RIZIN 5.4 東京ドーム(レポ/後半):シェイドゥラエフ、クレベルを62秒KOしフェザー級王者に。朝倉未来、鈴木千裕に3RカットでTKO勝ち。秋元強真、高木凌に判定勝ち。萩原京平、西谷大成を1R KO
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RIZIN男祭り
2025年5月4日(日/祝)東京ドーム
レポート&写真:井原芳徳 (前半戦のレポートは別ページに掲載)
中継:ABEMA、U-NEXT、RIZIN 100 Club、RIZIN LIVE、スカパー
シェイドゥラエフ、クレベル・コイケを62秒KOしフェザー級王者に
第16試合 メインイベント MMA RIZINフェザー級(66kg)タイトルマッチ 5分3R
×クレベル・コイケ[Kleber Koike](ブラジル/ボンサイ柔術/王者、元KSW・REBEL FC同級王者)※初防衛戦
○ラジャブアリ・シェイドゥラエフ[Razhabali Shaidulloev](キルギス/Ihlas/挑戦者)
1R 1’02” KO (右ストレート→グラウンドパンチ)
※シェイドゥラエフが王者に
コイケは35歳。静岡在住の日系ブラジル人で、海外で2冠達成後、20年大晦日からRIZINに参戦。21年6月の東京ドーム大会で朝倉未来に2R三角絞めで一本勝ち。22年10月に牛久絢太郎に2R裸絞めで一本勝ちし6連勝でRIZINフェザー級王者となる。22年大晦日大会ではベラトール王者・パトリシオ・ピットブルに判定負け。23年6月の初防衛戦では計量オーバーし王座をはく奪され、鈴木千裕から1R腕ひしぎ三角固めでタップを奪ったが無効試合となる。9月には金原正徳に判定負けしたが、大晦日には元王者の斎藤裕に3Rダースチョークで一本勝ち。昨年6月にはフアン・アーチュレッタに1Rヒールフックで一本勝ちし2連勝とする。大晦日大会では千裕との死闘の末に判定勝ちし、王座奪還を果たした。
シェイドゥラエフはMMA 13戦全勝(5KO/8一本)の24歳。中央アジアのキルギス出身でレスリングをベースとし、昨年の韓国のROAD FC 63kgトーナメントでヤン・ジヨンに1R裸絞めで一本勝ち。バンタム級では減量苦となり、フェザー級に階級を上げ、6月にRIZINに初出場すると、元ライト級の武田光司をに1R裸絞めで一本勝ち。9月にはフアン・アーチュレッタに1R腕十字で一本勝ち。大晦日には久保優太に2R TKO勝ちし、RIZIN 3連勝中だ。
コイケとシェイドゥラエフの王座戦は7月の実施が計画されていたが、5月の東京ドーム大会のメインイベントの朝倉未来×平本蓮の消滅により、2か月前倒しで行われることになった。
1R、スタンドの攻防であっけなく決着がつくことに。シェイドゥラエフがプレッシャーをかけ、コイケは前蹴りやローで距離を取ろうとするが、シェイドゥラエフが右ストレートを当てる。コイケが下がり、シェイドゥラエフが追いかけてつつ、右ストレートを立て続けにヒットする。シェイドゥラエフはコイケをロープに詰め、右ストレートを2連打すると、コイケは頭からマットに突っ込むようにして倒れ、すぐさま豊永レフェリーがストップした。シェイドゥラエフはRIZIN 4戦全てフィニッシュ勝利でフェザー級王座を獲得した。
◆シェイドゥラエフ
クレベル選手は経験豊富なので、3R戦う準備してきました。1Rに打撃をやってからレスリングに入ろうかと思っていましたが、1Rの始めで打撃でフィニッシュできました。
東京ドームは初めての大会場で、この雰囲気は言葉で説明できないくらい素晴らしい雰囲気でした。思ったよりも日本でたくさんのファンに応援してもらっていることを入場した瞬間に感じました。日本で外国の選手をこのように応援してもらっていることは、私にとってすごく嬉しい気持ちです。
(カウンターのパンチは体が勝手に動いた?)そうですね。私は試合で自分からまず攻撃して、相手の反応を探ります。今回はクレベル選手が私の攻撃の後に少し下がりました。その瞬間にこのタイプなら、前に攻撃に出ればすぐ倒せるんじゃないかと思い、その通りにすれば倒せました。
(今後の目標は?)RIZINがふさわしい対戦相手を見つけてくれれば私は次のイベントでも戦います。最強のチャンピオンであることを証明し続けます。
(コイケは7月にでもダイレクトリマッチをやりたいと言っています)正直あまり興味がありません。彼がやりたいなら明日にでもやります。
(1つ前の鈴木千裕と朝倉未来の試合は見た?)見ましたけど、ちょっとつまんない試合でした。
(3月に千裕に勝ったカルシャガ・ダウトベックとの試合でも受けますか?)彼とは兄弟のように仲良しです。最終的な判断はRIZINに任せたいですし、組まれたら受けるしかないですが、あまり望ましくない試合です。
(キルギスの国歌が変わると報道されていますが、今の国歌に愛着は?)今日キルギスの国歌がこんなに大勢の前で流れたとき、私はすごくうれしく、誇りに思いました。国歌が変わるかはわかりませんが、変わらないと思います。
(ハビブ・ヌルマゴメドフを筆頭に、中央アジア勢が強い理由は?)個人的な考えですが、中央アジアは田舎で、大自然の中で練習できるから強いのだと思います。食べ物も添加物ゼロでオーガニックです。新鮮な空気の中で高地トレーニングすることでみんな強くなっていると思います。
(田舎だから練習に集中できる?)誘惑が少ないだけじゃなく、トレーニングできるため状況が整っています。自然自体がジムのようなものです。
(母国キルギスでも大会場で試合を見せたい?)防衛戦をキルギスでできたらとてもうれしいです。
◆クレベル・コイケ
(率直な今の感想を)寂しい、恥ずかしい、悲しい。全部。
(実際にシェイドゥラエフと戦った感想)強いフィジカル、最初強く来る、(試合前の印象と)全然変わらない。
(フィニッシュのパンチをもらった時に意識があった?)パンチは当たるけど、レフェリー(のストップ)がちょっと早いと思う。
レフェリーだったら当たり前の仕事だけど、まだKOじゃない。ダウンでも自分はまだ相手足で捕まっている。
(今後の展望)目標当たり前。私チャンピオン戻りたい。
(今日はどんなプランを立てていた?)シェイドゥラエフ強いのが1Rで来る。私勝負したいけど1R我慢。2Rから私もグラップリング使うかな。
(ダイレクトリマッチがしたい?)私はすぐにリベンジしたい。いつでもいいよ。7月・9月・12月、もう一度リベンジしたい。今日、私は何でもできない。それがちょっと寂しい。
(パンチを受けたダメージはは今感じますか?)なんでもない。すごい元気。ダメージ全然大丈夫です。でもさっきバックステージでセコンドの怪物君(=鈴木博昭)の話だったら、ゆっくり休みになっている。でもすぐ自分で戻れます。
(一緒に練習した千裕も負けてしまいました。また一緒に練習する?)さっき彼がインタビュー終わって、私に挨拶して、またもっと一緒に練習やるか(と話しました)。今日が残念で、2人負けて。私グラップリング教えて、彼がもっとキックボクシングを私に教える。
(王座奪還が第一目標かと思いますが、朝倉未来ともう一度戦う可能性は?)朝倉選手とも戦いたいですし、みんなが見たい試合だと思います。今日朝倉選手はゲーム(=第一線)に戻ってきたのを証明しました。なので、自分がまず一番今やらなきゃいけないことはタイトルの奪還です。12月までにタイトルを奪還して、大晦日に朝倉選手と試合したいと思っています。
朝倉未来、鈴木千裕に3RカットでTKO勝ち
第15試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○朝倉未来(JAPAN TOP TEAM/元THE OUTSIDER 60-65kg級 65-70kg級王者)
×鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺/元RIZINフェザー級(66kg)王者、KNOCK OUT-BLACKスーパーライト級(65kg)王者)
3R 1’56” TKO (ドクターストップ:左ストレートによる左まぶたのカット)
朝倉兄弟の兄・未来は32歳。23年7月、ヴガール・ケラモフとの第4代RIZINフェザー級王者決定戦で1R裸絞めで一本負け。11月のFIGHT CLUBではオープンフィンガーグローブ着用の肘無しキックの試合に挑戦したがYA-MANにわずか77秒でKO負け。昨年7月の超RIZIN.3では平本蓮に1R TKO負けし3連敗を喫すると、引退を表明した。
その後、平本にドーピングの疑惑がかかり、検査結果は陰性だったが、夏頃から再戦交渉が進み、今年5月4日の「THE MATCH 2」東京ドーム大会で再戦すると昨年大晦日大会の冒頭に発表された。ところが平本が右肩の負傷により手術し全治6か月と診断されたため、未来との再戦の中止が3月3日に発表された。RIZINの榊原信行CEOは「5月4日に朝倉未来の復活祭をプロデュースさせてほしい」と話し、大会名を「RIZIN男祭り」に変えると発表。未来も「客観的に見て東京ドーム、俺いなくて埋まるのかなっていうのもあるし、いろんなことを考えたときに、ここは出るべきでしょうと思いました」と答え、出場が決まった。
未来の対戦相手候補として、3月29日のRISEでミゲール・トリンダーデと対戦したYA-MAN、3月30日のRIZIN香川大会でカルシャガ・ダウトベックと対戦した前RIZINフェザー級王者の鈴木千裕が挙がり、両者も未来戦に前向きだった。だがYA-MANはKO負け。千裕は試合中ダウンを喫する激しい打撃戦の末に判定負けし、大晦日のクレベル・コイケとのタイトルマッチに続いて2連敗となる。試合後の千裕は「多分途中で鼻が折れたんですよね」「ちょっと一人にさせてください」と話し、未来も「ここまで激闘した選手と戦えない」と千裕戦に難色を示し、未来の相手選びは難航を極めることになる。ところが、千裕が試合6日後の4月5日、千裕が未来戦を志願し、未来も承諾し、両者の対戦が決まり、8日の東京ドームシティでの記者会見でようやく発表された。
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第15試合
RIZIN MMAルール:5分 3R(66.0kg)#朝倉未来 vs. #鈴木千裕朝倉完全復活か、鈴木が再起戦を制するか
格闘ファン大注目の一戦は瞬き厳禁!!#アベマでRIZIN男祭り— ABEMA格闘 (@Abema_Fight) May 4, 2025
試合は両者のコンディション差も影響する内容に。1R、未来はサウスポーで構え、左ストレート、ミドルを当てた後、タックルを仕掛けて倒す。未来はコーナー際で千裕を押さえるが、千裕は下から密着してその先を許さない。中盤過ぎ、未来はハーフガードとなるが、引き続き千裕が密着し、パウンドを強打させない。残り30秒、未来は立ち、パウンドを当てる。未来は千裕の蹴り上げをかわし、サイドで押さえ、膝を当てて好印象で終える。
2R、千裕が左右のフックを振るうが、振りが大きく、未来が交わしてタックルを仕掛け、またも序盤からテイクダウンに成功する。未来はコーナー際で上で押さえる。未来は攻めあぐねるものの、千裕も返せない状態が続く。膠着状態が続くと、福田レフェリーは時折アクションコールをかけるが、未来はその都度ポジションを少し動かし、パウンドを当てる等してブレイクを阻止し、そのまま時間いっぱいまで押さえる。
3R、千裕は逆転を狙って前に出て、パンチを振るう。未来はコーナー際に下がるが、随所で左ストレート、テンカオを当てて抵抗すると、千裕は左まぶたをカットし出血する。千裕はいつもより粗さが目立つものの、パンチを振り回していると、時折左右のフックが当たる。すると未来はタックルを仕掛け、コーナーに押し込むと、少し疲れた様子の千裕は引き込むような形で下になる、未来が押さえ続けていると、千裕の出血が激しく、ドクターチェックが入る。するとストップがかかり、未来の有効打によるカットとみなされ、未来のTKO勝ちとなった。
マイクを持った未来は「帰ってきました。東京ドーム、満員のこの景色の中で復活できてうれしいです。良くないときもずっと応援してくれてありがとうございます。またすぐ戻ってきます。朝倉未来は最強じゃなきゃいけないんで」とアピールした。
RIZINの榊原信行CEOは大会後の総括で、「本当に強い未来が帰ってきた」と未来を称えつつ、激戦の続いた千裕をしばらく休ませたい考えを示し、「千裕にここは休めよっていう余裕が僕にはなかった。千裕の男気に甘えてしまった」「しっかり心も体もオーバーホールしてほしいです。千裕から万一『7月行けます』っていう話があっても、そこは『待て』という思いです。負けた選手はすぐ取り戻したいって思いになりがちなところはあるんですが、ストップをかけるべきタイミングかなと思ってます。まだ25歳なんで。人気と実力を兼ね備えたスーパースターになる素質を持っている選手だと思うんで、千裕とも向き合ってこの先のことを決めていきたいなと思います」とコメントしている。
RIZIN 5.4 東京ドーム:朝倉未来 勝利後インタビュー「泥臭くても絶対勝つって決めてた」「ここから新しいショーの始まり」
RIZIN 5.4 東京ドーム:鈴木千裕 敗戦後インタビュー「時間かかってても最後に勝つのは俺」「体をちゃんと戻していい環境を作る」
秋元強真、高木凌に判定勝ち
第14試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
×高木 凌(パラエストラ八王子/元パンクラス・フェザー級1位)
○秋元強真(JAPAN TOP TEAM)
判定0-3 (石川=秋元/松宮=秋元/橋本=秋元)
未来の試合の前には、JTTの後輩の試合が2試合並んだ。秋元は19歳。中学卒業後にパラエストラ柏(現在のTHE BLACKBELT JAPAN)に加入し、22年にプロデビューし、昨年春、憧れの朝倉兄弟のいるJAPAN TOP TEAMに移籍。9月にRIZINに初参戦し、金太郎に1R TKO勝ち。11月の名古屋大会にはフェザー級に階級を上げて出場し、鈴木博昭に判定勝ち。大晦日大会ではRIZINバンタム級王座次期挑戦者決定戦に抜てきされたが、元谷友貴に寝技で攻め込まれ判定負けし、プロデビューからの連勝が7でストップした。
高木は21年にパンクラスでデビューし、フェザー級ランキング上位で活躍。23年10月の名古屋大会でRIZINに初参戦すると、ビクトル・コレスニックに判定負け。昨年4月に西谷大成に1R KO勝ち。9月には萩原京平に1R裸絞めで一本勝ちし2連勝中だ。
1R、サウスポーの秋元がプレッシャーをかけていると、中盤から次第に秋元の左ストレートのヒットが増え、やや優位に。高木は組み付き、離れると、秋元が変わらず前に出るが、終盤はヒットが減り均衡状態に。
2R、秋元は変わらず前に出て、時折左ストレートを当てる。中盤、高木はまたも組み付くが、秋元の膝がローブローとなり一時中断し、組んだ状態から再開する。秋元はすぐ離れると、左ストレートを当て、都木を追い詰める。終盤、秋元は意外にも組みに行き、バックを取ると、高木が立ってオンブとなり、裸絞めを狙うが、すぐ振り落とされる。その後も秋元は足関を狙うが、高木は対処し、最後は高木が上からパウンドを落として終える。
3R、秋元が左ストレートを当て、グラウンドでもバックを取って裸絞めを狙い、果敢な攻めで場内を沸かせる。中盤過ぎ、高木はタックルで倒し上になると、バックを取り返したが、秋元は脱出すると、再び最後にバックを取り、高木の反撃を封じて終了する。記者採点はダメージ0-0、アグレッシブネス0-30、ジェネラルシップ0-20で合計0-50で秋元。ジャッジ3者も秋元を支持し、秋元が判定勝ちした。
萩原京平、西谷大成を1R KO
第13試合 MMA フェザー級(66kg) 5分3R
○萩原京平(SMOKER GYM)
×西谷大成(JAPAN TOP TEAM)
1R 3’36” KO (左ストレート)
萩原は23年9月に牛久絢太郎に判定負け。昨年3月に武田光司に判定負け。9月の高木凌戦では1R裸絞めで一本負け。今年3月30日の香川大会ではトビー・ミセッチに右ストレートからのパウンドで26秒TKO勝ちし、連敗を3でストップすると、5月4日の東京ドーム大会への出場を希望していた。
西谷は「朝倉未来1年チャレンジ」の企画で未来の元でMMAを習い、DEEPで試合を重ねた後、23年6月の札幌大会でRIZINに初出場したが、鈴木博昭に1R TKO負け。昨年4月のRIZIN 2戦目でも高木凌に1R TKO負け。8月のDEEPでも海飛に1Rフロントチョークで一本負けし、MMAで苦戦が続いている。
1R、西谷が開始すぐにタックルで倒すが、萩原は立つ。またも西谷がタックルを仕掛けるが、これも萩原が切って上になってからスタンドに戻す。すると萩原は右のバックスピンキック、カーフキックを的確に当て、じわじわダメージを与える。すると中盤過ぎ、萩原は右ストレートを当てて西谷の動きを止めると、さらにパンチを振るい続け、左ストレートをクリーンヒット。西谷がダウンし、追撃のパウンド一撃を当てたところで、長瀬レフェリーがストップした。
マイクを持った萩原は「未来、あんたの弟子倒しましたよ。あんたに一番リベンジしたいんで、このカード必ず実現させます。楽しみにしてください」とアピールした。
ヘビー級GP、上田幹雄が初戦突破。優勝者はベラトール王者ベイダーと王座決定戦
RIZINヘビー級GPは8選手参加で、今大会で一回戦が行われ、7月に準決勝(組み合わせ未定)、9月に決勝を予定。優勝賞金2,000万円、準優勝賞金500万円。大晦日には優勝者の相手として強豪選手を招へいし、RIZINヘビー級王者決定戦を行うという。
第10試合のヘビー級GPの第1試合の前には、ベラトール・ヘビー級王者で元ライトヘビー級王者のライアン・ベイダー(写真左)がリングインし、榊原信行CEOのオファーに応じ、大晦日のRIZINヘビー級王者決定戦に出場することが発表された。
第12試合 MMA MMA RIZIN WORLD GP 2025 ヘビー級(120kg)トーナメント1回戦 5分3R
○上田幹雄(BRAVE/極真会館全世界空手道選手権2019優勝)
×シビサイ頌真[しょうま](パラエストラ東京/巌流島)
1R 1’03” KO (左ローキック)
上田は30歳。19年に極真会館の世界大会で日本人として16年ぶりに世界王者になる。22年4月のRIZINでのMMAデビュー戦では髙阪剛にKO負け。23年6月のRIZINでは関根“シュレック”秀樹を22秒左ハイでKO。同年大晦日のRIZINではスダリオ剛を2R左ハイからのパウンドで仕留めた。昨年6月、シェミスラブ・コバルチェクに1R腕十字で一本負けしたが、大晦日には韓国ROAD FC 2階級王者のキム・テインを2R顔面膝蹴りでKO。試合後のマイクでヘビー級GP開催を希望し、念願がかなった。
シビサイは34歳。18年からRIZINに参戦し、21年6月の東京ドーム大会ではスダリオ剛に3R裸絞めで一本勝ち。22年4月から23年9月にかけ、リハーズ・ビギス、カルリ・ギブレイン、ヤノス・チューカス相手に3連続フィニッシュ勝利していたが、右膝の前十字靭帯断裂の手術からのリハビリにより、試合から遠ざかっていた。
1R、シビサイは膝は完治していないか?右膝をテーピングで固めており、ややステップがぎごちない。上田がローを当てていると、早くも足が流れがちに。上田がサウスポーから左インローを一発当てると、シビサイの足が止まり、もう一発上田が左インローを当てて倒すと、すぐさまレフェリーがストップした。
マイクを持った上田は、練習仲間でもあるシビサイに感謝の言葉を述べ、「ヘビー級GP、日本人、もう僕一人なんで僕が背負います」と宣言した。
第11試合 MMA MMA RIZIN WORLD GP 2025 ヘビー級(120kg)トーナメント1回戦 5分3R
×スダリオ剛(HI ROLLERS ENTERTAINMENT/PUREBRED)
○ジョゼ・アウグスト[Jose Augusto](ブラジル/ピットブル・ブラザーズ/米国LFA推薦)
判定0-3 (石川=アウグスト/松宮=アウグスト/橋本=アウグスト)
スダリオは27歳。元力士で、20年からMMAに転向。23年4月、ロッキー・マルティネスに判定勝ち。同年大晦日大会では上田幹雄に2R TKO負け。昨年11月の名古屋大会では加藤久輝を肘で切り裂き3R TKO勝ちしている。
初来日のアウグストは33歳。MMA 15戦10勝4敗1無効試合。母国ブラジルの大会で試合を重ねた後、21年にベラトールに参戦した経験があり、23年11月から米国のLFAに上がり2連勝している。
1R、アウグストがプレッシャーをかけ続け、中盤には右フックでスダリオを倒す。スダリオは前のめりでマットに頭をぶつけるようにして倒れたため、勝負ありかと思ったアウグストは、両手を広げたが、スダリオはすぐに立ち、レフェリーも続行し、通常通りの攻防に戻る。終盤、スダリオは前に出てパンチを振るい持ち直す。
2R、スタンドで両者攻撃が少なく、消極的だとしてレフェリーが注意する。その後も両者目立つ攻撃の乏しいまま時間が経過する。
3Rも見合う状態が続くが、中盤、アウグストが前に出て、右ハイを放つと、スダリオはブロックしつつ倒し、上になる。だがスダリオは攻めあぐね、立ってブレイクがかかる。終盤、後の無いスダリオは前に出てパンチを振るうが、反撃ならず終了。1Rにダウンを奪ったアウグストが判定勝ちした。記者採点はダメージ0-50、アグレッシブネス0-0、ジェネラルシップ0-20の合計0-70でアウスグスト。
第10試合 MMA RIZIN WORLD GP 2025 ヘビー級(120kg)トーナメント1回戦 5分3R
○マレク・サモチュク[Marek Samociuk](ポーランド/ユニーク・ファイトクラブ/ポーランドKSW推薦)
×ダニエル・ジェームス[Daniel James](米国/ミッドウェスト・トレーニングセンター)
判定3-0 (橋本=サモチェク/石川=サモチェク/松宮=サモチェク)
※ジェームスが計量で120kgのリミット0.8kgオーバーしレッドカード減点50
両者とも初来日。サモチュクは28歳。MMA 11戦7勝4敗。21年4月よりポーランドのKSWに参戦し、昨年1月から3連勝中で、KSWのタイトル戦線浮上が期待されている選手だ。
ジェームスは43歳。昨年のPFLレギュラーシーズン1回戦で体重超過をしたがマルセル・ゴルムにTKO勝ち。その後は薬物陽性のため今年1月まで出場停止処分を受け、今回が復帰戦となる。
1R、パンチの打ち合いの展開の後、サモチュクがタックルで倒し上になる。だがコーナー際の位置のためか攻めあぐねる。終盤、ジェームスが上を取り返すが、同じく攻めあぐねる。
2R、サモチェクが上になり続け、少しパウンドを当てる程度だが、主導権を維持する。
3R、サモチェクがマウントを奪うが、膠着しブレイク。終盤、サモチェクがまたも倒してサイドを取るなどコントロールを続け終了。減点分抜きでも差を示す内容で、サモチェクが判定勝ちした。
MMA RIZIN WORLD GP 2025 ヘビー級(120kg)トーナメント1回戦 5分3R
―イズラムベック・ベクティベック・ウルー[Islambek Baktybek Uulu](キルギス/Jash Kuch/カザフスタンOctagon Leagueヘビー級王者)
―アレクサンダー・ソルダトキン[Aleksandr Soldatkin](ドイツ・ロシア/スピットファイヤージム・ベルリン/クロアチアFNC推薦)
中止
※ウルーが負傷欠場。代役選手とソルダトキンが6月14日北海道・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ大会で一回戦を予定