RISE 10.30 後楽園ホール(レポ):田丸辰、数島大陸に判定勝ちし初代フライ級王者に。寺戸伸近、パンチオンリーの那須川天心とのエキシで引退。バンタム級は寺山遼冴&有井渚海が再始動戦で完勝
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RISE 162
2022年10月30日(日)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
田丸辰、数島大陸に判定勝ちし初代フライ級王者に
第11試合 メインイベント 初代RISEフライ級(51.5kg)王座決定戦(王座決定トーナメント決勝) 3分5R(無制限延長R)
○田丸 辰[とき](TRY HARD GYM/RISEスーパーフライ級(53kg)5位・元王者)
×数島大陸[りく](及川道場)
判定3-0 (小川49-48/長瀬49-48/豊永49-48)
※田丸が王者に
初代RISEフライ級王座決定トーナメントは4月の後楽園大会で4選手による準決勝が行われた。数島は塚本望夢に判定勝ちし決勝に進出したが、田丸は1R終盤のバッティングで鼻骨を骨折しノーコンテストとなった。再戦が8月の後楽園で組まれたが、空龍が新型コロナウイルスに感染し中止となり、RISEでは空龍の状況を協議し、田丸が戦わずして決勝に駒を進めることになった。その間、数島は8月の大阪大会に出場し、タネ♡ヨシキを1R KO。田丸は4月の空龍戦の前の実戦は昨年7月の政所仁戦のため、ブランクの影響が無いか気になるところだったが、テクニックと豊富なスタミナで新鋭・数島を封じることに成功する。
1R、両者サウスポーで構え、開始すぐから数島がプレッシャーをかけ続ける。まだ手数は少ないが、左ストレート等を随所でヒット。田丸も右ジャブ、左カーフキック等を返す場面もあるが、やや押され気味な感は否めない。記者採点はイーブンだが数島につく可能性もある。
2Rも数島が詰めてパンチを振るうが、打ち終わりに田丸が「ずっと練習していた」という左ストレートを当てると、数島は腰が落ちる。田丸は左のカーフを連打し笑顔を見せる。その後も数島は前に出てパンチを振るうが、1Rのように的確に当てる場面が減ってしまう。記者採点は田丸。
3R、数島は圧力を強め、ロープに詰めて右ボディを当てる場面もあるが、田丸はブロックして耐えダメージ自体は小さい様子で、随所でパンチを返す。中盤、数島のパンチをかわそうと田丸が頭を下げた後にバッティングとなり、数島は鼻血を出すように。終盤、田丸の左のカーフで数島はスリップする。足を刈られた形に近く、まだ耐えられている様子だが印象は悪い。記者採点はイーブンだが田丸につく可能性はある。
4R、数島は変わらず前に出続け、時折右のボディ、左のフックを当てるが、なかなかまとめられず。田丸はロープを背負い続けつつ、強打はもらわず、自分の右ジャブ、ロー、ミドルを随所で当てる。田丸は深追いはせず、リスクを取らない方針にも見える。記者採点はイーブンだが田丸につく可能性はある。
5R、逆転を狙う数島は圧を強め、田丸のガードの上からでも強引にパンチを連打する。だが田丸は変わらずブロックし、打ち終わりに左フックを返したり、離れれば右ジャブやローを当て、的確な攻めをしっかり返し続ける。記者採点はイーブン。合計50-49で田丸。ジャッジ3者も田丸のアウトボクシングを評価し、揃って49-48で支持し、田丸が判定勝ち。田丸がフライ級王座を奪取し2階級制覇を達成した。
ベルトを巻きマイクを持った田丸は「TRY HARD GYMに移籍してから試合できなかったり、勝ってなくて、ジムのせいと言われるのが悔しくて、練習してベルトを巻くことができてうれしいです。TRY HARD GYMを引っ張っていけるよう頑張ります」と涙を流しつつ話し、セコンドについたHIROYA、大雅、宮﨑小雪も笑顔を浮かべながら見守っていた。
寺戸伸近、パンチオンリーの那須川天心とのエキシで引退
第10試合 寺戸伸近 引退エキシビションマッチ 3分1R
―寺戸伸近(Booch Beat/第2代RISEバンタム級王者、元ISKA K-1ルール世界スーパーバンタム級王者、第5代Krushスーパー・バンタム級王者、第2代M-1バンタム級王者、第24代全日本バンタム級王者)
―那須川天心(TARGET/Cygames/第6代RISEバンタム級王者、RISE世界フェザー級(57.15kg)王者、ISKAフリースタイル世界フェザー級(57kg)王者、ISKAオリエンタル世界バンタム級(55kg)王者)
勝敗無し
寺戸は03年12月7日、全日本キックでプロデビュー。09年に全日本、M-1、RISEで王座を獲得し、翌10年にはRISE王座を初防衛。Krushでは11年にISKA王者となり、13年には-58kg(今のフェザー級)王座戦で武尊に判定負けしたが、16年にKrush -55kg(スーパー・バンタム級)王座を獲得した。試合は17年11月のKrush王座初防衛戦から行っていなかった。寺戸は当時から全日本新空手道連盟の役員を務めており、新空手がKrushと袂を分かちRISEとの協力関係を深めると、19年に新空手がスタートしたRISEルールの新部門「Stand up」のゼネラルマネージャーに就任し、選手発掘・育成をしている。現在42歳。
寺戸は第2代RISEバンタム級王者で、引退エキシの相手・天心は第6代の同級王者。天心がRISEでトップ選手に駆け上がった頃、寺戸はK-1・Krushに移っており、交わる機会が無かった。天心は6月19日のTHE MATCH 2022東京ドーム大会の武尊戦で勝利しキックボクシングを引退したが、それから4カ月、隣の後楽園にてエキシながらもキックボクサーとして躍動する姿をファンの前で見せる。
寺戸のセコンドに長年の盟友・山本優弥、寺崎直樹がつく。エキシで天心は足にレガースをつけていたものの、ボクサーに転向するためもあってか、蹴りを封印。寺戸の右ミドル、インロー、膝をもらう場面があっても、天心はサウスポーからパンチを出し続け、素早い動きから右ジャブ、左フック、左ボディを的確に当てる。左フックで寺戸を押し倒すと、トリケラトプス拳のポーズを出して場内を沸かせる。寺戸も右フックを当てて場内を沸かせつつエキシは終了した。
天心は「昔RISEで活躍していた寺戸さんが引退ということで、こういう形で拳を交えられてうれしく思います。キックボクシングから離れたんですけど、ずっと心の中ではRISEの選手です。またこういうことがあればRISEに戻ってきたいです。寺戸さんは団体を作って若い選手を育て、RISEに上げて、チャンピオンを目指すことをしてくれていて、キック界、格闘技界界のためになると思うので、寺戸さんの今後の活躍を期待しています。僕は色んな人に『いつボクシング行くんだ?』と聞かれるんですけど、しっかり準備していますので、近々発表できるかもしれないので待っていてください。テレビとかのメディア活動をしていますが、毎日誰よりも練習している自信があるので、報告を期待してほしいです」と話した。
寺戸の引退セレモニーではRISE王座の初防衛戦の相手だった九島亮氏、山田武士トレーナー、Stand upを共に運営する全日本新空手道連盟の久保坂左近代表、RISEの伊藤隆代表、家族らが花束を贈呈した。寺戸は「20歳を過ぎてから格闘技を始め、23歳でデビューしました。RISEでもチャンピオンにもなりました」と話し、関係者に感謝の言葉を述べ、「Stand upで若手に経験を積んでもらって、RISE、大きなリング、世界で活躍する選手が育つことを祈っています。この後もキックボクシングに関わって精進していきたいです。皆さんに出会えて最高でした」と話し、10カウントゴングを聞いた。
寺山遼冴、志朗の元での練習成果発揮し判定勝ち
第9試合 バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○寺山遼冴[りょうが](フリー/RISEバンタム級10位、第3代王者DEEP☆KICK 53kg級王者、CKC 2021 -54kgトーナメント優勝)※TEAM TEPPENから所属変更
×京介(TOP DIAMOND/RISEスーパーフライ級(53kg)6位)
判定3-0 (小川30-29/朝武30-29/秋谷30-27)
寺山日葵の弟・遼冴は昨年7月の大阪でのCKC 2021 -54kgトーナメントで内藤啓人、田渕神太、有井渚海を下して優勝。昨年11月にRIZINで勝利して以来1年ぶりの試合で、那須川天心のいるTEPPENを離れフリーになってからの初戦。京介は6月のRISEで知花デビットに3R KO負けして以来の試合で、今回は階級を上げて戦う。
寺山のセコンドはこの春引退した姉・日葵、ニック永末氏に加え、練習拠点としているBeWellの志朗もつく。1R、前に出る京介に対し、寺山はサウスポーで構え右ジャブを突きつつ、回って距離を取り左ストレートを随所で当てる。だがまだ慎重で、終盤には京介が詰めて左ボディを返す。記者採点はイーブン。
2R、寺山は変わらず左ボディ、左フックを当て、左ミドルも絡め、主導権を維持する。京介はセコンドの小比類巻貴之氏の「出ろ」という指示通り前に出続けるが、回る寺山を捕まえられない。記者採点は寺山。
3Rも前に出る京介から距離を取り、寺山が左ミドル、ストレート等を的確に当て続け、手数でもはっきり差をつける。記者採点は寺山。合計30-28で寺山。ジャッジ3者も寺山を支持し、寺山が再起戦を白星で飾った。
有井渚海、移籍初戦はパンチスキル向上見せ完勝
第8試合 バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○有井渚海[しょあ](ARROWS GYM/新空手主催CKC 2021 -54kgトーナメント準優勝)※及川道場から所属変更
×彪司[ひゅうが](TEAM TEPPEN/RISEスーパーフライ級(53kg)9位)
判定3-0 (長瀬30-27/秋谷30-27/小川30-27)
有井は昨年7月のCKCトーナメント決勝で寺山遼冴に延長戦の末に敗れ、昨年9月に京介に判定勝ちして以来の試合。その2か月後の大阪大会に出場予定だったが負傷欠場。その後、大阪から上京。久保優太や木村“フィリップ”ミノルらK-1勢への指導で知られる矢口哲雄トレーナーが新たにオープンしたARROWS GYMに移籍し、今回が初戦となる。彪司は4月の代々木大会で佐藤九里虎を1R KOし、今回からバンタム級に階級を上げる。
試合は有井が完全にパンチャーにシフトし、技術向上を印象づける内容に。1R、彪司がプレッシャーをかけ、左フック、左膝を随所で当て先手を取る。有井はしばらくヒットが乏しかったが、終盤の打ち合いで左フックをクリーンヒットしダウンを奪う。記者採点は10-8で有井。
2R、彪司は変わらず前に出るが、有井は回って距離を取りつつ、左ジャブ、フック、ボディを的確に当て続ける。彪司も当てるが、有効打はやや乏しい印象だ。どちらも少しだけ蹴りも出すがパンチ主体の攻防が続く。記者採点は有井。
3R、開始すぐから彪司が詰めてパンチを連打するが、有井は防御すると、次第に左右のフック、左ジャブ、ボディのヒットを増やして彪司を圧倒。彪司も最後に当て返すが流れは変えられず終了。記者採点は有井。合計30-27で有井。ジャッジ3者も同じ採点で、有井の判定勝ちとなった。
完勝の有井は「どうですか」と叫び、「倒すのが僕ですけど倒しきれなかったのは今の実力やと思います。試合できない期間も、馬鹿みたいにずっと毎日格闘技しかやっていなくて、それがこの結果に出たと思います。こんなもんじゃないんで、まだ上に行けるので、RISEの必ずベルト巻きます。僕はスーパースターに絶対になるんで注目してください」と力強くアピールした。
計量オーバーのAKARIが判定勝ち。AKARI陣営はノーコンテストへの裁定変更を希望
第7試合 女子ミニフライ級(49kg) 3分3R(延長1R)
○AKARI(TARGET/RISE 1位)
×ERIKO(TKDJ市川式/RISE 4位)
判定3-0 (小川28-27/長瀬28-27/豊永28-27)
※ERIKOは計量クリア。AKARIが計量オーバーで減点2、グローブハンデ(AKARI 6オンス、ERIKO 4オンス)での実施
前日計量でERIKOは1回目に100gオーバーし再計量で49kgでクリアしたが、AKARIは50.1kgで1.1kgオーバー。2kg未満の体重超過の場合は当日再計量となっており、AKARIは当日正午からの計量で1.75kgオーバーの50.75kgだった。2kg未満のため試合は行われるが、上記のとおりのペナルティが科される。
AKARIは前日の最初の計量の時点からフラつき、まともに歩けない状態で、欠場を考えてもいいような体調だったが、体から水を抜いた状態を他の選手よりも約1日長く続けたことになる。前日の1.1kgオーバーから当日は1.75kgオーバーまで増えていたが、49kgのリミットまで落とすことよりも、2kg未満のオーバーに押さえ、ペナルティは受け入れて試合を成立させることを優先させた模様だ。この発表後、AKARIの所属するTARGET本部の菅原勇介代表はTwitterに「【昨日より体重が増加した事について】昨日の計量時では歩く事も出来ずかなり脱水の状態だと判断しました。このまま更に水を抜く事は命に関わる危険があると判断した為、水分補給させました」と投稿していた。
AKARIは4月のRISE QUEENミニフライ級王座決定トーナメント準決勝で宮﨑若菜を下すも、6月の決勝ではerika♡に敗れて以来の試合となる。ERIKOは4月の後楽園で永尾音波に判定勝ちすると、試合後のインタビューで「AKARI選手にしか興味ないです」と、19年9月のデビュー戦で敗れた相手・AKARIとの再戦を希望していた。
試合自体はAKARIのワンサイドゲームに。1R、AKARIが開始すぐから前に詰めるERIKOに対し、左ジャブ、前蹴りを当てつつ、右ストレートを度々当てて圧倒する。記者採点はAKARI。
2RもAKARIがパンチを当て続け主導権を維持。ERIKOも時折左ボディを返すが、AKARIの勢いを止めるほどにはならない。記者採点はAKARI。
3RもAKARIが蹴りを織り交ぜつつ、的確に右主体でパンチを当て続け圧倒する。記者採点はAKARI。減点2を引き28-27でAKARI。ジャッジ3者も同じ採点でAKARIの判定勝ちとなったが、AKARIは勝ち名乗りを受けると、すぐにEIKOに土下座し謝罪した。なお、RISEの伊藤隆代表は大会後の総括で「AKARIサイドはノーコンテストにしてほしいと話しているので調整したい」とコメントしている。
村上悠佳、聖愛との55kg対決制す
第6試合 女子55kg契約 3分3R(延長1R)
×聖愛[せいな](魁塾/RISEフライ級5位、WMC女子日本スーパーフライ級王者、元ミネルヴァ同級王者)
○村上悠佳(TEAM TEPPEN)
判定0-3 (長瀬28-29/豊永28-29/朝武28-30)
聖愛は2月のKOKOZに判定負けして以来のRISE登場。この間、ムエタイルールのWMC女子日本スーパーフライ級王座を獲得した。村上は昨年12月に浅井春香に判定負けして以来の試合。
1R、村上が右ストレート、ハイ、ロー、聖愛は左ミドル、インロー、右ロー、右ストレートを当て、お互い多様な技で積極的に攻めるがまだ差はつかない。記者採点はイーブン。
2R、序盤に聖愛が右フックで村上をひるませる。だが村上も右ミドル、ロー、ストレートを返しじわじわ巻き返し、終了間際には雄たけびを上げながら右フックのヒットを増やし好印象を残す。記者採点は村上。
3R、村上が序盤から右フックで聖愛をスリップさせ先手。聖愛もパンチを返すが、終盤は村上が右フック、右前蹴り等で巻き返し、やや優位で終える。記者採点は僅差だが村上。合計28-30で村上。ジャッジ3者も村上を支持し、村上の判定勝ちとなった。RISEの伊藤代表は両選手のファイトを高く評価し、女子の55kgの階級の王座設立に前向きな姿勢を示している。
17歳・7戦全勝の長谷川海翔、RISE初戦は無効試合もインパクト残す
第5試合 スーパーフライ級(53kg) 3分3R(延長1R)
―金子 梓(新宿レフティージム/RISE 8位)
―長谷川海翔[かいと](誠剛館/DEEP☆KICK -53kg級王者)
1R 無効試合
金子は6月大会で佐藤九里虎を3R KOして以来の試合。拳剛の甥・17歳の長谷川はRISE初参戦。6月に7戦7勝(6KO)でDEEP☆KICK-53kg王座を獲得した。
1R、開始すぐから長谷川がサウスポーからの左ストレートをクリーンヒットし金子をひるませる。長谷川は左ストレート、右ジャブ、左ミドル等を当て続け、パンチの連打で金子を棒立ちにさせたところで、秋谷レフェリーはダウンを宣告する。
その後も長谷川がパンチや左ハイを度々当て、金子を圧倒。金子はフラついたりスリップする場面が多く、ストップ寸前まで追い込まれる。ところが長谷川が仕留めきれずにいると、終盤、バッティングが発生し金子が左まぶたをカットし、ドクターチェックが入る。
金子の傷が深いためドクターストップがかかり、レフェリーはバッティングは偶発的なものと判断。まだ1R中のため、ルールに基づき無効試合となった。長谷川は勝ちを逃したものの、素質の高さを存分に見せつける試合内容だった。王者・大﨑一貴を筆頭に、風音、花岡竜、政所仁、滉大といったスーパーフライ級の上位勢との絡みを来年は期待したい。
第4試合 スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
△小野幹晃[まさあき](IGGY HANDS GYM/RISE 4位)
△岩郷[いわごう]泰成(EX ARES/DEEP☆KICK −60kg級2位)
4R 負傷判定1-0 (朝武10-10/秋谷10-9/佐藤10-10)
3R 判定0-0 (朝武28-28/秋谷28-28/佐藤28-28)
両者20年10月の対戦では岩郷がKO勝ちしている。1R、小野が右カーフ、右フック、岩郷が左ミドル、左ジャブ等を当てるが、まだ均衡は崩れず。
2R、お互い多様な攻撃を出しつつも、なかなか均衡が崩れなかったが、終了間際に両者が右フックを放つと、小野のパンチがクリーンヒットし、岩郷はダウンする。
だが3R、岩郷が右ハイを空振りさせてからの右バックハンドブローを当て、ダウンを奪い返す。しかしその直後のバッティングで、岩郷はダメージを負い、一時中断する。再開後はお互い有効打につなげられず終了する。記者採点は28-28のイーブン。ジャッジ3者も同様で延長へ。
延長R、小野の左ミドルがローブローとなりまたも中断する。椅子に座って休んだ岩郷だが、右足が震えており、ドクターストプ。両者手の合う好勝負だったものの、ここまでの内容で判定が行われ、ドローという結果になった。記者採点もイーブン。
第3試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
×山科直史(極真会館/RISE 13位)
○Shin(team FIST)
不戦勝
※Shinは計量クリア。山科が計量体重60.3kgで2.8kgオーバーし、2kg以上のオーバーのため失格
第2試合 バンタム級(55kg) 3分3R
○小只[おただ]直弥(TBF)
×福井萌矢[ともや](建武館)
判定3-0 (長瀬29-28/小川30-28/秋谷30-27)
1R、小只はサウスポー、福井はオーソドックスで構え、お互いミドル主体で攻めるが、まだ差は乏しい。2Rも基本的に同じ構図ながら、パンチの比重も上がると、福井の右ストレートが目立つようになるが、まだはっきりした差はつかない。
だが3R、序盤に小只が福井をロープに詰めると、クリンチの離れ際に左フックを当ててダウンを奪う。その後も前に出続け福井を詰め続ける。福井も右ハイ、バックハンドブローを返すが、流れは変えられず、小只の判定勝ちとなった。
第1試合 女子45kg契約 3分3R
×辻井和花[ほのか](BRING IT ONパラエストラAKK/2021年Amateur RISE Nova全日本女子トーナメント -47kg級優勝)
○小林穂夏[ほのか](NEXT LEVEL渋谷/JAPAN CUP 2022 女子-50kgトーナメント準優勝)※建武館から所属変更
判定0-2 (長瀬29-30/豊永29-29/小川29-30)
両者ともプロデビュー戦。辻井和奏の妹・和花は16歳。小林は菅原美優を輩出した建武館出身で、高校・大学ではボクシング部に所属していた。
両者名前が同じで構えも両者同じサウスポー。1R、小林がパワー差を活かし、終始圧力をかけ続け、左フック等を随所で当て、連打もまとめ好印象。辻井は距離ができれば鋭い右ミドルを当てるが、詰められる場面が多い。記者採点は小林。
2R、小林の圧力が落ち、辻井がミドル、膝を当てる場面が増えるが、小林も随所で左フック、ローを返し、五分の状態を維持する。記者採点はイーブン。
だが3R、辻井が膝、左フック、右ハイ等のヒットを増やし攻勢に。小林も時折左フックを当てるが、クリンチやバランスを崩す場面があり印象が悪い。記者採点は辻井。合計29-29でイーブン。ジャッジは1者が同様だったが、2者は3Rをイーブンとし、小林の判定勝ちとなった。