QUINTET 9.10 横浜アリーナ(レポ):クレイグ・ジョーンズが活躍のTHE B-TEAM BULLSが4年ぶりの世界チーム対抗戦制す。桜庭和志の長男・大世、プロデビュー戦で一本勝ち
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
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ReBOOT ~ QUINTET.4 ~
2023年9月10日(日)横浜アリーナ
レポート&写真:井原芳徳
「QUINTET」は5人チーム同士の対抗戦トーナメントが主体のグラップリング大会。主催のラバーランドは桜庭和志が代表を務め、大会のプロデューサーも務める。18年に旗揚げし、初年度は欧米の強豪選手を招いて対抗戦を行っていたが、19年以降の大会は日本人チームの対抗戦が主体となっていた。21年7月の後楽園ホール大会以来2年ぶりの大会で、5年ぶりに本来のQUINTETの世界対抗戦スタイルに戻り、本格再始動する。
同日昼には同じ横浜アリーナで、QUINTETと7月に「資本業務提携」を結んだK-1の大会が開催された。ただし会場の3分の2がK-1、3分の1がQUINTETと、試合場を分割して設営し、入場ゲートは共用するという独特のスタイルとなった。QUINTETの正味の座席数は後楽園ホールと近い程度となる。
チーム対抗戦トーナメント:クレイグ・ジョーンズが活躍のTHE B-TEAM BULLSが優勝
大会名の「quintet」は5人組という意味の英語。5対5のチーム同士による勝ち抜き戦トーナメントが毎回目玉となっている。4チームが参加し、1日で一回戦と決勝が行われる。試合場はレスリングマット。今回の5選手の合計体重は430kg以内。1試合8分一本勝負(今大会の場合、10kg以上の体重差のある場合は軽い方の選手が4分も選べる)。
グラップリングやブラジリアン柔術に馴染みの薄いMMAファンを意識し、一本決着を促すルールとなっており、膠着を誘発するクローズドガード(下の選手が上の相手を両足で挟んで動きにくくする行為)は禁止。ヒールフックは禁止。柔術のようなマウントポジション等でつくポイント差による決着は無く、引き分けの場合は両者が退場し次の選手が登場する。なお、1回戦を勝ち上がったチームは、決勝戦では1回戦で戦わなかった選手から優先的にオーダーを組まなくてはならない。以下の選手の名前は試合での登場順。
一回戦 1
×TEAM SAKURABA(世羅智茂、桜庭和志、ハイサム・リダ、中村大介、ハリー・グレッチ)
○TEAM 10th Planet(PJバーチ、リッチー・マルティネス、ジオ・マルティネス、カイル・ベーム、アミール・アラム)
(1) ×世羅(2’13” 裸絞め)バーチ○
(2) △桜庭(時間切れ)バーチ△
(3) △リダ(時間切れ)リッチー△
(4) △中村(時間切れ)ジオ△
(5) △グレッチ(時間切れ)ベーム△
先鋒戦は世羅が開始すぐに引き込んだが、バーチがパスガードしバックを取り、裸絞めを極めタップを奪った。続いて桜庭が登場し、バーチは終始足関、ギロチン等で攻めるが、一本には至らず両者脱落する。
次のリダ×リッチーはリダがやや優勢だが時間切れ。中村×ジオはジオがバックをキープし裸絞めを狙い続けるが中村が耐え時間切れ。グレッチ×ベームはグレッチがアームロックを度々トライし、苦戦続きのTEAM SAKURABAの中で孤軍奮闘したものの、ベームにバックを取られる等、攻められる時間が長いことは変わらず時間切れ。大将のグレッチが消えたTEAM SAKURABAが敗れ、TEAM 10th Planetの勝利となった。
一回戦 2
○THE B-TEAM BULLS(ニッキー・ロドリゲス、ジェイ・ロドリゲス、ジョセフ・チェン、ニッキー・ライアン、クレイグ・ジョーンズ)
×TEAM POLARIS(オーウェン・リブジー、ジェッド・ヒュー、タリク・ホップストック、センテリ・リリアス、グレゴー・グレイシー)
(1) △ニッキー・ロドリゲス(時間切れ)リブジー△
(2) △ジェイ(時間切れ)ヒュー△
(3) △チェン(時間切れ)ホップストック△
(4) △ニッキー・ライアン(時間切れ)リリアス
(5) △ジョーンズ(時間切れ)グレゴー△
5試合連続で時間切れで脱落となり、指導ポイント同数のため、主審と副審2名による判定に結果が委ねられ、主にジョセフ・チェン、クレイグ・ジョーンズの攻勢の目立ったTHE B-TEAM BULLSが3者から支持され、決勝に進んだ。全10選手の技術が高いこともあり、それに伴い防御の水準も上がり、一本決着が減り、両者脱落が増える。ある程度相手を圧倒した選手は判定勝ちにしたり、サブミッションのキャッチポイントが入る等、ルールの見直しの段階に来ているようにも感じた。
なお、一回戦終了後には、今大会から新たにQUINTETのスーパーバイザーに就任した前田日明氏が登場した。前田氏は「今のQUINTETは柔術の選手が中心の技術体系ですが、リングス・ロシア時代の伝手(つて)で、サンボ、コマンドサンボの選手が来日できるよう準備しています。今はウクライナの紛争があって難しいですが、ロシアの色んなところに連絡しています。どこまでできるかわかりませんが、63歳、最後の奮闘として頑張ります」と話した。
決勝
×TEAM 10th Planet(アミール・アラム、PJバーチ、リッチー・マルティネス、ジオ・マルティネス、カイル・ベーム)
○THE B-TEAM BULLS(ジェイ・ロドリゲス、ニッキー・ロドリゲス、クレイグ・ジョーンズ、ジョセフ・チェン、ニッキー・ライアン)
(1) △アラム(時間切れ)ジェイ△
(2) △バーチ(時間切れ)ニッキー・ロドリゲス△
(3) ×リッチー(1’40” トーホールド)ジョーンズ○
(4) ×ジオ(アームロック)ジョーンズ○
(5) △ベーム(時間切れ)ジョーンズ△
2人脱落で迎えた3試合目で、ジョーンズがリッチーにトーホールドを極めて一本を奪う。続くジオ戦でもバックからの三角絞めを狙いながらアームロックを極め、マルティネス兄弟を連破する。最後の試合はさすがに疲れたものの、ベームと足関合戦を繰り広げて観客を沸かせ、最後はベームの足関を余裕を持って防御し時間切れに持ち込み、チームを優勝に導いた。
表彰式で桜庭和志プロデューサーは「レベルが高くて一本があんまり取れなかったですけど、もっとみんな練習して、一本が取れるよう頑張ります」と話した。
シングルマッチ:桜庭和志の息子・大世、プロデビュー戦で一本勝ち
75kg契約 8分一本勝負
×内柴正人(フリー/柔道2004アテネ五輪&2008北京五輪男子66kg級金メダル)
○桜庭大世[たいせい](サクラバファミリア)
5’27” 膝十字固め
QUINTETの常連選手・内柴は現在45歳。桜庭和志の息子・大世は24歳で今回プロデビュー戦。内柴にマウントポジションを奪われる等、ポジショニングではやや押されたものの、果敢に関節技を狙い続け、一瞬の隙を突いて膝十字を極めタップを奪った。
女子52kg契約 8分一本勝負
○石黒遥希(カルペディエム三田)
×V.V Mei(フリー/元DEEP JEWELSアトム級王者、元VALKYRIEフェザー級王者)
7’47” 膝十字固め
石黒が序盤からアキレス腱固め、膝十字固め、カーフスライサー、ギロチンチョーク等を果敢に狙い続けてMeiを圧倒し、最後は踵固めを狙ってからの膝十字を極めタップを奪った。