パンクラス 12.25 横浜武道館(レポ):鶴屋怜、フライ級王者に「UFCにパンクラス代表として挑戦する」。伊藤盛一郎一本勝ち。田嶋椋がバンタム級暫定王者に。透暉鷹辛勝。KAREN完敗
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
センチャイムエタイジム錦糸町
最強のムエタイで最高の“美Body”を目指す!初心者の方、女性の方、大歓迎。見学無料!
PANCRASE 330
2022年12月25日(日)横浜武道館
レポート&写真:久保与志 試合見どころ紹介:井原芳徳
20年7月にオープンした横浜武道館ではK-1、Bigbang、BOMといった立ち技の大会が行われてきたが、MMAはパンクラスが初進出となる。場所は20年に閉館した横浜文化体育館の真裏のあたり。横文は郷野聡寛 vs. 近藤有己、鈴木みのる vs. 獣神サンダー・ライガー、北岡悟 vs. ポール・デイリー、中島太一 vs. マルシオ・セザール等、パンクラス史において大事な試合が数多く行われてきた会場だ。横浜武道館は約3,000人収容可能で、ここ10年ほどのパンクラスでは最大規模の大会となる。
鶴屋浩の次男・怜、猿飛流に2R一本勝ちしフライ級王者に「UFCにパンクラス代表として挑戦する」
第13試合 メインイベント パンクラス・フライ級チャンピオンシップ 5分5R
×猿飛流[さとる](リバーサルジム川口REDIPS/王者、ネオブラッドトーナメント2019同級優勝&MVP)※初防衛戦
○鶴屋 怜(パラエストラ松戸/1位)
2R 1’23” 裸絞め
※鶴屋が王者に
猿飛流は32歳。09年全日本アマ修斗優勝、10年DEEPフューチャーキングトーナメント優勝後、約7年のブランクを経て17年にパンクラスでMMAに復帰。復帰1年目は杉山廣平、鈴木千裕には敗れたが、19年はネオブラッドトーナメント・フライ級を制すと共にネオブラMVPも獲得。以降は年1回ペースだが勝利を重ね、荻窪祐輔、上田将竜に連勝。今年3月、小川徹の王座に挑戦すると判定0-3で勝利し、初のベルトを巻いた。
挑戦者の鶴屋は、松根良太、扇久保博正、浅倉カンナ、岡田遼、内藤のび太ら数多くのトップ選手を育てた鶴屋浩・パラエストラ千葉ネットワーク代表の次男で20歳。小学生時代からレスリングと柔術の全国大会で度々優勝し、レスリングでは高校2年時にジュニアオリンピック2位、世界大会出場を果たし、高校3年になってからは全国2位に入賞した。昨年MMAデビューしDEEPで3連勝した後、4月大会でパンクラスに初参戦し、当時フライ級3位の秋葉太樹に1R裸絞めで一本勝ち。9月大会では当時1位の上田将竜と対戦し、パウンドラッシュで1R TKO勝ちした。試合後、猿飛流をケージに呼び寄せ「12月、僕とベルトを懸けて戦いましょう」と呼びかけると、猿飛流は「お願いします」と答え、両者とも王座戦を合意した。
今回の試合決定後、鶴屋は「20年前父親がここで引退し、19年前一番弟子が初めてベルトを巻いた地。俺がやるしかないだろ」との談話を発表していた。鶴屋浩は怜の生まれた3か月後の02年9月の修斗横文大会のヴィトー・“シャオリン”・ヒベイル戦での敗戦をもってMMAを引退。松根は03年8月の修斗横文大会で大石真丈に判定勝ちし修斗世界バンタム級(60kg)王者となった。修斗の歴史、パンクラスの歴史が交差する点においても、横浜武道館大会のメインイベントとして意義深い一戦といえよう。
1R、飛びヒザ蹴りなどの奇襲を警戒するように声をかけていた猿飛流陣営のセコンドだが、鶴屋は試合開始のゴングと同時にダッシュで距離を詰めるとダブルレッグのタックルでで突っ込んでいく。これにはしっかり反応してテイクダウンを防いだ猿飛流だが、鶴屋は勢いのままに続けて投げを打って寝かせると、バックについた状態から膝十字固めのような形で猿飛流の左足を極めにいく。
猿飛流が何とかロックを外すとすかさず腕十字に切り替える鶴屋に対し、ここも猿飛流がきっちりと対応。立ち上がると強引に首投げでテイクダウンを試みる鶴屋の仕掛けを潰しながら、猿飛流がボディにヒザを入れて勢いを削いでいく。記者採点は10-9で猿飛流、オープンスコアは1者が猿飛流、2者が鶴屋につける。
2R、テイクダウン狙いではなく先に左ハイを見せた鶴屋。猿飛流が蹴りで詰めてきたところに蹴り足をキャッチしながら右フックを叩き込み、バランスを崩した猿飛流を押し倒すようにしてテイクダウンを奪う。
ダメージがあるのか反応が鈍い猿飛流に、鶴屋は体を起こして強烈なパウンドと鉄槌を連打。何とか逃れようとバックを許しながら立ち上がろうとした猿飛流に、鶴屋は追撃のパウンドからバックチョークに捉える。これが完璧に極まり、最後は猿飛流が力尽きるようにタップアウト。
プロデビューから6戦6勝、全試合がフィニッシュしての勝利というパーフェクトレコードで王座を手にした鶴屋はケージに登って雄叫びを上げて感情を爆発させた。
涙を浮かべながらベルトを腰に巻いた鶴屋は「2Rまで行ったのは想定外でしたけど……」と規格外の感想で試合内容を反省するも、「すみません、このベルトをお父さんに巻きたいんで」と師匠であり父である浩氏の肩にベルトをかけて号泣するピュアな一面も。最後は「もっともっと強くなって、これからUFCにパンクラス代表として挑戦していきたいと思ってるんで、皆さんこれからも応援よろしくお願いします」と宣言した。
フェザー級暫定王者・透暉鷹、韓国の選手に辛勝
第12試合 コーメイン フェザー級(ノンタイトル戦) 5分3R
○透暉鷹[ときたか] (ISHITSUNA MMA/暫定王者)
×パン・ジェヒョク[Bang Jaehyuk](韓国/コリアン・トップチーム)
判定2-1 (29-28/28-29/29-28)
透暉鷹は7月大会でのフェザー級暫定王者決定戦で亀井晨佑に4R裸絞めで一本勝ちし4連勝中。正規王者・ISAOは怪我の療養が続き、王座統一戦を待つ間、パンクラス久々のビッグイベントで韓国の選手を迎え撃つ。ジェヒョクはMMA 16戦10勝6敗の24歳。18~20年にNEXUSに参戦し、19年7月に西川大和にKO負け。近年は韓国の試合が中心で、昨年は4試合、今年は3試合とコンスタントに試合を重ね、8月の試合で敗れるまでは5連勝していた。
1R、左ジャブから伸びのある右ストレートを見せるジェヒョク。透暉鷹はテイクダウンを狙う仕掛けは垣間見えるが、ジェヒョクが強打を振るうとすぐにバックステップで距離を取ってしまい手数も少ない。ならばとタックルで倒しにかかるが切られてしまい、潰したジェヒョクがヒジ、ヒザを狙うと被弾したか透暉鷹は右目尻から出血してしまう。記者採点は9-10でジェヒョク、オープンスコアも3者共にジェヒョクにつける。
2R、ジェヒクはコンビネーションに変化をつけ、右アッパーから詰めての左フックをヒット。透暉鷹は左ハイからタックルと入り方を変え、バックにつきながら揺さぶりをかけるが寝技に持ち込むには至らない。ジェヒクがスタンドに戻すと左ハイ、左フックで脅かす。それでも透暉鷹はしつこく組みに行き、残り2分でタックルからバックに回り、4の字ロックで捕まえて遂にグラウンドに引きずり込む。透暉鷹はチョークからフェイスロックと極めにかかるも何とかジェヒョクが凌ぎ、残り20秒で立ち上がると透暉鷹はパンチを被弾して反撃を許してしまう。記者採点は9-10でジェヒョク、オープンスコアは2者が透暉鷹、1者がジェヒョクと割れる。
イーブン或いはジェヒョクの2ポイントリードで迎えた最終の第3R、ジェヒョクのパンチに合わせた透暉鷹のインローがかなり強く急所に入ってしまう。偶発的なローブローにより回復が待たれるが、ジェヒョクはかなり苦し気な表情を浮かべている。長い休憩を経て試合が再開され、打撃の切れは明らかに失われてしまったジェヒョクだが、透暉鷹のテイクダウンの仕掛けは執念の粘り腰で阻み続ける。しかし透暉鷹も何度立たれても折れることなくチャレンジし続け、バックからジェヒョクの左手を巻き込んだ状態で引き倒すようにして遂にテイクダウンを奪う。ハーフガードからバックについた透暉鷹はチョークを狙いつつパンチを入れてタイムアップ。
3R記者採点は10-9で透暉鷹、トータルスコアは28-29でジェヒョク。判定は2-1のスプリットデシジョンでかろうじて透暉鷹がものにしたが、薄氷を踏む内容の勝利に王者に笑顔はなかった。
雑賀“ヤン坊”達也、1R終了間際にフィニッシュし連敗脱出
第11試合 ライト級 5分3R
○雑賀“ヤン坊”達也(DOBUITA/1位、元暫定王者)
×シュウジ・ヤマウチ[Shyudi Yamauchi](ブラジル/ヤマウチチーム)
1R 4’49” TKO(レフェリーストップ:右ストレート→グラウンドパンチ)
雑賀は横須賀出身。昨年9月、林源平を1R KOし暫定ライト級王者となったが。12月大会での王座統一戦では、正規王者の久米鷹介に2R腕十字で一本負け。4月のRIZIN TRIGGERでも江藤公洋に2R TKO負けし2連敗となったが、9月のパンクラスでは松岡嵩志を1Rで粉砕した。対するヤマウチはベラトールで活躍するゴイチ・ヤマウチの従弟で31歳。日系ブラジル人で5歳まで愛知に住んでいた。MMA 20勝10敗。
1R、かなり低い体勢から左フック、左ハイと単発の強打で詰めてくるヤマウチ。雑賀は左ジャブを刺しつつ右ストレートを狙うが、ヤマウチはダブルレッグで組み付いて一気にケージに押し込む。尻餅をつかされながらも金網を背にして上体を起こし、細かいパンチをヤマウチの顎や側頭部に当てていく。押し込みながらも徐々に呼吸が荒くなってきたヤマウチに対し、雑賀はケージを上手く使って立ち上がろうとし、足を掴んでなおも組み伏せようとするヤマウチの側頭部にヒジを打ち降ろす。これを嫌ってか引き込むような形で下になったヤマウチ。雑賀は付きあわずにスタンドに戻る素振りを見せるが、ヤマウチも立ち上がった後に、雑賀が一瞬の間を置いて右ストレートで急襲する。
後退するヤマウチに左右の連打から再び右ストレートでダウンを奪うと、一気呵成にパウンドを連打して1R残り10秒を切ろうかというところでレフェリーストップを呼び込んだ。
急きょ挑戦の新鋭・田嶋椋、TSUNEを圧倒しバンタム級暫定王座奪取
第10試合 パンクラス・バンタム級暫定王者決定戦 5分5R
×TSUNE(リバーサルジム新宿Me,We/1位)
○田嶋 椋(OOTA DOJO/6位、ネオブラッドトーナメント2022同級優勝&MVP)
4R 3’13” TKO(コーナーストップ:スタンドパンチ連打)
※田嶋が暫定王者に
パンクラス・バンタム級では昨年12月にも暫定王者決定戦が行われ、中島太一が井村塁に勝利し暫定王者になった。正規王者のハファエル・シウバは今年4月の立川大会で中島と王座統一戦を行う予定だったが、膝の靭帯を損傷し復帰まで約1年かかり、37歳という年齢も考慮し引退し、中島が正規王者となっていた。防衛期限は1年のため、今大会でTSUNEとの初防衛戦が組まれていたが、中島は怪我により欠場した。
TSUNEもハファエルと同じ37歳。15年からパンクラスに上がり、18年7月から20年10月まで、瀧澤謙太、金太郎、アラン“ヒロ”ヤマニハ、春日井 寒天 たけしと、後にRIZINに上がる選手たちに4連敗。だが昨年5月から今年9月まで、鬼神光司、平田丈二、井村塁、平岡将英相手に4連勝し、初の王座挑戦につなげた。
田嶋は23歳。20年のアマチュアパンクラス全日本Aクラストーナメントで優勝し、昨年のネオブラッドトーナメントでプロデビューし一回戦は勝利したが、準決勝で風間敏臣にヒールフックで1R一本負け。だが以降は4連勝で、今年のネオブラッドトーナメントでは5月の一回戦、7月の準決勝を突破すると、10月の決勝で上田祐起に2R TKO勝ちして優勝し、全階級の優勝者の中でのMVPに選ばれていた。優勝に伴いランキング入りしたばかりだが、上位勢が既にTSUNEに負け、3位の風間はRoad To UFCに参戦のため、田嶋が暫定王者決定戦出場のチャンスを得た。
1R、田嶋の前足へのカーフでバランスを崩したTSUNEだが、今度はそのカーフに合わせて左フックをヒットさせる。さらにTSUNEは左ボディストレートで田嶋を下がらせ、左フックでフラッシュダウンを奪う。組んで追撃しようとしたTSUNEに田嶋はスクランブルに持ち込んで立ち上がると、ケージレスリングで体勢を入れ替えてテイクダウン。トップからパウンドを落として反撃する。記者採点は10-9でTSUNE。オープンスコアも3者共にTSUNEを支持する。
2R、TSUNEが左のパンチを中心に圧力をかけ続け、リーチに勝る田嶋の左ジャブも徐々にヒットを増やしていくが、TSUNEのボディショットをもらうとすぐに下がってしまい印象が悪い。このラウンドも記者採点、オープンスコアはいずれもTSUNE。
3R、TSUNEはうるさかった田嶋の左ジャブを殺すように前手で盛んに田嶋の左をはたくようにしながら左ストレートを上下に散らしていく。後手になってしまっていた田嶋はタックルでの仕掛けを増やして局面を打開しようとする。テイクダウンは許さないTSUNEだったが打撃の展開でも徐々に待ちの体勢になってしまい、金網際に押し込まれた状態から右ストレートを被弾。フラついたTSUNEに田嶋は左右のストレートを連打してダウン寸前に追いこみ、TSUNEは鼻からかなり出血している。記者採点は9-10で田嶋、オープンスコアも全て田嶋につける。
4R、インターバルで少し回復したかTSUNEが左を上下に散らして前に出る。左ボディをもらって下がってしまった田嶋だが、距離を設定し直して左ジャブを突き刺すと、再びTSUNEの出血が激しくなり動きが止まる。チャンスと見た田嶋は左右のストレートを連打して猛ラッシュ。TSUNEのタックルを切りつつパンチの雨を浴びせ続け、いつストップがかかってもおかしくない状態でTSUNEのセコンドからタオルが投入。田嶋が逆転のTKOで勝利し、暫定ながらベルトを腰に巻いた。
女子ストロー級王者・KAREN、修斗が主戦場のソルトに完敗
第9試合 女子ストロー級(ノンタイトル戦) 5分3R
×KAREN(PRAVAJRA/王者)
○ソルト(マルスジム)
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
KARENはプロ6戦全勝の19歳。3月大会で藤野恵実を肘で切り裂き4R TKO勝ちしパンクラス女子ストロー級王座を獲得。9月大会では過去5戦全て修斗で戦ってきた宝珠山[ほうしゅやま]桃花に判定勝ちした。国内の女子選手が少ないことから、最近はパンクラス・修斗・DEEPの間での女子選手の交流戦が盛んになっているが、ソルトも3戦全て修斗で戦ってきた選手でパンクラスには初参戦。戦績は1勝2敗で、167cmの高身長から繰り出される打撃が持ち味で、それを活かしKARENを苦しめることに。
開始直後は得意のサイドキック、前蹴りを放っていったKARENだが、蹴り終わりに半身になったところをソルトに右ストレートで狙われ、次第に蹴りが出なくなっていく。ソルトは蹴りを誘ってカウンターを狙いつつ圧もかけて組みからケージに押し込む。スタンドに戻り、焦れたようにKARENが突っ込んだところにソルトが右フックをヒットさせる。
2Rも徹底した戦いでKARENの武器を封じ、テイクダウンからパンチ、ヒジを落として削っていくソルト。3Rに入ってもKARENは打開の糸口が見えず、スタンドの打撃、ケージレスリング、グラウンドと全ての展開で劣勢に。最後はソルトがパンチとバックブローで前進してタイムアップ。王者としてノンタイトル戦を迎えたKARENが初参戦のソルトに完敗を喫する形となってしまった。
伊藤盛一郎、初のパンクラスで華麗な一本勝ち
第8試合 フライ級 5分3R
×上田将竜[まさたつ](G-face TEAM緒方道場/2位)
○伊藤盛一郎(リバーサルジム横浜グランドスラム/元ZSTフライ級王者)
2R 1’16” 裸絞め
上田は13年ネオブラッド・トーナメント・スーパーフライ級優勝者で、現在までパンクラスに上がり続け、ランキングに入り続けている35歳のベテラン。昨年は猿飛流、小川徹に敗れ、今年4月は有川直毅に判定勝ちしたが、9月には鶴屋怜に1R TKO負けしている。
伊藤は地元横浜在住。長年ZSTの主力選手として活躍し、RIZINにも並行して参戦。20年8月のRIZINでは神龍誠に敗れたが、同年11月のZSTでは浜本“キャット”雄大に1R TKO勝ちし、昨年10月のRIZIN横浜大会で橋本薫汰に2R裸絞めで勝利し、それ以来1年ぶりの試合となる。
1R、左フックで飛び込みケージに押し込んでテイクダウンを狙う伊藤に対し、上田は組みの攻防を凌ぎつつ入り際に左ジャブを合わせてヒットを重ねる。ジャブをもらいつつもタックル、あるいは組み付いてボディロックからテイクダウンを仕掛け続ける伊藤だが、上田がしっかりと対応してラウンドを終える。
2R開始すぐ、伊藤が上田の右ミドルをキャッチすると鮮やかに投げを決めてテイクダウンを奪う。サイドから腕十字を狙ったところで上田が動いてスクランブルになりかけるが、伊藤は素早く反応してバックにつくとバウンドを連打。向き直ろうと体を起こした上田の首元を捉えると、これが完璧に極まり上田がタップした。
大会序盤戦では田村一聖、林源平、村山暁洋、新居すぐる、粕谷優介、井村塁、ジェニー・ファンが勝利
第7試合 フェザー級 5分3R
○田村一聖(IJC/5位、元王者)
×Ryo(RINGS/6位、THE OUTSIDER 75-70kg王者)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)
UFC出場経験もある田村は近年、アキラや中田大貴にKO負けしていたが、今年は4月大会で三宅輝砂に判定勝ちしている。08年にプロデビューした田村も今や38歳。対するRyoは37歳だがTHE OUTSIDERでの活躍期が長く、プロデビューは2年前。当初は現フェザー級暫定王者の透暉鷹ら相手に3連勝したが、最近は中田大貴、岩本達彦、遠藤来生相手に3連敗と苦しんでいる。
1Rから田村がプレスをかけつつ右インローを太腿、カーフと蹴り分けてRyoは再三バランスを崩される。田村はそこから左右のフックを狙い、意識が下に向いたRyoに右ミドルもヒット。2Rも田村がインローを軸に顔面へのパンチや右ミドルも当て、Ryoのテイクダウンを潰してトップポジションを奪うなど優勢を保ち、最終回にRyoがギロチンチョークで逆転の一本を狙うも極めには至らず。田村がフルマークの判定で完勝した。
第6試合 ウェルター級 5分3R
×押忍マン洸太(DESTINY JIU-JITSU/3位)
○林 源平(和術慧舟會Iggy Hands Gym/4位)
1R 3’33” TKO(レフェリーストップ:右フック→グラウンドパンチ)
押忍マンは19年全日本アマ修斗ミドル級優勝者で、20年12月のパンクラスでのデビュー後は2連敗したが、その後は3連続フィニッシュ勝利と勢いに乗る。9月大会では4位の髙橋攻誠を1R左フックでKOしランキング入りを確定されると「ベルト欲しいです。チャンスください」とアピールした。林はライト級で戦っていたが、同じ大会の試合からウェルター級に上げ、ベテランの中村勇太に判定勝ちしウェルター級ランク入りした。
押忍マンがジャブ、ローで先手を取って試合を組み立てていくが、林も距離が詰まると左右の強打を振るって応戦する。押忍マンは徐々に圧力を強め、プッシングも交えながら右ストレートで林を金網際に追い込む。林は被弾しながらも右フックをヒットすると押忍マンがダウン。追撃のパウンドを浴びせたところでレフェリーが試合をストップして逆転のTKO勝利を挙げた。
第5試合 ウェルター級 5分3R
○村山暁洋(暁道場/2位、元王者)
×長岡弘樹(DOBIITA/元GRAND王者)
判定3-0 (29-28/29-28/29-28)
両者とも1980年3月生まれの42歳、MMAプロ約20年のベテラン。村山は修斗で活躍後、12年からパンクラスを主戦場とし、16年にウェルター級王者になるが、同年に初防衛に失敗。昨年10月のウェルター級暫定王者決定戦で菊入正行に判定負けし、今年4月に木下憂朔に1R TKO負けし2連敗中。その後、菊入はベラトール、木下はUFCと契約し、米国メジャー団体への踏み台とされ続けている。
長岡は今大会の地元神奈川在住。01年にパンクラスでプロデビューし、02年9月の横浜文化体育館大会でのウェルター級王座決定戦では國奥麒樹真に3R一本負け。DEEP、ケージフォースでの戦いを経て、10~16年にパンクラスに戻っていたが、17年からはGRACHANを主戦場にしていた。昨年6月には桜井隆多に勝利しGRANDウェルター級王座を獲得したが、今年5月の初防衛戦では川中孝浩に判定負けした。
1Rからテイクダウンを狙う長岡と、それをディフェンスしつつ細かい打撃で削りにかかる村山の我慢比べのような展開が続く。1Rを村山、2Rを長岡が取った状態で迎えた勝負の3R、パンチで前に出る村山が押し込み残り1分でテイクダウンに成功すると、さらにバックチョークを狙うなど攻勢を印象付けて接戦を制した。
第4試合 フェザー級 5分3R
×高木 凌(パラエストラ八王子/9位)
○新居すぐる(HI ROLLERS ENTERTAINMENT)
1R 1’14” アームロック
パラエストラ八王子の注目株の高木は、昨年9月のプロデビュー後4連勝でうち3試合がKO勝ち。7月大会では林優作をわずか52秒でKOしインパクトを残した。新居も7月大会でハンセン玲雄にアームロックで一本勝ちし、今回も一本を見せる。
新居がタックルからバックについて倒すと目まぐるしいスクランブルの展開に。両者激しく動き回りながらも新居は高木の左手をロックして逃がさず、アームロックをセットアップすると一気に極めて鮮やかな一本で試合を決めた。
第3試合 ライト級 5分3R
×岡野裕城(マッハ道場/HEAT王者)
○粕谷優介(CROWN/8位)
1R 4’47” 裸絞め
ライト級4位の葛西和希が肋骨の骨折により欠場し、代わって同門の先輩・岡野裕城が出場した。岡野は08年にプロデビューし、11年に修斗で新人王となり、12~15年はDEEPで、16~19年に修斗で活躍。DEEPでは北岡悟に、修斗では松本光史にライト級王座獲得を阻まれた。だが江藤公洋、中村大介、鈴木槙吾、アキラからは勝利。昨年からHEATに上がり、今年5月大会では草MAXに2R裸絞めで一本勝ちしてHEATライト級王座を獲得し、今回は急きょの形でパンクラスに初参戦した。
1R、立ち上がりからしつこくテイクダウンを狙う粕谷が、グラウンドには持ち込めないも有利なポジションをキープしてプレッシャーをかけていく。終盤に初めてテイクダウンを奪うと、立ち上がろうとした岡野のバックについてチョークの体勢に。最後は岡野が落ちたところでレフェリーが試合をストップした。
第2試合 バンタム級 5分3R
○井村 塁(Nexusense/2位、ネオブラッドトーナメント2020同級優勝・MVP)
×佐久間健太(パラエストラ柏)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)
井村はデビューから6連勝後、昨年12月に中島太一に、今年4月にTSUNEに敗れ、ベテラン相手に2連敗したが、9月大会では平田丈二に2R裸絞めで一本勝ちした。23歳の井村に対し佐久間は35歳。11年に修斗でデビューし、16年からパンクラスに主戦場を移しハルク大城、瀧澤謙太、福島秀和に3連勝したが、17年12月に藤井伸樹に判定負けして以降試合から遠ざかり、なんと5年ぶりに現役復帰する。
井村が1Rからテイクダウン&パウンドで佐久間に強打を振るう機会をほとんど与えず、グラウンドになるとバックから4の字ロックで固定して削り続ける。3Rにようやく佐久間の右フックがヒットして井村が一瞬グラつく場面もあったが、すぐにカウンターのタックルを決めて流れを切ると、そのままグランドをキープして判定で勝利した。
第1試合 女子アトム級 5分3R
×沙弥子(リバーサルジム横浜グランドスラム/1位)
○ジェニー・ファン[Zenny Huang](台湾/AACC)
2R 2’17” 裸絞め
沙弥子は9月大会で3年ぶりに復帰し、修斗を主戦場としてきた原田よきを1R払い腰で倒すと、アームロックを極め快勝。復帰2戦目の相手・ファンはパンクラス初参戦の31歳でMMA戦績10戦5勝5敗。沙弥子同様に柔道をベースとし、15年にMMAデビューし、19年10月のONE両国大会でV.V Meiに判定負けしている。現在は浜崎朱加ら女子の強豪の揃う名門・AACCで練習している。パンクラスでは来年、47.6kgの女子アトム級での王座を新設予定で、その前哨戦にもなる。
1R、詰めてからの右ストレートを狙う沙弥子だが、ファンはローを散らしつつスイッチしての左フックをタイミング良く当てて中に入らせない。2Rになるとファンのプレッシャーが強まり、左右のパンチでダウン気味に尻餅をついた沙弥子を追撃すると、最後は立ち上がった沙弥子にバックチョークを極めて一本勝ちを収めた。
~内村洋次郎 引退式~
【プレリミナリーファイト】
第4試合 フェザー級 5分3R
×加藤泰貴(RODEO STYLE)
○倉本拓也(志村道場)
1R 1’16” TKO
第3試合 バンタム級 5分3R
○矢澤 諒(パンクラスイズム横浜)
×木本海人(CAVE)
1R 0’15” TKO
第2試合 57.7kg契約 5分3R
○水戸邉荘大(TRIBE TOKYO MMA)
×金澤臣人(リバーサルジム横浜グランドスラム)
2R 3’23” 裸絞め
※水戸邉が公式計量でフライ級+0.45kg(1ポンド)の57.15kg契約を0.55kgオーバー。ルール上試合可能な5ポンド以内な上、金澤が試合を承諾したため、57.7kg契約で試合を実施。
第1試合 JMMAF認定アマチュアパンクラス バンタム級 3分3R
○山口怜臣[れお](タイガームエタイ/ALIVE/IMMAF世界ジュニア選手権2018・2019準優勝)
×岡田嵐志(リバーサルジム新宿Me,We/2022年アマチュアMMA全日本選手権同級優勝)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)