RISE 5.28 後楽園ホール(レポ):大﨑孔稀、再戦で寺山遼冴を2R KO「不動の55kg王者鈴木真彦選手を僕が倒す」。テッサ・デ・コム、小林愛三との再戦も5R判定勝ちし王座奪取
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RISE 168
2023年5月28日(日)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
大﨑孔稀、再戦で寺山遼冴を2R KO「不動の55kg王者鈴木真彦選手を倒す」。その前に5位の加藤有吾と挑戦者決定戦か
第9試合 セミファイナル バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○大﨑孔稀(OISHI GYM/1位、BOMバンタム級王者、元J-NETWORK&WMC日本スーパーフライ級王者)
×寺山遼冴[りょうが](フリー/2位、元DEEP☆KICK -53kg王者、CKC 2021 -54kgトーナメント優勝)
2R 1’56” KO (3ダウン:右膝蹴り)
大﨑兄弟の弟・孔稀は昨年3連勝後、10月のRISE大田大会でのバンタム級初戦で志朗と延長戦に渡る接戦を繰り広げ判定負け。12月の両国大会ではシュートボクシング(SB)ルールでSB日本スーパーバンタム級王者の植山征紀に判定勝ちしている。
寺山遼冴は元RISE QUEEN・寺山日葵の弟。TEAM TEPPENを離れ1年ぶりの復帰戦となった昨年10月のRISEの試合では、京介に判定勝ちした。
孔稀と遼冴は2月23日、RISEの旗揚げ20周年の日に後楽園ホール大会で行われた昼夜興行の昼の部のメインイベントで対戦した。2Rまで接戦が続き、孔稀の蹴りが度々ローブローとなってしまう。3Rに孔稀がやや手数を増してきたが、孔稀の右インローがまたもローブローとなり、遼冴はダメージが大きくドクターストップがかかり、負傷判定1-0のドローに終わっており、今回再戦が組まれた。
再戦は実績・経験で勝る孔稀が最終的に完勝する形となる。1R、孔稀がサウスポーの遼冴に対し、右ミドルを着実に当て、右アッパーも絡め、若干攻撃数で勝る。だが遼冴もまだ崩れず、左ミドルを随所で返し、孔稀の右ハイをブロックしてから左インローを返す場面も。さらに終了間際には孔稀の右インローのタイミングで左右のパンチを振って押し倒す。記者採点はイーブン。
すると2R、お互いパンチと蹴りの回転を上げるが、主導権を引き寄せたのは孔稀。ボディから顔面へのパンチを当ててから押し倒し、さらに前に出て右テンカオ、右ミドルを当てる。遼冴が左ミドルを当てても、すぐ右インローをお返し。コーナーに詰め、左フックから右ボディにつなげると、左右のボディフック連打からの右膝蹴りでダウンを奪う。遼冴はダメージが大きく、孔稀が遼冴をコーナーに詰めてパンチと膝を連打し、またもダウンを奪う。最後は左膝を効かせて下がらせ、コーナーに詰めてからのボディへの右膝蹴りで3ダウン目を奪い、見事KO勝ちした。
マイクを持った孔稀は「完璧に僕のほうが強いっす。前回、不完全燃焼で、再戦を組んでくださったRISE関係者の皆様ありがとうございます。寺山選手、リマッチの必要無かった試合だったかもしれないですけど、すぐ受けて下さってありがとうございました。これで気持ち良く次のステージ進めると思います。正直、誰にも負ける気がしないです。鈴木(真彦)選手にも勝てる自信があります。伊藤(隆・RISE)代表、僕にチャンスを下さい。RISE 55kg(=バンタム級)の不動のチャンピオンの鈴木選手を、僕が絶対倒して新しい時代を作ります」とアピールした。
孔稀はバンタム級1位、遼冴は2位のため、孔稀は1位の座をしっかり守った状況だ。しかし伊藤代表は大会後の総括で「先日加藤(有吾)が勝ったじゃないですか。そこと対戦し勝った方がって、対戦相手が決まっていますんで。そこでワンクッションを越えてからタイトルマッチという形ですね。勝者のほうが」と話した。孔稀と遼冴の初対決と同じ2月大会の夜の部で、加藤が京谷祐希をKOし、王座挑戦を熱望し、5位に浮上していた。2月大会の前の時点では事実上この4人の“挑戦者決定トーナメント準決勝”の構図を伊藤代表は思い描いていた模様で、孔稀と遼冴の決着が5月にズレこんだことで、話が少し複雑になった形だ。ただ、加藤は6月23日のRISEでの鷹介[ようすけ](魁塾/DEEP☆KICK −55kg1位)との試合が組まれているため、そこをきっちりクリアしないといけない。
孔稀と加藤は昨年5月のNO KICK NO LIFEで肘有りルールで対戦し、肘の応酬の末に加藤が肘で切られ血だるまになり、孔稀が5R TKO勝ちを果たしている。肘以外の攻防も見ごたえのある試合だったため、挑戦者決定戦という枠組み抜きでも、RISEルールでの再戦だとどうなるかはシンプルに楽しみだ。
テッサ・デ・コム、小林愛三との再戦も5R判定勝ちしフライ級王者に
第10試合 メインイベント RISE QUEENフライ級(52kg)タイトルマッチ 3分5R(無制限延長R)
×小林愛三[まなぞう](NEXT LEVEL渋谷/王者)※2度目の防衛戦
○テッサ・デ・コム(オランダ/ファイトチーム・フラールディンゲン/1位、Enfusion女子ストロー級(52kg)王者)
判定0-3 (大沢48-49/和田47-49/豊永47-50)
※デ・コムが王者に
小林は20年、4選手参加の初代RISE QUEENフライ級王座決定トーナメント決勝へ進んだが、反対ブロックで勝った陣内まどかの負傷欠場により、小林が暫定王者と認定された。しかし小林のワンマッチの相手として緊急出場した田渕涼香に判定負け。21年4月のタイトルマッチで再戦し、小林は判定勝ちでリベンジを果たすと共に、正規王者に認定された。
小林は昨年12月の両国大会でのノンタイトル戦で、GLORYからの派遣されたデ・コムと対戦し、テッサが1R終盤に右フックでダウンを奪い判定勝ちしている。ノンタイトル戦で負け、防衛戦でリベンジを目指す点で、田渕戦もテッサ戦も共通する。
小林は昨年3月のGLORYベルギー大会でGLORY女子スーパーバンタム級王者のティファニー・ヴァン・スーストに挑戦したが5R KO負けを喫している。その時は2階級上だったものの、欧米勢相手に苦戦するイメージも払拭したいところ。今回のデ・コムとの再戦に備えて2週間のオランダ修行に行った際、トレーナーに「体を強くしたら格上にも通用するようになる」と言われたことで、筋力トレーニングも増やしたとのことだ。
なお、デ・コムは小林戦から1カ月後の1月28日(現地時間)メキシコでのGLORY Rivalsの試合にも出場し、ジュリアナ・コスナルド(アルゼンチン)に判定負けしている。
再戦は5R制。デ・コムの長期戦を意識した徹底した足狙いの攻撃が功を奏す。1R、デ・コムが中央に立ち、小林が右ミドルを当てれば、右ローを返す展開を繰り返す。蹴りの攻防が続き、終盤はお互いパンチも出るが、まだ均衡は崩れない。記者採点はイーブン。オープンスコアリングのジャッジは3名ともイーブンとする。
2Rも蹴り主体の攻防で、デ・コムはコツコツ右のロー、カーフをヒット。小林も右ミドルを当てつつ、インローも絡めて渡り合う。蹴り足をすくってパンチを当てたり、ミドルを強打する場面もあるが、デ・コムはブロックできている。記者採点は小林につけるか考えたがイーブン。ジャッジ2名は小林を支持し、1名はイーブンとする。
3R、蹴り主体の攻防が続き、デ・コムは右ローを当てつつ、組んでの膝も多用するように。デ・コムの攻撃がやや増えるが、まだ小林も崩れない。記者採点はデ・コムにつけるか考えたがイーブン。ジャッジ2名はデ・コムを支持し、1名はイーブンとする。
4R、中盤まで小林は右のミドル、左前蹴りを強打していたが、ここに来てデ・コムも右ローが効き目を発揮し、小林は足が流れるようになり、終盤には左インローをもらってバランスを崩す場面も。記者採点はデ・コム。ジャッジ3者もデ・コムにつける。
5R、小林は必死に前に出て、右ミドルを随所で強打するが、口が開き消耗しており、なかなか攻撃をまとめることができない。デ・コムも左ミドル、右ロー、膝を返し、小林の反撃を封じて終える。記者採点はデ・コム若干優位だがイーブン。合計49-50でデ・コム。ジャッジ3者は1~3点差でデ・コムを支持し、デ・コムが判定勝ちで返り討ちを果たすと共に、RISEのベルトを巻いた。
第8試合 ミドル級(70kg) 3分3R(延長1R)
×リカルド・ブラボ(アルゼンチン/ウィラサクレック・フェアテックス/2位、M-1世界スーパーウェルター級王者、元新日本ウェルター級王者)
○憂也(魁塾/5位、元DEEP☆KICK -65kg王者)
不戦勝
※ブラボが体調不良で救急搬送され前日計量を欠席。憂也は69.85kgでクリア
QUEENバンタム級王座決定T決勝は村上悠佳と聖愛の再戦に
第7試合 初代RISE QUEENバンタム級(55kg)王者決定トーナメント準決勝 3分3R(延長1R)
○村上悠佳(TEAM TEPPEN)
×KOKOZ(TRY HARD GYM/フライ級5位、元スック・ワンキーントーン女子スーパーフライ級王者)
判定3-0 (長瀬30-29/小川30-29/豊永30-28)
初代のRISE QUEENバンタム級王者を決める4選手参加のトーナメントが今回開幕した。
村上 vs. KOKOZの1R、お互い右ローを度々当て、KOKOZはパンチをまとめ、村上は膝やミドルを絡める。村上の攻撃が少し多いがほぼ五分の状態が続く。
2Rもローを蹴り合いつつ、KOKOZが右ストレート、ミドル、前蹴り、村上が左テンカオ、ミドル等を当てる。このラウンドもなかなかお互い崩れないまま終わる。
すると3R、村上が右ミドル、ローを強打すると、KOKOZの動きが少し落ちる場面が出始める。KOKOZも攻撃を返すが頻度が減り、空振りも増え、やや印象が悪い。記者採点は3Rに村上につけ30-29で村上。ジャッジ3者も1~2点差で村上を支持し、村上の判定勝ちとなった。
第6試合 初代RISE QUEENバンタム級(55kg)王者決定トーナメント準決勝 3分3R(延長1R)
○聖愛[せいな](魁塾/フライ級6位、WMC女子日本スーパーフライ級王者、元ミネルヴァ同級王者)
×神谷優良(KKC/全日本フルコンタクト空手道連盟(JFKO)2021女子軽重量級(60kg)3位)
判定3-0 (長瀬30-28/大沢30-28/豊永30-28)
1R、神谷がサウスポーで前に出て、聖愛が回る構図が続き、中盤まで神谷のパンチと蹴りがやや多かったが、終盤は聖愛も右ストレートを立て続けに当てて挽回する。
2R、神谷が聖愛の前足に左右のローを当て、少し効かせたかに見えたが、神谷は疲れが見え始め、追撃が減り、終盤には聖愛がボディ狙いのミドル、前蹴りを効かせ、このラウンドも巻き返す。
3R、聖愛が中盤に左ミドル、右ストレートを効かせ、押し倒す場面も作り、やや好印象。神谷もインローで聖愛を2度スリップさせたが、攻撃自体が少ない。記者採点は3Rに聖愛につけ30-29で聖愛。ジャッジ3者とも2点差で聖愛を支持し、聖愛が判定勝ちし、決勝に進出した。
この次の試合で村上が勝利すると、聖愛もリングイン。聖愛は「前回(昨年10月)負けた村上選手にリベンジする目標がかないます。決勝までしっかり仕上げてベルトを取りたいです」、村上は「こんな早く再戦するとは思わなかったです。前回より圧倒的な差を見せて、もうやりたくないと思わせる試合をします」と宣言した。王座決定戦は7月30日の後楽園大会で実施予定だ。
梅野源治の後輩・麻火佑太郎、マサ佐藤を1R KO「麻火佑太郎も“ヤバい”ということを覚えてください」
第5試合 スーパーライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
×マサ佐藤(ウィラサクレック・フェアテックス/3位、元英雄伝説64kg級アジア王者)
○麻火佑太郎(PHOENIX/6位)
1R 1’11” KO (左膝蹴り)
1R、麻火がサウスポーで構え、右前蹴りを絡めつつ、左インローを的確にヒット。前に出る佐藤を麻火は誘いつつ、佐藤の首を右手で抱えてから、左テンカオをボディに突き刺す。麻火はすぐに佐藤をコーナーに詰めると、左膝蹴りと左ボディフックの連打でダウンを奪う。佐藤は膝立ちのまま立ち上がれず、麻火がわずか17秒でKO勝ちした。
マイクを持った麻火は「KOが多くて、焦ったんですけど、自分もKO勝ちできて良かったです。PHOENIXの偉大な先輩が来月、RIZINに出て、盛り上げてくれると思うので、麻火佑太郎も“ヤバい”ということを覚えてください」と話し、セコンドにもついた梅野源治の恒例のフレーズも引用しながらアピールした。
第4試合 女子フライ級(52kg) 3分3R(延長1R)
×YAYAウィラサクレック(ウィラサクレック・フェアテックス/4位、元J-GIRLSスーパーフライ級王者)
○Melty輝[きら](team AKATSUKI/DBS女子フライ級王者)
判定0-2 (和田28-29/佐藤28-28/大沢28-29)
1R、YAYAが前に出続けるが、Meltyが中盤、右ハイキックをYAYAの頭の上をかすめるように当てて倒し、ダウンを奪う。YAYAはダメージは小さく、2R、しぶとく前に出て、右ローを効かせ、パンチと膝も随所で当てやや優位に。
3Rも同様にYAYAがパンチ、膝を当て続け優位を維持する。ジャッジは2者が1点差でMeltyを支持し、Meltyの判定勝ちとなった。記者採点は28-28でイーブン。
第3試合 ウェルター級(67.5kg) 3分3R(延長1R)
○石川泰市(Ten Clover Gym/5位、Stand Up King of Rookie 2022 -67.5kg優勝)
×都木航佑[たかぎ こうすけ](キャピタルレイズ/元KROSS×OVER -67.5kg王者)
判定3-0 (佐藤29-28/小川29-28/和田29-27)
1R、石川が右ストレートで都木をひるませ、左ミドル等も多く当て、やや優勢。
2R、都木が右カーフ、左ミドルを効かせて巻き返したが、終盤、石川が左の関節蹴りを立て続けに当ててから、右のオーバーハンドフックをクリーンヒットしてダウンを奪う。
3R、都木が左膝を効かせつつ、左右のフックを強打し、石川を苦しめたが、石川はダウンは免れて耐え抜き、点差を守り判定勝ちした。
第2試合 ヘビー級 3分3R(延長1R)
○ミヤギン(team Bonds/6位)
×MAX吉田(池袋BLUE DOG GYM)
1R 2’14” KO (右フック)
1R、ミヤギンが序盤から右フック等を的確に当て、右フックでダウンを奪う。その後もパンチで圧倒し、最後は右フックでまたダウンを奪ったところでレフェリーがストップした。ミヤギンは「ライトヘビーにも落ちるので、ライトヘビーの選手とも戦わせてください」とマイクアピールした。
第1試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○白石 舜(TEAM TEPPEN/17位)
×白鳥光希(正道会館KCIEL)
1R 2’43” KO (右フック)
1R、お互いフェイントをかけ、パンチ主体の攻防で、均衡状態が続く。だが終盤、白石が白鳥のガードの隙間から左右のワンツーを当て、少し白鳥をひるませると、さらに左ジャブ、右ストレートを立て続けに当ててダウンを奪う。白鳥はすぐ立つがダメージが溜まっており、左アッパーと右フックの連打で再びダウンを奪い、白鳥が頭からマットに突っ込んで倒れたのを見てレフェリーがストップした。白石は「今僕めっちゃ強いんで、上位ランカー当ててください」とマイクアピールした。
オープニングファイト第3試合 フライ級(51.5kg) 3分3R
×柊真[しゅうま](新潟誠道館/Stand Up King of Rookie 2022 -51.5kg優勝)
○伊藤琉之助(EX ARES/JAPAN CUP 2022 -55kg準優勝)
判定0-3 (27-29/27-30/27-30)
柊真は3戦全勝の18歳、伊藤は2戦全勝の16歳。2Rから伊藤が右カーフ、左ミドル、左ボディを効かせ、右ストレート、アッパーでも追い詰め、最後にボディへの左膝でダウンを奪う。3Rも伊藤がパンチ、膝、ミドルを当て続け圧倒し判定勝ちした。
オープニングファイト第2試合 女子45kg契約 3分3R
×西原朱花(TEAM TEPPEN)
○小林穂夏(NEXT LEVEL渋谷)
判定0-3 (28-30/27-30/27-30)
小林がサウスポーで構え、細かく出入りしてプレッシャーをかけ続け、随所で踏み込んで左ストレートを当てる。2R終盤には左ストレートを連続で当て、ダウン気味に西原をスリップさせる場面も。3Rも小林が左ストレートで度々西原を脅かし好印象を残し判定勝ちし、デビュー以来の連勝を3に伸ばした。西原は4戦目で初黒星を喫した。
オープニングファイト第1試合 女子ミニフライ級(49kg) 3分3R
×RINA(Crazy Gorilla Gym)
○MEI(KRAZY BEE)
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
MEIは19年にアマチュアボクシングの全日本女子選手権シニアの部で優勝経験もある25歳で、今回がプロデビュー戦。前に出続けるRINAに対し3R、左右のボディを効かせてからの左フックを当てダウンを奪い判定勝ちした。右ローも冴え、今後が楽しみな選手だ。