RIZIN 雷神番外地 12.31 さいたま(レポ):K-1から来た朝久泰央、BreakingDown王者YURAとのダウンの応酬制し判定勝ち。安保瑠輝也、巨漢シナ・カリミアンとのボクシング形式戦で判定勝ち
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RIZIN DECADE – 雷神番外地
2024年12月31日(火)埼玉・さいたまスーパーアリーナ
レポート&写真:井原芳徳
※RIZIN.49前半戦のレポート、RIZIN.49後半戦のレポートは各リンク先に掲載しています。
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「RIZIN DECADE(ディケイド)」は2015年末にさいたまスーパーアリーナ大会で旗揚げしたRIZIN 10周年を記念した大会。当初は3部構成とし、第1部は世界配信を意識し、ライアン・ガルシアと安保瑠輝也のボクシング形式のエキシビションマッチをメインイベントとしたパート、第2部は未定、第3部は通常のRIZINのナンバーシリーズのRIZIN.49という構成だった。ところがガルシアの欠場で安保とのエキシは来年春に延期されると共に、第1部は実質中止となり、第1部で組まれたMMAの2試合は第3部に移動した。第3部のRIZIN.49のカードは早い段階で揃い、大会が9日後に迫った22日、ようやく当初の第2部にあたるパートの詳細が発表された。
第2部のイベント名称は「雷神番外地」。22日の会見でRIZINの榊原信行CEOは「第2部は通常のRIZINと違うヒリヒリした世界観でできないか朝倉未来に相談しました。未来も『やりましょう』と答えてくれて今日この場に至っています。さすがにいい感性をしていると思ったのが平本蓮で、BLACK ROSE軍でも何か関わらせてくれと手を上げ、14日のK-1に行って誰か一緒に未来のチームとやろうよと声をかけました。で、未来にもその旨を相談して『面白いですね。じゃあ全面対抗戦でいきましょう』ということで、朝倉未来軍とBLACK ROSE軍の全面対抗戦を発表させていただきます。大会のタイトルですけど、RIZINなんだけどナンバーシリーズでもLANDMARKでもないということで、『雷神番外地』という名前で行います」とコンセプトを説明した。
未来軍は未来がプロデュースするBreakingDownのレギュラー選手や所属先のJAPAN TOP TEAM所属のプロ選手によるチーム編成で、朝倉未来は「BreakingDownは結構数字持っているんで、これきっかけでRIZINを見てもらいたいです。RIZINの会場のセットの雰囲気は世界一ですし、本物の格闘技を知るきっかけになってもらえればうれしいです」と、この対抗戦の意義を述べていた。
大会名の元ネタは1960年代の高倉健主演のやくざ映画「網走番外地」シリーズで、毛筆のロゴも同映画そっくりで、リングもラウンドガールのコスチュームも黒と、白が基調のナンバーシリーズとのコントラストを際立たせる演出が施される。
RIZINの榊原CEOはオープニング映像の中で、来年2025年5月4日に東京ドームを押さえ、平本蓮と朝倉未来の再戦を組むと発表した。大会名は「THE MATCH 2」にするとのこと。サプライズ発表となり、場内のファンは大きくどよめき、オープニングセレモニーでは最後に登場した両選手が中央に歩み寄って握手した。この発表により、「雷神番外地」は平本蓮×朝倉未来2に向けてのPRイベントという色合いがつくことになる。
安保瑠輝也、巨漢シナ・カリミアンとのボクシング形式戦で判定勝ち
第7試合 スタンディングバウト特別ルール(ボクシング形式/非公式戦/判定あり) 100kg契約 2分6R
○安保瑠輝也[るきや](MFL team CLUB es/元K-1スーパー・ライト級(65kg)王者)
×シナ・カリミアン[Sina Karimian](イラン/SINA ARMY/元K-1クルーザー級(90kg)王者)
判定3-0 (柴田60-54/石川60-54/橋本60-54)
安保は29歳。フルコンタクト空手をベースとし、12年8月のKrushでキックデビュー。19年6月、K-1スーパー・ライト級王者となり2度防衛。21年9月のK-1ウェルター級王座決定トーナメント決勝で野杁正明に敗れたが、22年6月のTHE MATCHでRISEの山田洸誓に判定勝ち。23年1月、K-1を離脱し、5月の有明大会でRIZINに初出場し、ブアカーオと引き分け。9月大会で宇佐美正パトリックに判定勝ち。RIZINでキックルールで2戦したが、大晦日大会では久保優太を相手にMMAデビュー戦を行い1R裸絞めで一本負けした。7月の超RIZIN.3ではプロボクシング6階級制覇王者で45歳のマニー・パッキャオをボクシング形式のエキシビションマッチで追い詰めて話題を呼んだ。大晦日大会では元WBC世界ライト級(61.23kg)暫定王者・ライアン・ガルシアとのエキシを予定していたが、ガルシアの右手首の負傷により、来年春に延期となった。22日の雷神番外地の記者会見に電話参加し、朝倉未来軍の大将としてボクシング形式のエキシで出場することを表明していた。
カリミアンは36歳。初代・第3代のK-1クルーザー級(90kg)王者。10月の大阪での無差別級トーナメント・アジア予選のクラウディオ・イストラテ戦がイストラテの後頭部殴打の影響でノーコンテストに。12月14日のK-1では木村太地と対戦し、パンチで2ダウンを奪い追い詰めたが、ローブローで木村が続行不可能となり、2戦連続でのノーコンテストとなっていた。同大会では平本蓮がリングに上がり、雷神番外地での平本軍に参加する選手を募り、その場では朝久泰央が名乗りをあげたが、カリミアンも大会後に名乗りを上げていたといい、今回安保の相手に選ばれた。
この一戦は100kg契約となり、前日計量で安保は81.15kg、カリミアンは97.75kgだった。
1R、安保が巨漢のカリミアンからステップで距離を取り、時折左ボディを当て、顔面にパンチをつなげようとするが、カリミアンはブロックする。最後、カリミアンが勢いよく右ストレートを放って安保がかわすと、場内がどよめく。
2R以降も基本的に同様の展開。的確に安保が当てているが、カリミアンはビクともしない。4Rになるとカリミアンは顔を突き出してあえて安保にパンチを打たせ、余裕を見せるように。とはいえカリミアンはあまり攻めない状態が続く。
6R、カリミアンが反則のバックハンドブローを出す。空振りとはいえ長瀬レフェリーから注意が入る。その後もカリミアンはバックハンドを繰り返し、安保もバックハンドを返すように。ブレイク後もカリミアンが右フックを振るってレフェリーが被弾し、荒れた状況を収めようとサブレフェリーもリング上がって収拾させようとする、カリミアンの試合らしい一幕も。実質なところ非公式戦ではあるがジャッジの判定も行われ、結局毎ラウンド積極的に攻めた安保がポイントを取り判定勝ちという結果になった。
マイクを持った安保は「しょっぱい試合ですみません。俺を倒せなかったカリミアンの負けです」と話した後「来年5月、朝倉未来さんと平本蓮が戦います。未来さん、日本の格闘技界のためにも絶対勝ってください。サポートできることがあればなんでもします。ガルシアとアメリカまで戦いにいくんで応援お願いします」とアピールした。
安保とガルシアのエキシは来年4~5月に米国で行う方向で交渉が進んでいるが、ガルシアは年明けに右手首の手術を控えていることを大会中にビデオメッセージで発表した。回復具合も今後の展開に影響を与えることになるだろう。
第6試合 キック(オープンフィンガーグローブ着用) 77kg契約 3分3R
×細川一颯[いっさ](フリー)
○宇佐美正パトリック(クレイス)
2R 2’59” TKO (レフェリーストップ:左ボディフック)
細川は24歳。6歳から11歳のころに極真空手を習う。22年からMMAを始める。23年11月のBreakingDownで才賀紀左衛門にKO勝ちしたことがある。12月8日のBreakingDownではYURAに判定負けしている。
パトリックは24歳。アマボクシングで高校6冠を達成し、18年の世界ユース選手権で銅メダルを獲得も、東京五輪の選考試合では敗退する。21年に修斗でMMAプロデビュー。Road to UFC欠場を経て22年10月からRIZINに参戦すると、佐々木信治とベイノアをパンチでKO。昨年4月にキム・ギョンピョに1R裸絞めで一本負け。9月のRIZINではキックルールで安保瑠輝也に判定負け。今年6月の1年ぶりのMMAでは徳留一樹を1R右ストレートからのパウンドで仕留めたが、9月のRIZINでの矢地祐介戦では寝技で攻め込まれ判定負け。12月8日のDEEPでも西川大和に判定1-2で惜敗したばかりだ。
1R、パトリックがプレッシャーをかけ、細川が回る構図が続く。細川が飛び膝を放つと、パトリックは左フックで迎撃する場面もあるが、基本的にパトリックが相手の出方を伺うような展開となる。
2Rも見合う状態が続くと、長瀬レフェリーが「攻撃しよう」と両者に声をかける。場内に笑いが起こると、パトリックはプレッシャーを強め、右ボディフックを当ててダウンを奪う。細川は立ったもののダメージが大きく、パトリックが左右のボディを連打してKOした。
篠塚辰樹、1R KO勝ち「来年MMAやるから、ヒロヤ、やろうね」
第5試合 キック(オープンフィンガーグローブ着用) 58kg契約 3分3R
×野田 蒼[あおい](月心会チーム侍/K-1甲子園2020 -55kg優勝)
○篠塚辰樹(MASTER BRIDGE/剛毅會/元Krushフェザー級(57.5kg)王者)
1R 2’07” TKO (3ダウン:左フック)
野田は21歳。19年にキックデビューし、K-1 GROUPを主戦場とし、昨年23年10月に鬼山桃太郎にKO負けした試合を最後に、K-1 GROUPを離れると、3月のRIZIN大阪大会で上村雄音、6月のRISE大阪大会でJINにKO負け。9月・10月・12月にはBreakingDownで試合をしている。今回は普段のプロでのキックの試合より約5kg上の58kg契約での試合となる。
篠塚は26歳。中学からボクシングを始め、インターハイではベスト8入りしプロでは4戦3勝1敗。18年にRISEでキックデビューし9戦した後、21年3月からK-1 GROUPに上がり、23年11月には森坂陸に判定勝ちし、Krushフェザー級王座を獲得した。大晦日のRIZINに初参戦すると、オープンフィンガーグローブ着用キックルールで冨澤大智と対戦し、パンチで2ダウンを奪い判定勝ち。3月にK-1 GROUPとの契約が終了し、Krush王座も返上。4月のRIZINではBKFC公認のベアナックルファイトに初挑戦し、ジャスティン・マルティネスに1R右ストレートでKO勝ち。7月のBKFC米国大会に出場予定だったが、右拳を負傷し、いわゆる「ボクサーズナックル」で欠場していた。
今回、未来は篠塚の相手として、BreakingDownの人気選手の井原良太郎を計画したが、12月8日の大会で骨折したため野田に決まったという。
1R、体格で勝る篠塚が開始すぐから左フックを当てて野田をひるませると、コーナーに詰め、左ジャブと右ストレートの連打でダウンを奪う。野田は右の飛び膝を繰り返すが、篠塚はかわし続け、右フックも顎を引いて受けて見せると、野田の右ローの直後に篠塚は左ジャブを合わせ、再びダウンを奪う。立った野田はフラついており、長瀬レフェリーは続行したが、最後は篠塚が軽い左フックで3ダウン目を奪い完勝した。
マイクを持った篠塚は「赤田勝ってたでしょ?」とだ維1試合で微妙な判定負けとなった同門の赤田プレイボイ功輝を気遣い、「来年MMAやるから、ヒロヤ、やろうね」とアピールした。すると未来陣営のヒロヤもリングインし、両者頭をつけてにらみ合いを繰り広げた。
第4試合 MMA 63kg契約 5分2R
○冨澤大智(フリー)
×三浦孝太(BRAVE)
1R 1’53” KO (左膝蹴り)
冨澤は27歳。21年にKrushでプロデビューし2勝後、22年11月にBreakingDownに初参戦し、MMAルールでヒロヤに判定負け。昨年大晦日のRIZINでのオープンフィンガーグローブ着用キックルールの試合では篠塚辰樹に2ダウンを奪われ判定負け。6月のBreakingDownで敗れた後、引退を表明したが撤回し、12月8日の大会で勝利している。MMAは2戦目だ。
三浦は22歳。サッカー元日本代表の三浦知良の次男。21年大晦日のRIIZNでプロデビューし、22年9月の超RIZINでのムエタイの選手との試合を合わせMMA 2連勝だったが、23年5月にYA-MANに1R TKO負けし、大晦日には皇治に2R TKO負けしている。
1R、冨澤がサウスポーで構え、前足での右ローを度々当てて先手を取る。三浦がタックルを仕掛けようとすると、冨澤が左ストレートを当てて三浦をひるませる。すると三浦はまたもタックルを狙うが、冨澤はカウンターで左の膝を顔面にクリーンヒットし、見事KO勝ちした。
K-1から来た朝久泰央、BreakingDown王者YURAとのダウンの応酬制し判定勝ち
第3試合 キック 66kg契約 3分3R
×YURA(ダイアタイガージム/BreakingDownフェザー級(66kg)王者、RISEスーパーライト級(65kg)7位・ミドル級(70kg)11位)
○朝久泰央[たいおう](朝久道場/元K-1ライト級(62.5kg)王者)
判定0-3 (内田25-28/石川25-28/長瀬25-28)
YURAは21歳。K-1甲子園 2021 -65kgトーナメント準優勝の実績があり、プロのキック戦績は14戦全勝(6KO)。RISEではねぎ魔神、KENTAに勝利し、2階級でランキングに入っている。10月のFIGHT CLUBでのオープンフィンガーグローブ着用マッチでは木村“ケルベロス”颯太を3R左フックでKOした。23年5月、地元宮崎の高校の先輩であるJTTの安井飛馬の推薦でBreakingDownに初参戦してからレギュラー参戦し、9月のライト級(71kg)王座決定トーナメントでは準決勝では敗れたが、12月のフェザー級(66kg)トーナメントで優勝し同級初代王者となった。
朝久兄弟の弟・泰央は28戦19勝(4KO)9敗の26歳。21年7月、地元・K-1福岡大会でゴンナパーに延長判定で勝利し、第5代K-1ライト級王者となる。ここまで7連勝だったが、22年2月の与座優貴とのノンタイトル戦で延長判定負け。この試合での怪我で1年休養し、昨年3月の与座とのベルトを懸けての再戦でも判定負けした。さらに1年半のブランクを経て、10月25日のKrushで復帰し龍華に判定勝ちした。12月14日のK-1代々木大会では、リングに登場した平本蓮の「誰かK-1ファイターで一緒に素人集団殺しませんか?」との呼びかけに、泰央は応じてリングに上がり参戦を表明。参戦正式決定後の会見で泰央は「元K-1の仲間の平本君と篠塚君が力を貸してくれって言った時に、誰も手を挙げなかったのを見て、今のK-1の選手の情けなさを感じました。誰も上がらないとK-1がナメられると思ったんで、ナメられるぐらいなら俺一人で集中砲火浴びますけど、RIZINに上がることを決意しました。K-1が世界最強を証明するための戦いだと思ってます」と名乗り出た理由を説明した。
泰央にとっては約1階級上の戦いで、前日計量でYURAは65.95kg、泰央は65.80kgだった。
1R、泰央はスイッチを繰り返しつつ細かく蹴りを出し続ける。YURAの右のパンチも当たるが、泰央が打ち合いで右フックを当ててダウンを奪う。だがその後の打ち合いでYURAが右フックでダウンを奪い返し、スリリングな展開に場内が沸く。
2R、泰央が右ロー、左ミドル、三日月といった蹴り技を下に散らしつつ、左右のフックも的確に当て続けて主導権を握る。最後は顔面への前蹴りも当て差を印象付ける。引き出しの多さの差が出る展開に。記者採点は泰央。ジャッジ3者も泰央につける。
3R、序盤こそYURAがパンチを立て続けに当て挽回したが、その先は続かず、終盤にかけて泰央がパンチのヒットを増やすと、残り30秒を切り、YURAの右フックのタイミングで左の三日月蹴りをクリーンヒットしダウンを奪う。これで泰央が差を広げ判定勝ちした。
マイクを持った泰央は「K-1から来た朝久泰央です。RIZIN上がることで色んな声あったと思いますけど楽しんでもらえました?BreakingDownで一番強い奴を俺がやったんで、あとは宇佐美君、篠塚君、カリミアンがやってくれると思います。K-1から乗り込んできた身として、ファイトマネーを全額、世界中の病気で苦しんでいる人や色々な人たちに寄付したいです。これからもRIZINに上がるかもしれないし、これからもK-1ファイターとして世界最強を証明します。朝久泰央とK-1とRIZINの応援お願いします。格闘技最高」とアピールし、観客からの拍手を浴びた。最後は平本とも記念撮影した。
第2試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○安井飛馬[ひゅうま](JAPAN TOP TEAM)
×黒薔薇くん[鈴木博昭](BELLWOOD FIGHT TEAM/元シュートボクシング世界スーパーライト級(65kg)王者
判定3-0 (内田=安井 [D 0-0/ A 30-0/ G 20-0]/石川=安井 [D 0-0/ A 30-0/ G 20-0]/橋本=安井 [D 0-0/ A 00-0/ G 20-0])
安井は24歳。柔道をベースとし、関西学院大学在学中に大阪のコブラ会でMMAを始め、21年のBreakingDown第1回大会出場でベストバウト賞を受賞。23年の朝倉未来チャレンジ2期生となり、今年4月のDEEPフューチャーキングトーナメントで優勝。8月のDEEP台場大会でプロデビューし劉獅に判定勝ち。12月8日のDEEPで牧野滉風を1R腕十字で下しMMA 2連勝中だ。
鈴木は40歳。シュートボクシングの主力として活躍し、ONEでの5戦を経て、21年10月のRIZINでMMAデビュー。昨年6月の札幌大会では西谷大成に左フックからのパウンドで56秒TKO勝ち。今年2月の佐賀大会では芦田崇宏に1R TKO勝ち、7月の超RIZIN.3ではYA-MANに1R左フックでKO負け。11月17日の名古屋大会では秋元強真に判定負けした。今回は「黒薔薇くん」のリングネームで出場する。
1R、鈴木がサウスポーで構えパンチや右ローを当てる。中盤、安井が組み付くとオンブになり、裸絞めを狙いつつグラウンドに引き込む。その後、安井はトップからパウンドを当て、マウントも奪い、グラウンドで主導権を維持する。最後はスタンドに戻る。
2R、安井がテイクダウンを繰り返し、グラウンドコントロールを続け、随所でパウンドを当て主導権を維持する。
3Rも同様に安井がグラウンドで攻め続け、主導権を維持し判定勝ちした。
第1試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○五明宏人(JAPAN TOP TEAM)
×赤田プレイボイ功輝(剛毅會)※コウキ会から所属変更
判定2-1 (橋本=赤田[D 0-50/ A 30-0/ G 20-0]/石川=五明 [D 0-0/ A 30-0/ G 20-0]/内田=五明 [D 0-0/ A 30-0/ G 20-0])
五明は29歳。帝京大学卒で伝統派空手の天皇杯優勝経験者。プロMMA 4戦目の昨年2月、DEEPフェザー級暫定王者決定戦に抜てきされたが、神田コウヤに判定負け。7月大会では極真空手がベースの海飛の右ハイ等の打撃に苦戦し判定負け。9月には劉獅に1R TKO勝ち。今年3月の木下カラテ戦では1R TKO負けしたが、5月には瀧口脩生に判定勝ち。9月には相本宗輝に判定負け。11月23日のDEEPではミョン・ジェウクに判定勝ちしている。
赤田は26歳。20年にKrushでプロキックボクサーデビューし7戦4勝(3KO)2敗1分。23年4月に目黒翔大に判定負けした試合を最後にK-1 GROUPを離れ、MMAに転向。平本蓮と練習をし、11月4日のDEEPのアマチュアの試合で鳥次亜流に1R左フックからのパウンドでTKO勝ちしており、今回プロデビュー戦となる。
今回、赤田の相手として、BreakingDownに出ているジョリーを未来は考えていたが、膝の怪我によりジョリーは出場できず、五明というより強力な選手が用意された。
五明のセコンドには元K-1王者で伝統派空手がベースの山崎秀晃、赤田のセコンドには平本がつく。1R、序盤から五明が引き込んで下になるが、その先の攻めはなくブレイクがかかる。スタンドの攻防が続き、両者サウスポーで構え、終盤、五明の右の縦肘で赤田が眉間を切り出血しドクターチェックが入る。
2R、パンチの攻防とコーナーの押し合いが繰り返される。お互い目立つヒットは乏しい。
すると3R中盤、赤田の右フックがこめかみにクリーンヒットし、五明はダウンする。赤田はパウンドで追撃する。五明は脱出しスタンドに戻すが、反撃に持ち込めず終了する。記者採点は赤田(D(ダメージ)0-50/A(アグレッシブネス)30-0/G(ジェネラルシップ)20-0/計50-50、Dを取った赤田)。赤田の3Rの攻勢を評価したが、1Rのカットもあったせいか、ジャッジは割れ、2者が五明を支持し、五明が判定勝ちした。
対抗戦は7戦4勝3敗で朝倉未来軍の勝ち越しとなったが、平本蓮は赤田戦の判定に不満を露わにし、4勝3敗で自軍の勝利だとXでアピールした。対抗戦の遺恨を残したことで、平本と朝倉の再戦に向け、番外地での抗争もまだまだ続きそうだ。