超RIZIN 9.25 さいたまスーパーアリーナ(レポ):メイウェザー、4年ぶり日本でのエキシで朝倉未来を2R右フックで沈める
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The Battle Cats presents 超RIZIN(スーパーライジン)
2022年9月25日(日)さいたまスーパーアリーナ
レポート&写真:井原芳徳
メイウェザー、4年ぶり日本でのエキシで朝倉未来を2R右フックで沈める
第4試合 エキシビションマッチ スタンディングバウトルール(ボクシング形式) 体重無差別 3分3R
―フロイド・メイウェザー・Jr(米国/プロボクシング元WBC世界スーパーウェルター・ウェルター・スーパーライト・ライト・スーパーフェザー級王者、元IBF世界ウェルター級王者、元WBA世界スーパーウェルター・ウェルター級王者)
―朝倉未来(トライフォース赤坂/元THE OUTSIDER 65-70kg級・60-65kg級王者)
勝敗無し
※2R 3’15″ TKO (レフェリーストップ:右フック)
RIZINはナンバーシリーズのRIZIN.38との2部制で、新シリーズ「超RIZIN(スーパーライジン)」を初開催した。ボクシング界の大スター・メイウェザーと、273万の登録者を抱えるユーチューバーとしても人気のMMA選手・朝倉未来のエキシビションマッチをメインイベントに据え、通常の大会よりも企画色の強いカードが主体となっている。
メイウェザーのエキシということもあって海外向けにも配信され、メイウェザーの母国米国の土曜夜の時間に合わせ、日本では正午から2時台に開催された。国内でもRIZINが6月からスタートした有料配信プラットフォーム「RIZIN STREAM PASS」、6月のTHE MATCH 2022で初めて協業したABEMAでも、RIZIN.38含め全試合PPV配信された。事前の配信番組も、RIZIN公式YouTubeでのドキュメンタリー番組「RIZIN CONFESSIONS」の配信は無く、ABEMA格闘チャネルでの毎日のインタビュー動画等のアップが主体で、広報の手法でも50万件のPPVを売った6月のTHE MATCHを境に変化が生まれている。
メイウェザーは17年8月、元UFCフェザー級王者・コナー・マクレガーに勝利し、プロボクシング50戦全勝で引退。18年大晦日のRIZINでの那須川天心とのエキシを皮切りに、その後はエキシで大金を稼ぐ路線に移行した。昨年6月には世界的に人気のユーチューバー、ローガン・ポールと8Rのエキシを繰り広げ、100万件のPPVを売ったという。
今年6月のメイウェザー×未来の発表記者会見でRIZINの榊原信行CEOは「コロナの前はMEGAというイベントにメイウェザーが出る予定でしたが、MEGAから契約を引き継いでこの2人が戦います。1試合だけ出るのではなく、色んな形でメイウェザーと協力します」、未来は「世界に名前を売るために利用させてもらいます」とコメントした。
エキシの前には歌手の優里さんが日本の、クリス・ハートさんが米国の国歌を歌った。なお、メイウェザーへの花束贈呈で、奥野卓志・ごぼうの党代表が花束を渡さず目の前に投げ捨てたことについて、同日夜のRIZIN.38の途中、榊原CEOが「品性下劣な男をリングに上げたことをこの場を借りてお詫びします。申し訳ありませんでした」とリング上で謝罪した。奥野氏は最前列のVVIP席のNFTデジタルチケットを最高額の420万円で落札し花束贈呈権を獲得していた。未来は7月の参院選前にごぼうの党への支持を表明し、スポーツアドバイザーも務めている。
エキシは未来も見せ場を作ったが、45歳のメイウェザーが今だ錆びていないボクシング技術を見せつける内容に。1R、未来はサウスポー、メイウェザーはオーソドックスで構え、前手でお互いフェイントをかけながら、様子をうかがう。次第に未来は左フックを振るようになるが、メイウェザーはかわすかブロックする。終盤、メイウェザーは右ボディストレート、顔面へのストレートを増やす。未来が右ボディをかわしながら左フックを軽めながら当てると、場内はどよめく。エキシだがあえて記者採点を付けるなら有効打で上回ったメイウェザーか。
2R、メイウェザーは右ボディを散らしつつ、次第にノーモーションの右フックのヒットを増やす。ノーガードでじりじりと未来をコーナーに詰めて右フックを当てる場面も。未来も接近戦で左フックを当て、右ジャブ、飛び込んでの右ストレートも当て、場内は盛り上がる。
だが未来は攻める分隙もでき、メイウェザーのパンチをもらい続けるうち、じわじわとダメージが蓄積する。終了間際、メイウェザーが右フックを当て、未来を下がらせると、未来の苦し紛れの右フックのカウンターで、メイウェザーがスピードのある右フックをヒット。かすめるような形で未来はもらったが頭が揺れ、後方に崩れ落ちダウンすると、茫然とした表情のまま。エキシのため10カウント後もケニー・ベイレス・レフェリーは待ち、未来はなんとか立ち上がったがフラついたため、すぐさまレフェリーがストップ。エキシはここで終了となった。タイムは3分越えの15秒となっている。
メイウェザーは「素晴らしい会場、ファンです。朝倉に拍手を送ってください」と称え、「私はまた日本に戻ってきます」とアピールした。バックステージでのインタビューでもメイウェザーは「相手がパンチを当ててくれたおかげで盛り上がりました。ドバイのエキシを終えたら、また来年、日本に戻ってきたいです」と話した。
一方の未来はインタビューで「なんであれで倒れたのかが謎。めちゃめちゃ頭が痛いです。人生で初めてKOされました。反応速度、技術、全てが異次元でした。MMA選手として成長したのでやって良かったです。ボクシングテクニックが向上して、オープンフィンガーグローブだともっと速くパンチが打てると思います。メイウェザーとここまで戦えたので自信になります」等とコメントしている。
また、このエキシのために、メイウェザーと戦ったマニー・パッキャオ氏もフィリピンから来日し、リングに上がると「また日本に呼んでください」とアピールした。未来は今回のエキシの前にフィリピンに渡りパッキャオ氏の指導を受けており、前日会見ではメイウェザーとのツーショットも実現し、このエキシもリングサイドの最前列の席で観戦していた。
今大会の主催者発表の観衆は23,105人で、満員に近い状態だったが、メイウェザー×未来終了後にはRIZIN.38まで残らず帰る観客も数割おり、このエキシや皇治目当ての観客も少なくなかったようだ。
皇治、8月に続きボクシングエキシ。メイウェザーのボディガードをKOしメイウェザーの次の相手に名乗り
第3試合 エキシビションマッチ スタンディングバウトルール(ボクシング形式) 体重無差別 3分3R
―皇治(TEAM ONE/元ISKA K-1ルール世界ライト級王者)
―ジジ[Jizzy](米国)
勝敗無し
※3R 0’50” TKO (レフェリーストップ:左フック)
皇治は3月の大阪大会の梅野源治戦で判定勝ちして以来となるRIZIN登場。その後は5月のHEATでダウサコン・モータッサナイに判定勝ち。8月には亀田興毅氏主催のボクシング大会でボクシング形式のエキシを行い話題を呼び、今回もボクシングエキシでリングに上がる。
ジジはメイウェザーのボディガードを15年近く務め、8月末のハワイでの記者会見の際には、記念撮影でメイウェザーをにらむ未来を突き飛ばしたことで話題になっていた。その後、ABEMA格闘チャンネルの公式YouTubeにジジのインタビュー動画がアップされ、未来を突き飛ばした理由を説明すると共に、「フロイドのお面をかぶりリングに上がるフザけた奴がいると聞いた。本当なら許せない。そいつも大会に出る気があるのなら、俺とどっちが強いかやってみたい」と話し、皇治がエキシの相手を務めることを承諾した。
体重無差別だが前日計量は行われ、皇治は65.30kg、ジジは84.45kgで、約20kgの差があった。キックならウェルター級からクルーザー級、MMAならフェザー級からミドル級ぐらいの差がある。
体の大きいジジは実戦経験は無く、エキシはプロと素人のボクシング技術の差が如実に出る内容に。1R、ジジは時折右フックを振るうが、フォームは大きく動きが遅く、軽々と皇治はかわす。皇治もまだ攻撃が少ない。
2R、序盤の接近戦でジジの右フックが当たり、皇治は少し苦しそうな様子を見せる。だが皇治は頭から突っ込むようにして前に出ると、左右のフックを当てるようになり、ジジが苦しそうになる。
すると3R、開始すぐ皇治が左フックを当ててダウンを奪う。ジジはダメージが大きく、皇治が再び左フックでダウンを奪うと、豊永レフェリーはストップし、エキシは終了した。
皇治は「当然の結果やけどね。何も満足していないです。次出て来るマルコメ君(=メイウェザー)、記者会見やったら圧倒します。試合やったらいけるんちゃうかね。でも今日に限っては未来を応援しています。皆さん応援しましょう。あと、モテてしゃあないは卒業します。週刊誌は追いかけないでくださいね。モテてしゃあない。RIZIN最高」とアピールした。
吉成名高、タイ人選手にKO勝ち「日本でもムエタイは流行る」
第2試合 キック(肘有り・つかんでからの攻撃は1回) 53kg契約 3分3R
○吉成名高(エイワスポーツジム/タイ国プロムエタイ協会・WPMF世界・BOMフライ級(50.8kg)王者、WBCムエタイ・ナイカノムトム・スーパーバンタム級(55.33kg)王者、元ルンピニー&ラジャダムナン認定ミニフライ級王者、元WBC・IBF・WMCムエタイ世界同級王者)
×バンダサック・ソー・トラクンペット[Bandasak So Trakunpet](タイ/元MAXムエタイ53kg級王者、ムエサイアム東北地方&チェンマイ・ミニフライ級王者)
1R 2’24” TKO (レフェリーストップ:右ボディフック)
吉成は日本人で初めてムエタイのルンピニー&ラジャダムナンの2大王座を獲得した選手。2年前からRIZINにも上がり、今年3月の白幡裕星戦まで、5試合ともKO勝ちしている。最近では7月3日のBOMでタイ人選手に左肘でTKO勝ちしている。今回はメイウェザーが登場する「超RIZIN」枠の試合で、世界的に知名度を高めるチャンスとなる。
対するバンダサックは89年7月12日生まれの33歳のベテラン。戦績104戦78勝21敗5分。タイのテレビマッチ大会「MAXムエタイ」を主戦場とし、6年前の16年に53kg級王者となったことがある。
試合は大方の予想通り、吉成が第一線の選手の実力の高さを示す内容に。1R、吉成がサウスポーで構えて左のミドル、ロー、ボディを当て、組めば離れ際に左肘を当て主導権を握る。バンダサックの右ミドルはつかんで崩したり、かわしたりし続ける。すると終盤、バンダサックをロープに詰めると、右ミドルをかわしてから、吉成が左ロー、右フック、右ボディを連打しダウンを奪う。バンダサックは立ち上がるがダメージが大きく、吉成が左膝を当ててから、右ボディを連打し棒立ちにさせ、さらに左膝蹴りを叩きこんだところで豊永レフェリーがストップした。
マイクを持った吉成は「6月のTHE MATCHはレベルが高く、盛り上がりましたが、全て肘無しルールだったので悔しい気持ちがあります。日本でもムエタイ(=肘有り)は流行ると思っています。日本には強いムエタイ選手たくさんいるので盛り上げたいです」とアピールした。
東南アジアで人気・三浦孝太、MMA初挑戦のタイ人に腕十字で一本勝ち
第1試合 MMA フェザー級(66kg) 3分3R
○三浦孝太(BRAVE)
×ブンチュアイ・ポーンスーンヌーン[Bunchuai Phonsungnoen](タイ/サーイゲーオ・ボクシングジム)
1R 1’54” 腕ひしぎ十字固め
三浦はサッカー元日本代表で“キング・カズ”こと三浦知良の次男。昨年大晦日のRIIZNでのプロデビュー戦では同じくデビュー戦のYUSHIに1R TKO勝ちした。5月のLANDMARKでは、大晦日に戦う予定だったブラジル人のフェリペ“キングハンター”マソーニとの試合が再び試合が組まれたが、三浦の首の負傷で中止となり、7月のRIZIN.37で3度組まれたが、今度は前日計量クリア後に新型コロナウイルス感染が発覚し中止となっていた。
三浦は大晦日の試合後、TikTokを通じて東南アジアでの人気が突如高まり、Instagramのフォロワーは72万。8月19日にはタイのラジャダムナンスタジアムでブアカーオとのエキシビションマッチを行った際には、普段は中高年の男性ギャンブラーばかりのスタジアムが若い女性で埋め尽くされたことで話題を呼んだ。そして今回はMMA経験の無いタイ人とのMMAの試合が用意された。
ブンチュアイは2000年6月23日生まれの22歳。ムエタイ20勝17敗3分、プロボクシング7戦4勝(3KO)2敗1分。BoxRecのデータでは、18年元旦のボクシングデビュー戦で日本のディファ有明で戦い、垂水稔朗に4R TKO負け。今年に入ってからもボクシングをタイで2試合、ベトナムで1試合し、7月30日のWBOオリエンタルユース・スーパーライト級タイトルマッチでは韓国の選手にTKO負けしている。来日後の会見では1か月前からMMAの練習を始めたばかりと話していた。
試合は大方予想された通り、三浦が寝技で圧倒する展開に。1R、開始すぐから、三浦がコーナーに押し込んで引き込み、腕十字を狙う。だが極めが荒く、ブンチュアイは腰を上げて振り落とし脱出する。スタンドに戻ると、片足タックルから倒すと、あっさりとマウントを奪い、腕十字を極めてタップを奪った。
マイクを持った三浦は欠場が続いたことを謝罪し「アンチの人にも応援してくれる人にも、応援していてよかったと思われるよう、格闘技界の若きキングになります」と、父・カズの愛称・キングを借りてアピールした。