RIZIN LANDMARK 5.5 東京(レポ):クレベル・コイケ、萩原京平にまぶた切られるも1R裸絞め葬「牛久、かかってこいよ」
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+WEED presents RIZIN LANDMARK vol.3
2022年5月5日(木/祝) 東京都内・非公開
レポート:井原芳徳 写真:(C) RIZIN FF
※Exciting RIZINほかPPV配信。アーカイブ配信は5月10日(火)23:59まで。(配信プラットフォーム一覧)
クレベル・コイケ、萩原京平にまぶた切られるも1R裸絞め葬「牛久、かかってこいよ」
第5試合 メインイベント MMA 68kg契約 5分3R
○クレベル・コイケ(ブラジル/ボンサイ柔術/元KSW&REBEL FCフェザー級王者)
×萩原京平(SMOKER GYM)
1R 1’37” 裸絞め
ネット有料配信(PPV)特化型のシリーズ「RIZIN LANDMARK」は今回が3回目。昨年10月の第1回は朝倉未来×萩原京平、今年3月の第2回は平本蓮×鈴木千裕がメインイベントに据えられた。観客は招待含め100人程度の少数しか入場できず、試合数は5試合程度と少な目で、メインイベントの話題性がPPVの売りとなっている。
コイケは昨年6月の東京ドーム大会で朝倉未来に勝利し、当時のフェザー級王者・斎藤裕への挑戦が内定したが、減量と左足首の怪我を理由に対戦を回避した。欠場を巡るやりとりで、RIZINの榊原信行CEOとの関係が悪化したが年末に和解。2月の地元静岡でのRIZIN TRIGGERでは、佐々木憂流迦に2R裸絞めで一本勝ちし、「すぐタイトルマッチでお願いします。タイトルマッチができないでも最初の名前に入っていてください」とアピールした。未来からの再戦要求について聞かれると「朝倉待ってね。牛久、斎藤、萩原やりたいです。萩原が(練習仲間の)鈴木博昭に勝ったのでリベンジやりたいかな」とコメントしており、萩原戦にも意欲的だった。
萩原は昨年10月のLANDMARKで未来に判定負け。11月のRIZIN TRIGGERでは昇侍に、大晦日には鈴木博昭に勝利し、同じストライカータイプ相手だと強味を発揮した。だが3月のRIZIN.34では弥益ドミネーター聡志に1R腕ひしぎ三角固めで一本負け。今回は未来、弥益を上回るグラップリング技術を持つコイケとの試合となった。
4月17日のRIZIN.35でコイケ×萩原を発表した榊原氏は「今日、王者・牛久絢太郎と挑戦者・斎藤裕のフェザー級タイトルマッチが行われますが(※牛久が判定勝ち)、クレベルは次、8月か9月あたりにタイトルマッチだと思うので、その前に1試合やりたいということで試合します」と、今回のコイケの起用理由を説明していた。大会後には「「6月19日(のTHE MATCH東京ドーム大会)の瞬間風速が凄まじいので、5月5日をやったあとはインターバルを取って、7月以降にナンバーシリーズとTRIGGERをまとめて行ければなと思います」と話しており、スケジュール的にコイケが1戦挟むなら5月5日のLANDMARKしか無い状況だった。なお、大会中に榊原氏は、RIZIN.36 7月2日(土) 沖縄アリーナ大会の開催と、朝倉海の出場を発表している。
1R、萩原は先手必勝とばかりに、開始すぐから距離を詰め、バックスピンキックも絡め、コイケを下がらせる。コイケはコーナーを背負い続けてしまう。コイケは足元へタックルを仕掛けるが、萩原は切る。するとまたもコーナーを背負ったコイケが、右の蹴りを放ったタイミングで、萩原が右フックをヒット。コイケはのけぞる。
だが萩原が再びパンチを振るうと、今度はコイケがカウンターでタックルを仕掛け、テイクダウンに成功する。コイケは左目尻から出血しており、ドクターストップを警戒してか、仕掛けを早めた様子。素早くバックを取ると、裸絞めを極めてタップを奪った。
萩原がパンチでコイケのまぶたを切り一矢報いたものの、終わってみれば大方の予想通り、コイケの一本勝ちに。マイクを持ったコイケは日本語で「次、タイトルマッチ、牛久、かかってこいよ。逃げないでください。あなた待ってます」とアピールした。中継席のケンドーコバヤシさんから「牛久選手をどういう技で極めますか?」と聞かれると「三角です。毎日イメージしている」とコメントした。
大会後の総括で榊原氏は「クレベルは隙が無い、脂の乗り切った戦いを見せてくれました。正式にクレベルを挑戦者として、王者・牛久とのタイトルマッチを夏から秋に組みたいです」と話した。また、LANDMARKについて「4回目大会は都内を離れてやることを検討したい」と話している。
倉本一真、足の怪我で本領発揮できずも判定勝ち
第4試合 MMA バンタム級(61kg) 5分3R
○倉本一真(リバーサルジム新宿Me,We)
×魚井フルスイング(和術慧舟會HEARTS)
判定3-0 (田澤=倉本/豊嶋=倉本/柴田=倉本)
倉本は2月のRIZIN TRIGGERで加藤ケンジに1R TKO勝ちして以来の試合。4月16日のRIZIN TRIGGERで金太郎と戦う予定だったが、大会2日前の朝に金太郎が急性の腰痛で動けなくなり試合が消滅していた。
魚井は3月のRIZIN LANDMARK vol.2で伊藤空也に判定負けして以来の試合で、LANDMARK連続出場となる。準備期間が2週間強しかないため、多くの選手がオファーを断るのも無理のない状況だったが、魚井は引き受けた。倉本のレスリングに、魚井がどれだけ対応し、自慢のフルスイングの豪打を当てられるかが勝敗の鍵となる。ちなみに両者とも修斗の元ランカーで、修斗で戦っていても不思議ではない組合せだ。
倉本は右膝と足首のテーピングが気になるところ。1R、倉本がオーソドックスで中央に立ち、魚井はサウスポーで距離を取る。倉本は右のインローを当てつつ、すぐに組み付き、コーナーに押し込む。魚井が左膝を当てると、そのタイミングで倉本が一本背負いで倒す。すぐに魚井は立つが、倉本は背後からしがみつき、しつこく投げで倒そうとする。中盤、魚井は脱出し、倉本の右インローやタックルのタイミングで左フックを振るう。終盤、倉本は魚井を押し倒し、今度はロープ際で押さえ、立った状態から右のパウンドを落とす。最後、倉本は魚井の足をつかんでヒールフックを狙うが、極まらず終わる。
2R、開始間もなくの倉本の右ローがローブローとなり一時中断する。再開後、倉本はニータップのタックルで倒す。すぐに魚井は立つが、倉本は再び倒し、今度はサイドで押さえることに成功する。倉本はトップに戻り、立った状態からパウンドを落とすが、ヒットは乏しい。中盤、魚井の立ち際に、倉本は膝を顔面に当てるが、魚井は耐えてスタンドに戻すことに成功する。だが倉本はまたもニータップのタックルでテイクダウンに成功し上になる。だがその先には持ち込めず、魚井が下から蹴り上げを当てる場面も。終盤、スタンドに戻るとお見合いに。倉本は口が開き疲れて来た様子で、魚井のほうが積極的にパンチを振るって終える。倉本優勢ながら、魚井の打撃が的確に当たれば流れが変わる可能性は十分ある。
3R、回復した倉本は開始すぐのタックルで倒して上に。倉本は立った状態からパウンドを狙いつつサイドへ。そこから魚井を抱え上げて頭からマットに叩きつけ、攻勢を印象付ける。中盤以降も倉本が上の状態をキープし、確実に勝ちを取りに行く試合運びに。終盤にも抱え上げて落とすと、立った魚井にオンブになり、最後もコーナー際でしがみついて終了する。記者採点は倉本。ジャッジ3者も主導権を維持した倉本を支持し、倉本が判定勝ちした。
勝利者インタビューで倉本は「試合が延びたその間に膝、やっちゃいまして、足首にも来て、ボロボロやったんですけど、ドクターとトレーナーに毎日治療してもらい、ここまで来たので、足のためにもちょっと休みたいです」とコメントした。
グラップリングタッグ、4選手持ち味見せつつ時間切れドロー
第3試合 Exciting RIZIN presents グラップリングタッグマッチ 体重無差別 10分3本勝負
△所 英男(リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)&金原正徳(リバーサルジム立川ALPHA/元SRCフェザー級王者)
△中村大介(夕月堂本舗)&太田 忍(パラエストラ柏)
0-0
サッカーの三浦知良の次男・三浦孝太のMMA 2戦目中止で1試合減ったことで、急きょ組まれたグラップリングタッグマッチ。勝利チームには大会を生配信する「Exciting RIZIN」より賞金100万円が贈呈されるため、エキシビションマッチ的なのんびりムードにはならないだろう。
ルールは3本勝負。2本先取したチームもしくは時間切れ時点で一本が多いチームの勝ちで、同点の場合はドロー。タッチ回数は無制限。一本が発生した後、両選手共に控え選手に交替する。一本を取られた選手も負傷等がない限り続けて試合に参加できる。
所と金原は昔からの練習仲間で、4月16日のRIZINの金原の試合のセコンドに所がついていた。所・金原と中村は20年9月のQUINTETで同じチームとなり優勝している。4人の中で異色な存在なのが太田。16年リオ五輪レスリング・グレコローマン59kg級銀メダリストで、20年大晦日のMMAデビュー戦では所に2R腕十字で一本を取られており、今回はルールは違うがリベンジのチャンスとなる。打撃無しのルールの中で、太田のレスリングスキルがどう活かされるか見ものだ。他のメンバーより10歳以上若く、スタミナ面はアドバンテージとなりそうだ。
1R、レスリングのシングレット姿の太田に対し、金原は座って、ガードポジションからの戦いを希望する。太田は首を抱えてがぶりの状態からコントロールするが、金原は脱出する。
両者タッチし、下になった中村はヘッドシザースを狙うが、所は防御。両者アームロックの取り合いにもなり、目まぐるしい関節技の攻防を繰り広げる。
所は金原にタッチ。体力回復した金原は、さっきまで動き回って消耗した中村を素早く押さえて、ハーフから肩固めを狙う。そこからバックを取り、執拗に裸絞めを狙い続ける。後半に入り、金原はマウントに移行し、再び肩固めを狙いながら、またもバックへ。今度は裸絞めが極まり、中村が苦しそうな様子でマットを1回叩くと、金原はタップアウトと勘違いしたか?極めを緩めてしまい、両者苦笑する。中村が2回叩いていればレフェリーはタップアウトと判断していただろう。
スタンドに戻り、金原は所にタッチし、すぐに中村も太田にタッチする。両者約1年半ぶりの戦いに。所は素早く組み付き極めを狙うが、太田は脱出し、スタンドに戻る。所は金原にタッチしようとするが、金原は疲れた様子で座り込んでいてタッチを拒む。所は座った状態から足関のチャンスをうかがうが、太田は形に持ち込ませない。残り1分、太田は残りの体力を使い切らんとばかり、動きを早め、所の首を抱えつつ、豪快に投げ、再び首を抱えて投げるが、極めには至らず終了。両陣営とも一本を取れず、時間切れドローとなり、賞金100万円はお預けとなった。
試合後のリング上のインタビューで、タップ疑惑を聞かれた中村は「してないです」と答え、金原は「タップしてますからね」と言い返し、両者笑い合う一幕も。太田は「7月の沖縄大会、出たいです」とアピールした。
関鉄矢、原口央のレスリングに苦戦も判定勝ち
第2試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○関 鉄矢(SONIC SQUAD/ZSTフェザー級王者)
×原口 央[あきら](BRAVE/GLADIATORフェザー級王者)
判定3-0 (豊永=関/田澤=関/豊島=関)
関は昨年、3月のRIZIN.27で堀江圭功に3R TKO負けし、9月のDEEPでDJ.taikiに判定負けしたが、12月のDEEPでは新鋭・山本歩夢に1R腕十字で一本勝ちしている。
原口はRIZIN初参戦の27歳。レスリングをベースとし、19年5月のZSTでのMMAデビュー戦では山本空良に判定勝ち。昨年9月、大阪を拠点とするケージMMA大会「GLADIATOR」でMIKEに勝利しフェザー王座を獲得すると、11月のVTJでは宇野薫に判定勝ちした。兄の伸もMMA選手だ。武田光司はBRAVEの先輩だが央と同学年だ。
1R、原口が片足タックルを仕掛けるが、関は耐えると、ロープを背にしながら飛びついて組み付く。三角絞めを狙うと、原口は防御して、胴タックルで倒すが、すぐに関がリバースして上になる。原口は下から足を登らせ、三角絞めと腕十字を狙うが、関は防御して外して立つ。原口はすぐにタックルを仕掛けるが、関は防御する。
2R、開始すぐの関の右ストレートで原口はスリップする。軽く当たった程度で、原口はダメージは無い。そこからも組み技の展開となり、関がトップをキープする。さらに関は腕十字を狙い返すが、原口は防御する。スタンドに戻り、原口が左右のフックを当ててから、タックルでテイクダウンを狙う。終盤、関はコーナーを背に座って、原口に上から押さえられる状態に。最後は原口がコーナーに押し込んで終える。ここまで若干原口が優位か。
3R、原口はサウスポーから左フックを当てつつタックルを仕掛け、ロープに押し込むが、関の膝蹴りがローブローとなり一時中断する。ブレイクした状態で再開するが、原口はすぐに左ミドルを当ててから、またもタックルを仕掛け、今度はテイクダウンに成功する。原口が押さえ続け、サイドで押さえて頭に膝を当て、関に立たれても背後からしがみつき、再び片足タックルを仕掛け、倒してハーフで押さえ付ける。残り10秒でスタンドに戻るが関は反撃できず。記者採点は2R後半から主導権を維持した原口。ジャッジは2R序盤の関の右ストレートで原口をスリップさせた場面を評価したか?関を3者とも支持し、関の判定勝ちとなった。
(※5月7日追記:競技を統括するJMOCのサイトに掲載された公式記録には、「田澤康宏/赤・関 [D 50-0/ A 0-0/ G 20-0]、豊島孝尚/赤・関 [D 0-0/ A 0-0/ G 20-0]、豊永 稔/赤・関 [D 0-0/ A 0-0/ G 20-0]」と記されている。D(ダメージ)とA(アグレッシブネス)では差がつかず、G(ジェネラルシップ)で3者とも関を支持していた)
第1試合 MMA特別ルール 62kg契約 3分3R
○YUSHI(HI ROLLERS ENTERTAINMENT)
×ZENKI(益荒男 team DURGA)
2R 2’21” KO (右フック)
今大会では三浦孝太の2戦目を予定し、大晦日のデビュー戦の相手のYUSHIの試合も一緒に組まれていたが、三浦の負傷欠場で、YUSHIの試合だけ行われる形となった。
YUSHIはいわゆる地下格闘技大会の「宴」で王者になったことがある選手。ZENKIも地下格闘技大会の「益荒男」出身で、今回がプロデビュー戦の29歳。
前日公式計量でYUSHIは60.75kgで、62kgのリミットよりもかなり軽めでクリアしたが、ZENKIは64.75kgで2.75kgもオーバーした。規定に基づきZENKIはレッドカード相当の50%減点となる。ZENKIが勝った場合はノーコンテスト。ファイトマネーも55%没収される(体重2kg以上超過分30%、レッドカード分25%)。なお、YUSHIは前回の三浦戦でも66kgのリミットよりも大幅に軽めの62.45kgでクリアしている。YUSHIもZENKIも通常のMMA大会での試合経験がなく、本人も指導者も体重調整のノウハウが乏しい恐れがある。
1R、YUSHIが右のカーフキックを2発当ててゼンキをスリップさせる。立ったゼンキは前に出るが、YUSHIは下がりながら右フックを当て、組み付いて倒して上になる。YUSHIがハーフで押さえると、体格で勝るZENKIはブリッジで返すが、すぐにYUSHIはバックに回って裸絞めを仕掛ける。ZENKIは防御が甘く、簡単に体を伸ばされそうになるが、YUSHIも極めが甘い。寝技は両者ともプロの技術に達しているとは言い難い。
2R、YUSHIが最初から倒して上に。膠着後、スタンドに戻ると、パンチが交錯するが、ZENKIはガードが空いてしまい、YUSHIの大振りの右フックが2連続でクリーンヒットし、ZENKIがダウンしたところでレフェリーがストップした。試合後マイクを持ったYUSHIは「6月、東京ドーム、オープニングファイト、一番盛り上げられるんじゃないかな」と話し、THE MACTHへの出場を希望した。