POUND STORM 4.24 両国国技館(レポ):中村倫也、大流血もブラジル人選手に判定勝ち。宇佐美正パトリックは大尊伸光に敗れる。齋藤奨司、風間敏臣を逆転飛び膝KO。DREAMERS 2期は5人全滅。GENERATIONS、THE RAMPAGEらライブも
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POUND STORM
2022年4月24日(日) 東京・両国国技館
レポート&写真:井原芳徳
POUND STORM(パウンドストーム)はEXILEなどが所属する芸能事務所「LDH」による新しいMMA&音楽融合型イベント。
LDHは未来のスター格闘家を発掘する「LDH FIGHTER BATTLE AUDITION」を20年にスタートし、その選考過程や合宿がABEMA「格闘DREAMERS」で放送された。LDH martial artsの髙谷裕之代表(元DREAMフェザー級王者)、同所属の岡見勇信(元UFC世界ミドル級3位)が審査員・トレーナーを務め、昨年春の最終選考の結果、レスリング出身の中村倫也とボクシング出身の宇佐美正パトリックがLDH所属を勝ち取った。両者とも昨年の東京五輪の最終選考レベルまで残っていた格闘エリート。昨年揃って修斗でプロデビューし、中村は2戦ともKO勝ち、宇佐美も3勝(2KO)の好成績を残している。
今回のPOUND STORM旗揚げ大会は3部構成。ラストの第3部がメインイベントとセミファイナルで、中村と宇佐美がに登場し、「見据える先は世界」というテーマの試合を行った。
また、第2回のオーディションも昨年秋からスタートし、「格闘DREAMERS SEASON:2」として2月からABEMAで放送スタート。4月9日と16日の放送では、1月末に行われたPOUND STORM出場者の最終選考試合が放送され、そこで勝ち残った5選手が今大会の第1部でプロ選手と対戦し、LDHとの契約を目指した。
第2部では河名マスト、風間敏臣ら、他団体で頭角を現す注目株による3試合が組まれた。
試合ルールはUFCなどと同じ米国統一(ユニファイド)ルールが採用された。ただしジャッジの採点の合計が同点の場合、マスト判定でどちらかに優劣がつけられる。
LDH JAPANのEXILE HIRO代表は髙谷氏と15年近く交流があり、髙谷氏の後進育成の夢を聞き、格闘技部門の子会社・LDH martial artsを作り、ジム運営などで全面サポートしている。今大会のオープニングと各部の合間には、ハーフタイムショーとしてLDHの所属のPKCZ、EXILE SHOKICHI、GENERATIONS、THE RAMPAGE、MIYAVIによるライブが挟まれた。
単独で東京ドーム連日公演を行うアーティストたちのライブを間近で見られる機会な上、スマホ等での撮影可ということもあり、観客の大多数は彼らが目当ての若い女性ファンだった。彼女達にとってMMAの試合ほうが“ハーフタイムショー”のようなもので、イベントの8割方の時間は試合だったが、大多数は席を立たず試合も観戦し、激しい攻防や感動的なマイクアピールの際には拍手し、よく見ていたのが印象的だった。アーティストの技量はもちろん、音響、照明、巨大ビジョン、ケージも活用した演出手法、全てのリソースの質が高く、格闘技ファン側も新たな発見の多いイベントだったのではないだろうか。MMAと音楽の融合という新しい形のため今回は手探り状態だったが、来場したファンの声も参考にしブラッシュアップすれば、第2回はもっと凄いショーになりそうなポテンシャルをPOUND STORMから感じた。
(※ライブの写真はページ末尾にも多数掲載しています。)
第3ブロック:見据える先は世界
第10試合 メインイベント バンタム級 5分3R
×アリアンドロ・カエタノ[Aleandro Caetano Muca](ブラジル/パラナ・バーリトゥード)
○中村倫也(EXFIGHT/LDH martial arts/修斗世界8位)
判定0-3 (大藪28-29/島村28-29/和田28-29)
カエタノはMMA30戦23勝(2KO/12一本)6敗1分の34歳。12年にデビューし、修斗ブラジルなどの地元ブラジルの大会で経験を積んだ。高い一本勝ち率で、シャードッグの戦績データを見ても、腕十字、裸絞めなどでも勝っているが、ギロチンでの一本勝ちが9試合。レスラーの中村にとっては得意のテイクダウンが命取りになりかねない相手だ。昨年の試合でも再三ギロチンを狙いつつ、首相撲からジャンプしての右膝蹴りでKO勝ちしており、打撃も危険だ。
1R、両者サウスポーで、左のカーフキックの応酬からスタートするが、カエタノのヒットが多い。パンチが交錯すると、カエタノの左フックがクリーンヒット。その際に中村が右目尻をカットしドクターチェックを受ける。再開後、打撃戦の後、カエタノのパンチに合わせて中村はタックルで倒すが、カエタノは下から中村の首を抱えて防御し、中村は上から押さえるだけで終わる。記者採点はカエタノ。場内の大型モニターに血で染まった中村の顔が映る度、女性客からどよめきが起こる。
2R、スタンドの展開で、カエタノが左のカーフキックを放ち続ける。だが中村はある程度カットできており、中盤過ぎにはタックルでまたもテイクダウンに成功。サイドポジションで押さえ続ける。中村は時折、カエタノの腕や肩に膝をヒット。正味のダメージは小さそうだが、攻勢を印象付けるには十分だ。記者採点は中村。
3R、カエタノがタックルを仕掛けるが、中村は切って潰して上に。カエタノは足関節技や腕十字を狙おうと動くが、中村はセコンドの髙谷氏、石田光洋氏のアドバイスを聞きながら対処し、トップキープし時折パウンドを落とす。終盤にはサイドも取り、パウンドをまとめ、腕十字を狙って終了。場内は歓声で包まれる。記者採点は中村。合計28-29で中村。ジャッジ3者も同様の採点で、中村の判定勝ちとなった。
苦しみながらも勝利をもぎ取った中村は「もっとやりたいことがあったけど、1Rにカットして、勝ちに徹しました。でも確信したのは、絶対これでUFCのトップに立てるってことです。ここまで支えてくれたファンの皆さん、力になりました。今日、DREAMERSたちが全敗し、心揺らぐところがあったんですけど、負けたみんなが近くに来てサポートしてくれたおかげで勝つことができました。でも俺が見て来たものは、もっと殺気があって心が動くものです。もし良かったら皆さん格闘技見に来てください」とアピールし、最後は「LDH最高!」と叫んだ。
第9試合 セミファイナル ライト級 5分3R
○大尊伸光(野田ボディビル同好会/修斗世界1位、元環太平洋王者)
×宇佐美正パトリック(EXFIGHT/LDH martial arts/修斗世界10位)
判定3-0 (大藪29-28/島村29-28/梅木29-28)
大尊はキャリア10年以上の35歳のベテラン。「格闘DREAMERS」よりも約5年早い15年、UFCとの契約を懸けテレビ東京で放送された「Road to UFC JAPAN」に参加し、途中敗退したものの、米国合宿中に練習仲間を怪我させた際に唐突に口にした「ソーリー、ごめん」の言葉が話題を呼んだ。18年大晦日のRIZINでは当時まだ未知の強豪的存在だったトフィック・ムサエフの相手を務め2R TKO負け。20年9月の修斗ではマックス・ザ・ボディにKO勝ちしたが、昨年5月には西川大和に敗れており、またも新鋭の踏み台にはなりたくないだろう。
1R、打撃戦の後、大尊が一発目のタックルでテイクダウンに成功。しばらく上で押さえる。宇佐美は脱出し上になるが、すぐにスタンドに戻す。打撃戦でお互い有効打が乏しく、最後に宇佐美からタックルを仕掛けるが、切った大尊が倒して上になり、上四方で押さえて終える。記者採点は大尊。
2R、宇佐美は左ハイを放つが、大尊はブロック。大尊がまたも序盤からタックルでテイクダウンを奪い上になる。大尊はトップ、ハーフ、サイド、上四方を行き来しつつ、コントロールを続け、時折パウンドを落とし主導権を維持する。宇佐美も下から鉄槌を返し、出を狙うが失敗が続く。記者採点は大尊。
3R、スタンドの打撃戦の中で、宇佐美は随所で左のジャブをクリーンヒット。大尊は右まぶたから出血する。宇佐美は左ボディ、フック、ミドルも絡め、打撃では優勢で終えるが、これまでの2ポイント差を埋める攻撃には繋げられず終える。記者採点は宇佐美。合計29-28で大尊。ジャッジ3者も同じ採点。宇佐美は底力を見せるも、LDHの準備した大舞台で白星を飾ることができなかった。
勝った大尊は「喧嘩だったら宇佐美君に負けてますね。(まぶたを)切って。僕はずっと髙谷さんの背中を見続けて、カッコ良い姿を見せたかったです。僕の母が2年前にがんで亡くなってから勝ってなかったので、最後に独り言、言わせてください。ママ勝ったよ」とアピール。場内は暖かい拍手に包まれた。
第2ブロック:若手注目株のサバイバルマッチ
第8試合 フェザー級 5分3R
×山本健斗デリカット(コブラ会/修斗世界1位)
○河名マスト(ロータス世田谷)
判定0-3 (大藪28-29/和田27-29/島村27-30)
第2部では、これから格闘技界での飛躍が期待される選手のサバイバルマッチ3試合が組まれた。
山本は28歳。16年修斗ライト級新人王で、プロは約20戦済ませ、追加された3試合の選手の中では最も経験が豊富だ。昨年は修斗で高橋孝徳と浜松ヤマト相手に2戦2勝している。
河名は27歳だが昨年MMAに転向したばかり。レスリング・グレコローマンでは17年のU-23世界選手権で優勝した実績がある。昨年7月のFighting NEXUSでのMMAデビュー戦では敗れたものの、以降のRoad to ONE、NEXUS、石渡引退興行、LDH主催のEXFIGHTでは4連勝。中堅どころの山本との試合で、1年間のMMAへのアジャスト具合が試された。
1R、開始すぐから河名が組み付いて金網に押し込み、時折反り投げ気味に倒し、押し込む展開を繰り返す。正味のトップキープ時間こそそれほど無いが、終始コントロールする展開に。
2Rも河名が持ち前のレスリング力でコントロールを続ける。だが山本に背中をつけさせてパウンドをまとめたり、サブミッションに持ち込むところまでは行けない。
3Rも同様に河名がレスリングのテイクダウンを重ね、優位を維持し終了。記者採点は27-30で河名。修斗の1位相手に完勝したものの、MMA選手としての課題が多く見える試合となってしまった。マイクを持った河名は「こんな格闘技があるってことを知ってもらえたらと思います」と話したが、LDHのアーティストのライブ目当てで3時間以上座っていた女性客にはどう映っただろうか。
第7試合 バンタム級 5分3R
×風間敏臣(和術慧舟會HEARTS/パンクラス1位、ネオブラッドトーナメント2021同級優勝)
○齋藤奨司(FIGHT FARM)
2R 0’06” KO (右飛び膝蹴り)
風間は昨年のパンクラス・ネオブラッドトーナメント同級優勝者。1月の石渡伸太郎引退興行での若手選手による1DAYトーナメントでも2連続1R一本勝ちで優勝。柔術仕込みの極めの強さが持ち味だ。
対する齋藤は高校・大学時代にボクシング部に所属し、卒業後はRISEでキックを3戦経験したストライカー。昨年修斗でMMAデビューし初戦は敗れたが以降は2連続判定勝ちしている。
1R、風間が寝技で圧倒する展開。開始すぐからタックルで倒し、バックを奪い、終盤には足関を狙い、最後は背後からパウンドを落とし続ける。記者採点は10-8で風間。風間がこのまま圧勝しそうなムードだ。
ところが2R開始すぐ、パンチの打ち合いの後、風間が足元へのタックルを仕掛けたタイミングで、齋藤が右の飛び膝を合わせてクリーンヒット。ダウンした風間に齋藤がパウンドを当てたところでレフェリーストップとなった。勝利後はケージの外に出て、セコンドの髙谷氏と抱き合い大喜びした。
下馬評を覆す大逆転勝利を果たした齋藤はマイクを持つと「ヤベッ、滅茶苦茶かっこいいじゃん」と話し、笑顔を浮かべた。FIGHTER BATTLE AUDITION II最終選考勢は5人全敗だったが、それ以外の枠の齋藤が、大会ベストバウトとも言える試合でインパクトを残した。
第6試合 ウェルター級 5分3R
×グンター・カルンダ(コンゴ/Tri.H studio/元EFCウェルター級王者)
○エフェヴィガ雄志[Ephoeviga Yuji](TRIBE TOKYO MMA)
判定0-3 (島村27-30/大藪27-30/梅木28-29)
カルンダは日本在住。南アフリカのEFCの元同級王者で、20年9月から日本で3試合し、手塚裕之、山田崇太郎に1Rで敗れ、江藤公洋に判定負けしている。エフェヴィガは子供の時から空道を習い全日本大会にも出場。EXFIGHTのアマチュアマッチで2連勝後、2月のEXFIGHTのプロマッチでプロデビューし、岡澤弘太に1R TKO勝ちしている。
試合は両者サウスポーでのスタンドの打撃戦が続き、なかなか決定的な当たりが出ないが、エフェヴィガがややパンチのヒット数で上回る。3R、エフェヴィガが右フックでカルンダをひるませ、終盤のローでは少しカルンダがフラつくが、耐えきり終了。エフェヴィガが判定勝ちした。
第1ブロック:FIGHTER BATTLE AUDITION II最終選考vsプロ格闘家
第5試合 ライト級 5分3R
○マックス・ザ・ボディ(カメルーン/BRAVE/修斗世界ライト級3位)
×オーディン(EXFIGHT)※高木オーディン祥多 改め
判定3-0 (和田○28-28/大藪30-27/梅木30-27)
FIGHTER BATTLE AUDITION II最終選考に残った5選手は冒頭5試合の青コーナー側に並び、赤コーナー側のプロ選手に挑む構図に。
マックスはこれまで修斗で大尊伸光、西川大和にTKO負け。昨年7月には修斗環太平洋ライト級王座獲得実績のあるキャプテン☆アフリカに勝利したが、12月の再戦ではリベンジを許した。オーディンは父親が米国人で元キックボクサー。東海大学柔道部出身で、同じ柔道出身の小見川道大のジムでMMAの基礎を習う。第1回オーディションでは落選したが再挑戦した。
最終選考勢はここまで4人全敗で迎えた第5試合。オーディンはなおさら負けられない立場に。1R、両者一度ずつタックルを織り交ぜるが、大半は離れての打撃戦。フック系のパンチが度々交錯し、なかなかクリーンヒットにはならないが、ややマックスのヒットが上回るか。終盤、オーディンは右ローも織り交ぜると、少しだけマックスがバランスを崩す。記者採点は僅差だがマックス。オーディンにつく可能性もある。
2R、序盤のパンチの打ち合いで、マックスの左フックの後の返しの右フックがさく裂し、オーディンは大の字でダウンする。マックスは上になってパウンドを落とし追い詰める。マックスはラッシュの後も上をキープする。スタンドに戻り、お互い慎重になるが、最後もマックスの左右のフックが当たり優位を維持する。記者採点はマックス。
3R、オーディンが圧をかけ、マックスは回る構図が続き、お互いパンチを振るうがなかなかクリーンヒットにはならないまま終わる。記者採点はやや積極的だったオーディン。合計29-28でマックス。ジャッジは3者ともマックスを支持し、マックスの勝利となった。
マイクを持ったマックスは、通訳に助けられながらも片言の日本語で「奥さんはお誕生日」と話すと、場内は暖かい拍手に包まれた。
第4試合 ミドル級 5分3R
○岩﨑大河(大道塾/パラエストラ東京)
×三上ヘンリー大智(EXFIGHT)
2R 3’49” テクニカル判定 (大藪○19-19/島村20-18/梅木20-18)
岩﨑は着衣総合武道「空道」の全日本大会で2度優勝し、20年にMMAデビューすると、パンクラス・修斗等で6戦全勝している。三上は日本人とブラジル人のハーフ。16年の全日本学生剣道選手権大会3位の実績もあり、17年にキックに転向し、シュートボクシングの重量級戦線で頭角を現していたが、このオーディションをきっかけにMMAの世界に飛び込んだ。
1R、三上がサウスポーからの右ジャブを当てる。岩﨑が前蹴りを出すと、三上はつかむが、すぐに岩﨑は組み付き、タックルで倒し上に。一旦立たれてもすぐ倒し、組み技での技量差を印象付ける。終盤、スタンドに戻り、打撃戦となるが、お互いヒットが少ない。記者採点は岩﨑。
2R、スタンドの打撃戦で、お互いなかなかヒットが出ないが、三上の右のジャブがやや目立つ。中盤過ぎ、岩﨑がパンチで詰めて来た際、下がった三上が突き出した手の指が岩﨑の目に入り、試合が一時中断する。ドクターチェックの結果、ストップがかかり、偶発的な反則とレフェリーに判断され、ここまでの内容で判定が行われた。記者採点は三上。合計19-19で、規定によるマスト判定で岩﨑。ジャッジ3者も岩﨑を支持し、岩﨑の勝利となった。
第3試合 フェザー級 5分3R
○狩野 優(TRIBE TOKYO MMA/パンクラス・フェザー級7位、ネオブラッドトーナメント2020同級優勝)
×中村京一郎(EXFIGHT)
3R 4’28” 肩固め
狩野はパンクラスのアマチュアで実績を積んでからプロデビューし、パンクラスで4戦全勝の新鋭。中村は元海上自衛官の23歳。GRACHANのアマ大会等を経て今回のオーディションに参加した。
1R、狩野が序盤からテイクダウンを奪い上をキープする。中村も下から蹴り上げ、腕十字も狙い、スタンドに戻しパンチを返し挽回する場面も。だが終盤、狩野がパンチの連打で追い詰めて、上になってパウンドを落とし攻勢に戻す。
2Rも狩野が序盤からテイクダウンを奪いトップをキープする。最後はスタンドに戻るが、中村は反撃に持ち込めない。3Rも同様で、狩野が序盤から倒してトップキープする。中村は返す術が無く、最後は狩野がマウントを奪った後、肩固めを極めてタップを奪った。
打・投・極の総合力で差を見せつけた狩野は、マイクを持つと「オーディションで上がってきた奴より、普通にアマチュアからやった奴の方が強いんで。また呼んでください。いい試合します」とアピール。EXFIGHT・DREAMERS勢を堂々と挑発した。
第2試合 フェザー級 5分3R
○スソン(KRAZY BEE)
×宇佐美秀メイソン(EXFIGHT)
判定2-1 (和田28-29/大藪29-28/島村29-28)
スソンはテコンドーがベースで、ABEMA「格闘代理戦争」に山本“KID”徳郁推薦で出場した選手。昨年7月の修斗でのプロ選考試合では判定負けしている。メイソンはセミに登場した宇佐美正パトリックの弟で20歳。兄同様、空手とボクシングがベースだ。
1R、序盤からスソンがサウスポーのメイソンに右ミドルを効かせ、左フックを空振りさせてからの右フックでダウンを奪う。その後も随所で右ミドルやテンカオを当て優勢。メイソンも得意の蹴りで応戦し、左ボディを当てる場面はあるが、流れは変えられない。2Rも打撃戦が続き、メイソンは1Rよりもヒットを増やすが、まだスソンのヒットが上回り優勢だ。
3R、メイソンも左ボディ、左ハイを随所で強打しやや優位になるが、スソンは耐え、右テンカオ、ミドル、フック等を返し続け終了。
記者採点は3Rのみメイソンにつけ29-28でスソン。ジャッジは割れたが2者がスソンを支持し、スソンの判定勝ちとなった。
第1試合 バンタム級 5分3R
○海飛(和術慧舟會HEARTS)
×鈴木崇矢(EXFIGHT)
2R 3’58” TKO (レフェリーストップ:膝蹴り)
海飛は極真空手をベースとし、昨年のMMAデビュー後はDEEPを主戦場とし、3月12日の大会でもTKO勝ちしたばかり。鈴木は第1回オーディションにも出場し、今回も再挑戦し最終試合まで残った17歳。
1R、両者サウスポーでの打撃戦。海飛が途中まで蹴り主体でやや優位だったが、次第に鈴木の右のストレートのヒットも増え優位に。記者採点は鈴木。
だが2Rになると鈴木はスタミナが切れ、海飛がパンチと膝のラッシュで鈴木を追い詰める。すると終盤、海飛の右フックで鈴木が金網際でダウンし、海飛が押さえながらパンチと膝蹴りをまとめたところで和田レフェリーがストップした。
結局、オーディション勢は5選手とも全敗に終わり、LDHとの契約は全員勝ち取れなかった。大会最後に岡見トレーナーは「厳しいですけど、負けは負けですので。格闘技は厳しい世界ですから、僕らが(最初)考えた通り、今回はLDH所属は無しになります」と説明。髙谷代表も「こうやって厳しいのも格闘技の魅力の一つですので、今日来た皆さんも、これを機会に格闘技に足を運んでもらえたらと思います」と話した。