ベラトール 7.30 さいたまスーパーアリーナ(レポ):パトリッキー、緊急出場のホベルト・サトシ・ソウザを3R KO。堀口恭司×神龍誠は開始わずか25秒で無効試合に
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のむシリカ presents 超RIZIN.2 powered by U-NEXT(BELLATOR X RIZIN: PITBULL VS. MCKEE)
2023年7月30日(日)さいたまスーパーアリーナ
レポート&写真:井原芳徳
※この記事では第1部・ベラトールの試合レポートをお届けします。第2部・RIZINは別記事でお伝えします。
超RIZIN(スーパーライジン)は昨年9月に初開催され、第1回はフロイド・メイウェザーと朝倉未来のエキシビションマッチがメインイベントだった。
今回の第2回は昨年大晦日大会以来となるベラトールとのコラボレーション大会となり、前半は試合場に円形ケージを使用してのベラトールの大会、後半は四角いリングを使用してのRIZINの大会の2部構成となる。また「powered by U-NEXT」と大会名につき、大会の模様はU-NEXT、RIZIN公式配信プラットフォームのRIZIN 100 CLUB、スカパー!のみで生放送された。
パトリッキー・ピットブル、緊急出場のサトシ・ソウザを3R KO
第5試合 メインイベント ベラトール・ライト級GP一回戦 161ポンド(73kg)契約 5分5R
○パトリッキー・“ピットブル”・フレイレ(ブラジル/ピットブル・ブラザーズ/ベラトール・ライト級2位・元王者)
×ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル/ボンサイ柔術/RIZINライト級王者、元REALスーパーライト級(74.2kg)王者)
3R 0’49” TKO (レフェリーストップ:右カーフキック)
ベラトール部門のメインイベントでは、冬から始まったベラトール・ライト級GP一回戦の4試合のうち最後の1試合が行われた。元々はパトリッキーとAJ・マッキーが戦う予定だったが、マッキーが感染症で膝の状態が悪くなり欠場した。代わって昨年大晦日のRIZINでマッキーと接戦の末に判定負けしたサトシがパトリッキーとGP一回戦で対戦することになった。サトシはGPのリザーバーとしてオファーされていたが、本戦ではないことからRIZIN側が拒否していた。大会4日前に変更が発表され、急きょサトシが出場するため、既にGP一回戦を勝ち上がった3選手の了承を得て、161ポンド(73kg)のキャッチウェイトで争われる。
パトリッキーは大晦日にクレベル・コイケに判定勝ちしたベラトール・フェザー級王者・パトリシオの兄。19年のRIZINライト級GPでは川尻達也とルイス・グスタボを1R KOしたが、決勝ではトフィック・ムサエフに判定負けした。21年11月にベラトール・ライト級王者となったが、昨年11月にウスマン・ヌルマゴメドフに敗れ王座陥落した。
サトシは昨年4月のRIZIN調布大会でジョニー・ケースに一本勝ちしライト級王座の2度目の防衛に成功。大晦日大会にマッキーに判定負けし、連勝と連続一本勝ちが5でストップした。5月の有明大会ではスパイク・カーライルに判定勝ちしている。
1R、パトリッキーがプレッシャーをかけ続け、右のカーフキック、左フックを随所であて主導権を握る。序盤、サトシは片足タックルを仕掛けるが、パトリッキーはすぐ足を抜いて離れる。サトシは回って距離を取り続けて慎重な試合運び。最後、サトシは右の飛び膝蹴りも放つが、目立つ攻撃はこれぐらいで、パトリッキーが打撃の的確さで印象を残すラウンドに。記者採点はパトリッキー。ベラトールはRIIZNと違いラウンドごとに原則マストシステムで採点する。
2R、サトシは序盤、タックルを仕掛け、すぐに引き込んで下になるが、金網際に運ぼうとしたところで、パトリッキーは立ち上がり、レフェリーはブレイクをかける。パトリッキーは1R同様、前に出続け、サトシは回る構図が続く。パトリッキーは随所で右カーフなどをヒット。終盤、パトリッキーは右の飛び膝をヒットし、サトシをダウンさせる。だがパトリッキーはサトシの寝技を警戒し、追撃は少々にして離れ、レフェリーはブレイクする。記者採点はパトリッキー。
すると3R、パトリッキーが右のカーフキックを当てると、サトシは足のダメージが溜まっていたようで倒れてしまう。パトリッキーはさすがに寝技の危険は無いと認識した様子で、パトリッキーが上からパウンドをまとめると、サトシは亀のようになって防戦一方となり、すぐさまレフェリーがストップした。
緊急参戦のサトシは準備不足な感が否めず、今回の負けだけで実力差が大きいと判断するのは早計だが、パトリッキーは元ベラトール王者としての強さはしっかり印象付けた。パトリッキーはGP準決勝でアレクサンドル・シャブリーと対戦する。
堀口恭司×神龍誠は開始わずか25秒で無効試合に
第4試合 コーメインイベント ベラトール・フライ級初代王者決定戦 5分5R
―堀口恭司(アメリカントップチーム/ベラトール・バンタム級6位・元王者、元RIZIN同級王者、元修斗世界同級王者、元UFCフライ級3位)
―神龍 誠(神龍ワールドジム/DEEP&CFFCフライ級王者)
1R 0’25” 無効試合
堀口はベラトールのバンタム級上位戦線でセルジオ・ペティス、パッチー・ミックスに連敗し、9月のRIZINでは金太郎にパンチでダウンを奪われるも2R肩固めで逆転一本勝ち。体格差に苦しむ試合が続いたことから、大晦日のRIZINの扇久保博正戦から、UFC時代と同じフライ級に戻し判定勝ちした。堀口の階級変更に伴い、ベラトールもこれまで無かったフライ級を本格始動させることに。4月のハワイ大会ではレイ・ボーグとのフライ級戦が組まれたが、ボーグが減量苦で試合を辞退し中止となっていた。
神龍は23歳。昨年5月のDEEPでフライ級暫定王者の藤田大和と王座統一戦を行い、3Rニンジャチョークで一本勝ち。7月のRIZIN埼玉大会では所英男に判定勝ちした。UFC参戦を目指し、11月にはフロリダのCFFCに参戦すると、ディエゴ・パイヴァに勝利しCFFCフライ級王座を獲得。ニンジャチョーク(神龍の命名ではドラゴンデスロール)での一本勝ちは、CFFCおよび大会を配信したUFCファイトパスのサブミッション・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。4月のRIZIN大阪大会では北方大地を圧倒して2R肩固めで一本勝ちすると、「俺がフライ級最強なんで、日本のフライ級で強い奴、ぶっ倒します。堀口(恭司)選手、(元UFCフライ級1位のジョン・)ドッドソン、殺してやるよ」とアピールしていた。
今回はベラトール初の日本人同士のタイトルマッチとなり、観客も選手入場時から大盛り上がりとなるが、短時間での無念の結末に。1R、サウスポーの神龍に対し、堀口が右ミドルを当てる。さらに堀口は素早く踏み込んで左の前手を突き出しつつ右フックを振う。すると堀口の左指が神龍の右目に入り、早くも中断する。ジェイソン・ハーゾグ・レフェリーに促され、2分ほど経ってからドクターがケージに入り診断をする。その結果、続行不能と判断され、レフェリーからは偶発的なアクシデントとみなされ、ルールにより無効試合となった。
しばらく場内も静まり返り、一部の観客からは「やれよ」という野次も飛んだが、多くの観客はMMAではありうるアクシデントとして理解し、受け入れていた様子だった。堀口は神龍に歩み寄って頭を下げ、観客にも両手を合わせ頭を下げて退場した。
渡辺華奈、下位のアルテイガに辛勝
第3試合 女子フライ級 5分3R
○渡辺華奈(FIGHTER’S FLOW/3位)
×ヴィタ・アルテイガ[Veta Arteaga](米国/コンバットフィットネス/7位)
判定3-0 (29-28/29-28/29-28)
渡辺はDEEP JEWELS、RIZINで活躍後、19年末のベラトールさいたま大会のイララ・ジョアニ戦で3R TKO勝ち。以降は米国でのベラトールのみに上がり続け、21年4月の米国初戦ではベラトール女子フライ級4位のアレハンドラ・ララに判定勝ち。同年6月に元UFCのリズ・カモーシェに35秒でTKO負けしプロ12戦目で初黒星を喫した。眼窩底(がんかてい)骨折の手術を経て昨年5月、2位のデニス・キーホルツに2R三角絞めで一本勝ち。今年4月には3位・元王者のイリマレイ・マクファーレンと対戦し、優位に試合を進めるも、判定2-1で惜敗していた。今回約3年半ぶりの日本での試合では下位ランカーが相手に用意された。
アルテイガはMMA 12戦7勝(1KO/2一本)5敗の35歳。MMAデビューした16年からベラトールに上がり続け、19年4月にマクファーレンの王座に挑戦し3R TKO負け。続くララ戦で敗れた後ブランクが続き、21年4月に復帰後はデザリー・ヤネス、ヴァネッサ・ポルトに連勝したが、4月のハワイ大会ではスミコ・イナバに判定負けしている。
1R、渡辺がサウスポーでプレッシャーをかけ、パンチを振るい、押し込んでテイクダウンを狙うが倒せない。するとアルテイガが下がりながらも右フックを度々当て、渡辺を苦しめる。最後、渡辺がようやく倒して背後から押さえ、パウンドを落とすが、威力は不十分で、ダメージを与えることはできない。記者採点はアルテイガ。
2R、渡辺がタックルを繰り返し、中盤に倒して金網際で押さえ込む。その先に持ち込めないが、立たれてもタックルを仕掛け、押し込む展開を繰り返し、主導権を維持する。記者採点は渡辺。
3R、渡辺は執拗に組みに行くが、その合間にアルテイガのパンチや膝をもらう頻度が2Rよりも上がり、印象が悪い。アルテイガは倒されなくなると、終盤には渡辺のタックルを潰し、金網際で押さえ、パウンドを時折落とし、好印象で試合を終える。記者採点はアルテイガ。合計28-29でアルテイガ。合計28-29でアルテイガ。ジャッジは3者とも29-28で渡辺を支持し、渡辺の勝利となった。
勝利者インタビューで渡辺は「タフな戦いになるとは思っていました。一本とか日本の強さをもっと見せたかったんですけどすみません」と内容を反省しつつ「フライ級のタイトルを取って、男子のフライ級と2階級にベルトを留めさせたいです」とアピールした。
第2試合 バンタム級 5分3R
○マゴメド・マゴメドフ[Magomed Magomedov](ロシア/ダゲスタン・ファイタークラブ/4位)
×ダニー・サバテロ[Danny Sabatello](米国/アメリカントップチーム/5位)
1R 3’55” フロントチョーク
1R、序盤からサバテロが組み付くと、抱え上げて倒し、バックを奪って先手を取る。だがマゴメドフは脱出すると、サバテロのタックルを切るようになる。するとマゴメドフはタックルを切りながら首を抱え、引き込んでギロチンチョークを極める。サバテロはもがいたが、ガッチリと極まり、最後はタップ。マゴメドフが見事一本勝ちした。マゴメドフはインタビューで王座挑戦を熱望した。
第1試合 ウェルター級 5分3R
○アンドレイ・コレシュコフ[Andrey Koreshkov](ロシア/ロスファイターズスポーツクラブ/ストームMMA/5位、元王者)
×ロレンズ・ラーキン[Lorenz Larkin](米国/ミレニアMMA/9位)
判定2-1 (29-28/28-29/29-28)
※第2部・RIZINは別記事でお伝えします。