RIZIN.49 12.31 さいたま(レポ/前半):シェイドゥラエフ、久保優太に2R TKO勝ち。ダウトベック、YA-MANに判定勝ち。元UFCトーレス、神龍誠に判定勝ち。桜庭大世、MMAデビュー戦で矢地祐介を26秒KO
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RIZIN DECADE – RIZIN.49
2024年12月31日(火)埼玉・さいたまスーパーアリーナ
レポート&写真:井原芳徳
※RIZIN.49後半戦のレポート、雷神番外地のレポートは各リンク先に掲載しています。
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シェイドゥラエフ、久保優太に2R TKO勝ちしRIZIN 3連勝
第9試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
×久保優太(PURGE TOKYO/BRAVE/元K-1ウェルター級(67.5kg)王者)
○ラジャブアリ・シェイドゥラエフ[Razhabali Shaidulloev](キルギス/Ihlas)
2R 2’30” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
RIZIN.49のメインイベントではフェザー級王者・鈴木千裕×挑戦者・クレベル・コイケのタイトルマッチが組まれたが、大会の前半パートのラスト2試合では、同級のラジャブアリ・シェイドゥラエフ、カルシャガ・ダウトベックの中央アジア勢が存在感を示した。
久保は37歳。キックボクシングのGLORY、K-1で王者となり、20年3月のジョーダン・ピケオー戦での勝利を最後に、ボクシング転向を理由としてK-1を離れる。だがMMAに転向し、21年9月のRIZINでMMAデビューし太田忍に判定負け。22年11月に奥田啓介をTKO勝ちし、昨年6月の札幌大会で木下カラテに判定勝ちし、大晦日大会では安保瑠輝也に1R裸絞めで一本勝ち。今年3月の神戸大会ではONE帰りの元修斗環太平洋フェザー級王者の高橋遼伍に判定勝ち。7月の超RIZIN.3では元RIZIN&修斗世界フェザー級王者の斎藤裕に2R左三日月蹴りでKO勝ち。MMAへのアジャストを試合ごとに高めている。
シェイドゥラエフはMMA 12戦全勝(4KO/8一本)の24歳。中央アジアのキルギス出身でレスリングをベースとし、昨年の韓国のROAD FC 63kgトーナメントでヤン・ジヨンに1R裸絞めで一本勝ち。バンタム級では減量苦となり、フェザー級に階級を上げ、6月にRIZINに初出場すると、元ライト級の武田光司をに1R裸絞めで一本勝ち。9月にはフアン・アーチュレッタに1R腕十字で一本勝ちすると、王者・鈴木千裕との対戦を熱望していた。
1R、サウスポーの久保に対し、シェイドゥラエフが右インロー、ストレートを的確に当てる。久保が左テンカオを放つと、シェイドゥラエフは組み付いて抱え上げて倒す。シェイドゥラエフはハーフ、サイド、ニーオンザベリー、マウントと動き、パウンドと肘で追い詰める。久保はトップに戻したが、シェイドゥラエフは一旦立ってパスし、最後はマウント、バックと動き、パウンドを当てて追い詰めて終える。
2R、シェイドゥラエフは右フックを当てて追い詰める。久保も左ミドルやストレートを返すがダメージが溜まり力が入らない。中盤、シェイドゥラエフがタックルで倒し、バックマウントから裸絞めを狙いつつ、最後はパウンドを連打したところでレフェリーがストップした。大会後のインタビューでシェイドゥラエフはフェザー級王座挑戦を改めて希望した。
ダウトベック、YA-MANに判定勝ちしRIZIN 3連勝
第8試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
×YA-MAN(TARGET SHIBUYA/RISEオープンフィンガーグローブマッチ-65kg級王者)
○カルシャガ・ダウトベック[Karshyga Dautbek」(カザフスタン/タイガームエタイ/レギオン)
判定0-3 (石川=ダウトベック [D 0-0/ A 0-30/ G 0-20]/橋本=ダウトベック [D 0-0/ A 0-0/ G 0-20]/松宮=ダウトベック [D 0-0/ A 0-0/ G 0-20])
YA-MANは28歳。昨年5月のRIZINでMMAデビューし三浦孝太に1R TKO勝ち。11月のFIGHT CLUBでのRISE OFGルールに準じた一戦で朝倉未来を77秒でKO。大晦日のRIZINでは平本蓮とMMAで対戦し判定負け。今年7月の超RIZIN.3では鈴木博昭に1R左フックでKO勝ちしている。MMAは3戦2勝(1KO)1敗だ。
ダウトベックは31歳。ボクシングをベースとし、15年にMMAデビューし、18年9月にRIZINに初参戦すると、当時まだRIZIN 2戦目だった朝倉未来に判定負け。母国カザフスタンでのAlash Prideでは昨年3試合とも1R KO勝ち。9月には元UFCのディエゴ・ブランダオンを左フックからのパウンドで35秒で仕留めた。今年1月のTOP BRIGHTS群馬大会では松嶋こよみを1R左肘打ちでダウンを奪ってからのパウンドでTKO勝ち。6月に6年ぶりにRIZINに出場すると関鉄矢を1R左ボディでKO。9月には木下カラテを1R左ストレートでKOし、8連勝・7連続1R KO勝ち中だ。
1R、ダウトベックがサウスポーからの左フックを当て、打ち合いでYA-MANも右フックをお返しし、激しい打撃戦に。中盤、ダウトベックはタックルを仕掛けて倒し、グラウンド勝負に切り替える。だが膠着すると、ジェイソン・ハーゾグ・レフェリーはブレイクする。またも打ち合いになると、ややダウトベックの左のヒットが目立つが、YA-MANも負けじと右フックをお返しし、場内を沸かせる。最後はダウトベックが再びタックルで倒して終える。
2R、ダウトベックは組み勝負主体に切り替え、テイクダウンを奪う。バックを取りかける場面もあるが、YA-MANは対処する。終盤、YA-MANが前に出続けるが、ダウトベックは左フックをあて、YA-MANを膝立ちにさせる場面を作り、変わらず優位をキープする。
3R、YA-MANは前に出て、打ち合いでパンチを当て、ダウトベックが少しバランスを崩す。ダウトベックはタックルで倒し、トップキープして時間を稼ぐ。一旦立たれても、またもダウトベックはタックルで倒しトップキープする。残り1分、膠着ブレイクがかかるが、ダウトベックは引き続きタックルを仕掛けて押し込んで終える。記者採点はダウトベック(D(ダメージ)0-0/A(アグレッシブネス)0-30/G(ジェネラルシップ)0-20/計0-50)。ジャッジ3者もダウトベックを支持し、ダウトベックが判定勝ちした。
福田龍彌、芦澤竜誠を54秒一撃KO
第7試合 MMA バンタム級(61kg) 5分3R
○福田龍彌[りゅうや](MIBURO/DEEPバンタム級&フライ級王者、元修斗世界フライ級王者)
×芦澤竜誠(フリー/元INNOVATIONフェザー級(57.15kg)王者)
1R 0’54” TKO (レフェリーストップ:左フック→グラウンドパンチ)
福田は32歳。修斗王者として活躍後、DEEPに主戦場を移し、22年夏から昨年5月のDEEPフライ級GPでは杉山廣平、安谷屋智弘、宇田悠斗、本田良介に判定勝ちし優勝すると共に、DEEPフライ級暫定王者となった。昨年9月のRIZINで山本アーセンに3R TKO勝ち。12月のカザフスタンのNaiza FCでディアス・エレンガイポフに判定負け。今年3月のDEEPでは1階級上のバンタム級で雅駿介に1R TKO勝ち。3月には神龍誠がDEEPフライ級王座を返上し福田が正規王者に昇格。5月のDEEPでは福田と元谷友貴によるDEEPバンタム級王者決定戦が組まれたが、福田が練習中に左肩鎖関節を脱臼し中止に。9月同王者決定戦では瀧澤謙太を1R KOしDEEP 2階級制覇を達成した。
芦澤は29歳。22年6月のTHE MATCHでのYA-MANとのオープンフィンガーグローブマッチで1R KO負け。同年12月にK-1を離脱し、昨年4月の大阪大会で皇治とキックルールで対戦し判定勝ち。昨年大晦日大会でMMAデビューしたが太田忍に1R KO負け。今年7月の超RIZIN.3では皇治とMMAルールで再戦し判定勝ち。11月の名古屋大会では昇侍に2R右膝蹴りでKO勝ち。試合後のマイクでは「俺ら(キックボクサーは)打撃一流なんで、MMAの選手だと歯が立ちません」と豪語していた。当初、雷神番外地へのオファーを受けたが拒否し、福田を相手に指名した。
1R、福田はサウスポーで構え、じりじりプレッシャーをかけると、右の前手のフェイントをかけつつ、一気に踏み込んで左フックをクリーンヒット。反応できなかった芦澤はダウンし、福田が追撃のパウンドを放ったところで福田正人レフェリーがストップした。
マイクを持った福田は「獲ったで。イエーイ。芦澤君、まずご指名ありがとうございます。これがDEEPのチャンピオンです。強いでしょ。13年戦って、みんなに喜んでもらえる戦いは得意なんで、また注目してください。オブリガード(ポルトガル語で『ありがとう』)」とアピールした。
上田幹雄、ROAD FC王者キム・テインを沈めヘビー級GP開催熱望
第6試合 MMA ヘビー級(120kg) 5分3R
○上田幹雄(BRAVE/極真会館全世界空手道選手権2019優勝/107.85kg)
×キム・テイン[Kim Taein](韓国/ROAD FC/ROAD FCヘビー級&ライトヘビー級王者/103.70kg)
2R 2’31” KO (顔面への左膝蹴り)
上田は29歳。19年に極真会館の世界大会で日本人として16年ぶりに世界王者になる。22年4月のRIZINでのMMAデビュー戦では髙阪剛にKO負け。12月のGRACHANでソン・ムジェを12秒左ハイでKOしMMA初勝利をあげると、昨年6月のRIZINでは関根“シュレック”秀樹を22秒左ハイでKO。9月のK-1ではキックボクシングに初挑戦しK-Jeeに2R KO勝ち。大晦日のRIZINではスダリオ剛を2R左ハイからのパウンドで仕留めた。だが今年6月大会ではシェミスラブ・コバルチェクに1R腕十字で一本負けした。
テインは31歳。アマチュアボクシングをベースとし、MMA 5戦5勝(5KO)。韓国のROAD FCの2階級制覇王者で、今年4月には同大会で3連勝していた関野大成に1R KO勝ちした。
1R、テインが前に出て右フックを振るい、押し込んでからも倒し、やや優位に進める。中盤、離れると、上田が左ミドルを当て、お互い顔面にパンチを当て、打撃戦が続く。最後、テインが倒し、バックを取るが、まもなく時間切れに。
2R、お互いパンチを当て、フラフラになり、一進一退の展開が続くが、ダメージ蓄積の大きいのはテインの方。中盤、上田がテインをコーナーに押し込むと、左膝蹴りを顔面にクリーンヒットし、見事マットに沈めた。
マイクを持った上田は「来年は必ずヘビー級のトーナメントできたらと思います。さっきエドポロキング選手がいましたけど、彼とやるのはもうちょっと後かな。その時しか日本人とやらないつもりです。他の時は海外の強豪をぶっ飛ばします。RIZINなめんなよって気持ちで頑張ります」とアピールした。
神龍誠、元UFCホセ・トーレスに判定負け
第5試合 MMA 59kg契約 5分3R
×神龍 誠(神龍ワールドジム/元DEEP&CFFCフライ級王者)
○ホセ・トーレス[Jose Torres](米国/元BRAVE CFバンタム級王者、元Titan FCフライ級&バンタム級王者)
判定1-2 (石川=トーレス [D 0-0/ A 0-0/ G 0-20]/橋本=神龍 [D 0-0/ A 0-0/ G 0-20]/松宮=トーレス [D 0-0/ A 0-0/ G 0-20])
神龍は24歳。昨年大晦日のRIZIN初代フライ級王座決定戦で堀口恭司に2R裸絞めで一本負け。今年3月にDEEPフライ級王座を返上。4月のRIZIN有明大会でイ・ジョンヒョンに1R肩固めで一本勝ち。7月の超RIZIN.3で扇久保博正に判定負け。11月4日のDEEPではKENTAに判定勝ちし、大晦日大会参戦を希望していた。
トーレスはRIZIN初参戦。16戦12勝(4KO/2一本)3敗1分の32歳。4歳から伝統派の松濤館空手を習い、学生時代はレスリングで活躍し、16年にMMAデビュー。Titan FCのフライ級とバンタム級の王座を獲得。18年にUFCで2戦し、初戦ではジャレッド・ブルックスが水車落としを自爆してしまいトーレスが2R KO勝ちし、2戦目はアレックス・ペレスに1R KO負け。その後はBRAVE CFで7戦4勝2敗1分しバンタム級王者となる。最近では5月の試合で判定負けしている。今回はフライ級とバンタム級の中間の59kg契約で両者が戦う。
1R、先手を取ったのは神龍だった。神龍が序盤からタックルを仕掛けて倒し、オンブになり、裸絞めを狙い先手を取る。オンブを解除された後も、神龍がグラウンドでバックを取るなどコントロールを続ける。
2Rは流れがトーレスに。トーレスがサウスポーの神龍にプレッシャーをかけ続け、顔面とボディへのパンチを当てつつ、右インローを絡めていると、神龍は次第に足が流れるように。終盤、神龍がタックルを仕掛けると、トーレスは切ってバックを取り、裸絞めを狙う。これは神龍が対処して下に落として上になるが、その先に持ち込めず終わる。
3R、神龍はバック肘や飛び膝といった大技で逆転を狙うが、トーレスは落ち着いてかわし、プレッシャーをかけ続け、パンチを当てる。神龍は足関節技の奇襲にも失敗し、トーレスに上を取られ、バックも取られる。トーレスは最後、腕十字を狙って終える。記者採点はトーレス(D 0-0/A 0-30/G 0-20/計0-50)。ジャッジは意外にも割れたが、2者が順当にトーレスを支持し、トーレスが判定勝ちした。
桜庭大世、MMAデビュー戦は矢地祐介を26秒KO
第4試合 MMA ライト級(71kg) 5分3R
×矢地祐介(フリー/元修斗環太平洋&PXCフェザー級王者)
○桜庭大世(サクラバファミリア)
1R 0’26” TKO (レフェリーストップ:左ストレート→グラウンドパンチ)
矢地は34歳。RIZIN草創期の16年からRIZINに上がり続け、21年大晦日にホベルト・サトシ・ソウザの持つライト級王座に挑戦し2R一本負けし、22年4月にはルイス・グスタボに2R TKO負けし2連敗。その後はRIZINで3連勝。今年2月の佐賀大会では白川陸斗に2R裸絞めで一本勝ちした。だが5月のベラトール・パリ大会ではマンスール・ベルナウイに1Rダースチョークで一本負け。9月には宇佐美正パトリックに判定勝ちしている。
大世は26歳。ゼロ年代のPRIDEブームを築いた桜庭和志の長男。柔道をベースとし、これまでグラップリング大会のQUINTET、K-1アマチュアで試合を重ね、今回MMAプロデビューする。矢地と大世はJAPAN MARTIAL ARTS EXPOでのQUINTETルールでのチーム対抗戦で別々のチームで出場し、矢地は登場機会がなかったが、大世はバンタム級の倉本一真と対戦し、スタンドレスリングの攻防で渡り合い、足関、アームロックで果敢に攻めたが時間切れ引き分けとなっていた。
試合はまさかの展開に。1R、両者サウスポーで構え、離れて蹴りを出し合う立ち上がりに。長身の大世が左ハイを放つと、矢地は蹴り足を右手ですくう。すると大世は足をつかまれ片足立ちのまま、左ストレートを放つと、防御できずにもらった矢地はダウンする。大世がパウンドを連打し、レフェリーがストップ。場内は大きくどよめいた。
マイクを持った大世は「七光りでも強いんだぞというところを少しは見せられたと思います。もっと練習頑張っていくので応援お願いします」とアピールした。最後はセコンドについた父の和志らと記念撮影した。
武田光司、新居すぐるにテクニカル判定勝ち
第3試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○武田光司(フリー/元DEEPライト級王者)※BRAVEから所属変更
×新居すぐる(HI ROLLERS ENTERTAINMENT/元パンクラス・フェザー級王者)
3R 4’09” テクニカル判定3-0 (橋本=武田 [D 0-0/ A 0-0/ G 20-0]/石川=武田 [D 0-0/ A 30-0/ G 20-0]/松宮=武田 [D 0-0/ A 0-0/ G 20-0])
武田は29歳。ガジ・ラバダノフ、ルイス・グスタボ、トフィック・ムサエフを相手に3連敗後を喫すると、ライト級からフェザー級に下げることを決意。3月の大阪大会で萩原京平に完勝したが、6月に初参戦のラジャブアリ・シェイドゥラエフの打撃とレスリングに苦戦し1R裸絞めで一本負けした。7月にBRAVEから独立しフリーに。11月17日の名古屋大会ではビクター・コレスニックと対戦予定だったが、コレスニックが感染症により緊急出場したため試合が中止となっていた。
新居は33歳。昨年6月のRIZIN札幌大会では飯田健夫(たてお)に1R KO勝ち。9月には亀井晨佑に2Rヘッドシザースで一本勝ちし、パンクラス・フェザー級王者となった。大晦日のRIZINでは弥益ドミネーター聡志に2R右フックでKO勝ち。7月の超RIZIN.3では第1試合に登場し摩嶋一整に2R裸絞めで一本負け。その後、RIZINに専念するためパンクラス王座を返上している。武田は新居の経営するセキュリティ会社に勤めていたことがあり、練習もしていたことがある間柄だ。
1R、武田がタックルを仕掛けるが、新居は切りつつアームロックで迎撃し、そのまま倒す。新居はアームロックを狙いつつヘッドシザースも仕掛ける。ヘッドシザースを解除した後も、新居はアームロックを狙い続ける。武田は脱出すると、上からパウンドを落とすが、ロープの外に出てしまい、ジェイソン・ハーゾグ・レフェリーはブレイクを宣告する。武田は不満を示し、少しスタンド勝負をして終了となる。
2R、武田がコーナーに押し込むが、倒せず膠着する。ハーゾグ・レフェリーは残り1分まで見てからブレイクする。ハーゾグ氏はUFCのチャンピオンシップも裁くレフェリーで、この試合のブレイクのタイミングもじっくり見る米国基準だったが、その後の試合では通常のRIZIN基準で早めにブレイクするようになっていた。ブレイク後、お互い有効な攻撃が乏しく終わる。
3R、武田が変わらず押し込むが、倒せず膠着する。中盤。新居の蹴りがローブローとなり中断する。レフェリーは組んだ状態から再開する。引き続き武田は押し込むが、残り1分を切り、またもローブローが入り中断する。レフェリーとドクターは続行不能と判断し、この時点までの内容で判定が行われる。記者採点は武田(D 0-0/A 0-0/G 0-20/計0-20)。ジャッジ3者も武田を支持し、武田が判定勝ちしたが、両者とも力を出し切れず悔しそうに慰め合っていた。
エドポロキング、RIZIN初戦は貴賢神を1R KO
第2試合 MMA ヘビー級(120kg) 5分3R
×貴賢神[たかけんしん](フリー/118.05kg)
○エドポロキング[King Edokpolo](ナイジェリア/ROOTS GYM/117.85kg)
1R 3’32” KO (スタンドパンチ連打)
貴賢神は27歳。元力士で22年4月のRIZINでMMAデビュー後、関根“シュレック”秀樹、カルリ・ギブレイン、荒東“怪獣キラー”英貴に3連敗。3月の神戸大会ではプロ2戦目のコーディー・ジェラベックに1R TKO勝ちしている。
エドポロキングは23歳。父親がナイジェリア人、母親が韓国人。204cmの長身を活かし、BreakingDownで勝利を重ね、4月に名古屋のRumbleというアマチュア大会でのプロマッチでナイジェリア出身の選手に15秒TKO勝ちしている。
1R、貴賢神が右カーフ、エドポロが左ジャブや右ハイを出す。中盤、貴賢神が押し込むが、倒せず膠着すブレイクがかかる。すると貴賢神が左右のパンチを振るって前に出たが、エドポロが頭を押さえて捕まえ、顔面に右膝蹴りをクリーンヒットする。ひるんだ貴賢神に、エドポロが左右のフックを当ててKOした。
マイクを持ったエドポロは「テイクダウン取られへんやろ、わかるか。ここから飛び級せず世界に向けてコツコツ頑張ります」とアピールした。
梅野源治、大雅とのMMAデビュー戦対決で判定勝ち
第1試合 MMA バンタム級(61kg) 5分3R
×大雅(TRY HARD GYM/リバーサルジム横浜グランドスラム/RISEスーパーフェザー級(60kg)王者、元K-1同級王者、元Krushスーパー・バンタム級(55kg)王者)
○梅野源治(PHOENIX/元ラジャダムナン&BOMライト級(61.23kg)王者、元WPMF世界・WBCムエタイ世界・同インターナショナル・スーパーフェザー級(58.97kg)王者、元M-1フェザー級(57.15kg)王者、元WPMF日本&WBCムエタイ日本スーパーバンタム級(55.34kg)王者)
判定0-3 (橋本=梅野 [D 0-0/ A 0-0/ G 0-20]/松宮=梅野 [D 0-0/ A 0-0/ G 0-20]/石川=梅野 [D 0-0/ A 0-0/ G 0-20])
第1試合ではキックボクサー同士のMMAデビュー戦が組まれた。大雅は28歳。21年11月のRISEで梅野源治に判定勝ちし、22年3月のRIZIN大阪大会では髙橋亮と引き分けに終わったが、同年7月のRIZIN沖縄大会で新田宗一朗に判定勝ち後は6連勝、8戦連続負けなし。今年1月にチャンヒョンに判定勝ちしRISEスーパーフェザー級王座を獲得。最近では6月のRISE大阪大会でダニエル・プエルタスに判定勝ちしている。大雅のMMA挑戦は11月のRIZINの会見で発表され「K-1・RISEでベルトを取って、あとは何でもありで取るしかない。打撃だったら今のチャンピオン(=井上直樹)とレベルが違う」と豪語した。MMAは9月からリバーサルジム横浜グランドスラムで練習し始めたばかりだ。
梅野は36歳。近年はRIZINでの肘有りキックルールの試合が続き、昨年6月、鈴木千裕の兄・宙樹に飛び膝蹴りでKO負け。10月にはK-1 GROUPの斎藤祐斗に判定2-0で辛勝。昨年からMMAの練習をし、6月にオープンフィンガーグローブ着用での肘有りキックの試合が組まれ、MMA選手の魚井フルスイングに判定勝ちしたものの、ダウンとバッティングの裁定を巡り物議を醸す内容だった。
試合は比較的MMAの練習経験で上回る梅野がMMAの展開で優位に進めることに。1R、サウスポーの大雅に対し、梅野が前に出て積極的に右フックを放ち、右肘も絡めて脅かす。終盤、大雅が胴タックルで梅野を倒すと、梅野はギロチンチョークで迎撃するが、極まりは不十分だ。大雅は頭を抜き、最後は立ち、踏みつけを放つが、ヒットにならない。
2R、大雅がタックルを繰り返すが、梅野は対処すると、中盤、タックルで倒す。梅野はサイド、上四方と移り、頭にコツコツと膝を当てる。最後、梅野はマウントになるが、大雅はブリッジで脱出して終える。
3R、大雅は打撃勝負に集中し、左ロー、ストレートのヒットを増やし巻き返す。だが梅野はひるまず、終盤にはタックルで倒すと、マウントを奪い、最後はバックを取り、裸絞めを狙いながら鉄槌も当て、攻勢で終える。記者採点は梅野(D 0-0/A 0-30/G 0-20/計0-50)。ジャッジ3者も梅野を支持し、梅野がMMAデビュー戦を白星で飾ったが、グラップリング技術に関してはまだまだ課題が多いと感じさせる内容だった。
第0試合 MMA RIZIN甲子園決勝戦 バンタム級(61kg) 5分2R
○横内三旺[さんおう](山梨/フォーランバス/高3)
×斉藤健心(神奈川/カルペディエム横浜/高1)
1R 3’03” 裸絞め
※横内が優勝
RIZINは未来のスター選手発掘を目的としたプロジェクト「RIZIN甲子園」のトライアウトを今年初開催した。対象は現役高校生世代の男子で階級は61kgのバンタム級相当。優勝特典はRIZINとのマネジメント契約、奨学金・海外遠征費用(総額300万円)。
8月8日に書類審査を通過した選手によるトライアウトが行われ、体力測定・自己PR・サンドバッグ打ち・膝立ち相撲による審査を経て、約150名から32名に絞り込まれた。8月25日にはMMAルールによる一回戦と二回戦、11月2日には準々決勝と準決勝が行われた。決勝は大晦日のさいたま大会で行われた。
横内は昨年7月、アマ修斗東海選手権のフェザー級で優勝し、10月の全日本選手権の同級では初戦敗退。11月のDEEP後楽園大会のセミプロルールの試合には「横内おにぎり君」のリングネームで出場したが1R TKO負け。今年4月のDEEPフューチャーキングトーナメントのバンタム級では準優勝している。今回のRIZIN甲子園でも一回戦はアームロック、二回戦は裸絞めで一本勝ちし、極めの強さを印象付けていた。
斉藤は伝統派空手を4年経験し、同じ伝統派出身の堀口恭司に憧れMMA挑戦を決意し、堀口を彷彿とさせる出入りの激しいステップが特徴。極真空手も7年の経験があるが、レスリングや柔術も経験済で、一回戦では腕十字、二回戦では裸絞めで一本勝ちし、トータルバランスの高さを印象付けた。ベスト8のうち高3が6人、高2と高1が1人ずつだったが、斉藤は最年少の高1ながらも決勝に残った。
試合は横内の完勝に。1R、開始すぐから横内がタックルを仕掛け、抱え上げて倒すと、グラウンドでバックを奪うなどコントロールを続ける。一旦立たれても、すぐ組み付き、抱え上げて倒し、バックを奪うと、裸絞めでタップを奪った。
マイクを持った横内は「横内おにぎり君、チャンピオンベルト巻くまで見たくないっすか。ここから第2章ぶちかまします。次の大会、篠塚(辰樹)君、逃げないようならやらせてもらいたいです。受けてくれないなら他の強い相手用意して欲しいです」とアピールした。