KNOCK OUT 4.17 後楽園ホール(レポ):龍聖、スペイン王者に手を焼くも延長判定勝ち。渡部太基、再び死闘制す。中島弘貴、6.26 代々木での日菜太戦熱望。REITO BRAVELY、スアレックをKO
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KNOCK OUT 2022 vol.3
2022年4月17日(日) 後楽園ホール
レポート:久保与志 試合見所:井原芳徳 写真:久保与志
第9試合 メインイベント BLACK 58kg契約 3分3R(延長1R)
○龍聖(TRY HARD GYM/KNOCK OUT-BLACKフェザー級(57.5kg)王者)
×メディ・ジライフィ[Mehdi Jraifi](スペイン/TEAM CALBET/LION BELTスーパーライト級(64kg)王者、OMKEスペイン・ライト級(61kg)王者)
4R 判定2-1(和田9-10/センチャイ10-9/北尻10-9)
3R 判定1-0(和田30-29/センチャイ29-29/北尻29-29)
龍聖は昨年11月大会での銀次との初代BLACKフェザー級王座決定戦で判定勝ちし、9戦9勝(7KO)で初のベルトを獲得して以来、5カ月ぶりの試合。今回は王者として初の試合で、初の国際戦となる。コロナ禍における政府の水際対策が緩和され、多くの格闘技イベントで4月から海外選手との国際戦が実現しており、KNOCK OUTもさっそく海外から生きのいい選手を招いた。
ジライフィはバダ・ハリら多くの強豪を輩出したモロッコ生まれの24歳。戦績15戦10勝(6KO)3敗2分。身長は龍聖と同じ175cmで構えはオーソドックス。これまでスペインの大会で61kgと64kgのベルトを獲得しているが、ベスト体重は龍聖と同じフェザー級だという。
KNOCK OUTは6月26日に代々木競技場第二体育館大会の開催を控えており、龍聖は代々木大会に向け弾みをつけたいところだったが、苦戦を強いられることに。
1R、立ち上がりから細かくステップを刻み、飛び込んでスリリングな左右のパンチを放っていくジライフィ。龍聖もブロッキングを駆使しつつ額で受けるなどしてダメージは感じられないが、ジライフィのねじ込むような左ジャブと角度をつけての右フックは、時折ガードの合間を縫ってヒットしているようにも見え、龍聖の額は赤くなっている。龍聖はガードを固めながらジライフィの打ち終わりにカウンターの左フック、右ローを合わせて前進し、徐々にプレッシャーをかけ始める。龍聖はジライフィの右スイングフックに左フックを被せ、バランスを崩したところを飛びヒザ蹴りで追撃するが、ジライフィはスウェーでかわす。記者採点は9-10でジライフィ。
2R、龍聖は右カーフキックの数を増やし、少しジライフィの足が止まり始めるも、ハンドスピードは衰えず依然としてパンチの脅威は健在といった感じ。左ボディを決め前に出る龍聖だが、ジライフィもすぐに打ち返し集中打を浴びせる展開に持ち込めない。ジライフィは距離が空くと飛びヒザや二段蹴りで奇襲をしかける。龍聖の右ローによるダメージもあって、1Rよりロープ際に追い込まれる場面は増えたが、手数では依然としてジライフィが上回っているか。記者採点は10-10のイーブン。
3R、龍聖はようやくジライフィのパンチの軌道に慣れてきたか?スーパーマンパンチやスイングフックに、カウンターの左フックをヒットさせる。さらに右ローでダメージを蓄積させつつ、サークリングを阻むように左ハイ、ミドルを狙う。ショートレンジの攻防が増えるも、お互いのディフェンステクニックも相まって明確なダメージ与える攻撃は繰り出せずタイムアップ。ジライフィは勝利を確信したかセコンドと共に拳を突き上げて雄たけびを上げる。記者採点は10-9で龍聖、トータルスコアは29-29のドロー。判定は30-29、29-29、29-29の1-0でマスト判定の延長戦へと突入する。
延長R、ジライフィの左ジャブをもらってか?龍聖は鼻から出血が見られる。しかしジライフィも龍聖の再三の右ロー、カーフでダメージが蓄積したか?ステップワークが鳴りを潜め、ローを嫌って一瞬スイッチするように。それでも先手で攻撃を出していくジライフィだが、龍聖はカウンターで左フックをヒットし、接近戦から顔面への飛びヒザを狙う。マスト判定のため決定的な一打が欲しい両者だが、リスクを冒して強引に勝負をかけるまでは行かず、決着は判定に委ねられる。延長Rの記者採点は10-9で龍聖。判定は2-1と割れたが、龍聖がかろうじて上回り、スペイン王者との国際戦に勝利した。
第8試合 セミファイナル BLACK ウェルター級(67.5kg) 3分3R(延長1R)
○渡部太基(TEAM TEPPEN/元Krush&WPMF日本ウェルター級王者)
×杉原新也(ワイルドシーサー前橋)
判定3-0(29-28/29-28/30-28)
渡部は昨年11月大会で2年4カ月ぶりに復帰戦を行い、松山翔とダウンの応酬の末に判定勝ち。復帰2戦目も激闘となる。
1R、開始直後から渡部は左ジャブストレートと奥足ローで前に出てアグレッシブに攻撃をしかける。乱打戦に巻き込まれた杉原は、最初は戸惑った様子も見られたが、徐々に左リードを当て返すと、右ミドルやヒザ蹴りも織り交ぜて反撃。序盤から激しい殴り合い、蹴り合いが繰り広げられ場内が大きく沸く。記者採点は10-9で渡部。
2Rも変わらず前進してくる渡部だが、杉原が組みヒザあるいはテンカオを顔面、ボディに突き刺すと後退。特に組んでのヒザには対処しきれず劣勢を強いられる。それでも終盤は再び前に出て左右ボディの連打を浴びせると、今度は杉原が腹を効かされ苦しい展開に。記者採点は9-10で杉原。
3R、互いにダメージ、疲れが見えとれるものの激しく打ち合い続ける。杉原は奥足への左ローのダメージも蓄積している様子で、渡部の左ハイでフラつく。さらに左ストレートと左ハイで突っ込んでいく渡部だが、杉原もカウンターの右ストレートで渡部をフラつかせ、組みヒザとパンチで反撃に転じる。記者採点は10-9、トータル29-28で渡部。判定は3-0で渡部が勝利したが、最後まで手を止めることなく壮絶な打ち合いを繰り広げた両者に、観客から惜しみない拍手が送られた。
第7試合 BLACK 72kg契約 3分3R(延長1R)
○中島弘貴(LALA TOKYO/元Krushスーパー・ウェルター級(70kg)王者)
×コーンリーチ[Khonreach](カンボジア/元カンボジア・ウェルター級王者)
2R 0’25” KO(右フック)
中島は昨年からKNOCK OUTに上がり、サッシス、平塚洋二郎、曽根修平をKOしている。対するコーンリーチはKNOCK OUT初参戦の29歳。戦績83戦64勝(17KO)14敗5分で構えはオーソドックス。エスジム所属時代の16年12月に新日本キックで斗吾と引き分け、17年4月の蹴拳でT-98に2R右ローキックでKO負けしている。
1R、細かくフェイントを入れながら飛び込んでの左フック、右クロスを狙っていく中島をコーンリーチはスウェイでかわしながら左ミドル、前蹴りでいなしていく。中島は攻撃を外されても左リードを使ってプレッシャーをかけ続け、終盤には左フックから右ロングフックをヒットさせ攻勢を強める。
2Rも中島が圧をかけると左ボディのフェイントから右フックをクリーンヒット。この一発で後方に大きくダウンしたコーンリーチは立ち上がれず。豪快なKO劇を見せた中島はマイクで、K-1 MAX時代から共に-70kgを牽引してきた日菜太との、6月の代々木大会での対戦を希望した。
第6試合 RED ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
×スアレック・ルークカムイ(タイ/STURGIS新宿ジム/M-1世界スーパーライト級王者、元KNOCK OUT-REDライト級王者、元REBELSーREDスーパーライト級王者、元ラジャダムナン認定フェザー級7位)
○REITO BRAVELY(BRAVELY GYM/M-1 JAPANライト級王者、KOSスーパーフェザー級王者)
4R 2’00” KO(左ストレート)
REITOはKNOCK OUT初参戦の21歳。19戦10勝(3KO)4敗5分。昨年10月の新日本キックでは重森陽太に判定負けしている。大分の所属ジムの主催するムエタイ大会「KODO」を主戦場とし、12月大会では田中陸登に判定勝ちしM-1 JAPANライト級王座を獲得した。同じ大会では先輩のNOBU BRAVELYがスアレックに判定負けし、スアレックはM-1世界スーパーライト級王座を獲得している。
1R、単発強打の右ミドル、右フックで前に出るスアレックに対し、REITOは回転の速いパンチのコンビネーションと左ミドルで応戦する。パワーで押していくスアレックだがREITOが打ち終わりを狙い左ストレートをヒットさせる。記者採点は10-10のイーブン。
2Rに入るとスアレックはキャッチからの右フックや、REITOの左ミドルに軸足を刈るように右ローを合わせるなどして、バランスを崩しにかかる。さらにスアレックはパンチとヒジで追いかけるが、REITOはボディに前蹴りを突き刺して前進を止め、左ストレートから左ハイにつなげていく。このラウンドも記者採点は10-10のイーブン。
3R、REITOの左ボディストレートが決まり、ロープ際に後退したスアレックは、苦し気な表情でREITOに連打を許す。スアレックは胴タックルに近いクリンチでREITOを組み伏せて攻撃を分断していくが、REITOのボディ打ちでかなりスタミナをロスしたか手数がほとんど出なくなる。記者採点は9-10、トータルスコアは29-30でREITO。判定は1者が29-30でREITOにつけるも、2者が29-29のドローで延長戦へ。
延長R、インターバルで少し回復した様子のスアレックは再び右ミドルとパンチで前に出ていく。REITOは圧力に押され後手に回っていたが、左ボディストレートを突き刺すと完全に効かされてたスアレックは棒立ちに。REITOは好機を逃さずさらに左ストレートで顔面を打ち抜くとスアレックがダウンを喫すると両手をついたまま立ち上がれず。KNOCK OUT初参戦のREITOが鮮烈なKOで剛腕・スアレックを沈めた。
第5試合 RED ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
○潘 隆成(クロスポイント吉祥寺/元WPMF日本スーパーライト級王者)
×庄司啓馬(TEAM TEPPEN)
1R 2’57” KO(右ストレート)
前身のREBELS含めKNOCK OUTのレギュラー選手の潘は昨年11月大会で古村匡平に判定負け、庄司は同じ大会でKNOCK OUTに初参戦し小磯哲史に判定負けして以来の試合。
1R開始から左リードを軸にパンチで詰めていく庄司に、潘はロー、ミドル、前蹴りと蹴りでストップしながら右ストレートを狙う。様子見で終わるかと思われた終了間際、やや強引に距離を詰めてきた庄司に潘がカウンターの右ストレートを一閃。ダウンした庄司は何とか立とうとするも大きくフラつき、レフェリーが試合をストップ。見事な一撃KOで潘が会心の勝利を挙げた。
第4試合 BLACK スーパーバンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○工藤“red”玲央(TEAM TEPPEN)
×加藤和也(ドージョー☆シャカリキ)
2R 0’36” KO(右ストレート)
1R立ち上がりから両者左右のパンチを振るって激しく打ち合うが、工藤が右カーフで加藤の足を止めると右ストレートでダウンを奪う。
2Rに入ると工藤がボディも散らして加藤をコーナーに追い詰め右フックでダウンを重ね、何とか立ち上がった加藤に右ストレートを決めると、加藤は前のめりに倒れて立ち上がれず。工藤がKO勝ちを収めた。
第3試合 BLACK ウェルター級(67.5kg) 3分3R(延長1R)
○松山 翔(菅原道場)
×悠YAMATO(大和ジム)
判定2-0(29-28/30-28/29-29)
第2試合 BLACK スーパーフェザー級(60kg) 3分3R
○向井貫太(ウィラサクレック・フェアテックス三ノ輪)
×智己(LARA TOKYO/スピリットジム仙台)
3R 判定1-0(30-29/29-29/29-29)
4R 判定3-0(10-9/10-9/10-9)
第1試合 RED スーパーフライ級(52kg) 3分3R(延長1R)
×阿部晴翔[はるか](チーム・タイガーホーク)
○乙津 陸[おつ りく](クロスポイント大泉)
判定0-3(29-30/28-30/29-30)
1Rはジャブ、ローの応酬から乙津は時折左ハイも狙うが、阿部は落ち着いて躱す。
2Rに入ると乙津が少しペースを上げて右ストレートから左ミドルのコンビネーションを中心に攻めるが、阿部もしっかりとリターンを返して反撃する。
3Rに入ると阿部はローを効かされてきたか動きが止まり始め、乙津が左ミドル、ヒザにパンチと攻撃を散らして優勢に。さらに右ハイからバックスピンキック、パンチの連打と畳みかけて判定で勝利した。
プレリミナリーファイト第3試合 BLACK スーパーバンタム級(55kg) 3分3R
○井熊知也(クロスポイント吉祥寺)
×古木誠也(G1 TEAM TAKAGI)
1R 0’48” TKO(コーナーストップ)
プレリミナリーファイト第2試合 BLACK スーパーフェザー級(60kg) 3分3R
△井樋大介(クロスポイント吉祥寺)
△池田航太(拳粋会宮越道場)
判定2-0(29-28/29-29/29-28)
プレリミナリーファイト第1試合 BLACK スーパーフェザー級(60kg) 3分3R
○久井大夢[たいむ](TEAM TAIMU/KNOCK OUTアマチュア3階級優勝)
×山崎尚英(スタートゲートジム)
2R 1’11” KO(右フック)
開始直後にいきなり飛びヒザで奇襲した久井だが、その後は右カーフ、左ミドルと蹴りを使いながら左ストレートを狙う落ち着いた試合運び。山崎もしっかりとパンチ、右ミドルを返して応戦する。
2Rに入ると久井はカーフ、三日月蹴りと下に攻撃を集めて意識をそらすと、山崎のヒザ蹴りに合わせて右フックをクリーンヒット。ダウンを奪われた山崎は立ち上がることが出来ず。久井がプロデビュー戦をKO勝利で飾った。