RISE 12.16 両国国技館(レポ/後半):田丸辰、クマンドーイに判定勝ちし-54kgトーナメント優勝。チャド・コリンズ、ペットパノムルンに判定勝ちしRISE世界王座奪取。原口健飛・白鳥大珠・海人・中村寛・南原健太がGLORY推薦選手をKO
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RUF presents RISE WORLD SERIES 2023 Final Round
2023年12月16日(土)両国国技館
レポート:井原芳徳 写真提供:(C)RISE CREATION ※前半戦は別記事に掲載します。
田丸辰、クマンドーイに判定勝ちし-54kgトーナメント優勝
第16試合 メインイベント RISE WORLD SERIES 2023 -54kg Tournament 決勝 3分3R(最大延長2R)
×クマンドーイ・ペッティンディーアカデミー(タイ/ペッティンディーアカデミー/ラジャダムナン&True4Uスーパーフライ級王者、オムノーイ認定フライ級王者、WBCムエタイ世界スーパーバンタム級王者)※初防衛戦
○田丸 辰[とき](TRY HARD GYM/元RISEフライ級(51.5kg)&スーパーフライ級(53kg)王者)
判定0-3 (和田27-29/北尻28-29/長瀬28-30)
※田丸が優勝。賞金1000万円を獲得
前回のRISE WORLD SERIESは8月に大田区総合体育館で開催され、7月からスタートした「RISE WORLD SERIES 2023 -54kgトーナメント」の準決勝2試合が行われ、クマンドーイが志朗に、田丸辰が大﨑一貴に勝利し、今回の決勝に進んだ。
今回のWORLD SERIESは田丸だけでなく志朗、大﨑一貴、宮﨑小雪の軽量級4王者が、タイの名門・ペッティンディーアカデミー推薦選手と対戦する。また、GLORYとの交流戦が8試合、K-1との交流戦が1試合組まれ、2023年最後のRISEは交流戦主体のラインナップとなった。
1R、クマンドーイがオーソドックス、田丸がサウスポーで構え、クマンドーイは序盤から右ミドル、インロー、スーパーマンパンチ、二段蹴りと積極的な攻めを見せる。田丸は攻撃が少ない状態が続いたが、中盤以降、少しずつ左のインローのヒットを増やす。終了間際、田丸が詰めると、クマンドーイが右フックを当てて、田丸が倒れたが、小川レフェリーはダウンとみなさない。記者採点はクマンドーイとしたが、まだイーブンでも不思議ではない。
2R、クマンドーイは距離を取りつつ、右のインロー、ミドルをヒットする。だが左ジャブで前に出た際、少しバランスを崩し、田丸のインローが効いている様子。それでもクマンドーイは左ミドルを放ったが、かわした田丸が前に詰めると、右ジャブのフェイントからの左ストレートを当ててダウンを奪う。クマンドーイはすぐ立ち、前に出たが、田丸は落ち着いてかわしつつ、再びワンツーで左ストレート、さらに右ジャブも当てる。だが中盤以降、クマンドーイも右インローを当てていると、田丸の左足が流れ気味に。田丸は攻撃が減るが、時間いっぱいまでしのぎ切る。記者採点は8-10で田丸。
3R、クマンドーイは右ミドルを絡めつつ、執拗に右インローをヒットする。それでも田丸が崩れずいると、クマンドーイは中盤、前に出てパンチを振うようになるが、田丸が防御しつつ、自分の左右のパンチをしっかり当てる。クマンドーイも右インロー、ミドルを返したが、田丸は左ミドルを当て返してから、右ボディ、左右のフックを立て続けにヒットし、右のテンカオにもつなげ、連打で好印象を作る。終盤、クマンドーイも右ミドル、前蹴り等を放つが、田丸もしかり蹴り返し、終了間際にはパンチの連打と左ハイをまとめて、反撃を封じて終える。記者採点は田丸。合計27-29で田丸。ジャッジ3者も1~2点差で田丸を支持し、田丸が判定勝ちしトーナメント優勝を果たした。敗れたクマンドーイは田丸に抱き着き、潔く負けを認めた。
田丸は優勝記念ベルト、賞金1000万円を獲得。マイクを持つと「滅茶苦茶苦しい試合で、1R最後の方とか滅茶苦効いたし、2Rのダウンも皆さんの思いだったり、お母さんのこともそうですけど、色んな人に支えられてこの試合結果になったと思うので、感謝しかないです。小さいころから格闘技に専念させてくれたお父さん、今は天国で見守ってくれて強い体で産んでくれたお母さんに感謝しかないです。メインイベントが判定で、いい内容だったとは言えないですけど、RISEのチャンピオンとして、一人の代表者として、もっと駆け上がって行こうと思っているんで、これからの僕に注目していてください。ありがとうございました」とアピールした。
チャド・コリンズ、ペットパノムルンに判定勝ちしRISE世界王座奪取
第15試合 RISE世界スーパーライト級(65kg)タイトルマッチ 3分5R(無制限延長R)
×ペットパノムルン・キャットムーカオ(タイ/王者、GLORY世界フェザー級(65kg)王者)
○チャド・コリンズ(オーストラリア/ストライクフォース/挑戦者、RISEスーパーライト級2位、WMC&WBCムエタイ世界スーパーライト級王者)
判定0-3 (小川48-49/北尻48-49/和田47-48)
※コリンズが王者に
ペットパノムルンは22年8月に原口健飛との王座決定戦で勝利し、昨年12月の両国大会では山田洸誓に勝利。今年はGLORYで3試合し、10月にダビド・メヒアに判定勝ちし、GLORY王座の7度目の防衛を果たしたばかりだ。
コリンズは不可思、海人、中野椋太、直樹に勝ったことがあり、昨年12月の両国大会でSB王者の笠原弘希に判定勝ち。5月のKICK BOXING WORLD CUPでラーチャシンに延長判定勝ち。8月のRISE大田大会ではチョ・ギョンジェを1R左ハイでKOすると「原口やペットパノムルンと戦って、世界のベルトを取りたいです」とアピールし、RISEの伊藤隆代表も「ペッチ(=ペットパノムルン)と世界タイトルマッチでもいいと思う」とコメントしていた。コリンズはここ1年でWMC&WBCムエタイの世界王座を獲得。タイでのラジャダムナン等での試合経験も豊富で、世界的にも注目される試合となりそうだ。
試合はコリンズの積極策が功を奏することに。1R、ペットパノムルンがサウスポーからいつものように左ミドルを当てるが、コリンズは物おじせず、ステップしつつ右ミドル、ボディを返す。組んでの膝の応酬でも、ペットパノムルンが当ててから、コリンズもしっかり膝を返し続ける。終盤、ローとミドルのラリーになっても、コリンズは返し続け、今までペットパノムルンが戦ってきた選手とのレベル差を印象付ける。とはいえ全体的にはペットパノムルンの左ミドルの強打がやや目立ち、コリンズが後手になっている感は否めない。記者採点はイーブンか迷ったがペットパノムルン。オープンスコアリングのジャッジは3者ともペットパノムルンにつける。
2R、ペットパノムルンに蹴られる前に、コリンズは前に出て詰め、右ストレート、右ボディを当てる。コリンズはさらに組んでの右膝を放つが、ペットパノムルンは右アッパーで迎撃と、これまでのRISEでは見られなかったような高度な攻防となる。中盤、コリンズは執拗に右ボディを当てる。ペットパノムルンも左ミドルを返し続けるが、コリンズの圧力は落ちない。終盤もペットパノムルンが左ミドルを当てるが、コリンズがペットパノムルンをコーナーに詰めて右膝をヒットする場面がやや目立つように。記者採点はイーブンか迷ったがコリンズ。ジャッジは小川氏・北尻氏がイーブン、和田氏はコリンズにつける。
3R、ペットパノムルンは執拗に左ミドルを当てるが、変わらずコリンズが右ストレート、膝、ボディを当てる。すると中盤、ペットパノムルンが左ローで軸足刈りを狙ったものの、力が入りきらず跳ね返されてしまうと、コリンズがペットパノムルンをロープに詰め、右フック、ボディのパンチの連打でペットパノムルンを追い詰める。ペットパノムルンは左前蹴りを連打して距離を取ろうとするようになり、前に出て組もとうする場面も目立つように。だが終盤、コリンズは右アッパー、フック、バックハンドブローをヒット。ペットパノムルンは笑顔でごまかすが、攻撃を返せず終わる。記者採点はコリンズ。ジャッジ3名もコリンズにつける。
4R、ペットパノムルンはしんどそうな表情だが、左ミドルを出し続ける。だがコリンズも右アッパーをたびたびお返しし、一歩も引かない。終盤、ペットパノムルンは左ミドルの蹴り数が減る。コリンズが前に出続け、時折パンチを当てるものの、3Rほど強打は出せない。記者採点はイーブン。ジャッジは小川氏・北尻氏はイーブン、和田氏がペットパノムルンにつける。
イーブンで迎えた最終5R、コリンズが前に出るが、ペットパノムルンはフラフラになって下がりながらも、左のミドル、ローを当て続ける。中盤、コリンズが右のハックブローでペットパノムルンを倒すが、秋谷レフェリーはダウンと認めない。お互い崩しも絡めつつ、一歩も引かぬ展開のまま終盤へ。すると余力で勝るコリンズがギアを上げ、右スレート、ミドル、膝のヒットを増やす。コリンズは崩しも決め、最後はペットパノムルンが防戦一方で終わる。記者採点はコリンズ。合計48-49でコリンズ。ジャッジ3者も1点差でコリンズを支持し、コリンズが判定勝ちでRISE世界王座を奪った。
コリンズは「とても疲れました。みんなKOで勝っていたので、KOで勝たかったんですが、こうしてベルトを巻くことができました。ペッチは昔からの友人です。対戦相手でしたが、また友達に戻ります」と話した。なお、RISEの伊藤隆代表は「来年GLORYと65kg、70kgで色々企画をしていますんで、そこにチャドを入れるかも話していきたい」とコメントしている。
原口健飛、GLORY 1位に逆転KO勝ち
第14試合 RISE×GLORY スーパーライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
○原口健飛(FASCINATE FIGHT TEAM/ISKA K-1ルール世界ライトウェルター級(65kg)王者、元RISEライト級(63kg)王者、RISE -63kgトーナメント2020優勝)
×エイブラハム・ヴィダレス[Abraham Vidales](メキシコ/リヴィング・レガシー/GLORYフェザー級(65kg)1位)
2R 1’49” KO (右ストレート)
原口は昨年8月のRISE大阪大会ではペットパノムルンの膝蹴りに手を焼き6R判定負けしリベンジに失敗した。12月の両国大会ではGLORYのランカーのセルゲイ・アダムチャックに判定勝ち。3月のRISE ELDORADOではジェレミー・モンテーリョに4R KO勝ちしISKAの世界王座を獲得。7月の大阪大会ではアンバー・ボイナザロフを1R KOし3連勝中だ。
ヴィダレスは身長182cmの29歳。戦績20戦18勝(13KO)2敗、GLORYは18年から上がり8戦6勝(4KO)2敗でフェザー級(65kg)1位にいる。昨年10月、ペットパノムルンの王座に挑戦し判定負けしたが、今年は2試合とも勝利し、11月4日には1R KO勝ちしたばかりだ。RISEの伊藤隆代表は「GLORYとも話をして、原口が勝った場合、来年フェザー級タイトルマッチが決まる」と述べている。
1R、オーソドックスのヴィダレスに対し、原口がサウスポーで構え、序盤から左右のフックの連打を決める。さらに原口は左の三日月蹴り、ハイキックを連打し、早くも先手を取る。原口はその後も左の蹴りとパンチを的確に当て続ける。だが終盤、ヴィダレスも右ストレート、インローを返すようになり、少し原口は慎重になってしまう。原口はヴィダレスをコーナーに詰めるが、ヴィダレスはパンチの打ち合いで左フックをヒットする。すると終了間際、ヴィダレスが原口をコーナーに詰めてから、左ストレートを当てて原口をひるませ、さらに右フックを当てると、原口は崩れてマットに手をつき、大沢レフェリーはダウンを宣告する。
2R、原口はオーソドックスに切り替え、ヴィダレスもスイッチし、双方スイッチを繰り返す展開が続く。その中でお互い蹴りとパンチを出し、均衡状態が続いていたが、中盤一気に試合が動く。両者サウスポーで、ヴィダレスの右ミドルをもらった原口が反転し、背中を向けてコーナー際まで下がってしまうと、ヴィダレスが詰めて来る。両者オーソドックスとなり、ヴィダレスが右ストレートを放ってきたが、原口はスピードで勝る右ストレートで迎撃する。原口にも当たったが、頭を引いていたことでダメージは小さく、逆にディフェンスしていなかったヴィダレスはアゴにもらいダウンする。ヴィダレスは伸びた状態から意識を取り戻し、なんとか立ち上がったものの、表情が虚ろで、大沢レフェリーはストップ。原口の逆転KO勝ちとなった。
マイクを持った原口は「まずはヒヤヒヤさせてすみませんでした。さすがGLORY 1位でした。僕はペット選手に2回敗北しています。原口は無理とかペットの無駄遣いとか色んな声がありました。だからあきらめず、GLORYの最強戦士を倒してたどり着くと決めていました。ようやくまたたどり着きました。皆さん応援ありがとうございました。当たり前に思われていますが、海外から選手が来るので対抗戦ができています。いつも来てくれてありがとうございます。この後の試合も楽しんでください。僕がGLORYのチャンピオンになります」とアピールした。直後の試合でペットパノムルンはコリンズに敗れRISE王座から陥落したが、引き続きGLORYの王者のままだ。RISEの伊藤代表は「原口はできれば来年上半期にペッチとやらせたい」と話している。
白鳥大珠、ザカリア・ゾウガリーを左膝一撃KO
第13試合 RISE×GLORY スーパーライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
○白鳥大珠(TEAM TEPPEN/1位、元RISEライト級王者、RISE -61kgトーナメント2019優勝、RIZIN KICK -61kgトーナメント2021優勝)
×ザカリア・ゾウガリー(モロッコ/アウデ・ウェステンジム/GLORYフェザー級(65kg)5位、S-cup -65kg世界トーナメント2016優勝)
3R 1’27” KO (左膝蹴り)
白鳥は昨年6月のTHE MATCHでK-1のゴンナパーにKO負けしたものの、以降は3連勝し、今年3月のRISEではK-1の佐々木大蔵に完勝した。6月のパリでのアレクシス・ソートロン戦では、2R終盤にKOされたが、ラウンド終了後だったと判明し、ノーコンテストに裁定が変わっていた。
ゾウガリーは41戦33勝(16KO)5敗1分の27歳。16年のシュートボクシングS-cupで優勝し、今回5年ぶりに来日する。だが試合は4年ぶりとブランクの長さが気になる。
1R、白鳥がサウスポーでプレッシャーをかけ、左ミドルを随所で強打して主導権を握る。終盤、ゾウガリーが強引に詰めて来たが、白鳥は左右のフックを連打してゾウガリーをひるませる。記者採点は白鳥。
2R、ゾウガリーは序盤から積極的に攻めるが、リーチで勝る白鳥は落ち着いてかわす。中盤、パンチの打ち合いが増えると、白鳥が随所で左フックを当てる。終盤、ゾウガリーも前に出て、パンチを当て返し、ほぼ互角の状態で終わる。記者採点はイーブン。
3R、ゾウガリーが次第に積極的にパンチを振うようになり、中盤、右フックを立て続けにヒットする。白鳥は少し下がってしまうが、パンチをスウェーし続けると、ゾウガリーが攻め一辺倒になったところで、カウンターの左膝蹴りをゾウガリーのアゴにクリーンヒットしする。ゾウガリーは大の字で倒れ、すぐさま長瀬レフェリーがストップした。
マイクを持った白鳥は「お待たせしました。これが白鳥大珠です。前回、海外で不甲斐ない結果になってしまって、俺って海外で通用しないのかなって、辛い時期もあったんですけど、今回ザカリア選手という超強豪選手と対戦できて、こうして勝つことができて自信になりました。ザカリア選手、ありがとうございます。勝ちがうれしくて、次のことはどうでもいいです」と話し、大喜びした。
海人、1R KO勝ち「ベスタティに来年必ずリベンジする」
第12試合 シュートボクシング提供試合 RISE×GLORY 72kg契約 3分3R(延長1R)
○海人(TEAM F.O.D/RISEミドル級(70kg)王者、GLORYライト級(70kg)4位、シュートボクシング世界&KNOCK OUT-BLACKスーパーウェルター級(70kg)王者、元SB日本スーパーライト級(65kg)王者)
×ジェームズ・コンデ[James Conde](フランス/SBCサルセル/ISKA欧州ライトミドル級(72.5kg)王者)
1R 2’07” KO (3ダウン:パンチ連打)
海人は3月のRISE ELDORADOでイ・ソンヒョンに判定勝ちしRISEミドル級王者となり、6月のSB世界スーパーウェルター級王座決定戦ではサモ・ペティに判定勝ちし、一気に2本のベルトを獲得した。8月にはオランダでのGLORYに乗り込み、ティジャニ・ベスタティのGLORYライト級王座に挑戦したが、5Rともポイントを取られ完敗に終わり、連勝が18でストップした。
海人は11月14日のSBでの再起戦でマサロ・グランダーを1R KOすると「12月のGLORYとの対抗戦の一枠に僕も入れてください」とマイクアピールした。11月28日に、モハメド・ジャラヤ(モロッコ/元Enfusionフェザー級(65kg)王者)との対戦が発表された。だがRISEクリエーションは12月11日に「ジャラヤ選手が諸事情により入国が出来なくなった為、欠場することとなりました」と発表し、代わりの選手としてコンデを発表した。
コンデは10戦10勝(5KO)の24歳。9月にGLORYに初参戦し、30戦以上のキャリアのあるジョナサン・マエゾとライト級(70kg)で対戦し判定勝ちしている。構えはサウスポー。ジャラヤはオーソドックスのため、海人は作戦変更を強いられたが、問題にしなかった。
1R、海人はオーソドックスで構え、サウスポーのコンデに右のインカーフキックを当てる。中盤、海人が右の三日月蹴りを2連続で当てると、動きの止まったコンデをロープに詰め、ガードの上からパンチを連打する。一旦コンデが組み付いてブレイクしたが、その後も海人はボディへの膝とパンチを連打し、コーナーに下がらせ、右の三日月、ミドルを連打してから、左ボディフックを当てると、コンデはダウンする。コンデは立ったがダメージが大きく、海人がコーナーに詰めてのラッシュからまたも左ボディでまたもダウンを奪う。コンデは立ったがもう限界で、最後も海人が左ボディからのパンチ連打でマットに沈めた。
マイクを持った海人は「正直に言います。こんなレベルじゃ僕には絶対勝てないです。GLORYで自分の相手になるのはベスタティ選手だけです。来年必ずリベンジしに行って、GLORYのベルトを日本に持ち帰りたいです。皆さん、これからもシュートボクサーの海人、RISEの海人、KNOCK OUTの海人、日本の海人として戦っていくので、楽しみにして僕の試合を見てください」とアピールした。
中村寛KO勝ち。木村ミノルに「ステロイドを止めずに俺とやってください」
第11試合 RISE×GLORY ライト級(63kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
○中村 寛(BK GYM/RISEライト級王者、元DEEP☆KICK -60kg級王者)
×アフマド・アコーダッド[Ahmed Akoudad](モロッコ/ブルータルジム)
2R 1’31” KO (左フック)
中村は4月は直樹に5R判定勝ちし、RISEライト王座を獲得。8月の大田大会ではアリシェル・カルメノフと対戦したが、カルメノフに倒された際に左腕を抱えられ、中村は肩を脱臼してしまい、1R途中にドクターがストップし無効試合に終わっていた。
アフマドはモロッコ出身でオランダ在住の22歳。戦績15戦13勝(7KO)2敗で184cmと長身だ。
1R、サウスポーの中村が、長身でオーソドックスのアコーダッドに対し、踏み込んでの左フックを当てる。アコーダッドも右テンカオ、左フック等をお返しするが、クリーンヒットにはならない。終盤、アコーダッドが右ハイを放つと、中村は腕でブロックする。中村は左インローを返すが、まだアコーダッドはひるむほどにはならない。記者採点はイーブン。
2R、アコーダッドは右テンカオ、ハイを放ち、中村の左ミドルをつかんで左フックを放つ。中村はなかなか流れをつかませてもらえていないようにも見えたが、セコンドから「集中しろ」という声が飛ぶと、左の踏み込んでのショートフックをアゴにクリーンヒットしダウンを奪うことに成功する。アコーダッドは立ったがダメージが大きく、中村は左フック、ボディを当てて痛めつけ、左膝を連打してから、最後は左のオーバーハンドブック一撃でマットに沈めた。
中村はリングを降り、周囲の観客とグローブタッチし、RISEの伊藤代表とも抱き合って喜んだ。アコーダッドは担架で運ばれた。マイクを持った中村は「カッコ良すぎるわ、今のパンチ。どう?この声援が答えやな。まあまあって聴こえた。MVPもらったはずですけどね。世界に向けてと言って、8月、不完全燃焼やったんですけど、変わらずやることやったら、脱臼した左肩で、もう一回倒せるのを証明したんで。見た目じゃ無く、嘘で塗り固められたこの日本を、本質的なところを見せられたんじゃないかと思います。みんなに勇気、与えれたと思います」と話した。
続けて「俺はRISEのチャンピオンだけに収まりたくないんで。誰と見たいですか?与座?たいしたことないやろ。やりたい奴はRISEのリングで頑張って上がってこい。俺が一番やりたい奴。パテック・フィリップ、間違えた、木村“フィリップ”ミノル。俺、陰性やと思ってて、ずっとかばってたんですけど。榊原代表、見に来てるでしょ?ステロイドルールで、ステロイドをやって、ステロイドを止めずに、ステロイドマッチ、俺とやってください」と異例のアピールを繰り広げた。
RISEの伊藤代表は大会後の総括で、この発言について聞かれると「競技として問題あるんで」と困惑した様子で話し「木村選手がどういう状況かわからないですけど、可能性があるとしてもキャッチウェイトでしょうし、キャラ的にもRIZINとかじゃないですか?うちではちょっと違うと思うんで。RIZINで起きた陽性のことなんで、RIZINで完結してほしいと思います」と苦笑しつつ回答した。
なお、「たいしたことないやろ」と言われたK-1ライト級王者の与座優貴は、発言直後のXに「中村 寛 流石のKO勝利おめでとう
いつでも何kgでも何ルールでもいいよ 誰も戦ってくれない中 対戦要求正直嬉しいよ RISE乗り込むからクビ洗って待っとけ」と投稿している。
南原健太、1Rダウン奪われるも延長R逆転KO勝ち
第10試合 RISE×GLORY ライトヘビー級(90kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
○南原健太(極真会館/RISEライトヘビー級王者)
×ビクター・デ・コニング[Victor De Koning](オランダ/キックボクシング・フェアレス)
4R 1’01” KO (パンチ連打)
3R 判定0-1 (長瀬28-29/秋谷28-28/北尻28-28)
南原は極真空手をベースとし21年7月のRISEでキックボクシングプロデビュー。9戦8勝(8KO)1敗で、昨年4月にカリュ・ギブレインに喫した黒星以外は全てKO勝利している。6月と8月の第2代RISEライトヘビー級王座決定トーナメントでは、入田和樹とコントゥアラーイをKOし、キックで初のタイトルを獲得した。デ・コニングは10戦7勝2敗1分の20歳。身長195cmと南原より11cm高い。
1R、開始すぐ、デ・コニングが左ジャブを振って右ローを当て、さらに左ジャブにつなぐと、これが命中し、不意打ちを食らった様子の南原は早くもダウンする。中盤、南原が右フックを返すと、デ・コニングは負けじと首相撲から左膝、右テンカオ、左ジャブ等のラッシュで南原を下がらせる。終盤、右ロー、カーフの応酬で終わる。記者採点は8-10でデ・コニング・
2R、序盤はデ・コニングのパンチの積極性が目立つ。中盤、お互い攻撃が減るが、南原が右のオーバーハンドを多用するように。終盤、デ・コニングは息が荒くなり、南原が右ロー、フックの積極性で上回るが、ひるませる場面は作れず終わる。記者採点はイーブン。南原は巻き返したが、序盤の劣勢から五分に戻した程度と判断した。
3R、中盤に南原が左ボディをきっかけにしたパンチラッシュでデ・コニングを追い詰める。終盤、フラフラのデ・コニングに対して南原は右フックを当て続けるが、南原も疲れているため攻撃が荒くなり、空振りも多く、ダウンは奪えないまま終了する。記者採点は南原。合計28-29でデ・コニング。ジャッジは1者が同じ採点だったが、2者は2R終盤に巻き返した南原にもポイントを付け、延長に突入する。
だが本戦で勝利と確信していた様子のデ・コニングは、スタミナ消耗も相まって、気持ちが切れた様子。すると延長R、南原は右足のカカトで蹴るローキック(ヴァレリー・キック)を連打し、右ハイにつなげる。これでデ・コニングをコーナーにさがらせると、右ボディをヒット。デ・コニングのガードの上から南原がパンチを連打し、デ・コニングはダウンする。南原はニュートラルコーナーに下がらなかったため、カウントが長引き、デ・コニングは立ち上がる。大沢レフェリーは続行させたが、デ・コニングのダメージは大きく、最後は南原がロープに詰め、パンチを連打して倒したところで、ようやくレフェリーがストップした。
聖愛、テッサ・デ・コムとの王者対決を制す
第9試合 RISE×GLORY 女子54kg契約 3分3R(延長1R)
○聖愛[せいな](魁塾/RISE QUEENバンタム級(55kg)王者、WMC女子日本スーパーフライ級王者)
×テッサ・デ・コム(オランダ/ファイトチーム・フラールディンゲン/RISE QUEENフライ級(52kg)王者、Enfusion女子ストロー級(52kg)王者)
判定3-0 (大沢30-29/和田30-28/北尻30-29)
聖愛は5月のRISE QUEENバンタム級王座決定トーナメント準決勝で神谷優良に判定勝ちし、7月の決勝では過去に1度敗れた相手である村上悠佳に判定勝ちでリベンジし、RISEのベルトを獲得した。今回、外国人と初めて対戦した。
デ・コムはGLORYの推薦で昨年12月の両国大会でRISEに初参戦し、当時のRISE QUEENフライ級王者・小林愛三からダウンを奪い判定勝ち。今年5月には小林がベルトを懸けて再戦し、デ・コムが再び判定勝ちし王座を獲得した。戦績は20戦17勝2敗1分。52kgがベストだが、オランダ等では1階級上の54・55kg近辺でも試合をしている。とはいえリング上で向き合った印象では聖愛が大きく見える。
1R、お互いミドル、ロー、パンチを当てるが、均衡状態が続く。聖愛はデ・コムのプレッシャーに負けず圧をかける場面もある。最後、デ・コムが手数を上げたが、まだ差をはっきり示すほどにはならない。記者採点はイーブン。
2R、デ・コムは圧を強め、声を上げながら攻撃を増やす。だが中盤、聖愛が蹴りのモーションをフェイントにして前に出てから、右ストレートを放つと、右ミドルを出したデ・コムに当たり、デ・コムは後ろに下がる。デ・コムはすぐ持ち直し、攻撃を続けるが、聖愛は終了間際にも、デ・コムをかわしてから右ストレートを当て、いい印象で終える。記者採点は聖愛。
3R、お互いロー、ミドルを当て合う中で、聖愛は右ストレートも的確に絡める。デ・コムはひるまず、終盤になっても積極的に攻め、右フック、左ボディもヒットするが、聖愛は左ミドル、ストレートを返し、主導権を握らせず終える。記者採点はイーブン。合計30-29で聖愛。ジャッジは2者が意外にも2点差をつける形となったが、3者とも聖愛を支持し、聖愛が判定勝ちした。
中野椋太は判定負け
第8試合 RISE×GLORY ウェルター級(67.5kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
×中野椋太(誠至会/RISEウェルター級王者、S1世界ウェルター級王者)
○ペトル・モラリ[Petur Morari](モルドバ/キックボクシング・フェアレス/WKU世界-65kg級王者)
判定0-2 (佐藤29-30/大沢29-29/北尻28-30)
中野は昨年5月の後楽園大会でのRISEウェルター級王座決定戦で稲井良弥を2R KOし6連勝としたが、8月の大阪大会ではチャド・コリンズに1R KO負け。今年7月の大阪大会で約1年ぶりに復帰すると、イ・ソンヒョン(RISEミドル級(70kg)1位・元王者)を2R左バックハンドブローでKOした。
モラリは8戦7勝1敗の25歳。21年6月にヤン・カッファをバックスピンキックでKOしている。
1R、蹴りとパンチのほぼ互角の応酬が続き、モラリは終盤、少しずつ右のストレート、フックのヒットを増やし、やや優位に。記者採点はイーブンだがモラリにつく可能性はある。
2R、中野は右ミドル、前に出ての膝を当てるが、モラリも右カーフ、右アッパー、左ジャブ等を的確に返し続ける。中野はひるまないが、モラリのパワーに手を焼いている感がある。記者採点はイーブン。
3R、なかなか均衡は崩れないものの、モラリが右ストレート、後ろ上段廻し蹴り、ロー、左ジャブ等のヒット数でやや上回る。終盤、中野の攻撃が減ってしまう。記者採点はモラリだがイーブンの可能性もある。合計29-30でモラリ。ジャッジは1者がイーブンだが、2者がモラリを支持し、モラリが判定勝ちした。なお、RISEの伊藤代表は「ペトルは65kgでやりたいと聞いているので、今後育てたい。いい選手になる」と話し、スーパーライト級での再招聘に意欲を示している。