UFC 8.20 ソルトレイクシティ(レポ):レオン・エドワーズ、ウェルター級絶対王者ウスマンを5R左ハイで沈める。ロックホールド&アルドは判定負け
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UFC 278: Usman vs. Edwards 2
2022年8月20日(土/現地時間)米国ユタ州ソルトレイクシティ:ビビント・アリーナ
レポート:井原芳徳
第12試合 メインイベント UFCウェルター級タイトルマッチ 5分5R
×カマル・ウスマン(王者)※6度目の防衛戦
○レオン・エドワーズ(2位)
5R 4’04” KO (左ハイキック)
※エドワーズが王者に
ウスマンは昨年11月、コルビー・コビントンに判定勝ちして以来6度目の防衛戦。エドワーズにはUFC参戦初年の15年に判定勝ちしている。エドワーズも当時はUFC 2年目で、その敗戦以降は10戦負けなし(9勝1無効試合)で、昨年6月にネイト・ディアスに判定勝ちして以来の試合となる。
1R、ウスマンはオーソドックス、エドワーズはサウスポーで構え、エドワーズから組みに行くが、足を掛けると自らスリップしてしまい、ウスマンが押さえる。エドワーズは脱出するが、ウスマンは立って背後から金網に押し込む。しかしエドワーズは両腕で組みつきつつ、左足の外掛けから倒し、すぐさまマウントを奪うことに成功する。バックマウントに移行すると、足を4の字でロックして捕獲し、裸絞めを狙う。ウスマンは防戦一方で終える。記者採点はエドワーズ。
だが2R以降はエドワーズが失速し、ウスマンが攻め続ける構図に。2R、ウスマンは圧力をかけ、度々パンチをヒット。エドワーズはブロックして対処するが、もらいっ放しで印象が悪い。離れればウスマンは右のカーフをヒット。終盤にはウスマンがタックルから抱えて倒して上になり、押さえて終える。記者採点はウスマン。
3R、ウスマンが序盤からタックルで倒して、金網に押し込む。離れてもすぐ押し込み、中盤には倒して背後から押さえる。終盤もパンチを当てるなど主導権を維持する。記者採点はウスマン。
4R、エドワーズは序盤から組み付くと、金網に押し込むが、ウスマンが倒して上になる。終盤にはウスマンが中腰のエドワーズをバックコントロールし、最後は立ってパンチを連打し終える。記者採点はウスマン。
ウスマンが点差を広げ勝利が確実と思われた最終5R、まさかの波乱が起こる。ウスマンが金網にエドワーズを押し込むが、膠着し、ハーブ・ディーン・レフェリーはブレイクする。エドワーズはサウスポーで距離を取り、左インローを当てる場面もあるが慎重で、ポイントを取り返そう、逆転しようという覇気は今一つ感じられない。ところがこれもフェイクだったか? 残り1分を切り、エドワーズは左ストレートをフェイントにしながら、左ハイを放ち、ウスマンのアゴにクリーンヒット。ウスマンは伸びて倒れ、エドワーズがまさかの逆転KO勝ちを果たし、ウスマンの長期政権にピリオドを打った。
第11試合 コーメインイベント ミドル級 5分3R
○パウロ・コスタ(6位)
×ルーク・ロックホールド(元王者)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)
コスタはMMA 13連勝・UFC 5連勝後、2年前にアデサニヤのミドル級王座に挑戦したが2R TKO負け。昨年10月の再起戦では計量オーバーし、ヴェットーリに判定負けし2連敗中だ。ロックホールドはストライクフォース、UFCでミドル級王者となり、16年にビスピンに敗れ王座陥落。その後も1勝の後2連敗し、ヤン・ブラホヴィッチにKO負けして以来3年ぶりの復帰戦となる。
1R、ロックホールドはサウスポーに構えているが、左のスネをサポーターで包んでおり、ステップもぎこちない。序盤から詰めるが、コスタは下がりつつ左フックを当てる。コスタはタックルで倒して上になり、金網際でハーフで押さえ続ける。終盤にはマウント、バックと移るが、その隙にロックホールドは脱出してスタンドに戻す。ロックホールドが左ミドルを連打すると、コスタは顔をしかめる。終盤もロックホールドが左ミドルを当てると、コスタは口を開けてしんどそう。最後はロックホールドが右フックを当ていい印象で終えるが、ロックホールドもしんどそうにして自軍に戻る。記者採点は終盤の攻めでロックホールドとしたが、コスタについても不思議ではない。
2R、コスタが前に出て、ロックホールドは金網を背にするが、お互い疲れており、攻撃に力が入らない。それでもロックホールドは右のバックスピンキックや左ストレートを当て、やや好印象を残す。だが終盤、コスタが前に詰めてパンチの連打の中で右のボディフックを当ててロックホールドをダウンさせる。ところがレフェリーはローブローと判断し、試合を中断する。再開後もコスタが前に出続けパンチを当てる。ロックホールドは立っているのがやっとの様子だ。記者採点はコスタ。
3R、コスタは変わらず圧をかけ続け、右ミドル、左ストレートをヒットする。ロックホールドも左ストレートを当てるが、疲れており追撃ができない。中盤、ロックホールドは突如タックルを仕掛けるが、コスタは切って潰し、中央付近でサイドで押さえる。終盤にはバックを取る。最後、ロックホールドは上を取り返すが、コスタがしがみついたまま終わる。記者採点はコスタ。合計29-28でコスタ。ジャッジ3者とも30-27でコスタを支持し、コスタの判定勝ちとなったが、減量の影響か、スタミナ面で課題を露呈した。ロックホールドは試合後のインタビューで引退を表明した。
第10試合 バンタム級 5分3R
×ジョゼ・アルド(3位、元フェザー級王者)
○メラブ・ドバリシビリ(6位)
判定0-3 (28-29/28-29/27-30)
アルドは20年7月、ピョートル・ヤンとのバンタム級王座決定戦で敗れたが、以降は3連勝し上位に留まっている。ドバリシビリはUFC参戦当初は2連敗したが、18年9月からは7連勝で、昨年9月にはアルドに勝った実績のあるマルロン・モラエスにTKO勝ちしている。
1R、場内が「ジョゼ・アルド」コールに包まれる中、お見合いが続く。次第にドバリシビリがアルドを金網まで下がらせ、片足タックルを仕掛けるが、アルドは切る。中盤もドバリシビリが押し込むが、アルドは突き放す。アルドは距離ができれば右ロー、左ボディ、右ミドルを当て、組まれての離れ際には右フックを当てる。記者採点はアルドだが、押し込み続けたドバリシビリが取る可能性もある。
2Rもドバリシビリのタックルをアルドが切り続ける。ドバリシビリはブーイングを浴びながらも執拗にタックルを繰り返す。だがアルドも攻撃が少なく、終盤は前に出るが有効打には結び付けられない。最後もドバリシビリに押し込まれて終わる。記者採点は主導権を奪い返したドバリシビリ。
3R、ドバリシビリは前に出てパンチを振う。アルドはパンチをかわせているものの、左足を少し引きずるように下がり、金網を背負う時間が長くなる。中盤、ドバリシビリはようやくタックルを仕掛け、アルドは切り続けるものの、ドバリシビリに振り回され膝をつく場面のあり、終盤にはバックコントロールを許すようになり印象が悪い。記者採点はドバリシビリ。合計28-29でドバリシビリ。ジャッジ3者もドバリシビリで、スター選手・アルドの敗戦に場内は静まり返った。
第9試合 女子バンタム級 5分3R
×ウー・ヤナン
○ルーシー・プディロヴァ
2R 4’04” TKO
第8試合 ライトヘビー級 5分3R
○タイソン・ペドロ
×ハリー・ハンサッカー
1R 1’05” TKO
第7試合 ヘビー級 5分3R
○マルチン・ティブラ(11位)
×アレクサンドル・ロマノフ(13位)
判定3-0 (29–28/29–28/28–28)
第6試合 ライト級 5分3R
×レオナルド・サントス
○ジャレッド・ゴードン
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
第5試合 フェザー級 5分3R
△ショーン・ウッドソン
△ルイス・サルダナ
判定1-1 (29–27/27–29/28–28)
第4試合 ウェルター級 5分3R
×A.J.フレッチャー
○アンジュ・ルーサ
判定0-3 (27-29/28-29/28-29)
第3試合 フライ級 5分3R
○アミル・アルバジ(11位)
×フランシスコ・フィゲイレード
1R 4’34” 裸絞め
第2試合 バンタム級 5分3R
○アオリ・チロン
×ジェイ・ペリン
判定3-0 (29–28/29–28/29–28)
第1試合 フライ級 5分3R
×ダニエル・ラセルダ
○ビクトル・アルタミラノ
1R 3’39” TKO