JMAEXPO 10.19 横浜BUNTAI(レポ):ブアカーオ、皇治とのボクシングは時間切れドローも圧倒。軍司泰斗、5R判定勝ちでISKAインターコンチ王座獲得。QUINTET団体戦は横山武司が一本勝ちしたteam RIZINがteam SAKU下す
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
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能登半島地震チャリティ・イベント JAPAN MARTIAL ARTS EXPO PROLOGUE
2024年10月19日(土) 神奈川・横浜BUNTAI
レポート&写真:井原芳徳
谷川貞治・巌流島プロデューサーが中心となり、RIZIN、K-1、QUINTETも協力する新しい格闘技イベント「JAPAN MARTIAL ARTS EXPO(略称:JMAEXPO)」の初の大会が10月19日、今年4月にオープンした横浜BUNTAIで行われた。主催組織は「Japan Martial Arts Consortium」となっている。
JMAEXPOは、日本の格闘技文化を世界へ発信することを目的に開催され、試合だけでなく展示会・セミナーなども含めた博覧会形式で行われる。今回は「PROLOGUE」と題した「プレ大会」という位置づけで、来年2025年からはアジアを皮切りに世界各国での開催を目指すという。元々、この日子の会場での大会は。巌流島の大会として開催が発表されていた。だが9月29日に別会場で行われたRIZINとK-1の最中に、JMAEXPOという新しい枠組みでの開催と、両プロモーションの協力が発表された。大会まで2週間を切ってから少しずつ、多様なルールの対戦カードが発表された。
試合場は前半のQUINTETおよび巌流島までが、ロープや金網などの囲いの無い円形のマットが使用され、1時間の休憩時間の間にケージが設営され、後半のキック、MMA、ボクシングの試合が行われた。メインイベントにはブアカーオ・バンチャメークと皇治によるボクシングの試合が置かれた。皇治の出場が発表されると、1000枚以上のチケットが一気に売れたことを谷川氏は明かし、大半の観客は皇治目当てだったようだ。
ブアカーオ、皇治とのボクシングは時間切れドローも圧倒
第10試合 ボクシング特別ルール(判定決着なし) 70kg契約 3分3R
△ブアカーオ・バンチャメーク(タイ/バンチャメークジム/K-1 WORLD MAX世界70kgトーナメント2004・2006優勝、シュートボクシングS-cup 70kg 2010優勝、元WMC世界スーパーウェルター級王者)
△皇治(TEAM ONE/元ISKA K-1ルール世界ライト級(61kg)&HEATキック・ライト級(60kg)王者)
時間切れ
ブアカーオは42歳。04年のK-1 WORLD MAXトーナメントでジョン・ウェイン・パー、小比類巻貴之、魔裟斗を破り優勝。06年は佐藤嘉洋、ドラゴ、アンディ・サワーを下し2度目の優勝を果たした。旧K-1の活動休止後も主に中国の大会で活躍。近年はRWS、RIZINに上がり、昨年5月に安保瑠輝也と引き分け、今年3月には木村“フィリップ”ミノルを2R KOした。7月のK-1のトーナメントにはシード枠で出場したが、初戦でストーヤン・コプリヴレンスキーに判定負けしている。
皇治は35歳。18年12月のK-1で武尊に判定負け。20年からRIZINに上がり、キックルールで那須川天心、白鳥大珠、YA-MANらと対戦し敗れた。昨年4月の大阪大会で芦澤竜誠に判定負けすると、引退を表明したが、2カ月後にMMA転向を表明。大晦日大会でのMMAデビュー戦では三浦孝太に2RサッカーボールキックでTKO勝ち。7月にはMMAルールで芦澤に判定負けした。ボクシング形式のエキシビションマッチは20~22年に4回経験している。
1R、皇治は開始すぐから、左ボディを絡めた顔面とボディへのコンビネーションを度々当てる。ブアカーオはブロックして対処を続け、前に出続けると、終盤に重みのある左ボディ、右ストレートを随所で叩き込み、差を印象付ける。
2Rもブアカーオが中盤から手数を上げ、右アッパー、左ジャブも絡め、皇治を追い詰める。終盤にブアカーオが右ストレート、フックを当て、皇治は舌を出して効いていないとばかりにアピールする場面が度々みられるように。
3Rもブアカーオが皇治を金網際に詰め、度々パンチを当て、主導権を維持する。1000人以上集まった皇治の応援団の声援を背に、皇治は耐え続ける。ブアカーオはダウンは奪えなかったが、皇治を圧倒したまま終了。ルールにより、時間切れドローとなった。
軍司泰斗、判定勝ちでISKAインターコンチネンタル王座獲得
第9試合 ISKAオリエンタルルール・インターコンチネンタル・スーパーフェザー級(59kg)王座決定戦(肘無し、ワンキャッチワンアタック、ラウンドマスト採点) 3分5R
○軍司泰斗(K-1ジム総本部チームペガサス/元K-1フェザー級(57.5kg)王者、K-1同級トーナメント2022優勝、元Krushバンタム級(53kg)王者、K-1甲子園2016 -55kg優勝)
×クリスチャン・ボグダン[Cristian Bogdan](ルーマニア)
判定3-0 (和田49-46/竹村49-46/神谷50-45)
軍司は9月29日のK-1で寺田匠に延長判定負けし、K-1フェザー級王座から陥落して20日間隔での試合となる。
試合は軍司がボグダンを圧倒するがタフな相手に手を焼く展開に。1R、軍司は序盤から左右のボディ主体で攻め、顔面にもパンチを当て、右ローも絡め手数多く攻める。終盤、ボグダンもパンチの連打で巻き返す場面もあったが、軍司はブロックでしのぎ、その後も左右のボディを当て、優位をキープする。記者採点は軍司。
2Rも軍司が前に出続け、パンチを顔面とボディに度々当て、主導権を維持する。記者採点は軍司。
3Rも同様で軍司が攻め続けるが、ボグダンはなかなか倒れない。記者採点は軍司。
4R、軍司優勢だが、これまでよりも手数が落ち、追い詰める場面は減り、ボグダンもミドルや膝を返すように。記者採点は軍司だがジャッジは割れた模様だ。
5Rも軍司が攻め続けるが、最後まで倒せず終了する。記者採点は軍司。合計50-45で軍司。ジャッジ3者も軍司を支持し、軍司が判定勝ちした。
ISKAのベルトを巻いた軍司は「9月のK-1でベルトを失ったんですけど、3週間後にオファーをもらって、谷川さん、カルロス(菊田)さん、宮田(充)さん、ありがとうございます。この団体があるということは、みんなが期待しているカードとかも組めると思うんで、龍聖、いつか僕が階級上げるんで、やりましょう。今回は怪我とかもあって、あんまり調子が上がらなかったんですけど、12月のK-1に出るんで、代々木でやるんで見に来てください」とアピールした。
第8試合 MMA 83kg契約 5分3R
×阿部大治(フリー/元DEEP&パンクラス・ウェルター級王者、元J-NETWORKライトヘビー級王者)
○ユン・テヨン[Yoon TeaYoung](韓国/Road FC/チーム・ザ・キング)
2R 4’07” TKO (レフェリーストップ:左肘打ちによる額のカット)
1R、阿部が右フックを振るいながら前に詰め、組み付いてテイクダウンを奪う。阿部は上から押さえる。しばらくしてスタンドに戻り、阿部が左フック等のパンチを随所で当て、やや優位を維持。終盤、テヨンの左ハイをつかんで阿部が倒し、金網際で膝立ちのテヨンを押さえる。最後はスタンドに戻って終わる。記者採点は阿部。
2R、両者サウスポーでの打撃戦が続き、テヨンの右ジャブ、左ストレートのヒットが増え、阿部は次第に下がるように。すると終盤、テヨンが阿部を金網に詰めてパンチと肘を振るうと、左肘で阿部の額を切り裂き、阿部は血だるまに。テヨンも左まぶたをカットし、両者ドクターチェックとなるが、阿部が続行不可能とみなされ、レフェリーがストップした。
第7試合 キック(肘無し、ワンキャッチワンアタック) 70kg契約 3分3R
×町田 光(飯伏プロレス研究所/元WPMF世界&日本・INNOVATION・MA日本スーパーフェザー級王者、元REBELS -60kg級王者)
○杉村昂汰[こうた](サイガジム/Stand upアマチュア全日本大会2023Aクラス一般部-65kg優勝)
判定0-3 (山崎28-30/大成28-30/小池28-30)
杉村のセコンドには才賀紀左衛門がつく。1R、杉村が左ジャブ、右カーフ、左ミドル、前蹴り等を度々ヒットし主導権を握る。デビュー戦とは思えない動きの良さを見せる。町田は居合ポーズからパンチを振るうが、相手にブロックされる。町田は全盛期より10kg重い階級のため、スピードの低下は隠せない。
2R、町田が前に出て、クリンチが増えるが、その中で町田が的確にパンチと蹴りを当て続け主導権を維持する。
3Rも杉村が左ジャブ、右ロー、膝蹴り、左ミドル等を的確に当て続け、反撃を封じる。記者採点は3Rとも杉村で合計27-30で杉村。ジャッジ3者とも28-30で杉村を支持し、杉村が判定勝ちした。
巌流島:K-1から初挑戦のマハムード・サッタリがパウンドでTKO勝ち
第6試合 巌流島(寝技30秒) 88kg契約 3分3R
×マーカス・レロ・アウレリオ(ブラジル)
○マハムード・サッタリ(イラン/TEAM ŌTA/Krushクルーザー級王者、K-1無差別級トーナメント2022優勝)
1R 2’28” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
巌流島は場外転落ポイントあり、寝技制限時間ありの総合格闘技で、谷川貞治氏がプロデュースしている。
サッタリは軍司同様、9月29日のK-1に出場し、クルーザー級王者のリュウ・ツァーに挑戦し判定負けしたばかりだが、今回未経験の総合格闘技の試合に起用された。アウレリオは巌流島にレギュラー参戦している、カポエィラをベースとするストライカー。
1R、日ごろリングで戦うサッタリが、距離を取ったところや蹴りの直後に押し出されてしまう。だが終盤、サッタリが左フックを当ててアウレリオをひるませてから投げ飛ばすと、すぐに右のパウンドをクリーンヒット。さらにサッタリがパウンドを当て続けたところで、島田裕二レフェリーがストップした。
第5試合 巌流島(寝技15秒) 無差別級 3分3R
○照強[てるつよし](フリー/元幕内力士)
×城戸康裕(谷山ジム/元Krush・WBKF世界スーパーウェルター級王者、元MA日本ミドル級王者)
1R 1’29” 一本 (転落3回)
照強は元幕内力士で9月の巌流島でプロ格闘家デビューし韓国の選手にTKO勝ちしている。試合はあっけない決着に。城戸は距離を取ってローやハイを放つが、その都度、体格で勝る照強が押し出し、3度押し出したことい照強の合わせ一本勝ちとなった。
先にマイクを持った城戸は「これは無理!なーんも怪我してない。もうちょっと打撃やってよ」と不満を述べ「力士に押されたの初めてですけど、めちゃくちゃパワーある。軽自動車に押された感じ」と、異色対決の感想を語った。
照強は「一番怪我しないで勝つ方法なので選びました。城戸選手の男気に感謝します。このルールは相撲が生かされます。相撲が強いんだとわかってもらえるとうれしいです。相撲は強えんだよ」とアピールした。
第4試合 巌流島(寝技20秒) 無差別級 3分3R
○関根“シュレック”秀樹(ボンサイブルテリア)
×ルアン・ヴィッセル[Ruann Visser](南アフリカ)
判定2-1 (小池29-28/金子28-29/太田○28-28)
ヴィッセルは身長207cm・33歳のボクサーで、Boxrecのデータベースによると24戦14勝(13KO)3敗7無効試合。18年2月に南アフリカ・ヘビー級王座を獲得したが、2年後にドーピング失格が発表され、その試合とその後勝った5試合の合わせて6試合が無効試合に変わった。出場停止処分を経て今年4月に復帰し、初戦は判定負けしたが、8月と9月の試合ではTKO勝ちしている。
1R、スタンドで見合う展開が続き、中盤に関根がタックルを仕掛けて倒すが、その先に持ち込めずブレイクがかかる。2Rも同様だが、最後、またも関根が倒し、今度は鉄槌を連打して終える。3R、関根がタックルで倒す頻度が上がり、マウントやトップからパウンドを当て続け、ブレイクが繰り返され終了。関根が判定勝ちした。
QUINTET団体戦は横山武司が一本勝ちしたteam RIZINがteam SAKU下す
第3試合 QUINTET 団体戦 総体重380kg 1試合8分
×team SAKU(桜庭大世、出花崇太郎[キャプテン☆アフリカ]、内柴正人、平田直樹、ジュマナザロフ・ラトベック)
○team RIZIN(矢地祐介、北岡悟、横山武司、倉本一真、新居すぐる)
「QUINTET」は5人チーム同士の対抗戦が主体のグラップリング大会。桜庭和志がプロデューサーを務め、18年に旗揚げ。昨年9月に横浜アリーナでのK-1の大会終了後、会場の3分の1のスペースを使って、2年ぶりの大会を開催した。それ以降、再び休止状態となっていたが、巌流島・K-1・RIZINと共同開催するJAPAN MARTIAL ARTS EXPOで、約1年ぶりの試合が行われる。
QUINTETのルールは1試合8分一本勝負。ポイント差や判定での決着は無し。一本で勝った選手はそのまま相手チームの次の選手と戦い、時間切れ引き分けの場合は両者が退場し次の選手が登場する。クローズドガード、ヒールフックは禁止。
今回は桜庭和志の息子・大世がリーダーを務めるteamSAKUと、矢地祐介がリーダーを務めるteamRIZINが対戦する。大世は昨年9月のQUINTETでのワンマッチでプロ格闘家デビューし、内柴正人に膝十字固めで一本勝ち。今年大晦日のRIIZNでのMMAデビューを控え、RIZIN勢と交わる機会が設けられた。
team SAKUの編成にあたり、大世は昨年戦った内柴を最初に誘った。内柴は準強姦事件で服役して17年9月に仮釈放された後、中央アジアのキルギスの柔道連盟の総監督を約1年半務めていたが、ジュマナザロフ・ラトベック[Dzhumanazarov Ratbek]は熊本の内柴の道場で練習する24歳で、プレスリリースでは「キルギス柔道81kg級チャンピオン」と紹介されている。ここで大世は柔道経験者でチームを編成する方針を固め、内柴は国士舘大学柔道部の後輩でパンクラス・フェザー級1位の平田を推薦した。さらにもう一人として、大世が父に相談したところ、18年4月のQUINTET旗揚げ大会で父を一本負け寸前まで追い詰めた出花が推薦された。
team RIZINはリーダー矢地ともかつてRIZINで戦い今はロータス世田谷で一緒に練習している北岡悟が参加し、極めの強さに定評のあるFighting NEXUSフェザー級王者・横山武司、元パンクラス同級王者の新居すぐる、レスリング仕込みの投げ技が強みの倉本一真が選ばれた。普段は違う所属先の選手たちが、セコンドワーク等で共闘する光景もQUINTETの見どころとなる。
×ラトベック(1’08” 三角絞め)横山○
横山がテイクダウンを奪い、すぐマウントポジションを取ると、足を登らせて三角絞めを仕掛け、そのまま締め上げタップを奪い一本勝ち。最終的にteam RIZINに勝利をもたらす先勝を果たした。
△平田(時間切れ)横山△
横山が下から積極的に仕掛けるが、極めに至らず。最後、平田がギロチンを仕掛けそうになるが、時間切れに。
△出花(両者失格)北岡△
差し手争いの後、北岡が上になるが、攻めあぐねる展開が繰り返される、膠着の都度、両選手に指導が入り、3度目の指導が両者に入り、揃って失格となった。あと3分ほど残っており、お互い体力を削り合った後に攻防が生まれる可能性もあったため、もう少し見たい試合だった。
△大世(時間切れ倉本△
両者足の取り合いで沸かせ、スタンドの組合でも大世は渡り合う、終盤、大世が足関、アームロックで果敢に攻めたが時間切れとなった。
△内柴(時間切れ)新居△
新居は柔道時代に憧れた内柴と念願の対戦。スタンドで組み合いが続くが、どちらも攻め手に欠け、2度の指導が入る。4分が過ぎ後半に入ると、内柴は少しずつ疲れが目立つように。残り1分、新居がついにテイクダウンを奪うと、ハーフガードまで行くが、内柴はスタンドに戻して、そのまま終了。これでteam SAKUが5人全員脱落となり、大将の矢地を残したteam RIZINの勝利となった。
第2試合 QUINTET 女子64kg契約 8分
○カロリーナ・デ・アモリン・クワハラ[Carolina De Amorim Kuwahara](ブラジル/Infight Japan)
×中尾あづき(AACC)
1’42” トーホールド
QUINTETルールのワンマッチとして女子2試合が組まれ、いずれも日系ブラジル人柔術家と、AACC所属のプロシューターの対戦構図となった。クワハラは黒帯のトップ選手。中尾は10月6日の全日本アマチュア修斗選手権女子バンタム級で優勝したばかりの選手。中尾も腰投げで見せ場を作ったが、引き込んだクワハラがトーホールドを極めタップを奪った。
第1試合 QUINTET 女子49kg契約 8分
×城戸ユカリ (ブラジル/Impacto BJJ)
○NOEL(AACC)
1’48” フロントチョーク
NOELはプロ修斗5戦3勝1敗1分の16歳。柔術家で19歳の城戸に対し、NOELが城戸の首を抱えながら倒して上になり、ギロチンチョークを極め、そのまま下になって絞め上げタップを奪った。(公式記録ではマルセロチン)
プレリミナリーファイト第3試合 MMA 100kg契約 3分3R
×山田史博
○朝太[ちょうた]
判定1-2
プレリミナリーファイト第2試合 MMAルール 67kg契約 3分3R
○Apollo中山
×阿部 丞[じょう]
1R TKO
プレリミナリーファイト第1試合 MMA 75kg契約 3分3R
×レオ
○勇音[ゆうと]
判定0-3