RIZIN 5.4 東京ドーム(レポ/前半):神龍誠、伊藤裕樹を寝技で圧倒し判定勝ち。サバテロ、太田忍に3R TKO勝ち。ヒロヤ、篠塚辰樹に1R TKO勝ちし「MMAナメんなよ」。中村大介・朝久泰央・山本アーセンが快勝
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RIZIN男祭り
2025年5月4日(日/祝)東京ドーム
レポート&写真:井原芳徳 (後半戦のレポートは別ページに掲載)
中継:ABEMA、U-NEXT、RIZIN 100 Club、RIZIN LIVE、スカパー
皇治×カリミアンは時間切れドロー
第9試合 スタンディングバウト特別ルール(ボクシング形式) 98kg契約 3分3R
△皇治(TEAM ONE/元ISKA K-1ルール世界ライト級(61kg)&HEATキック・ライト級(60kg)王者)
△シナ・カリミアン[Sina Karimian](イラン/SINA ARMY/元K-1クルーザー級(90kg)王者)
時間切れ
※皇治は8オンスグローブ、シナ・カリミアンは12オンスグローブを着用
皇治は35歳。K-1で人気を高め、20年からRIZINに上がり、キックルールで那須川天心、白鳥大珠、YA-MANらに敗れる。梅野源治とは1勝1敗。23年4月の大阪大会で芦澤竜誠に判定負けすると、引退を表明したが、6月に撤回し、MMA転向を表明。大晦日大会でのMMAデビュー戦では三浦孝太に2R TKO勝ち。昨年7月の2戦目では芦澤と再戦し判定負けした。
昨年12月、皇治は自動車で街路樹などに衝突する事故を起こして立ち去ったとして、3月31日に道交法違反の疑いで警視庁に書類送検された。4月23日、自身のXでRIZINの榊原信行CEOに謝罪する動画を公開した。その中で榊原氏は「やったことに責任をとって前に向かって進んでほしい」「皇治が本当に腹が決まってやれるなら、東京ドーム、(RIZIN)10周年だし、祭りだし、どうなの?」と5月4日の大会出場を提案し、皇治も「僕はファイターですし、戦うことがケジメやと思っているし、僕ができることをやりたいです」と答え、今回の体重差の大きい一戦が組まれた。
カリミアンは37歳。身長200cm。初代・第3代のK-1クルーザー級(90kg)王者。昨年10月のクラウディオ・イストラテ戦、12月14日のK-1の木村太地戦と、2戦連続でノーコンテストとなる等、試合で波乱が続いている。4月5日(現地時間)のオランダでのGLORYヘビー級トーナメント一回戦ではトーマス・モズニーに判定負けしたが、ブレイク後のパンチで相手をダウンさせ、減点を宣告される一幕もあった。昨年大晦日の雷神番外地では安保瑠輝也とボクシング形式で戦い、カリミアンがあまり攻めない展開の末、判定の結果敗れている。この一戦は100kg契約で、前日計量で安保は81.15kg、カリミアンは97.75kgだった。今回の前日計量での体重は皇治70.40kg、カリミアンが98kgのリミットジャストで、27.6kgもの差があった。
1R、カリミアンが前に出てパンチを振るうと、皇治がクリンチし、レフェリーがブレイクする展開が繰り返される。皇治にはホールディングによる注意が出される。
2R、カリミアンが変わらず前に出てパンチを振るうが、アゴやこめかみを打ち抜くような形にはなかなかならない。皇治のパンチをノーガードでもらったり、横を向いて挑発したり、余裕を見せる場面も。
3R、中盤から皇治が前に出てパンチを積極的に振るうようになり、見せ場を作って終了。規定によりドローとなった。試合後、カリミアン陣営のレオナ・ペタスがリングに上がり、皇治を挑発した。
神龍誠、伊藤裕樹を寝技で圧倒し判定勝ち
第8試合 MMA 59kg契約 5分3R
○神龍 誠(神龍ワールドジム/元DEEP&CFFCフライ級王者)
×伊藤裕樹(NEX/元THE OUTSIDER 50-55kg級王者)
判定3-0 (松宮=神龍/橋本=神龍/石川=神龍)
堀口恭司がUFC復帰を3月30日の香川大会で発表したのに伴いRIZINフライ級(57kg)王座を返上した。王座を懸けてのトーナメントが、7月・9月・大晦日にかけて行われることも同時に発表され、5月大会では前哨戦としてフライ級勢の5試合が組まれた。
神龍は23年大晦日のRIZIN初代フライ級王座決定戦で堀口恭司に2R裸絞めで一本負け。昨年3月にDEEPフライ級王座を返上。4月のRIZIN有明大会でイ・ジョンヒョンに1R肩固めで一本勝ち。7月の超RIZIN.3で扇久保博正に判定負け。11月のDEEPではKENTAに判定勝ちし、大晦日大会参戦を希望したが、大晦日大会では元UFCのホセ・トレースと59kg契約で対戦し判定負けしている。
伊藤は23年5月、山本アーセンに判定負けした後は、ヒロヤ、トップノイ・キウラム、上田将年に判定勝ち。昨年11月の名古屋大会ではイ・ジョンヒョンに3R TKO勝ち。3月30日の香川大会ではトニー・ララミーと59kg契約で対戦し判定勝ちし5連勝とした。
試合はフライ級GPの主力となりそうな神龍が差をはっきり示す内容に。1R、神龍がテイクダウンを奪うと、バックマウントを取る。伊藤は体をひねって上になろうとするが、神龍は許さず、グラウンドコブラのような状態が続く。中盤過ぎ、神龍はマウントに移行し、パウンドを当て、バック、ハーフ、サイドと移行しつつ、肩固めを仕掛けて追い詰める。最後も神龍がグラウンドコントロールして終える。
2R、神龍がまたもタックルで倒すと、立たれてもしがみつき続けて投げ倒し、サイド、バック等でコントロールを続け圧倒する。
3R、後の無い伊藤はパンチを振るって前に出るが、神龍はかわす。中盤、神龍はタックルで倒す。伊藤は下から首を抱えるが極まりは浅い。終盤、神龍はバックを奪うと、裸絞めを狙い続ける。最後、神龍はマウントに移行し、立ってサッカーボールキックを当て、離れて終了。神龍が危なげなく判定勝ちした。記者採点はダメージ0-0、アグレッシブネス30-0、ジェネラルシップ20-0の合計50-0で神龍。
中村大介、桜庭大世に2R腕十字で一本勝ち
第7試合 MMA ライト級(71kg) 5分3R
○中村大介(夕月堂本舗/元DEEPライト級王者)
×桜庭大世(サクラバファミリア)
2R 2’01” 腕ひしぎ十字固め
中村は44歳。大学時代に田村潔司率いるU-FILE CAMPに加入し、2002年7月にMMAデビューし63戦34勝28敗1分。RIZINでは21年10月に新居すぐるに1R腕十字で一本勝ちしたが、22年3月に山本空良に判定負けしている。その後はDEEPを主戦場とし6連敗中。3月15日のDEEPでのDEEPフェザー級GP一回戦では五明宏人に判定負けしたが、好勝負を繰り広げて改めて評価を高めていた。
大世は26歳。ゼロ年代のPRIDEブームを築いた桜庭和志の長男。中村の師匠・田村は、桜庭和志がPRIDE以前に在籍したプロレス団体・UWFインターナショナル時代の先輩にあたる。大世は柔道をベースとし、グラップリング大会のQUINTETやK-1アマチュアで試合を重ね、大晦日のRIZINでのMMAデビュー戦では矢地祐介と対戦し、矢地の蹴り足をつかんでからの左ストレートでダウンさせてからのパウンドで、わずか26秒でTKO勝ちし、ファンを驚かせていた。
1R、サウスポーの大世が左ミドル主体で積極的に蹴り続ける。中盤、大世から組むが、中村が足を掛けて倒し、ハーフからマウントに移行する。終盤、中村はマウントをキープし、時折パウンドを当てる。中村は三角絞めを狙うが失敗し、大世が脱出し、左ストレート、ハイ等を当てて印象を作る。
2R、大世がパンチを積極的に振るうが、中村はカウンターで右フックを当ててダウンさせる。大世は組んでグラウンドとなり、大世が下から三角絞めを狙う場面もあったが、中村は対処しマウントを奪うと、大世が逃げようとする動きに合わせ、腕十字を極めタップを奪った。
マイクを持った中村は「来月45歳ですけど、6連敗ですか、わからないぐらい勝てなくて、東京ドームで試合できて幸せです。会見でも言ったんですけど、昔UWFという、自分の師匠も桜庭和志さんもいた、カッコいい男たちのいた団体があり、今も自分は目指しています。桜庭和志さんたちのファイティングスピリットや気持ちをこれからも伝え、若い選手とガンガンやっていきたいです。中村大介、44歳、ここからが全盛期です」とアピールした。
元ベラトールのサバテロ、太田忍に3R TKO勝ち
第6試合 MMA バンタム級(61kg) 5分3R
○ダニー・サバテロ[Danny Sabatello](米国/アメリカントップチーム/元Titan FCバンタム級王者)
×太田 忍(THE BLACKBELT JAPAN/2016リオ五輪・レスリング・グレコローマン59kg級銀メダリスト)
3R 0’20” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
サバテロは32歳。レスリングをベースとし、18年にMMAデビュー。21年5月からベラトールに参戦し、22年にはバンタム級暫定王座に挑んだが判定負け。23年7月のベラトール日本大会でのマゴメド・マゴメドフとのバンタム級ランカー対決では、1R序盤からテイクダウンをしてバックを奪って先手を取ったが、終盤にギロチンで一本負けした。昨年8月のPFLでラザロ・ダイロンと引き分け。今回RIZINのバンタム級王座を狙ってRIZINに参戦する。
太田は31歳。レスリングで2016年のリオ五輪で銀メダルを獲得。20年大晦日のRIZINでMMAデビュー。昨年は4月の有明大会で元フェザー級王者・牛久絢太郎に判定勝ち。6月のベラトール・ダブリン大会ではロジャー・ブランクに1Rノースサウスチョークで一本勝ちし3連勝としたが、9月のRIZINでは元谷友貴に3R裸絞めで一本負けし、王者・井上直樹への挑戦権を奪われた。右拳の骨折の手術を経て8カ月ぶりに復帰する。
1R、組んでテイクダウンを狙う太田に対し、サバテロは突き放すと、プレッシャーをかけ続け、リーチ差を活かして度々右ストレートを当てる。次第に太田はダメージが溜まり、下がり続け、サバテロがパンチだけでなく右肘や膝も当て、太田を圧倒する。
2R、サバテロの勢いは少し落ちるものの、変わらず随所でパンチや膝を当てて優位を維持する。
すると3R、太田はタックルを仕掛け、肩でかついで頭からサバテロを落とす。だが同じくレスリングベースのサバテロは、かつがれながらも太田の足を抱えており、その影響で太田のバランスが崩れ、太田がマットに頭を打ち付けてしまう。太田の力が抜けると、背中から落ちてダメージの小さかったサバテロがすぐ上になり、パウンドを連打し、太田の目が飛んだところで福田レフェリーがストップした。
マイクを持ったサバテロは「井上直樹、次やろうぜ。ベルトは俺のものだ」とアピールした。
ヒロヤ、MMAデビュー戦の篠塚辰樹に1R TKO勝ちし「MMAナメんなよ」
第5試合 MMA フライ級(57kg) 5分3R
○ヒロヤ(JAPAN TOP TEAM)
×篠塚辰樹(MASTER BRIDGE/剛毅會/元Krushフェザー級(57.5kg)王者)
1R 2’11” TKO (コーナーストップ:グラウンドパンチ)
ヒロヤは26歳。DEEPで試合を重ね、23年7月、RIZINに初参戦し、伊藤裕樹に判定負け。10月には中村優作に判定負けし2連敗を喫したが、大晦日大会では新井丈に2R TKO勝ち。7月の超RIZIN.3では59kg契約で所英男と対戦し1R TKO負け。11月の名古屋大会ではフライ級で柴田“MONKEY”有哉に判定勝ちしている。
篠塚はヒロヤと同じ1998年5月7日生まれの26歳。中学からボクシングを始め、インターハイではベスト8入りしプロでは4戦3勝1敗。18年にRISEでキックデビューし9戦した後、21年3月からK-1 GROUPに上がり、23年11月には森坂陸に判定勝ちし、Krushフェザー級王座を獲得した。大晦日のRIZINに初参戦すると、オープンフィンガーグローブ(OFG)着用キックルールで冨澤大智に判定勝ち。昨年3月にK-1 GROUPとの契約が終了し、Krush王座も返上。4月のRIZINではBKFC公認のベアナックルファイトに初挑戦し、ジャスティン・マルティネスに1R右ストレートでKO勝ち。大晦日大会ではOFGキックルールで野田蒼と対戦し1R TKO勝ちした。試合後、篠塚は「来年MMAやるから、ヒロヤ、やろうね」とアピールすると、ヒロヤもリングインし、両者頭をつけてにらみ合いを繰り広げていた。
1R、篠塚が左ジャブを放つと、ヒロヤは胴タックルを仕掛けて倒し、あっさりとサイドポジションを奪う。ヒロヤはサイドをキープし、鉄槌と肘を何発も当て続ける。篠塚は背中をマットにつけたまま返せない。なかなか豊永レフェリーは止めなかったが、最後は篠塚陣営がストップを要請するバトンをリングに投げ入れ、ヒロヤのTKO勝ちとなると、朝倉未来の応援に来たファンから大歓声を浴びた。
マイクを持ったヒロヤは「MMAナメんなよ。こうやってやり合っていいのは当事者だけでいいので、これで終わりです。彼は盛り上げたので、その男気は認めてあげてください。主人公のいないフライ級GP、盛り上がらないでしょ。ビリー(・ビゲロウ・コーチ)、アメリカ帰りますけど、優勝しないといけないんで、アメリカ行きます」とアピールした。
征矢貴、MMAルールでドッドソンにリベンジ
第4試合 MMA フライ級(57kg) 5分3R
×ジョン・ドッドソン[John Dodson](米国/ジャクソン・ウィンクMMA/BKFCフライ級王者、元UFCフライ級1位・バンタム級8位)
○征矢 貴[そや たかき](THE BLACKBELT JAPAN)
判定0-3 (石川=征矢/橋本=征矢/松宮=征矢)
ドッドソンは40歳。UFCで13年と15年にデメトリアス・ジョンソンのフライ級王座に挑戦しいずれも判定負け。22年大晦日にRIZINに初参戦し、所英男を1R KO。23年5月に竿本樹生に判定勝ちしたが、大晦日大会では扇久保博正に判定負けした。22年8月から素手ボクシングのBKFCに参戦し、3連続KO勝ちでBKFCフライ級王者になると、23年3月にはダゴベルト・アグエロ相手にドロー防衛を果たした。
征矢は30歳。13年修斗バンタム級新人王とMVPを獲得。指定難病のクローン病等の療養でブランクを挟みつつもリングに上がり続け、22年4月のRIZIN TRIGGERで2年半ぶりに復帰し中務修良に2R TKO勝ち。同年11月に中村優作に判定1-2で敗れ、23年9月にラマザン・テミロフに1R左フックでTKO負けし2連敗。昨年7月のRIZINではBKFCルールでドッドソンと対戦し、累計3度のダウンを奪われ判定負け。今回はMMAルールでの再戦に臨む。
1R、序盤から征矢がタックルで倒して上になりトップキープする。だがその先の攻めが乏しく、終盤、スタンドに戻る。ドッドソンがサウスポーから少し左フックやアッパーを当てるが、まだ攻撃が少ない。
2Rも似た展開で、征矢がタックルで倒すが攻めあぐね、スタンドでドッドソンが時折左フック等を当てる展開が続く。
3Rも組みを狙う征矢に対し、ドッドソンが突き放して左フックを随所で当て、優位をキープする。ドッドソンは見せ場を作ればあとはダメージを負わない戦いに戻り続け、勝ちに徹した印象だったが、ジャッジ3者からは評価されず、征矢の判定勝ちと発表されると、場内はどよめいた。記者採点はダメージ0-0、アグレッシブネス0-0、ジェネラルシップ20-0の合計20-0でドッドソン。
朝久泰央、ウザ強ヨシヤを2R KO
第3試合 キック(ワンキャッチワンアタック・肘無し) 63kg契約 3分3R
○朝久泰央[たいおう](朝久道場/元K-1ライト級(62.5kg)王者)
×ウザ強ヨシヤ(FIGHT CLUB 428/J-NETWORK 2017年ライト級(61.23kg)新人王)
2R 1’16” TKO (レフェリーストップ;左ハイキック)
朝久兄弟の弟・泰央は23年3月に与座優貴に判定負けしK-1ライト級王座から陥落。怪我の療養のブランクを経て、昨年10月のKrushで復帰し龍華に判定勝ち。12月14日のK-1代々木大会では、リングに登場した平本蓮の「誰かK-1ファイターで一緒に素人集団殺しませんか?」との呼びかけに応じ、大晦日の雷神番外地でRIZINに初参戦し、キックルールでYURAとダウンの応酬を繰り広げて観客を沸かせ判定勝ちした。
ウザ強は29歳。J-NETWORK、REBELSでキックのキャリアを重ね。18年にはRIZINに参戦し、海人と白鳥大珠にKO負け。その後、フジテレビに入社。21年12月のRISEで秀樹にKO負けすると、仕事が多忙なこともあり、以降は試合から遠ざかっていた。
ウザ強は話題性のある参戦だったが、準備不足な感は否めなかった。1R、ウザ強は背中を向けたり半身で構えるなどし、逃げ回りつつ、突然攻撃を出すトリッキーなスタイルを見せる。ウザ強が組んでブレイクが入った際、泰央はハイキックを当て、豊永レフェリーから警告を受ける。ウザ強もホールディングが多いため注意を受ける。だが終盤、泰央が詰め、ウザ強の左ローのタイミングで、左ストレートを当ててダウンを奪う。最後も泰央が左膝蹴りでダウンを奪う。
2Rも逃げ回るウザ強に、泰央が前に出続け、右フックを当ててダウンを奪う。最後は泰央が左ハイで累計4度目のダウンを奪ったところで、レフェリーがストップした。
山本アーセン、冨澤大智に2R一本勝ち
第2試合 MMA フライ級(57kg) 5分3R
○山本アーセン(KRAZY BEE/NAUGHTY HOUSE)
×冨澤大智(フリー)
2R 1’24” 裸絞め
山本美憂の長男・アーセンは28歳。20年8月大会で加藤ケンジに1R KO負けし、以降や怪我やメンタルの不調により約3年試合から遠ざかった。23年5月の復帰戦では伊藤裕樹を組技主体で圧倒して判定勝ち。9月の福田龍彌戦では福田のパンチで左まぶたを腫らしTKO負け。昨年3月の神戸大会では柴田“MONKEY”有哉に1R膝十字で一本負けし、今回約1年ぶりに復帰する。
冨澤は27歳。21年にKrushでプロデビューし2勝後、22年11月にBreakingDownに初参戦し、MMAルールでヒロヤに判定負け。23年大晦日のRIZINでのオープンフィンガーグローブ着用キックルールの試合では篠塚辰樹に2ダウンを奪われ判定負け。昨年大晦日の雷神番外地では三浦孝太のタックルのカウンターでの膝蹴りで1R KO勝ちしている。
1R、アーセンがテイクダウンを奪うと、コーナー際の位置でバックマウント、サイドと行き来し、裸絞めや肩固めやVクロスアームロックを狙い続け圧倒する。Vクロスはパートナーの三浦彩佳の得意技だ。富澤はロープをつかむ反則があり注意1が入る。
2R、両者サウスポーで構え、アーセンの右肘のカウンターで、富澤が左ストレートを当て、アーセンをダウンさせる。だがアーセンはすぐ立つと、組み付いて倒し、今度はバックから裸絞めをすぐに極めタップを奪った。
田丸辰、MMA初戦は平本丈に完敗
第1試合 MMA フライ級(57kg) 5分3R
○平本 丈(剛毅會)
×田丸 辰[とき](TRY HARD GYM/FIGHTER’S FLOW/RISE WORLD SERIES 2023 -54kgトーナメント王者、元RISEスーパーフライ級(53kg)&フライ級(51.5kg)王者)
判定3-0 (松宮=平本/橋本=平本/石川=平本)
丈は21歳。5歳からキックを習い、兄の蓮を追うようにMMAに転向。23年3月のGLADIATOR大阪大会でのアマMMAの試合で飴山聖也に1R KO負け。23年大晦日のRIZINでプロデビューし、YUSHIに判定勝ち。昨年11月のDEEPでは木村琉音と対戦し、下からの腕十字で1R一本負けしている。
MMAデビュー戦となる田丸は23歳。キック戦績24戦18勝(4KO)4敗2無効試合。構えはサウスポー。プロデビュー7連勝で初代RISEフライ級王者となり、那須川天心に続くRISE軽量級の新世代として活躍する。RISE WORLD SERIES 2023 -54kgトーナメントでは大﨑一貴、クマンドーイら強豪を下し優勝し、賞金1千万円を獲得し、RISEの同年のMVPの賞金300万円も獲得する。昨年9月のRISE世界バンタム級タイトルマッチで王者の志郎に判定負けして以降は試合をしていなかった。3月の会見で田丸はMMA挑戦理由について「RISEで年間MVPを取って次のモチベーションを考えたときに、新しいことにチャレンジしたいなと思って、今回、いいタイミングでMMAの話が来た」と話していたが、その時点で1か月しかMMAの練習しておらず、試合では準備不足が露呈する。
1R、両者サウスポーで構え、田丸が左ローを連打していると、丈がタックルを仕掛けて倒す。田丸は下から首を抱えるが、極まりは浅く、膠着が続き、豊永レフェリーはブレイクする。中盤過ぎ、丈が首投げでテイクダウンを奪うと、終盤にはパスガードし、さらにマウントを奪い、パウンドを当て攻勢を印象付ける。
2R、スタンドでのお見合いが続き、田丸は組みを警戒してか、あと一歩踏み込めない。中盤、丈がタックルを失敗し下になるが、田丸はトップキープできず、すぐに丈が返して上になる。終盤、田丸が立っても、すぐ丈はタックルで倒して上をキープする。最後、丈がパスガードして終える。
3R、丈が序盤から胴タックルで倒して上になる。丈はコーナー際で押さえ続け、時折パウンドを当てる。終盤、丈はマウントも奪いパウンドを当て、主導権を維持し終了。丈が判定勝ちした。記者採点はダメージ0-0、アグレッシブネス0-0、ジェネラルシップ20-0の合計20-0で丈。
オープニングセレモニー
RIZIN男祭りと銘打たれた今大会のオープニングセレモニーでは、1990年代から2010年代の格闘技界で活躍してきたブアカーオ・バンチャメーク、マーク・コールマン、川尻達也、高阪剛、石渡伸太郎、イリー・プロハースカ、神取忍による和太鼓パフォーマンスが行われた。
リング上にはRIZINの榊原信行CEOが、RIZINの笹原圭一広報事業部長、DEEPの佐伯繁代表を従え、ふんどし姿で登場し、「祝 10周年」のメッセージの書かれた布を提示しつつ、「男たちよ、己のプライドを見せつけろ」と叫び、選手たちが入場する演出が施された。
入場者数は42,706人だった。朝倉未来×平本蓮の行われた昨年7月の超RIZIN.3さいたまスーパーアリーナ大会は48,117人だった。(いずれも主催者発表)(上3枚の写真提供:(C)RIZIN FF)
オープニングファイト
オープニングファイト第3試合 MMA 75kg契約 5分2R
×佐々木大[ひろ](JAPAN TOP TEAM)
○中谷優我(BRAVE)
判定0-3 (長瀬=中谷/豊永=中谷/松宮=中谷)
1R、開始すぐから佐々木がスライディングして下になると、足関節技を狙い、極まらないと上を取り返す。中盤、中谷が上を取り返すが、佐々木が下から密着して細かく仕掛けを続け、佐々木は攻撃ができない。
2R、佐々木はまたもすぐ下になるが、中谷はパスガードしてサイドで押さえ続け、ボディに膝を当て、時折首を抱えたり鉄槌を当てたりし、攻勢を印象付ける。最後、中谷は立ち、サッカーボールキックや踏みつけで攻め終了し判定勝ちした。記者採点はダメージ0-0、アグレッシブネス0-30、ジェネラルシップ0-20の合計0-50で中谷。
オープニングファイト第2試合 MMA フェザー級(66kg) 5分2R
×上田貴央(FIGHTER’S FLOW)
○ヴィニシウス(ブラジル/RE-RAISE TOKYO/BRAVE GYM)
判定0-3 (長瀬=ヴィニシウス/豊永=ヴィニシウス/松宮=ヴィニシウス)
1R、ヴィニシウスは上田の背中を向けながらもアームロックを狙ったり、四つん這いになったりといった独特の動きを前に攻め辛そうだったが、終盤、上からパウンドを当て、最後はスタンドで左ハイを当ててダウンを奪い、しっかり差を示す。
2R、中盤にヴィニシウスがまたも左ハイでダウンを奪い、グラウンドでバックを取ろうとするが、下になる。ヴィニシウスは三角絞めを狙うが膠着しブレイクがかかる。その後もヴィニシウスが上田のタックルを切ってパウンドを当て、ボディに膝を当てる等攻め続け判定勝ちした。記者採点はダメージ0-0、アグレッシブネス0-30、ジェネラルシップ0-20の合計0-50でヴィニシウス。
オープニングファイト第1試合 キック(ワンキャッチワンアタック・肘無し) 57.5kg契約 3分3R
×赤平大治(VERTEX)
○橋本楓汰(POWER OF DREAM)
判定0-3 (豊永24-30/松宮24-30/福田25-29)
NJKFの赤平、K-1 GROUPの橋本によるオープニングファイト。1R、赤平が左フックを当てる場面もあったが、橋本が左の三日月、ボディを効かせ、じわじわ流れを引き寄せ、終盤、左ストレートでダウンを奪う。終了間際にも橋本が右ストレートでダウンを奪う。
2R、橋本が前に出て顔面とボディにパンチを当て続け、中盤にスタンディングダウンを奪う。だがやや攻撃が単調になり、攻め疲れもあり、ダウンを追加できない。
3R、赤平もパンチを振り回し、底力を見せるが、空振りが多い。橋本は攻撃が減るものの、随所でしっかり当て、反撃を封じ判定勝ちした。