RISE+SB 12.25 両国国技館(レポ/RISE×GLORY):原口健飛、武尊が見守るなかGLORY 6位のアダムチャックを圧倒し判定勝ち。海人、GLORY 1位にスプリット判定勝ち。山田洸誓、引退試合はペットパノムルンに判定負け
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2022年12月25日(日) 両国国技館
レポート&写真:井原芳徳
(※RISE×SB対抗戦など大会中盤までのレポートは別記事でお伝えします)
武尊、クリスマスのRISE+SB両国国技館大会に来場
元K-1 3階級制覇王者の武尊が、大会終盤のGLORYとの対抗戦のパートの際に来場し、リングに一番近いVIP席で試合を観戦した。左はピーター・アーツ。武尊は6月のTHE MATCH 2022東京ドーム大会でRISE世界フェザー級王者の那須川天心に判定負け。その後休養を宣言し、11月1日にはK-1およびKRESTからの独立を発表した際には、「これからは一格闘家の武尊として国や団体の垣根なく挑戦して格闘技界が更にたくさんの人に夢やパワーを与えられる業界になるように残りの人生、全力で戦います」との談話を発表していた。今回の行動もその一環で、大会中にTwitterに「今日はRISE×SHOOT BOXINGへ 日本の格闘技界全体が一つになって もっと盛り上がっていくように」と投稿した。
原口健飛、GLORY 6位のアダムチャックを圧倒し判定勝ち
第17試合 メインイベント RIVALS RISE×GLORY RISEルール スーパーライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
○原口健飛(FASCINATE FIGHT TEAM/RISE 63kgトーナメント2020優勝、元RISEライト級(63kg)王者)
×セルゲイ・アダムチャック[Serhii Adamchuk](ウクライナ/マイクスジム/GLORYフェザー級(65kg)6位・元王者、元ISKA欧州ウェルター級王者)
判定3-0 (小川30-28/和田30-27/豊永30-27)
6月のTHE MATCH 2022東京ドーム大会でK-1勢との対抗戦で共闘したRISEとシュートボクシング(SB)が、年末のクリスマスの日に合同大会を開催した。
RISEとSBの対抗戦が多数組まれたが、目玉となったのがRISEとSBの主力の連合軍と、米国を拠点とするGLORYの対抗戦6試合。RISEは昨年からGLORYとの提携を強化し、GLORYフェザー級王者・ペットパノムルンの招へいも今回が3度目。過去2度のペットパノムルンの来日で対戦相手を務めた原口健飛が、RISE×GLORYの大将戦に登場した。
原口は6月のTHE MATCHで前K-1スーパー・ライト級王者の山崎秀晃を2R KO。8月のRISE大阪大会ではペットパノムルンの膝蹴りに手を焼き6R判定負けしリベンジに失敗した。既にザカリア・ゾウガリー(モロッコ/GLORYフェザー級1位、シュートボクシングS-cup 65kgトーナメント2016優勝)との試合が発表されていたが、ゾウガリーが練習中に上腕二頭筋を負傷し手術が必要となり欠場し、アダムチャックに変更となった。
対するアダムチャックは戦績53戦40勝(15KO)13敗の32歳。15年に一度だけK-1参戦で来日し、秋元和也に判定勝ちしている。同年からGLORYを主戦場とし、GLORY戦績は20戦12勝(1KO)8敗。GLORY初戦ではマラット・グレゴリアンに判定勝ちし、2戦目でガブリエル・ヴァルガに勝利しフェザー級王者となる。モザブ・アムラーニに勝利し1度防衛したが、16年7月にヴァルガにリベンジを許し防衛失敗。その後、ペットパノムルンとは3度戦い(うち2試合は王座戦)いずれも判定負け。昨年10月にアレクセイ・ユリアノフに判定負けして以来約1年ぶりの試合となる。
試合前には原口に皇治が、アダムチャックにピーター・アーツが花束を贈呈する。
1R、原口がサウスポーのアダムチャックに対し、右ストレート、ロー、ミドルを当て、スイッチして左カーフもヒット。アダムチャックも時折右ミドル等を当てるが、原口のヒット数が上回り、最後は右フックで少しふらつかせる。記者採点は原口。
2R、原口が右ミドル、ボディフックを効かせつつ、顔面にも右フック、アッパーを当て、中盤以降は徐々にヒットを増やし、アダムチャックを追い詰める。記者採点は原口。
3R、アダムチャックは左インローを連打し、原口の攻撃を封じようとする。原口は変わらず手数多く攻め優位を維持しているが、アダムチャックは打たれ強く、終盤は圧力をかけて前に出るようになり、原口は追い詰めきれず終える。記者採点は原口。合計30-27で原口。ジャッジ3者も原口を支持し、原口が判定勝ちした。
マイクを持った原口は「勝ててホッとしています。武尊さん、見に来てくれてありがとうございます。皇治さんも花束ありがとうございました。RISEの選手はライバルですが、チームRISEとして盛り上げたいです。エンタメもあっての格闘技ですけど、僕は強さをしっかり求めて、強さの代表としてRISEを盛り上げます」とアピールした。
海人、GLORY 70kg 1位にスプリット判定勝ち
第16試合 セミファイナル RIVALS RISE×GLORY RISEルール ミドル級(70kg) 3分3R(延長1R)
○海人(TEAM F.O.D/RISEミドル級(70kg)1位、SB日本スーパーウェルター級(70kg)1位、元SB日本スーパーライト級(65kg)王者、S-cup 65kgトーナメント2018優勝、KNOCK OUT-BLACKスーパーウェルター級(70kg)王者)
×ストーヤン・コプリヴレンスキー[Stoyan Koprivlenski](ブルガリア/マイクスジム/GLORYライト級(70kg)1位)
判定2-1 (豊永30-29/和田29-30/長瀬30-29)
SBのエース・海人は6月のTHE MATCHのセミファイナルでK-1ウェルター級王者の野杁正明と延長に及ぶ接戦を繰り広げ判定勝ちし名を上げた。8月のRISE大阪ではサモ・ペティ相手に苦戦も延長判定勝ち。9月のSBではトルコ出身のケンダル・カラクァートに肘で切られ苦戦するも再延長(5R目)になんとか判定勝ちした。野杁との大一番以降も過酷な戦いが続いたが、3カ月空けたことでコンディションを整えやすいだろう。
コプリヴレンスキーは戦績24戦18勝(6KO)6敗の28歳。アダムチャックと同じくマイクスジム所属。14年にプロデビューし、17年からGLORYに出場しGLORY戦績は11戦6勝(2KO)5敗。昨年8月から今年10月まで8戦6勝2敗と積極的に試合をしており(うち3試合がGLORY)、今年8月にGLORYで勝利し王座挑戦権を獲得した。10月大会でティジャニ・ベスタティの王座に挑んだが判定2-1で敗れた。ベスタティとはそれまでにも2度戦い3戦1勝2敗だ。
1R、コプリヴレンスキーがプレッシャーをかけ、開始すぐから左ハイを当て、積極的にパンチ、蹴りを出す。中盤には左アッパーストレートを当てると海人がのけぞる。海人はもらい続ける状態が続くが、随所で右カーフを当て、次第にボディ、顔面にパンチを返す頻度を高め、膝とミドルを絡めて巻き返す。記者採点はコプリヴレンスキーだがイーブンの可能性はある。
2R、序盤こそコプリヴレンスキーが力強く前に出て攻撃を当てていたが、中盤、海人が左ジャブを皮切りに、左ボディ、フック、右のカーフキックを随所で当てると、コプリヴレンスキーのヒット数は低下する。だがそれでも五分に戻る程度で、まだコプリヴレンスキーも崩れず、攻撃を返し続ける。記者採点はイーブン。
3Rも海人が左ボディ、右テンカオ、右カーフを執拗にヒットする。中盤にはカウンターの右ストレートをヒット。コプリヴレンスキーは少しだけ止まる場面はあるものの、崩れないで左ミドル、右フック等を返し続ける。終盤、海人が少し疲れた様子の表情となり、コプリヴレンスキーの手数が上がるが、全体では海人の攻撃数が上回っている印象だ。記者採点は海人だがイーブンの可能性はある。
記者採点の合計29-29でイーブン。接戦のラウンドが続いたためジャッジは割れ、1者は29-30でコプリヴレンスキーを支持したが、2者が30-29で海人を支持し、海人の判定勝ちとなった。裁定を告げられると、コプリヴレンスキーは手を広げ不満を示した。コプリヴレンスキーは試合後の談話でも裁定に不満を述べ、「また来日したい」と話し、戦いたい相手を聞かれると「海人だ」と即答していた。
試合直後、海人は「とりあえずGLORY 1位に勝ったんで、次はチャンピオンに挑戦させてください。まだまだなんで、強くなってこの階級で倒していけるように、日本人が世界一になれるよう頑張ります」とマイクアピールした。
山田洸誓、引退試合はペットパノムルンに判定負け
第15試合 RIVALS RISE×GLORY RISEルール 山田洸誓 Final Match スーパーライト級(65kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
○ペットパノムルン・ギャットムーカオ(タイ/ギャットムーカオジム/RISE世界スーパーライト級(65kg)&GLORYフェザー級(65kg)王者)
×山田洸誓[こうせい](正道会館KCIEL/RISEスーパーライト級(65kg)王者)
判定3-0 (長瀬30-29/豊永30-29/北尻30-28)
タイの強豪・ペットパノムルンは8月のRISEでの原口との再戦でも原口にほとんどチャンスを与えず圧勝。オランダで10月8日(現地時間)に開催されたGLORYでも、アブラハム・ビダレスに大差の判定勝ちをし、GLORYフェザー級王座3度目の防衛を果たしている。
山田は実方拓海、北野克樹、直樹に3連勝後、6月のTHE MATCHで1階級上の安保瑠輝也に判定負けしたものの知名度を上げた。8月のRISE大阪ではオランダのヤン・カッファを3R右フックでKOしたが、10月の会見では今回の12月の試合で引退することを表明していた。11月4日に30歳になったばかりだ。これまでのキック戦績は17戦15勝(9KO)2敗。
試合前には安保が両選手に花束を贈呈する。1R、ペットパノムルンはサウスポーで構え、慎重に左ミドル、ローを当てる。まだ1Rのため様子見のようだ。山田は蹴りで応戦するが、ペットパノムルンはかわし続ける。記者採点はイーブン。
2R、ペットパノムルンは再三組み付いてロープ際に押し込み、膝を強打。時には崩しつつパンチを当てる。山田は捕まり続け防戦一方に。記者採点はペットパノムルン。
3R、ペットパノムルンは変わらず再三組み付いて膝を強打し続け、離れれば左ミドルもヒット。山田は二段蹴りや右フックを放つが空振りが続く。記者採点はペットパノムルン。合計30-28でペットパノムルン。ジャッジ3者とも1~2点差でペットパノムルンを支持し、ペットパノムルンが判定勝ちした。
白鳥大珠、モロッコのバニスに勝利も仕留めきれず反省
第14試合 RIVALS RISE×GLORY RISEルール スーパーライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
○白鳥大珠(TEAM TEPPEN/RISEライト級(63kg)1位・元王者、RISE -61kgトーナメント2019優勝、RIZIN KICK -61kgトーナメント2021優勝)
×イリアス・バニス[Ilias Bannis](モロッコ/ボスジム/フェアレス/ISKAフルコンタクトルール欧州ライト級王者)
判定3-0 (長瀬30-28/北尻30-27/小川30-27)
白鳥は4月のRISE代々木大会で秀樹に延長判定勝ち。6月のTHE MATCHでは元K-1&Krushライト級王者・ゴンナパー・ウィラサクレックに1R右フックでKOされた。10月のRISE大田大会ではYA-MANから2Rにダウンを奪い、その後も猛反撃をしのぎ切り判定勝ちした。今回、アブデラ・エズビリ(フランス/GLORY世界フェザー級(65kg)4位)と戦う予定だったが、エズビリが練習中の怪我により欠場。大会3日前の22日になって、バニスへの相手変更が発表された。
バニスは32戦24勝(12KO)6敗2分の24歳。身長173cm。ローキック禁止のISKAフルコンタクトルールのヨーロッパ・ライト級王者で、GLORYと提携するENFUSIONを主戦場とする。
1R、体格で勝る白鳥がサウスポーでプレッシャーをかけ、随所で左ミドル、ローを当てる。バニスも細かくローを返す。右フックを時折振るうが、白鳥はかわして防御。終盤には白鳥が右ボディを強打し、やや好印象で終える。記者採点はイーブンだが白鳥につく可能性もある。
2R、白鳥は変わらず左ミドル主体の攻め。白鳥の蹴りが2度ローブローとなり、1度目はバニスは休むことができたが、2度目はほとんど休ませてもらえず続行する。その後から白鳥がパンチのヒットを増やしてやや優位となるが、終盤はバニスは持ち直し、完全に流れをつかませない、記者採点はイーブンだが白鳥につく可能性はある。
3R、白鳥は左ミドル、左ストレート、右ボディ等を手数多く当て攻勢。バニスは打たれ強く、崩れはしないが、これまでほど攻撃を返せなくなり、さすがに印象が悪い。記者採点は白鳥。合計30-29で白鳥。ジャッジ3者は2~3点差で白鳥を支持し、白鳥の判定勝ちとなった。
白鳥は「煮え切らない試合をしてすみません。年内勝ちで締めくくったんですけど、世界第一戦、しょっぱかったんで、そろそろ変わった姿を見せたいですね」と、悔しそうにコメントした。
チャド・コリンズ、笠原弘希も圧倒し判定勝ち
第13試合 RIVALS RISE×GLORY RISEルール 63.5kg契約 3分3R(延長1R)
×笠原弘希(シーザージム/SB日本ライト級(62.5kg)王者、元スーパーフェザー級(60kg)&フェザー級(57.5kg)王者)
○チャド・コリンズ(オーストラリア/ストライクフォース/WMCインターナショナル・WKA豪州・WBCムエタイクイーンズランド州・スーパーライト級王者)
判定0-3 (秋谷29-30/佐藤28-30/北尻27-30)
笠原三兄弟の長男・弘希は7月にはRIZINに初出場しRISEのランカーの石月祐作に判定勝ち。9月のSBではロンペット・Y’ZDに判定勝ちし、連勝を10に伸ばした。
コリンズはタイでセクサン、パコーン、サックモンコンといったスター選手を下し、日本でもコロナ禍以前には海人・不可思に完勝。8月のRISE大阪大会で久々に来日すると、スーパーライト級(65kg)でRISEウェルター級(67.5kg)王者の中野椋太に1R右ストレートでKO勝ち。10月のRISE大田大会では64kg契約でRISEライト級(63kg)王者・直樹を2R左フックでKO。日本勢を圧倒し続けている。今回は63.5kgとより体を絞っての試合となる。
試合は今回もコリンズが日本人を圧倒することに。1R、コリンズがプレッシャーをかけ、左ミドル、右ロー等を度々ヒットする。弘希はブロックで来ている攻撃もあるが、大半をもらってしまい印象が悪い。弘希は時折左ボディを当てるが、手数差は大きく、コリンズも攻撃を緩めない。記者採点はコリンズ。
2R、コリンズはミドル、前蹴りを当てつつ、次第にパンチを増やすように。弘希の左ボディへのカウンターの左フック、コンビネーションでの左フック、左右のボディ、さらに右アッパーも度々叩き込む。弘希は耐え、時折左ボディを当てるものの、コリンズは攻め続ける。記者採点はコリンズ。
3Rもコリンズ攻勢は変わらず。コリンズが何発も蹴り、パンチを当て続け弘希を圧倒する。記者採点はコリンズ。合計27-30でコリンズ。意外にも27-30以外の採点をつけるジャッジが2人もいたが、順当にコリンズが判定勝ちした。
小林愛三、Enfusion王者にダウン奪われ判定負け
第12試合 RIVALS RISE×GLORY RISEルール 女子フライ級(52kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
×小林愛三(NEXT LEVEL渋谷/RISE QUEENフライ級(52kg)王者)
○テッサ・デ・コム[Tessa De Kom](オランダ/ファイトチーム・フラールディンゲン/Enfusion女子ストロー級(52kg)王者)
判定0-3 (和田28-29/佐藤28-29/秋谷28-30)
小林は3月のGLORYベルギー大会ではGLORY女子スーパーバンタム級王者のティファニー・ヴァン・スーストに挑戦したが、計4度のダウンを奪われ5R KO負け。7月のRISE後楽園大会ではイ・ドギョンに判定勝ちした。今回はGLORYとも提携するオランダのEnfusion(エンフュージョン)の王者・テッサ・デ・コムを迎え撃つ。テッサは16戦14勝1敗1分の22歳。
1R、テッサがプレッシャーをかけ続け、小林は回りつつ、細かくローとカーフをヒット。終盤、テッサの圧力が少し落ちる。だが終了間際、小林の左ミドルをテッサがブロックすると、すぐ放った右フックがクリーンヒットし、小林はダウンする。記者採点は8-10でテッサ。
2R、小林が細かくローをテッサの前足に当て続け、次第にプレッシャーをかけるように。だがテッサは崩れず、パンチ、組んでの膝を当て、小林の攻撃を寸断する。記者採点はイーブン。
3R、逆転を狙う小林は雄たけびを上げながら前に出続け、パンチを振るうが、空振りが多く、ローキックも減ってしまう。逆にテッサは落ち着いてさばき、右ロー、左右の膝を的確にヒット。終盤にはカウンターで右フックを当てると、小林はマウスピースを吐き出す場面も。記者採点はイーブン。合計28-30でテッサ。ジャッジ3者もテッサを支持し、テッサの判定勝ちとなった。
RISE+SB 12.25 両国国技館(レポ/RISE×SB他):志朗、鈴木真彦との接戦制し返り討ち。宮﨑小雪、MISAKIとの王者対決制す。大﨑孔稀・笠原友希が対抗戦制す。憂也、T-98をKO