修斗 7.4 メルパルクホールOSAKA(CKC 2021 -54kgトーナメント):TEAM TEPPENの17歳・寺山遼冴、1日10R戦い抜き優勝
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プロフェッショナル修斗公式戦 PROFESSIONAL SHOOTO 2021 Vol.4 in OSAKA Supported by ONE Championship 第1部・第2部
2021年7月4日(日)メルパルクホールOSAKA
レポート:井原芳徳 写真:(C)SUSTAIN/SUSUMU NAGAO
全日本新空手道連盟主催 CKC (CAGE KICK CHAMPIONSHIP) 2021 -54kgトーナメント ―新世代王者決定戦―
毎年夏恒例の修斗大阪大会、今年は昼夜2部制で、最近の修斗大阪大会に試合を提供してきた全日本新空手道連盟の主催するキックルール-54kg契約 1DAYトーナメントが行われた。ルールは肘無し・組んでからの打撃1回。試合場は八角形のケージ。昼の第1部の第1~4試合で一回戦、夜の第2部の第1~2試合で準決勝、セミファイナルで決勝が行われた。優勝賞金100万円。
17~24歳の若手8選手が参加した中、本命は8戦無敗の20歳・有井渚海(しょあ)。今回出場メンバーの寺山遼冴と1勝1分で、内藤啓人、木下悦志にも勝っている。ABEMAの恋愛リアリティショーにも出演し、Instagramのフォロワー数は4.7万で、知名度も出場選手ナンバーワンだ。那須川天心の後輩でRISE QUEEN・寺山日葵の弟・遼冴は反対ブロックの有力候補。4月に階級上のRISE王者・工藤政英に判定負けするも健闘した田渕神太も注目選手の一人だ。
一回戦
第1試合 一回戦(1) 3分3R
×木下悦志(KICK LAB)
○匠朗(KSS健生館/新空手K-2 GP 2018 軽量級3位)
判定0-3 (豊島29-30/安芸29-30/山本29-30)
1R、お互いパンチ、ローを出すが、まだ慎重で差は乏しい。2R、少しずつお互いの攻撃が増えるが、まだ均衡状態だ。3R、木下がパンチを連打するが、匠朗が右ローを連打すると、木下は少し足を引きずり苦しそうな様子を見せ、ダメージが溜まって来た様子。僅差だが3Rは匠朗か。記者採点は合計29-30で匠朗。ジャッジ3者も同じポイントで、匠朗の勝利となった。
第2試合 一回戦(2) 3分3R
○有井渚海(及川道場/新空手K-2 GP 2019 軽軽量級優勝、JAPAN CUP 2018 K-2 -58kg級優勝)
×大森隆之介(EX ARES/RISEバンタム級7位、JAPAN CUP 2019 -60kg級優勝)
判定3-0 (豊島30-29/安芸30-29/山本30-28)
1R、中盤から有井が少しずつ右ストレート、右バックハンドブローを当て始め、終盤にも右ストレートをヒット。大森はまだダメージは少ないが、返す攻撃は少ない。記者採点はイーブンだが、有井がやや優位だ。
2R、大森はサウスポーも織り交ぜ、かく乱を狙うが、有井は着実に右フック、左右のテンカオを当てる。終盤には右ハイもヒット。大森は時折右フックを当てるが、ヒット数では差がある。記者採点は有井。
3R、有井は序盤から右のフックを着実にヒット。さらに右を振ってからの左フックをクリーンヒットすると、大森の頭がのけぞる。大森は空振りが続くが、終盤に右ストレート、バックスピンキックを当てると、左フックで有井を少しひるませ、手数で巻き返す。記者採点はイーブン。合計30-29で有井。ジャッジ3者も1~2点差で有井を支持し、有井が順当に初戦を突破した。
第3試合 一回戦(3) 3分3R
○田渕神太(拳聖塾/ACCEL&ABWバンタム級王者)
×鷹介(魁塾/RISEバンタム級8位)
判定2-1 (朝武28-29/山本30-29/豊島30-29)
1R、田渕が回って距離を取りつつ、右ローをヒット。パンチが交錯してクリンチになりかけても、右フックを強打する。終盤には遠い距離からの右ストレートもヒット。鷹介はなかなか攻められない。記者採点は田渕だが、まだ慎重なため、イーブンでも不思議ではない。
2R、田渕が左インローを当ててから、右ストレートで鷹介をひるませる。パンチが交錯する場面でも自分の左フックをヒット。終盤はヒットが減るが、鷹介に反撃の糸口をつかませない。記者採点は田渕。
3Rも田渕が左ジャブ、左ボディを的確にヒット。鷹介も踏み込んでの右フックを当てるように。だが変わらず田渕は鷹介に流れをつかませず、終盤、バックスピンキックも当てて印象を残す。記者採点はイーブン。合計30-28で田渕。ジャッジは僅差のラウンドが続いたせいもあってか、新空手道連盟の競技審判部長の朝武孝雄氏のみ鷹介を支持したが、他の2者は順当に的確なヒットの多かった田渕を支持し、田渕の勝利となった。
第4試合 一回戦(4) 3分3R
○寺山遼冴(TEAM TEPPEN/RISEバンタム級6位、DEEP☆KICK 53kg王者)
×内藤啓人(BELLWOOD FIGHT TEAM/シュートボクシング日本バンタム級2位)
判定3-0 (片岡30-29/豊島30-29/山本30-27)
1R、出場選手最年少17歳の寺山が、サウスポーに構え、左ミドル、右ローを序盤から的確にヒットし先手。中盤以降も左ミドル、テンカオ、フック、右ボディストレートを叩き込む。内藤が前に出ても、右の前蹴りで突き放し、テクニック差を印象付ける。記者採点は寺山。
2R、序盤から寺山が左右のフックをヒット。中盤、内藤もワンツーからの右ミドルを返すが、寺山は流れを作らせず、左ストレート、左ボディストレートを当て続ける。記者採点は寺山。
3Rも寺山が左ミドル、左のパンチを的確にヒット。中盤、左のボディストレート、顔面ストレートの連打も決める。終盤、内藤がバックハンドブローを出すが、寺山はグローブでブロックすると、バックハンドブローを的確に当て返す。記者採点は寺山。合計30-27。ジャッジは1者が記者同じく30-27で、他の2者も30-29で寺山を支持し、寺山が初戦を突破した。
これで夜の第2部での準決勝は匠朗 vs. 有井渚海、田渕神太 vs. 寺山遼冴の組み合わせになった。
準決勝
第1試合 準決勝(1) 3分3R
×匠朗(KSS健生館/新空手K-2 GP 2018 軽量級3位)
○有井渚海(及川道場/新空手K-2 GP 2019 軽軽量級優勝、JAPAN CUP 2018 K-2 -58kg級優勝)
判定0-3 (山本28-30/安芸28-30/豊島28-30)
一回戦同様、両選手とも1Rは慎重な立ち上がり。有井がプレッシャーをかけ続け、終盤に左のテンカオをクリーンヒットするが、まだヒットは少ない、匠朗も随所で右ローを返す。記者採点はイーブン。
2R、序盤から有井の突き刺すような左テンカオが炸裂。すると有井がパンチ、膝を連続でまとめる場面が目立つように。左ジャブ、右ストレート、アッパー、右ハイも炸裂し、匠朗を苦しめる。
3Rも有井が左ジャブ、左ボディ、左ミドルを的確に当て、優位を維持する。中盤にはボディへのバックスピンキックもクリーンヒット。終盤は左ボディ、左フックで追い詰め圧倒。点差を広げ判定勝ちした。記者採点は30-28で有井。
第2試合 準決勝(2) 3分3R
×田渕神太(拳聖塾/ACCEL&ABWバンタム級王者)
○寺山遼冴(TEAM TEPPEN/RISEバンタム級6位、DEEP☆KICK 53kg王者)
判定0-3 (豊島29-30/安芸29-30/山本29-30)
1R、寺山がサウスポーに構え、田渕がオーソドックスに構え、お互い蹴りを当てるが、まだお互い慎重でヒットが少ない。記者採点はイーブン。
2Rも同様だが、終盤、田渕が右のインローを連打すると、寺山は少しバランスを崩す。だが寺山はすぐ持ち直し、終了間際には左フックを返し、少し田渕をふらつかせる。記者採点はイーブン。
お互いポイントを取りたい3R、田渕が詰め、右ミドルから右フックにつなげてヒット。寺山の左ミドルの後に右インローを返す。だが中盤、寺山はワンツーでの左ストレートをクリーンヒットし、田渕の頭がのけぞる。田渕は以降、挽回しようと前に出続け、終盤には右インローを当て、打ち合いで右ストレートを返すが、インパクトは不十分か。記者採点は寺山。合計29-30で寺山。ジャッジ3者も同じ採点で、寺山の勝利となった。田渕はここで敗退したものの、優勝者の寺山相手に最後まで勝負のわからない接戦を繰り広げたことは十分評価されるべきだろう。、
決勝
第7試合 セミファイナル 決勝 3分3R(延長1R)
×有井渚海(及川道場/新空手K-2 GP 2019 軽軽量級優勝、JAPAN CUP 2018 K-2 -58kg級優勝)
○寺山遼冴(TEAM TEPPEN/RISEバンタム級6位、DEEP☆KICK 53kg王者)
4R 判定1-2 (山本9-10/豊島9-10/安芸10-9)
3R 判定1-1 (山本30-29/豊島30-30/安芸29-30)
※寺山が優勝
本命の20歳・有井と対抗馬の17歳・寺山が順当に決勝に残った。両者は一昨年12月の初対決はドロー、昨年11月のRISE大阪大会での再戦では有井が判定2-0で勝利しており、今回も僅差の接戦となる。
寺山のセコンドには準決勝まで那須川弘幸会長と姉の日葵がついていたが、決勝は日葵に代わり那須川天心がつく。1R、寺山がサウスポー、有井がオーソドックスに構え、寺山は左ミドル、ロー、ストレート、有井が右ミドル、インロー、ストレート、左前蹴りをヒット。終盤にお互い攻撃が増えるが、まだ均衡状態は崩れない。
2R、有井は圧を強め、右ストレート、右ミドルを積極的に出すが、中盤、寺山も左ストレート、左ボディストレートを返し、差をつけさせない。中盤から終盤、寺山は近距離でも離れた状態でも、随所で自在に左ストレートをヒット。終了間際には左ストレートのフェイントからの右ローも決め、攻勢を印象付ける。記者採点は寺山。とはいえ有井はまだ大崩れはしていないので、イーブンもありうる。
3R、有井は圧を掛けるが、なかなか有効打につなげらず。寺山も左ストレートは2Rほど当てさせてもらえなくなる。終盤、有井は圧をさらに強めると、パンチの打ち合いに持ち込み、ストレートを当てるが、寺山もパンチを返す。終了間際、有井は右ハイ、右ストレートを立て続けに当てるが、やや当たりは浅いか。記者採点はイーブン。最後に手数を上げた有井につけるジャッジがいても不思議ではない。合計29-30で寺山。ジャッジは接戦を反映するように三者三様となり、延長へ。
両選手とも今日1日でこの延長Rが10R目。だがとちらもダメージは少なく、余力もありそうだ。延長R、お互い序盤から距離を詰め、手数を重視してかパンチを積極的に出し合う。有井は右のバックハンドブローもヒット。その中で有井は右ミドル、右ハイ、寺山も右ローも絡め、総力戦の様相だ。中盤以降、パンチとテンカオの応酬に。テンカオが増えた影響で、クリンチとバッティングも増える。終盤になっても差が乏しい状態が続き、どちらもパンチを当てるが、決定打はないまま終了のホーンが鳴る。非常にジャッジの難しい内容で、記者採点はどちらにつけるか判断できなかった。ジャッジもやはり割れ、1者は有井を支持したが、2者が寺山を支持し、寺山の勝利・優勝となった。寺山と有井の過去3試合はこれで1勝1敗1分の五分に戻った。これでお互い、キャリア唯一の黒星を付け合ったことになる。まだ若い両者、4度目の対決も十分ありうるだろう。
優勝記念ベルトを巻いた寺山はマイクを持つと、応援してくれた人達、トーナメントを組んだ修斗関係者に感謝の言葉を述べ「ずっとリベンジしたかった有井選手にこういう場で勝てて良かったです。内藤選手、田渕選手、有井選手、ありがとうございました。これからももっと強くなるんで応援お願いします」と話した。
なお、キックトーナメントは朝武氏以外、立ち技の採点をする機会の少ない、修斗と同じ審判団が採点したが、立ち技競技で有効な攻めを概ね的確に評価していた印象だった。
修斗 7.4 メルパルクホールOSAKA(第1部):マックス・ザ・ボディ、環太平洋ライト級王者のキャプテン☆アフリカに判定勝ち