DEEP 5.8 後楽園ホール(レポ):神龍誠、藤田大和を3Rで極めフライ級王座統一「UFCのオファーお待ちしています」。好調K-ClannのCORO、バンタム級暫定王者に
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skyticket Presents DEEP 107 IMPACT
2022年5月8日(日)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
第8試合 DEEPフライ級王座統一戦 5分3R
○神龍 誠(神龍ワールドジム/王者)
×藤田大和(リバーサルジム新宿Me,We/暫定王者)
3R 0’53” フロントチョーク
※神龍が王座統一および初防衛
神龍は19年6月のフライ級暫定王者決定戦で柴田“MONKEY”有哉に勝利。その後、ONEに参戦中の和田竜光が王座を返上し、神龍は正規王者(第5代王者)に認定された。だが故郷の宮城でのジムのオープンの準備を理由に、まだ防衛戦を行っていなかった。20年8月のRIZINで伊藤盛一郎にギロチンで一本勝ちしてからブランクが続き、昨年10月のDEEPでは元修斗世界フライ級王者・福田龍彌と対戦し判定勝ちしたが、動きに精彩を欠いた。
藤田はアマチュアボクシング日本5冠。17年10月のRIZINの那須川天心とのMMAプロデビュー戦以降、勝ち負けを繰り返していたが、19年12月以降は6連勝中。昨年2月の暫定王座決定戦で渋谷カズキをKOすると、7月の試合では山本聖悟をKOし、9月大会では伊藤裕樹に判定勝ちし初防衛に成功した。2月26日の106 IMPACTで神龍と藤田の王座統一戦が組まれたが、神龍が新型コロナウイルスに感染したため、2カ月半延期となっていた。
1R、藤田はサウスポーの神龍に対し、右のミドル、ロー、フックを的確にヒット。神龍の蹴り足をつかんでパンチを当て、テイクダウンも奪う。中盤、神龍がタックルで藤田を倒すが、藤田は金網を背に立つ。終盤、神龍は右ハイをつかまれるが、すぐに引き込んで腕十字を狙う。だが藤田はすぐ外し、神龍にチャンスを与えない。記者採点は藤田。
2R、藤田は序盤から右ハイを当てるが、神龍は蹴り足をつかんで倒しトップキープする。中盤も神龍はハーフで押さえ続け、時折鉄槌を当て、アームロックと腕十字を狙う。藤田は脱出すると、神龍を金網に詰めパンチの連打で倒す。だがすぐに神龍はタックルで倒し返し、金網際でバックを取る。終盤は神龍が藤田を金網に押さえつけ、最後は立って終わる。流れは神龍に。記者採点は神龍。ジャッジも柴田旭氏以外の4名が神龍につける。
すると3R、序盤の打撃戦で神龍が首相撲で藤田を捕まえ右の膝蹴りを連打する。藤田の顔面に命中すると、藤田は腰が落ち、神龍はさらに膝を連打する。神龍が藤田を金網に押し込むと、藤田のセコンドの山崎剛氏から「ギロチンだけ気をつけろ」との声が飛ぶが、ダメージの溜まった藤田に神龍が立ったままニンジャチョークを極める。そのままグラウンドに引きずり込むと、藤田はタップ。神龍が見事一本勝ちで王座統一と初防衛を果たした。
持前のキレのある動きを取り戻し、完全復活を印象付けた神龍。2本のベルトを腰と肩に巻いてマイクを持つと「藤田選手、結構強かったんですけど、フィニッシュできて良かったです。次は世界と戦いたいです。UFCのオファー、お待ちしています」とアピールした。
神龍はこれで戦績15戦13勝(2一本)1敗1分。高校1年でプロデビューし現在21歳。敗れたのは後にONEでデメトリアス・ジョンソンを追い詰めた和田竜光との4年前の試合のみで、以降は7連勝、DEEPで王座防衛も果たし、世界にアピールする材料は十分に揃っている。
なお、バックステージでのインタビューでは「世界に行けないならRIZINしかないですね。DEEPのチャンピオンとしてDEEP最強を示したいです」と話した。RIZINでは夏からのフライ級トーナメント開催計画もあるため、神龍が出れば優勝有力候補の一人となるだろう。
第7試合 DEEPバンタム級暫定王者決定戦 5分3R
×DJ.taiki(パンクラスイズム横浜/元DEEPバンタム級王者)
○CORO(K-Clann)
判定0-5 (橋本27-30/松宮28-29/田澤26-30/豊永28-29/柴田28-29)
※COROが暫定王者に
バンタム級では王者・ビクター・ヘンリーがUFC参戦のためDEEPに上がれないことから、元バンタム級王者のDJ.taikiと、RIZINを含め3連勝中のCOROによる暫定王座決定戦が行われた。
39歳・プロ18年のベテラン・DJは、13年4月に前田吉朗をKOしDEEPバンタム級王者になったが、怪我で防衛戦できず返上。一時はフェザー級に階級を上げ、19年5月には弥益ドミネーター聡志のフェザー級王座に挑戦したがKO負けした。直近の試合となる昨年9月の関鉄矢戦もフェザー級だった。
対するCOROは33歳。11年から17年にパンクラスに上がった後、DEEPに主戦場を移し、昨年は石司晃一に判定負けしたが、東修平、橋本ユウタ、RYUKIには一本勝ち。3月6日のRIZIN LANDMARKでは増田拓真に判定勝ちしている。
1R、COROがオーソドックスで圧をかけ、DJがサウスポーで回って距離を取る構図が続く。お互いたまに攻撃が当たる程度ではっきりした差はつかないが、若干COROのヒットが多い印象だ。終盤、COROが右ハイをブロックされて後ろにスリップする。COROはすぐにタックルに行くが、DJは耐え、ネルソンで抱えて金網に押し付け、最後は尻をマットに付かせて終える。記者採点は僅差でスタンドの積極性が上と判断しCOROとしたが、最後押さえたDJについても不思議ではない。ジャッジは豊永稔氏のみDJにつける。
2R、スタンド勝負が続き、お互いなかなかヒットが増えないが、中盤、COROがボディ狙いの右前蹴りを強打し、さらにDJを浴びせ倒す。DJはすぐ立つが、その際に左の頬をカットする。DJは立った直後に何かレフェリーに不満を述べる。終盤、DJは左ジャブを当て、圧力を強めて手数を上げ、パンチで少しCOROをふらつかせ、いい形で終える。記者採点は僅差でDJだが、DJをカットさせたCOROの可能性もある。ジャッジは柴田旭氏、松宮智生氏がDJにつけ、豊永氏、橋本貴氏、田澤康宏氏はCOROにつける。
3R、COROは序盤からタックルで倒し、すぐさま金網際でバックマウントを奪いキープする。DJが向き直そうとしてもバックをキープし、裸絞めを狙い続けて終えるが、極めには至らない。記者採点はCORO。合計28-29でCORO。ジャッジは全員COROにつけ、田澤氏は8-10。ジャッジの合計点はバラついたが、5者とも3R目を確実に取ったCOROを支持し、COROが判定勝ちで初のベルトを巻いた。大会後のインタビューでCOROは「K-Clannがみんな勝ってて、波に乗れて良かったです」と話した。バックステージではDEEP&RIZIN王者の伊澤星花と牛久絢太郎、そして横田一則代表と共に記念撮影した。
第6試合 フェザー級 5分3R
○神田コウヤ(パラエストラ柏)
×青井 人(BLOWS)
3R 2’25” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
神田は鬼山斑猫、DJ.taiki、平田直樹に3連勝し、昨年12月大会で牛久絢太郎のDEEPフェザー級王座に挑戦したが、試合巧者の牛久に持ち味を封じられ判定負けした。青井は長らく修斗を主戦場とし、RIZINでの2戦を経て、2月の後楽園大会でDEEPに初参戦し、木下尚祐に2R TKO勝ち。「いつかベルトを巻きます」と宣言しており、神田は王座に近づく上で絶好の相手だ。
1R、神田はサウスポー主体で度々スイッチして圧をかけ、青井はオーソドックス一本で構え、打撃戦が続く。神田はミドル、ロー等の蹴り主体で、青井はフック主体。中盤、青井が右ミドルを当てると、おそらく肘でカットされた際に右スネを割られて出血する。なかなか均衡は崩れないが、最後に神田がタックルで倒して押さえ、いい形で終える。記者採点は僅差だが神田。
2R、神田は序盤からタックルでテイクダウンを奪い、サイドで押さえると、左肘を当て、青井の右の眉尻あたりを切り裂く。スタンドに戻り、青井もパンチを当てるが、連打にはつながらず、終盤にも神田がテイクダウンを奪って押さえて好印象で終える。記者採点は神田。
だが3R、青井が右フックを立て続けに当てると、神田はダウン。神田はすぐにタックルで押し込んで、ピンチを逃れる。離れると、青井も右ミドルを当てるが、疲れが目立ち始める。神田は押し込むと、離れて際に左肘をヒット。ワンテンポ遅れて後ろに倒れた青井はダメージが大きく、神田がパウンドで追撃したところですぐさま豊永レフェリーがストップした。青井は唐突な倒れ方だったが、DEEPの佐伯繁代表によると、審判団も有効打が明確にわからないフィニッシュだったといい、追って映像で検証すると話した。公式記録でもTKOとのみ記載され、具体的な決まり手は記載されていなかった。(※5月14日追記:試合を運営するJMOCのサイトの公式記録には「青・青井の試合続行不可能に至った原因が、全て赤・神田の有効打(肘打撃からのグラウンドパンチ)によるものとの事実を映像で確認することができ、試合当日の仮裁定を正式裁定として確定する」と掲載された。)
第5試合 58.5kg契約 5分3R
○福田龍彌(MIBURO/元修斗世界フライ級王者)
×ビョン・ジェウン(韓国/フリー)
判定3-0 (柴田30-27/松宮30-27/福田30-27)
福田は昨年10月にDEEPに初参戦し、フライ級王者・神龍誠とのノンタイトル戦で判定負け。2月のDEEPでは伊藤裕樹に2R TKO勝ちし、3月20日のRIZIN大阪大会ではNavEに54秒KO勝ちしている。
対するジェウンは16年8月のDEEPで今成正和に判定勝ち。18年2月のDEEPで元谷友貴に判定負けした。20年3月に神龍とのノンタイトル戦、昨年2月に藤田大和にフライ級暫定王者決定戦が組まれたが、いずれも新型コロナウイルスの感染拡大の影響で実現せず、満を持してのDEEP再登場となる。トランクスの尻にはDEEPのロゴが入っており、本人も出場を熱望していたようだ。
1R、サウスポーの福田に、ジェウンは素早い右ハイを時折放ち、1分過ぎには押し込むが、福田は押し返す。福田が一度倒すがすぐジェウンは立ち、福田は再び押し込む。だがその先に持ち込めずブレイク。打撃戦に戻ると、ジェウンの右ハイのスピードが落ちたのに対し、福田は左フックを随所で当て続け、優位に立ち終える。
2R、福田が左フック、右の縦肘をヒット。ジェウンはタックルとテイクダウンを繰り返すが、福田はすぐに立ち続け、右アッパー、右ジャブを随所で当て、打撃では優位を維持する。
3R、福田は左ストレート、左ボディを当てるが、ジェウンもタックルを繰り返し、オンブのチョークを狙ったり、バック肘やハイも放ち続け、逆転を狙う。だがジェウンの動きは遅く、福田がパンチを的確に当て続け、主導権を握り続けて終える。記者採点は3Rとも福田で30-27で福田。ジャッジ3者も同じ採点で福田の完勝に終わった。
第4試合 フライ級 5分3R
○伊藤裕樹(ネックス)
×関原 翔(K-PLACE)
判定3-0 (柴田○28-28/植松29-27/松宮29-28)
伊藤は昨年9月に藤田のフライ級暫定王座に挑戦し判定負けしたが、10月のRIZINでは中村優作に1R TKO勝ち。2月のDEEPでは福田龍彌に逆転TKO負けしている。関原は11月のRIZIN沖縄大会でTARKERに、2月のDEEPで越智晴雄に判定勝ちし6連勝中だ。
1R、パンチの打ち合いで関原は腰が落ちたが、すぐにタックルで伊藤を金網に押し込む。離れると、関原も右インローを当てるが、伊藤は左フック、左右の膝を随所で当てる。関原は鼻血を出し、時折スリップし、印象が悪い。記者採点は伊藤。
2R、関原は序盤からテイクダウンを繰り返すが、トップキープにはならず。中盤、伊藤がテイクダウンを奪い返すが、こちらもトップキープできない。終盤はスタンドの攻防で、伊藤のタックルに関原が右のテンカオを合わせる場面も。記者採点は僅差だが関原。
3R、パンチの打ち合いで伊藤が右アッパーを当てる場面もあるが、関原が押し込み、テイクダウンを繰り返し、やや優位を維持する。だがパンチの打ち合いで被弾するうちに失速。終盤には伊藤がテイクダウンを奪い返し、裸絞めやパウンドで追い詰める。最後、パンチの打ち合いでも関原は金網に詰められた状態で何発も被弾し、大量に出血し時折棒立ちに。レフェリーは止めたほうが良いようにも見えたが、時間切れまで続く。記者採点は10-8で伊藤。合計29-27で伊藤。ジャッジ3者も伊藤を支持し、伊藤の判定勝ちとなった。大会後の総括でDEEPの佐伯代表も「ラスト10秒は関原が危なかった。セコンドかレフェリーが止めたほうが良かった」と話していた。
第3試合 ライト級 5分3R
○小金 翔(フリー/ZSTライト級王者)
×ケンヤスキー(ALIVE沖縄/SHIMAZILIANS)
2R 0’49” ヒールフック
1R、長身の小金が、サウスポーのケンヤスキーに、右ストレート、右ミドル等を時折ヒット。ケンヤスキーも左右のローを返す。終盤、パンチの相打ちの後、小金が倒して上に。しばらくして立つと、再三顔面を踏みつけ、上になってもパウンドを落とし、ダメージを与える。
2R、ケンヤスキーは鼻血を出して苦しそうだったが、右ボディから左フックの連打をクリーンヒットし、小金をダウンさせ、パウンドのラッシュで逆転勝ちのチャンスをつかむ。ところが小金はケンヤスキーの足をつかんでヒールフックを極める。ケンヤスキーはしばらく耐え、パウンドを返す場面もあったが、最後はタップした。苦戦の小金に笑顔は無かった。
第2試合 メガトン級 5分2R
×誠悟(AACC)
○稲田 将(ISHITSUNA MMA)
1R 4’58” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
1R、稲田は距離を取り、カーフキック、ジャブを当てて離れる戦法。終盤、パンチの打ち合いで左フックをもらいひるむが、その後パンチをお返し。誠悟が投げから袈裟固めで押さえようとするが、稲田は脱出する。福田は金網際で誠悟を背後から押さえ、パウンドを当て続け、終了間際にレフェリーがストップした。誠悟はダメージが小さかった様子で、試合後すぐにレフェリーに不満を示した。
第1試合 フライ級 5分2R
×島袋チカラ(CORE)
○風我(フリー)
判定0-3 (内田17-20/豊永18-20/松宮18-20)
42歳の島袋に対し風我は23歳。セコンドには姉のDEEP JEWELS&RIZIN 2冠王・伊澤星花がつく。1R、島袋のタックルを風我は切り、腕を巻いて倒して上に。立ち際にはギロチンを仕掛け、その後もギロチンを狙いつつコントロールする。
2R、風我が左ミドルを当てると、島袋は蹴り足をつかむが、そのまま風我も組み付いて倒す。島袋は下から腕をつかんでアームロックを狙い続ける、最後は腕十字を仕掛ける。風我は防御し脱出。風我は途中にパウンドを少し当てる程度で、はっきり攻め込む場面は作れず終了したが、2R目もポイントを取り判定勝ちした。試合後は姉の星花が大喜びでケージに入り風我と記念撮影をしていた。
オープニングファイト バンタム級 5分2R
○山本有人(リバーサルジム東京スタンドアウト)
×小原 卓(CORE王子豊島)
判定3-0 (田澤20-18/豊永20-18/松宮20-18)
DEEP JEWELS 5.8 後楽園ホール(レポ):中井りん、杉山しずかを1Rで仕留めフライ級王者に。大島沙緒里、アトム級王座防衛。東よう子、KINGレイナを下しフェザー級王者に