ROAD TO UFC 5.27 上海(レポ):鶴屋怜、父譲りのVクロスで磐石の初戦突破。神田コウヤ、苦しみながらも判定勝ち。SASUKE、2年連続初戦敗退
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ROAD TO UFC(RTU)シーズン2 エピソード1・2
2023年5月27日(土)中国・上海:UFCパフォーマンス・インスティチュート上海
レポート:井原芳徳
UFCがアジアの選手を発掘するトーナメント「ROAD TO UFC(RTU)シーズン2」が、上海でUFCが運営するメガジム「UFCパフォーマンス・インスティチュート(UFC PI)」で開幕した。
トーナメントは4階級・各8選手で争われる。UFCは2月末から3月中旬に出場選手を公募し、日本からはフライ級の鶴屋怜、バンタム級の野瀬翔平、上久保周哉、フェザー級のSASUKE(佐須啓祐)、神田コウヤ、ライト級の丸山数馬、原口伸の7選手が参加する。準決勝を8月26日(予定)に行い、10~12月のアジアでのUFCファイトナイトにて決勝を予定している。
昨年6月から今年2月にかけてのROAD TO UFC第1弾には日本から8選手が参加し、バンタム級で中村倫也が優勝しUFCとの契約を勝ち取り、2月の決勝で中村に敗れた風間敏臣もUFCと契約した。
シーズン2一回戦の初日には、パンクラス・フライ級王者の鶴屋、修斗世界フェザー級王者のSASUKE、DEEPフェザー級暫定王者・神田コウヤの3選手が登場した。(※原口伸と上久保周哉が勝利した2日目の記事はこちら)
エピソード1:鶴屋怜、磐石の一本勝ち。SASUKE、2年連続初戦敗退
第2試合 フライ級 5分3R
○鶴屋 怜(パラエストラ松戸/パンクラス・フライ級王者)
×ロナル・シアハーン(インドネシア)
2R 1’19” Vクロスアームロック
鶴屋は松根良太、扇久保博正、浅倉カンナ、岡田遼、内藤のび太ら数多くのトップ選手を育てた鶴屋浩・パラエストラ千葉ネットワーク代表の次男で、2002年6月22日生まれの20歳。小学生時代からレスリングと柔術の全国大会で度々優勝し、レスリングでは高校2年時にジュニアオリンピック2位、世界大会出場を果たし、高校3年になってからは全国2位に入賞した。長年MMAも並行して練習し、21年にMMAデビューしDEEPで3連勝した後、今年4月にパンクラスに初参戦し、当時フライ級3位の秋葉太樹に1R裸絞めで一本勝ち。9月大会では当時1位の上田将竜と対戦し1R TKO勝ち。12月の横浜大会のメインイベントのフライ級チャンピオンシップで、王者・猿飛流に2R裸絞めで一本勝ちしプロ初のベルトを巻くと、「もっともっと強くなって、これからUFCにパンクラス代表として挑戦していきたい」とアピールしていた。MMA戦績は6戦6勝(3KO/3一本)。今回のRTU日本勢で最も優勝の可能性の高い選手といえよう。
初戦の相手・ロナル・シアハーンはインドネシアのONE PRIDE MMAで勝利を重ねてきた選手。寝技は苦手な様子だが、肩パンチでダウンさせてからパウンドで勝利した試合や、サウスポーからの膝と肘の連打で勝利した試合があり、打撃は得意な様子だ。
1R、両者サウスポーで構え、シアハーンが右インローを当ててからパンチを振うと、鶴屋は片足タックルを仕掛けて、序盤からテイクダウンを奪うことに成功する。鶴屋はサイドで押さえ、シアハーンのもがく動きに合わせ、マウント、バックマウントを奪う。さらにシアハーンの左足を足4の字ロックで捕獲したまま、背後から首をひねる「ツイスター」を仕掛ける。中盤に鶴屋は解除するが、グラウンドコントロールを続け、マウントからパウンドと肘を当て、立たれても倒し、マウントからパウンドを当てて追い詰める。記者採点は10-8で鶴屋。ジャッジ3者も同じ採点だ。
2R、鶴屋がタックルを仕掛けて金網にシアハーンを押し込む。すると鶴屋がシアハーンのお株を奪う右肩での肩パンチをアゴに当てて、ひるませてから、首投げを決めると、そのまま袈裟固めで押さえ、両足で腕を挟んで伸ばすVクロスアームロック(腕ひしぎ膝固め)を極める。父・浩も得意とした技でタップを奪い、見事完勝で初戦を突破した。
Hip-throw to perfection!
🇯🇵@mma_rei gets the job done with a beautiful sub and dub! #RoadToUFC pic.twitter.com/fR8YO9VkfZ
— UFC_Asia (@UFC_Asia) May 27, 2023
勝利者インタビューで鶴屋は「全試合一本で決めるんで、注目してください」と話し、最後は英語で「Today is my day!」とアピールした。準決勝ではフィリピン系米国人でアメリカントップチームで練習するマーク・クリマコと対戦する。
第5試合 フェザー級 5分3R
×佐須啓祐[SASUKE](マスタージャパン東京/修斗世界フェザー級王者)
○キム・サンウォン(韓国)
2R 1’42” KO (右フック→グラウンドパンチ)
SASUKEは21年7月の修斗フェザー級世界王座決定戦で現在PFL参戦中の工藤諒司に判定勝ち。昨年6月のRTUではトーナメント初戦でイー・ジャーに敗れたが、10月のRTUでのワンマッチで中国人選手に判定勝ちしている。3月の修斗では飯田健夫を2R右のバック肘でKOし修斗王座防衛に成功すると「僕とチームメイトの野瀬翔平が去年落とし物をして帰ってきているので、僕ら2人はやり残したことがあります。今年こそ夢であるUFCに向かって再出発します」と宣言していた。なお、昨年のRTUでSASUKEと松嶋こよみを破って決勝に進むも敗退したイー・ジャーも、2年連続でエントリーしている。フェザー級は8人中3人が中国の選手となった。
SASUKEの初戦の相手、キム・サンウォンは韓国のDouble Gのフェザー級王者。20年のグアムでの試合では伊藤空也に1R TKO勝ちし、昨年11月のグアムでの試合では、今回のRTUの1階級上でエントリーしている原口伸に1R KO負けしている。
1R、スタンドの攻防の後、ローを蹴り続けるサンウォンに対し、SASUKEがタックルを仕掛けてテイクダウンを奪い、金網際でハーフガードの状態で押さえる。サンウォンはその先の攻めを許さず、スタンドに戻す。お見合いが続き、終盤、またもSASUKEがタックルで倒すが、サンウォンはすぐ立つ。だが最後もSASUKEが倒して終える。記者採点はSASUKE。記者採点はSASUKE。ジャッジ3者も同様だ。
だが2R、突然フィニッシュが訪れる。SASUKEがプレッシャーをかけるが、サンウォンは回って距離を取り、随所で右のロー、カーフをヒット。すると中盤に差し掛かろうとしたところで、サンウォンが声を上げながら放ったワンツーで、右フックをクリーンヒット。SASUKEはダウンすると亀の状態になり、サンウォンが背後から押さえて左のパウンドを連打したところでレフェリーがストップした。SASUKEは2年連続でRTU初戦敗退となってしまった。
No Problem indeed!
South Korea's Sang Won Kim closes Episode 1 of #RoadToUFC with a nasty finish! pic.twitter.com/DetozVIr8w
— UFC_Asia (@UFC_Asia) May 27, 2023
第4試合 フライ級 5分3R
○マーク・クリマコ(米国)
×イ・ジョンヒョン(韓国)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)
第3試合 フェザー級 5分3R
○イー・ジャー(中国)
×ウーズーアーズービエクア(中国)
1R 2’32” 腕ひしぎ十字固め
第1試合 非トーナメント戦 フライ級 5分3R
×トップノイ・キウラム(タイ)
○ニャムジャルガル・トウメンデムベレル(モンゴル/元GLADIATORフライ級王者)
判定1-2 (28-29/29-28/28-29)
エピソード2:神田コウヤは苦しみながらも判定勝ち
第3試合 フェザー級 5分3R
×イーブーゲラ(中国)
○神田コウヤ(パラエストラ柏/DEEPフェザー級暫定王者)
判定0-3 (27-30/27-30/28-29)
神田は大東文化大学レスリング部出身で天皇杯ベスト8に入った実績があり、18年6月にDEEPでMMAデビューし戦績15戦11勝(6KO)4敗。鬼山斑猫、DJ.taiki、平田直樹に3連勝後、21年12月に牛久絢太郎のDEEPフェザー級王座に挑戦し接戦となるも判定負け。以降は3連勝で、5月に青井人を肘でダウンさせてからのパウンドで仕留めると、11月には中村大介に判定勝ちし、今年2月には五明宏人に判定勝ちしDEEPフェザー級暫定王者となった。RTU初戦の相手・イーブーゲラは中国のJCKで6連勝中の選手だ。
1R、お互いサウスポーで構え、開始すぐから神田がイーブーゲラを金網に押し込むが、膠着しブレイクがかかる。中盤、イーブーゲラのパンチのタイミングで、神田がタックルを仕掛けて倒して上になる。神田はハーフまで行くが、イーブーゲラはその先の攻めを許さず、終盤、イーブーゲラは立ち上がる。神田はまたもイーブーゲラを金網に押し込み、離れれば右フックと左肘を当て、打撃でも印象を作る。記者採点は神田。ジャッジ3者も同様だ。
2R、神田は序盤から左テンカオ、右インローをヒットするが、その先の攻撃は乏しい。イーブーゲラも目立つ攻撃をあまり返せないが、中盤には左ストレートを当てるように。終盤、神田が左ストレートのヒットを増やすが、イーブーゲラもパンチを返すと、神田は左目の下をカットする。だが最後はタックルでテイクダウンを奪い、パウンドを当てて終える。記者採点は僅差だが神田。ジャッジ3者も同様だ。
3R、スタンドの打撃戦で、お互いスイッチを織り交ぜるようになり、パンチの交錯する頻度が上がる。お互い被弾し、スタミナの消耗もありしんどそうだ。中盤、神田が左右のストレートを連打するが、その先は続かない。終盤、イーブーゲラの左ミドルを神田はつかんでテイクダウンに成功するが、イーブーゲラはすぐ立つ。神田はフラフラで、ノーガードになってしまう場面が目立つ。だがイーブーゲラもクリーンヒットを返せず終了する。記者採点は僅差だが神田。ジャッジは2者が神田、1者がイーブーゲラにつける。
Talk about giving everything they've got!
Gotta love the effort from both @nandakandakouya and Yibigule! #RoadToUFC pic.twitter.com/efqGBZp5Z6
— UFC_Asia (@UFC_Asia) May 27, 2023
記者採点合計27-30で神田。ジャッジ3者とも神田を支持し、神田が苦しみながらも判定勝ちした。勝利者インタビューで神田は相手と上海の観客に感謝の言葉を述べつつ「最後は被弾覚悟で、玉砕覚悟という言葉が日本ではあるんですけど、そのような心で3R目に挑みました」と話した。インタビュー後はノーマイクで「ありがとう、シェーシェー」と中国の観客に叫んだ。
神田は準決勝でリー・カイウェン(中国)と対戦する。カイウェンは14年から21年までONEに上がり続けていた選手で、今回のRTU一回戦でルー・カイ(中国)をわずか71秒で粉砕し準決勝に進んでいる。反対ブロックではSASUKEを粉砕したキム・サンウォン(韓国)と、昨年RTUでSASUKEと松嶋を下したイー・ジャー(中国)が対戦する。神田にとっては初戦よりもさらに過酷な戦いが続きそうだ。
第5試合 フェザー級 5分3R
○リー・カイウェン(中国)
×ルー・カイ(中国)
1R 1’11” TKO (レフェリーストップ:左フック)
The Underdog ends the fight in brutal fashion!
Li Kai Wen wastes ZERO time in announcing his entry to the semis! #RoadToUFC pic.twitter.com/7XUl4AL2Wd
— UFC_Asia (@UFC_Asia) May 27, 2023
第4試合 フライ級 5分3R
×スミト・クマール(インド)
○チェ・ソングク(韓国)
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)
第2試合 フライ級 5分3R
○ジーニウシュイエ(中国)
×ビリー・パスラタン(インドネシア)
2R 1’56” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
第1試合 非トーナメント戦 ウェルター級 5分3R
○タイイーラークエ・ヌエアジ(中国)
×キム・ハンスル(韓国)
2R 1’38” KO (左肘打ち)
WHAT A KNOCKOUT!
Taiyilake Nueraji just went SUPER SAIYAN! #RoadToUFC pic.twitter.com/hbXCjanBVA
— UFC (@ufc) May 27, 2023
ROAD TO UFC 5.28 上海(レポ):原口伸が圧勝TKO勝ち、上久保周哉が消耗戦制し準決勝進出。野瀬翔平と丸山数馬は初戦敗退