RISE 8.18 後楽園ホール(レポ):南原健太、2R逆転KO勝ちでライトヘビー級王者に。鈴木真彦&小林愛三、再起戦で快勝|伊藤隆代表、新体制K-1との交流戦は「乱発するつもりはない」
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RISE 171
2023年8月18日(金)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
南原健太、コントゥアラーイにダウンを先取されるも2R逆転KO勝ちでライトヘビー級王者に
第11試合 メインイベント 第2代RISEライトヘビー級(90kg)王座決定戦(トーナメント決勝) 3分5R(無制限延長R)
○南原健太(極真会館/ヘビー級3位、極真会館・真正会全日本体重別2022男子軽重量級(90kg)優勝)
×コントゥアラーイ・JMボクシングジム(タイ/JMボクシングジム/IMSA世界ヘビー級王者、MXムエエクストリーム94kg王者、ボクシング元WBCアジアクルーザー級王者&元ABFアジアウェルター級王者)
2R 1’35” KO (右フック)
※南原が王者に
RISEライトヘビー級王座は初代王者・上原誠が16年にK-1参戦時に返上して以来空位だったが、第2代王者を決める4選手参加のトーナメントが6月23日のRISE 169から開幕した。
南原は参加4選手のうち唯一人RISEに参戦したことのある選手。極真空手をベースに、21年7月のRISEでキックボクシングプロデビューし、最近では昨年12月にSBルールで元SB日本スーパーウェルター級王者の坂本優起にTKO勝ちし、今年3月のRISE ELDORADOではK-1の愛鷹亮を1R KOした。6月のトーナメント一回戦ではチャクリキの大会を主戦場する37歳の入田和樹を開始早々から圧倒し、2R KO勝ちし、順当に決勝に進んだ。
決勝で対するコントゥアラーイは34歳。4月のムエタイスーパーファイトで初来日し、K-1 GROUPが主戦場の実方宏介に2R KO勝ち。6月のトーナメント一回戦ではブラジル人のフェルナンド・アルメイダ相手にテクニシャンぶりを発揮し、終始主導権を維持し判定勝ちしている。
1R、お互い右ロー主体の蹴りの攻防が続いたが、中盤、元ボクサーでもあるコントゥアラーイが、左ボディからの右のオーバーハンドフックでダウンを奪う。南原はダメージは小さい様子だが、出鼻をくじかれ、反撃に持ち込めず終わる。記者採点もジャッジ3者も8-10でコントゥアラーイ。
2R、コントゥアラーイは変わらずボディから顔面につなぐパンチの連打を当て続ける。だが免疫のついた様子の南原は耐えると、右ミドル、ローを随所で当ててじわじわコントゥアラーイを削る。すると中盤、コントゥアラーイが距離を詰めて右フックを当てたが、打ち合いの展開で南原も右フックを当て返す。さらに南原が左テンカオを当てた直後に軽く振った左フックがコントゥアラーイのアゴに命中し、ダウンを奪い返すことに成功する。コントゥアラーイはダメージが大きく、それでも打ち合ったものの、次第に弱っていく。最後も南原が左右のフックで再びダウンを奪うと、コントゥアラーイはうつぶせのまま動けなくなり、和田レフェリーがストップした。
逆転KO勝ちでベルトを巻いた南原は「4歳で空手を始め21年目で大きいタイトルを取ることができました。ここで終わらずもっと上に行きます。RISEのライトヘビー級は南原健太に任せてください」「まずは日本最強になってから世界に挑戦したいです。シュートボクシングでもK-1でもどの団体でも全員倒します」と宣言した。
バックステージでのインタビューで南原は今後について「まずは日本人で最強を証明したい。誰でもウェルカムです。ファンの皆さんがここやってくれとSNSで言ってくれれば僕は絶対やります。僕は逃げません。勝つつもりでやります」とアピールした。だが対世界となると「正直、今のままじゃダメだというのが率直な感想です。すぐに練習再開して、もっともっと強さを出して、そこからもっと目立てるようになりたいです」と謙虚に語った。
RISEの伊藤隆代表、新体制K-1との交流戦は「乱発するつもりはない」
RISEの伊藤隆代表は大会後の総括で、南原の他団体勢との対戦について「極真会館とも話さないといけないですが、彼をサポートしたいです。ただ上限は90kg(=ライトヘビー級)ですね。ヘビー級でやるとパワーで組み潰されると思います」と話し、注釈付きながらも後押しする考えを示した。新体制のK-1が交流を呼びかけていることに対しては「先日(K-1の運営会社のM-1スポーツメディアの)大木(知葉)社長とスタッフの方が来ていただいて、お話をさせていただいたのですが、基本、交流戦を乱発していくつもりは無いです。ただ単にやっても各々の選手の消化試合になるんで。ファンだったり世間が盛り上がる交流戦だったらどんどんやるんですけど、意味の無い交流戦ならやりたくないんで、タイミングを見てやりたいです」と話し、交流は拒否しなかったものの、テーマ性を求める方針を示した。
鈴木真彦、再起戦でKO勝ち「絶対僕が世界で一番になります」
第10試合 セミファイナル バンタム級(55kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
○鈴木真彦(山口道場/RISEバンタム級王者)
×イマッド・サヒ[Imad Salhi](スペイン/ブードゥー・ファイトジム/WBCムエタイ地中海フライ級王者、Extreme fighters バンタム級王者)
2R 2’57” KO (右ストレート)
鈴木は18年からRISEバンタム級王座に君臨し、21年9月に那須川天心に敗れるも、その後は江幡兄弟、金子晃大ら相手に5連勝した。だが昨年12月に志朗に敗れ、今年3月にK-1のリングでK-1の玖村将史に左ジャブでダウンを奪われ判定負けを喫し2連敗中だ。来週26日の大田大会では王座挑戦者決定戦・大﨑孔稀 vs. 加藤有吾が行われるため、挑戦を受ける前に健在ぶりを示したい。今回は10戦10勝で初来日の21歳・サヒと対戦した。
1R、鈴木が終始プレッシャーをかけ、左右のローを的確に当て続け、中盤には詰めて左ボディ等のパンチもまとめる。だがサヒも長身を活かした左右のテンカオを随所で当て、右ミドルで吹き飛ばし、場内をどよめかせる。記者採点はイーブン。
2R、サヒは鋭い膝蹴り、左フックを随所で強打するが、鈴木はひるまず前に出続け、随所で右ローを当て、じわじわサヒの勢いを削る。すると中盤、鈴が左ボディを立て続けにヒットすると、サヒは下がるように。終盤、鈴木はサヒを追いかけ続け、サヒの右膝蹴りのタイミングで右フックも効かせると、コーナーに詰め再び右フックを当ててダウンを奪う。サヒはダメージが大きく、最後は再び鈴木が右ストレートでダウンを奪ったところで、豊永レフェリーがストップした。
マイクを持った鈴木は「サヒ選手はムエタイトップファイターでやりにくかったです」と試合を振り返り、「去年11月に息子が生まれてから、勝利を見せれてなかったんですよ。リングに上げていいですか」と話すと、セコンドが息子を上げ「息子と家族に約束します。絶対僕が世界で一番になります」と宣言した。最後は「来週の挑戦者決定戦で誰が来ても叩き潰したいです」とアピールした。
小林愛三、王座陥落後初戦はMelty輝を圧倒
第9試合 女子フライ級(52kg) 3分3R(延長1R)
○小林愛三(NEXT LEVEL渋谷/1位・元王者)
×Melty輝[きら](team AKATSUKI/3位、DBS女子フライ級王者)
判定3-0 (佐藤30-27/豊永30-27/和田30-27)
小林は昨年3月のGLORYベルギー大会でGLORY女子スーパーバンタム級王者のティファニー・ヴァン・スーストに挑戦したが5R KO負け。続く7月の試合ではイ・ドギョンに判定勝ちしたものの、12月にはEnfusionストロー級王者のテッサ・デ・コムにダウンを奪われ判定負け。今年5月にダイレクトリマッチで行われた初防衛戦でもデ・コムに判定負けし、王座から陥落した。Meltyは同じ5月大会でRISEに初参戦し、YAYAウィラサクレックから1R終盤にハイキックでダウンを奪い判定勝ちしている。
1R、小林が終始プレッシャーをかけ、左ジャブ、右ストレートを序盤から当てると、中盤からは左膝蹴りを効かせ、右フック、左ボディも当て、Meltyを追い詰める。
2R、小林は変わらず前に出て、右のフック、ストレートを当てつつ、右ハイも当て、主導権を維持する。Meltyは回り続け防戦一方だ
3Rもその構図は変わらず、小林がパンチ、膝、左右のハイ等を度々当ててMeltyを圧倒し、差を広げ判定勝ちした。
マイクを持った小林は関係者に感謝の言葉を述べた後、「K-1のリングで壽美(ことみ)選手の引退が決まりました。格闘技を辞めようかと思った時も、ことみんの存在があったからここまで続けられました。KOして言いたかったんですけど、本当に現役お疲れさまでした」と話し、今月1日に引退を表明した同門で元Krush女子フライ級王者の壽美に感謝の言葉を述べた。セコンドについていた壽美は涙を流し、周囲に促されてリングに上がって小林と抱き合い、共に記念撮影した。
第8試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○宮崎就斗(TARGET/7位、DEEP☆KICK -57.5kg級王者)
×白石 舜(TEAM TEPPEN/13位)
4R 判定3-0 (北尻10-9/和田10-9/豊永10-9)
3R 判定1-0 (北尻29-28/和田28-28/豊永28-28)
宮崎は21年11月の大阪大会で梅井泰成にKO負けして以来となるRISE出場。以降は大阪のDEEP☆KICKで麻太郎、KING龍蔵にKO勝利したが、シュートボクシングでは山田彪太朗にKO負けし、3月のBOUT札幌大会では山川賢誠に判定負けしている。白石は5戦4勝(2KO)1敗の22歳で、5月大会で白鳥光希を1R KOしている。
1R、サウスポーの宮崎に対し、白石はオーソドックスで構え、右ミドル、ボディストレート、左ジャブを随所で的確に当てる。終盤にはパンチで少しふらつかせやや好印象で進める。記者採点は僅差だが白石。
2R、宮崎の左インローが効いてきたか?白石は勢いが落ち、宮崎の左ミドル、組んでの膝蹴りのヒットも増えて優位に。記者採点は宮崎。
3R、宮崎が左インロー、組んでの膝を度々当て、白石を追い詰める。だが終盤、宮崎が首相撲からの崩し、首相撲からの膝蹴りの2連打で、2度警告を受け、減点1となってしまう。記者採点は9-9。合計28-28でイーブン。ジャッジ1者は宮崎を支持したが、2者はイーブンで延長へ。
延長R、白井は反撃の余力は無く、宮崎が膝、ロー等で終始攻め続け、しっかり差をつけ判定勝ちした。記者採点は宮崎。マイクを持った宮崎は「もう少しキックボクシング頑張るんで応援してください」と話した。
第7試合 スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
○奥平将太(フリー/10位)
×蒼太(リアルディール)
3R 1’13” KO (パンチ連打)
奥平は昨年10月大会で大雅に延長判定負けして以来の試合。蒼太は地元福岡でのRISE WESTで5戦3勝(3KO)2分の好成績を残しRISEナンバーシリーズに初出場する。
1R、お互いパンチ主体で、奥平の左フックがやや目立つが、蒼太もパンチを当てており、まだはっきりした差はない。2Rもお互いパンチを当てるが均衡は崩れない。
だが3R、奥平が積極的に攻める中で、右ストレートを当ててダウンを奪う。蒼太はダメージが溜まっている様子で、奥平がパンチと右後ろ上段廻し蹴りで攻め続けた後、コーナーに詰めてパンチを連打したところで大沢レフェリーがストップした。
第6試合 女子48kg契約 3分3R(延長1R)
○小林愛理奈(FASCINATE FIGHT TEAM/女子アトム級(46kg)1位、女子ミニフライ級(49kg)2位)
×花田麻衣(GROUND CORE)
判定3-0 (北尻30-26/大沢30-26/長瀬30-26)
小林は昨年5月に女子アトム級王者・宮﨑小雪に挑戦して判定負けしたが、以降は11月に宮﨑若菜、12月にOFGマッチで平岡琴、2月にMISAKIにいずれも判定勝ちし3連勝中だ。花田は9戦3勝(1KO)5敗1分。21年7月の大阪大会で田渕涼香に判定負けして以降、怪我により長期欠場し、2年ぶりに復帰する。
1R、小林がプレッシャーをかけ続け、中盤からボクシングテクニックを活かし、右ストレート、左ボディ等のパンチのヒットを増やし主導権を握る。
2R、小林がパンチを当て続けると花田は鼻血が激しくなり、中盤には小林が左フックでダウンを奪う。残り30秒には花田の鼻のドクターチェックが入る。
3Rも小林が前に出てパンチを当て続け主導権を維持し、点差を広げ判定勝ちした。
第5試合 女子アトム級(46kg) 3分3R(延長1R)
○百花(魁塾/3位)
×小川紗南[さみ](OISHI GYM)
判定2-0 (大沢30-28/佐藤30-30/長瀬30-27)
百花は昨年、宮﨑小雪と平岡琴に判定負けし、今年3月に松本徐倫に判定勝ちして以来の試合。小川は小川翔の夫人で28歳。今年3月にデビューし、ホーストカップで風羽に、DEEP☆KICKで坂田実優に判定勝ちし、RISEに初参戦した。
1R、百花が右フックを当てつつ、右ローも絡める。小川は蹴り主体で、右前蹴り、膝蹴り、ハイ、左右のローと攻撃を散らす。
2Rもローでの削り合いとなる中で、中盤から小川のローが効き目を発揮し、百花はバランスを崩しがちになり、下がる時間が続く。
3Rも小川がロー主体で主導権。百花もパンチと時折返すが、小川は前に出続けローを当てる。終盤、百花も右フックとハイで盛り返すが、最後は小川が右ハイを当てて終了する。記者採点は2Rだけ小川につけ合計29-30で小川。ジャッジは1者がイーブンで、2者が大崩れせず随所でパンチを当てた百花を支持し、百花の判定勝ちとなった。
第4試合 スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
○山科直史(極真会館/フェザー級(57.5kg)17位)
×津留純平(FASCINATE FIGHT TEAM/DEEP☆KICK −60kg級7位)
判定3-0 (30-28/30-28/30-28)
第3試合 スーパーフライ級(53kg) 3分3R
○星 憂雅(IDEAL GYM/KROSS×OVER KICK -53kg王者)
×伊藤琉之助(EX ARES)
判定3-0 (30-28/30-28/30-28)
第2試合 ライト級(63kg) 3分3R(延長1R)
○陽勇[ひゅう](TEAM3K/15位、Stand Up King of Rookie 2022 -65kg優勝)
×奥山雅仁(OISHI GYM/CKC 2023 -63kgトーナメント優勝、S-BATTLEライト級王者)
判定3-0 (29-27//30-26/30-26)
※2R奥山に左インローで1ダウン
第1試合 ウェルター級(67.5kg) 3分3R
×SHOGO(A☆R KICK!)
○中村 龍(フリー)
1R 0’53” KO (左フック)
中村龍は中村寛の兄で30歳。今回がプロデビュー戦。空手をベースとするが、寛同様の野性味あふれる攻めを繰り広げ、1R序盤から左ストレートでダウンを奪うと、最後も左フックで2ダウン目を奪ったところでレフェリーがストップした。マイクを持った龍は「来週、中村寛の試合があるんで、そっちのほうも応援してください」とアピールした。