UFC 2.4 ラスベガス(レポ):平良達郎、ピンチ乗り越え1R一本勝ちしUFC 3連勝。中村倫也、風間敏臣を33秒KOしUFCとの契約勝ち取る。木下憂朔、UFC初戦は1R TKO負け
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UFC Fight Night: Lewis vs. Spivak
2023年2月4日(土/現地時間)米国ネバダ州ラスベガス UFC APEX
レポート:井原芳徳 Photo (C) UFC/Zuffa LLC
平良達郎、ギロチンのピンチ乗り越え一本勝ちしUFC 3連勝「僕が取って極めれない選手はいない」
第1試合 フライ級 5分3R
○平良達郎(Theパラエストラ沖縄/修斗世界王者)
×ヘスス・アギラー[Jesús Aguilar](メキシコ)
1R 4’20” 腕ひしぎ三角固め
もともと米国時間の2月4日には、韓国人UFCファイターの代表格である“コリアンゾンビ”ことジョン・チャンソンのUFCラストマッチをメインイベントに据えたUFC Fight Night 韓国ソウル大会が計画されていた。だがコリアンゾンビが怪我のため試合が難しくなり、この大会で計画されていた韓国・日本・タイ等アジア勢の試合もそのままラスベガスにスライドした。
平良はMMA 12戦12勝(3KO/5一本)で1月27日に23歳になったばかり。沖縄出身・在住で、18年8月に修斗でプロデビューし、21年7月に福田龍彌を1Rで下し修斗世界フライ級王者となる。11月のVTJではチリLive Fight Nightフライ級王者のアルフレド・ムアイアドに1R裸絞めで一本勝ちした。昨年5月のUFC初戦ではカルロス・カンデラリオに判定勝ちし、10月の2戦目では計量3ポンド(1.36kg)オーバーのC.J.ベルガラに2R腕十字で一本勝ちし、UFC 2連勝中だ。
UFC 3戦目の相手、ヘスス・アギラーは8月のデイナ・ホワイト・コンテンダーシリーズで勝利しUFCと契約した選手で、今回がUFCデビュー戦となるメキシコの26歳。TapologyのデータによるとMMA 9戦8勝1敗。8月の試合含め、うち4勝がギロチンチョークによる一本勝ちだ。
1R、開始すぐからアギラーが前に出て、右のカーフキックを放つと、平良は足が流れてバランスを崩す。平良はタックルを仕掛けてアギラーの突進を防ごうとするが、アギラーは飛びつき、得意のギロチンを仕掛けてグラウンドに引き込む。平良はハーフガードの体勢で上になり、セコンドの松根良太・Theパラエストラ沖縄代表、岡田遼の声を聞きながら、ギリギリで極まるのを防御し続ける。アギラーもギロチンを仕掛けた腕をずっと外さなかったが、中盤、ようやくギロチンが外れると、平良は一気に反撃に転じる。
平良はハーフのまま金網際で押さえ続け、片腕を枕にして肩固めを意識させつつ、パスガードを狙う。すると終盤に差し掛かり、パスガードしてマウントポジションを奪うことに成功する。平良はバランスよくマウントを維持し、少しずつアギラーの頭に近いところに重心を動かすと、下になりながら三角絞めを仕掛ける。そこから腕も伸ばし腕十字を極め、最後はレフェリーがストップした。レフェリーは「バーバルタップ」と口にし、アギラーが声を出してギブアップの意思表示したことを強調した。
平良達郎 @tatsurotaira#UFCVegas68 pic.twitter.com/tMjB5BAGl8
— UFC Japan (@ufc_jp) February 5, 2023
勝利者インタビュで平良は「ギロチンが得意と知っていたので、早速掛けられてビックリしました」と話し、3連勝2連続一本で日本代表としての活躍が期待されると話を振られると「僕が取って極めれない選手はいないです。もっと上行きます」と豪語した。最後は「アイラブユーサンキュー」と叫び、前回と同じ英語のフレーズで感謝を表現した。その後はオフマイクでカメラに向かって「日本の皆さんちゃんと勝てました。押忍。また戻ってきます」とメッセージを送った。
大会後のインタビューでは「ランキング入りには興味がないですが、早くランカーと試合をしたいです。目指しているのはベルトの獲得。年内に3戦3勝し、来年にはタイトル戦を目指したいと思っています」と具体的な今後の王座への道のりのプランを話している。
なお、平良は今大会のパフォーマンス・オブ・ザ・ナイトに選ばれ、5万ドルの賞金を手にした。前回10月の試合に続く受賞となる。
ROAD TO UFCバンタム級決勝は中村倫也が風間敏臣を33秒KO。3試合全て1R勝利でUFCへ
第4試合 ROAD TO UFCトーナメント決勝 バンタム級 5分3R
×風間敏臣(和術慧舟會HEARTS)
○中村倫也(フリー)
1R 0’33” KO (左フック)
UFCとの契約をアジア人選手が争うトーナメント「ROAD TO UFC(RTU)」は男子4階級・各8人で争われ、のシンガポールでの一回戦、10月のアブダビでの準決勝を経て、今回ラスベガスで決勝が行われる。日本から8選手がエントリーし、残ったのはバンタム級の風間と中村の2選手で、日本人同士でUFCへの切符を争う。
風間はMMA 12戦10勝(3KO/5一本)2敗の25歳。茨城出身で高校まで柔道を習ってから柔術を始め、20年からMMAに転向。21年のパンクラスネオブラッドトーナメント、22年1月の石渡伸太郎引退興行でのワンデートーナメントを制した。4月のPOUND STORMでは齋藤奨司に2R開始早々、飛び膝蹴りで逆転KO負けしたが、1Rは寝技で圧倒した。RTU一回戦ではケレムアイリ・マイマイチツォヘチ(中国)を寝技主体で攻略し判定勝ちした。準決勝はキム・ミンウ(韓国)の計量オーバーで不戦勝で決勝に駒を進めた。そのため試合は8か月ぶりとなる。
中村はMMA 6戦6勝(4KO/1一本)の27歳。埼玉出身で父は90年代の修斗の運営会社の親会社・龍車の代表で、エンセン井上やKIDの所属するPUREBRED大宮のキッズレスリングの第1号生徒だった。レスリングで全日本選手権2連覇、U-23世界選手権優勝の実績を残したが、東京五輪はあと一歩で出場権を逃す。EXILEなどが所属する芸能事務所「LDH」による未来のスター格闘家を発掘するオーディションを経てLDHと契約し、21年7月の修斗でプロMMAデビュー。4月のPOUND STORMではアリアンドロ・カエタノ(ブラジル)に判定勝ち。RTU一回戦ではググン・グスマン(インドネシア)に1Rアームロックで一本勝ち。準決勝では野瀬翔平に1R左ストレートからのパウンドでKO勝ちし、どちらの試合も圧勝で決勝に駒を進めた。
1R、開始すぐ、風間が前に出てるが、中村は回りつつ風間の腕に左ミドルを連打してから、左ストレートをヒットする。風間はそれでも追いかけ左フックを当てるが、中村はひるまない。すると風間の右フックのカウンターで、中村がサウスポーからの右フックを当て、風間をダウンさせる。風間はすぐ立つが、圧をかけ返した中村の左ストレート、右ジャブが的確に当たり続け、風間はダメージが溜まる。風間はそれでも左フックを振うが、中村は軽々とかわすと、左フックをアゴに風間のクリーンヒット。意識が飛んだ風間は真後ろに倒れ、中村が左のパウンドをダメ押しで当てたところで、すぐさまレフェリーがストップした。中村は3試合とも1R勝利でUFCとの契約を勝ち取った。
別角度で衝撃の一撃を@rinkuru0323 #中村倫也#UFCVegas68 pic.twitter.com/LgTCcA79pD
— UFC Japan (@ufc_jp) February 5, 2023
勝利者インタビューで中村は英語で、RTUトーナメントの話を持ってきたLDHマーシャルアーツ、マネジメント会社のイリディウム、ファンや関係者に感謝の言葉を述べた。さらに客席にいるイリー・プロハースカを指差し「プロハースカ選手も日本で戦った選手です。他の日本人選手と一緒に日本の良さをもっと発信したいです」とアピールした。
なお、中村は平良と同様に今大会のパフォーマンス・オブ・ザ・ナイトに選ばれ、5万ドルの賞金を獲得している。
木下憂朔UFCデビュー戦は1R TKO負け
第7試合 ウェルター級 5分3R
×木下憂朔[ゆうさく](パンクラス大阪稲垣組/パンクラス3位)
○アダム・フューギット[Adam Fugitt]
1R 4’36” TKO (レフェリーストップ:グラウンド肘打ち)
木下はMMA 7戦6勝(4KO/2一本)1敗の22歳。大阪出身で6歳から16歳まで空手を習い、アマチュアパンクラス等を経て20年4月にプロMMAデビューし、4試合連続1Rフィニッシュで勝利すると、21年11月のRIZIN TRIGGERではDEEPウェルター級王者・住村竜市朗と対戦。2Rにパンチの連打でダウンを奪うが、金網をつかみながら何度も顔面を踏みつける反則を犯し、TKO勝ちから反則負けに裁定が覆った。昨年4月のパンクラスでは元パンクラス同級王者の村山暁洋を1R飛び膝蹴りでKO。8月にはデイナ・ホワイト・コンテンダーシリーズ(DWCS)に出場し、5戦5勝(3KO)のブラジル人・ジョゼ・エンリケを3R左ストレートからのパウンドで仕留め、日本人初のDWCSからのUFC契約を果たした。
UFCデビュー戦の相手、アダム・フューギットは米国の34歳。TapologyのデータによるとMMA 11戦8勝3敗。昨年7月のUFC初戦ではエクアドルのマイケル・モラレスに3R TKO負けしている。
1R、両者サウスポーで構え、ローの応酬から、次第にお互いのパンチが当たり出す。体格で勝るフューギットの左フックで木下の頭がのけぞると、フューギットはタックルを仕掛けて倒す。木下はすぐ立つが、フューギットが金網際で押し込み足を掛けてテイクダウンを狙いコントロールを続ける。木下は抱え上げられてしまうと金網をつかむ場面もありレフェリーから注意される。それでも中盤過ぎに離れるが、フューギットの左ストレートで木下はダウンする。木下はすぐ立つが、フューギットが押し込んで倒すと、金網際でバックから押さえ込む。最後はフューギットがマウントを奪うと、パウンドを当ててから左肘を連打し、木下が亀になったまま防戦一方になったところでレフェリーがストップ。木下のUFC初戦は完敗に終わった。実際にUFCウェルター級選手とぶつかると、木下は1つ下のライト級が適しているように見えた。
RTUフェザー級実力者対決は韓国のリー・ジョンヨンが接戦制す
第5試合 ROAD TO UFCトーナメント決勝 フェザー級 5分3R
○リー・ジョンヨン
×イー・ジャー
判定2-1 (27-30/29-28/29-28)
韓国のジョンヨンは一回戦、準決勝と中国人選手を1分足らずでKOし決勝へ。中国のイーは一回戦で佐須啓祐[SASUKE]を1Rで仕留め、準決勝で松嶋こよみに判定2-1で勝利し、日本勢を連破し決勝に進んだ。
1R、イーが開始すぐからジョンヨンを金網に押し込み、テイクダウンを奪って押さえ込む場面も作り、組みの展開で終始主導権を維持する。記者採点はイー。
2Rも序盤から押し込みテイクダウンを奪うが、ジョンヨンはすぐ立つと離れ際に左肘を当てる。またもイーが金網にジョンヨンを押し込むが、これもジョンヨンが突き放すと、左アッパー、左フック等のパンチが少しずつ当たるようになる。それでも終盤、イーはタックルでテイクダウンに成功する。ところがジョンヨンは下からイーの顔面を蹴り上げる反則を犯してしまう。レフェリーはスタンドから再開させると、ジョンヨンはイーのタックルを切り、左ボディを当て、やや優位で終える。記者採点はジョンヨンだが、反則があったため、イーにつく可能性はある。
3R、ジョンヨンの右アッパーが当たるが、イーの右アッパーも当たる。イーはそこからタックルで押し込むが、これもジョンヨンが突き放す。中盤、イーはタックルから背後に回り、バックからオンブになろうとするが、滑って下に落ちてしまう、ジョンヨンは腕十字を狙うが、動きが荒く、イーは外し、立って押し込みテイクダウンを奪う。ジョンヨンは金網際で座ったまま押さえ込まれ防戦が続く。最後、それでも立つが、ジョンヨンがまたもタックルで倒し、押さえ続けコントロールして終える、記者採点はイー。合計28-29でイー。ジャッジは割れ、打撃では優位だったジョンヨンが2者から支持され、ジョンヨンがUFCとの契約を勝ち取った。
その他の試合結果
第11試合 メインイベント ヘビー級 5分5R
×デリック・ルイス(7位)
○セルゲイ・スピバック(12位)
1R 3’05” 肩固め
第10試合 コーメインイベント ライトヘビー級 5分3R
×チョン・ダウン
○デビン・クラーク
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
第9試合 ヘビー級 5分3R
○マルチン・ティブラ(10位)
×ブラゴイ・イワノフ(15位)
判定3-0 (30-27/29-28/29-28)
第8試合 フェザー級 5分3R
△チェ・ドゥホ
△カイル・ネルソン
判定1-0 (29-27/28-28/28-28)
※3Rバッティングの反則でチェに減点1
第6試合 ROAD TO UFCトーナメント決勝 ライト級 5分3R
×ジェカ・サラギ
○アンシュル・ジュブリ
2R 3’44” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
第3試合 ROAD TO UFCトーナメント決勝 フライ級 5分3R
×チェ・ソングク
○パク・ヒョンソン
3R 0’11” 裸絞め
第3試合 女子フライ級 5分3R
―キム・ジヨン
―マンディ・ブーム
中止 (ブームの体調不良)
第2試合 ミドル級 5分3R
○パク・ジョンヨン
×デニス・トゥルーリン
1R 4’05” 裸絞め