RIZIN 12.31 さいたまスーパーアリーナ(序~中盤戦レポ):伊澤星花、パク・シウに判定勝ちし女子Sアトム級GP制覇。井上直樹が瀧澤謙太に圧勝。元UFC1位ドッドソン、所英男を1R KO。元谷友貴、元UFCボントリンを2R KO。平本蓮の相手Xは梅野源治
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
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湘南美容クリニック presents RIZIN.40
2022年12月31日(土) さいたまスーパーアリーナ
レポート&写真:井原芳徳
※終盤戦のベラトールとの対抗戦は別記事でお伝えします。
※ABEMA PPV ONLINE LIVE、RIZIN STREAM PASS、U-NEXT、スカパーで中継(アーカイブ配信あり)
女子スーパーアトム級GP、伊澤星花がパク・シウ封じ判定勝ち
第10試合 RIZIN WORLD GP 2022 スーパーアトム級(女子49kg)トーナメント決勝 MMA 5分3R
○伊澤星花(フリー/RIZIN女子スーパーアトム級王者、DEEP JEWELSストロー級王者)
×パク・シウ(韓国/KRAZY BEE)
判定2-1 (松宮=パク/片岡=伊澤/豊島=伊澤)
※伊澤が優勝
女子スーパーアトム級GPは7月大会で8選手による一回戦4試合が行われ、9月大会で準決勝を行い、大晦日大会で決勝を迎える。賞金は優勝700万円、準優勝300万円の合計1千万円が用意されている。
伊澤はレスリング、柔道の全国大会で活躍後、2年前にMMAを始め、プロ3戦目でDEEP JEWELSストロー級王座を獲得。昨年10月のDEEPでパク・シウと対戦したことがあり判定勝ちしている。大晦日のRIZIN初戦でいきなりRIZIN王者・浜崎朱加に2R TKO勝ちし、4月の再戦でも浜崎に判定勝ちし、RIZIN王座を奪取。7月のGP一回戦ではラーラ・フォントーラに1Rフロントチョークで一本勝ちし、9月の準決勝では欠場のRENAの代役出場のアナスタシア・スヴェッキスカに2R腕十字で一本勝ちし、順当に決勝に駒を進めた。
シウもDEEP JEWELSを主戦場とし、一昨年末より韓国から日本に移住し、山本美憂のいるKRAZY BEEに移籍。富松恵美、青野ひかるに勝利し、大島沙緒里とは1勝1敗。昨年10月に伊澤に判定負けしたが、大晦日のRIZIN初戦ではRENAと接戦を繰り広げ判定勝ちした。7月のGP一回戦では浅倉カンナを打撃・寝技ともに圧倒して判定勝ち。9月の準決勝でも浜崎朱加を3Rに右ストレートでダウンさせるなど打撃で追い詰め判定勝ちした。今回の試合に備え、韓国に戻り、元RIZIN王者でONEに参戦中のハム・ソヒとも練習を積んだ。
1R、パンチが交錯した後、伊澤がタックルを仕掛け、コーナー際でオンブになり、執拗に裸絞めのチャンスをうかがい続ける。終盤もこの体勢が続き、伊澤はパンチ、肘を細かく当て続ける。
2R、シウが序盤から左右のフックをヒット。伊澤はタックルを仕掛けるが、シウは切りつつ、首を抱えギロチンを狙う。伊澤は対処し、中盤には崩して倒す。だがシウは立ち、伊澤はコーナーに押し込み続ける。終盤、膠着ブレイクがかかるが、またも伊澤はタックルから押し込む。これもブレイクがかかり、最後のパンチの打ち合いでシウが数発当てて終える。
3R、パンチの打ち合いが何度か繰り返される。中盤、伊澤がタックルを仕掛けると、シウがバックを取りかけるが、伊澤は脱出する。伊澤はタックルを切られるが、コーナーやロープを背にしながらギロチンを狙って首を抱え、チャンスをつかもうとし続ける。シウは振り落とし、踏みつけ、鉄槌を当てて反撃しかけても、すぐに足をつかんで関節技を狙い、下から蹴り上げも当て、主導権を譲らず終える。
記者採点は伊澤。シウの打撃も当たったが与えたダメージは不十分で、ニアフィニッシュの観点でも伊澤のほうが優位な場面が目立ち、続けての判定材料のアグレッシブネスとジェネラルシップでは伊澤が上回ったと判断した。ジャッジは1者がシウにつけたが、2者は伊澤を支持し、伊澤の判定勝ちとなった。
優勝賞金700万円のプレートを受け取った伊澤は「パク・シウ選手、怖かったです 勝てて良かったですけどもっと強くなれるよう頑張ります」と号泣しながら話した。続けて「K-Clannのみんなが練習に付き合ってくれて大好きです。優勝賞金たくさんもらったのでCOROさんとの結婚式をあげます。横田(一則)さん、来年ブレイキングダウンのオーディション出ます。YouTube始めたんでチャンネル登録お願いします」とアピールし、会場を和やかな空気に包んだ。
この試合後、10月に逝去したアントニオ猪木氏の追悼セレモニーが行われた。猪木氏の弟子だった高田延彦・RIZINキャプテンがリングに上がり、追悼メッセージを読み上げた。「アントニオ猪木がいなかったらPRIDEもRIZINも無かったと断言したら皆さんどう感じるでしょう?日本格闘技界の源流はあなたにあるということです」等と離し、功績を称えた。全試合終了後の閉会式で選手たちがリングに集まった際には、RIZINの榊原信行CEOの提案を受け、高田氏が「1、2、3、ダー」の音頭を取った。
堀口&扇久保不在のバンタム級の行方占う一戦、井上直樹が瀧澤謙太に圧勝
第9試合 MMA バンタム級(61kg) 5分3R
○井上直樹(セラ・ロンゴ・ファイトチーム)
×瀧澤謙太(Fired Up Gym)※フリーから所属変更
2R 3’53” アームロック
井上は昨年後半のRIZINバンタム級日本GPで石渡伸太郎、金太郎に勝利し、大晦日の準決勝では優勝者の扇久保博正に判定負けした。瀧澤も昨年のGPで今成正和、元谷友貴に勝利しベスト4に残ったが、準決勝で朝倉海に判定負けしており、井上戦は事実上の3位決定戦のようなカードとなる。
元々、両者の試合は7月のRIZIN.37埼玉大会で組まれていたが、大会2週間を切り、井上は左膝の半月板損傷により全治6~8週間の診断を受け中止となっていた。両選手とも昨年大晦日以来1年ぶりの試合。元谷は上記のとおりその間に連勝街道を突き進んでいる。堀口恭司も大晦日の扇久保博正戦からフライ級に階級を下げ、RIZINバンタム級王座を返上する模様のため、来年の王座奪取に向けて井上も瀧澤も改めて存在感を示したい戦いとなる。
1R、伸びのあるミドルや前蹴りを放つ瀧澤に対し、井上がステップで距離を取りつつ、右のカーフを着実に当てる。さらに左ジャブを当てるようになると、左ジャブからの右ストレートのコンビネーションも決める。瀧澤も時折右ロー、右ミドルを当てるが、空振りが多く、逆に井上は細かく左インローも当て続ける。中盤、瀧澤の左ローのタイミングで、井上が両足タックルを仕掛けテイクダウンに成功し、中央付近でハーフガードで押さえ続ける。終盤、井上が左の肩パンチを当て続けて嫌がらせてから、左肘も当てると、瀧澤は左まぶたから出血し血だるまになる。最後は井上が立ってサッカーボールキックを連打して終える。
2Rも井上がパンチと蹴りを当て続け、左ストレートを当てて瀧澤をフラつかせてから、組んで振り回してテイクダウンを奪う。井上は上四方から頭に膝も当て追い詰める。瀧澤が返したタイミングで狙った腕十字は失敗したが、スタンドに戻ってもすぐ倒し、ハーフで押さえ続ける。左肘を当ててダメージを与えると、最後はアームロックを極めてタップを奪った。
井上は「今日も(アピール内容を書いた)ボードを用意したんですけど家に忘れました」と話して笑いを取ると「来年も勝てるよう頑張ります」とシンプルにアピールした。
ヘビー級・スダリオ剛はマーク・ハント推薦選手のタファに1R KO負け
第8試合 MMA ヘビー級(120kg) 5分3R
×スダリオ剛(HI ROLLERS ENTERTAINMENT/PUREBRED/117.95kg)
○ジュニア・タファ[Junior Tafa](オーストラリア/NTGファイトチーム, チームタファ, チームジャガーナウト/108.75kg)
1R 1’38” TKO (レフェリーストップ:パンチ連打)
スダリオは7月のさいたま大会で関根“シュレック”秀樹に1R TKO勝ちし、10月の福岡大会ではヤノス・チューカスに2R TKO勝ちし、現在3連勝中。相撲からMMAに転向してプロデビューから2年以上経過し、順調に進化を遂げている。
タファはマーク・ハントの推薦選手で、今回ハントもセコンドとして帯同する。兄はUFCに上がっているジャスティン・タファ。ジュニアは26歳。キックボクシングが本職で、17~19年にGLORYに上がり3勝4敗。今年7月、オーストラリアのMMA大会でMMAデビューし、DEEPに上がっている関野大成に1R TKO勝ち。8月のMMAの試合でもKO勝ちし2戦2勝で、スダリオの立ち技スキル試される一戦となる。
1R、見合った状態の中で、サウスポーのスダリオに対し、オーソドックスのタファが素早い右ハイを放つと、スダリオは反応できていない様子。するとタファは前手となる左のフックを当ててダウンを奪う。
タファはスダリオを立たせ、スタンド勝負を希望する。するとタファは右フックを当て、再びスダリオをダウンさせる。タファはパウンドでも追い詰める。スダリオはダメージが大きく、背中を向けて逃げる状態。最後はタファがコーナーに詰めて左右のフックで3度目のダウンを奪ったところで、豊永レフェリーがストップした。試合後はセコンドについたハントと記念撮影し喜んだ。
元UFCフライ級1位・ドッドソン、RIZIN初戦で所英男を1R KO
第7試合 MMA フライ級(57kg) 5分3R
×所 英男(リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)
○ジョン・ドッドソン[John Dodson](米国/ジャクソン・ウィンクMMA/元UFCフライ級1位・バンタム級8位)
1R 1’43” TKO (レフェリーストップ:左フック→グラウンドパンチ)
所は20年大晦日のRIZINで、MMAデビュー戦の太田忍に2R腕十字で一本勝ちして以来2年ぶりとなる大晦日出場。今年7月の埼玉大会ではフライ級に階級を下げ、DEEP同級王者の神龍誠と対戦し判定負けしたが、44歳(現在45歳)とは思えぬ切れ味の鋭い関節技で22歳の神龍を脅かし、健在ぶりをアピールしていた。
今回、所はUFCでデメトリアス・ジョンソンとの2度のフライ級王座戦を経験している38歳・ドッドソンを迎え撃つ。ドッドソンはレスリングをベースとし、04年のMMAデビュー2戦目で初来日しDEMOLITIONで漆谷康宏に判定負け。ローカル大会での15試合近いキャリアを経て、11年のUFC TUFバンタム級トーナメントでT.J.ディラショーを下して優勝しUFCと契約。フライ級戦線で活躍するも、絶対王者・DJに王座奪取を阻まれ、UFCフライ級縮小の影響もあってバンタム級に階級を上げたが、負けが込み、20年8月の試合を最後にUFCを離れた。最近では今年4月にXMMAという大会で元UFCのフランシスコ・リベラに判定勝ち。8月のベアナックルFC(素手のボクシング大会)では元UFCのライアン・ブノワ1R KO勝ちしている。
試合はドッドソンがレベルの違いをまざまざを見せつけることに。1R、ドッドソンはサウスポーで構え、度々左ボディストレートをヒットする。所の右ミドルをつかんで倒すが、グラウンドに付き合わない。ドッドソンは所をコーナーに詰め、さらに雄たけびを上げてから左ボディストレートをクリーンヒットする。背中を向けて逃げた所を追いかけ、ロープに詰め左ストレートを当てると、所はダウンし、ドッドソンがパウンドをまとめたところでレフェリーがストップした。
マイクを持ったドッドソンは「チャンピオンになるのが待ちきれないです」とアピールした。フライ級に戻り扇久保博正を圧倒した堀口恭司の最大のライバルとなりそうだ。
平本蓮のボクシングエキシのXは梅野源治。梅野の立ち技大会開催の提案に榊原氏も前向き
第6試合 エキシビションマッチ RIZINスタンディングバウト特別ルール(ボクシング形式)69.99kg契約(スーパーウェルター級相当) 3分2R
―平本 蓮(剛毅會/K-1甲子園2014 -65kg優勝)※ルーファスポーツから所属変更
―梅野源治(PHOENIX/BOMライト級王者、元ラジャダムナン同級王者、元WPMF世界・WBCムエタイ世界・同インターナショナル・スーパーフェザー級王者、元M-1フェザー級王者、元WPMF日本&WBCムエタイ日本スーパーバンタム級王者)
勝敗無し
元K-1ファイターの平本は7月の沖縄大会で鈴木博昭に判定勝ちしMMA 3戦目で初勝利。11月6日の名古屋大会では自身の左足の指の骨折により、66kgのフェザー級リミットから約1階級上の70kgに契約体重を変更し、弥益ドミネーター聡志に判定勝ちしている。足の怪我が完治していないため、今回はボクシング形式のエキシビションマッチでの出場となった。
対戦相手は当日試合直前まで未発表だったが、紹介VTRの中で、今年RIZINで一気に人気を高めた梅野源治と発表された。平本のセコンドにはシバター、梅野のセコンドには久保優太がつく。両選手がリング中央でレフェリーからルール説明を受けた際には、シバターと久保が付き添ったが、昨年大晦日に八百長を共謀した2人の再開は、シバターの挑発で乱闘寸前になり、これから戦う平本と梅野が制止する側となり、観客を笑わせる。
1R、1~2階級上の平本が圧をかけ、随所でパンチを当てると、梅野は鼻血を出す。梅野も左フックをカウンターで当てるが、当たりは軽く、平本の圧は落ちない。
2Rも同じような構図で、平本が当てても、梅野もカウンターでパンチを返し続ける。終盤には平本がノーガードで誘う場面も。すると最後、両者の打ち合いが激しさを増すと、梅野の左フックのカウンターで、平本が左フックを合わせ、梅野がダウンする。当たったタイミングは終了ゴングの直前で、通常の試合ならダウンカウントが入るところだが、エキシビションのため時間切れ扱いとなり、ドローとなった。
マイクを持った平本は「体重差のある梅野選手が盛り上げてくれてありがとうございます」と梅野に感謝の言葉を述べた。なお、この後の榊原CEOとのやりとりで、平本と斎藤裕の来年春の対戦が発表されている(別記事参照)。
また、梅野はエキシ後のインタビューで、今回の体重・ルールが通常と異なる一戦のオファーを受けた際、榊原氏に「2023年にRIZINで立ち技の大きい大会をやってくれ。俺はムエタイルールを学ばせるから」と交換条件を出したことを明かした。榊原氏も大会総括の中で「男気には男気で返すしかないと思っています」「総合の選手がキックをやることで可能性が広がる場合もあるので、立ち技のみの大会があってもいい。少し時間をいただいて考えたい」と話し、実現に向け動くことを表明している。
元谷友貴、UFCを離れたボントリンを2R KO
第5試合 MMA バンタム級(61kg) 5分3R
○元谷友貴(フリー/元DEEPバンタム級&フライ級王者)
×ホジェリオ・ボントリン(ブラジル/ジレ・ヒベイロ・チーム/元UFCフライ級7位)
2R 2’56” KO (右膝蹴り)
元谷は昨年9月のバンタム級日本GP 2回戦で瀧澤謙太に1R TKO負けし、大晦日のGPリザーブファイトでは金太郎に判定勝ち。今年は4月にアラン“ヒロ”ヤマニハを、7月に太田忍を、11月6日の名古屋大会では倉本一真を、いずれも判定で退けた。瀧澤に敗れて以降、トータルバランスの高い安定した強さを印象付けている。
ボントリンは30歳。ブラジリアン柔術黒帯でMMA 22戦16勝(3KO/11一本)4敗2無効試合と高い一本勝ち率を誇る。過去2度来日し、16年12月にパンクラスに上がり、春日井たけしから1R腕十字で一本を奪ったが、計量オーバーにより無効試合となっていた。17年10月のGRANDSLAMでは田中路教に3R裸絞めで敗れている。19年からUFCに上がり、同年の2試合では連勝したが、以降4試合は勝ち星が無かった。20年2月のレイ・ボーグ戦では計量オーバーのボーグに判定負け。21年3月のカイ・カラフランス戦はKO負け。同年5月のマット・シュネル戦は自身が計量オーバーしつつも判定勝ちしたが、試合前のドーピング検査で陽性反応が確認され無効試合に。今年1月のブランドン・ロイバル戦は判定1-2で惜敗。20年8月、今年6月と2度、マネル・ケイプの相手に決まっていたが、怪我や体調不良で中止が続き、6月にUFCから契約解除されていた。初のRIZINでは1階級上のバンタム級での戦いとなる。
1R、ボントリンが右フックを当てつつ組み付き押し込むが膠着しブレイクがかかる。その後も同じような展開が続き、ボントリンが組み際にパンチを当て、スペースを作って肘を当て、優位をキープする。元谷も終盤にパンチを返す。
2R、元谷がサウスポーのボントリンに右ミドルをヒット。組んでの攻防が続き、お互いテイクダウンを狙うが倒されない状態が続く。すると中盤、離れた展開で、元谷が右三日月蹴り、インロー、ストレートを立て続けにヒットし、ボントリンをじわじわと追い詰めると、右の三日月蹴りをクリーンヒット。ボントリンは一瞬うずくまり後退し、苦し紛れにタックルを仕掛けると、元谷は右膝蹴りで迎撃し、顔面にクリーンヒット。ボントリンがダウンすると、すぐにレフェリーがストップした。
マイクを持った元谷は「元UFCランカーで凄く強かったですけど、一つのチャンスものにできて良かったです。来年バンタムの上位陣、誰でもいいんでよろしくお願いします」とアピールした。
ジョニー・ケース、鈴木千裕、宇佐美正パトリックが1R KO勝ち
第4試合 MMA ライト級(71kg) 5分3R
○ジョニー・ケース(米国/MMAラボ)
×大尊伸光(野田ボディビル同好会/修斗ライト級世界2位、元環太平洋王者)
1R 0’36” TKO (レフェリーストップ:右フック→グラウンドパンチ)
ケースは今回、ルイス・グスタボと対戦予定だったが、グスタボが上腕二頭筋長頭腱断裂により欠場し、大尊が代役出場することになった。
大尊は36歳のベテラン。15年にRoad to UFC JAPANに参加し、米国合宿中に練習仲間を怪我させた際に唐突に口にした「ソーリー、ごめん」の言葉が話題を呼んだ。18年大晦日のRIZINでは当時まだ未知の強豪的存在だったトフィック・ムサエフの相手を務め2R TKO負け。昨年5月の修斗では西川大和に一本負けしたが、今年4月のPOUND STORMでは後にRIZINに上がる宇佐美正パトリックに判定勝ちしている。
対するケースはライト級トーナメントに参加した19年以来となる大晦日大会出場となる。4月の調布大会ではホベルト・サトシ・ソウザのライト級王座に挑戦し1R一本負け。9月の埼玉大会では武田光司に判定負けしている。11月から来日し、ベラトールのAJ・マッキーと対戦するサトシの練習パートナーも務めていた。
1R、開始すぐからケースが左ミドルと右ストレートのコンビネーションをヒット。大尊が反応できずにいると、プレッシャーをかける大尊から回って距離を取ってから、踏み込んで右フックを側頭部にクリーンヒットする。腰から崩れダウンした大尊にパウンドを当て続けたところでレフェリーがストップした。
第3試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
×中原由貴(マッハ道場/元GLADIATORフェザー級王者)
○鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺/KNOCK OUT-BLACKスーパーライト級(65kg)王者)
1R 4’44” KO (右フック)
鈴木は18年にパンクラス・ネオブラッドトーナメントで優勝し、21年にキックのKNOCK OUT-BLACKスーパーライト級王座を獲得。昨年9月のRIZINでのMMA復帰戦では昇侍にTKO負けしたが、その後は山本空良、平本蓮に判定勝ちし、9月の埼玉大会では萩原京平を2R裸絞めで仕留め、11月6日の名古屋大会では緊急出場ながら今成正和の関節技を防御し判定勝ちし4連勝と波に乗る。ストライカーとの2連戦の後は、グラップラーと対戦と、対戦相手のスタイルの波が激しかったが、今年最後はトータルバランスの高い相手との試合となる。
中原はGLADIATOR、パンクラス、ONEを経て7月にRIZINに初参戦し、佐々木憂流迦の代役で緊急出場した関鉄矢に判定勝ち。10月23日の福岡大会ではヴガール・ケラモフの代役で緊急出場した原口央に1R TKO勝ちしている。
1R、序盤から中原が鈴木をロープに押し込み、脇を差してテイクダウンを狙う。鈴木は耐えるが、離れると、サウスポーから中原が左ストレートを度々当て優位に。だが終盤、鈴木はコーナーに下がった際、左右のストレートと右ハイを立て続けに当てる。中原を後退させると、鈴木が前に出て左フックを当ててから、さらに右フックを当てて中原をダウンさせる。パウンドをまとめたところで、すぐさまレフェリーがストップした。
鈴木はこれで5連勝。マイクを持つと「大晦日、言ったろ、KOするって、有言実行。どんなこと変なこと言われても、この上が真実なんで。榊原さん、来年、タイトルマッチやりたいです。納得行ってないなら、ふさわしい相手当ててください。俺だったらKOするよ」とアピールした。さらに「俺の母親がずっと大晦日出るために応援してくれました。産んでくれてありがとう。来年俺チャンピオンなるからな」と、母親にメッセージを伝えた。
第2試合 MMA ライト級(71kg) 5分3R
דブラックパンサー”ベイノア(極真会館/元RISEウェルター級(67.5kg)王者、元J-NETWORK同級王者、極真会館全日本ウェイト制2018軽量級優勝)
○宇佐美正[しょう]パトリック(バトルボックス/修斗ライト級世界10位)※フリーから所属変更
1R 0’45” KO (左フック)
RISEで活躍してきた空手家・ベイノアは昨年MMAデビューし、大晦日大会では武田光司に腕十字で一本負け。今年6月のTHE MATCH 2022東京ドーム大会ではキックルールでK-1王者の和島大海に判定負けしている。
宇佐美は幼少期から父親の影響で極真空手を始め、ボクシングでは高校6冠を達成。EXILEなどが所属する芸能事務所LDHによる未来のスター格闘家を発掘するオーディション(ABEMAで放送の「格闘DREAMERS」)で勝ち残り、昨年4月LDHと契約。修斗でデビューし、今年4月のLDH主催POUND STORMでは大尊伸光に判定負け。6月のRoad to UFCにエントリーしていたが、ライト級への減量中に脱水症状を起こし欠場していた。LDHを離れ、10月のRIZIN福岡大会での再起戦では75kg契約で佐々木信治に3R TKO勝ちしている。今回はライト級の71kgの体づくりも課題となった。
試合は短時間決着に。1R、開始すぐから宇佐美が右フック、右カーフキックをヒット。ベイノアが離れた距離から左ミドル、左インローを当てる。だが宇佐美はじわじわプレッシャーをかけると、左ジャブを振ってからの左フックをクリーンヒット。ベイノアはダウンすると、うつぶせになったままピクリとも動かなくなり、すぐさまレフェリーがストップした。
インパクト十分のKO勝ちを果たした宇佐美は「どうですか?今日の試合?大晦日にこんないい勝ち方ができて本当に良かったです」とマイクアピールで喜んだ。
第1試合 MMA 62kg契約 3分3R
○YUSHI(HI ROLLERS ENTERTAINMENT)
×中澤達也(益荒男-本宮塾)
判定3-0 (長瀬=YUSHI/松宮=YUSHI/豊永=YUSHI)
地上波のフジテレビの生中継が無くなり、MMAファン以外を意識したカードが不要になった今年のRIZIN大晦日大会だが、これまで同様、キャラクター重視のカードも組み込まれた。
YUSHIは昨年の大晦日大会で、サッカーの三浦知良の次男・孝太のMMAデビュー戦の相手に選ばれ、1R TKOM負け。派手な入場で話題を呼び、その後もRIZINに起用され、MMA経験の浅い選手相手に2連勝している。
中澤はYUSHIが出ていた「宴」や、「益荒男」といった、いわゆる地下格闘技大会を主催している43歳で俳優業もこなす。今回の試合が決まってから練習を再開したことを会見では明かしていた。
1R、開始すぐの中澤の右ハイでYUSHIはダウンしたが、すぐ組み付くと倒し、グラウンドでコントロールし続け、最後は裸絞めを極めて終える。2Rも序盤からYUSHIが倒すと、押さえ続けて時折パウンドや肘を当てるが、攻め手が乏しく仕留めきれない。3Rもマウントパンチで攻め続けた後、終了間際に腕十字を仕掛けたが、極まりが浅く時間切れに。YUSHIが判定勝ちした。
RIZIN 2023春3大会でフェザー級前王者 牛久絢太郎×朝倉未来、同級元王者 斎藤裕×平本蓮、元K-1対決 芦澤竜誠×皇治。パッキャオも夏以降登場