RIZIN 9.29 さいたま(レポ/後半):ホベルト・サトシ・ソウザ、グスタボを21秒KOしライト級王座3度目の防衛。井上直樹、キム・スーチョルに1R TKO勝ちしバンタム級王者に。元谷友貴、太田忍に3R裸絞めで一本勝ちし王座挑戦熱望
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Yogibo presents RIZIN.48
2024年9月29日(日)さいたまスーパーアリーナ
レポート&写真:井原芳徳 ※前半戦は別記事に掲載します。
中継 ABEMA、U-NEXT、RIZIN 100 Club、RIZIN LIVE(当日5,500円/アーカイブ3,300円)、スカパー(5,000円)
ホベルト・サトシ・ソウザ、グスタボを21秒KOしライト級王座3度目の防衛
第11試合 MMA RIZINライト級(71kg)タイトルマッチ 5分3R
○ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル/ボンサイ柔術/王者、元REALスーパーライト級(74.2kg)王者)
×ルイス・グスタボ(ブラジル/エヴォルサオ・タイ/挑戦者)
1R 0’21” TKO (レフェリーストップ:左ストレート→グラウンドパンチ)
※ソウザが3度目の防衛
サトシは35歳。22年4月にジョニー・ケースに1R一本勝ちして以来となる3度目の王座防衛戦。その後は同年大晦日のRIZINでのベラトールとの対抗戦でアントニオ・マッキーに判定負けし、連勝と連続一本勝ちが5でストップ。昨年は5月の有明大会でスパイク・カーライルに判定勝ちしたが、7月のベラトール・ライト級GP一回戦に緊急出場しパトリッキー・“ピットブル”・フレイレに3R TKO負け。3月の神戸大会では中村K太郎に1R右ハイからのパンチ連打でTKO勝ちしている。
グスタボは28歳。19年大晦日のRIZINライト級GP準決勝でパトリッキー・ピットブルに1R TKO負け。それから2年ぶりに復帰となった22年4月、矢地祐介を2R TKO。9月に大原樹理を1R KO。昨年4月には武田光司を打撃で苦しめ判定勝ち。今年2月の佐賀大会のメインイベントでは堀江圭功から2度ダウンを奪い判定勝ちすると、サトシの王座挑戦を希望していた。
試合はまさかの決着に。1R、じりじり前に出るグスタボに対し、サトシが下がりつつ右ミドルを当てると、グスタボは蹴り足をつかんで前進してきたが、サトシは右フックを当てると、グスタボは倒れてマットに手をつく。グスタボはすぐ立つが、サトシは突進しながら右と左のストレートを連続でヒット。コーナー際にグスタボが倒れ、サトシが右の鉄槌で追い打ちしたところで、すぐさまブライアン・マイナー・レフェリーがストップした。
3度目の防衛を果たしベルトを巻いたサトシは「今日のサプライズどうですか。グラウンド選手だけじゃないじゃん。2週間前35歳なった。ここまでかな、心の中で。でも私の神様、ジーザス・クライストありがとう」と話し、自身の打撃の強さと、加齢による試合前の不安について話した。
井上直樹、キム・スーチョルに1R TKO勝ちしバンタム級王者に「防衛戦、大晦日やりたいですね」
第10試合 MMA RIZINバンタム級(61kg)タイトルマッチ(第7代王者決定戦) 5分3R
○井上直樹(キルクリフFC)
×キム・スーチョル(韓国/ROADジム・ウォンジュMMA/ROAD FC 63kgトーナメント2023優勝、元ROAD FCバンタム&フェザー級王者、元ONE MMAバンタム級王者)
1R 3’55” TKO (レフェリーストップ:スタンドパンチ連打)
※井上が王者に
朝倉海がUFCと契約したのに伴い返上したRIZINバンタム級王座を懸けた一戦が組まれた。
井上は27歳。21年のRIZINバンタム級日本GPで石渡伸太郎、金太郎に勝利し、大晦日の準決勝では優勝者の扇久保博正に判定負け。22年大晦日の1年ぶりの試合で瀧澤謙太で2Rアームロックで一本勝ち。昨年5月の有明大会ではフアン・アーチュレッタに判定負け。10月の名古屋大会の太田忍戦は自身の病気により欠場。太田はその大会で佐藤将光に判定負けしたが、井上は今年3月の神戸大会で佐藤に判定勝ちしている。
スーチョルは32歳。22年9月のRIZINで扇久保博正に判定勝ちし、大晦日大会ではフアン・アーチュレッタに判定1-2で敗れる。昨年は6~10月の韓国ROAD FCの63kgトーナメントでアレクセイ・インデンコ、ブルーノ・アゼベド、原口央に勝利し優勝。今年4月の有明大会では中島太一を2R開始すぐに左ストレートでKOした。
1R、井上がスーチョルのプレッシャーを左に回ってかわしつつ、左ジャブを的確に当て続け、右ストレート、ロー、ミドルも絡めて、やや優位に進める。スーチョルも左ミドル、右カーフを返す。スーチョルの左フックで井上がバランスを崩すが、ダメージは小さい様子で、すぐに距離を取って左ジャブを当てる。すると終盤、井上の左ジャブで、スーチョルがフラつくように。井上はロープにスーチョルを詰め、左ジャブと右ストレートの連打でダウンを奪う。井上は中腰のスーチョルにパンチを当て続け、スーチョルの上体がロープの外に出て防戦一方になったところで、レフェリーがストップした。
念願のチャンピオンベルトを巻いた井上は「ベルト取りました。スーチョル選手は実績もあるしずっと勝ってきた選手なのでリスペクトあります。ありがとうございました。カムサハムニダ。ベルト取ったんで、防衛戦、大晦日やりたいですね。また会見でお会いしましょう」と話した。続けてマイクを持ったスーチョルは「妻と息子に申し訳ない。また借りができてしまいました」と話した。RIZINの榊原信行CEOは大会後の総括で、井上の防衛戦について「大晦日でいいと思います。ファンに納得していただけるようなカードにしていきたいです」と話している。
元谷友貴、太田忍に3R裸絞めで一本勝ちしバンタム級王座戦熱望
第9試合 MMA バンタム級(61kg) 5分3R
○元谷友貴(アメリカン・トップチーム/元DEEPバンタム級&フライ級王者)
×太田 忍(THE BLACKBELT JAPAN/2016リオ五輪・レスリング・グレコローマン59kg級銀メダリスト)
3R 4’09” 裸絞め
バンタム級王座を懸け井上直樹のキム・スーチョルの王座決定戦が行われるが、元谷×太田は次期王座挑戦者を占う重要な一戦となる。
元谷は35歳。21年6月のRIZINバンタム級日本GP二回戦で瀧澤謙太に敗れ、その後は金太郎、アラン“ヒロ”ヤマニハ、太田忍、倉本一真、ホジェリオ・ボントリン相手に5連勝したが、昨年5月に朝倉海にKO負けし、王座戦線で一歩後退する。その後、フロリダの名門・ATTに加入し、11月のDEEPでの再起戦ではCOROに2R TKO勝ち。大晦日のRIZINでは朝倉海推薦の元UFCファイター、ヴィンス・モラレスに判定負け。今年5月のDEEPでは太田と同門の平松翔に2R裸絞めで一本勝ちした。
太田は30歳でMMA 10戦7勝(5KO)3敗。20年大晦日の所英男戦でMMAデビューし、4戦目の22年7月、元谷に判定負け。昨年4月の再起戦で倉本一真に27秒右フックでKO勝ちし、7月の超RIZIN.2では瀧澤謙太に1R TKO勝ち。10月の名古屋大会では井上直樹との試合が組まれたが、直前にONEの元ランカー・佐藤将光に相手が変わり、判定1-2で惜敗した。大晦日には元K-1の芦澤竜誠に1R KO勝ち。4月の有明大会では元フェザー級王者・牛久絢太郎を組み主体の展開で優位に進め判定勝ち。6月のベラトール・ダブリン大会ではロジャー・ブランクを圧倒し1Rノースサウスチョークで一本勝ちし3連勝中だ。
1R、元谷が距離を取りつつ、低いガードからのノーモーションの右ストレートを随所で当て、太田のタックルも切って対処する。太田のフックは大振りだが、中盤過ぎから当たり出し、終盤にはタックルでのテイクダウンを奪う。最後は元谷が立ち、太田が元谷をコーナーに詰め、右肘を当てて終える。
2R、太田が度々押し込むが、元谷は突き放し続け、テイクダウンを許さない。見合う状態と打ち合いが繰り返され、打ち合いの中で元谷がパンチを当てるが、太田も返し、太田は肘や膝も当てる。元谷は眉間から出血する。最後、太田がタックルで倒し上になって終える。
3R、太田は圧力を強め、パンチを振るうが、振りが大きく、なかなか強打につなげられない。それでも中盤、太田は元谷をコーナーに詰め、両足タックルで倒して上になる。立とうとする元谷に対し、太田はセコンドの指示を聞きつつパウンドを落とそうとするが、元谷はその隙に返して上になると、すぐにバックマウントを奪うことに成功する。元谷は裸絞めにトライし続け、しばらく太田は対処していたが、最後は極まると太田がタップし、元谷の一本勝ちとなった。
マイクを持った元谷は「うれしいっすね。本当に。これだけ勢いのある太田選手、極めれたんで、そろそろベルトとか、絡めないですかね。戦績良くないですけど、RIZIN 10年ぐらい戦っているんで、いい相手お願いします。ベルトお願いします」とアピールした。最後はセコンドについた堀口恭司、春日井寒天たけしと記念撮影した。
シェイドゥラエフ、アーチュレッタに1R一本勝ちし「鈴木千裕と戦いたい」
第8試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
×フアン・アーチュレッタ(米国/ザ・トレーニングラボ、HBアルティメット&グレイシーバッハ/元RIZIN&ベラトール・バンタム級王者)
○ラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス/Ihlas)
1R 3’12” 腕ひしぎ十字固め
※アーチュレッタが計量2.9kgオーバー。アーチュレッタが勝利の場合はノーコンテスト。アーチュレッタはレッドカード50%
アーチュレッタは37歳。ベラトール時代には当初フェザー級で参戦して5連勝し、19年9月にパトリシオ・ピットブルの王座に挑戦し判定負けした過去がある。22年の大晦日のRIZINにベラトール推薦で初参戦すると、キム・スーチョルに判定勝ち。昨年5月、井上直樹に判定勝ちし、7月に扇久保博正に判定勝ちしRIZINバンタム級王者となった。大晦日に朝倉海との初防衛戦が組まれたが、前日計量で2.8kgオーバーし、王座をはく奪され、試合も2R TKO負け。試合後のマイクではフェザー級復帰を希望。6月大会では元王者のクレベル・コイケと戦ったが、足関節技を防御した際にアーチュレッタは膝を痛めタップし一本負けとなっていた。この勝利でコイケは王者・鈴木千裕への挑戦に大きく近づいた。
シェイドゥラエフはMMA 11戦全勝の23歳。中央アジアのキルギス出身でレスリングをベースとし、昨年の韓国のROAD FC 63kgトーナメントでヤン・ジヨンに1R裸絞めで一本勝ちしている。バンタム級では減量苦となり、フェザー級に階級を上げ、6月にRIZINに初出場すると、逆にライト級からフェザー級に階級を落として2戦目の武田光司を打撃で圧倒した後、肩で担いでから豪快にマットに叩きつけて倒し、裸絞めを極め1Rで圧勝し、今後の王座戦線浮上を予感させた。
RIZINでは対日本人でのシェイドゥラエフの2戦目を計画したが、あまりにも強すぎることもあってか難航。RIZINは昨年のコロナ禍明け以降、海外進出も新たな目標に掲げていることから、海外のファン向けのアピールを意識するマッチメイクに転換し、アーチュレッタとの裏メイン相当の注目の一戦が大会3週間前にようやく発表された。
だが上記の通り、アーチュレッタが計量で2.9kgオーバーしてしまう。加齢だけでなく、急なオファーの影響も無いとはいえないだろう。
試合はシェイドゥラエフの完勝に。1R、シェイドゥラエフがプレッシャーをかけ、伸びのある右ストレートを当てる。アーチュレッタは打撃を嫌って組み付いて押し込みむ。だがシェイドゥラエフが小手を差しつつ倒して上になる。しばらくアーチュレッタも対処していたが、シェイドゥラエフはハーフ、サイドと動き、バックマウントを奪う。下に落ちつつ、シェイドゥラエフは腕十字を極め、マイナー・レフェリーがストップした。
シェイドゥラエフは「私はRIZINでトップを目指します。フェザー級王者の鈴木千裕選手と戦いたいです」とアピールした。
RIZINの榊原信行CEOは大会後の総括で、シェイドゥラエフのアピールに関して「いきなり千裕ってことは無いと思います。千裕の前に何人も並んでいるんで(千裕の)怪我明けに年末誰とやらせるか最終調整します。シェイドゥラエフは無傷で終わっているんで(次戦は11月17日の)名古屋でいいんじゃないかなと思っています」とコメントした。アーチュレッタについては「フェザー級に上げてもまだ体重オーバーするかよって、残念でならないです。あきれています。体重オーバーしてあんな結果しか出せないなら、もう呼ぶ価値ないのじゃないかと思ってしまう。決してギャラの安い選手じゃないし」と厳しくコメントしている。