RIZIN 12.31 さいたまスーパーアリーナ(終盤戦レポ):堀口恭司、神龍誠を2R裸絞めで仕留め初代フライ級王者に&プロポーズ成功。朝倉海、アーチュレッタを膝蹴りKO。クレベル、斎藤裕に3R一本勝ち。平本蓮、YA-MANに判定勝ち
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にゃんこ大戦争 presents RIZIN.45
2023年12月31日(日) 埼玉・さいたまスーパーアリーナ
レポート&写真:井原芳徳 (※今回のレポート記事は3ページに分けてお伝えします)
中継 ABEMA、U-NEXT、RIZIN 100 Club、RIZIN LIVE(当日6,600円/アーカイブ3,300円)、スカパー(6,600円)
堀口恭司、神龍誠を2R裸絞めで仕留め初代フライ級王者に&プロポーズ成功
第17試合 MMA RIZINフライ級(57kg)タイトルマッチ(初代王者決定戦) 5分3R
○堀口恭司(アメリカントップチーム/元RIZIN・ベラトール・修斗世界バンタム級王者、元UFCフライ級3位)
×神龍 誠(神龍ワールドジム/DEEP&CFFCフライ級王者)
2R 3’44” 裸絞め
※堀口が王者に
堀口は昨年2022年、ベラトールのバンタム級上位戦線でセルジオ・ペティス、パッチー・ミックスに連敗し、9月のRIZINでは金太郎に2R肩固めで逆転一本勝ち。体格差に苦しむ試合が続いたことから、大晦日のRIZINの扇久保博正戦から、UFC時代と同じフライ級に戻し判定勝ちした。今年2023年4月のベラトール・ハワイ大会ではレイ・ボーグとのフライ級戦が組まれたが、ボーグが減量苦で試合を辞退し中止となっていた。
神龍は23歳。昨年22年5月のDEEPでフライ級暫定王者の藤田大和と王座統一戦を行い、3Rニンジャチョークで一本勝ち。7月のRIZIN埼玉大会では所英男に判定勝ち。UFC参戦を目指し、11月にはフロリダのCFFCに参戦すると、ディエゴ・パイヴァに勝利しCFFCフライ級王座を獲得した。今年23年4月のRIZIN大阪大会では北方大地に2R肩固めで一本勝ちした。
7月のベラトール埼玉大会では堀口と神龍のベラトール・フライ級初代王者決定戦が行われたが、開始すぐに堀口の左指が神龍の右目に入り、ドクターストップがかかり、無効試合となっていた。今回はRIZINの初代フライ級王座を懸け、仕切り直しの激突に。大晦日のメインイベントに置かれ、それにふさわしい、お互いの高い技術の応酬となる。
1R、堀口がオーソドックス、神龍がサウスポーで構え、神龍がタックルを仕掛けると、堀口は切ったが、神龍はコーナーに押し込んでから倒す。神龍はコーナー際で上から押さえ、下から堀口はギロチンを狙うが、神龍は対処を続ける。神龍は上から押さえ、ロープに沿って動く堀口を押さえ続け、隣のコーナーまで動いて押し込む。堀口がコーナーを背にして立つと、神龍はオンブでバックを狙うが、堀口もこれを対処する。組みで一進一退の展開となり、ほぼ五分だ。
2R、堀口が開始すぐ、右ミドルをハイキックに近い形で強打すると、フラついた神龍を倒し、サッカーボールキックをボディに当てる。堀口は上になると、神龍はリバースして上になるが、堀口はロープ際でまたもギロチンを狙う。堀口の攻めが目立ち始める流れに。
スタンドに戻ると、パンチの打ち合いとなるが、堀口は組み付くと、コーナー際で倒してまたも上になる。堀口はコントロールしてじわじわ背後に回り込むと、最後は裸絞めを極めてタップを奪った。堀口はバンタム級に続くRIZIN史上初の2階級制覇を達成した。
ベルトを巻きマイクを持った堀口は「神龍選手、滅茶苦茶強くて、1R、おーっと思ったんですが、ベテランの意地を見せました。神龍君、ATT来ない?一緒に練習しようよ」と話し、神龍を称えた。
続けて「川村さん」と、元RIZINガールの川村那月さんをリングに呼び寄せ、突如公開プロポーズを繰り広げた。川村さんは「ずっと一緒にいさせてください」と承諾した。川村さんは「ビザが取れ次第アメリカに渡ってサポートします」とも話し、最後は記念のキスをして締めくくると、場内は暖かい拍手に包まれた。挙式は2月3日に日本で行うという。
朝倉海、計量オーバーのアーチュレッタを膝蹴りでKO
第16試合 MMA RIZINバンタム級(61kg)タイトルマッチ 5分3R
×フアン・アーチュレッタ(米国/ザ・トレーニングラボ、HBアルティメット&グレイシーバッハ/元王者、ベラトール3位・元王者)※初防衛戦
○朝倉 海(JAPAN TOP TEAM/挑戦者、元RIZINバンタム級王者、元THE OUTSIDER 55-60kg級王者)※トライフォース赤坂から所属先名称変更
2R 3’20” TKO (レフェリーがストップ:右膝蹴り→グラウンドパンチ)
※アーチュレッタは前日計量で2.8kgオーバーし王座はく奪。当日試合約1時間前の計量での68kgリミットで実施。アーチュレッタはレッドカード1枚、勝った場合はノーコンテスト。朝倉が勝った場合のみ王者として認定される
※朝倉が王者に
朝倉兄弟の弟・海は20年大晦日、堀口にリベンジを許しRIZINバンタム級王座から陥落。21年のバンタム級日本GPで渡部修斗、アラン“ヒロ”ヤマニハ、瀧澤謙太を下し決勝に進んだが、扇久保博正に敗れた。昨年22年7月の沖縄大会でヤン・ジヨンと戦う予定だったが、大会直前に右拳の怪我が発表され試合が中止に。今年23年5月の有明大会で約1年半ぶりに復帰し、元谷友貴に3R KO勝ちした。7月の埼玉大会でアーチュレッタとバンタム級王者決定戦が組まれたが、海は7月上旬に左膝の内側側副靭帯を損傷し全治6~8週間と診断されたため欠場し、アーチュレッタは扇久保に判定勝ちし王者となった。
ベラトール推薦選手のアーチュレッタは昨年22年の大晦日にRIZINに初参戦すると、キム・スーチョルに判定勝ち。今年23年5月の有明大会では井上直樹に判定勝ちし、7月の扇久保戦と合わせてRIZIN 3連勝中だ。しかし今回の初防衛戦の前日計量で2.8kgオーバーし、王座をはく奪されてしまった。
通常、競技としての公平性を考えれば、2.8kgの差は大きく、中止が妥当なところだが、その後の協議の結果、試合は実施することになった。ただし、試合約1時間前の計量で、アーチュレッタは68kgの契約体重をクリアすることが新たに義務付けられた。約1日かかって両陣営との交渉が行われ、当日14時からの第1試合の前に、榊原信行RIZIN CEOがリングに上がって発表した。海が勝った場合のみベルトを巻き、アーチュレッタが勝った場合はノーコンテストとなる。また、アーチュレッタはレッドカード1枚から試合スタートとなる。
1R、海が先にパンチを出したが、アーチュレッタはパンチを振るい、タックルを仕掛けて倒し、海の立ち際に顔を蹴ろうとする。さらにアーチュレッタが右フックを当てると、海はダウンする。アーチュレッタはすかさず上から押さえつつ、ギロチンを仕掛けるが、海は対処し、上になって押さえて難を逃れつつ、ダメージを回復させる。スタンドに戻ると、アーチュレッタがタックルを繰り返し、前に出てパンチを振るうが、海もパンチを返し続け、スリリングな展開が続く。最後、アーチュレッタがタックルで倒しバックを取るが、ゴングが鳴った後に興奮状態でパンチで追撃し、福田レフェリーからイエローカードをもらう。場内は珍しくブーイングに包まれる。
2R、アーチュレッタは執拗に前に出てパンチを振るう。海はかわしつつ、随所でサウスポーからの左ミドル、ハイをヒットする。アーチュレッタはそれでも前に出るが、海は中盤、後ろに下がって誘いつつ、右のテンカオ(膝蹴り)をアーチュレッタのレバーにヒットする。
海の膝をもろにもらったアーチュレッタはダウンし、海がパウンドで追撃したところでレフェリーがストップした。アーチュレッタの計量オーバーの騒動、試合中の反則もあったことも相まってか、場内はこの日一番の大歓声に包まれた。
見事なKO勝ちでバンタム級のベルトを奪還した海は「みなさんやっと勝てました。挑戦し続ければたくさんの人に応援してもらえるようになります。これからも挑戦して、みなさんに勇気を届けたいです」と涙を浮かべながらアピールした。さらに海は「僕ら兄弟は世界のトップを取れると思っています。だから来年兄貴もチャンピオンベルトを取って欲しいです。これからも朝倉兄弟についてきてください」と話し、最後は兄の未来もリングに上がり記念撮影した。
続けてマイクを持ったアーチュレッタは「今週初めに体調を崩しましたが、お客さんのことを考え、戦わない選択肢はありませんでした」と話し、観客に感謝を述べた後、「鈴木(千裕)選手、いつかやりましょう」とアピールし、フェザー級への階級アップと千裕戦を希望した。
計量失敗した直後にも関わらずアピールするアーチュレッタに批判が集まりかねない状況となったが、海はマイクを持つと「アーチュレッタが計量失敗したことに文句を言えるのは僕だけです。だからアーチュレッタを攻めないでください。彼も一生懸命やって試合をしてくれましたので感謝を伝えたいです」と、紳士的な姿勢を貫き、観客から拍手を浴びた。
(関連記事:朝倉海、Youtubeで計量オーバー騒動&KO勝利への道筋を語る「英語を勉強してアーチュレッタのセコンドの声を全部理解できました」)
クレベル・コイケ、斎藤裕に手を焼くも3R一本勝ち
第15試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○クレベル・コイケ(ブラジル/ボンサイ柔術/元RIZIN・KSW・REBEL FCフェザー級王者)
×斎藤 裕(パラエストラ小岩/元RIZIN&修斗世界フェザー級王者)
3R 1’21” ダースチョーク
コイケは海外で2冠達成後、20年大晦日からRIZINに参戦し、カイル・アグオン、摩嶋一整、朝倉未来、佐々木憂流迦、萩原京平に勝利し、昨年22年10月に牛久絢太郎に2R裸絞めで一本勝ちし6連勝でRIZINフェザー級王者となる。大晦日大会ではベラトール同級王者・パトリシオ・“ピットブル”・フレイレに判定負け。今年23年6月の初防衛戦では計量オーバーし王座をはく奪され、鈴木千裕から1R腕ひしぎ三角固めでタップを奪ったが無効試合となっていた。7月の埼玉大会ではヴガール・ケラモフが朝倉未来に1R裸絞めで勝利し第4代王者王者となった。
コイケは9月の埼玉大会で金原正徳に判定負けし、王座戦線から一歩後退した。ケラモフは11月4日のアゼルバイジャン大会で初防衛戦を行った、千裕にまさかのKO負けし、フェザー級王座はまたも移動した。
斎藤は21年10月の横浜大会でコイケと防衛戦を行う予定だったが、コイケが左足の怪我のため回避し、代わりに斎藤に挑戦した牛久がTKO勝ちし、斎藤はRIZINフェザー級王座から陥落した。斎藤は同年大晦日の朝倉未来戦でも判定負け。昨年22年4月の調布大会で牛久の王座に挑んだが判定負けした。3連敗となり、約1年間コンディションを整え、今年23年4月の代々木大会で復帰し、平本蓮に判定2-1で勝利している。
試合は斎藤が善戦したが、コイケが最後に差を示す展開に。1R、スタンドの攻防が続くが、開始間もなくと中盤、コイケのローが2度ローブローとなり中断が繰り返される。コイケの圧力が次第に強まるが、斎藤は組まれることを嫌ってか、回って距離を取り続ける。お互いパンチと蹴りを出すが、強打にはつなげられない。まだ五分か。
2R、コイケが序盤からタックルで倒して上になるが、斎藤は防御してスタンドに戻す。今度は斎藤が倒して上になると、斎藤は上から体をくっつけてコイケの三角絞めに対処しつつ、時折スペースを作ってパウンドを連打する。時折コイケが下から腕をつかむが斎藤は防御する。最後、コイケが引っ繰り返し、上になるが、ハーフで押さえるに留まる。斎藤優位の展開に。
3R、コイケが組みに行くが、斎藤はコーナー際で耐えて離れる。すると斎藤が意外にも自らタックルを仕掛けに行く。するとコイケは倒れながらギロチンで迎撃する。コイケは首を抱えたままリバースすると、上で押さえたまダースチョークの形に持ち込み、そのまま絞め上げ、最後はレフェリーがストップし、コイケが見事逆転一本勝ちした。
マイクを持ったコイケは「高田(延彦)さん、これまでRIZIN手伝ってありがとうございます」と、キャプテンの役職を退任しRIZINを離れた高田氏に感謝の言葉を述べた。続けてコイケは「今年失敗したな。でも12月31日で変わったね」「榊原さん、次試合誰ですか。鈴木おめでとう。鈴木強いな。でも最後に私に負けるな」と、王座奪還への熱意を示し、最後は「1、2、3、ポペガー」と叫んだ。
この試合後、今日の観客数が「23013人(超満員札止め)」と発表された。また、榊原CEOの紹介で、マニー・パッキャオがリングに上がり、榊原氏は来年2024年にフロイド・メイウェザーとのリマッチ(非公式戦)を組むことを約束した。
平本蓮、YA-MANからタックル重ね判定勝ちも「YA-MAN、強かったです」
第14試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○平本 蓮(剛毅會/K-1甲子園2014 -65kg優勝)
×YA-MAN(TARGET SHIBUYA/RISE OFGM -65kg級王者、RISEスーパーライト級(65kg)3位)
判定3-0 (豊島=平本[D0-0 A30-0 G20-0]/石川=平本[D0-0 A0-0 G20-0]/松宮=平本[D0-0 A30-0 G20-0])
元K-1ファイターの平本は昨年22年大晦日のRIZINでは梅野源治とボクシング形式のエキシビションマッチを行っていた。今年23年4月のRIZINでは元RIZINフェザー級王者の斎藤裕に判定2-1で惜敗したが、タックルを切り続け、MMAへの適応度向上を印象付けていた。現在MMA 5戦2勝3敗で、今年はこれが2戦目となる。
YA-MANはRISEのオープンフィンガーグローブ(OFG)マッチで名を上げ、昨年6月のTHE MATCH東京ドーム大会では芦澤竜誠を1R KO。今年5月のRIZINではMMAデビューし三浦孝太に1R TKO勝ち。8月のRISEでは山口裕人を2R右フックでKOし、RISE OFGM -65kg級初代王者となった。11月19日のFIGHT CLUBではRISE OFGルールに準じた一戦で、朝倉未来を77秒でKOすると、マイクを持ち「まずね、平本バーカ。お前、本当いつかぶっ飛ばすからな。待っとけよ」と、リングサイドで見ていた平本を挑発していた。その後、両者がX上で罵倒合戦を繰り広げ、実際に大晦日に戦うことになった。
リングサイドでは未来も見守る中ゴングが鳴る。1R、接近戦でのパンチの打ち合いと、コーナーで押し合う展開が繰り返される。打ち合いではお互い被弾し、その都度場内が大きく沸き上がる。平本がサウスポーからの左インローも絡め、パンチのヒットでやや上だが、最後にYA-MANも右ストレートでのけぞらせ、まだわからない状態だ。
2R、開始すぐに平本が左ジャブを当て、タックルを仕掛けるが、これもYA-MANは切って押し込む。だが平本が突き放すと、左ストレートを立て続けに当ててから、タックルを仕掛け、倒して初めて上で押さえる展開に持ち込む。だがYA-MANはその先を許さず、スタンドに戻す。だがYA-MANも打撃で打開が図れず、最後は平本がタックルで倒して押さえて終える。やや流れは平本だが、まだはっきりした差は無い状態だ。
3R、序盤の平本の左ストレートでYA-MANは右まぶたから出血する。YA-MANが右ストレートを連続で返すが、平本は組んで倒して上になる。これもYA-MANが立つが、平本がまたも押し込むと、膠着ブレイクがかかったところでドクターチェックが入る。再開後、YA-MANはしぶとく前に出るが、平本は距離を取り、左ジャブ等のパンチを随所で当て、組み付きを繰り返す。YA-MANもパンチを返すが、平本を追い詰めきれずに終わる。
記者採点はダメージ0-0、アグレッシブネス0-0、ジェネラルシップ20-0で合計20-0で平本。ジャッジ3者も平本を支持し、平本が判定勝ちした。YA-MANは敗戦を告げられると、すぐにコーナーに戻りうずくまって泣きじゃくる。平本はYA-MANに歩み寄り声をかけるが、YA-MANは顔を背けて対応せず、その後リングを降りた。
マイクを持った平本は「YA-MAN、MMA、甘くないんで、アマ修斗からやり直してこい。これは冗談で、YA-MAN、強かったです。朝倉未来、お前がぶっ飛ばされるから、俺が代わりにぶっ飛ばしたわ。しょっぱい試合してすみません。最強なって戻って来ます。さようなら」と話し、マイクをマットに叩きつけてリングを降りた。
第13試合までは別ページに掲載しています
RIZIN 12.31 さいたまスーパーアリーナ(中盤戦レポ):扇久保博正、元UFC1位のドッドソンに判定勝ち。山本美憂、引退戦は伊澤星花に一本負け。上田幹雄、スダリオ剛をKO。ヘビー級王座戦熱望
大会中には様々なライブパフォーマンスが行われた。左上はRIZINガールと三上悠亜さんのコラボパフォーマンス、右上はRIZINガールと高嶺のなでしこのコラボ、左下はRIZIN公式応援ソング「迅雷 Fighting ver.」を作成したずまさんの歌唱、右下は優里さんによるフライ級タイトルマッチでの君が代独唱。