K-1 3.12 代々木第一体育館(レポ/Part3):和島大海、ジョムトーンに延長TKO勝ちし70kg王座防衛。野杁正明&ピケオー、豪快KO勝ち。与座優貴、朝久泰央を返り討ちにし王座奪取。大和哲也、林健太との打ち合い制し防衛
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K-1 WORLD GP 2023 ~K’FESTA.6~
2023年3月12日(日)東京・国立代々木競技場 第一体育館
レポート&写真:井原芳徳
(KANA・石井一成ら登場の第1~8試合はPart1、軍司×ヴュー・金子×コンペットやRISEとの対抗戦が並ぶ第9~15試合はPart2、朝久泰央×与座や野杁・ジョムトーンら登場の第16~21試合はPart3と、3ページに分けてお伝えします)
和島大海、ジョムトーンをローで攻略しTKO勝ち
第19試合 K-1 WORLD GPスーパー・ウェルター級(70kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
○和島大海(月心会チーム侍/王者)
×ジョムトーン・ストライカージム(タイ/ストライカージム/挑戦者、元ラジャダムナン4階級王者、元WBCムエタイ世界3階級王者、クンルンファイト70kgトーナメント2016準優勝、元ボクシング東洋太平洋スーパーフェザー級王者)
4R 0’25” TKO (コーナーストップ:左ローキックでダウン後)
判定1-0 (西村29-28/箱崎29-29/梅木29-29)
※和島が初防衛
和島は21年12月に木村“フィリップ”ミノルをKOし第4代K-1スーパー・ウェルター級王者になる。6月のTHE MATCHではRISEのブラックパンサー・ベイノアに判定勝ち。9月のK-1ではヨーロッパの実力者・メレティス・カコウバヴァスをKOし、6連勝(5KO)中だ。ベテランの強豪・ジョムトーンは昨年9月からK-1に参戦し、アビラル・ヒマラヤン・チーター、森田奈男樹をKOし、K-1の王座に初挑戦する。
和島は今回も下馬評で不利と評されていたが、それを見事覆すことに成功する。1R、両者サウスポーで構え、ジョムトーンが左ロー、ミドルを的確に当て続け先手を取る。和島は蹴りをもらった後に左ローを返していると、ジョムトーンは少し嫌そうな様子を見せる。終盤も蹴りの応酬が続き、和島も左ハイを当てるが、終了間際、ジョムトーンの右フックで和島の腰が落ちる。豊永レフェリーはスリップと判断する。記者採点はジョムトーン。
2R、和島が蹴り合いで執拗に左ローを返していると、ジョムトーンは蹴り足をつかむ頻度が上がり、効いていることがわかる。ジョムトーンも蹴りとパンチを返すが1Rよりも数も威力も落ちている。記者採点は和島だがイーブンの可能性はある。
3R、和島は執拗に左ローをヒット。ジョムトーンは足を引きずり、ふらつくように。完全に流れは和島となる。記者採点は和島。合計29-28で和島。ジャッジは1者が同様だったが、2者はイーブンで延長へ。
延長R、ジョムトーンはローをもらったダメージが大きく、和島が開始すぐに左ローを強打すると、背中を向けて後退し、レフェリーがダウンを宣告する。するとジョムトーンのセコンドがタオルを投入し、和島のTKO勝ちとなった。
和島は「ジョムトーン選手、めっちゃ強かったです。どうですかこのベルト、似合うようになってきましたか?拍手ちっちゃくないですか。(場内の拍手が大きくなり)ありがとうございます。嫌なんですけど、強い選手とやっていかないといけないです。強い選手とやっていくには影響力が大事で、K-1さんからもSNSをもっと頑張れと言われています。応援してくれる方、インスタとTwitterのフォローよろしくお願いしマックス」とアピール。ひょうひょうとした喋り口で場内を和ませた。
K-1 MAXのエース・魔裟斗さんから記念品を贈呈された和島は一緒にポーズをして撮影。さらに大会後、93年の旗揚げ時からK-1を応援しているタレントの関根勤さんの選ぶ今大会のMVP選手に、和島が選出された。関根さんは「ムエタイの伝説の男の心をローキックで折ってお見事でした」と和島を称えた。
野杁正明、69kgでアスケロフを1R KO「どんどん世界にケンカ売る」
第18試合 69kg契約 3分3R(延長1R)
○野杁正明(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/K-1ウェルター級(67.5kg)王者、元同スーパー・ライト級(65kg)王者、元Krushウェルター級(67kg)王者、元Nuit Des champions 66kg王者、元WBCムエタイ日本スーパーライト級(63.5kg)王者、K-1甲子園2009 -62kg優勝)
×ジャバル・アスケロフ(ロシア/チーム・アスケロフ/PK-1・Alpha Fight Series・Tatneft Cup世界-70kg王者、Russian Challenge世界・W5欧州-71kg王者、WMC欧州ミドル級(72.5kg)&スーパーウェルター級(71kg)王者)
1R 2’00” KO (右ストレート)
野杁は21年9月に安保瑠輝也らを破りK-1ウェルター級王者になる。昨年6月のTHE MATCHでは階級が上の海人に延長判定1-2で惜敗。この試合で拳を負傷し、療養を経て9カ月ぶりに復帰する。今回はウェルター級よりも重く70kgのスーパー・ウェルター級に近い69kg契約で、階級アップも見据えた戦いとなる。対するアスケロフは旧K-1にも上がっていた37歳のベテラン。13年にアンディ・サワー、佐藤嘉洋に勝利したことがあり、その後は武林風でアラゾフ、シッティチャイに敗れ、19年にはONEで2戦している。
試合は野杁のワンマンショーに。1R、開始すぐから野杁がガードを固めて前に出て、左の三日月蹴り、左ボディフック、右カーフキック、ミドル等を的確に当て続ける。アスケロフもパンチと蹴りを返すが、野杁は防御をし圧をかけ続け攻撃を当てて削ると、中盤にカウンターでアッパー気味の左フックをクリーンヒットしダウンを奪う。アスケロフは立つがダメージが大きく、最後は野杁が右ストレート一発でマットに沈めた。
今回も冷徹に強さを見せつけた野杁。マイクを持つと「去年6月のTHE MATCHで期待を裏切り申し訳ありませんでした。69kgは初めての挑戦だったんですけど、どうですかこの階級、僕強くなっていますよね。これから先、どんどん世界にケンカ売って、野杁正明が世界最強と言われるよう証明します」とアピールした。
ピケオー、復帰戦でKO勝ち
第17試合 スーパー・ウェルター級(70kg) 3分3R(延長1R)
○ジョーダン・ピケオー(オランダ/マイクスジム/Krushスーパー・ウェルター級王者)
×アビラル・ヒマラヤン・チーター(ネパール/志村道場/HEATキックミドル級王者)
3R 0’06” KO (左フック)
ピケオーは過去に野杁、和島、木村に勝利。コロナ禍と怪我の影響でK-1のリングから遠ざかっていたが約3年ぶりに戻ってきた。
1R、ピケオーが開始すぐから距離を詰め、右ボディ、右ストレート等を強打し、アビラルを苦しめる。だがアビラルは耐え、回って距離を取りつつ、右ストレート、左ボディ、右ロー等を随所で返し続ける。記者採点はピケオーだがイーブンの可能性もある。
2Rもピケオーがアビラルをロープに詰め、パンチを当て続け優勢。アビラルはブロックして耐え続ける。すると終盤、右ストレートを当ててピケオーを下がらせたが、すぐ持ち直したピケオーが右フックを連続で当てダウンを奪う。記者採点は10-8でピケオー。
すると3R、開始すぐに両者前に出て近づくと、ピケオーが左フックを2連続でヒット。アビラルはダウンして動けず。ピケオーが衝撃的な形で完全復活をアピールした。
与座優貴、朝久泰央を返り討ちにしライト級王者に
第20試合 K-1 WORLD GPライト級(62.5kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
×朝久泰央(朝久道場/王者)※初防衛戦
○与座優貴(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/挑戦者、極真会館世界ウェイト制2017軽量級(70kg)優勝)
判定0-3 (西村29-30/豊永29-30/箱崎28-30)
※与座が王者に
両者は昨年2月のK-1東京体育館大会で対戦し、K-1初参戦の与座が王者の朝久を下した。朝久が怪我の療養のため休む間、与座は8月に篠原悠人、12月にエークピカートを下して好調を維持し、朝久とのベルトを懸けての再戦に備えてきた。
1R、与座がプレッシャーをかけ、朝久は細かくフェイントを懸けながら左右のローを随所で当てる。与座も少ないが右ローを随所で強打し、パンチも当て、五分を維持する。記者採点はイーブン。
2R、与座は少ないながら右ローを当てていると、威力十分で効き目を発揮する。中盤から朝久はサウスポーにスイッチするが、距離を縮めている与座は問題にせず、右インロー、左ローをヒット。左奥ロー、顔面へのパンチも絡め、じわじわと朝久を痛めつける。朝久も攻撃を返すが力が入らず、与座の勢いは止まらない。記者採点は与座。
3R、朝久もローを返していると、与座も足が流れ、攻撃が減る。だが与座は耐えると、終盤は圧を強め、蹴り数で盛り返し、朝久の反撃を封じる。記者採点はイーブン。合計29-30で与座。ジャッジ3者も1~2点差で与座を支持し、与座が判定勝ち。朝久への返り討ちと王座奪取を果たした。
与座は「今日まで色々遠回りし、辞めようと思ったこともあったんですけど、あきらめず続けてきて良かったです。今日の動きじゃデカいことが言えないですけど、チャンピオンだから言えることがあって、ベルトにふさわしい選手になって、実力でK-1を引っ張っていけるようになります」とアピールした。さらに「弟ももう一回K-1ファイターを目指して頑張っているんですけど、明日弟の誕生日なんで拍手でお祝いしてもらえたらうれしいです。自分がなれたんで弟も絶対にチャンピオンになれるから頑張ろう」と話した。
全24試合、約10時間興行の最後は激闘で締めくくり。大和哲也、林健太との打ち合い制し2度目の防衛
第21試合 K-1 WORLD GPスーパー・ライト級(65kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
○大和哲也(大和ジム/王者、K-1 -63kg日本トーナメント2010優勝、WMCインターコンチネンタル・ライト級王者、元WBCムエタイ世界&Lion Fight世界スーパーライト級王者、元WBCムエタイ日本&NJKFライト級王者)
×林 健太(FLYSKY GYM/挑戦者、元K-1ライト級王者、元Bigbangスーパーライト級王者)
判定3-0 (豊永29-28/西村29-27/梅木30-27)
※大和が2度目の防衛
哲也は昨年のK’FESTA.5で山崎秀晃をKOして番狂わせを起こしスーパー・ライト級王座を獲得し、9月の横浜アリーナ大会では佐々木大蔵に勝利し初防衛した。林は元K-1ライト級王者で、昨年は9月に瑠久、12月に不可思に勝利し、王座挑戦につなげた。
大会は正午からオープニングファイトが始まり、この試合は21時過ぎスタートのメインイベントとして行われたが、観戦疲れを忘れさせるような激しい攻防となる。1R、林は序盤から圧を強めパンチと蹴りを積極的に放つ。哲也はブロックしつつ、左ミドル、三日月をヒット。中盤過ぎにはコーナーに詰められたが、林の左手に右フックをかぶせるようにして当ててダウンを奪う。記者採点は10-8で哲也。
2R、中盤こそ哲也が左ミドル、左ボディ、顔面へのフックをまとめる場面もあったが、大半の時間は林が哲也をロープに詰めパンチを当て続ける展開に。中盤まで哲也も耐えられていたが、終盤はもらい続けてしまい印象を悪くする。記者採点は林。
3R、林は前に出続けパンチ、膝を当て続けるが、哲也は右アッパーを随所で強打し、林の猛攻を寸断する。それでも林は攻撃の手を緩めないものの、最後は哲也も残りの力を振り絞るようにして攻撃の手数を上げ、林をパンチの連打でダウン寸前まで追い詰めて終える。記者採点は哲也。合計29-27で哲也。ジャッジ3者とも哲也を支持し、哲也が判定勝ちで王座2度目の防衛を果たした。
京太郎、石井慧追い詰め完勝
第16試合 スーパー・ヘビー級(+100kg) 3分3R(延長1R)
○京太郎(チーム未完/元K-1ヘビー級(100kg)王者、元ボクシングWBOアジア太平洋・OPBF東洋太平洋・日本ヘビー級王者)
×石井 慧(クロアチア/チーム・クロコップ/2008年北京五輪柔道男子100kg超級金メダル、元IGF&HEAT MMAヘビー級王者)
判定3-0 (伊藤30-27/三浦30-27/梅木30-29)
1R、石井はサウスポーからの左ミドルを当てる場面もあるが、京太郎の圧力に下がる状況が続く。京太郎は着実にパンチを当て、終盤にはガードの隙間から右フックを当てて石井をぐらつかせる。記者採点は京太郎。
2Rも京太郎がプレッシャーをかけ続け、右フック、ストレートを的確に当て続け主導権を維持する。記者採点は京太郎。
3R、石井は声を上げながら右ロー等を放つが、クリンチやそれに伴うバッティングも多く、反撃につなげられず終了する。京太郎も攻撃が減る。記者採点はイーブン。合計30-28で京太郎。ジャッジ3者も京太郎を支持し京太郎が判定勝ちした。勝利者トロフィーのプレゼンターは、K-1 GP ’94 ’95 ’98優勝者のピーター・アーツ氏が務めた。
K-1 3.12 代々木第一体育館(レポ/Part2):玖村将史、志朗に続き鈴木真彦からもダウン奪い判定勝ちし対RISE 2連勝。金子晃大&軍司泰斗、タイ勢に判定勝ちし王座防衛
K-1 3.12 代々木第一体育館(レポ/Part1):KANA、KO勝ちで王座防衛。菅原美優、パヤーフォンとの混戦制す。石井一成、ヨーシラーに疑惑のダウン奪われ判定負け