パンクラス 4.29 立川ステージガーデン(レポ):鶴屋怜、ピンチしのぎ1R一本勝ちしフライ級王座挑戦表明。木下憂朔、元王者を飛び膝で1R KOし夏のウェルター級タイトル戦熱望
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PANCRASE 327
2022年4月29日(金/祝) 東京・立川ステージガーデン
レポート&写真:井原芳徳
第2部
第5試合 メインイベント ウェルター級 5分3R
○木下憂朔[ゆうさく](パンクラス大阪稲垣組/1位)
×村山暁洋(GUTSMAN/2位、元王者、元修斗環太平洋同級王者)
1R 1’48” KO (左飛び膝蹴り)
木下はアマチュアパンクラス等を経て20年4月にプロデビューし、4試合とも1Rフィニッシュで勝利。昨年9月大会では1Rギロチンで一本勝ち。11月のRIZIN TRIGGERではDEEPウェルター級王者・住村竜市朗と対戦。2Rにパンチの連打でダウンを奪うが、金網をつかみながら何度も顔面を踏みつける反則を犯し、TKO勝ちから反則負けに裁定が覆った。
対する村山は21歳の木下の2倍の年齢の42歳。03年にプロデビューし戦績42戦22勝11敗9分のベテラン。昨年10月大会での菊入正行との暫定王者決定戦ではジャッジ3者とも50-45とつける完敗に終わっている。
1R、開始すぐから村山がパンチを振りながら詰めてタックルを仕掛け、テイクダウンを奪うと、すぐさまバックを取る。だが木下は落ち着いた様子の表情で、村山の腕を抱えて防御すると、体をひねって脱出に成功し、スタンドに戻す。
すると木下はパンチを振るって前に出て村山を下がらせると、左の飛び膝を村山にクリーンヒット。村山がダウンし、パウンドをまとめたところでレフェリーがストップした。
快勝の木下は「俺が目指しているのはUFCです」「今日は鶴屋選手とかいろんな若手出ましたけど、僕が一番弱いんで、僕が日本のMMA引っ張って世界強豪とやります」と話しつつ「ここに満杯入れて、8月、菊入選手、タイトルマッチやりましょう」「9月、立川、2階3階入れて、メインでやりましょう」と、夏の暫定王者・菊入への挑戦を熱望した。
第4試合 コーメインイベント フライ級 5分3R
×秋葉太樹(フリー/3位)
○鶴屋 怜(パラエストラ松戸)
1R 3’42” 裸絞め
パンクラス・フライ級では昨年、暫定王者決定トーナメントが行われ、5月の一回戦で小川徹が秋葉に判定勝ち、猿飛流が上田に判定勝ちした。だが猿飛流が負傷し決勝を辞退し、小川が不戦敗で暫定王者に。10月の初防衛戦では小川が上田に判定勝ちした。正規王者・仙三が1月にベルトを返上。小川が正規王者に認定され、幻となった猿飛流との暫定王者決定トーナメント決勝を3月に防衛戦に枠組を変えて行うが、猿飛流が勝利し王者となった。
秋葉×鶴屋は混とんとしたパンクラス・フライ級戦線の今後を左右する大事な一戦。秋葉は15年からパンクラスに上がりMMA 22戦11勝10敗1分と経験豊富な32歳。昨年5月に小川に敗れたが、2Rにはパンチでダウンさせ、あわやという場面を作った。12月大会では聡-S DATEと戦う予定だったが、秋葉は靭帯損傷により欠場していた。
対するパラエストラ千葉ネットワーク・鶴屋浩代表の次男・怜はMMA 4戦全勝(2KO/1一本/1不戦勝)で、あの堀口恭司も次世代のスター候補として注目する選手。同門の仙三がパンクラス王座を返上し、DEEPでは同門の杉山廣平とベルトを争う状況となることから、パンクラスに戦場を移した。国内のベルトをステップにしてのUFC参戦を目指しており、3月には米国の大手マネジメント会社・イリディアム・スポーツと契約を結んだ。試合前の映像でも「無敗のままUFCに行って、無敗のままチャンピオンになります」と豪語する。
1R、開始すぐから鶴屋は距離を詰めてタックルを仕掛け、金網際でテイクダウンを狙う。だが秋葉は脱出してオンブになると、下に落ちながら腕十字を仕掛ける。鶴屋は腕のクラッチを切られたが、素早く動いて防御し脱出する。
鶴屋はマウント、バックマウントと動き、裸絞めを狙い一気に反撃する。一瞬極まりかけたが秋葉は防御し、体を向き直して上になる。だが鶴屋は下からギロチンを狙いつつ、動いた秋葉をそのままリバースに成功する。これも秋葉は下から蹴って脱出。目まぐるしく動く攻防に場内は沸く。
しかし秋葉の見せ場はここまで。鶴屋は休むことなく、すぐさま片足タックルを仕掛けると、テイクダウンを奪いながらバックをすぐに取り、今度はガッチリと裸絞めを極めてタップを奪った。
勝利者インタビューで鶴屋は「思ったより強くて苦戦しましたけど、一本取れて良かったです。1Rで勝ったのでタイトルマッチ挑戦させてください」とアピールした。
第3試合 バンタム級 5分3R
×井村 塁(Nexusense/2位、ネオブラッドトーナメント2020優勝・MVP)
○TSUNE(リバーサルジム新宿Me,We/7位)
判定0-3 (出口27-30/太田27-30/荒牧27-30)
井村はプロ6連勝後、12月大会でのバンタム級暫定王者決定戦に抜擢されたが、中島太一に2R TKO負けして以来の試合。今大会は所属先のNexusenseの地元・立川での開催だ。TSUNEは15年からパンクラスに上がる36歳のベテラン。18~20年には瀧澤謙太、金太郎、アラン“ヒロ”ヤマニハ、春日井 寒天 たけしといった、近年RIZINで名を上げた選手たちにに敗れているが、昨年は鬼神光司、平田丈二相手に連勝している。
1R、序盤のパンチの打ち合いで、TSUNEの左フックで井村がひるみ、再び左を当ててダウンさせる。井村は鼻血を出す。TSUNEはパウンドを連打してからトップキープし、井村の下からの三角を潰し、最後もパウンドをまとめる。
2R、井村は最初からタックルを仕掛けて倒すが、TSUNEは金網を背にして座りつつ、左の肘を連打する。井村は背中をつけさせたいが、なかなかできずにいると、終盤にTSUNEが返して上になる。井村は下から三角絞めを狙うが、TSUNEが防御し、またもパウンドをまとめ終える。
3R、井村はタックルを仕掛けるが力が入りきらず、TSUNEは切って潰して上をキープする。井村は足を登らせようとしたりリバースやギロチンを狙うが、TSUNEはトップをキープし、時折パウンドを当て優位を維持する。ジャッジは3者とも順当に27-30でTSUNEを支持。先手を取ったTSUNEがペースを握り続け完勝した。
第2試合 パンクラス・フェザー級王座挑戦者決定トーナメント決勝 5分3R
×岩本達彦(BLOWS/2位、ネオブラッドトーナメント2020同級優勝)
○透暉鷹[ときたか](ISHITSUNA MMA/3位、修斗2019同級新人王)
1R 4’30” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
フェザー級王者・ISAOへの挑戦者を決める4選手参加のトーナメントは、一回戦2試合が3月21日のベルサール高田馬場大会で行われ、今回が決勝だが約1か月間隔の連戦に。選手のコンディションを心配する声も少なくなかったが、中田大貴との激しい打ち合いの末に判定勝ちした1位の亀井晨佑は、安全面を考慮し主催者判断で出場見送りに。亀井に代わって3月大会でのリザーブファイトで名田英平に勝利した透暉鷹が決勝に進出した。
透暉鷹はこのチャンスを見事ものにすることに。1R、岩本の左ジャブが当たりだしたが、透暉鷹がタックルを仕掛け、倒して金網際でサイドで押さえ続ける。すると終盤、岩本が右のパウンドをヒット。重みのある連打を着実に当て続けると、岩本の動きが止まり、レフェリーがストップした。
第1試合 73kg契約 5分3R
○近藤有己(パンクラスイズム横浜/元ミドル級・ライトヘビー級・無差別級王者)
×鈴木一史(リバーサルジム新宿Me,We/WARDOG王者)
判定3-0 (出口29-28/大藪29-28/山崎29-28)
元々ライト級での試合を予定していたが、近藤の減量苦で73kg契約に変更となった。1R、鈴木がタックルを仕掛け、倒して金網際で上になる。近藤はスタンドに戻すと、中盤過ぎに右フックを当ててダウンを奪い、鉄槌で追い詰める。
2R、鈴木がタックルでのテイクダウンを繰り返し、最後はパウンドをまとめ好印象で終える。
五分で迎えた3R、鈴木が押し込みを繰り返すが、中盤、近藤が倒すと、上をキープして終える。鈴木はアームロックを狙い続けるが極めには至らない。結局、近藤が最後のラウンドにポイントを取り判定勝ちした。
第1部
第6試合 メインイベント フライ級 5分3R
○上田将竜[まさたつ](G-face TEAM緒方道場/1位)
×有川直毅(K-PLACE/4位)
判定2-1 (大藪28-29/太田29-28/山崎29-28)
上田は暫定王座戦で小川に敗れて以来の試合。有川は17年にZSTでデビューし、19年からパンクラスに上がり、20年7月に杉山廣平に敗れた以外はパンクラスで4勝し、昨年は現6位の山中憲次に勝利。1月23日のGLADIATOR大阪大会のメインイベントでは藤田健吾に判定勝ちしている。
1R、スタンドでお互いパンチを狙う状態が続く。有川は時折右のカーフックを当てる。中盤に上田が有川を金網に押し込みむが膠着する。終盤、離れると打撃戦の後、再び上田が押し込んで終える。ジャッジ3名とも有川を支持する。
2R、有川が上田のタックルを切りつつ、パンチ、右カーフを当て、やや優位だったが、中盤から上田の左ジャブ、右ストレート、右ハイのヒットが増え、時折上田がバランスを崩す。ジャッジ3者とも上田を支持する。
3R、スタンド勝負が続き、上田が左ジャブ、右ストレート、有川が右のカーフを当てるが、均衡状態が続く。終盤、上田が押し込むが倒せず。最後は打撃戦に戻るが差はつかず終了する。ジャッジは割れ、2者が上田を支持し上田の判定勝ちとなった。
第5試合 コーメインイベント ライト級 5分3R
○松岡嵩志(パンクラスイズム横浜/8位)
×冨樫健一郎(パラエストラ広島/元1位)
2R 1’35” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
松岡は12月大会で元修斗世界王者の松本光史にTKO負けし、連勝が3でストップ。冨樫は現在41歳。林源平、金田一孝介相手に惜敗が続き、16カ月ぶりのパンクラスで再浮上を図る。
1R、サウスポーの冨樫に、松岡が右のインローを連打してから、右フックを当ててダウンを奪う。松岡はパウンドのラッシュでフィニッシュ寸前まで追い詰めるが冨樫は耐える。松岡はハーフで押さえ続け、マウントも取りつつパウンドを何発も当てる。冨樫は防戦一方でダメージが心配だが、島村レフェリーは試合を止めず、セコンドも止めようとしない。ジャッジ3者とも10-8で松岡につける。
2R、パンチの打ち合いで両者当て、冨樫が押し込んでから膠着ブレイク。冨樫は1Rから左右のまぶたが腫れており、ようやくここでドクターチェックが入る。それでもドクターも止めようとせず、試合は続行。冨樫も左ストレートを当てるが、松岡が右と左の連打でダウンを奪い、パウンドをまとめたところで、ようやくレフェリーが試合をストップした。
第4試合 ライト級 5分3R
×平 信一(綱島柔術/ZST/9位、ZST王者)
○粕谷優介(CROWN)
2R 2’40” 裸絞め
1R、開始すぐから粕谷がタックルで倒し、ハーフで押さえ続けパウンドを当てる。中盤にはバックを奪い、裸絞めを再三狙って追い詰める。平も背後に右のパウンドを当てて抵抗するが、粕谷はその腕をつかんで腕十字を狙う。最後は粕谷が足関を狙って、主導権を維持する。
2Rも粕谷が開始すぐからタックルでテイクダウンに成功しトップキープする。またもハーフ、バックと動き、今度は裸絞めをガッチリと極めタップを奪取。粕谷の完勝だった。
第3試合 フェザー級 5分3R
○田村一聖(IJC/6位、元王者)
×三宅輝砂[きさ](ZOOMER/9位、ネオブラッドトーナメント2021同級優勝)
判定3-0 (出口29-28/太田29-28/梅木29-28)
田村は20年10月のアキラ戦、昨年5月の中田大貴戦と2連続KO負け中。三宅は田村より15cm高い身長180cmの22歳。昨年5月のネオブラッド・トーナメント・ライト級で2勝し優勝したが、9月の亀井晨佑戦では判定1-2で惜敗している。
田村のセコンドにはロータス世田谷の八隅考平代表がつき、客席ではKRAZY BEE時代の後輩・矢地祐介が声援を送る。1R、三宅が開始すぐから飛び膝の奇襲を仕掛ける。当たらなかったが、すぐに田村のバックマウントを取り、腕十字を狙う。田村は防御し、下に落として上になり押さえ続け、時折パウンドを落とし、主導権を維持する。
2R、田村が三宅を金網に押し込み続け、両脇を差して倒してトップキープし攻勢。三宅も押さえつけられながら細かく田村を叩くが、脱出にはつなげられない。
3R、田村がタックルで倒して上になるが、三宅は脱出すると、パンチを効かせ、田村のタックルを潰しバックマウントを取る。三宅は裸絞めを狙い、パウンドを当て反撃するが時間切れに。田村が最後は逃げ切る形で久々の勝利をもぎ取った。
第2試合 バンタム級 5分3R
○平田丈二(闇愚羅)
×ジェイク・ムラタ(パラエストラTB/Fighting Nexus/元ZST王者)
1R 4’57” TKO (レフェリーストップ:左アッパー→グラウンドパンチ)
第1試合 フライ級 5分3R
―谷村泰嘉(パラエストラ八王子/7位)
―大塚智貴(CAVE/ストロー級7位、ネオブラッドトーナメント2021ストロー級優勝)
中止 (谷村の体調不良)
プレリミナリーファイト フェザー級 5分3R
○工藤修久(禅道会小金井道場)
×平田純一(デラヒーバジャパン宇都宮)※DAMM FIGHT JAPANから所属変更
判定3-0 (29-28/30-27/29-28)
第3部:ポストリミナリー
第3試合 2022年ネオブラッドトーナメント・ストロー級1回戦 5分3
○江崎 壽[ひさし](ALMA FIGHT GYM BASE)
×大和田光太郎(パラエストラ八王子)
判定3-0 (29-28/29-28/29-28)
第2試合 ミドル級 5分3R
○押忍マン洸太(DESTINY JIU-JITSU)
×佐藤龍汰朗(エクストリーム柔術アカデミー)
1R 3’10” KO (右フック)
第1試合 フェザー級 5分3R
×渡辺謙明(パラエストラ東京)
○高木 凌(パラエストラ八王子)
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)