KNOCK OUT 7.23 後楽園ホール(レポ):梅野源治、大谷翔司を肘で切り裂きラスト3秒TKO勝ち「RIZIN、ムエタイルールでオファーして来いよ。ヤバいだろ?」
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
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KNOCK OUT 2022 vol.4
2022年7月23日(土)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
※REDルールは肘有りキックルール、BLACKルールは肘無し
第9試合 メインイベント RED 61.5kg契約 3分3R(延長1R)
○梅野源治(PHOENIX/BOMライト級王者、元ラジャダムナン同級王者、元WPMF世界・WBCムエタイ世界・同インターナショナル・スーパーフェザー級王者、元M-1フェザー級王者、元WPMF日本&WBCムエタイ日本スーパーバンタム級王者)
×大谷翔司(スクランブル渋谷/INNOVATIONライト級王者)
3R 2’57” TKO (レフェリーストップ:右肘打ちによる額のカット)
梅野はKNOCK OUTの前身であるREBELSの10年の旗揚げ大会に出場し、16年10月のREBELSでラジャダムナン認定ライト級王座を獲得。その2カ月後に旗揚げした旧体制のKNOCK OUTの草創期にもレギュラー参戦していたため、現体制のKNOCK OUT参戦は二重の意味での古巣復帰といえる。
梅野は19年からRISEに主戦場を移しつつ、BOMでのタイ人選手とムエタイの試合も並行し、昨年からはRIZINにも参戦。3月のRIZINでの皇治戦では採点発表の際に「やばいだろ」と不満を露わにし、多くのRIZINファンから揶揄されたが、その話題性を逆手に取り、ツイート等でも「やばいだろ」のフレーズを多用。2週間前にKNOCK OUTへのカムバックが発表された際にも「“やっぱり梅野源治、ムエタイ、ヤバいだろ”といった試合を見ていただく」とコメントしていた。カード発表会見では「ムエタイルールでやっぱり梅野源治、凄えなって、(ムエタイでの梅野を)見たことが無い人にもわからせる試合にしたい」「試合が終わって発言することにも注目していただきたい」と話した。
対する大谷はREBELS~KNOCK OUTの王座戦線で長年活躍するも、あと一歩で届かない状況が続いたが、20年8月にINNOVATIONの王座を獲得し昨年9月に防衛した。KNOCK OUT-BLACKライト級王者のバズーカ巧樹とは1勝1敗。3月13日の新日本キックで重森陽太に判定負けしたが、4月16日のRIZIN TRIGGERでRIZINに初参戦し、力也とのパンチの打ち合いを制し1R TKO勝ちしている。
実績では梅野が大きく上だが、上り調子なのは大谷。梅野はRISE・RIZINでは日本人との試合が続くが、日本人との肘有りの試合は16年8月のREBELSでのヤスユキ戦以来となる。
1R、梅野はいつものように両手を前に出し前傾の姿勢から、左ミドルを度々ヒットし主導権を握る。だが大谷も距離を詰めてのパンチの連打、相手のミドルの打ち終わりやかわしてからの右ロー、カーフを随所で当て、はっきりした差はつけさせない。記者採点はイーブン。
2R、梅野は変わらず左ミドルを当てるが、大谷の右インローをもらうと、右足の動きがぎごちなくなる。それでもサウスポーと切り替えつつ、左ミドルを当て続け主導権を維持する。中盤には右肘も当てフラつかせる。大谷も少し右ストレートを返し、梅野をひるませるが、梅野は持ちこたえる。記者採点は梅野。
3R、梅野は左ミドルを連打し、大谷を追い詰める。少し右足の踏ん張りが効かずフラつく場面もあったり、古傷の左スネが割れて出血もしたりと、足のアクシデントはあるが、崩しも絡めてすぐ持ち直し、主導権を維持する。すると右肘も当て大谷をふらつかせる。
終盤、後の無い大谷も必死に前に出て、肘を当てて梅野の右まぶたを切り裂く。だが梅野の傷は浅く、大谷がパンチを振って前に出て逆転を狙うと、梅野は振り下ろすように右肘をクリーンヒット。大谷は左眉の上をパックリと切られ大出血すると共に、後方にフラつく。傷は深く、すぐさま秋谷レフェリーがストップすると、大谷はマットに崩れ落ちた。試合残り3秒の終了間際で、梅野が見事TKO勝ちを果たした。
試合前の言葉通り、肘有りでの強さを存分見せつけた梅野は、マイクを持つと「以前、KNOCK OUTでKINGと言われていた男の試合どうでしたか?今後定期参戦するかは話し合いになるのですが、宮田さん(KNOCK OUTプロデューサー)とぜひ今後いい話ができたらと思います。肘有りのムエタイルールの梅野源治は強いと皆さんにお届けできるよう頑張ります」と話した。最後に「これで終わったら面白くないと思うので一つだけ」と話すと「おい、RIZIN、見てるだろ。お前らが見たい試合、ムエタイルールの俺なら見せられるから、見せてやるから、早くオファーして来いよ。ヤバいだろ?」と、定着したフレーズも絡めつつ強気にアピールした。
第8試合 セミファイナル BLACK ウェルター級(67.5kg) 3分3R(延長1R)
×渡部太基(TEAM TEPPEN/元Krush&WPMF日本ウェルター級王者)
○良太郎(池袋BLUE DOG GYM/team AKATSUKI/元REBELS-REDライト級王者)
判定0-3 (北尻28-29/山根28-29/少28-29)
渡部は昨年11月大会で2年4カ月ぶりに復帰戦を行い、松山翔に判定勝ちし、4月大会では杉原新也に判定勝ち。いずれも渡部らしい激しい打ち合いとなった。良太郎は昨年2月に橋本悟に判定勝ちして以来の試合で、渡部との対戦オファーに興味を示し、階級を上げて戦う。
1R、渡部がサウスポーからの左ミドルを度々当て主導権を握る。良太郎は組めば崩しを決め、右ミドルを返すが、やや軽い感は否めない。すると終盤、渡部が左ストレートを効かせ、コーナーに詰めてのパンチ連打で、良太郎をダウン寸前まで追い込む。
2Rもしばらく渡部ペースではあったが、良太郎が首相撲からの膝を当てていると、少しずつヒットが増える。すると中盤以降、良太郎が首相撲で捕まえっぱなしで膝を何発も当て優勢に。渡部が今所属するTEPPENはつかんでからの攻撃が1回しか認められないRISEに出ている選手が主体なこともあってか、渡部はBLACKルールでは有効な、首相撲からの膝の連打への対処ができない。
3Rも良太郎が首相撲で渡部を捕まえ、何発も膝を当てる。一発一発は軽いものの、何発も当てて好印象を残し終了。結局、2Rと3Rのポイントを良太郎が取り、良太郎の判定勝ちとなった。
第7試合 BLACK スーパーウェルター級(70kg) 3分3R(延長1R)
○中島弘貴(LALA TOKYO/元Krushスーパー・ウェルター級(70kg)王者)
×漁鬼[りょうき](SHINE沖縄/TENKAICHI&BEASTウェルター級王者)
4R 1’22” KO (左ストレート)
3R 判定1-1 (山根28-29/秋谷30-29/北尻29-29)
中島は昨年7月からKNOCK OUTに上がり、サッシス、平塚洋二郎、曽根修平に勝利し、4月の後楽園大会ではコーンリーチを2R KOしている。試合後のマイクで、K-1 MAX時代から共に-70kgを牽引してきた日菜太との、6月の代々木大会での対戦を希望していたが、代々木大会は来年3月に延期に。日菜太も10日に自身のYouTubeで、頚椎症性脊髄症(脊髄が圧迫され痛みやしびれを感じる疾患)を患っている恐れがあることを明かし、療養のため練習できないといい、中島は当面の目標の再設定が必要になってしまっている。
漁鬼はKNOCK OUT初参戦の26歳。キック10戦6勝(2KO)3敗1分。地元沖縄のTENKAICHIの王者で、3月にはBEAST広島大会では地元広島の井原浩之に判定勝ちし、BEASTの初代ウェルター級王者となっている。
1R、中島が左ジャブ、左右のローを的確に当てるが、漁鬼が打ち合いの展開で左右のフックを時折強打し、場内をどよめかせる。中島はある程度ブロックできており、ダメージは小さいが、やや印象が悪い。記者採点はイーブンだが漁鬼についても不思議ではない。
2R、中島は変わらず時折パンチをもらいつづも、右の飛び膝、左ジャブ、右ストレート、左ボディを的確に当て続け、じわじわ漁鬼を削る。漁鬼は苦しそうな表情を見せるように。記者採点は中島。
すると3R、中島が飛び膝を放った際、漁鬼が右フックを当て、中島をスリップさせる。その後も漁鬼が左フックを当て、中島を倒すが、和田レフェリーはダウンとみなさず、場内はどよめく。中島も打ち合いで左ジャブなどを当て巻き返すが、漁鬼もパンチを当て一進一退の展開に。記者採点は漁鬼。合計29-29でイーブン。ジャッジは三者三様で延長へ。場内は大きく沸き上がる。
すると漁鬼は余力が残っておらず、中島が何発も左ジャブを当て、漁鬼は度々頭がのけぞる。ダメージが溜まり危ない状態ながら、試合は続行するが、最後は中島が右ストレートを効かせて下がらせてから、左ストレートでダウンを奪ったところでレフェリーがストップした。漁鬼は意識はあるものの担架で運ばれ、場内は拍手に包まれた。
第6試合 RED フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
×栗秋祥梧(クロスポイント吉祥寺/元大和フェザー級王者)
○TAKERU(GET OVER/DBS&RKAフェザー級王者)
判定0-3 (和田28-30/センチャイ28-29/秋谷28-30)
栗秋は3月大会で角田泰盛に2R KO勝ち。TAKERUは大脇武の名前でREBELSとKNOCK OUTに上がり、小笠原裕典に判定勝ちし、龍聖に判定負け。4月のMuayThai Super Fightの試合からTAKERUのリングネームを使い、K-1でも活躍したタイの強豪・ジャオスアヤイに4R KO負けしている。
1R、栗秋がオーソドックスで構えて前に出て、サウスポーのTAKERUが回り続ける展開。序盤はお互い攻撃が少なかったが、中盤、TAKERUが左ストレート、右アッパーをまとめ、終盤、TAKERUがミドル、膝を増やす。まだ均衡は崩れない。
2R、TAKERUは右のバック肘を当て、中盤には左膝蹴りを栗秋のボディに強打すると、栗秋は口を開いて苦しそうな様子を見せる。終盤、TAKERUは左ボディ、左膝を随所で当て印象付ける。
すると3R、TAKERUの左テンカオが度々当たり、栗秋は自分の攻撃が当てられなくなる。終盤にはTAKERUの左フックも当たるように。TAKERUが点差を広げ判定勝ちすると、雄たけびを上げ大喜びした。
第5試合 RED スーパーバンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○壱・センチャイジム(センチャイムエタイジム/ルンピニー日本バンタム級王者)
×海老原竜二(神武館/NKBバンタム級王者)
3R 0’42” TKO (レフェリーストップ:右フック)
KNOCK OUTのレギュラーの壱は1月大会で横野洋にTKO勝ちしたが、3月のINNOVATION岡山大会に加藤有吾にKO負けしている。海老原は4月のNKBでの谷津晴之戦では1Rに2ダウンを奪われたが、5Rに逆転TKO勝ちした。生観戦したKNOCK OUTの宮田充プロデューサーも「メインイベントをしっかり締めて素晴らしいチャンピオンと思った」と評する勝利で、今回のKNOCK OUT初参戦につなげたが、壱との実力差は大きかった。
1R、両者サウスポーで構え、開始すぐから壱が左フックで海老原をスリップさせる。その後も左ミドル、膝、崩しで圧倒。終盤には左膝を効かせ、パンチ、肘、膝のラッシュでダウン寸前まで追い詰める。
2R、壱が前に出て、右ハイを当て、左肘を振るい続け主導権を維持。終盤にはボディへの膝の連打で2ダウンを奪い、海老原を苦しめる。3R開始前には海老原の左まぶたの傷のドクターチェックが入るが浅いため続行する。
3R、試合は続くが、壱が膝を当て主導権を維持し続け、最後は右フックでフラつかせたところで、北尻レフェリーがストップした。
第4試合 RED スーパーバンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○白幡裕星(Battle-Box/元KNOCK OUT-RED&ムエタイオープン・スーパーフライ級王者)
×鈴木貫太(ONE’S GOAL)
2R 2’22” TKO (ドクターストップ:左ストレートと肘打ちによる鼻の負傷)
白幡は昨年2月にREBELS(現KNOCK OUT)-REDスーパーフライ級王者となり、9月大会ではサンチャイ・TEPPEN GYMに判定負け。その後、橋本道場を離れ、1月から元プロボクサー・K-1ファイターの渡辺一久氏率いるBattle-Boxに移った。これに伴いベルトも返上。12月から吉成名高のいるエイワスポーツジムで練習していたが、3月のRIZIN LANDMARKで吉成と急遽対戦することになり2R TKO負けしていた。今回はこれまでより2階級上げての試合となる。鈴木はKNOCK OUTのレギュラー選手の一人で、最近では3月のBOMで上野賢志に判定負けしている。
1R、前に出て来る鈴木に対し、白幡はサウスポーで構えて回り続け、左ミドルを度々当てて主導権を握る。組んでの膝を当て、崩しも決め、左フックも当て、全局面で圧倒する。
2R、白幡が左ストレートを連打して鈴木を下がらせ、組んで左肘も当て追い詰める。すると鈴木は鼻血を出し苦しそうな様子を見せる。白幡はその後も膝、崩しで圧倒。終盤、鈴木にドクターチェックが入るとストップがかかり、白幡のTKO勝ちとなった。
マイクを持った白幡は「KNOCK OUTからRIZIN出場している選手が、7月2日の沖縄大会で全選手負けました。僕も3月のRIZINで負けました。KNOCK OUTで新しくベルトを取るストーリーもあるんですけど、RIZINでKNOCK OUTファイターとしてしっかりノックアウトして来たいです。そして帰ってきて、今年はバンタム級でもいいですし 来年はスーパーバンタム級も取って、僕がKNOCK OUT初の3階級制覇をします」と、2つの目標を宣言した。
第3試合 RED スーパーウェルター級(70kg) 3分3R(延長1R)
×津崎善郎(LAILAPS東京北星ジム)
○vic.YOSHI(OGUNI-GYM/NJKFスーパーウェルター級王者)
判定0-3 (少28-29/山根28-29/北尻28-29)
1R、津崎がYOSHIに左ミドル、ロー、膝を時折当てるが、まだ手数は伸びず、YOSHIも右ローを返す。すると2R、YOSHIが右ローを効かせると、津崎が左の前手を突き出して詰めて来たところに、右のクロスカウンターをクリーンヒットしダウンを奪う。2R中盤以降は首相撲が増え、津崎も膝、肘を返して挽回する。
3R、YOSHIも肘を返すと、津崎は右まぶたを切られドクターチェックが入るが、傷は浅く再開。以降は津崎が膝、肘で攻め続け反撃するが、ダウンは奪い返せず、YOSHIが逃げ切る形で判定勝ちとなった。
第2試合 RED 68.5kg契約 3分3R(延長1R)
○峯山竜哉(ウィラサクレック・フェアテックス西川口/元J-NETWORKウェルター級王者)
×杉原新也(ワイルドシーサー前橋)
判定3-0 (少30-28/山根30-28/秋谷30-27)
1R、蹴り主体の攻防で、杉原の右ストレートでサウスポーの峯山が少しひるむ場面もあるが、まだはっきりした差はつかない。2R、杉原の右ハイ、ミドルも当たるが、中盤以降、峯山が左ミドル、三日月のヒットを増やし、最後は崩しも決め、若干だが優位に。すると3R、峯山の左ミドルのヒットがじわじわ増え、杉原は防戦一方に。最後は峯山がボディと顔面にもパンチを強打し好印象で終え、はっきり差をつけ判定勝ちした。
第1試合 BLACK スーパーバンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
×炎出丸(クロスポイント吉祥寺/元J-NETWORKスーパーバンタム級王者)
○工藤“red”玲央(TEAM TEPPEN)
判定0-3 (少27-30/山根28-30/秋谷28-30)
1R、工藤が積極的にパンチをボディにも散らしつつ当てる。終了間際の右ストレートで炎出丸の腰が落ちるが、しゃがんだ状態からすぐ立ったため北尻レフェリーはダウンとみなさない。2R、炎出丸も細かく右ローを当てるが、工藤が終盤にかけてパンチを増やし、優位を維持する。3Rも工藤が手数多く攻め続け判定勝ちした。