ROAD TO UFC 5.28 上海(レポ):原口伸が圧勝TKO勝ち、上久保周哉が消耗戦制し準決勝進出。野瀬翔平と丸山数馬は初戦敗退
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
センチャイムエタイジム中野
本場のムエタイ、教えます。初心者、ダイエット目的の方も大歓迎!まずは見学・体験を!
ROAD TO UFC(RTU)シーズン2 エピソード3・4
2023年5月28日(日)中国・上海:UFCパフォーマンス・インスティチュート(UFC PI)上海
レポート:井原芳徳
UFCがアジアの選手を発掘するトーナメント「ROAD TO UFC(RTU)シーズン2」が、上海でUFCが運営するメガジム「UFCパフォーマンス・インスティチュート(UFC PI)」で開幕した。前日の27日に続く2日目の試合レポートをお届けする。鶴屋怜と神田コウヤが勝利した初日のレポートはこちら。
エピソード3:元ONE上久保周哉が消耗戦制す。丸山数馬と野瀬翔平は初戦敗退
第4試合 バンタム級 5分3R
○上久保周哉(頂柔術)
×バーエゴン・ジェライスー(中国)
判定2-1 (30-27/28-29/29-28)
上久保は4月12日で28歳になる日本屈指のグラップラー。14年にMMAデビューし、パンクラスやTTFでの試合を経て、18年から昨年22年1月までONEに上がり6戦全勝、2連続一本勝ちしていたが、タイトルとは縁が無かった。ONEとの契約が終わった後、UNRIVALED等のグラップリング大会に出場し続け、今回RTUで約1年半ぶりにMMAの試合に臨む。初戦では中国のWLF(武林風)を主戦場にしてきた選手と対戦した。
1R 上久保はタックルを繰り返してテイクダウンを狙うが、ジェライスーは耐える。ジェライスーは組み際や離れ際に右のパンチを当てると、上久保は鼻血を出す。中盤、ジェライスーが右膝を当てると、上久保はダウンしてしまう。上久保はすぐ立ち、終盤も執拗に金網に押し込む。最後は上久保がアームロックを仕掛けながら倒し、極まった状態となり、ジェライスーは苦しそうな表情を浮かべたが、終了のブザーまで耐えきる。記者採点は迷ったが最後にフィニッシュに近づいた上久保。ジャッジは2者が上久保、1者が打撃で優位だったジェライスーにつける。
2R、上久保は変わらず組み狙いで、ジェライスーがパンチを当てる構図が続く。中盤以降、ジェライスーは手数を上げ、右肘、右膝も絡めて上久保を削る。終盤、上久保はギロチンやアームロックを狙うが、ジェライスーは突き放す。最後、またも上久保が倒し、マウントとバックの中間の状態でパウンドを落とすが、ジェライスーは耐えて終える。記者採点は迷ったがジェライスー。ジャッジは1者が上久保、2者がジェライスーにつける。
序盤の劣勢をひっくり返し、スプリット判定ながら勝利をもぎ取った上久保周哉@siegfried715
【 #RTU2 | @UNEXT_fight & #UFCFightPass 】 pic.twitter.com/AgOpcj4Dpx
— UFC Japan (@ufc_jp) May 28, 2023
3Rも同様の構図から始まるが、さすがにジェライスーも疲れて来た様子で、上久保が序盤からテイクダウンに成功する。ジェライスーはすぐ脱出し、バックを狙う場面もあるが、上久保は対処し、スタンドに戻す。上久保も組みに行くが、力が入りきらず、お互い消耗が激しい。それでも上久保は押し込み続け、中盤過ぎにまたもテイクダウンを奪うと、金網にジェライスーを押さえつけて右のパウンド、肘をコツコツと当て、攻勢を印象付ける。ジェライスーは防戦一方のまま終了する。記者採点は上久保。ジャッジは3者とも上久保。記者採点合計29-28で上久保。2Rまでお互い見せ場を作ったため合計点は割れたが、上久保が2者に支持され、かろうじて初戦突破を果たした。
勝利者インタビューで上久保は英語で「僕がちょっとだけ幸運でした。早くプロテインシェイクを飲みたいです。サンキュー上海。僕が100%チャンピオンになります」とコメントした。準決勝で上久保は野瀬翔平との接戦を制したシャオ・ロンと対戦する。
第3試合 ライト級 5分3R
×丸山数馬(Tri.H studio)
○キム・サンウク(韓国)
1R 3’08” ダースチョーク
丸山は2015年のパンクラス・ネオブラッド・トーナメント・ウェルター級優勝者で、以降もパンクラスを主戦場とし、20年から21年に3連勝し、昨年10月までライト級のランキングに名を連ねていた。最近では昨年3月、カナダのBTCでメインイベントに登場したが、地元カナダの選手に判定負けしている。
RTU初戦の相手・キム・サンウクは韓国のエンジェルFCでは主にウェルター級で戦う選手で、4月6日のAFCでのHEAT勢との対抗戦では山田聖真に判定勝ちしている。
1R、丸山の右ローのタイミングで、サンウクが足元へのタックルを仕掛け、丸山はがぶって切った状態で肘を連打する。丸山はサンウクを潰して上になるが、サンウクはすぐにスタンドに戻す。丸山は前に出るが、サンウクは距離を取って右のカーフキックを時折当てる。中盤、丸山はタックルを仕掛け、サンウクを金網に押し込むが、サンウクは突き放す。するとサンウクがプレッシャーをかける側となり、右ローを放つと、丸山は片足タックルを仕掛けてテイクダウンを奪う。ところがサンウクはすぐに跳ね返すと、立とうとした丸山の脇の下から首を抱え込む。そのままグラウンドでサンウクは両足で丸山の片足を伸ばして、ダースチョークをガッチリと極めると、丸山は耐えきれずタップアウト。サンウクがチャンスを逃さず勝利し、丸山は初戦敗退となってしまった。
The Frog Man showcasing some squeeze!
Sangwook Kim locks up the D'arce choke to go marching on! #RoadToUFC pic.twitter.com/vVOlLf8LTd
— UFC (@ufc) May 28, 2023
第2試合 バンタム級 5分3R
○シャオ・ロン(中国)
×野瀬翔平(マスタージャパン福岡)
判定2-1 (29-28/28-29/29-28)
野瀬はRTU 2年連続出場。昨年大会では6月の一回戦では相手の中国人選手が1R序盤に右膝を負傷し野瀬がTKO勝ち。10月の準決勝で優勝者・中村倫也に1R KO負けしている。3月の修斗後楽園大会では新井拓巳との寝技勝負を制し1Rアームロックで一本勝ちしている。初戦は上久保同様、中国のWLF(武林風)を主戦場にしてきた選手が相手だ。
1R、野瀬がタックルを繰り返し、シャオも組んで来ると、野瀬は飛びつきギロチンを仕掛けるが、シャオは外して金網際で押さえる。野瀬は今度から下からヒールフック、膝十字固めを仕掛けるが、シャオは耐えてから脱出する。終盤、シャオの右フックをもらいながらも、野瀬はタックルで倒し、オモプラッタや足関節技にトライし攻め続ける。記者採点もジャッジ3者も野瀬。
2R、野瀬が度々組んでテイクダウンを狙うが、シャオは突き放し、サウスポーの野瀬に右ストレート、肘を当てる。シャオも野瀬のパンチや肘をもらって、鼻血を出すが、勢いは落ちず前に出続けパンチを返す。最後、野瀬がタックルで倒しかけたが、シャオはすぐすり抜けて、上になって押さえて終える。記者採点は僅差だがシャオ。ジャッジ3者もシャオにつける。
3R、開始すぐ、タックルに来た野瀬に、シャオは右の飛び膝を当てる。それでも野瀬はタックルを繰り返すが、力が入りきらず。シャオは切って跳ね返して上になる。中盤、シャオが野瀬を金網に押し込み、離れればパンチが交錯し、シャオが野瀬のタックルを切ってまたも押し込む。終盤、野瀬のパンチと肘が炸裂し、野瀬はやや印象が悪い。野瀬は金網を背にしながら、起死回生の飛びつきギロチンを仕掛けるが、極まりは不十分。最後はシャオが野瀬を振り落とし、上四方で押さえた状態で終える。記者採点はシャオ。ジャッジは2者がシャオ、1者が野瀬と割れる。記者採点合計29-28でシャオ。ジャッジは割れたが、野瀬のタックルを切り続け打撃を当てたシャオが判定勝ちした。
第5試合 ライト級 5分3R
×ホン・ソンチャン(韓国)
○ロン・チュー(中国)
1R 2’17” TKO (レフェリーストップ:右フック→グラウンドパンチ)
第1試合 非トーナメント戦 ウェルター級 5分3R
×クリス・ホフマン(フィリピン)
○ユ・サンフン(韓国)
3R 3’10” TKO (レフェリーストップ:右膝蹴り→グラウンドパンチ)
エピソード4:GRACHANライト級王者 原口伸が圧勝TKO勝ち
第3試合 ライト級 5分3R
×ウィンドリ・パティリマ(インドネシア)
○原口 伸[しん](BRAVE/GRACHANライト級王者)
2R 1’25” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
原口伸はRIZINに参戦している原口央の弟で24歳。国士舘大学時代の19年、レスリングの天皇杯のフリー70kg級で優勝。昨年9月にMMAプロデビュー後は6戦5勝1無効試合の負け無し。昨年5月のGRACHANで植田豊に判定勝ちしGRACHANライト級暫定王者となると、山本琢也が8月に正規王座を返上し、原口が正規王者に。11月のグアムでの試合では韓国の選手にTKO勝ち。今年2月のGRACHANで元UFCファイターの小谷直之に1R TKO勝ちしてGRACHAN王座初防衛を果たし、RTUに乗り込む。
初戦の相手・ウィンドリ・パティリマはインドネシアのONE PRIDE MMAで8戦全勝の選手。ウェルター級では相手を押さえ込んでアームロックを極めて勝利した試合もあった。現在はカリフォルニアで練習する。
試合は原口がレベル差をまざまざと見せつける内容に。1R、原口が序盤から素早いタックルでテイクダウンに成功し、サイドで押さえ、右肘を当てる。パティリマが立とうとしても、がぶって足を抱えて潰して上の状態を維持する。原口はハーフで押さえ続け、右のパウンドを時折連打する。終盤も立ちかけたパティリマを金網際で押さえ、パウンドを随所で当て、主導権を維持する。終了後、パティリマは自陣営に戻るのもしんどそうだ。記者採点は原口。ジャッジは3者とも原口で1者は2点差をつける。
2R、原口は10秒足らずでタックルで倒すと、金網際でパウンドを何発も当て続け、最後はレフェリーがストップ。原口が圧勝で初戦を突破した。
A prospect just emerged in the #RoadToUFC tournament!
Shin Haraguchi remains unbeaten after bullying his way to the finish! pic.twitter.com/x1ICNY1G62
— UFC (@ufc) May 28, 2023
勝利者インタビューで原口は「いつもパウンドで勝っているんですけど、次は一本やスタンドの打撃を見せられるようにしたいです。そのためにすぐ帰ったら練習します」「This tournament is mine.(このトーナメントは僕のものです)」とコメント。最後はセコンドについた兄の央と記念撮影していた。
第5試合 ライト級 5分3R
×キ・ウォンビン(韓国/GLADIATORライト級王者)
○バテボラティ・バハテボラ(中国)
2R 2’22” 反則
2R、バハテボラの左目にウォンビンの指が入り、ドクターチェックとなり一時中断する。再開後、ウォンビンが右ストレートを当ててバハテボラをダウンさせ、バハテボラを押さえ込んで鉄槌を後頭部に連打する。後頭部への攻撃は反則のため、マーク・ゴダード・レフェリーは英語で注意するが、ウォンビンは英語がわからなかったか?そのまま当て続けてしまい、レフェリーが途中で制止する。バハテボラはダメージが大きいことから、ドクターチェックの後、ストップがかかり、ウォンビンは反則負けとなってしまった。原口の準決勝の相手はバハテボラに決定。GRACHANとGLADIATOR王者のRTUでの対決とはならなかった。
第4試合 バンタム級 5分3R
○イ・チャンホ(韓国)
×ラナルドラ・プラタプ・シン(インド)
1R 3’52” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
第2試合 バンタム級 5分3R
×エペライム・ギンティン(インドネシア)
○ダーエミィスウ・ザウパースー(中国)
1R 0’58” 裸絞め
第1試合 非トーナメント戦 フライ級 5分3R
×シム・カイ・シオン(シンガポール)
○ピーター・ダナソー(タイ)
1R 4’23” KO (右飛び膝蹴り)
ROAD TO UFC 5.27 上海(レポ):鶴屋怜、父譲りのVクロスで磐石の初戦突破。神田コウヤ、苦しみながらも判定勝ち。SASUKE、2年連続初戦敗退