。3Rに挽回した芦田の有効打と、与えたダメージのインパクトは、2Rまでの悪印象を覆すには少し足りないと判断した。しかしジャッジは3者とも芦田を評価し、芦田の判定勝ちとなった。2Rの寝技の展開で中田が裸絞め狙いではなくパウンド主体にしていたら、中田はジャッジに確実に評価されていただろう。この日は中田の所属するHEARTSの大沢ケンジ代表が、アブダビでのRoad to UFCに出場する風間敏臣に帯同したため不在で、大沢氏がセコンドについていれば印象の付け方も変わっていた可能性もある。
芦田は先日死去したアントニオ猪木氏のグッズでおなじみの赤いタオルを首にかけ、「今月頭、アントニオ猪木さんが亡くなられ、猪木さんから力をいただいていてショックだったんですけど こうやって格闘技できているのも猪木さんあってだと思います」と追悼の言葉を述べ、試合内容については「もうちょっといい試合したかったけど足らなかったです。もっと頑張ります」と反省した。
中原由貴が圧勝。大晦日のケラモフとの仕切り直し戦希望
第4試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○中原由貴(マッハ道場/元GLADIATORフェザー級王者)
×原口 央[あきら](BRAVE/GLADIATORフェザー級王者)
1R 2’37” TKO (レフェリーストップ:左グラウンドキック)
ヴガール・ケラモフが椎間板ヘルニアによりドクターストップがかかり、大会2週間を切り、ケラモフと対戦予定だった中原の相手が原口に変更となった。中原はGLADIATOR、パンクラス、ONEを経て7月にRIZINに初参戦し、佐々木憂流迦の代役で緊急出場した関鉄矢に判定勝ちしている。原口は鹿児島出身。ZST、GLADIATORなどを経て、5月のRIZIN LANDMARKでRIZINに初参戦し、関鉄矢と接戦の末に判定負けして以来となるRIZIN出場。その後6月のGLADIATORでは中川皓貴に判定勝ちしている。弟の伸もMMA選手だ。
1R、開始すぐから原口が片足タックルを仕掛けて執拗にテイクダウンを狙う。中原は防御を続ける。すると中原はコーナーを背に立ち上がり、右脇を差して原口を回して押し返してから、スペースを作って左肘をヒット。これ一発で原口がひるむと、マウントパンチで追い詰め、最後は立ち上がってサッカーボールキックを連打し、原口がうずくまったところでレフェリーがストップした。
完勝の中原は「原口選手、試合を受けてくれてありがとうございます。ケラモフ、12月に会おうぜって言っていたんで、大晦日やらせてもらえたらうれしいです。同じような感じにしてやろうかなと。それ終わって言いたいこと言おうかと思います」とアピールした。
ストップは早すぎた?手塚基伸、RIZIN初白星
第3試合 MMA バンタム級(61kg) 5分3R
○手塚基伸(シークレットベースドミネート/コブラ会/GRACHANバンタム級王者、元HEAT王者)
×メイマン・マメドフ[Mehman Mamedov](アゼルバイジャン/オリンパス・クラブ)
1R 4’33” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
手塚は3月の大阪大会でRIZINに初参戦し、約7年半ぶりにアラン“ヒロ”ヤマニハと対戦したが、2R裸絞めで一本負けしリベンジを許して以来の試合。
マメドフはケラモフと同じアゼルバイジャンから初参戦する34歳。Tapologyのデータによると11戦5勝5敗1無効試合。
1R、手塚がサウスポーで構え、タックルを仕掛け、すぐに引き込んで下になり、アームロックを狙う。そこから三角絞めに移行するが、マメドフは防御を続ける。手塚は三角を狙ったまま左手で鉄槌と肘を何発も当て続ける。強打は少なく、正味のダメージはまだそこまで大きく無い様子だが、マメドフが動けず何発も鉄槌をもらい続けたせいもあって、危険と判断されたか?リングの外からサブレフェリーより中止を求める黄色いバトンが投げ入れられ、リング内のレフェリーがストップした。マメドフはダメージが小さかった様子で、すぐに立ち上がり、両手を広げて不満を示したが、安全面を考慮すれば許容範囲の判断で、不満なのは理解できるが受け入れるしかないだろう。
栗秋祥梧&REITO BRAVELY、地元キック勢対決で快勝
第2試合 キック(肘無し・つかんでからの攻撃は1回) 57.5kg契約(フェザー級相当) 3分3R
○栗秋祥梧(クロスポイント吉祥寺/元大和フェザー級王者)
×翔[かける](REVOLT/シュートボクシング日本フェザー級7位)
2R 1’42” TKO (レフェリーストップ:左ハイキック)
福岡大会冒頭は九州勢の2試合。KNOCK OUT常連の栗秋は東京に住むが大分出身。翔は福岡在住。1R、接近戦でのパンチの打合いが主体となり、栗秋が左ハイを当てる場面もあるが、まだ均衡は崩れず。だが2R、栗秋が近距離の攻防で左ハイを当てダウンを奪取。翔はダメージが大きく、再び左ハイでダウンを奪ったところでレフェリーがストップした。栗秋はKO勝ち時は恒例のコーナーからのバック宙で勝利を喜んだ。
第1試合 キック(肘無し・つかんでからの攻撃は1回) 63kg契約(スーパーライト級相当) 3分3R
○REITO BRAVELY(BRAVELY GYM/M-1 JAPANライト級王者、KOSスーパーフェザー級王者)
×関幸一郎(ELEPHAS)
1R 0’34” TKO (レフェリーストップ:左ハイキック)
REITOは大分在住、関は熊本在住の選手。サウスポーのREITOが左ミドルを当て続けてから、左ハイをクリーンヒット。首筋にもらった関がダウンすると、すぐさまレフェリーがストップし、REITOが無傷で快勝した。