DEEP 8.21 後楽園ホール(レポ):フライ級GP一回戦前半4試合は伊藤裕樹、安谷屋智弘、本田良介、ビョン・ジェウンが勝利。芦田崇宏、今成正和に判定勝ち
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2022年8月21日(日)後楽園ホール
レポート:井原芳徳 試合写真提供:(C)DEEP事務局
16選手参加の「DEEPフライ級GP(トーナメント)」が今大会から開幕した。今大会と9月11日のニューピアホール大会で一回戦各4試合を実施。11月の後楽園大会、12月のニューピア大会で二回戦、来年2月に準決勝、4月に決勝と、8か月もの長期間に渡る。冠スポンサーの宗明建設から優勝者には賞金300万円が贈呈される。
DEEPフライ級王者の神龍誠は、UFC参戦を目標に掲げており、長期間のトーナメントでの拘束がUFC行きの障壁になりかねないことから不参加となった。元暫定王者の藤田大和も5月の神龍との王座統一戦のダメージが残っており辞退。4月の3年ぶりの試合で勝利した柴田“MONKEY”有哉も怪我のため出場しない。
主力は欠いたものの充実のラインナップに。RIZIN 3連勝中の伊藤裕樹、DEEPで伊藤にKO勝ちしている修斗元世界同級王者の福田龍彌、元DEEPストロー級王者の越智晴雄をはじめ、村元友太郎、杉山廣平ら、RIZINに上がっている選手たちも多数参戦する。さらにパンクラス同級2位・元王者でTRIBE所属の小川徹、修斗世界2位の宇田悠斗もこのGPでDEEPに初登場。GPという企画が日本MMA界にブレイクスルーを起こし、DEEPフライ級の層をより充実させた形だ。(上写真は一回戦の組み合わせ決定抽選会に参加した12選手)
GPの各試合は3Rで、タイトルマッチ同様5ジャッジ制だが、前日計量では通常のワンマッチ同様に0.5kgオーバーまで認められる。二回戦以降の組み合わせは未定。GP期間中に神龍がUFCと契約し王座を返上した場合、GP決勝が王者決定戦となることをDEEPの佐伯繁代表は明かしている。
フライ級GP一回戦前半4試合は伊藤裕樹、安谷屋智弘、本田良介、ビョン・ジェウンが勝利
第10試合 DEEPフライ級GP一回戦(5ジャッジ制) 5分3R
○伊藤裕樹(ネックスイチムエ/元THE OUTSIDER 50-55kg級王者)
×原 虎徹(CAVE/DEEPフューチャーキングトーナメント2019バンタム級優勝)
判定4-1 (田澤29-28/植松28-29/橋本29-28/柴田30-27/内田30-27)
伊藤は最近5戦では藤田、福田に敗れているが、中村優作、関原翔、宮城友一に勝利し、今回のGPの主力の一人。原はフューチャーキングで優勝後DEEPで2連勝したが以降は3連敗と苦戦している。
1R、両者サウスポーで構え、お互いスピードのあるパンチを振う。中盤、伊藤が中央で構える時間が次第に増え、右ジャブ、左ストレートが当たりだす。終盤、伊藤が右ボディ、膝を立て続けに当てるが、さらに左フックを振うと、原が胴タックルを合わせてテイクダウンに成功する。伊藤は金網際ですぐに立つが、原は背後からしがみつき、抱え上げて倒しトップキープする。伊藤は下からアームロックを仕掛け、極まりは浅いものの、原の上からの攻めを封じることに成功する。記者採点は僅差だが伊藤。
2R、伊藤は圧をかけ、左ボディ、右インローを的確にヒットし続ける。中盤、伊藤の左ボディと右ストレートの連打が決まるが、すぐに原はタックルで倒し、素早くバックに回り込み、両足で伊藤を捕獲する。しかし終盤、伊藤は体をひねって正対し、金網際で押さえる。伊藤は一旦立ってから再び上から押さえ、最後は顔面への踏みつけを狙ったところで時間切れとなる。記者採点は伊藤。1R同様、原はタックルで倒してからの攻めが足りない。
3R、スタンドの攻防が続くが、1分過ぎ、パンチが交錯した際に原の右フックが炸裂し、伊藤は後ろにフラつく。原は打撃を続けず、胴タックルを仕掛けるが、伊藤は倒れて引き込みながら、右腕で原の首を抱えフロントチョークを狙いつつ、ダメージを回復させることに。原はギロチンを防御し、立って押し込んだ状態からアームロックを狙い反撃する。その後も原が倒し、伊藤が立つ展開の繰り返し。すると終盤、伊藤が前に出て左右のフックを立て続けに当てて反撃する。原のタックルを切ると、胸に乗るマウントポジションを奪いつつ、鉄槌を連打し、最後は三角絞めに近い状態にして鉄槌を当て続けて終える。記者採点は伊藤。最初はひるんだが、終盤の挽回を評価した。合計30-27で伊藤。ジャッジは植松直哉氏のみ原を支持したが、他の4者は伊藤を支持し、伊藤の判定勝ちとなった。
マイクを持った伊藤だが「初めてのメインなのにしょっぱい試合してすみません。圧倒して勝とうと思ったんですけど、原選手が男気のある選手で。一回戦、こんな形ですけど、二回戦から強くなって、必ず優勝します」と悔し気にコメントした。
第9試合 DEEPフライ級GP一回戦(5ジャッジ制) 5分3R
○安谷屋智弘(氷ヲ刻メ/池田道場)
×小川 徹(TRIBE TOKYO MMA/パンクラス・フライ級2位、元王者)
1R 1’51” アームロック
安谷屋は昨年2月、GP出場者の松場貴志に判定勝ちしたが、以降は伊藤と宮城に連敗している。小川は昨年10月に上田将竜に判定勝ちし暫定王者となり、その後正規王者に認定されたが、今年3月に猿飛流(さとる)にベルトを奪われ、今回DEEPという新天地で再浮上を図る。
1R、サウスポーの小川に対し、安谷屋がオーソドックスで構えて左に回って距離を取る。しばらくすると安谷屋が圧にかける側に回り、右フックを振りながら小川を金網に詰めるが、小川は胴タックルで迎撃し、金網に押し込む。小川はバックに回り込んで押し込むが、安谷屋は小川の左腕をつかんでアームロックを狙う。安谷屋はセコンドの「一気に行け」という声を聞くと、そのまま前方に一気に回転してグラウンドに持ち込むと共に、小川の腕のロックを切ってアームロックを極めることに成功する。
すると安谷屋は「折れてる」と植松直哉レフェリーに話しかけ、数秒後に植松レフェリーはストップした。安谷屋がアームロックを解くと、小川は立ち上がって「折れてねえよ」と抗議するが、聞き入れられず。しばらく場内は静まり返り微妙な空気となった後、安谷屋は勝ち名乗りを受け、小川はセコンドの青木真也になだめられケージを後にした。この試合はアマチュアやルーキーではなく、MMAに命を懸ける覚悟を決めた熟練者同士による、タイトルも絡んだトーナメントの試合のため、もう少し待って、骨折を許容するのも一つの道だが、即座の判断は難しいものがあり、今回のレフェリーストップはぎりぎり妥当な範囲だったと思う。
マイクを持った安谷屋は「小川選手、戦ってくれてありがとうございます」と最初に話しつつ、「パンクラスのチャンピオン?そんなの知らねえ。ここはDEEPだ。ここがDEEPだ。俺が優勝するからよく見とけよ」とアピールした。
第8試合 DEEPフライ級GP一回戦(5ジャッジ制) 5分3R
○本田良介(CAVE)
×越智晴雄(パラエストラ愛媛/元DEEPストロー級王者)
判定4-1 (植松29-28/橋本29-28/柴田28-29/田澤29-28/内田29-28)
本田は修斗3試合、DEEP2試合で合わせ5連勝の後、7月のTDC大会で杉山廣平に判定負けしている。越智は渋谷カズキと曹竜也に連勝後、2月のDEEPで関原に判定負けした。両者CAVEでの練習仲間でもある。組み合わせ抽選では最後に2人が残ったためこのカードとなった。
1R、本田が片足タックルを仕掛けるが、越智はすぐ立つ。本田はサウスポーから左ミドルを当てる。その後も本田はタックルを繰り返し、越智は倒れないもののの印象が悪い。離れると、越智が飛び掛かるが、本田は右ストレートで迎撃し、金網際で潰して上になる。越智は右まぶたと目の下から出血する。スタンドに戻ると越智にドクターチェックが入る。再開後、本田が左ミドルを当て、最後は越智が前に出てパンチを返すが、本田は耐えて終える。記者採点は本田。
2Rも本田がタックルを仕掛けると、越智はフロントチョークで迎撃するが、越智は対処してサイドに回って押さえる。スタンドに戻り、越智が前に出続けると、本田は少し疲れが見え始め、中盤には越智の右ストレートが当たり出す。終盤、本田がタックルで倒すが、越智はフロントチョークを狙う。極まりは浅いが、本田は防戦状態が続いてしまい印象が悪い。記者採点は越智。
3R、越智が前に出て飛び込んだが、本田はそのタイミングでタックルを仕掛けて倒す。越智が立つと、本田は押し込む。離れると越智は前に出続けるが、中盤、本田が左ミドルを当ててから、またも押し込み続ける。終盤、越智は飛びついてフロントチョークを仕掛けるが、本田はアゴを引いて間一髪で極めを許さない。越智は背中をつけるタイミングで腕を離す。本田は越智が立ってもしつこくしがみつき、主導権を奪い返して終える。記者採点は僅差だが本田。合計29-28で本田。ジャッジは1者が越智の3Rのギロチンを評価した模様で越智についたが、4者は本田を支持し、本田の判定勝ちとなった。
本田は「自分で言うのもなんですが実力には自信があります。RIZINに出ている選手もこうやってやれば完封できます」とアピールした。
第7試合 DEEPフライ級GP一回戦(5ジャッジ制) 5分3R
×渋谷カズキ(高本道場)
○ビョン・ジェウン(韓国/フリー)
1R 4’46” フロントチョーク
渋谷はDEEP 3連勝後、昨年2月にジェウンの代役として暫定王者決定戦に出場し、藤田にTKO負け。その後も越智と柴田相手に連敗している。ジェウンは16年のDEEP初戦で今成正和に判定勝ちし、18年の2戦目で元谷友貴に判定負け。怪我の手術とコロナの影響でブランクが続き、今年5月の4年ぶりの試合では福田に判定負けしている。
1R、渋谷は開始すぐにタックルを仕掛けつつ引き込み下になり、グラウンド勝負を望む。中央付近でジェウンが上から押さえるが、渋谷は細かく動いて腕や首を取ろうとする。時折首を抱えるが、極めには持ち込めない。やや膠着すると、福田レフェリーは残り40秒を切りブレイクをかける。すると渋谷がパンチを振いながらタックルを仕掛けるが、切ったジェウンは上から押さえつつ、左手で渋谷の首を締め上げると、渋谷がタップ。ジェウンの一本勝ちとなった。
芦田崇宏、今成正和に判定勝ち
第6試合 フェザー級 5分3R
×今成正和(今成柔術/元DEEPフェザー級&バンタム級王者、元Cage Rageフェザー級王者)
○芦田崇宏(BRAVE/元DEEPフェザー級王者)
判定0-3 (福田28-29/柴田28-29/内田28-29)
今成は46歳。17年3月、現DEEPライト級王者の大原樹理にヒールフックで23秒で一本勝ちして以来5年半ぶりとなるDEEP出場。その後はONE、RIZINに上がり、昨年10月のRIZIN LANDMARKで春日井“寒天”たけしに一本勝ちして以来のMMAの試合となる。近年はバンタム級だったが今回はフェザー級に戻す。
芦田は17年に上迫博仁に勝利しDEEPフェザー級王者となるが、18年に弥益ドミネーター聡志に2連敗し同王座を失った。DEEP出場は19年10月に長倉立尚に判定勝ちして以来約3年ぶり。その後はRIZINで3戦し、萩原京平に1R一本勝ちしたが、昨年10月の金原正徳戦、今年4月のカイル・アグオン戦と2連敗している。
1R、サウスポーの芦田に対し、今成が序盤から寝転んで回転する、いわゆる「今成ロール」で芦田の足元へ。すると芦田は今成のガードの中に入って上になる。今成は足を芦田の腕に絡めオモプラッタを仕掛け、防御されれば足関節技を狙い、次はトップポジションに。今成が主導権を握り続ける。今成はマウントポジションを取るが、芦田はブリッジで返して上になる。今成は下から芦田の左手をつかむが、芦田は右手でパウンドを連打する。今成は下から右肘を連打し終える。ここまで今成ペースだ。
2Rも今成ロールから芦田が上に。今成は細かな仕掛けで関節技を狙うが、芦田は対処して、細かくパウンドを当て印象を作る。終盤、今成がようやく芦田の左腕をつかみ両足を挟むが、芦田は防御しながら右の鉄槌を当て続ける。
イーブンで迎えた3R、変わらず今成はローリングして下になり、またも芦田が上で押さえる。2R同様に芦田がコツコツパウンドを当て主導権を維持する。このラウンドは今成が関節技の形に持ち込めないまま終了する。結局、2Rと3Rを芦田がポイントを取り判定勝ちした。
第5試合 ウェルター級 5分3R
×住村竜市朗(TEAM ONE/元DEEP王者)
○鈴木槙吾(Mil gracias/元パンクラス王者)
1R 3’55” TKO (レフェリーストップ:右フック→グラウンドパンチ)
住村は昨年11月のRIZINでの木下憂朔戦で反則勝ちして以来の試合。記録上5連勝中だが最近は苦戦が続いている。5月8日の後楽園大会で鈴木と戦う予定だったが、大会半月前、住村の練習中の負傷により試合中止となり、住村は5月末にDEEPウェルター級王座を返上していた。
鈴木は09年から16年はパンクラスに上がり、15年にウェルター級王者となるが、翌年初防衛に失敗した。近年はプロレスが主体で、ラウェイにも挑戦している。住村は早生まれだが、二人とも1986年生まれの36歳で共通する。
1R、鈴木がプレッシャーをかけるが、長身の住村の左ジャブが当たる。鈴木のブロックの上からも左ハイを当て、鈴木は攻めにくそうだ。中盤、鈴木は右のローを当ててから、タックルを仕掛けて押し込むが、住村に押し返される。鈴木は右まぶたから出血している。住村はテイクダウンを奪い、中央付近で押さえ、パウンドを当てる。鈴木が立てばすぐ組み、金網に押し込みつつ右のパンチを連打し、主導権を維持する。ところが鈴木が正対してから離れると、前に詰めて右フックを当てる。すると住村は金網を背にして倒れ、鈴木がパウンドを連打したところで、すぐさま植松レフェリーがストップ。鈴木が逆転勝ちした。
第4試合 バンタム級 5分3R
○石司晃一(フリー)
×山本聖悟(チーム・クラウド)※フリーから所属変更
2R 2’27” TKO (レフェリーストップ:右フック→グラウンドパンチ)
1R、スタンドで見合う状態が続き、中盤から山本の右のカーフキックが当たりだす。石司はサウスポーに切り替えると、山本の右ミドルのタイミングで左フックを当ててダウンさせる。すぐスタンドに戻ってからも、石司はサウスポーに固定するが、じわじわ詰めると、山本の右ストレートが当たり、石司がダウンする。山本はパウンドとサッカーボールキックで追い詰める。石司が立っても追いかけるが、石司は胴タックルで倒してマウントを奪って終える。記者採点は山本。
2R、開始すぐに山本が右ストレートをヒットし、またも石司をダウンさせる。山本はパウンドから踏みつけでストップ寸前まで追い詰めるが、山本は攻めあぐねると立ち上がり、猪木アリ状態が10秒ほど続いたところで柴田旭レフェリーがブレイクする。石司は口から出血しているが、ドクターチェックは入らない。すると石司の左手の指が少し山本の右目に入り、山本がストップを要請し、一時中断する。レフェリーが石司の出血をタオルで拭いた後、ようやくドクターチェックが入る。この時間で少し回復した石司は、左ハイ、右ストレートを当てて組んで押し込む。離れると、パンチの打ち合いとなり、もらった石司が後退したが、山本の右フックに石司が右フックをカウンターで合わせてダウンを奪い返し、パウンドを連打したところでレフェリーがストップ。石司が逆転TKO勝ちを果たした。
第3試合 メガトン級(無差別級) 5分2R
○誠悟(AACC)
×トーマス(米国/Y&K MMA ACADEMY)
1R 3’53” 袈裟固め
第2試合 ストロー級 5分2R
○林 豊(パラエストラ柏)
×中村真人(レンジャージム)
判定3-0 (福田19-17/植松19-17/柴田19-17)
※中村が計量1.8kgオーバーで減点2。林が勝った場合のみ公式記録とする。
第1試合 フェザー級 5分2R
○五明宏人(トライフォース赤坂)
×デオ・レバナ(コンゴ民主共和国/K-Clann)
1R 0’42” TKO (レフェリーストップ:左ストレートでダウン後)
オープニングファイト バンタム級 5分2R
○KENTA(K-Clann)
×岩見 凌(KIBAマーシャルアーツクラブ)
1R 0’58” 裸絞め