RIZIN 6.9 代々木第一体育館(レポ):堀口恭司、ピンチ乗り越えセルジオ・ペティスに判定勝ちしリベンジ。クレベル・コイケ、アーチュレッタに1R一本勝ちし鈴木千裕が防衛戦を承諾
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中野トイカツ道場
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RIZIN.47
2024年6月9日(日)東京・国立代々木競技場 第一体育館
レポート&写真:井原芳徳
中継 ABEMA、U-NEXT、RIZIN 100 Club、RIZIN LIVE(前売5,000円/当日5,500円/アーカイブ3,300円)、スカパー(5,000円)
堀口恭司、ピンチ乗り越えセルジオ・ペティスに判定勝ちしリベンジ
第9試合 メインイベント MMA バンタム級(61kg) 5分3R
○堀口恭司(アメリカントップチーム/元RIZIN・ベラトール・修斗世界バンタム級王者、RIZINフライ級王者・元UFC同級3位)
×セルジオ・ペティス(米国/ルーファスポーツ/元ベラトール・バンタム級王者、元UFCフライ級1位)
判定3-0 (豊島=堀口 [D0-0 A0-0 G20-0]/石川=堀口 [D0-0 A0-0 G20-0]/橋本=堀口 [D0-0 A30-0 G20-0])
堀口は33歳。21年12月のベラトールのバンタム級チャンピオンシップで王者・セルジオ・ペティスに挑戦し、3Rまで優位に試合を運ぶ中、4Rにバックハンドブローをもらい逆転TKO負けした。今回2年半ぶりにRIZINのリングでリベンジマッチを行う。
ペティス戦の後も堀口は22年4月のベラトールでパッチー・ミックスに敗れ、9月のRIZINでは金太郎に2R肩固めで逆転一本勝ち。体格差に苦しむ試合が続いたことから、大晦日のRIZINの扇久保博正戦から、UFC時代と同じフライ級に戻し判定勝ちした。昨年7月のベラトール埼玉大会では神龍誠とベラトール・フライ級初代王座を争ったが無効試合に。大晦日のRIZINでは神龍との再戦がRIZINフライ級初代王者決定戦として行われ、堀口が2R裸絞めで一本勝ちした。試合直後、元RIZINガールの川村那月さんへの公開プロポーズを行い、2月に挙式を行った。今回は半年ぶりの試合で、ペティスに合わせてバンタム級に階級を上げて戦う。
ペティスは30歳。元UFCライト級王者・アンソニー・ペティスの弟。13年から19年にUFCに上がり、ブランドン・モレノ、ジョセフ・ベナビデスらに勝利し、フライ級1位まで上昇したことがある。20年からベラトールに参戦し、バンタム級に階級を上げ、21年5月にフアン・アーチュレッタを下し王者となった。同年12月に堀口に4R TKO勝ちし初防衛。右膝の靭帯の怪我の療養を経て、昨年6月にパトリシオ・ピットブルに判定勝ちし、2度目の王座防衛に成功したが、暫定王者・パッチー・ミックスとの11月の王座統一戦では2R裸絞めで一本負けしベルトを失った。その後、ベラトールはPFLに買収されたことが発表されたが、新体制でまだ試合しておらず、再起戦でRIZINに初出場した。
1R、圧力をかけるペティスに対し、堀口が距離を取りつつ、時折ステップインして、左インロー、左右のフック、ストレートを的確に当てる。堀口が左のフックを放つと、オープンブロー気味で押し倒す形となり、ペティスが膝をつき、すぐ立つ。
中盤過ぎ、堀口が右ハイを放つと、ペティスの頭上をかすめ、その勢いのまま堀口がスリップする。ペティスはがぶって首を抱えようとしたが、堀口はすぐに対処して片足タックルを仕掛けて上になる。終盤、堀口が上で押さえ続ける。ラウンドマストでないせいもあってか、ペティスも無理せず、下で防御して終える。
2R、序盤から堀口がタックルを仕掛けて倒し、コーナー際で上になって押さえる。中盤も堀口が押さえ続けるが、パウンドはなかなか打てず膠着する。終盤、堀口はハーフガードに移行し、少しパウンドを落とす。福田レフェリーはアクションコールを時折出すもののブレイクせず続行する。残り50秒、ペティスは自力で立つが、すぐ堀口がコーナーに押し込むと、残り30秒でブレイクがかかる。ペティスはテコンドー仕込みの後ろ上段廻し蹴りを放つが、空振りで終わり反撃できない。
3R、スタンドの展開が続き、堀口が右フックを当てていたが、中盤に踏み込んで左フックを当てた後、ペティスが左フックをアゴに当て返し、堀口をダウンさせる。ペティスは空振りとなるが踏みつけで襲い掛かり、その隙に立った堀口をがぶって押さえ、上四方からダースチョークを狙いつつ、頭に膝を当てて追い詰める。だが堀口は脱出すると、両者打撃戦に戻る。
終盤、ペティスは軽くではあるが左フック、ハイをヒット。堀口も左フックを返す。残り1分を切り、堀口がタックルを仕掛けると、ペティスは切るが、離れ際に後ろにスリップし、その後は堀口が手堅く押さえ続けて終える。
記者採点はダメージ0-0、アグレッシブネス0-30、ジェネラルシップ20-0で合計20-30でペティス。3Rのペティスが左フックで奪ったダウンとその後の追撃を高く評価したが、堀口も積極的にパンチを振るって有効打では上回ったため、ペティスにつけるかは迷った。ジャッジは3者とも堀口を支持し、堀口が判定勝ちでリベンジを果たした。判定が発表されると、ペティスも拍手し、堀口を称えた。
マイクを持った堀口は「誰だ、負けると言った奴は?負けねえよ榊原さん。榊原さん、リマッチ組んでもらってありがとうございます」と、堀口の負けを予想していたRIZINの榊原信行CEOを皮肉りつつ感謝の言葉を述べた。続けて「結婚したんで堀口直央さん(=川村那月さんの本名)をリングに上げたいです。結婚してプレッシャーを感じている試合でした」と話すと、那月さんもリングに上がり「おめでとうございます」と夫を労い、共に記念撮影した。
クレベル・コイケ、アーチュレッタに1R一本勝ち。鈴木千裕が防衛戦を承諾
第8試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○クレベル・コイケ(ブラジル/ボンサイ柔術/元RIZIN・KSW・REBEL FCフェザー級王者)
×フアン・アーチュレッタ(米国/ザ・トレーニングラボ、HBアルティメット&グレイシーバッハ/元RIZIN&ベラトール・バンタム級王者)
1R 2’25” ヒールフック
コイケは34歳。海外で2冠達成後、20年大晦日からRIZINに参戦し、22年10月に牛久絢太郎に2R裸絞めで一本勝ちし6連勝でRIZINフェザー級王者となる。大晦日大会ではベラトール同級王者・パトリシオ・“ピットブル”・フレイレに判定負け。昨年6月の初防衛戦では計量オーバーし王座をはく奪され、鈴木千裕から1R腕ひしぎ三角固めでタップを奪ったが無効試合となっていた。9月には金原正徳に判定負けし、王座戦線から一歩後退したが、大晦日には元王者の斎藤裕に3Rダースチョークで一本勝ちしている。
アーチュレッタは36歳。22年の大晦日のRIZINにベラトール推薦で初参戦すると、キム・スーチョルに判定勝ち。昨年5月、井上直樹に判定勝ちし、7月に扇久保博正に判定勝ちしRIZINバンタム級王者となった。大晦日に朝倉海との初防衛戦が組まれたが、前日計量で2.8kgオーバーし、王座をはく奪され、試合も2R TKO負けした。試合後のマイクではフェザー級復帰と現王者・千裕戦を希望し、今回は元王者のコイケ戦が組まれた。ベラトールには当初フェザー級で参戦して5連勝し、19年9月にパトリシオ・ピットブルのフェザー級王座に挑戦し判定負けした過去がある。
1R、スタンドで見合う状態が続き、お互い攻撃が少なかったが、中盤、いきなり試合が動く。アーチュレッタがニータップの形でタックルを仕掛けて、足も掛けつつテイクダウンを奪い、コイケ相手に寝技勝負に挑む。
だがコイケはすぐに下から潜り込んで、足をつかみにかかると、体をひねって逃げようとしたアーチュレッタに対し、ヒールフックを仕掛けたところで、アーチュレッタがタップした。
決まり手は「ヒールフック」だが、アーチュレッタは試合後のインタビューで「彼が私のカカトを捕まえる前、私が回転した際に、膝の外側をひねりました」と明かし、防御中の怪我でタップしたことを明かしている。
マイクを持ったコイケはリングサイドの中継席に座っていた王者・千裕に向かって「あなた、千裕、いつ戦う?前はチャンスあなたに出してるよ。9月、12月、いつやるの」と呼び掛けた。千裕もリングに上がり、ロープを挟んでコイケとにらみ合いながら「いつでもOK。やろうぜ」と回答し、コイケとの防衛戦を承諾した。コイケは「あなたいい男。でも逃げるなよ」と呼びかけた。
中継席に戻った千裕は放送内で「まず6月23日の代々木(のKNOCK OUT)で五味さんをKOして、(7月28日の超RIZINで)パッキャオをKOして、クレベル、ピットブル、全員KOして、今年締めようと思っているんで、楽しみにしてください」と力強く宣言した。
上田幹雄、KSW推薦のコバルチェクに1R腕十字で一本負け
第7試合 MMA ヘビー級(120kg) 5分3R
×上田幹雄(BRAVE/極真会館全世界空手道選手権2019優勝/113.0kg)
○シェミスラブ・コバルチェク[Przemyslaw Kowalczyk](ポーランド/Koloseum Kuznia Formy Pulawy/114.65kg)
1R 2’08” 腕ひしぎ十字固め
上田は29歳。フルコンタクト空手の極真会館の19年の世界大会で優勝し、日本人として16年ぶりに世界王者になる。22年4月のRIZINでのMMAデビュー戦では髙阪剛にKO負け。12月のGRACHANでソン・ムジェを12秒左ハイでKOしMMA初勝利をあげると、昨年6月のRIZINでは関根“シュレック”秀樹を22秒左ハイでKOした。9月のK-1ではキックボクシングに初挑戦し、K-Jeeに2R KO勝ち。大晦日のRIZINではスダリオ剛をを2R左ハイからのパウンドで仕留めた。試合後のマイクではRIZINヘビー級王座戦を希望していた。
コバルチェクは25歳。ポーランドのビッグイベントKSWの推薦選手。18歳から格闘技を始め、アマチュアMMAで22戦20勝(2KO/3一本)2敗の好戦績を残す。ブラジリアン柔術でもADCCポーランド杯中級+100kg級優勝。23年にプロMMAデビューし3戦とも1R TKO勝ちしている。
試合は上田の寝技経験の浅さが露呈する展開に。1R、長身のコバルチェクがプレッシャーをかけると、上田は距離を取って左に回りつつ、右の前蹴りを放ちながら前進する。するとコバルチェクは蹴り足をつかんでタックルを仕掛け、倒してサイドバックで押さえる。コバルチェクはパウンド、ボディへの膝をコツコツと当て、少しずつ上田を削る。すると上田が立とうとしたところで、コバルチェクは背後に回って後ろに引っ張り倒し、寝転んだ状態でバックマウントを奪い、裸絞めを狙う。これは上田が対処したが、コバルチェクは素早く足を上田の顔の側に回しこんで腕十字に移行すると、上田は対応できず、腕を伸ばされタップした。
マイクを持ったコバルチェクは「日本は綺麗な国です。また来たいです」と話した。敗れた上田はインタビューで「完敗です。言葉も出ないです。勝ってきてたので、この半年、おごっていた部分があった。MMAファイターになりたいと言いながら空手に頼っていた」と反省した。
10戦全勝のシェイドゥラエフ、RIZIN初戦は武田光司を1R裸絞めで仕留める
第6試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
×武田光司(BRAVE/元DEEPライト級王者)
○ラジャブアリ・シェイドゥラエフ[Razhabali Shaidulloev](キルギス/Ihlas)
1R 4’33” 裸絞め
武田は28歳。ガジ・ラバダノフ、ルイス・グスタボ、トフィック・ムサエフを相手に3連敗後を喫すると、ライト級からフェザー級に下げることを決意。3月の大阪大会で萩原京平に完勝し、今回はフェザー級2戦目となる。
シェイドゥラエフはMMA 10戦全勝の23歳。中央アジアのキルギス出身で武田同様にレスリングをベースとする。昨年の韓国のROAD FC 63kgトーナメントでヤン・ジヨンに1R裸絞めで一本勝ちしており、元々のバンタム級からフェザー級に階級を上げてRIZINに初出場する。5月9日、RIZINの榊原信行CEOからRIZIN参戦が発表されると、武田が対戦相手として名乗りを上げていた。
試合はシェイドゥラエフが下馬評通りの圧巻の強さを見せつける。1R、サウスポーの武田に対し、シェイドゥラエフはオーソドックスで圧力をかけ続け、右ストレート、フックを随所で当てる。武田はクリーンヒットは免れるが、少しずつダメージが溜まってきて、シェイドゥラエフの圧力を前に疲れも見え始める。するとシェイドゥラエフはタックルを仕掛け、肩で担いでから豪快にマットに叩きつける。シェイドゥラエフはトップコントロールし、マウント、バックマウントと移行すると、裸絞めを極めてタップを奪った。
カーライル、キム・ギョンピョに一本勝ち
第5試合 MMA ライト級(71kg) 5分3R
○スパイク・カーライル(米国/キングスMMAアナハイム/トレーニングラボ)
×キム・ギョンピョ(韓国/レッドホースMMA/元HEAT MMAライト級王者)
3R 1’11” 裸絞め
カーライルは31歳。20年にUFCで1勝2敗、21年にベラトールで1勝。22年4月にRIZINに初参戦すると、武田光司に2Rフロントチョークで一本勝ちしたが。昨年は5月にライト級王者のホベルト・サトシ・ソウザに判定負けし、9月には堀江圭功に判定負けし2連敗中だ。
ギョンピョは32歳。17~19年に日本の大会でレッツ豪太、キャプテン☆アフリカ、トム・サントスに勝利し、名古屋が拠点のHEATの王座を獲得。22年のRoad to UFCでは準決勝でインドの選手に判定負け。昨年4月の大阪大会でRIZINに初参戦し、宇佐美正パトリックに1R裸絞めで一本勝ち。11月のアゼルバイジャン大会では地元の選手をスタンドパンチからのパウンドでわずか21秒で仕留め、RIZIN 2戦とも1Rで勝利している。今年2月の佐賀大会で矢地祐介と戦う予定だったが、1月末に左膝前十字・後十字靱帯部分断裂・全治8週間と発表され欠場していた。
1R、ギョンピョはプレッシャーをかけ、左ミドル、ストレートを当ててやや優位に進める。カーライルは右まぶたをカットし出血する。ギョンピョがコーナーに押し込み、離れればパンチを当てる展開が繰り返される。
2R、ギョンピョがパンチを的確に当て優位に進めるが、詰め切れずにいると少しずつ体力を消耗する。すると中盤過ぎ、カーライルの左フックでギョンピョは少しひるみ、最後はカーライルが押し込んだ状態が続き、流れが変わる。
すると3R、カーライルが序盤からタックルで倒し、すぐさまギョンピョのバックを奪うと、オンブで裸絞めを極め、そのまま倒してタップを奪った。
マイクを持ったカーライルは「3連敗中でしたが愛するRIZINで勝ててうれしいです。サトシ選手とグスタボ選手のチャンピオンシップがあると思いますが、その後のチャレンジャーに名乗り出たいです」とアピールした。
ダウトベック、6年ぶりRIZINで関鉄矢を1R KO
第4試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○カルシャガ・ダウトベック[Karshyga Dautbek](カザフスタン/タイガームエタイ/レギオン)
×関 鉄矢(SONIC SQUAD/元ZSTフェザー級王者)
1R 3’11” KO (左ボディフック)
ダウトベックは30歳。ボクシングをベースとし、15年にMMAデビューし、18年9月にRIZINに初参戦すると、当時まだRIZIN 2戦目だった朝倉未来に判定負けした。現在はタイのタイガームエタイで練習しつつ、母国カザフスタンでのAlash Prideを主戦場とし、昨年は3試合とも1R KO勝ち。9月大会のメインイベントでは元UFCのディエゴ・ブランダオンを左フックからのパウンドでわずか35秒で仕留めた。今年1月には堀口恭司が故郷群馬で開催したTOP BRIGHTSに参戦し、ONEで王座挑戦経験もある松嶋こよみと対戦し、1R終盤、サウスポーからの左肘打ちでダウンを奪ってからのパウンドでTKO勝ちし、ムエタイ技術の成長を印象付けていた。現在6連勝・5連続1R KO勝ち中で、未来戦以来約6年ぶりにRIZINに出場する。
関も30歳で同じくボクシングをベースとし、13年にMMAデビュー。ZSTでフェザー級王座獲得後、20年からRIZINに参戦。22年5月に原口央に判定勝ちしたが、7月に中原由貴に判定負け。昨年6月の札幌大会では遠藤来生に判定勝ち。今回キャリア最強の相手に立ち向かう。
試合はダウトベックの完勝に。1R、ダウトベックがサウスポーでプレッシャーをかけ、時折左ミドルを当てる。中盤までお互い攻撃が少なかったが、レフェリーが「アクション」コールを繰り返していると、ダウトベックが左ミドル、左ボディのヒットを増やし、じわじわ関を追い詰め、左フックでダウンを奪う。これで終わったと思ったダウトベックは追撃をせず、レフェリーは続行したものの、関のダメージは大きく、ダウトベックが関をコーナーに詰め、左ボディ一撃でマットに沈めた。
マイクを持ったダウトベックは「これからもRIZINで戦ってチャンピオンになります」「チャンピオンになったら日本語を学び、日本語で皆さんとコミュニケーションしますとアピールした。
ベイノア、反撃も光り計量オーバーのジョニー・ケースに判定勝ち
第3試合 MMA ライト級(71kg) 5分3R
×ジョニー・ケース(米国/MMAラボ)
○“ブラックパンサー”ベイノア(極真会館/元RISEウェルター級(67.5kg)王者、元J-NETWORK同級王者、極真会館全日本ウェイト制2018軽量級優勝)
判定0-3 (石川=ベイ [D0-0 A0-0 G20-0 ケース減点50]/松宮=ベイ [D0-0 A0-30 G0-20 ケース減点50]/石川=ベイ [D0-0 A30-0 G20-0 ケース減点50])
※ケースが公式計量を1kgオーバーしレッドカード1枚(50%減点)、勝った場合はノーコンテスト
ケースは34歳。UFC 6戦4勝2敗で、18年からRIZINに上がり、矢地祐介、北岡悟、ホベルト・サトシ・ソウザをKOし3連勝したが、トフィック・ムサエフにKO負けする。22年4月、サトシのライト級王座に挑戦するも一本負け。その後も武田光司に判定負けし3連敗を喫したが、22年大晦日に大尊伸光をKOし連敗を止めた。今回はそれから1年半ぶりの試合となる。
RISEで活躍してきた空手家・ベイノアは28歳。21年にRIZINでMMAデビューし、大晦日大会では武田光司に腕十字で一本負け。22年はキックルールで海人と和島大海に連敗し、大晦日のRIZINでは宇佐美正パトリックに1R KO負けした。負けが込んだベイは、昨年からサンノゼのアメリカン・キックボクシング・アカデミー(AKA)で長期修行を敢行。4月29日の有明大会での井上雄策戦で判定勝ちしたものの、両者消極的だとしてレフェリーから警告を受け、観客からもブーイングを浴びていた。今回、ベイの奮起を促すため、ライト級上位勢の一人・ケースとの試合がRIZINから用意された。
1R、体格で勝るケースが伸びのあるパンチを振るいつつ、タックルを仕掛けると、一発でテイクダウンに成功する。ベイはコーナーを背にして立つが、ケースが左フックでダウンを奪い、タックルで倒し、マウントを奪いベイを追い詰める。だが早い段階でバックマウントになると、ベイはもがいて脱出に成功する。中盤以降、スタンドの攻防が続き、お互いパンチを出すが、強打は出ず終わる。
2R、ケースがプレッシャーをかけてパンチを振るい、ベイは回って距離を取る構図となるが、中盤からベイも右ミドル、ローを当てて、じわじわケースにダメージを与える。空手仕込みの蹴りは一発一発が鋭く、蹴り数は多くなくとも威力はありそうだ。終盤、ケースがタックルで倒すが、ベイは押さえさせず、猪木アリ状態にして終える。
3R、ベイが左ローを当てていると、ケースはタックルを仕掛けるが、ベイはロープの隙間から出てリングの下に落ち、一時中断する。ケースは減量苦の影響もあってかバテてきており、ベイが左ロー、ストレート、フックを細かく当てて優位に。ベイはタックルを切り続け、倒されてもすぐ立ち、前回の試合と一転して観客を味方につけて沸かせる。終盤、ベイは左三日月蹴りの連打でケースを下がらせ、コーナーに詰めると、なぜかタックルを仕掛けてしまい、KOは逃したが、その後もケースの反撃を封じて終了。記者採点はダメージ50-0、アグレッシブネス0-0、ジェネラルシップ0-20、ケースの減点50と合わせ、0-20でベイ。ジャッジ3者も採点はまちまちながらベイを支持し、ベイが判定勝ちした。
梅野源治、キック戦で魚井フルスイングに判定勝ち
第2試合 キック(肘有り・つかんでからの攻撃は1回・OFG着用) 62kg契約(ライト級相当) 3分3R
○梅野源治(PHOENIX/元ラジャダムナン&BOMライト級(61.23kg)王者、元WPMF世界・WBCムエタイ世界・同インターナショナル・スーパーフェザー級王者、元M-1フェザー級王者、元WPMF日本&WBCムエタイ日本スーパーバンタム級王者)
×魚井フルスイング(和術慧舟會HEARTS)
判定3-0 (松宮30-24/石川30-23/橋本30-23)
梅野は35歳。RIZINでの肘有りキックルールの試合が続き、昨年6月、鈴木宙樹に飛び膝蹴りでKO負け。10月にはKrushを主戦場とする斎藤祐斗の圧力に手を焼き判定2-0で辛勝している。今年中のMMAデビューを目指しMMAの練習をしており、今回はオープンフィンガーグローブ着用での立ち技の試合が組まれた。
魚井は38歳。RIZINと修斗を主戦場とするMMA選手。ここ9試合は1勝8敗で、21年11月に獅庵にKO勝ちして以降は4連敗中で、RIZINで伊藤空也、倉本一真、ヤン・ジヨンに敗れ、今年3月のDEEPでは平松翔にフロントチョークで敗れている。キックの試合経験もあり、20年11月にRISEで中村寛と対戦し1R KO負けしているが、サウスポーからの左フックを当て、中村の右まぶたを腫れさせた。
1R、開始すぐから魚井は、サウスポーで構えてパンチを振って突っ込み、梅野は右の縦肘を振い続けて応戦すると、魚井の頭が梅野の右まぶたに当たり、魚井が倒れる。バッティングではあったが、豊永レフェリーはダウンを宣告する。その後も魚井は左フックを振って来て、梅野は右ミドルで対処していたが、右ミドルがローブローとなり一時中断する。中盤以降、梅野は右ミドル、魚井は左フック主体の構図が続く。
2R、魚井はタックルを繰り返してしまい、豊永レフェリーからイエローカード減点1が科される。中盤、魚井が頭から突っ込むとバッティングとなり、またも魚井が倒れるが、梅野が右の縦肘も直後に当てていたためか、これもレフェリーは有効打と判断しダウンを宣告する。梅野は右ミドルを蹴り続けている中でスネが割れて出血する。
3R、魚井はまたもタックルを仕掛けてしまいイエローカード減点1が科される。その後も魚井が左フック、梅野が右ミドルという構図が続き終了。2度のダウン裁定は微妙ながらも、ポイント大差をつけ梅野が判定勝ちした。
宇佐美正パトリック、徳留一樹を1R KO
第1試合 MMA ライト級(71kg) 5分3R
×徳留一樹(パラエストラ八王子/元パンクラス・ライト級王者)
○宇佐美正パトリック(Battle-Box)
1R 2’29” TKO (レフェリーストップ:右ストレート→グラウンドパンチ)
徳留は37歳。07年にMMAデビューし、パンクラスで活躍後、13~14年にUFCに上がり1勝3敗。パンクラスに戻ってからは15年に北岡悟とのライト級王座決定戦で勝利したが、16年の初防衛戦で久米鷹介にTKO負け。18年にはONEに上がり2勝2敗。21年3月の名古屋大会でRIZINに初参戦し、セミファイナルでホベルト・サトシ・ソウザと戦かったが、1R三角絞めで一本負けしている。その試合の翌月、東京都八王子市の清掃事業所で勤める公務員となったため、試合出場が難しくなっていたが、無報酬という条件つきで、サトシ戦以来3年ぶりに試合する。
宇佐美兄弟の兄・パトリックは24歳。アマボクシングでは高校6冠を達成し、18年の世界ユース選手権で銅メダルを獲得も、東京五輪の選考試合では敗退する。ABEMA「格闘DREAMERS」のオーディションを通過し21年修斗でMMAプロデビュー。Road to UFC欠場を経て22年10月からRIZINに参戦すると、佐々木信治とベイノアをパンチでKOしたが、昨年4月の大阪大会ではキム・ギョンピョに1R裸絞めで一本負け。9月のRIZINではキックルールで安保瑠輝也と対戦し2ダウンを奪われ判定負けしている。
1R、徳留がサウスポー、パトリックがオーソドックスで構え、お互い慎重に見合う状態が続く。中盤、福田レフェリーがアクションとコールすると、徳留が左ストレートを立て続けに当て、パトリックを倒す。だがパトリックはすぐに立つと、前に出て左フックと右ストレートを立て続けにクリーンヒット。一発でダウンした徳留に、パトリックが鉄槌をまとめたところでレフェリーがストップした。