FIGHT CLUB 11.19 ABEMA & RIZIN PPV(レポ):YA-MAN、朝倉未来を77秒KO、未来はRIZINでの次戦で引退か?山口裕人を1R KOした西谷大成が打倒YA-MANに名乗り
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
格闘技医学会
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FIGHT CLUB(ファイトクラブ)
2023年11月19日(日)東京・ニューピアホール
レポート:井原芳徳 試合写真:(C) RISE CREATION
中継:ABEMA PPV、RIZIN 100 Club、RIZIN LIVE
「FIGHT CLUB(ファイトクラブ)」はPPV生中継主体の新しい格闘技大会。主催はFIGHT CLUB実行委員会だが、RISEが運営する。RISEを独占中継しているABEMA、朝倉未来らを派遣するRIZINのプラットフォームでPPV中継された。
ルールもRISEルールに準じ、肘無し・つかんでからの攻撃は1回。オープンフィンガーグローブ(OFG)を着用して戦うのが特徴で、初期のRISE OFGマッチのように、大会後半の第5~7試合は時間切れの場合はドローとなる。
RISEのOFGマッチは、コロナ禍の影響で海外勢の招へいが困難だった21年5月の無観客大会・RISE on ABEMAからスタートした。この大会でのOFGマッチでYA-MANは山口侑馬を2R右ストレートでKOして番狂わせを起こし、ブレイクのきっかけを作った。その後もYA-MANはOFGマッチで北井智大、伊藤澄哉、芦澤竜誠を1R KO。5月のRIZINではMMAデビューし三浦孝太に1R TKO勝ち。8月のRISE大田大会でのメインイベントではYA-MANが侑馬の兄・裕人を2R右フックでKOし、RISE OFGM -65kg級初代王者となった。
王者になった後のインタビューでYA-MANは「第1章はこれで終わりで、第2章はRISEを盛り上げたい。僕がエースになります」と話し、今後の試合について聞かれると「色々決まっているんで楽しみにしてください」と話していたが、今回、新大会のFIGHT CLUBでプロデューサーおよびメインイベンターを務めることになった。
YA-MAN、朝倉未来を77秒KO、未来はRIZINでの次戦で引退か?
第7試合 70kg契約(判定無し) 3分3R
○YA-MAN(TARGET SHIBUYA/RISE OFGM -65kg級王者、RISEスーパーライト級(65kg)3位)
×朝倉未来(JAPAN TOP TEAM/元THE OUTSIDER 60-65kg級 65-70kg級王者)※トライフォース赤坂から所属先改称
1R 1’17” KO (パンチ連打)
10月19日にFIGHT CLUBの開催発表会見が行われ、YA-MANは最近まで練習仲間だった朝倉未来について「(7月のRIZINのウガール・)ケラモフ戦が終わってからは格闘技のモチベーションが無くなったのか、練習に来ていなくて、この人について行っても何も学ぶものが無いと思いました」「最近のあの人の試合はつまんない」「昔のギラつきが無い」等と批判し、「今やれば勝てるか」と聞かれると「全然勝てるでしょ。寝技とかわからないですけど、殴り合いなら、覇気のないあの人には勝てないと思いますね」とも豪語していた。
その後、未来にYA-MANとのOFGキック戦のオファーがあり、未来は同門の西谷大成、白川陸斗を引き連れ、YA-MAN、山口裕人、木村“ケルベロス”颯太のRISE勢との3対3の対抗戦を行うことになった。未来は空手道禅道会出身で打撃技を得意としているが、キックルールは今回が初挑戦となる。なお、今大会前日のRISEの後楽園大会の中で公開計量が行われ、YA-MANは「1分でKOしたら1千万」と提案し、ABEMAが賞金を出すこともその場で発表されていた。
この試合の生中継では、RISEの伊藤隆代表とライターの中村拓己氏が解説を務めた。昨年6月のTHE MATCHの2か月前の会見でYA-MANは「日本は鎖国して、黒船が来たら、何もできなかったじゃん。俺たちが黒船です」と話し、K-1勢を挑発し、当時K-1プロデューサーだった中村氏は「スタンスは変わらないです。今回は特別です」と回答した。だがTHE MATCHでK-1勢はエースの武尊らが敗れて負け越し、今年3月にK-1は“鎖国”を解きRISEとの交流戦に踏切り、7月に中村氏はK-1を離れた。今回はYA-MANが、スター選手の未来を自分のフィールドに引きずり込み、見事1Rで粉砕することに成功し、「今日でたぶんこれで俺の時代になると思うんで」とアピールすることになる。
1R、サウスポーの未来に対し、YA-MANはオーソドックスで重心を低くしてプレッシャーをかけ、パンチを放つと、未来はクリンチで追撃を止める展開が繰り返される。YA-MANが右インローを当てれば、未来も左ハイを返すが、モーションが大きく、YA-MANはステップバックしつつ腕で払う。未来は前に出て左ボディを当てるが、YA-MANは構わず前に出返して右インローを当てる。
YA-MANはさらに右ボディストレート、インローを当て、じりじりと未来をコーナーに詰めると、左を振ってからの右ストレートを未来のアゴにヒット。OFGのため効き目が大きかったか?未来は腰から崩れ落ち、前のめりで倒れる。MMAならここで終わりだが、キックルールのためカウントが数えられる。未来はなんとか立ったものの意識は朦朧としており、YA-MANのパンチラッシュで未来がまたも前のめりでマットに崩れたところで、秋谷レフェリーがストップした。
マイクを持つと「まずね、平本バーカ。お前、本当いつかぶっ飛ばすからな。待っとけよ」と、リングサイドで見ていた平本蓮を挑発。続けて「今回、俺の土俵でやったんで、本当の勝利じゃないと思うんで。キックボクシングなんで。年末、MMAとかどうですかね?俺の今の打撃見たら、またすぐ終わると思うんですけど。今日でたぶんこれで俺の時代になると思うんで。平本の時代じゃないです。年末も楽しみにしてください。ノーダメージなんで」と、未来とのRIZINでのMMAルールでの再戦を希望した。
なお、未来は試合数時間後のInstagramに「全く記憶がなくて、自分が何者かもわからない状態で朝倉未来を調べて客観的に見てみて、これはもう引退ですね。何でこんな自分に沢山のファンがいるかもわからない状態ですが、長い間本当に格闘技にはお世話になりました。ありがとうございました。今の気持ちです」と投稿し、引退を表明した。
自身のYoutubeチャンネルの動画では冒頭「今、記憶が無くて、試合した記憶も、自分が何者かという記憶も無くて。調べたらYoutubeやってたり。Youtube撮る流れなんだよね?いつも」「なんで俺YA-MANと試合したんだっけ?仲良くなかった?」「試合映像見たんですけど完敗していました」「YA-MANの前はケラモフに負けたと。携帯で調べているうちに朝倉未来がこんな人物だとちょっとずつ思い出してきたところなんですけど、客観的に見て引退ですね。格闘技を何年やってきたんだ?空手は小学2年生からやって」「こんな家に住んでるじゃん。ハングリー精神無くなったんだろうね。これ、俺の家?」等とコメント。実際に試合の記憶は無いようだが、記憶喪失を盛って話して冗談めかす余裕はある様子だった。これまでも21年6月のクレベル・コイケ戦の敗戦の直後にも、引退を示唆し、すぐ撤回していたため、今後気持ちが変わる可能性はあるだろう。また「RIZINにお世話になったんで最後に試合したほうがいいんじゃないかな」とは話しており、RIZINでの引退試合には前向きな姿勢を示している。
山口裕人を1R KOした西谷大成が打倒YA-MANに名乗り
第6試合 68kg契約(判定無し) 3分3R
×山口裕人(道化倶楽部/元WPMF世界暫定・WBCムエタイ日本統一・INNOVATIONスーパーライト級王者、元DEEP☆KICK-63&-65kg王者)
○西谷大成(JAPAN TOP TEAM)※トライフォース赤坂から所属先改称
1R 2’56” KO (3ダウン:パンチ連打)
山口兄弟の兄・裕人は、YA-MANと共にRISEのOFGマッチの主力として試合を重ね、3月のRISE ELDORADOではタリソン・フェレイラをKO。8月のRISE大田大会ではYA-MANとRISE OFGM -65kg級初代王座を争い2R KO負けしたが、いずれも激闘で観客を沸かせてきた。対する西谷は朝倉未来による格闘家育成企画「朝倉未来1年チャレンジ」出身で、未来ファンにも名前が浸透している。20年のデビュー時からDEEPで11戦を経験し、今年6月、RIZINに初参戦したが、鈴木博昭にわずか56秒でKO負け。今回キックルールに初挑戦した。
1R、西谷はサウスポーで構え、パンチ、ミドルと積極的に攻撃を出す。中盤、西谷は右アッパーと左フックのコンビネーションを決め、裕人の動きを止めると、左ハイ、左フックを立て続けに当ててダウンを奪う。終盤に入り、裕人もパンチを当て返し、キックボクサーとしての意地を見せるが、ダメージが溜まっており、西谷がパンチの連打で再びダウンを奪う。最後は西谷が左ハイからのパンチ連打でロープに詰めたところでレフェリーがストップした。
なお、この直後の試合で、西谷の先輩の未来がYA-MANにKO負けし、YA-MANは大晦日のRIZINでの未来とのMMAルールでの再戦を希望した。未来は引退を表明しつつ、RIZINでのラストマッチに前向きだが、KO負けして大晦日まで日数が短く、現実的に大晦日の出場は難しい状況だ。西谷は大会後のインタビューで、大晦日のRIZIZNでのYA-MANとのMMAルールでの試合を希望しているが、YA-MANは「まずRIZINで勝ってからじゃないですかね」と拒否している。
ケルベロス×白川陸斗、激しく打ち合うも時間切れドロー
第5試合 66kg契約(判定無し) 3分3R
△木村“ケルベロス”颯太(心将塾/RISEライト級(63kg)8位)
△白川陸斗(JAPAN TOP TEAM)※トライフォース赤坂から所属先改称
時間切れ
MMA選手の白川は未来や西谷同様にキックルール初挑戦。1R、白川はMMA選手らしくやや開き気味のスタンスだが、細かく上体を動かして、なかなか的を絞らせない。お互いパンチやローを当てる場面もあるが、まだヒット数は少ない。
2R、木村は白川の細かい動きに惑わされず、左右のローの頻度を上げると、パンチも当たるように。白川も時折パンチを返すが、木村は手数多く攻め続け、終盤には伸びのある右ストレートを度々当てる。随所で当てる右ローとカーフも効き目を発揮している。ジャッジの採点は無いが、通常ならポイントがつきそうな内容だ。
3R、白川は序盤から積極的にパンチを振い形勢逆転を狙う。木村がローを当てると、少し白川の勢いが落ちる場面もあるが、それでも前に出て、時折パンチの打合いの展開に誘い込む。すると終盤、木村の口が開き少ししんどうそうになると、白川の右アッパーと左フックのコンビネーションが決まる。白川は右ストレート、左フック等を度々当てて優位に。木村もクリンチを繰り返していたが、残り10秒近くになると、雄たけびを上げ打合いに応じ、白川も叫んで打合い、最後は木村が右まぶたから出血し終了する。どちらも倒せずドローで終わったが、場内からは拍手が巻き起こった。
マイクを渡された木村は「すいません。マイクであんな情けないことして、戦いもこんなんで、すいません」と謝り続けた。白川も「ドローで言うこと無いです。すみませんでした。もっと頑張ります」とだけ話してリングを降りた。
第4試合 63kg契約 3分3R
○山口侑馬(道化倶楽部/RISEライト級(63kg)9位、元INNOVATIONライト級王者、元DEEP☆KICK -60kg王者)
×星野孝允(益荒男APACHE)
判定3-0(30-26/30-26/30-26)
※1Rボディへの左膝蹴りで星野に1ダウン
1R、プロデビュー戦の星野はパンチを積極的に出すが、オープンブローになりがちで、逆に経験豊富な佑馬は拳でしっかり叩きこむ。終盤に佑馬が左ボディを当てると、星野は動きが止まってうずくまり、佑馬が首相撲からの左膝蹴りをボディに当ててダウンを奪う。
2R、佑馬は執拗にボディにパンチと膝をヒット。星野はガードが下がり防戦一方に。
3R、開始すぐ、星野が手を突き出すと佑馬の目に指が入り一時中断する。再開後も佑馬がパンチと膝を当て続けて圧倒し判定勝ちした。
第3試合 68kg契約 3分3R
○前口太尊(飯伏プロレス研究所/元J-NETWORKライト級王者)※TEAM TEPPENから所属変更
×安彦考真(フリー)※Executive Fight 武士道から所属変更
2R 2’49” TKO (右肩の負傷)
前口が2年ぶりにキックボクシングに復帰したが、経験の浅い安彦との実力差は歴然としていた。1R、序盤から前口がプレッシャーをかけ、安彦をコーナーに詰めて左インローを当てると、早くも安彦は足が止まる。安彦が左ミドルを軽く出したタイミングで、前口が左フックを合わせてダウンを奪う。その後も前口が前に出て、左フック、ボディ等を当て続け圧倒する。安彦はクリンチを繰り返し防戦一方だ。
2R、前口が左右のパンチを的確にヒット。中盤過ぎから安彦がようやく前に出て、左ミドル、膝、右ストレートを当てるように。だが終了間際、パンチが交錯してから、前口が右膝蹴りを当てつつ倒すと、安彦は肩をひねられる形となり脱臼した様子で、倒れたまま動けなくなる。朝武レフェリーはダウンカウントをせず、試合をストップしてドクターチェックが入ると、ドクターはストップした。審判団が協議した結果、前口のTKO勝ちと発表された。リングアナウンサーは「安彦選手は自ら倒れたことによる負傷のため、ここまでの内容で判定とはせず、TKO勝ちとしました」と説明した。
第2試合 女子46kg契約 3分3R
○平岡 琴(TRY HARD GYM/RISE QUEENアトム級(46kg)2位)
×小林穂夏(NEXT LEVEL渋谷)
判定3−0 (30-27/30-27/30-26)
1R、サウスポーの小林に対し、体格とキャリアで勝る平岡が首相撲からの右膝蹴り、右ミドル等を的確に当て、優位に進める。
2R、小林が右のストレート、三日月蹴り、膝蹴り、左ハイ等を的確に続け圧倒する。
3R、小林が主導権を握り続け、中盤、右の膝蹴りを当ててから押し倒すと、フラフラの小林を見てレフェリーがダウンを宣告する。仕留めきれなかったものの平岡が小林を圧倒する内容で判定勝ちした。
第1試合 57kg契約 3分3R
×Novo(TARGET SHIBUYA)
○夏目竜雅[りゅうが](TRY HARD GYM)
1R 1’51” KO (左ローキック)
1R、長身のNovoが左フックで夏目をひるませ、やや優位となる。だが、耐えた夏目が右のカーフキックを当てると、一発で効き目を発揮する。さらに夏目が右カーフ、左インローを当てると、Novoはダウンし、そのまま立ち上がれず、夏目のKO勝ちとなった。