パンクラス 9.11 立川ステージガーデン(レポ):アキラ、松本光史を返り討ちしライト級暫定王者に。鶴屋怜&TSUNEが1Rで快勝、12.25 横浜武道館での猿飛流×鶴屋、中島太一×TSUNEのダブル王座戦内定
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PANCRASE 329
2022年9月11日(日) 東京・立川ステージガーデン
レポート:井原芳徳
アキラ、松本光史を返り討ちしライト級暫定王者に
第11試合 メインイベント パンクラス・ライト級暫定王者決定戦 5分5R
×松本光史(M PLATIC/2位、元修斗世界王者)
○アキラ(武蔵村山さいとうクリニック/&mosh)
3R 1’25” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
※アキラが暫定王者に
正規王者・久米鷹介は昨年12月、暫定王者・雑賀 ヤン坊 達也との王座統一戦で勝利し、3度目の防衛を果たした。だが怪我により規定の1年以内の防衛戦ができるか不透明になったことから、2位の松本と昨年5月に松本にTKO勝ちしているアキラによる暫定王者決定戦が組まれた。
松本とアキラは今回が3度目の対戦。11年4月の修斗での初対決は引き分け。昨年の2度目の対戦では、アキラがポイント優位で迎えた3R、アキラが右ストレートで松本をダウンさせてからのパウンドでTKO勝ちしたが、ダウン直前にバッティングがあり、松本がダメージを気にする場面も見られた。
松本はその敗戦後、12月に松岡嵩志に1R KO勝ちし、3月には葛西和希に判定勝ちしランクアップ。アキラは松本戦以降1年以上パンクラスに上がっていないため、7月20日付の最新ランキングで規定により圏外となったばかりだが、RIZINで3試合し、DEEPウェルター級王者の阿部大治に一本勝ち、鈴木琢仁に判定勝ち、DEEPライト級王者の大原樹理に判定1-2で惜敗し、パンクラスの王座戦にふさわしい実力を示してきた。
1R、開始すぐから松本が詰めて来るが、サウスポーのアキラに右のインローを放つと、アキラは左手で蹴り足をすくって倒し、ハーフガードで押さえる。アキラは立ちながら松本を金網に押さえつけギロチンを狙う。松本が立てばパンチをまとめる。離れると、今度は松本がタックルを繰り返し仕掛けるが、アキラは切り続ける。終盤、お互いパンチを振うが、終了間際にアキラが左手で押し倒し、サイドで押さえ、上四方に回って終える。記者採点もジャッジはアキラ。5R制だが、両者とも序盤から飛ばしている感がある。
2R、お互い前手を突きつつ逆手のパンチを狙い続ける展開。アキラは左ハイも時折出すがやや遠く空振りが続く。なかなか均衡は崩れないものの、アキラの積極性がやや目立つ。記者採点はアキラ。ジャッジは割れ、2名がアキラ、1名がジャブを時折当てていた松本につける。
3Rも同じような打撃戦が続き、なかなか均衡は崩れないが、突如フィニッシュが訪れる。1分過ぎ、アキラが左ハイを松本の腕に当てると、松本は足をすくう。アキラは回って足を引き抜いて、背中を見せて離れ、正面を向くと、松本が前に詰めて来るが、アキラは左のスーパーマンパンチを松本のアゴにヒット。松本は横に倒れてダウンし、アキラが鉄槌を連打したところで梅田レフェリーがストップ。アキラが見事フィニッシュして返り討ちを果たすと、セコンドの石渡伸太郎トレーナーと抱き合って大喜びした。暫定王者となったアキラは「まだ正規じゃないので、ここからもっと頑張ります」と話した。
鶴屋怜、フライ級1位の上田将竜を1Rで粉砕。12.25 横浜武道館で王者・猿飛流に挑戦へ
第10試合 コーメインイベント フライ級 5分3R
×上田将竜[まさたつ](G-face TEAM緒方道場/1位)
○鶴屋 怜(パラエストラ松戸/3位)
1R 2’33” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
パラエストラ千葉ネットワーク・鶴屋浩代表の次男・怜は、昨年MMAデビューしDEEPで4連勝し、4月の立川大会でパンクラスに初参戦し、当時フライ級3位で20戦以上のキャリアのある秋葉太樹に1R裸絞めで一本勝ち。パンクラスのベルト奪取後はUFC参戦を目標に掲げており、1位の上田戦で勝てば3戦目で王座戦となる可能性が高い。
上田は13年からパンクラスに上がり、19年に翔兵とのフライ級暫定王者決定戦でTKO負けし、昨年10月に当時暫定王者の小川徹に挑戦するも判定負けしている。4月大会では4位の有川直毅に判定勝ちし1位の位置をキープしている。なお、小川はその後、正規王者となったが、3月大会で猿飛流(さとる)に敗れ、王座が移動している。
1R、鶴屋がサウスポーでプレッシャーをかけ、右フックを振ってから胴タックルで押し込み、抱え上げつつ倒す。上田は立とうとしつつ、背後から押さえる鶴屋の右腕を抱え、アームロックを狙う。上田は回転して極めの形に持ち込もうとするが、鶴屋は対処して動きつつ、左手でパウンドをコツコツと当てる。そして上田の腕を振りほどくと、右手を上田の首元に入れ裸絞めを狙う。だが固執せず、すぐ外してパウンドに切り替えて右を連打。少しでも上田が弱ると、さらに連打の速度を上げ、最後は左のパウンドを当て続け、上田の動きが止まったところで小池レフェリーがストップした。
1位相手に完勝の鶴屋は「長い試合になるかもしれないと思っていたんですけど、1Rで勝てて良かったです」と話すと「猿飛流選手、いますか」と続け、猿飛流もケージイン。鶴屋が「12月(25日の横浜武道館大会で)僕とベルトを懸けて戦いましょう」と呼びかけると、猿飛流は「お願いします」と答え、鶴屋は「クリスマスなんですけど僕の試合見に来てください」と観客に呼びかけた。パンクラスは12月25日に約3,000人収容の横浜武道館で大会を開催することを、立川大会の2日前に発表していた。
KAREN、ノンタイトル戦で判定勝ち
第9試合 女子ストロー級(ノンタイトル戦) 5分3R
○KAREN(PRAVAJRA/王者)
×宝珠山[ほうしゅやま]桃花(赤崎道場A-SPIRIT)
判定3-0 (大藪30-27/出口30-27/梅木29-28)
KARENは3月大会で藤野恵実を肘で切り裂き4R TKO勝ちし、プロ5戦全勝・18歳で女子ストロー級王座を獲得した。宝珠山は昨年5月のプロデビューから5戦全て修斗で戦い2勝3敗。今年1月には黒部三奈戦を経験し判定負け。最近では7月3日の修斗大阪大会で渡邊富紀恵に判定負けしている。戦績では負け越しているものの、試合経験ではKARENに負けず劣らずで、快進撃を続けるKARENとはいえ油断できない相手となるだろう。
1R、KARENはサウスポーで構えて距離を取り、右のサイドキックを放ち続ける。中盤、KARENが左ミドルを当てた後、宝珠山は前に出たが、KARENも前に出たことでスリップし、宝珠山はKARENを金網に押し込む。終盤になっても押し込み続けるが倒せず、KARENは時折肘と膝を軽く当てる。記者採点は打撃でKAREN。ジャッジ3者もKAREN。
2Rも宝珠山が押し込むが、KARENは耐え続けると、中盤にKARENが押し返し、倒して上に。するとすぐにマウントを奪い、左肘を連打してから、バックマウントに移行。裸絞めを狙うが、宝珠山は防御する。記者採点もジャッジもKAREN。
3R、逆転を狙う宝珠山はプレッシャーをかけ続け、随所で右のパンチをヒット。中盤、KARENを追いかけ続けていたが、またも金網に押し込んでから、KARENに押し返され、流れを寸断される。KARENは2Rを再現するように、またも倒すとすぐマウントを奪い、左肘を連打してからバックを取る。パウンドを連打するが、崩れてしまい、宝珠山が立ち上がって押し込んで終える。記者採点はKAREN。合計30-27でKAREN。ジャッジ3者もKARENを支持し、KARENが判定勝ちした。
雑賀“ヤン坊”達也と井村塁が連敗脱出
第8試合 ライト級 5分3R
○雑賀[さいか]“ヤン坊”達也(DOBUITA/4位、元暫定王者)
×松岡嵩志 (パンクラスイズム横浜/5位)
1R 1’36” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
雑賀は昨年9月、林源平を1R KOし、3連続1R KO勝ちで暫定ライト級王者となった。12月大会での王座統一戦では、正規王者の久米鷹介を1R右アッパーでダウンさせたが、以降は寝技に苦しみ2R腕十字で一本負け。4月のRIZIN TRIGGERでも江藤公洋に2R TKO負けし2連敗中だ。対する松岡は同じ大会で松本光史に1R TKO負けしたが、4月大会では冨樫健一郎に2R TKO勝ちしている。
1R、体格で勝る雑賀がプレッシャーをかけ、左インローを当て続けるが、松岡は詰めて雑賀を金網に押し込む。雑賀は突き放すと、松岡は前に出て右ストレート、右ローをヒットする。だが雑賀は前に出返すと、左の前手を前に振り続けて距離を取ってから、前進してきた松岡にカウンターの右のショートフックをヒット。それでも前に来た松岡のアゴ先を右ストレートで打ち抜くと、松岡は前のめりでダウンし、亀になった松岡の上から雑賀がパウンドを連打したところでレフェリーがストップした。
勝利者インタビューでアナウンサーから「連敗からの脱出ですがいかがですか」と聞かれた雑賀は「滅茶苦茶うれしいです」と話しながら涙ぐんだ。
第7試合 バンタム級 5分3R
○井村 塁(Nexusense/3位、ネオブラッドトーナメント2020同級優勝・MVP)
×平田丈二(闇愚羅/6位)
2R 2’38” 裸絞め
井村はデビューから6連勝後、昨年12月に中島太一に、今年4月にTSUNEに敗れ、ベテラン相手に2連敗中。平田も昨年9月にTSUNEに敗れたが、4月大会ではジェイク・ムラタを1Rで粉砕している。
1R、サウスポーの平田に対し、井村が片足タックルを仕掛け、金網に押し込む。平田は突き放すが、長身の井村がプレッシャーをかけ、右ミドルのヒットを少しずつ増やす。最後も押し込んで終える。
2Rも井村が胴タックルから押し込む。平田は突き放すが、井村はプレッシャーをかけ続け、左ジャブのフェイントから右ストレートを当てる。そこから押し込むと、脇を差して少し抱え上げてからテイクダウンに成功する。平田が金網を背に座る状態で、井村はマウントポジションを取ると、立ちたい平田の背後に回り込み、足4の字で捕獲してから、裸絞めを極めタップを奪った。
完勝で連敗脱出の井村は「ホッとしています」「前回(地元の)立川で負けたんで、また立川で勝てて良かったです」と話した。
バンタム級2位のTSUNE、一本勝ちで4連勝。暫定王者・中島太一が挑戦を受諾
第6試合 バンタム級 5分3R
○TSUNE(リバーサルジム新宿Me,We/2位)
×平岡将英(KRAZY BEE/ネオブラッドトーナメント2019同級優勝)
1R 2’49” 裸絞め
TSUNEは4月の立川大会で新鋭・井村塁に判定勝ちし3連勝中。平岡は21年5月に井村に1R TKO負けして以来の試合。
1R、両者サウスポーで構え、お見合いが続いた後、TSUNEがタックルを仕掛け、金網際で押し込んでコントロールを続け、膝立ちの平岡のバックも狙う。すると中盤、立ち際の平岡のバックを取りつつ、首に手を回すことに成功すると、裸絞めを極めてタップを奪った。
4連勝のTSUNEは勝利者インタビューで「4連勝したんで、次、絶対お願いします」と話し、観戦に訪れた暫定王者の中島太一に対し「いつでもいいんで挑戦受けてください」とアピールした。すると中島もケージに入り「ナイス勝利でした。おめでとうございます。でも正直今の動きを見ていると、僕には勝てないです。でもやるからにはしっかり準備してやりたいです。12月25日、横浜武道館、大きな会場が用意されているんで、そこでメインでやらせてください。そこでいい試合しましょう」とアピールしつつ、挑戦を受諾した。
なお、この試合後には、8月30日(現地時間)ラスベガスでの「デイナ・ホワイトのコンテンダーシリーズ」でUFCとの契約を勝ち取った木下憂朔[ゆうさく](パンクラス大阪稲垣組/パンクラス・ウェルター級1位)が登場し、「UFCを目指して格闘技を始めたんで、それがかなってうれしいです」と話した。
第5試合 ウェルター級 5分3R
×中村勇太(T-Rex Jiu-Jitsu Academy/5位)
○林 源平(和術慧舟會Iggy Hands Gym/ライト級8位)
判定0-3 (荒牧28-29/大藪27-29/梅木28-29)
第4試合 ストロー級 5分3R
×宮澤雄大(K-PLACE/4位)
○若林耕平(コブラ会)
判定0-3 (出口28-29/大藪27-29/梅木28-29)
第3試合 ウェルター級 5分3R
×髙橋攻誠(RIGHT THING ACADEMY/4位)
○押忍マン洸太(DESTINY JIU-JITSU)
1R 3’48” KO (左フック)
髙橋は昨年12月のパンクラスアマMWJ杯優勝者で、今年3月のプロデビュー戦で中村勇太に一本勝ちしランク入り。押忍マンは2019年全日本アマ修斗ミドル級優勝者で、20年12月のパンクラスでのデビュー後は2連敗したが、その後は2連続フィニッシュ勝利と勢いに乗る。
1R、サウスポーの髙橋に押忍マンがプレッシャーをかけつつ、右フック、右ミドルを序盤からヒット。中盤、髙橋がタックルを仕掛けるが、押忍マンは潰すと、立った高橋を追いかけパンチを当てる。それでも高橋がタックルを仕掛け、テイクダウンに成功するが、押忍マンはすぐに脱出してバックマウントを取り、裸絞めを狙う。髙橋が脱出すると、右フックがかすめるような形だが当たり、押忍マンが倒れる。押忍マンはすぐ立つと、髙橋は追いかけ、左フックを当てて押忍マンをダウンさせ形勢逆転に成功する。ところが押忍マンはこれもすぐさまスタンドに戻すと、右ミドルを当ててから、前に出てきた髙橋に対し、カウンターの左フックをクリーンヒット。ダウンした髙橋のダメージが大きく、すぐレフェリーがストップした。
4分弱の中で、目まぐるしく攻防が入れ替わる中で、押忍マンが素質の高さを印象づけ快勝。押忍マンは「いきなり言うのもアレですけど、ベルト欲しいです。チャンスください」とアピールした。
第2試合 フライ級 5分3R
×荻窪祐輔(K-PLACE)
○萩原幸太郎(パラエストラ八王子)
3R 1’25” TKO (コーナーストップ:マウントパンチ)
荻窪は14年のネオブラッドトーナメント優勝者の元ランカーで、20年12月の中村龍之戦で判定勝ちして以来1年9か月ぶりの試合。対する萩原は約5年ぶりの試合で現在34歳。11年に修斗でデビューし15戦5勝4敗6分の成績を残し、パンクラスには初参戦する。
1R、序盤に荻窪が右ストレートで萩原をダウンさせ先手。金網際での押し合いが続き、3分過ぎから萩原が後ろからしがみつく形になるが、荻窪が耐えて終える。記者採点は荻窪。
2Rも押し合う状態となるが、萩原が中盤からテイクダウンに成功し、ハーフで押さえる。荻窪のブリッジのタイミングでマウントを取ると、肩固めも狙い、終了間際はバックマウントをキープして終える。記者採点は萩原。
3R、挽回を狙う荻窪は細かく動いてからタックルを仕掛けるが、萩原は簡単に切ると、金網際でハーフバックの状態で押さえつけ、右のパウンドを連打する。荻窪が動いてもコントロールを続けてパウンドを当て、最後はマウントからパウンドを連打したところで萩原陣営がタオルを投入し、萩原のTKO勝ちとなった。
萩原は「仕事との兼ね合いで試合から遠ざかっていたんですけど練習していました。勝ててホッとしています」とコメントした。
第1試合 女子アトム級 5分3R
○沙弥子(リバーサルジム横浜グランドスラム)
×原田よき(mma ranger gym)
1R 3’22” アームロック
沙弥子は5戦4勝1敗で約3年ぶりの試合。原田も宝珠山同様、これまで全て修斗で戦ってきた選手で、19年にデビューし4戦1勝2敗1分。
1R、沙弥子が右手で脇、首を抱えて押し込み続ける。原田が押し返すが、柔道出身の沙弥子は払い腰で綺麗にテイクダウンに成功。そのままサイドで押さえ続けた後、アームロックを極めてタップを奪った。
プレリミナリー第2試合 フェザー級 5分3R
×工藤修久(禅道会小金井道場)
○立成洋太(パラエストラ千葉)
1R 4:30、TKO (ドクターチェック:左まぶたの負傷)
プレリミナリー第1試合 ライト級 5分3R
○水戸邉[みとべ]壮大(TRIBE TOKYO MMA)
×山﨑聖哉(BRAVE)
1R 2’22” TKO (ドクターストップ:肘打ちによる額のカット)