RIZIN 9.24 さいたまスーパーアリーナ:クレベル・コイケ撃破の金原正徳「勝因は寝技だけじゃない」「格闘技の奥深さを伝えることだったり、僕は僕の役目がある」
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RIZIN.44 9月24日 さいたまスーパーアリーナ大会のメインイベントで、前RIZINフェザー級王者・クレベル・コイケを公約通り寝技で追い詰め判定勝ちした金原正徳が、試合後のバックステージでのインタビューで勝因や今後について語った。
金原は40歳。03年にMMAデビューし、09年に初代戦極(SRC)フェザー級王者に。14~16年にはUFCで1勝2敗の成績を残し、15年にはコイケ同様に柔術出身の強豪・ハニ・ヤヒーラと対戦し判定2-1で惜敗している。20年2月にRIZINに初参戦し、ビクター・ヘンリーにKO負けすると引退を表明したが、21年10月の復帰後は芦田崇宏、摩嶋一整にTKO勝ちし、今年4月に山本空良を圧倒して判定勝ちし3連勝とすると、「僕がフェザー級で一番強いと思うケラモフ、やらせてください」とマイクアピールした。8月に前王者・コイケとの試合が発表されると、「最後に燃え尽きるならこの相手で問題無いです」と話し、「クレベルが相手だとほとんどの選手がグラップリングを避けると思いますが、フェザー級でグラップリングで対抗できる選手は僕しかいないと思っていました」と対応に自信を示していた。
試合はその金原の言葉通りの内容となり、1Rこそコイケのギロチンチョークに捕まりかけたもののポイントをズラして対処し、スタンドではパンチをヒット。2Rは金原がテイクダウンを奪うとトップキープし、肘やパウンドで追い詰める。3Rはスクランブル(=寝技で目まぐるしく上下や攻防が入れ替わる状態)を経て中盤以降はトップキープし、パウンドも絡めて反撃を封じ、文句なしの判定勝ちを果たした。クレベルはRIZINだけでも摩嶋、朝倉未来、佐々木憂流迦、牛久絢太郎ら相手に寝技を駆使して完勝を続けていたが、日本勢では歯が立たないという定説を金原は覆した。
試合後のインタビューで金原は「クレベルと寝技で対抗できるフェザー級は僕だけと言っていて、口だけにならなくて良かったです」と笑顔で話し、「組んでみなきゃわからないところも正直あったんですけど、組んだ感触でグラップリングでも勝負できると思って、2R目と3R目は勇気を持って勝負しました」「誰と試合が決まったら何を強化するじゃなく、MMAをずっと積み重ねてコツコツやってきたのが試合に出たと思います。1Rに打撃を当てられたことで組みで優位に進められたので、寝技だけじゃないと思います」と試合を振り返る。
金原も言うように、1R最初の打撃の攻防で先手を取ったことが活きた。「(MMAの試合は)最初は立ちから始まるので、立ちで有利なら組みも有利に運ぶことができる」「クレベルの寝技とかバックチョークとかよりも、不器用な打撃と勢いのある投げを一番警戒していました」と金原は話す。
スタンドで有利に立てた理由については「クレベルにビビらないことです」と金原。「入場時からリングに上がるまで『右ボディに左フックを当てる』と自分に言い聞かせました。フェイスオフではいつも目を合わせないんですけど、目を合わせながら『このアゴに当てる』と念じていました。始まった時から右ボディと左フックが当たったので、念が通じました。試合前に最初の打撃がポイントになると言っていて、自分から先に手を出せて良かったです」と分析した。
1R中盤の組みの展開でも金原は冷静だった。「ギロチンは大丈夫です。クレベルはそんなにギロチンが得意じゃないのはわかっていて、はまった時にも気づきました。それよりも右手で抱えられていたんで、三角に移行されることを気にしていました。ギロチンをわざと絞めさせて(パワーを使って)弱って来たのがわかったんで、絞められながら二の手三の手先ぐらいまでは考えていました」と振り返る。
「1R目に組んで差を感じなかったので、2R目からはクレベルが突っ込んで来たのにテイクダウンを合わせようと意識しました。クレベルは不利になると突っ込んで来るとわかっていました」と、2Rからの戦略の転換を振り返った金原。相手の組み力も1Rに把握しており、2Rはトップキープし有利に進める。
3R目はコイケが挽回を狙って猛攻を仕掛けて来た。スクランブルの展開となったが「足関来て逆にラッキーでしたね。わざと膝十字入らせて、アンクルも取らせて、そっちのほうがトップとりやすくて、そのまま取れたんで。余裕を持てて、パニックにならなかったです」と話した。
結果は文句なしの判定勝ち。試合後のマイクでは「試合が決まってから辛くて眠れない日もありました」と話した。バックステージでのインタビューでは「タイに行って1日2回3回、体がボロボロになって練習するのは10年ぐらいぶりでした。今までは怪我しないで100%の状態でリングに上がるようにしていましたけど、今回は100%じゃクレベルに勝てないと思っていたので、120%・130%という自分の限界を越えて、怪我してもいい覚悟でできたので辛かったです」とリング上での言葉について説明した。
この勝利で金原に対する多くのファンの評価は一気に高まったが、長年格闘技業界の傍流でコツコツと研鑚してきた金原の姿勢は変わらない。「日本の格闘技を背負ってきた気持ちは?」という質問も飛んだが、「全くないです。中心にいたいと思わないし」ときっぱり否定。「そういうのは僕の役目じゃないですね。魅力ある選手は他にもたくさんいるので。僕は僕の役目があると思っているんで。格闘技の奥深さ(を伝えること)だったりとか、僕が頑張ることで誰かの助けになったりとか、今回も同じです」「クレベルと寝技で対抗できたことで会場が湧いてくれたのは、寝技・柔術をずっとやってきた競技者としてはうれしかったです」と話した。
今後について聞かれると「この試合で燃え尽きていいと思っていました。強さを求めて格闘技をやっていて、強い人とやって、じゃあ負けましたって、何のために格闘技続けてるんだってことにになるので。クレベルには感謝しかないですね」「来週、所(英男)さんの試合があるので、そのサポートに集中してから後のことは考えます」とコメント。RIZINの榊原信行CEOはフェザー級王座の鈴木千裕の次の挑戦者候補として金原の名前を挙げたが、チャンピオンベルトについては「目指していなかったんですけど、周りが喜ぶものがベルトなら、そこに目指して頑張りたいだけです」「必要とされている間は頑張りたいです」と答えた。