パンクラス 4.30 立川ステージガーデン(レポ):アキラ、久米鷹介との死闘制しライト級王座統一「日本一になります」。バンタム級王者・中島太一、5連勝の田嶋椋を完封し初防衛
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PANCRASE 333
2023年4月30日(日) 東京・立川ステージガーデン
レポート&写真:井原芳徳
アキラ、久米鷹介との死闘制しライト級王座統一「日本一になります」
第14試合 メインイベント パンクラス・ライト級王座統一戦 5分5R
×久米鷹介(ALIVE/王者)※4度目の防衛戦
○アキラ(武蔵村山さいとうクリニック/暫定王者)
判定1-2 (大藪47-48/梅木48-47/山崎47-48)
※アキラが王座統一し正規王者に
RIZINにも出場しているパンクラス・ライト級の絶対王者・久米が4度目の防衛戦を、同じくRIZIN出場勢のアキラを相手に行った。
久米は16年9月に徳留一樹を1R KOしライト級王座を奪取。17年12月のベルトを懸けてのリターンマッチも1R KO勝ちし、19年4月にトム・サントスに3R三角絞めで勝利し2度目の防衛を果たす。19年10月のONEでは当時の修斗同級世界王者・松本光史に判定勝ち。20年9月のRIZINでは元DEEP同級王者の北岡悟に判定勝ちしたが、21年3月のRIZINでは当時のDEEP同級王者の武田光司に判定負けした。21年12月のパンクラスでは同級暫定王者の雑賀 ヤン坊 達也を相手に王座統一戦(3度目の防衛戦)を行い、2Rに腕十字で一本勝ちした。試合はそれから約1年半ぶりで、4月28日には38歳となったばかりだ。
対するアキラも36歳のベテラン。10年に修斗でデビューし、13年からパンクラスに上がり続け、18~20年は4連敗と苦しんだ時期もあったが、20年10月からは6戦5勝1敗と好調。RIZINでも阿部大治、鈴木琢仁に勝利し、昨年3月のRIZINでは大原樹理に判定1-2で惜敗したが、9月のパンクラスでのライト級暫定王者決定戦では松本光史を3R左スーパーマンパンチからのパウンドで返り討ちにした。ようやく久米のコンディションが整い、満を持して王座統一戦が組まれた。
1R、終始スタンドの打撃戦に。久米はオーソドックス、アキラは最初はオーソドックスで中盤からサウスポーに固定する。お互い見合った後、接近戦でフックを振り合う展開に。お互いヒットさせるが、久米が右ハイも絡めやや巧く戦っている印象だ。記者採点は僅差で久米。ジャッジ1名が久米、2名がアキラと割れる。久米は右フックを空振りしてスリップする場面もあり、やや印象が悪くなったか。
2R、時折パンチが交錯し、久米が押し込んでテイクダウンを狙う展開に。中盤、久米が左足をかけてテイクダウンに成功し、ハーフで押さえる。パスガードを狙うとバックを取ることに成功する。終盤、久米はバックキープし、鉄槌をコツコツ当てて主導権を維持する。ジャッジ3名とも久米。記者採点も同じ。
3R、アキラが接近戦で右フックを当て、久米のタックルを潰して上になる。久米も下から蹴り上げや腕十字や三角絞めを狙うが、アキラは対処してパウンドと肘を当てる。終盤、久米が立ち、アキラが押し込んで終える。ジャッジ3名ともアキラ。記者採点も同じ。
4R、アキラのパンチのヒットがじわじわと増えると、中盤、久米が膝をつく場面が目立つように。するとアキラは倒して上になり、パウンドラッシュで久米を追い詰める。最後、久米が立つが押し込むだけで終わる。ジャッジ3名ともアキラ。記者採点も同じ。10-8でも不思議ではないだろう。
5R、逆転を狙う久米は開始すぐからパンチラッシュを仕掛けて組み付き、倒してバックを取る。久米は時折右の鉄槌を当て、弱ったところを裸絞めを狙おうとするが、アキラは耐え防御する。終盤、アキラが向き直して上になると、久米が腕十字を狙うが、アキラは対処し、上から押さえ続けて終了する。ジャッジ3名とも久米。記者採点も同じ。合計48-47で久米。1Rが割れたためジャッジの合計点も割れたが、2者がアキラを支持し、アキラが王座統一を果たした。
ベルトを巻いたアキラは「やっぱりチャンピオン久米さん滅茶苦茶強かったです。これからは僕がパンクラスの歴史作ります。ライト級日本一になります」と宣言した。正規王者になり久米にも勝ったことで、今後のRIZINライト級戦線でも浮上するいい流れとなるだろう。
ケラモフ戦から1年ぶり試合の正規王者・中島太一、5連勝の暫定王者・田嶋椋を完封し初防衛
第13試合 コーメイン パンクラス・バンタム級王座統一戦 5分5R
○中島太一(ロータス世田谷/王者、ネオブラッドトーナメント2012同級優勝)
×田嶋 椋(OOTA DOJO/暫定王者、ネオブラッドトーナメント2022同級優勝&MVP)
判定3-0 (大藪50-45/山崎50-45/梅木50-45)
※中島が王座統一および初防衛
パンクラス・バンタム級では21年12月に暫定王者決定戦が行われ、中島太一が井村塁に勝利し暫定王者になった。正規王者のハファエル・シウバは昨年4月の立川大会で中島と王座統一戦を行う予定だったが、膝の靭帯を損傷し復帰まで約1年かかり、37歳という年齢も考慮し引退し、中島が正規王者となっていた。防衛期限は1年のため、12月の横浜武道館大会で、当時1位のTSUNEとの初防衛戦が組まれていたが、中島が怪我により欠場した。そのため6位でネオブラッドトーナメントを優勝したばかりの田嶋と、TSUNEによる暫定王者決定戦が行われた。試合は2RまでTSUNEペースだったが、3Rから田嶋が打撃戦で巻き返し、4RにTKO勝ちしていた。
中島は昨年4月にRIZINに初参戦し、フェザー級でヴガール・ケラモフに1R三角絞めで一本負けして以来1年ぶりの試合となるため、ここでしっかり王座統一&初防衛を果たし、大舞台や世界へ復帰するステップにしたいところ。
田嶋は21年のネオブラッドトーナメントでプロデビューし準決勝で風間敏臣にヒールフックで1R一本負け。だが以降は5連勝で戦績6勝1敗。下馬評では不利だが、逆転勝ちしたTSUNE戦のように、波乱を起こせるか。
1Rはお互い慎重な出だし。中島が中央で構え、田嶋は距離を取って細かく動き、お互いフェイントをかけ合う。お互い右カーフを放つが、中島のヒット数が上回る。ジャッジ3者とも中島。
2R、変わらずお互い見合う時間の長い展開に。中島の右カーフの頻度は落ちるが、田嶋も動き続けるだけで攻撃を返せない。終盤、中島がパンチや横蹴りを時折当て、若干だが優位を印象付ける。ジャッジ3者とも中島。
3R、中盤からようやくお互い攻撃が増え、中島がパンチを先に当てるが、田嶋も左ジャブを返すと、中島は眉間から出血する。しかし終盤、中島が右カーフを当てていると、田嶋は再三バランスを崩すようになり、印象を悪くする。中島は右ストレートもさく裂させる。ジャッジ3者とも中島。
4R、中島がプレッシャーをかけ、田嶋のタックルを切り続け、左ジャブを随所でヒット。終盤には右フックもさく裂させ、田嶋をふらつかせる。ジャッジ3者とも中島。
5R、中島が圧をかけ続け、右カーフで田嶋をスリップさせ、タックルも切り続け、終盤には左ボディも強打。最後はパンチ連打で追い詰め終える。このラウンドも中島が取り、全ラウンドを取って中島が判定勝ちし、王座防衛と統一を果たした。ベルトを巻いた中島は夫人と娘と一緒に記念撮影し「今日は結婚記念日です。勝って良かった」と話し喜んだ。
KAREN、前回敗れた相手・ソルトとベルト懸けた再戦でも敗れる
第12試合 パンクラス女子ストロー級チャンピオンシップ 5分5R
×KAREN(パラエストラ柏/王者)※PRAVAJRAから所属変更 ※初防衛戦
○ソルト(マルスジム/1位)
判定0-3 (大藪46-49/山崎46-49/梅木46-49)
※ソルトが王者に
KARENは昨年3月大会で藤野恵実に4R TKO勝ちし女子ストロー級王座を獲得。9月大会では修斗が主戦場の宝珠山桃花に判定勝ちし、12月大会でも修斗が主戦場のソルトを迎え撃った。試合はソルトが167cmの高身長を活かした打撃で先手を取り、グラウンドでも圧倒しジャッジ3者とも27-30とつける完勝を果たしている。プロ7戦目で初黒星を喫したKARENは、名門・パラエストラ千葉ネットワークに移籍し、今度はベルトを懸けリベンジを目指す。
KARENのセコンドには鶴屋浩・怜の親子が付く。1R、KARENはサウスポーで構え、長身のソルトが右フックを当てれば、KARENも打ち合いで次第にパンチを当て返すように。中盤からKARENが長時間ソルトを金網に押し込むと、終盤には左脇を差したまま右のパンチを連打し、最後は倒す場面も作って印象を残す。ジャッジ3者ともKAREN。
2R、KARENはまたも金網にソルトを押し込み、ソルトも押し返し、一進一退の展開に。だがソルトが押し込む時間が累積では長くなり、膝を当ててKARENを削り、離れればソルトが右ハイも当て流れを引き寄せる。KARENは早くも息が荒くなっている。ジャッジ3者ともソルト。
3R、ソルトはまたもKARENを金網に押し込み、膝を当て続け、顔面への膝でひるませてから押し倒すと、素早くバックを奪い、裸絞めを狙う。中盤、KARENは立つが、ソルトが右ハイをガードの上から当てる。終盤もソルトが押し込んで膝を当てる等優位を維持する。ジャッジ3者ともソルト。
4R、両者押し込む展開を繰り返す中で、KARENが倒す場面もあるが、ソルトはすぐ立つ。終盤はソルトが長時間KARENを金網に押し込み、膝を当て続ける。KARENは消耗が激しい。ジャッジ3者ともソルト。
5R、KARENは自ら押し込みに行くが、すぐにソルトが押し返し離す。その後も金網の押し相撲が続く。終盤、KARENがタックルで倒しかけるが、ソルトは膝立ちで耐え、鉄槌と肘を当てる。最後は立ってソルトが押し込んで終える。結局2R以降は全てソルトが取り、ソルトが判定勝ちでKARENを返り討ちすると共に、パンクラスのベルト獲得を果たした。
端貴代、NØRIとの再戦も判定勝ちし初防衛
第11試合 パンクラス女子フライ級チャンピオンシップ 5分5R
○端 貴代(和術慧舟會AKZA/王者)
×NØRI(PRAVAJRA/1位)
判定3-0 (大藪49-46/山崎49-46/梅木49-46)
※端が初防衛
女子フライ級はシッジ・ホッシャが王座を返上し、暫定王者の端が正規王者となった。パンクラスは「ホッシャはコロナ禍を考慮に入れた防衛期限に合意していましたが、怪我のため試合が出来ないと言う理由でベルトを返上しました」と経緯を説明している。
端とNØRIは21年10月の暫定王者決定戦で対戦し、当時44歳のベテラン端が、23歳のNØRIをテイクダウンとグラウンドで圧倒し判定勝ちしている。端はそれ以来の試合で、NØRIは昨年7月に栗山葵と対戦したが判定1-1のドローに終わっている。
1R、端が中盤からNØRIを金網に押し込んで、右脇を差してテイクダウンを狙い続ける。NØRIは倒れないが防戦一方に。ジャッジ3名とも端。
2R、NØRIが端の蹴り足をすくってからそのまま金網に押し込み、テイクダウンに成功する。するとNØRIは素早くバックを取り、裸絞めを狙って端を追い詰める。最後、端が脱出してサイドで押さえて終える。ジャッジ3名ともNØRI。
3R、今度は端が押し込んでテイクダウンを奪い、サイドで押さえる。終盤、端は鉄槌、肘を何発も当て、NØRIを追い詰める。ジャッジ3名とも端。
4R、またも端が押し込んで、中盤に倒して上になる。NØRIは倒れ際に端の首をギロチン狙いで抱えており、倒れた後もつかみつづけ、その状態からリバースを狙う。だが端は潰して上の状態を維持し、パウンドを落とし印象を作る。ジャッジ3名とも端。
5R、端が金網に押し込みテイクダウンを狙い主導権を維持する。終盤、ようやく端がバックを取ると、裸絞めを狙い、最後は腕十字を狙って終了。端が点差を広げ判定勝ちした。
井村塁、元修斗環太平洋バンタム級王者・石井逸人に判定勝ち
第10試合 バンタム級 5分3R
○井村 塁(Nexusense/1位、ネオブラッドトーナメント2020同級優勝・MVP)
×石井逸人(TRIBE TOKYO MMA/修斗世界2位・元環太平洋王者)
判定3-0 (出口29-28/山崎29-28/梅木29-28)
石井は19年11月、修斗代表として1度だけパンクラスに参戦したことがあり、瀧澤謙太と対戦し3Rに飛び膝蹴りをもらってKO負けしている。その後の石井は修斗でコンスタントに試合を重ね9戦5勝2敗2分の成績を残している。昨年5月には小野島恒太に判定勝ちし修斗環太平洋バンタム級王者となったが、10月の藤井伸樹との初防衛戦では死闘の末判定負けしている。修斗では上位勢と一通り対戦済なこともあってか、パンクラスが再起の場となった。なお、今大会ではパンクラス・バンタム級王者の中島太一と暫定王者の田嶋椋による王座統一戦が組まれているため、石井が勝てば次期挑戦者として急浮上することになる。
対する井村はネオブラッドトーナメント2020同級優勝・MVPと活躍し、同年末の暫定王者決定戦では中島に2R TKO負け。続く昨年4月のTSUNE戦でも判定負けしベテラン相手に連敗を喫した。だが9月大会で平田丈二に、12月大会で佐久間健太に勝利している。
1R、序盤から井村がテイクダウンを奪うが、すぐに石井が返して上になる。石井は上から肘を当て井村の顔面を切り裂くが、井村は下からアームロックを狙い続ける。終盤、井村が三角絞めを狙うが、石井が立ちスタンドに戻り、井村にドクターチェックが入る。再開後、石井がタックルで倒し、最後はオンブを狙い、主導権を維持する。ジャッジ3者とも石井。
2R、井村がまたも序盤からテイクダウンを奪うと、今後は早い段階からパスしてバックに回り、時折パウンドを当て裸絞めを狙い石井を追い詰める。石井はアゴを引いてなんとか耐える。終了時にまたも血だるまの井村に対しドクターチェックが入るが傷は問題なく試合続行する。ジャッジ3名とも井村。これでイーブンに。
3R、井村がオンブからバックを取り裸絞めを狙えば、石井は脱出して上になりパウンドを落とす展開が何度も繰り返され、どちらも譲らない展開に。だが終盤に差し掛かり、井村がバックを取ると、裸絞めを狙う状態が1分以上続き、そのまま終了。この終盤の攻めが決め手となり、井村が3R目のポイントを取り判定勝ち。元修斗王者を撃破した井村は、ガッツポーズで大喜びした。
亀井晨佑、フェザー級王者透暉鷹と接戦のジェヒョクとの接戦制す
第9試合 フェザー級 5分3R
○亀井晨佑[しんすけ](パラエストラ八王子/2位、ネオブラッドトーナメント2018同級優勝)
×パン・ジェヒョク(韓国/コリアン・トップチーム)
判定2-1 (出口28-29/大藪29-28/梅木29-28)
亀井は昨年7月、透暉鷹(ときたか)とのフェザー級暫定王者決定戦で4R裸絞めで一本負けして以来の試合。ジェヒョクは12月大会でパンクラスに初参戦し、透暉鷹とのノンタイトル戦で敗れるも判定2-1となる接戦を繰り広げた。パンクラスによると、この一戦の直後、亀井はパンクラスに「次戦はパンと戦いたい」と直訴し、「判定に納得がいかないパンも試合後、早期来日を求めてきた」といい、この両者の試合が組まれた。なお、この試合決定後、ISAOがベラトールに専念するため王座を返上し、透暉鷹が正規王者に。3月26日の大会では1位の中田大貴が8位の三宅輝砂を退けている。
1R、亀井がリーチ差を活かし、序盤に左ジャブをヒットする。その後も時折左ジャブ、右ローを当てる。ジェヒョクは中盤以降は被弾は減り、パンチやバックスピンキックを返すものの、なかなか強打にはつなげられない。ジャッジ3名とも亀井につける。
2R、ジェヒョクは序盤から圧を強めパンチの回転を上げ、左フックを随所で当てると、亀井は片膝をついてしまう。だが亀井は左ジャブを当てて挽回し、右フックをヒット。ジェヒョクは左まぶたをカットし、ドクターチェックが入る。だが再開後、ジェヒョクは圧を強め、右フック、バックブロー、ハイを当て挽回する。ジャッジは割れ、2名が亀井、1名がジェヒョクを支持する。記者採点はジェヒョク。
3R、スタンドの打撃戦が続き、ジェヒョクが積極的にパンチを出して当て、亀井は右ストレート、フックを随所で的確に当てる。最後はジェヒョクがタックルで倒してバックを奪って裸絞めを狙うが時間切れに。記者採点は僅差だが亀井。合計29-28で亀井。ジャッジは割れたが、2者が亀井を支持し、亀井の判定勝ちとなった。ジェヒョクは2戦連続スプリットで敗れたが、今回もしぶとさ、強さを印象付ける試合だった。
田中路教、4年ぶり日本での試合は笹晋久に完勝
第8試合 バンタム級 5分3R
○田中路教[みちのり](チーム・アルファメール/元PXC王者)
×笹 晋久[くにひさ](パラエストラ柏)
判定3-0 (出口30-27/大藪30-27/山崎30-27)
田中は米国サクラメントの名門MMAジム・アルファメールに所属する32歳。2010年に修斗でデビューし、13年にグアムのPXCでバンタム級王座を奪取後、14~17年にUFCに上がり5戦2勝3敗。以降は1~2年間隔で4試合し、17年10月のGRANDSLAMのホジェリオ・ボントリン戦、19年3月のパンクラスのウラジミール・レオンティブ戦、21年11月のLFAのヒカルド・ディアス戦と3連勝したが、昨年8月のLFAでアリ・ファリアスに判定負けした。12月にはメキシコでコンバット柔術(掌底ありのグラップリングの試合)に出場し、米国の選手と時間切れ引き分けに終わっている。今回は4年ぶりのパンクラス出場だ。
対する笹も32歳。17~18年は修斗を主戦場とし、17年のバンタム級新人王に。1年半のブランクを経て20年3月に復帰後はDEEPに上がり3連勝した。だが21年12月のDEEPで石司晃一に3R三角絞めで逆転負けして以降、昨年5月のHEATでは春日井“寒天”たけしと引き分け、6月のGLADIATORでは竹本啓哉に判定負け。今年1月のGLADIATORのジョン・オリニド戦は、2R序盤のオリニドのローブローで続行不能になり笹の反則勝ちに終わっている。
1R、田中が開始すぐからパンチを振ってタックルを仕掛け倒す。立たれても押し込んでクリンチアッパーを連打。離れれば右ハイや右フックを当て、終始優位を維持する。ジャッジ3名とも田中につける。
2R、田中がテイクダウンを奪い、マウント、バックでパウンドを当て続け、笹を圧倒する。ジャッジ3名とも田中につける。
3R、序盤こそ笹がパンチを当てるが、タックルで倒しに行くと、田中は腹固めを仕掛けながら脱出し、上から押さえ返し、あっさり流れを引き戻す。田中は腹固めの状態やマウントからパウンドを当て続け、主導権を維持し、点差を広げ判定勝ちした。
藤野恵実、トラキナスとの4年ぶり再戦は判定負け
第7試合 女子ストロー級 5分3R
×藤野恵実(トライフォース赤坂/2位、元王者)
○エジナ・トラキナス[Edna Trakinas](ブラジル/ホシャ・トップチーム)
判定0-3 (荒牧28-29/大藪28-29/山崎28-29)
藤野は昨年3月にKARENに敗れ女子ストロー級王座から陥落したが、10月の再起戦ではAACCの渡辺彩華に判定勝ちした。
トラキナスは18年にパンクラスに初参戦しライカに判定負け。19年9月、同級暫定王者決定トーナメント1回戦で藤野と対戦したが、1Rに藤野をパンチで攻めたトラキナスが右手首を負傷し、2R開始時にドクターストップがかかり、不完全決着に終わっていた。Tapologyのデータによると、その後のトラキナスは2連勝の後、4連敗しているため、コンディションが気になるところだ。この試合は3月26日の大会で組まれていたが、トラキナスの怪我が理由で今大会にスライドしていた。
1R、スタンドの打撃戦ではお互い右ストレート等のパンチを当て、大差はない状態。だが組みになると、トラキナスが押し込む時間が長く、藤野は倒されないものの印象を悪くする。ジャッジ3名ともトラキナス。トラキナスはコンディションは問題なさそうだ。
2R、お互いパンチを当てるが、トラキナスがミドルも絡め攻撃が多くやや好印象。トラキナスが押し込む状況が続き、藤野は最後押し返すが、その先に持ち込めない。ジャッジ3名ともトラキナス。
3R、藤野は押し込むが、変わらずその先に持ち込めない状態が続く。終盤、藤野が離れてパンチを連打するが、最後はトラキナスがステップとジャブで逃げ切り終了。トラキナスが判定勝ちでリベンジを果たすと、涙を流して大喜びした。
松本光史、再起戦はキルギスの王者にKO負け
第6試合 ライト級 5分3R
×松本光史(M PLATIC/2位、元修斗世界王者)
○ヌルジャノフ・ルスタムベック[Nurzhanov Rustambek](キルギス/Salah/キルギスEFC暫定王者)
2R 1’01” KO (左フック)
※ルスタムベックは70.75kg(ライト級+450g(1ポンド))のリミットを50gオーバー。ルールでは5ポンド以内のオーバーの場合は試合が可能で、松本が同意し70.8kg契約で実施。松本は70.55kg。
松本は昨年9月の立川大会でのライト級暫定王者決定戦でアキラにTKO負けして以来約半年ぶりの試合。国際戦は18年5月のRIZINでダロン・クルックシャンクにKO負けして以来5年ぶりとなる。
ルスタムベックはMMA 21戦14勝7敗の26歳。中央アジアのキルギスで行われるMMA大会・EFCのライト級暫定王者。昨年8月のEFCの王座戦では(動画)、1Rに膝蹴りをもらい頭から出血するも、2R、対戦相手に下からギロチンチョークを仕掛けられた際に、サイドで押さえながら肩を相手の喉元に押し込むヴォンフルーチョークを極めで一本勝ちしている。
ルスタムベックはYMOの「ライディーン」で入場。1R、松本の右ローのタイミングでルスタムベックがバックスピンキックを放つが、ルスタムベックはスリップし、松本は上になる。だがルスタムベックは脱出すると、タックルから抱え上げてテイクダウンを奪い続ける。立った松本がアームロックを狙っても、ルスタムベックは松本を抱えて頭からマットに叩きつけ、パワフルな攻めで印象を残す。ジャッジ3名ともルスタムベックにつける。
2R、ルスタムベックはスタンドの打撃戦でパワフルなパンチを振るっていると、中盤、左右のフックを空振りさせてからの左フックをクリーンヒット。松本は吹き飛ぶようにしてダウンし、すぐさまレフェリーがストップした。
フライ級有川直毅、ONE出場選手にTKO勝ち
第5試合 フライ級 5分3R
○有川直毅(K-PLACE/5位)
×コルトン・キエルバサ[Colton Kielbasa](米国/Marrok Force)
2R 5’00” TKO (ドクターストップ:右ストレートによる左まぶたの負傷)
有川は昨年4月のパンクラスで上田将竜に判定負けして以来のパンクラス登場で、9月のGLADIATOR大阪大会ではGLADIATORフライ級王者のNavEに判定負けしている。
キエルバサは1月のONEフライデーファイトでタイ在住の藤沢彰博に1R裸絞めで一本勝ちしている選手。Tapologyのデータを見るとここ5試合はタイで戦っており、タイやイランの選手相手に1Rで勝利を重ねている。
1R、キエルバサがタックルで倒し、金網際で押し込む展開を繰り返し主導権を握る。有川も立って膝を当てる場面もあるが流れは変えられない。ジャッジ3者ともキエルバサにつける。
2R、有川が右ストレートを当てると、キエルバサは左まぶたから出血し腫らす。中盤、キエルバサがタックルで倒し、マウントを奪う。最後は立った有川を押し込んで終える。すると5分ジャストの扱いでドクターチェックがキエルバサに入りストップがかかり、有川のTKO勝ちとなった。
粕谷優介、ライト級王座に前進する判定勝ち
第4試合 ライト級 5分3R
○粕谷優介(CROWN/3位)
×葛西和希(マッハ道場/4位)
判定3-0 (出口29-28/大藪29-28/山崎30-27)
昨年12月の横浜武道館大会で組まれていたが、葛西の欠場で中止となっていた一戦。12月大会では葛西と同門の先輩・岡野裕城が急きょ代役を務めたが、粕谷が1R終盤に裸絞めを極め一本勝ちしており、葛西にとっては敵討ちを目指す構図となる。
1R、スタンドの打撃戦が続くが、中盤に粕谷がタックルで倒すと、以降はトップキープしパウンドを当てる。最後、マウント奪うと、腕十字を狙うが失敗する。ジャッジ3者とも粕谷につける。
2R、粕谷がサウスポーからの左ミドルを強打し続け、中盤にはタックルで倒しまたも上になる。終盤にはバックを取り、パウンドを落とし攻勢を維持する。ジャッジ3者とも粕谷につける。
3Rも粕谷がタックルで倒し、葛西のリバースも対処してトップをキープする。終盤、ようやく葛西が脱出して上になり、パウンドで挽回するが、最後は粕谷が立って左ミドルを当てて終える。最後のラウンドは取られたが、粕谷が点差を守り判定勝ちした。
松岡嵩志、ベテラン岡野裕城に完勝
第3試合 ライト級 5分3R
○松岡嵩志(パンクラスイズム横浜/5位)
×岡野裕城(マッハ道場/HEAT王者)
判定3-0 (山崎30-27/荒牧30-27/大藪30-27)
松岡は昨年4月の立川大会で冨樫健一郎に2R TKO勝ちし、9月の立川大会では雑賀 ヤン坊 達也に1R TKO負けしている。
岡野は江藤公洋、中村大介、鈴木槙吾、アキラに勝った実績があり、昨年5月、草MAXに2R裸絞めで一本勝ちしHEATライト級王座を獲得。昨年12月、マッハ道場の後輩・葛西和希の負傷欠場による代役で急きょパンクラスに初参戦したが、粕谷優介に1R終盤に裸絞めを極められ一本負けした。パンクラスに連続出場し、今回は準備万端で試合に臨む。
1R、松岡が右カーフキック、岡野が左ジャブを当てる打撃戦が続く。終盤、岡野の蹴り足をすくって松岡が右ハイを当てたり、左ボディを強打したりと、有効打でやや好印象を作る。ジャッジ3名とも松岡につける。
2R、金網際の組みの展開で、松岡がテイクダウンを奪う場面も作りやや好印象。終盤は岡野が押し込む時間が続くがその先に持ち込めない。ジャッジ3名とも松岡を支持する。
3R、序盤から松岡が左フックを当て、その後も岡野を金網に押し込み主導権を維持する。最後はバックからパウンドラッシュで終了。松岡が完勝でベテラン岡野を撃破した。
矢澤諒、ジェイク・ムラタを右フック一撃で粉砕
第2試合 バンタム級 5分3R
×ジェイク・ムラタ(パラエストラTB/ Fighting Nexus/元ZST王者)
○矢澤 諒(パンクラスイズム横浜)
1R 4’33” KO (右フック)
ムラタは21年10月の井村塁戦、昨年4月の平田丈二戦とパンクラスで2戦連続で1Rで敗れている。昨年8月のNexusで小蒼卓也判定勝ちしパンクラスに戻ってきた。矢澤は昨年のネオブラッドトーナメントでは初戦で敗退したが、漆間將生、木本海人を1Rで粉砕し、実績で上回るムラタとの一戦が組まれ、今回も1Rで結果を出すことに。
1R、ムラタが組み付いて押し込み、執拗にテイクダウンを狙うが、終盤に矢澤は突き放すと、右のオーバーハンドフックをクリーンヒット。ムラタは伸びた状態でダウンし、すぐさまレフェリーがストップ。矢澤がインパクト十分のKO勝ちを果たした。
重田ホノカ、10代デビュー戦対決を制す
第1試合 女子ストロー級 5分3R
×高本千代(高本道場)
○重田ホノカ(パラエストラ柏)
判定0-3 (大藪27-30/荒牧27-30/出口27-30)
高本は柔術IBJJFアジアマスター選手権2019優勝等の実績がありMMAのレフェリーとしても知られる高本裕和の娘で18歳。重田は柔道をベースとする19歳で、3月4日のパンクラスのアマ大会で腕十字で一本勝ち。揃ってプロデビュー戦だ。
1R、スタンドの打撃戦が続き、重田が左ストレートで高本をひるませ、高本が組んできたが、離れると打撃戦に戻る。最後、重田がテイクダウンを奪い、パウンドを連打し終える。ジャッジ3者とも重田。
2Rも重田が上からパウンドを随所で落とし優勢。だが高本も立てば左ハイ、下になればリバースしたり腕十字も狙い、反撃を狙い続け試合に動きを作る。
3R、高本は左ミドル、下からの腕十字でチャンスを作るが、重田が上からパウンドを当てるなどして印象を作り、点差を広げ判定勝ちした。両者まだ粗さはあるが、素質の高さを感じさせる戦いぶりだった。
平田樹の兄・直樹がパンクラス初登場し快勝
プレリミナリー フェザー級 5分3R
×渡辺謙明(パラエストラ東京)
○平田直樹(フリー)
1R 2’18” 肩固め
平田直樹は25歳。妹の樹と同様に柔道をベースとし、20年にDEEPでMMAデビューし3連勝したが、21年6月のDEEPで神田コウヤに判定負けし初黒星を喫した。10月の山本歩夢戦は怪我により欠場。昨年春からの「ABEMA格闘チャンネル 海外武者修行プロジェクト」で樹と共にニューヨークに渡り練習。11月のCFFCフロリダ大会ではフェザー級からバンタム級に下げて1年半ぶりに試合をしたが、米国人選手に判定負けした。今回はフェザー級に戻し、パンクラスに初参戦し、本戦前のプレリミナリー枠から再起を図る。
対戦相手の渡辺は14年からパンクラスに上がる37歳で戦績18戦7勝11敗。最近では昨年4月の立川大会で高木凌(現パンクラス・フェザー級10位)に判定負けしている。
試合は平田が圧勝する内容に。1R、開始まもなく、平田が右フックを振りながらタックルを仕掛け、テイクダウンを奪う。パスガードを狙いつつ、肩固めを仕掛け、最後は渡辺を絞め落とした。